目次
- 転職理由もアピールになる! 意欲を効果的に伝える例文をチェックして対策を固めよう
- そもそもなぜ聞かれる? 転職理由を聞く企業の4つの本音
- ①「前の会社を辞めたのは何か問題があったから?」
- ②「理由によっては早期離職の心配があるかも……」
- ③「弊社で希望をかなえられるような転職理由なのかな」
- ④「そもそも入社後うまくやっていける?」
- 転職理由を伝えるなら意欲のアピールにつなげて印象アップを狙おう!
- 22の例文付きで解説! 意欲アピールにつながる転職理由の答え方
- ①キャリアチェンジが目的の場合
- ②キャリアアップが目的の場合
- ③待遇に不満がある場合
- ④評価制度に不満がある場合
- ⑤業務量が多すぎる場合
- ⑥社風が合わない場合
- ⑦人間関係にストレスを抱えている場合
- ⑧現職の将来性が不安な場合
- ⑨プライベートの都合での転職の場合
- 「御社じゃなきゃダメ」を伝えよう! 意欲の高さを押し出す転職理由の考え方5ステップ
- ステップ①現職に感じるミスマッチな部分を書き出す
- ステップ②現職では改善不可能なものをピックアップする
- ステップ③どんな転職先を選べば改善できるのかを考える
- ステップ④改善したうえでどのように働きたいかイメージする
- ステップ⑤志望企業で最も実現しやすいものを回答にする
- ライバルと差を付ける! 転職理由を答えるときに意識したい3つのこと
- ①転職理由はポジティブな表現に変換する
- ②数値などをふまえて具体的に伝える
- ③現状を改善するために何をしたかを伝える
- 最終確認を忘れずに! 転職理由完成前のチェックリスト
- チェック①志望動機と矛盾していない?
- チェック②事実と異なる内容になっていない?
- チェック③転職する原因を周りに押し付けていない?
- チェック④その転職理由は本当に転職しないと改善できない?
- 書類選考ではどう書く? 応募書類に転職理由を書くときのポイント
- PREP法を意識して簡潔にまとめる
- 客観的な事実だけをピックアップする
- 意欲のアピールにつながる転職理由を伝えて内定獲得へ前進しよう!
転職理由もアピールになる! 意欲を効果的に伝える例文をチェックして対策を固めよう
こんにちは。キャリアアドバイザーの今井です。
面接などで転職理由をどう伝えればいいのか悩んでいる人から、よくこんな相談をもらいます。
転職理由は面接でほぼ確実に聞かれるものですが、なかには答えづらい理由もあり回答に悩むときもありますよね。
答え方によっては面接官にマイナスなイメージを持たれてしまう可能性もあるこの転職理由ですが、ポイントを押さえることであなたの魅力のアピールにつなげることもできますよ。
この記事では、転職理由の答え方の例文から、転職理由を聞く企業の意図、回答のコツなどをキャリアアドバイザーのアドバイスを交えて解説します。一緒に転職理由の答え方を知り、上手にアピールにつなげて内定を勝ち取りましょう。
第二新卒ならではの転職理由の答え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしながら転職理由を考えてみてくださいね。
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そもそもなぜ聞かれる? 転職理由を聞く企業の4つの本音
そもそもなぜ企業は転職理由を聞くのでしょうか? 質問をする背景にはどのような意図があるのかをまず理解することが、対策の第一歩です。
企業の本音を知ることで、転職理由を答える際のコツや、意識するべきことが見えてきます。企業の本音を理解したうえで的を射た回答をするためにも、ここはしっかりチェックしてくださいね。
第二新卒に対する企業の不安の解消方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
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①「前の会社を辞めたのは何か問題があったから?」
- 前職を辞める決意をした理由ははっきりと伝える
- ネガティブな理由の場合は、それを反省したうえでどう入社後に活かすのかを伝える
前の企業を辞める背景には何があるのか? 前向きな理由なのか、何か問題があっての理由なのか? これから一緒に働いていく仲間を見極めるうえでは、この点は面接官としても確実に知っておきたいところです。
自己成長のためなど高い志を持ったうえでの転職なら受け入れやすいものの、問題を起こして辞めたといったネガティブな理由となると、企業側としてはやはり不安に感じてしまいます。
この不安を解消するためにも、企業はあなたに転職理由を聞きます。まずはしっかりとした目的意識があって辞めたことを伝えるのが大切ですよ。
本田 百合香
②「理由によっては早期離職の心配があるかも……」
- 目的意識を持った転職であることを伝える
- 長く働き続けていくビジョンがあることを伝える
企業としてもせっかく採用した人が早々に辞めてしまっては、大きな損失につながりますよね。そのような事態を避けるためにも、この質問を通して応募者が早いうちに辞めてしまわないか、しっかりと長く働き続けてくれる人材かどうかを見極めようとしていますよ。
もし仮に転職をした理由が「仕事がおもしろく感じられなくなったから」「仕事がうまくいかなかったから」では、入社後にすぐに辞めてしまったり、何かうまくいかないことがあれば簡単に逃げ出してしまう人と思われてしまう可能性があります。
もし転職理由がこのような例に当てはまるなら、嘘をつく必要はないものの伝え方は工夫する必要がありますよ。
松下 建都
どう伝えればいいのかについては、後で例文とあわせて解説します。ぜひチェックしてくださいね。
キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
転職理由が「仕事が楽しく感じられなくなった」といったマイナスな内容であったとしても、伝え方次第でカバーすることは可能です。
たとえば、学生時代の就活での業界研究が不足していたため入社後に違和感を感じた、実際に仕事をしていくうちに自分が想像していた仕事内容とのギャップを感じるようになったなど、なぜミスマッチが起きたのかを自分の言葉で説明できるとマイナスの印象にならずに済む可能性があります。その場合は、企業側の責任とするよりも、自分に反省点があったと振り返りができると良いですね。
