目次
- 異業種転職に対して企業が抱く不安をしれば行動指針が見えてくる!
- まずは中身をチェック! 「異業種転職」と呼ばれる2つのパターン
- ①職種は変えずに業種を変える転職
- ②業種も職種も変える転職
- 異業種転職について押さえておきたい3つの基礎知識
- 転職者の約7割が異業種転職をしている
- 人手不足の影響もあり異業種転職には追い風が吹いてる
- 年齢によって就職の難易度は変わってくる
- 年齢別で解説! 異業種転職で求められるスキルとアピールポイント
- ①20代前半:ポテンシャルをアピール
- ②20代後半:一定の経験やスキルをアピール
- ③30代:専門的なスキルをアピール
- 企業が抱く「異業種転職」への懸念を一つずつ解消することが成功への近道!
- 異業種転職で企業が抱きやすい5つの懸念とその解消法
- ①「なぜ異業種の転職を決意したのだろう?」
- ②「なんで〇〇業界を選んだのかな?」
- ③「新しい業種で活かせる強みはあるかな?」
- ④「入社後の業務についていけるかな?」
- ⑤「求める人材にマッチしているかな?」
- 3ステップで解説! 異業種への転職はこの流れで進めよう
- ①異業種の転職を目指そうと思ったきっかけや理由を整理する
- ②整理した理由をもとに仕事への熱意が伝わる応募書類を作成する
- ③異業種転職で聞かれやすい質問対策を進める
- 異業種からの転職が狙いやすい業界・職種7選
- ①IT業界
- ②福祉業界
- ③建設業界
- ④小売業界
- ⑤Web系職種
- ⑥営業職
- ⑦事務職
- 事前に知っておこう! 異業種の転職で気を付けておきたいポイント
- 前職の仕事の進め方にこだわりすぎない
- 年収や待遇が下がる可能性もある
- 企業が抱く不安を払拭して異業種転職を成功させよう!
異業種転職に対して企業が抱く不安をしれば行動指針が見えてくる!
こんにちは、キャリアアドバイザーの今井です。
異業種に転職しようと考えている人から、よくこんな相談を受けることがあります。
異業種の転職は知らない世界に飛び込むようなものです。何をすればいいのか、どうしたらいいのか、悩むことはたくさんありますよね。
異業種への転職を成功させるには、企業が抱く異業種から転職してくる求職者へ抱く懸念えを一つひとつを解消し、新しい環境にも適応できるというアピールが大切ですよ。
この記事では、異業種転職で使えるアピールポイントや企業が抱きやすい懸念、その解消法などについて解説していきます。着実に選考対策を進めて、内定まで一直線に進んでいきましょう。
まずは中身をチェック! 「異業種転職」と呼ばれる2つのパターン
実は、異業種転職とひとくくりにいっても、過去に職種は経験したことがある場合はまた対策が変わってくるなど、細かく整理することで行動指針が見えてくるようになりますよ。
ここからはそういった異業種転職の2つのパターンについて解説していきます。どちらのパターンなのかによって転職活動を進めていくうえでの対策方法も変わってくるので、ここでしっかりとチェックしてくださいね。
①職種は変えずに業種を変える転職
異業種転職と聞くと、まったく新しい道に進むイメージを持つかもしれませんね。ただ、異業種転職には、職種を変えずに業種だけを変える転職というパターンがあります。
たとえば、IT業界で働くエンジニアから金融業界で働くエンジニアへと転職する、というイメージです。このケースならまったく新しい知識やスキルを習得するわけではないですよね。
エンジニアとしての経験を活かしながら業界に関する知識だけを習得すればいいので、経験のない業界でもスキルや経験を活かして活躍しやすいですよ。
本田 百合香
②業種も職種も変える転職
もう一つのパターンは、業種も職種も変える完全未経験の転職です。たとえば、IT業界のエンジニアから小売業界の販売員へと転職する、というイメージです。
これまでのキャリアを一新してまで新しい領域に挑むことになるので、入念な対策が必要となります。今までの経験がまったく活かせないわけではないですが、ほぼ一から知識やスキルを習得する必要になることも覚えておきましょう。
松下 建都
未経験の転職ということもあり、年収や待遇は下がりやすい傾向にあります。ただ環境がガラッと変わることでより自分にマッチした仕事に出会えたり、いま以上にモチベーション高く仕事に取り組めるようになる可能性もありますよ。
未経験の転職についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。未経験の志望動機の書き方について紹介しています。
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異業種転職について押さえておきたい3つの基礎知識
