目次
- 自己都合退職には7つのパターンがある! 自分の状況に合わせて行動指針を立てよう
- 「自己都合退職」と「会社都合退職」の意味
- 自己都合退職:自分から退職をすること
- 会社都合退職:会社からの要請により退職をすること
- 自己都合退職と会社都合退職の4つの違い
- 違い①失業給付金の受け取りまでの期間
- 違い②失業給付金の支給期間
- 違い③退職金として受け取れる金額
- 違い④履歴書への記載方法
- どちらに該当するか確認! 自己都合・会社都合それぞれの退職ケース10選
- 自己都合のケース①会社の労働環境や人間関係に不満があって退職
- 自己都合のケース②自分のスキルアップのために転職
- 自己都合のケース③ライフステージが変化したため退職
- 自己都合のケース④病気やケガの治療に専念するため退職
- 自己都合のケース⑤家族の介護をするために退職
- 自己都合のケース⑥留学をするため退職
- 自己都合のケース⑦会社から懲戒解雇処分を受けた
- 会社都合のケース①会社が倒産してしまった
- 会社都合のケース②リストラされた
- 会社都合のケース③会社から退職を求められた
- 実は自己都合ではないかも? 会社都合退職になる可能性がある7つのケース
- ①給与がきちんと支払われなかった
- ②労働環境が過酷だった
- ③実際の労働条件と契約で異なる点があった
- ④ハラスメントを受けていた
- ⑤会社からの休職命令が長期間続いた
- ⑥職場が移転し通勤時間が長すぎて働けなくなった
- ⑦会社が法令違反を犯していた
- こんなときどうする? 自己都合退職に関する万が一の場合の対処法
- ①自己都合退職をしたが後から「会社都合退職なのでは」と感じたとき
- ②会社都合退職にもかかわらず退職届を出すように言われたとき
- ③会社から「自己都合退職にしてほしい」と言われたとき
- 自己都合退職に該当するかは理由による! まずは退職理由から確認しよう
自己都合退職には7つのパターンがある! 自分の状況に合わせて行動指針を立てよう
こんにちは、キャリアアドバイザーの今井です。
退職や転職を考えたとき、実際に行動に移すとなったら調べるのは会社を辞める方法についてですよね。その際、「自己都合」「会社都合」というフレーズを目にした人から、こんな質問を受けることがありました。

自己都合退職と会社都合退職では受けられる補助の条件や内容に違いがあるため、自分がどちらに該当するのかが気になることもあると思います。また一概にはっきりと判断ができないケースもあるため、判断基準が欲しいと感じることもあるでしょう。
そこでこの記事では、自己都合退職の意味や、自分の場合は該当するのかを確認する方法について解説しています。
一緒に自己都合退職がどのようなものなのかを正確に理解し、あなたに当てはまるのかどうかを確認してみましょう。
「自己都合退職」と「会社都合退職」の意味

自分のケースが自己都合退職に該当するのかどうかを判断するうえでは、そもそも自己都合退職とは何なのかを理解しておく必要があります。また会社都合退職との違いも理解できていると、より判断しやすくなりますよ。
ここからは、自己都合退職と会社都合退職、それぞれの意味について解説していきます。基礎知識としてこの先の内容をしっかりと確認しておきましょう。
自己都合退職:自分から退職をすること
自己都合退職とは、その名のとおり自分から希望して退職をするケースを指します。自分の都合で退職をするため、自己都合退職と言いますよ。
- 自分の希望の職種に転職をするための退職
- 住む場所が大きく変わるのにともなう退職
会社の規約に反することをしたり、犯罪を犯したことによる処分として退職をさせられるケースもありますが、この場合も原因を引き起こしたのは退職者本人であることから、自己都合退職とされるのが基本です。

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会社都合退職:会社からの要請により退職をすること
会社都合退職は、会社から「退職をしてほしい」という要請を受けたうえで退職をするパターンです。
- 会社が倒産した
- リストラをされた
会社から一方的に辞めさせられたのではなく、あなた自身が合意したことで退職する場合でも、会社の都合で退職をするのであれば基本的には会社都合退職に該当しますよ。
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自己都合退職と会社都合退職の4つの違い
自己都合退職と会社都合退職の違いは、意味だけではありません。
たとえば受けられる補助制度の内容や履歴書に記載する際など、細かいところでの違いがありますよ。退職や転職をするなら理解は必須です。
ここからは、自己都合退職と会社都合退職の違いを解説していきます。それぞれの違いを知り、よりいっそう理解を深めましょう。
違い①失業給付金の受け取りまでの期間