挑戦したい分野があったものの、就活がうまくいかず早々にあきらめてしまったというような場合は、転職先を探すまでにどれほどの行動を重ねたかを伝えましょう。より興味を持てる業界を調べ上げて転職を考えたことが伝われば、前向きな理由として認められる可能性があります。
③「弊社で希望をかなえられるような転職理由なのかな」
- 志望企業ではどのように希望をかなえられるのかを伝える
- 志望企業でどんなことがしたいかを具体的に伝える
転職をするからには、前職に何らかの不満を持っていたり、そこではかなえられない希望があったことは企業も理解しています。あなたが抱える不満やかなえたい希望は入社後に実現できるのか? 企業としては、そこも気になるところです。
もしあなたの希望が入社後にかなえらえるようなものではなかった場合、あなた自身がミスマッチに悩まされながら働くことになってしまいます。そうすると生産性が下がってしまったり、仕事に対して意欲的になれない可能性がありますよね。
企業としても、あなたが仕事に対して前向きになれないことはデメリットになります。お互いのためにも、しっかりとあなたが希望をかなえられる環境で働いてもらうのがベストです。
米田 有希
企業が避けたいのは、採用したものの早期離職されてしまうことです。そんな事態を避けるためにも、あなたの希望が入社後にかなえられるものかどうかを入念にチェックしているのですよ。
④「そもそも入社後うまくやっていける?」
- 自分が企業にマッチした人材であるといえる根拠を伝える
- 自分の働き方や価値観と企業が求める人物像の共通点を伝える
転職理由によっては、企業が求めている人物像とかみ合わなかったり、企業の文化や風土にマッチしない人材と判断されてしまう場合があります。
たとえば、前職を辞めた理由が「個人主義の雰囲気が合わなかった」であるにもかかわらず、転職先の企業が個人の業績を重視し競争しながらお互いを高め合っていく風土である場合、そこでも同じような理由で悩むことになってしまいますよね。
企業が求める人物像と、あなたが求める企業像、この2つがマッチしているかどうかを判断するためにも、企業は転職理由を聞くのです。
本田 百合香
あなたがこれまでの仕事経験からどんな価値観を形成したのかや、その価値観と企業の間にある共通点を伝えることで、マッチ度の高さをアピールすることができますよ。
転職理由を伝えるなら意欲のアピールにつなげて印象アップを狙おう!
企業はさまざまな意図があって転職理由を質問します。これに「企業風土が合わなかったからです」「自分のしたいことができないと思ったからです」など、ただ事実を伝えるだけの回答や、否定的な回答をしては内定にはつながりません。
大切なのは、転職理由の回答を通し、志望企業でどんなふうに働きたいと思っているのかを伝えることです。「〇〇ができなかった」で終わりではなく「これからは〇〇がしたい」という意思表示に変えることで、あなたの意欲が伝わりますよ。
意欲を伝えれば、転職理由があなたの魅力のアピールになります。面接は限られた時間をフル活用してあなた自身の魅力を伝える場です。どんな質問もアピールにつなげる意識を持つことが、内定獲得への近道ですよ。
22の例文付きで解説! 意欲アピールにつながる転職理由の答え方
転職理由を意欲のアピールにつなげるといっても、実際にどんな回答をすれば良いのかわからない……。そんなときは、まず例文を見て回答イメージを膨らませてみましょう。
ここからは、実際に転職理由を意欲のアピールにつなげている回答例文を紹介していきます。転職の理由別にポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
①キャリアチェンジが目的の場合
転職の理由がキャリアチェンジにある場合は、転職理由を伝えつつ未経験の業界・職種に対する理解度もアピールしていきましょう。
キャリアチェンジをしようとしている人に対して、企業は「本当に仕事を理解しているのかな」「やってみたらイメージと違ったから辞めるなんて事態になる可能性はないかな」などの不安を抱きやすいものです。まずはこの不安を解消する必要がありますよ。
松下 建都
志望業界や職種への理解が深ければ深いほど、あなたがどれだけ本気でキャリアチェンジをしたいと考えているのかが伝わります。
まったく違う仕事にチャレンジしたい場合のOK・NG例文
私はこれまでアパレルの販売員として、ファッションを通してお客様の魅力のコーチングに力を注いできました。毎月の売上目標の数字を意識しながらも、お客様と楽しく会話をして過ごしてきました。
そんななか、先日旅行をした際に利用したホテルで普段私がおこなっている接客とは本質的に異なる「おもてなし接客」を体験し、その接客力に感動しました。
接客でここまで人を感動させられることを知ったからこそ、これから仕事をするうえでホテルのおもてなし接客を学び、お客様に特別な時間を満喫していただきたいという思いが強くなったため、転職を決断しました。
米田 有希
どのような理由で転職を決意したかがしっかりと伝わりますね。また、これから新しい仕事で何をしたいのかも明記されていて、話の内容に一貫性があります。
私は、ホテル業界の仕事に憧れを抱き転職を決意しました。
私は今までアパレルの販売員として働いてきました。来店されるお客様に商品の提案をしながら、商品の陳列、レジ対応、在庫管理などの業務をおこなってきました。
これまでの接客を通して鍛えたコミュニケーション能力を活かして、御社に貢献したいと考えております。
本田 百合香
ホテル業界への転職を希望した理由が明確になっていませんね。異業種への転職では、特になぜその業界を志望したのかを明らかにすることが大切ですよ。
同じ業界で職種を変えたい場合のOK・NG例文
私が退職を決意した理由は、ウェディングプランナーとなり、お客様に寄り添ったサポートをし、最高の1日を一緒に作り上げたいという学生のときからの目標をあきらめられなかったからです。
新卒採用の際は、私の行動不足もあり内定を頂くことができず、ジュエリーコーディネーターの道を選びましたが、接客を経験すればするほどもっとお客様と深くかかわりたいと思うことが多くなり、プランナーになりたいという思いが抑えられないほど強くなったため、転職を決意しました。
松下 建都