異業種転職を進めていくにあたって「転職市場はどうなっているのか」「どのくらいの人が異業種転職を目指しているのか」などは気になる点ですよね。
ここからは、異業種転職について押さえておきたい基礎知識について解説していきます。選考対策を進める前に、異業種転職の現状がどうなっているのかをチェックしていきましょう。
転職者の約7割が異業種転職をしている
株式会社リクルートが2009年度~2020年度の中途採用市場の変化についてまとめ、2021年に発表した10年間で起きた中途採用市場の構造変化によると、2020年度は約7割が異業種への転職をしているという結果が出ています。
データを見るとわかる通り、異業種の転職は珍しいことではありません。むしろ、転職する人の多くは自分が活躍できる環境を求めて、異業種への転職をおこなっているのです。
米田 有希
データを細かく見ると、転職が決定した人の転職先は「異業種・異職種」が特に多いことがわかりますね。環境をガラリと変える決断をする人も多くいるわけです。
人手不足の影響もあり異業種転職には追い風が吹いてる
日本では少子高齢化による人手不足が深刻な問題となっています。厚生労働省が、労働経済の変化の方向や当面の問題などを調査する目的で実施している労働経済動向調査(令和年5年2月)の概況によると、調査開始時の平成23年から人手不足が続いているとの結果が出ています。
一見ネガティブに感じる人手不足の問題ですが、逆を言えば各企業は働いてくれる人を求めているということです。異業種への転職を狙っているなら、チャンスな状況だともいえますよ。
本田 百合香
特に人手不足が深刻化している「医療、福祉」「建設業」「運輸業、郵便業」などは、異業種からでも転職を目指しやすい業種だといえそうですね。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
意外にも異業種への転職は決して珍しいことではありません。その理由としては、近年の働き方改革や各業界が抱える高齢化問題による若手人材の不足などが挙げられます。人材不足を慢性的に抱える業界がある一方で、技術の発達やAI(人工知能)の出現など、仕事の幅は広がってきています。そのようなさまざまな背景が重なり、異業種の転職も一般的になってきているのです。
だからこそ「異業種転職を考えているのはもしかして自分だけでは?」と不安を感じる必要はありませんよ。異業種も同職種への転職もぜひ検討してみてください。職業の選択肢は広げ、あなたの自身の未来の可能性を広げるきっかけにしていきましょう。
年齢によって就職の難易度は変わってくる
異業種への転職はチャンスだと言いますが、年齢によっては転職の難易度が高くなってしまうケースもあります。
たとえば、先ほど解説したリクルートによる10年間で起きた中途採用市場の構造変化の調査データによると、異業種への転職は「20~24歳」で8割近いのに対し、「40歳以上」では6割程度に落ち込みます。
若い20代ではスキルや経験よりも入社後のポテンシャルが見られるのに対して、年齢を重ねれば重ねるほどスキルや経験を重要視する傾向にあるのがデータからもわかりますね。
松下 建都
異業種へ転職するのであれば、動き出しは早い方が有利になりやすいことは覚えておきましょう。
年齢別で解説! 異業種転職で求められるスキルとアピールポイント
異業種への転職を目指すうえで年齢は重要な要素の一つです。年齢が若ければ経験よりもポテンシャルを評価されやすいですが、年齢を重ねるほどそれまでの経験や鍛えてきたスキルがより重要視されるようになりますよ。
ここからは年齢ごとの異業種転職で求められるスキルとアピールポイントについて解説していきます。自分がどの年代に当てはまり、どんなところをアピールしていけばいいのかをチェックしていきましょう。
①20代前半:ポテンシャルをアピール
- 若手人材として見られるのでポテンシャルや人柄など内面が重視されやすい
- 現職とは異なる業界や職種への未経験の転職を比較的目指しやすい
20代前半は、新卒からそこまで経験を積んでいないこともあり、新卒採用に近いポテンシャルを見られる傾向にあります。この年代は第二新卒とも呼ばれ、特にポテンシャルや人柄などの内面を重視した評価をされやすいですよ。
スキルや経験よりも「入社後どのように成長して活躍してくれそうか」という視点で見られます。そのため、なぜその業種を選ぶのかという理由や熱意をアピールするのがとても大切です。
米田 有希
特に業界への想いを伝えないと「またすぐに転職するのでは?」と思われてしまい、転職活動が上手くいかない可能性も考えられます。その業界で長く働きたい理由を整理して、企業に伝えていきましょう。