自己都合退職と会社都合退職の違いとしてまず挙げられるのが、失業給付金の受け取りまでの期間です。
会社都合退職の場合は自分の意思とは関係なくやむを得ず辞めることになる場合が多く、収入が途切れた後の準備はしていないケースがあります。そのため失業給付金を支給するまでの期間が短いですよ。
一方で自己都合退職の場合は、事前に退職をすることは決まっていたために収入が途切れてからのことも考慮したうえであると判断されます。
そのため、現状では2~3カ月ほど給付金の受け取りまで時間がかかるのです。

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ただ、法改正により2025年からは教育訓練を受けた人なら自己都合退職であっても待機期間の後すぐに給付金を受け取ることができるようになりました。
違い②失業給付金の支給期間

自己都合退職と会社都合退職では、失業給付金が支給される期間も異なります。会社都合退職の場合は退職してから再就職するまでに時間がかかるケースが多いと見なされ、その分給付期間が長くなっていますよ。
一方で自己都合退職の場合は事前に自分で会社を辞めると決めていた分、次の就職先についても準備をする期間が十分にあったと見なされ、給付期間が短くなります。

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具体的にどの程度の給付期間となるかはその人が抱えている事情によって異なりますが、短くても90日間は支給されますよ。
キャリアアドバイザーは実際にこうアドバイスしています!退職にあたっての重要ポイント
自己都合退職の場合は次の転職先を決めてから退職するのがおすすめ
上記のとおり、失業給付金に関しては会社都合退職より自己都合退職のほうが給付条件が厳しい点が多々あるため、自己都合退職をする場合は、退職後の経済面についてもしっかり考えたうえで決断しなければなりません。
もし、給付条件などについて理解しないまま「失業給付金があるから大丈夫だろう」と自己都合退職すれば、一気に生活が苦しくなる可能性もあります。経済的なリスクを負わないためにも、自己都合退職する場合は、次の転職先を決めたうえで退職するのがおすすめです。
次の転職先を決めておけば、収入が途絶えることもないため、失業給付金がなくても今までどおりの生活を続けられますよね。「早く今の仕事を辞めたい」と焦る気持ちも十分理解できますが、退職後の経済面について十分に考えたうえで自己都合退職をしましょう。
違い③退職金として受け取れる金額

自己都合退職と会社都合退職では、退職時に受け取ることのできる退職金の金額にも違いが出るケースがありますよ。
基本的には会社の都合で辞めさせられる会社都合退職のほうが退職金を全額もらえる場合が多いです。一方で自己都合退職の場合は退職金が少なくなる場合があります。
退職金の取り決めに関しては会社の制度によって異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。

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会社都合退職だと、解雇予告手当といって退職金のほかに手当が支給される場合もありますよ。
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自己都合退職となった人が受けられる支援制度は失業給付金だけではない
給付期間や退職金の違いを知り、自己都合退職ではなく会社都合退職を選びたいと考えている人もいると思います。ただ、倒産やリストラ、一方的な解雇といった事実がなければ、会社都合退職をすることはできないため、多くの人が自己都合退職を選ぶことになりますよ。
「給付条件の厳しい自己都合退職で大丈夫だろうか」と不安を感じる人もいると思いますが、自己都合退職となった人が受けられる支援制度は失業給付金だけではありません。たとえば、ハローワークの職業訓練は再就職を目指す人や新しいスキルを習得したい人向けに提供されている支援プログラムであり、パソコンスキルや簿記、介護など、再就職に活かせる実践的なスキルを基本的に無料で受講することができます。
この職業訓練は失業給付を受けるために必要な求職活動に当たるほか、一定の条件を満たすことで訓練手当が支給されるケースもあるため、転職先を決めずに自己都合退職した場合はすぐに活用するのがおすすめですよ。
違い④履歴書への記載方法