職種に対しての思いの強さが伝わり、さらにプランナーになって何をしたいのかも明確になっているので、しっかりと考えての決断なのだという熱意が伝わりますね。
私が退職を決意した理由は、ウェディングプランナーになって一生の思い出となる結婚式作りのお手伝いがしたいと思ったからです。
昨年の就職活動の際は、紆余曲折を経てジュエリーアドバイザーという仕事を選びましたが、お客様が来店されない時間帯があまりにも多く、また来店されても営業成績の良いほかのスタッフから接客に入っていくルールのため、お客様と接することも多くはありませんでした。
それにもかかわらず月間の売上目標が設定され未達成で終わることが多く、このまま続けることはできないと思い転職を決断しました。
米田 有希
プランナーになりたい理由でなく、現職が嫌な理由になっています。転職理由を話すときは、現職を経験したからこそ芽生えた新しい目標や感情を話すようにしましょう。
同じ職種で業界を変えたい場合のOK・NG例文
私はこれまで旅行カウンターの営業スタッフとして、ご来店されるお客様へ旅行プランの提案をしながら、旅行に出発されるまでのさまざまな手配業務やサポート業務を経験してきました。多くのお客様の旅のサポートを通し、提案力や情報収集力を向上させることができました。
一方で、旅行という特別なイベントのサポートを経験したことでもっとお客様のサポートを継続的に担いたいと思うようになりました。
そのため、私自身強い関心のある自動車の分野で身に付けたスキルや経験を活かし、お客様の一生涯のカーライフサポートがしたいと考え、転職を決意しました。
転職後は、1日でも早くカーディーラーの営業スタッフとなるべく学びに力を注ぎ、その後はお客様に新しいお車のご提案をしながら、カーライフサポートに尽力したいと考えております。
本田 百合香
前職で磨いたスキルがしっかりと伝えられていますね。新しく取り扱うジャンルについても、知識の無さをカバーする方法が明確で意識の高さも伝わってきます。
学生時代の私の趣味は、旅行とドライブだったため、これまでは旅行会社で働いてきました。旅行会社では、カウンタースタッフとして来店されたお客様の接客、各種手配などの業務を経験しました。
この経験を活かして仕事をしたいと考え、興味のあるカーディーラーを志望いたしました。今後はカーディーラーのスタッフとして、これまでと同様に来店されるお客様へ丁寧な対応と多様な選択肢の提案をし、御社に貢献したいと考えております。
松下 建都
転職者に求められる「即戦力」があるのかないのかが伝わらない内容になってしまっています。また、転職理由をもう少し掘り下げて説明する必要がありますね。
キャリアチェンジに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。キャリアチェンジを目指して転職をする場合は参考にしてみてくださいね。
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キャリアチェンジを考えているけど自分にはできるものなのか、そもそもキャリアチェンジって何? と疑問に思う人もいるでしょう。この記事では、専門家のアドバイスを交えてキャリアチェンジの意味やその方法、成功させるコツを解説しています。ここでキャリアチェンジ成功に向けての一歩を踏み出しましょう。
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②キャリアアップが目的の場合
「もっと大きな仕事ができる機会が欲しい」「もっと自分を高められる環境で働きたい」そんなキャリアアップを目指して転職をする場合は、転職理由にあわせて具体的にどんなキャリアを思い描いているのかを伝えましょう。
キャリアアップが目的の場合は、その意欲と行動力こそがアピールにつながります。キャリアビジョンを具体的に伝えることで意欲の裏付けにもなりますし、入社後のあなたの活躍にも期待してもらえる可能性が上がりますよ。
米田 有希
キャリアビジョンは、入社1年目、5年後、10年後など期限を決め、「いつまでに何がしたい」という具体的なイメージや、将来なっていたい人物像まで伝えるのがポイントです。
私には、「サービスのプロとなり、常にお客様に感動していただける接客をし、最終的には自分のファンを作る」という学生時代からの目標があります。
そのため、これまでは○○ホテルで接客の基礎を学びながらお客様に快適なホテルステイを楽しんで頂くために、自分にできることは何かを常に考えながら働いてきました。
しかし、働いているうちにもっと多くの経験を積んで成長し、感動していただける接客ができるホテリエとなるために、ホテル業界のなかでラグジュアリーブランドに位置する御社で働きたいと考え、転職を希望いたしました。
本田 百合香
キャリアアップした後のゴールが明確で、何を意識して仕事をしているのかがとても伝わり、転職してからも常に意識高く働いてくれそうだと期待感が持てますね。
私は、仕事をするうえで成長することにこだわり、これまでは〇〇ホテルで働いてきました。〇〇ホテルは、金曜、土曜と長期休暇の際には多くのお客様にご利用頂けますが、それ以外の際はお客様のご利用が少なく、経験を積むには不十分な環境でした。
同年代のなかで抜きんでた存在となるためには、御社のように常にお客様のご利用が多く、よりたくさんの経験が積める環境が必要だと考え、御社への転職を希望しました。
御社に入社後は様々なことに挑戦し、経験を積んで成長していきたいと考えております。
松下 建都
転職理由はもう少し前向きな表現に言い換えましょう。また「成長」は手段であって目的ではないため、成長して何を実現したいのかを明確にしてください。
キャリアビジョンの立て方は、こちらの記事で詳しく解説しています。なかなかキャリアビジョンが思い浮かばない人は参考にしてくださいね。
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③待遇に不満がある場合
- 転職理由:給料が低い・上がらない
- 具体的な影響:生活が苦しく、将来に不安があり目の前の仕事に集中できない
- 前向きな締めくくり:今後は生活に不安のない環境で、しっかりと仕事に向き合い全力を発揮したい
今の企業での待遇に不満がある場合には、満足な待遇を得られないことで具体的にどんな影響が出ているのかを伝えたうえで、仕事に対する前向きな姿勢に変換して伝えることが大切です。