第二新卒の転職事情はこちらの記事で詳しく解説しています。第二新卒で転職を考えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。
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②20代後半:一定の経験やスキルをアピール
- キャリアアップの転職なら経験やスキルが見られやすい
- キャリアチェンジの転職ならポテンシャルを見られやすい
20代後半は、ある程度のスキルと社会人経験が備わっていることもあり、20代前半と違って即戦力としても見られやすい年代です。
異業種転職でも職種が変わらないキャリアアップの転職なら、これまでの経験やスキルを伝えることで、即戦力人材だというアピールにつながりますよ。
ただ、異業種転職の中でも職種も変わるキャリアチェンジの転職の場合は、20代前半と同様のポテンシャルや熱意のアピールがとても重要になります。というのも、キャリアチェンジの場合は、これまでの経験を活かせるところが少なく、仕事への想いの部分を企業が見る傾向にあるからです。
新しい環境を目指す理由は何なのかを深掘りして聞かれることになるので、しっかりと答えを用意しておく必要がありますよ。
本田 百合香
職種の経験の有無によって見られる観点が変わってくるので、自分の状況に合わせたアピールを心掛けていきましょう。
キャリアアドバイザーコメント松下 建都プロフィールをみる
20代前半と20代後半とでは見られるポイントはどのように変わってくるでしょうか? まず20代前半ではまだ社会経験が浅いため、経験よりも最低限の社会人としてのマナーが身に付いているかどうかや仕事をすぐにやめないかという点を見てくるでしょう。そのため、スキルや経験よりもこの仕事がしたいという明確な理由を準備することで、面接官の心をつかむことができますよ。
それに対して20代後半となると、特定の業界である程度の経験を積み、後輩を指導する立場に立つレベルにはなっていると考えられます。異業種の転職となると、その経験をどこまで活かせるかという点が見られることになりますよ。今のスキルが転職先でどう役立つのかを紐付けしつつ、一から学ぶという姿勢をアピールすることが重要です。
③30代:専門的なスキルをアピール
- 即戦力と期待されるので専門的なスキルを持っているかを見られやすい
- マネジメント経験を活かした転職も多い年代
30代になればポテンシャルよりも経験やスキルが重要視されます。企業としてはポテンシャルよりも即戦力として採用したいというのが本音です。
30代での異業種転職は職種経験がある場合は、これまでの経験で積み上げた専門的な知識やスキルのアピールが効果的です。また、マネジメントスキルの有無なども見られるポイントです。自分の専門性を存分にアピールできるよう、これまでの経験を振り返っておきましょう。
一方で、未経験職種はポテンシャル採用がメインとなり、できるだけ若い人材を採用したいと企業は考えるため、職種も未経験の転職の場合は20代のときと比べると厳しい傾向にあります。
米田 有希
転職がうまくいく可能性はもちろんありますが、これまでの経験が新しい職種でどのように活かせるかという点のアピールは必須といえます。
企業が抱く「異業種転職」への懸念を一つずつ解消することが成功への近道!
異業種の転職を叶えるには何が大切でしょうか? それは企業が抱く「この人はなぜ異業種に転職したのだろう?」「なんでこの業界へ転職したのだろう?」という懸念を一つずつ解消していくことです。
企業がこのような懸念を抱く背景には、異業種という新しい環境に移っても活躍してくれるかどうかを心配しているという点が挙げられます。その心配をいかに払拭できるかが異業種転職を成功させる糸口になりますよ。
ここからは異業種の転職で企業が抱きやすい疑問とその解消法から転職を成功させるためのステップまで解説していきます。企業がどのような視点で転職者を見ているのかを理解して、異業種の転職を成功させられるような対策を進めていきましょう。
異業種転職で企業が抱きやすい5つの懸念とその解消法
異業種への転職で企業が気にするのはどんなところでしょうか? 異業種の転職では、企業が抱く懸念を解消することが転職成功のカギとなってきますよ。
ここからは、異業種転職で企業が抱きやすい懸念とその解消法を解説していきます。懸念に対してどんな回答をすれば企業の不安が解消されるのか、しっかりとチェックしてみてくださいね。
①「なぜ異業種の転職を決意したのだろう?」
●異業種の転職を決めた理由を整理して伝えよう!