退職後に転職をするときは履歴書へ経歴の記載が必要になりますが、退職理由について一切触れられていないと会社都合退職か自己都合退職かを会社側から問われる場合があります。
ここで事実とは異なる記述をすると経歴詐称となる場合があるので、注意が必要です。
- 自己都合退職:一身上の都合により退職
- 会社都合退職:会社都合により退職
とはいえ必ず退職理由について答えなければならないというわけではないので、「一身上の都合」とだけ伝えることもできますよ。
キャリアアドバイザーが読み解く!自己都合・会社都合の「転職時」の見られ方
どのようなケースでも退職理由の具体的な内容によって選考時の印象は変わる
履歴書に経歴を記載した際、自己都合退職と会社都合退職で採用担当者の印象が変わるかどうかは、退職理由の具体的な内容によって異なります。
自己都合退職の場合、前職の経験を活かしたキャリアアップなどポジティブな理由による退職であれば、採用担当者がネガティブな印象を受けることはありませんが、具体的な理由がなく、退職理由が判然としなければ、マイナス評価につながる可能性もありますよ。
会社都合退職が選考での評価に影響することはほとんどない
一方、会社都合退職は基本的に会社都合での退職となるため、転職において本人の評価に影響することはほとんどありません。ただ、リストラや会社から退職を求められたケースであれば、なぜリストラされたのかを気にする会社が存在するのも事実です。
上記のとおり、自己都合退職と会社都合退職のいずれのケースにおいても、退職理由の具体的な内容が印象を左右することになるため、ネガティブな印象やマイナス評価につながらないよう、伝え方や表現を工夫することが大切ですよ。
どちらに該当するか確認! 自己都合・会社都合それぞれの退職ケース10選
自己都合退職と会社都合退職の違いについて理解できたとしても、状況によっては自分がどちらに該当するのか判断しにくいケースもあるでしょう。そこで、ここからは退職ケース別にどちらに当てはまる可能性が高いのかを解説していきます。
ここであなたの場合は自己都合退職と会社都合退職のどちらに当てはまるのかを確認し、自分の立ち位置について正しく理解しておきましょう。

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とはいえ、自己都合退職になるか会社都合退職になるかはケースによって異なります。迷ったときは一人で判断せず、専門家に相談するようにしてくださいね。
自己都合のケース①会社の労働環境や人間関係に不満があって退職
会社の労働環境や人間関係に不満があって退職した場合は、自己都合退職として扱われるケースが多いですよ。
- 職場の人と良好な関係を築くことができない
- 支給される給料の金額に納得がいかない
この場合、退職の直接の原因が自分にあるとは言い切れないのは確かです。しかし、不満は退職者の主観であり、ほかの人からすればそこまで大きな不満につながらない可能性も考えられるためです。

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ただし、誰が見ても明らかに労働環境やそこで働いている人に問題があり、それが証明できる場合は会社都合退職になるケースもあります。
自己都合のケース②自分のスキルアップのために転職
自分のスキルアップのために転職したいと考えて退職をする場合は、自己都合退職になる可能性が高いです。この場合も、転職をするかどうかは自分の判断によるものだからです。
仮に転職しなければスキルアップができなかったとしても、問題なく働くことが可能な環境がそろっているのであれば自己都合退職と判断されます。

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スキルアップのための選択は最終的には自分の都合で判断することなので、どのようなケースであっても自己都合退職とされる場合が多いですよ。
自己都合のケース③ライフステージが変化したため退職
ライフステージの変化による退職の場合は、自己都合退職と判断されるケースがほとんどです。ライフステージは自分の判断によって変化するものでもあり、会社の都合によるものではないためですね。
- 結婚をし住む場所を変えることになった
- 子どもが生まれたため育児に専念することにした
ライフステージが変化することでどうしてもその会社で働けなくなる、ということもあると思いますが、最終的にその決断をするのは自分なので、自己都合退職とされる場合が多いのです。
自己都合のケース④病気やケガの治療に専念するため退職
病気やケガの治療に専念するために退職せざるを得なくなった場合も、自己都合退職に含まれるケースが多いです。
特にその原因が会社とは関係のない場合は、自己都合退職に含まれる可能性が高いですよ。
ただし、仕事中にケガをしてしまった場合や、仕事中のストレスなどが原因で病気になってしまった場合は、それをしっかりと証明できれば会社都合退職にできる場合もあります。

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会社都合退職にできるケースについてはこの後の章で解説しているので、参考にしてください。
自己都合のケース⑤家族の介護をするために退職
家族の介護に専念するために退職をする場合は、自己都合退職と見なされるケースがほとんどです。家族の介護を自分でするという決断は、自分の都合によるものと考えられるからですね。
非常に難しい選択であり、かつ費用面などの問題もあって誰でも選べる選択肢ではありませんが、家族の介護はほかの人に任せたり施設に入所させるなどの選択肢があります。
そのなかで自分で介護をすることを選んだ、そう捉えられるケースもあり、仮にやむを得ない事情があったとしても自己都合退職となる場合が多いですよ。