たとえば、「給料が低い・上がらない」という理由から「生活が苦しく、将来に不安があり目の前の仕事に集中できない」などの具体的な影響に言及します。その後、「今後は生活に不安のない環境で、しっかりと仕事に向き合い全力を発揮したい」などの前向きな姿勢で締めくくるのが効果的ですよ。
米田 有希
待遇や労働条件に言及するなら、特に注意が必要です。場合によっては「高望みをしている」「お金のためだけに働いている」などの印象になりかねないので、慎重に言葉を選ぶことが大切ですよ。
私が転職を決断した理由は、待遇面、特に給与面を改善したいと考えたためです。
学生の頃から航空業界で働くことを目標とし、専門学校卒業後はグランドスタッフとしてお客様の旅のサポートに力を尽くしてきました。しかし、親元を離れ奨学金の返済をしながら一人暮らしを続けるには現在の待遇では困難を極め、生活が不安定になったことで余裕もなくなってしまい、仕事への意欲を保てなくなってしまいました。
そのため、転職をするうえでは待遇面もしっかりと考えて転職先を決め、お客様のサポートや私自身のキャリアアップにもより意欲的に取り組んでいきたいと考えております。
本田 百合香
待遇の悪さだけでなく、待遇の悪さが招いた結果も伝えられているので、理由に納得感がありますね。今後どのように働いていきたいかも示すことができている点が好印象です。
私が転職を決断した理由は、給与が低く生活が困窮しているなか、お客様のサポートに力を尽くすことができなくなってしまったためです。航空業界の待遇が良くないのは入社前から知っていましたが、それでも学生の頃からの夢でもあったので就職し、親元を離れ働き始めました。
ここまでは自分の生活を切り詰めながら何とか耐えてきましたが、最近は何のために働いているのかわからなくなってきてしまいました。今後は自分の生活を良くするために働きたいと考えるようになり、給与や賞与が高く、福利厚生なども良い企業で働きたいと考えております。
松下 建都
「自分の生活を良くするために働きたい」と言いきってしまうと、自分本意な転職のように受け取られてしまう可能性があります。待遇改善のうえ、どのように働きたいかにつなげましょう。
④評価制度に不満がある場合
- 転職理由:年功序列の評価制度に不満がある
- 具体的な影響:仕事で成果を出しても待遇に反映されなかったり、大きな仕事を任せてもらえず、モチベーションが上がらない
- 改善されることで考えられる影響:仕事へのモチベーションや意欲の向上
- 締めくくり:早いうちに経験を積むことでスキルアップして企業に貢献することができる
評価制度に不満を抱いて転職を決心した場合は、現職の評価制度のどこに問題があるのか、改善されることで自分自身にどんな良い影響があるのかを客観的な視点で伝えましょう。
たとえば、年功序列の文化があり仕事で成果を出しても待遇に反映されなかったり、大きな仕事を任せてもらえず、モチベーションが上がらないという問題が起きているとします。
これが改善されれば、大きな仕事を任せてもらい早いうちに経験を積むことで、スキルアップして企業に貢献することができ、かつ意欲的に仕事に取り組めるとまで伝えることで、効果的に意欲をアピールすることができますよ。
米田 有希
現職で具体的にどんな成果を出したのかまで伝えることができれば、印象アップを狙うことができます。アピールできることがあれば積極的に伝えていきましょう。
私が今回転職を決断した理由は、現在勤めている企業の評価制度が、自身の大切にしている軸とミスマッチを起こしていると感じたためです。
私は現在IT関連の企業で営業として従事しておりますが、4カ月連続で売上目標の110%を達成するなど目に見える形で成果を残しても、それが評価に反映されたことがありません。
しかし、エンジニア部門では何か新しいものを開発した時点で評価に反映されていることを知り、そういった環境の方がモチベーション高く働けるのではないかと考えるようになりました。
とくに御社は入社年度にかかわらず、実力主義の風土が根付いていると先日の面談でお伺いしました。自分のこれからのキャリアや待遇のことを鑑み、意欲を持って仕事ができる環境で働きたいと考え、御社への転職を決意いたしました。
本田 百合香
事実に基づいての理由であるため、納得感がありますね。自分の将来をしっかりと意識しているという堅実さも伝わり、好印象です。
私が今回転職を決断した理由は、私の頑張りが全く評価されない制度に不満を頂いたからです。
私は個人目標やチーム目標を達成することを常に意識し、朝は誰よりも早く出勤し、夜は誰よりも遅くまで残り業務に取り組んできました。にもかかわらずその部分が評価されず、逆に残業しすぎだと怒られることもありました。
このことから仕事に対するやる気を削がれてしまい、御社への転職を希望しております。御社へ入社後は、これまでと同様に目標達成に向けて全力で取り組んで参ります。
松下 建都
この文章での「私の頑張り」の具体例が早朝の出勤と残業のみとなっているため、不当性について共感が得にくいですね。より客観的にイメージできるよう、定量的な表現を加えましょう。
⑤業務量が多すぎる場合
- 転職理由:月の残業時間が50時間を超えるのが当たり前になっている
- 具体的な影響:仕事へのモチベーションが上がらない
- 改善されることで考えられる影響:適切な業務量のなか効率を重視した働き方ができる
転職理由が「業務量が多すぎる」の場合は、客観的に見ても多すぎるといえる根拠を提示したうえで、労働時間が長いことによる悪影響を伝えましょう。
たとえば最初から業務時間内に終えられるはずのない業務量を任されてしまい、月の残業時間が50時間を超えるのが当たり前になってしまっているとします。そのような状況では、仕事へのモチベーションが上がらず、プライベートともメリハリをつけることができませんよね。
そこで、「志望企業に入社後は力量に見合った範囲の仕事を任せてもらえる環境で、業務時間内にしっかりと仕事を終わらせるため、効率を重視した働き方がしたい」というふうに締めくくることで、今後の仕事との向き合い方をアピールすることができますよ。
米田 有希
具体的に週何時間残業していたのかなど、客観的に見ても共感できるような根拠を伝えましょう。
私は、自分のスキルを高め続けながら社会に貢献する仕事に就きたいという思いから、コンサルタントの仕事を選びました。