転職は新しい環境に飛び込む大きな決断です。しかも、異業種のへ転職となれば、何か大きな理由があったはずです。企業はその理由を知り、転職への本気度をチェックしたいと思っていますよ。
企業から質問されることを想定し、転職を決めた理由はしっかりと整理しておくことが大切です。誰が聞いても納得できるような回答を準備することで、企業の不安を払拭していきましょう。
またできるだけポジティブな回答を準備することも押さえておきたいポイントです。たとえば「会社の人間関係が悪いからです」などと直接的に伝えると他責的に映るため、「周囲の人と円滑なコミュニケーションを取りながら働きたい」というように、あくまで前向きな理由で転職を決めたのだと伝えていきましょう。
- 今の業界では自分の強みが発揮しづらいと感じたため
- 今の業界にいるままでは自分の成長が止まってしまうと考えたため
②「なんで〇〇業界を選んだのかな?」
●志望業界を選ぶきっかけになった出来事を振り返り答えられるようにしよう!
企業が「なぜ〇〇業界を選んだのかな」という懸念を持つ理由としては、今まで仕事をしたことがない業界で働いてギャップを感じないかどうかを心配しているからです。
そのような懸念を払拭するためにも、業界を選んだきっかけとなる出来事を答えられるように準備しておきましょう。
たとえば、IT業界への異業種転職を選ぶきっかけであれば「前職でシステムの開発業務に携わった際にプログラマーの人とかかわりがあり興味を持った」など、自分にしか話せないような理由を考えるのが大切です。
米田 有希
業界を選んだきっかけは自分にとっての転職の軸でもあります。選考が始まる前にしっかりと振り返っておきましょう。
③「新しい業種で活かせる強みはあるかな?」
●業種に活かせる強みを抽象化して伝えよう!
異業種への転職の場合、これまでの経験やスキルとはまったく違った強みを求められるケースもあるでしょう。
そんなときは、強みを抽象化して「〇〇業界でもこれまでのこんな経験が活かせる」と伝えることで強みをアピールできますよ。たとえば、以下のようなイメージで強みを抽象化してみてください。
- 事務職では指示がなくても求められる書類を作成して評価された経験がある
- 抽象化すると「周囲の人のしてほしいことを先回りして準備ができる」
- 営業職でも顧客の要望を先回りするような対応が必要なのでこの経験を強みとして活かせる!
本田 百合香
「アピールできそうな強みなんてない」とあきらめる必要はありませんよ。これまでの経験を整理していけば、異業種の転職であってもアピールできるところは必ずあります。上記を参考に強みを抽象化して異業種へ活かせる強みを見つけていきましょう。
④「入社後の業務についていけるかな?」
●入社後に一から学ぶ姿勢をアピールしよう!
異業種への転職となると、企業としては「入社後に業務についてこれるか」という不安を抱くケースもあります。
そこで大切となるのが、積極的に学ぶ姿勢のアピールです。入社してからしっかりと勉強し、「業務についていける」というアピールをしていきましょう。アピールする際は、学ぶ姿勢に説得力を持たせられるよう、前職で培った経験を掘り下げたエピソードを用意しておくのが重要です。
- 前職では入社してから関連する資格を取得して知識習得に努めました
- 上司から言われた内容をメモするようにしており、メモを見返しながら業務を覚えていきました
松下 建都
具体例を伝えることで、企業はあなたが仕事をしている姿も想像できるようになります。情景が浮かぶようにあなただけのエピソードを伝えていきましょう。
⑤「求める人材にマッチしているかな?」
●企業が求める人物像を自分の強みが重なる部分を精査しよう!
企業とのマッチ度も異業種の転職では懸念されるポイントです。懸念点の解消には、企業が求める人物像を理解しておくことが大切です。自分と共通する点はないかどうかを見つけ、マッチ度をアピールしていきましょう。
企業研究の方法には、以下のような方法があります。自分とのマッチポイントを見つけるためにも、念入りに情報収集をしてくださいね。
- 企業のホームページ(HP)から募集要項を見る
- 求人サイトの「対象者」「応募資格」をチェックする
- 企業が運営している公式SNSにも目を通しておく
米田 有希
企業研究は、自分が異業種の仕事に合っているかどうかをチェックする大事な作業でもあります。転職してからギャップを感じないためにも、一歩踏み込んだ情報収集をしていきましょう。
キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
企業が特に懸念するポイントとしては、今まで培ってきた強みを別業種でどう活かせるか? また一から業種のことを学ぶ姿勢を持っていて、知識やスキルを吸収して成長してくれるか? など、「戦力になれるかどうか」という点もあります。
この懸念を払拭するには、今までの仕事の成功事例などを交えながら自分の強みをアピールできるといいでしょう。業界は違えど、コミュニケーション能力やリーダーシップなどの強みを活かせる場面は必ずあるはずです。異業種でも活かせる「再現性のある強み」がアピールできれば、経験のない業界や職種への転職であっても好印象を狙えるようになりますよ。
3ステップで解説! 異業種への転職はこの流れで進めよう
異業種への転職は、経験者の転職よりも難易度が高くなりやすい傾向になります。そのため、異業種の転職ならではの選考の進め方を理解して、対策をしていくのがとても大切です。
ここからは、異業種への転職活動を進めていく基本的な流れについて解説していきます。異業種への転職をかなえるためにも、解説する内容を参考にして対策を進めていきましょう。
①異業種の転職を目指そうと思ったきっかけや理由を整理する
転職活動を開始する前にまずやるべきことがあります。それは、自分の転職の軸を作ることです。ここがブレてしまっては、企業が納得するような書類の文章や面接の回答を考えることができません。
なぜ異業種の転職をしようと考えたのか、きっかけや理由を整理するときは、具体的なエピソードまで振り返ると異業種転職を目指す動機がはっきりわかる理由が作れますよ。
医療業界の事務職として働いてたが、業界という垣根を越えて、日本を便利にするサービスを提供できるような業界で働きたいと思いからWeb業界の事務職への転職を決意した
本田 百合香
上記の理由では転職の目的が明確になっていますよね。「なぜ〇〇業界なのか?」という点を答えられるような理由を整理していきましょう。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
自己分析にもつながる転職理由の整理は、転職活動においては欠かせない準備になります。客観的に自分を見つめ直すことで、異業種の転職がベストな選択であるかを再確認することができますよ。理由を整理してみたら、実は異業種転職ではなくてもいいと気づいた……というのはよくある話です。
また、理由の整理は面接対策にもつながってきます。理由を整理せずに漠然と書類作成や面接に挑んでしまうと、どこかでつまづいてしまい、転職活動がうまくいかなくなる場面が出てくることもあります。そうならないためにも、理由の整理から志望動機までのストーリーを組み立てることで、明確に「〇〇業界に転職したいんだ」という想いを伝えられるように準備しておくことが大切です。
②整理した理由をもとに仕事への熱意が伝わる応募書類を作成する
異業種へ転職したい理由が整理できた後は、求人への応募へと進んでいきましょう。異業種の転職では応募業界や仕事内容への興味の高さや、どれだけ意欲があるかという点をアピールできるかが重要になります。そのため、その業界に就きたいという想いが伝わる応募書類を作成する必要がありますよ。
先ほど整理した理由をもとに「〇〇が理由だから〇〇業界を目指している」という一貫した転職理由と志望動機を盛り込むことで、熱意の伝わる応募書類が作成しましょう
- 空欄はできるだけ埋める
- 志望動機や自己PRは指定される文字数いっぱいに書く
- 志望動機や自己PRは企業ごとに作成する
松下 建都
「〇〇業界じゃないとダメなんだ!」という業界や仕事への熱意は異業種の転職だからこそ必要です。業界で仕事がしたいという想いが伝わるような書類を作成していきましょう。
未経験での就職を目指す場合の志望動機の書き方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
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例文9選|未経験の志望動機はポテンシャルを前面に出して選考突破!