入社後は朝の9時から夜の23時まで仕事に没頭し、ときには一週間休みなく働く生活を過ごしてきました。しかし、食欲がなくなったり体調を崩すことが増えたため、今の生活や仕事に対して疑問を抱くようになりました。
これからは仕事もプライベートもバランスよく楽しみたい、ワークライフバランスを保てる仕事に就いてもっとモチベーション高く働きたいと思い転職先を探していたところ、社員の働きやすさを第一に掲げている御社に出会い、面談を重ねるうちに「ここでなら理想のキャリアを描いていける」と確信し、今回転職を決意しました。
本田 百合香
今の仕事を否定することなく、自分の価値観の変化から転職という決断にいたったと伝えられている点がとても良いですね。
私は、現在コンサルタントとしてクライアント企業の課題解決のサポートの仕事をしております。
課題解決するためには多くの時間と労力が必要となり、毎日残業することが当たり前となっています。また、必要であれば休日でもお客様との商談が入ることもあり、業務時間内で終わる業務量ではありません。
この業務量をこなさなければいけないことに嫌気がさしたため、今回転職を希望しました。
松下 建都
「残業することに嫌気がさした」という感情的な要素だけが転職理由となってしまっているので、この働き方をしていて仕事にどんな悪影響が出たのかまで伝えましょう。
キャリアアドバイザーコメント松下 建都プロフィールをみる
現在の職場の状況を客観視することができていれば、仕事量が適切ではないことを具体的に面接の担当者に説明できます。
たとえば、「自分以外の人も残業が常態化していた」「人材の定着率が悪く職場の業務に精通したベテラン社員がいないため、効率的に業務がさばけていない」「若手が極端に少ないため、自分にすべての雑務が回ってきた」などです。
業務量に関する問題点を把握していたなら、改善を試みたが職場の体制を変えることができなかったなどのエピソードも添えられると、より良いアピールになりますよ。
⑥社風が合わない場合
社風が合わないことが転職理由の場合は、ではどんな社風の企業を理想としているのか、自分自身に問いかけ明確にしておくことが大切です。
社風に関しては、あなたの希望と一致するかどうかが事前にわかる部分ですよね。部署によって違いがありますが、面接官が現場で働いている人であれば面接の際に聞いてみましょう。
企業研究の時点でわからなかった点に関しては、面接の場でしっかりと確認することが大切です。もしあなたが企業にマッチする人材なら、どんな点がマッチしているのかをアピールすることも忘れないでくださいね。
米田 有希
あなたに合う社風かどうかは、今後働いていくうえでのモチベーションにかかわる重要な部分です。しっかりと確認しておきましょう。
私が転職を決断した理由は、現在勤めている企業の社風に強い違和感を感じているためです。
現在の職場では、仕事は結果よりも献身度で評価される社風があり、頑張って仕事を終わらせて定時で帰社するよりも、残業したり休日出勤している人の方が貢献度が高く頑張っていると評価される傾向にあります。
仕事に関しては何も不満はないのですが、日常的に仕事をしているなかで社風が合わずに業務意欲の低下にも繋がってしまうと感じ、転職することを決断しました。
御社は成果をしっかりと評価し、社員が意欲的に仕事に取り組める制度設計に力を入れていると以前面談の際に伺いました。まさに自身が求めている環境が御社であると確信し、この度転職を決意しました。
本田 百合香
企業の社風を外部の人に伝える際は、具体的な事例を示して説得力を持たせましょう。上記ではどのような社風を求めるのかも伝えることができており、好印象につながりますね。
私が現在勤めている企業には、理解しがたい社風がいくつもあります。そういった社風に理解を示さなかったために、「空気が読めない奴」とか「自分勝手な奴」と悪評を流されることがあったり、上司からイジメのような扱いを受ける事もありました。
このような状況下で仕事に集中することができなくなり、売上や契約などの実績も悪くなってしまったため、今の企業で働き続けることはできないと感じ、転職を決断しました。
松下 建都
「理解しがたい社風」の具体例がないため、正当な不満なのかがわかりません。どのような社風の企業で働いていたのか、今後はどのような企業で働きたいのかまで言及しましょう。
⑦人間関係にストレスを抱えている場合
人間関係のストレスが転職理由の場合は、客観的な事実だけを伝えましょう。場合によっては周りに問題があったのではなく、あなたに協調性がなかったと判断される可能性があるため、事実であっても現職に対して否定的な意見を言わないことが大切です。
たとえば社内に派閥があり空気が悪いことがストレスにつながっていた場合、「チーム全体で協力をする空気が醸成されていなかった」などのように言い換えると、客観的に見た事実として伝えることができます。
そのうえで、次はどのような環境で働きたいかを伝えましょう。仕事に対して前向きな姿勢や、意欲のアピールになります。
米田 有希
「まったくの無関係である第三者から見た意見」ということを意識すると、客観的に事実を伝えられますよ。
私は職場での雰囲気が合わないことを感じ、前職を退職いたしました。
気軽に意見ができないことから職場内のコミュニケーションが円滑にいかず、摩擦が生じてしまうこともありました。上司との相性もあまり良くなく、自分のアイデアを自由に発信することが難しい状況でした。
これからは自分のなかにある意見を自ら進んで発信し、アイディアを形にできる環境で働きたいと思っております。
また、前職で人間関係をうまく築くことができなかったのは私自身が報連相を徹底できなかったのにも原因があると考え、今後は密なコミュニケーションを取りながら仕事をしていきたいと思っております。
御社は社内の風通しの良さを一番の魅力であると発信されており、実際に以前社内見学をさせていただいた際にも、多くの方が和気あいあいと仕事をされており、誰もが働きやすい環境作りに力を入れていると実感しております。御社こそ自身が求めている環境であると確信し、この度転職を希望いたしました。
本田 百合香
転職を決意した理由が職場での成功に向けた前向きな理由であることが伝わりますね。人間関係が理由であっても、ネガティブに受け止められないようポジティブに言い換えることが大切です。
私は、人間関係の悪化が原因で退職を決めました。