未経験就職の志望動機は、入社後どう成長していくのかを示すことが大切です。ポテンシャル面が評価されることに合わせた独自の対策を進めましょう。この記事ではキャリアアドバイザーが、未経験就職の志望動機の作り方から、効果的な伝え方を解説します。
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③異業種転職で聞かれやすい質問対策を進める
書類選考が通過すれば、いよいよ面接となります。面接はあなたの異業種に就きたい思いをもっとも伝えられる重要な局面です。面接の基本的な質問を押さえるのはもちろん、異業種の転職だからこそ聞かれやすい質問の対策も進めていきましょう。
- なぜ異業種への転職を決意したのですか?
- なぜ未経験の業界を目指そうと思ったのですか?
- これまでの経験を新しい業界でどう活かせると思いますか?
- 仕事の内容がガラッと変わりますが適応できますか?
- 〇〇業界について知っていることを教えてください
異業種への転職の面接で特に見られるのは、書類選考と同様に仕事への意欲や熱意です。ここがしっかりと答えられないと「別に〇〇業界でなくてもいいのかな」と思われてしまい、面接の突破は難しくなってしまいます。
米田 有希
入社してから学ぶ姿勢を持っていて、成長への意欲がある人を企業は求めています。自分は高いポテンシャルを持っていると、説得力を持って伝えることが面接突破のカギですよ。
こちらの記事では転職の面接で聞かれる質問について詳しく解説しています。回答例も紹介していますのであわせて参考にしてみてくださいね。
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異業種からの転職が狙いやすい業界・職種7選
- IT業界
- 福祉業界
- 建設業界
- 小売業界
- Web系職種
- 営業職
- 事務職
異業種の転職は企業が懸念を抱く点も多いため、そう簡単に転職が成功するわけではありません。ただ、業界や職種によっては人手不足などの影響により、異業種の転職をしやすい業界があるのも事実です。
ここからは、異業種への転職がおすすめな業界・職種について解説していきます。解説する業界や職種は異業種での転職を目指しやすくなっているので、気になる業界や職種がないかチェックしてみてくださいね。
①IT業界
- IT業界は人材が不足しており未経験の転職が目指しやすいから
- 日々進化している業界なので仕事をしながら学ぶという側面が強いから
IT業界とは、インターネットや通信、情報サービスなどの分野を総称して呼ばれる情報技術に関する業界です。社会全体のデジタル化が進んでいることもあり、IT業界の需要は今後もますます伸びていくと考えられています。
その一方で、IT業界は人手不足が深刻な業界でもあります。経済産業省が2019年に発表しているIT人材に関する調査結果をまとめたIT人材需給に関する調査によると、2030年には約49万人のIT人材が不足する可能性があると示唆されています。
このような背景もあり、IT業界では未経験での転職を目指しやすくなっています。また、ITに関する知識は日々進化していることもあり、仕事をしながら学ぶという側面が強いのも未経験の転職を目指しやすい理由の一つです。
米田 有希
実務経験はなくても、資格の勉強やプログラミングを独学で学んでみるなど、何らかの行動を起こしていると選考でもアピールしやすくなりますよ。
②福祉業界
異業種への転職で福祉業界がおすすめな理由
- 少子高齢化の影響もあり福祉の需要は今後も延びると考えられているから
- 技術よりもコミュニケーション能力や人柄などが評価されやすく未経験でも目指しやすいから
- 少子高齢化の影響もあり福祉の需要は今後も延びると考えられているから
- 技術よりもコミュニケーション能力や人柄などが評価されやすく未経験でも目指しやすいから
福祉業界も異業種の転職を目指しやすい業界の一つです。福祉業界は少子高齢化の影響もあり、人材確保が追いついていません。さらに今後も高齢化は進むと考えられていることから、人材不足は深刻な問題になっています。
福祉業界は職種によっては専門的な資格を求められるケースもありますが、人手不足の影響もあり、未経験での採用も積極的におこなっています。そのため、異業種の転職先の業界にも適しているといえますよ。
本田 百合香
人と接する職業なこともあり、技術よりもコミュニケーション能力や人柄などの人間性が評価されやすいのも、異業種転職に向いている理由の一つです。
③建設業界
- 業界として高齢化が進んでおり若い世代をもとめている業界だから
- 建設業界では技術職のみならず営業や事務などの採用にも積極的だから
異業種の転職を目指すなら建設業界もおすすめです。建設業界も人手不足が深刻で、国土交通省が令和3年時点での建設業の現状と課題をまとめた建設業の働き方改革の現状と課題によると、ピーク時に約685万人いた建設業就業者数は約492万人まで落ち込んでいます。
また、およそ3割が55歳以上と高齢化も進んでおり、若い世代への技術継承も大きな課題です。そのような背景もあり、職人や施工管理などの専門職でも未経験者の採用を積極的におこなっています。
松下 建都
製造系の職種だけでなく、営業職や事務職などの採用もありますよ。
建設業界に含まれる現場仕事に興味があるなら、ぜひこちらもチェックしておきましょう。
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④小売業界
- 少子高齢化の影響で慢性的な人手不足に陥っていているため積極的に採用しているから
- 仕事内容は短期間で習得しやすく未経験からでも始めやすいから
小売業界とは、百貨店やスーパー、アパレルショップのような商品やサービスを消費者に届ける業界です。
近年は技術の発達により無人レジや商品管理の自動化が進んでいますが、商品の陳列や接客、清掃など小売業界の仕事はまだまだ人の手を使う場面が多いです。
少子高齢化の影響もあり、小売業界も他業界と同様に人手不足が深刻化していることから、未経験からの採用を積極的におこなっていますよ。
本田 百合香
仕事も短期間で習得できる内容が多いことも未経験採用をおこなっている理由の一つです。入社してから知識やスキルを学びたいという場合におすすめの業界といえますね。
⑤Web系職種
- T業界同様に技術の進歩に対して人手が不足しているから
- 職種ごとに応募がされているため自分に合う職種を選んで転職できるから
Web系職種とは以下のようなWeb業界にかかわる職種です。IT業界の中でも特にインターネットに特化した職種を指します。
- Webディレクター:Webサイト制作のディレクションをおこないチームをまとめる仕事
- Webデザイナー:Webサイトのデザインやコーディングなどをおこなう仕事
- Webエンジニア:Webサイトを構築するためのシステムを開発する仕事
- Webライター:Webメディアなどの媒体に掲載する文章を書く仕事
IT業界と同様に、デジタル化が進んでいるにもかかわらず、働き手が少ないということもあり、異業種からの転職を積極的に採用しています。
また、Web系の職種はさまざまな仕事があるため、自分の向き不向きにあった仕事を選べるのも魅力的な点と言えますよ。
松下 建都
ただ、未経験から転職可能とはいえどの仕事も一定のスキルを求められる仕事ではあります。まずは自分で勉強してみて、向いてそうか判断してみるといいでしょう。
⑥営業職
- 営業はどこの業界でも必要とされており未経験の求人数が多いから
- 営業経験があれば違う業界への転職を目指しやすいから
営業はどこの業界にも必要となる仕事なため、職種経験の有無問わず求人数が多く、異業種での転職を狙える職種です。
たとえば、人材サービス業界の営業から不動産業界の営業へ転職するということも十分可能です。また、営業はどこの会社も足りていない職種なので、未経験の転職者の求人も数多くあります。
また、専門的な業界でない限りは特別な資格なども必要なく、努力した分だけキャリアアップを目指せる仕事でもあります。
米田 有希
扱う商品やサービスが変わるだけで、これまでの経験やスキルを活かしやすいのは営業職の大きなメリットといえますね!