職場内の雰囲気が良くないことで、アイデアが浮かんでも積極的に意見交換をしたり、疑問があっても気軽に相談することが難しい状況でした。上司との関係も良好ではなく、会議などの場で自分の意見が十分に尊重されないと感じていました。
今の上司と一緒に働くのが嫌で、ストレスが積み重なってしまい、退職を選択しました。また、やる気を失ってしまったため、自分らしさを出していくことができませんでした。協調性のある良いチームであれば、もっとやりがいを感じ活躍することができたと思っております。
これからは、自分自身の成長を大切にし、より自分に合った環境で挑戦をしたいと考えています。
松下 建都
転職理由が「職場環境のせいで、自分の良さを出すことができなかった」というネガティブな印象となってしまいます。転職理由を前職への不満として伝えることは避けましょう。
⑧現職の将来性が不安な場合
- 自分から見た業界や市場の動きを伝える
- それをふまえ今の企業のどんな点に不安を感じたのかを具体的に伝える
- 現状を改善するために行動したことを伝える
現職の将来性に不安を感じて転職を決意した場合は、アピールのチャンスです。あなたの鋭い視点や世間の動きをキャッチする力は、どのような業界でも活かせる強みになりますよ。
あなたから見た市場の動きはどうなのか、それをふまえて今の企業のどのような点に不安を感じたのかを具体的に伝えましょう。そのうえで、現状を改善するために少しでも働きかけたことを伝えられれば大きなアピールになります。
米田 有希
課題をいち早く発見し改善に向けて動くことのできる行動力は、あなたの大きな魅力です。積極的にアピールしましょう。
私は現職の将来性に対して不安を感じ、退職いたしました。
現在勤めている会社が取り扱う金融商品の市場は年々規模も縮小傾向にあり、長期的に働くことは困難であると考えています。今後の展望が明確に望めない状況では、キャリアが限られてしまうと感じました。
御社は食品業界のなかでもトップシェアを獲得し、特に業績を伸ばし続けていている、まさにトップランナーであるかと思います。前職で培った金融知識を活かして貢献しつつ、業界への影響力の大きい御社で働くことを通じて、食品業界全体の成長に貢献していきたいと考えております。
新たな業界での挑戦になりますが、一日でも早く組織の成長に貢献するため努力いたします。これまでの経験を活かし、スキルをさらに高めていきたいと考えています。
本田 百合香
今の企業に感じている問題を冷静に見極め、希望をかなえるためにすぐに行動に移す力がアピールできていますね。納得感のある退職理由になっています。
私は現在の職場において将来性が乏しいと感じ、退職いたしました。
組織の成長戦略やビジョンに対する明確な展望が欠けていたため、今後のキャリアに対する希望が持てなくなりました。
入社当初は一つの業界で長く働きたいという思いがありましたが、このように組織の発展性が感じられない職場では、組織に貢献する意欲や、業務に対するモチベーションも低下していまいます。
次の職場では、より明確なビジョンを持ち、積極的にチャレンジできる環境で活躍して参りたいと考えています。
松下 建都
「モチベーションが下がってしまった」という退職理由は、マイナスイメージにつながります。退職理由を説明する際は前向きな言葉を強調し、転職先での成功に向けた意欲を示しましょう。
⑨プライベートの都合での転職の場合
家族の介護をしながら働くことになった、パートナーの転勤にともない引越しをすることになったなど、私生活の都合が原因で転職することになった場合は、事実をそのまま伝えましょう。
ただ、その事実を伝えただけでは意欲のアピールにつなげることができないので、そのうえで「なぜ志望企業を選んだのか」を伝えることが大切です。
たとえば前職のスキルを活かせたり、スキルアップを目指せる企業を選んだなど、+αの理由をアピールするのがおすすめですよ。
米田 有希
勤務地や勤務時間帯などの都合が第一だとしても、そこからさらに企業を絞り込むためにあなたが重視した点はあったはずです。それを仕事に対する意欲としてしっかりと伝えましょう。
私は家族の介護をすることになり、前職のままでは仕事との両立が難しくなってしまうため転職を決意いたしました。前職では、こうした状況に柔軟に対応することが難しく、家庭との両立ができませんでした。
御社では、介護をしている従業員をサポートする制度が充実しており、家族をサポートしながら働き続けることのできる環境が整っています。この環境であれば私自身もしっかりと仕事とプライベートの時間にメリハリをつけ、常に質の高い仕事ができると思っております。
御社に入社後は、家庭とのバランスを取りながらこれまでの経験とスキルを活かし、御社に貢献いたします。
本田 百合香
退職理由が家庭の都合である場合、具体的に説明する必要はありません。退職理由を端的に説明しつつ、働く意欲のある姿勢を見せることが大切です。
前職の退職理由は、24時間家族の介護をする必要があったため、仕事との両立が無理になってしまったからです。
本当は続けたかった仕事でしたが、家庭を優先せざるを得ない状況で、仕事に集中できなくなってしまいました。
退職後は介護に専念しておりましたが、そろそろ働かないと収入面が不安になってしまいました。まだあまりサポート環境は安定していませんが、頑張りたいと思っています。
松下 建都
この回答では「またすぐに働けなくなってしまうかも」と企業に不安視されかねません。今は問題なく働くことができることを伝えましょう。
「御社じゃなきゃダメ」を伝えよう! 意欲の高さを押し出す転職理由の考え方5ステップ
転職理由を入社意欲としてアピールするには、考え方にも工夫が必要です。「なぜ転職を決意したのか」をあなたのなかで整理しながら、熱意を効果的に伝えられる転職理由を作成するのがコツですよ。
ここからは、入社意欲の高さを押し出すことのできる転職理由の作成方法5ステップを解説していきます。
ステップ①現職に感じるミスマッチな部分を書き出す
まずはあなたが現職の何に不満を感じているのか、理想と最も大きなギャップを感じている点がどこなのかを明らかにしましょう。
現職に対して「ここが自分に合わないかも」「ここにストレスを感じる」と思う点を書き出してみてください。
米田 有希
頭のなかにある考えを書き出してみることで、情報を整理しやすくなります。思い当たる点があればすべて書き出すことを意識してみてくださいね。
- 働いていてストレスを感じる瞬間はいつ?
- 現職のどこが自分に合わないと感じる?