⑦事務職
- どこの業界でも必要な職種で異業種の転職を目指しやすいから
- 事務職の経験を活かして自分のスキルに合わせた転職を目指せるから
事務職も営業職同様に、どこの業界でも必要となる職種なため、異業種の転職がしやすい職種です。書類作成や電話対応などはどんな会社でも必要ですよね。
事務職としてパソコンスキルを身に付けられれば、業界関係なく転職を目指せます。そのため、職種経験がある場合は転職の難易度もそこまで高くない職種といえます。
一方で、未経験の場合はパソコンスキルを証明する資格を求められる傾向にあるので、以下のような事務職に関連する資格を取得しておくのがおすすめですよ。
松下 建都
一般事務だけでなく営業事務や経理事務などもあるので、自分のスキルに合わせて転職できるのもメリットですね。
パソコンを使う仕事に興味のある人は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。未経験から転職するためのポイントについて紹介していますよ。
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パソコンを使う仕事は多種多様にあり、未経験からでも十分狙える仕事です。ただ、種類が豊富にあるからこそ、自分が求める要素の絞り込みが必要になります。この記事ではキャリアアドバイザーがおすすめ職種を16個紹介し、選考対策のコツについても解説していきます。
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事前に知っておこう! 異業種の転職で気を付けておきたいポイント
- 前職の仕事の進め方にこだわりすぎない
- 年収や待遇が下がる可能性も理解する
異業種への転職は良いことばかりではなく、デメリットもあります。転職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、デメリットを事前に知っておくことがとても大切ですよ。
ここからは、異業種の転職で気を付けておきたいポイントについて解説していきます。異業種への転職を決断するうえで、解説するポイントは問題ないかを事前にチェックしておきましょう。
前職の仕事の進め方にこだわりすぎない
会社が変われば、社風だけでなく仕事の進め方も変わってきます。必要な手続きが違ったり、書類の様式が違うなど、戸惑うこともあるでしょう。
そこで良かれと思って「この進め方の方がいいのではないか」というのは、あまりおすすめできません。意見を押し付けるように伝えてしまうと、「新しい環境を受け入れられない人なのかな」と思われかねないからです。新しい環境で一から学ぶんだという姿勢が大切ですよ。
米田 有希
業界や職種が変われば仕事の進め方もルールも大きく変わります。その点に対応できるかどうかは、異業種から転職をしてくる人こそよく見られていますよ。
年収や待遇が下がる可能性もある
厚生労働省が発表している転職者の労働状況をまとめた令和2年転職者実態調査の概況によると、転職して賃金が「減少した」と答えた割合が約4割、「変わらない」と答えた割合が約2割ほどとなっています。データからみてわかる通り、転職したからといって年収が上がるとは限りませんよ。
特に異業種への転職の場合、専門的なスキルや経験がなければ、キャリアを一から積み上げることになるので、年収は下がる可能性が高くなります。
本田 百合香
異業種でも職種経験ありの転職の場合は、キャリアアップの転職も可能です。ただ、待遇が上がるかどうかは企業次第なので、選考の中で年収や待遇はどうなのかまでチェックするのが大切ですよ。
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異業種からの転職をする以上は、初めての環境に飛びこんだということで「慣れないな」「あってないかも」と感じるのは自然なことです。不安に感じるのは当たり前だと理解して、まずはそう思うあなたの気持ちを受け入れることが大切です。
そのうえで、まずはやれるだけここで頑張っていこうと環境を受け入れられたなら、その会社のやり方や環境に「慣れる」ことを第一に考えていきましょう。いきなりうまくやろうと考えず、異業種での経験を新しい環境にチューニングしていくイメージですね。
また、年収や待遇についても会社によって変わってきます。異業種の転職ということで、一時的には下がることもありますが、それでも学び続けることで企業があなたが認めてくれる日が来るはずです。最初のうちはこのような問題があることを理解したうえで、異業種の転職をするべきかどうかを判断するようにしてくださいね。
企業が抱く不安を払拭して異業種転職を成功させよう!
ここまで、異業種転職で求められるスキルとアピールポイントや企業が抱きやすい懸念とその解消法について解説してきました。
転職が一般的になってきている今、異業種への転職は何も珍しいことではありません。ただ企業としては、自社に合う人材に入ってきてほしいと思うからこそ、懸念点も生まれてきます。異業種への転職を成功させるには、その懸念をいかに払拭できるかがカギになってきますよ。
企業の懸念点をしっかりと把握して対策を立てることができたなら、あなたが望む異業種転職を叶えることは十分可能です。解説した内容を参考に、一緒に転職への準備を進めていきましょう。
職種を経験しているからこそ、年収アップを狙えたり、スキルアップを狙ったりしやすいのが特徴の異業種転職です。