ステップ②現職では改善不可能なものをピックアップする
あなたが現職に対して感じているミスマッチな点を書き出すことができたら、次は現職で働いている限り絶対に改善の見込みがないと思えるものをピックアップしてみましょう。
たとえば業務内容であれば部署異動などで解決する可能性がありますが、社風や人間関係はあなた個人の努力ではどうにもできない場合が多いですよね。
本田 百合香
転職を決意する前に、改善のため自ら考え行動したのか? この点は大切なポイントです。面接でも「それを解決するために何をしましたか?」と聞かれる可能性があることは覚えておきましょう。
- 改善に向けてできる努力・実際にした努力はあるか
- どうしても現職では改善不可能なのか
ステップ③どんな転職先を選べば改善できるのかを考える
現職で改善不可能な問題点がピックアップできたら、次は具体的にどんな環境なら解決できるのかを考えてみましょう。
業務量の多さを解決したいなら月の平均残業時間が10時間未満の企業を探したり、自分に合った社風の企業を探したいなら募集要項や社員のインタビュー、社長挨拶などから「求める人物像」のヒントを得る、SNSから大まかな企業の雰囲気を確認するなどの方法もありますよ。
松下 建都
会社の口コミサイトやSNSの公式アカウントなど、情報収集の手段はさまざまです。積極的に活用して可能な限り事前に情報を仕入れておくことが、希望の転職先を見つけるための第一歩ですよ。
- 企業の採用ページ
- 会社の口コミサイト
- SNSの公式アカウント
- 社員が書いているブログ
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
事前に人間関係を知ることができたら、ミスマッチを避けられますよね。転職前に調べるには、企業の「先輩社員の声」などで職場の人間関係について語られている部分をチェックすることがおすすめです。
また求人情報では平均年齢や男女比、平均勤続年数といった基本的な企業情報を見ることができるので、忘れずに確認しましょう。たとえば勤続年数が短すぎる職場は人の入れ替わりが多く、落ち着かない可能性がありますよ。
また、面接のときなどに職場見学が可能であれば、社員の年齢層や会話の雰囲気をチェックしてみましょう。生の声を聞くには先輩社員と話す場を設けてもらうのが一番ですが、難しい場合は就職エージェントの担当者から社内の雰囲気について情報が得られないか確認してみるのもおすすめです。
ステップ④改善したうえでどのように働きたいかイメージする
- 入社後に働くうえでの目標が立てやすくなる
- 志望動機やキャリアビジョンに説得力を持たせやすくなる
どんな企業を選べばあなたの希望がかなえられるのか? その企業像が明確になったら、次はその企業でどのように働きたいかを想像してみてください。
今抱えている悩みを解決できたときどのように働くことができるのか、どのようにステップアップができるのかを考えてみましょう。
松下 建都
「なりたい自分」のイメージを明確にすれば、目標が立てやすくなります。面接で志望動機やキャリアビジョンを聞かれたときにも、オリジナリティのある回答につなげることができますよ。
ステップ⑤志望企業で最も実現しやすいものを回答にする
- 課題が複数ある:志望企業で最も実現しやすく、アピールにつなげやすいものを伝える
- 1つに絞っている:解決したい課題を軸に企業選びをする
転職先で解決したい課題を整理した結果、いくつか思い当たるものが出てくることもありますよね。複数の解決したいものがあるなら、志望企業で最も実現しやすいものを厳選して回答しましょう。
面接では、自分がどれだけ企業に対しマッチする人材かをアピールする必要があります。そのためにも、転職理由は志望企業で最も解決しやすいものに絞って伝えるのが効果的ですよ。
本田 百合香
もし解決したい課題を1つに絞ることができているなら、それを軸として企業選びをするのが効率的ですね。
ライバルと差を付ける! 転職理由を答えるときに意識したい3つのこと
志望企業へのアピールにつながる転職理由を作成できたら、次はそれを最も効果的に伝える方法を身に付けましょう。
せっかく魅力的な転職理由を考えることができたなら、それをアピールとして最大限に活用したいです。ここからは、ライバルと差が付く転職理由の回答法について解説していきます。
①転職理由はポジティブな表現に変換する
転職理由を伝える場合、大切なのは転職にいたった理由をポジティブに変換することです。ただ「〇〇ができなかったから転職する」ではなく、「これからは〇〇をしたいと思ったから転職する」というふうに、仕事に対して前向きに取り組む意欲を伝えましょう。
また、人間関係に問題があった、社風が合わなかったなど、ネガティブな転職理由を伝えるときは、「自分にも責任があるもの」ととらえて反省し、それを学びとして今後に活かしていく姿勢をアピールすることも忘れないでくださいね。
米田 有希
「〇〇がしたい」と常に明確な意欲を持って行動ができる人材は、どんな企業からも求められるものです。これも大切なアピールの一つなので、ポジティブ変換は忘れずにしましょう。
②数値などをふまえて具体的に伝える
残業時間の多さや評価制度への不満が理由で転職を決意した時、それを客観的に判断できるような指標がなければ「自分勝手なのかも」「単純に実力が足りていないだけなのでは」と不安を抱かれてしまう可能性があります。
あなたの転職理由の根拠が正当なものであるとを理解してもらうには、問題点を具体的な数値などをふまえて伝えることが大切です。
たとえば毎月50時間以上の残業を続けていた、月間売上目標に対し120%の成果を出したのに評価をしてもらえなかったなど、事実を客観的に伝えることを意識してみてください。
本田 百合香
客観的な事実を伝えることは、あなたが抱える不満に説得力を持たせるだけでなく、アピールにつながることもありますよ。
③現状を改善するために何をしたかを伝える
第二新卒での転職など、入社してからすぐの転職の場合は、転職理由の伝え方によっては「現状に不満を感じたらすぐに仕事を辞めてしまうかも」と不安を抱かれてしまう可能性があります。
この事態を避けるために、あくまで現状を改善するための取り組みをした、もしくはできることがないか試行錯誤をしたうえでの転職であるということは伝えておきましょう。
面接官によってはここを深掘りされる場合もあるので、面接で答える転職理由を決める際には「この課題に対して何かアクションを起こしたか」という点も考えておけると良いですね。
また、本当は転職をしなくても悩みを改善する術があるのに、その選択肢を知らないまま転職をすることで思わぬミスマッチにつながってしまう可能性もありますよ。
松下 建都
課題に対してすぐに行動を起こすことができる人は、どの企業であっても重宝されるものです。この点もアピールとして活かすのが良いですよ。
最終確認を忘れずに! 転職理由完成前のチェックリスト
転職理由をしっかりとアピールにつなげるためには、完成した転職理由の最終チェックも怠ってはいけません。
面接の場で踏み込んだ質問をされて言葉に詰まってしまうと、マイナスな印象になってしまう場合もあります。企業に伝える転職理由が完成したと思ったら、まずここで解説しているチェックリストを使って隙のない転職理由にできているかどうかを確認しましょう。
チェック①志望動機と矛盾していない?
- 転職理由と志望動機に一貫性があるか
- 転職理由と志望動機が正反対のものになっていないか
転職理由を志望動機と切り離して考えてしまうと、矛盾が生じてしまう可能性があります。
たとえば、現職で個人主義な社風が合わないと感じていたのに、志望動機で個人成績を伸ばして活躍したいと伝えては面接官もどちらが本音なのかわからなくなってしまいますよね。
米田 有希
転職理由と志望動機は、リンクしたものになっていた方が説得力が増します。矛盾していないか、しっかりと関連性のある内容にできているかは忘れずに確認しましょう。
チェック②事実と異なる内容になっていない?
- 実際と異なる数値を書いてしまっていないか
- 時系列に違和感はないか
- 事実よりも良い結果にして書いていないか
これまでの内容でたくさんのアピール方法を解説してきたとおり、転職理由はアピールにつながるものです。とはいえ、事実と異なることを伝えてしまうのは避ける必要があります。
転職活動においては、転職理由は特に深掘りされやすいものです。どこかでほころびが出て事実でないことが知れてしまうと、大きなイメージダウンにつながる可能性がありますよ。
松下 建都
転職理由をアピールにつなげる工夫をしているうちに、無意識に事実でない内容になってしまっている可能性もあります。最終チェックはしっかりとしておきましょうね。
キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
自分を良く見せたいと思うあまり、転職理由を述べる際に嘘や大げさな表現を使うことがないよう気をつけましょう。これまで数多くの面接をしてきた面接官なら、表情や声の調子から嘘を見抜いてしまう可能性があります。
仮に面接の際に見抜けないまま内定をもらった場合、事実と異なる理由や誇張した実績に基づいた評価を受けて身の丈に合わない期待を背負ってしまい、後から自分が苦しむ可能性もあります。転職先で気持ち良く働くためにも、転職理由を事実と異なる内容にすることは避けましょう。
チェック③転職する原因を周りに押し付けていない?
- 転職理由に「学び」の部分は含まれているか
- 現職を否定するような内容が含まれていないか
転職理由は多かれ少なかれ不満を含んでいるものですが、その責任を周囲に押し付けるような内容になってしまっていないかはしっかりと確認してくださいね。
もちろんあなたに非がない場合もあると思います。けれど、重視すべきは「事実をそのまま伝えているか」と同時に「自分自身は問題に対してどう向き合ったのか」です。この点は、面接官もあなたの人柄や物事への向き合い方を見極めるうえで注目していますよ。
米田 有希
「自分が悪かった」と卑屈になるのではなく、「その出来事から何を学んだのか」を伝える意識を持って確認してみてくださいね。
チェック④その転職理由は本当に転職しないと改善できない?
- 現職で改善できる余地はないか
- 改善できないとする根拠は言えるか
転職理由が現職でも解決できそうなものでは、企業側に「どうしてわざわざ転職するんだろう」と不安を抱かれてしまう可能性があります。
本当に転職以外に解決できる見込みのない問題だったのかは、転職理由が完成したときに改めて確認しておきましょう。
松下 建都
この点に対して踏み込んだ質問をされる場合もあります。そこで自信を持って「御社に転職しなければ希望はかなえられません」と伝えるためにも、今一度しっかりとチェックしておきましょう。
書類選考ではどう書く? 応募書類に転職理由を書くときのポイント
企業によっては、書類選考の時点で転職理由に関する設問を用意している場合があります。ここでイメージダウンしてしまえば、そもそも面接のステップに進むことができなくなる可能性がありますよ。
書類選考の時点で問題ないと思ってもらえるような転職理由にするために、ここからは書類選考で転職理由を書くときのポイントを解説していきます。
PREP法を意識して簡潔にまとめる
書類選考の場合、文字数に指定があったり、記入欄があまり大きくない可能性があります。情報を整理してわかりやすく簡潔にしなければ、重要なポイントが伝わらなかったり、読みにくくなってしまう可能性がありますよ。
ここで役立つのがPREP法です。結論→理由→具体例→結論の順に説明することで、正確に内容を伝えることができるテクニックを指します。読み手にもストレスなく重要な点をしっかりと伝えられるので、このPREP法を意識して内容を簡潔にまとめましょう。
米田 有希
情報を整理して相手に伝える力は、仕事ではどんな局面でも活かせるものです。逆に言えば、これがしっかりとできていないと「採用して大丈夫かな」と不安に思われる可能性もありますよ。
- 結論:私の転職理由はキャリアアップをすることです
- 理由:前職ではキャリアの築き方が限られており、思うようなスキルを積むのが難しいと言われたため、転職を考えるようになりました
- 具体例:具体的には、私が前職で培ったITスキルを開発分野にも活かしていきたいと思っています
- 結論:そのため、多様なキャリアの積み方を実現できる御社で経験を積みながら自分の力を発揮していきたいです
客観的な事実だけをピックアップする
書類選考の時点では、企業の内情やあなた自身の心境など、細かな点に触れて書くことは難しい可能性があります。そのため、客観的な事実だけをピックアップして記入するのがおすすめです。
また、現職を批判するような内容を書いてしまうと「努力ができない人なのかも」「自分勝手なのかも」と書類選考の時点で評価が下がってしまう可能性があります。第三者の目線を持って事実を伝える意識をしてみましょう。
本田 百合香
当時のあなたの意識や仕事に対する姿勢は、しっかりと面接の場でアピールしましょう。まずはあなた自身に興味を持ってもらうために、客観的な事実を簡潔に伝えることが大切です。
キャリアアドバイザーコメント松下 建都プロフィールをみる
書類選考で転職理由を相手に伝える際意識すべきポイントは、客観的な事実や数値を使い自分のスキルや経験をわかりやすく表現し、企業が求める人材の要件を充分に満たしていることを伝えられているかどうかです。
それを意識したうえで、熱意や人柄をアピールする工夫をしましょう。同じようなスキルや経験を持つほかの応募者と差を付けるには、なぜ転職してまでその企業で働きたいのかという思いや、自分がその企業の一員になることでどのような役割を果たせるかなどの、スキルや経験値だけではない部分を表現することが大切です。
意欲のアピールにつながる転職理由を伝えて内定獲得へ前進しよう!
ここまで、転職理由の例文や意欲のアピールにつなげる方法、面接の場での答え方や書類選考で記載する場合のポイントなどについて解説してきました。
転職理由は、転職活動においてほぼ必ず聞かれる対策必須な質問項目です。面接官もこの質問に対する返答を重視しています。だからこそ、あなたの入社意欲や熱意をアピールするチャンスになりますよ。
一緒に転職理由の例文をふまえてアピールにつながる転職理由の伝え方を知り、希望のキャリア実現に向けて一歩駒を進めましょう。
仮に何らかの問題を起こして退職をしていた場合は、心から反省していることをしっかりと伝えましょう。問題を真摯に受け止めて学びに変えようとする姿勢を評価してくれる企業は必ずあります。