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家族の介護の必要性というのは、会社の都合によって発生するものではありません。その点から考えても、基本的には自己都合退職と見なされます。
自己都合のケース⑥留学をするため退職
留学をするために退職をする場合は、自己都合退職となるケースがほとんどです。留学の決断をするのは自分であり、会社の都合によるものではないからですね。
仮に今の仕事をするうえで語学力が必要となり留学をする場合でも、会社から退職をして留学をするように言われたなどのケースでない限りは自己都合退職となる可能性が高いですよ。
自己都合のケース⑦会社から懲戒解雇処分を受けた
会社から懲戒解雇処分を受けた場合は、会社によって退職をさせられることになりますが、その場合は自己都合退職と見なされるケースがほとんどです。退職をさせられる理由を作ったのは自分自身だからですね。
- 刑事事件に発展するような犯罪を犯した
- 業務命令に応じなかった
- ほかの社員へのハラスメントをおこなった
懲戒解雇は会社側のイメージダウンになる可能性もあるため、会社も率先しておこなうことは基本的にありません。そのような背景もあり、懲戒解雇処分の原因は退職者側にあると見なされる場合が多いのです。
会社都合のケース①会社が倒産してしまった
会社が倒産してしまった場合は、会社都合退職となる可能性が高いですよ。倒産してしまった以上は働き続けることができず、そこに退職者の意思は反映されていないためです。
ただし、「会社が倒産する可能性がある」といったように自分で判断をしたうえで退職をするときは、ほとんどの場合、自己都合退職となります。

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どんなに経営状態が悪化していたとしても、実際に倒産しているわけではないのであれば自分の都合で退職をしたと判断されるため注意してくださいね。
会社都合のケース②リストラされた
たとえば業績悪化などで会社が大規模なリストラを実施し、それによって退職を余儀なくされた場合は会社都合退職となる可能性が高いです。
まだ働ける状態であったにもかかわらず、会社の都合による人員整理によって退職をさせられたのであれば、基本的に会社都合退職となりますよ。
会社都合のケース③会社から退職を求められた
リストラなどでもなく、何らかの事情によって会社から退職をするように求められた場合は、会社都合退職となることが多いです。ただし、退職を求められる原因が自分にある場合は自己都合退職となるケースもあるので、注意が必要ですよ。
会社から退職を求められる場合、自分に原因があるのであれば大抵は事前に告知がされます。そういったことがなく、突然退職を求められ、自分自身でも心当たりがない場合は会社都合退職と考えられますよ。
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どちらの退職になるか判断しにくいときは社外の専門家に相談しよう
退職にいたるまでの状況や退職理由は一人ひとり異なるため、なかには自己都合退職か会社都合退職か判断しにくいケースもあると思います。
たとえばハラスメントが退職理由の場合、環境に耐えられないから自分の意思で辞めたとなれば自己都合退職ですが、劣悪な労働環境や法令違反など、会社の管理責任が問われるようなケースであれば、会社都合退職になる可能性もゼロではありません。
自分が不利益を被るリスクを回避するためにも周囲を頼ることが大切
どちらの退職になるのか判断しにくい場合は、労働基準監督署や弁護士、社会保険労務士、ハローワークなど、専門家に相談するのがおすすめです。客観的かつ専門的な視点から、自己都合退職と会社都合退職のどちらに該当するのかを判断してもらえるでしょう。
自己都合退職か会社都合退職か判断しにくい状況ということは、基本的に会社側には相談しにくいケースが考えられます。ただ、誰にも相談しないまま退職すれば、自分自身が不利益を被る可能性もあるため、積極的に社外の専門家を頼るようにしてくださいね。
実は自己都合ではないかも? 会社都合退職になる可能性がある7つのケース
自己都合退職と会社都合退職は退職理由によって明確に分けられることが多いですが、なかには自己都合退職として退職をしたとしても、実は会社都合退職に該当するパターンもありますよ。
ここからは、そのように会社都合退職となる可能性があるケースについて解説します。あなたの場合はどちらに該当するのか、この先の内容もふまえて考えてみてくださいね。
①給与がきちんと支払われなかった
待遇への不満による退職は基本的に自己都合退職となりますが、給与がきちんと支払われなかったなどのように会社側が契約違反をしていると見なされる場合は、会社都合退職となるケースもありますよ。
- 正当な理由なく雇用契約書で提示されている金額よりも支払われる給与が低い
- 給与が一切支払われていない
会社から何らかの処分として正式に「減給する」などの申し入れがあった場合は別ですが、そのようなことがないにもかかわらず給与がきちんと支払われていないとなると、それは会社都合退職となる場合もあります。

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事前に雇用契約書で取り決められた給与をきちんと支払わないのは、会社側の落ち度になります。そのため会社都合退職となるケースが多いですよ。
②労働環境が過酷だった
労働環境への不満から退職したとき通常は自己都合退職とされますが、その労働環境が誰が見ても明らかに過酷すぎる、かつその過酷さが証明できる場合には会社都合退職となるケースがあります。
- タイムカードを切ってからの残業をさせられている
- 明らかに労働環境が原因で病気・ケガをする人が複数人いる
労働環境を整備するのは会社の責任であり、それができていないのであれば退職の原因は会社が作っていると言えます。そのような場合に、会社都合退職として認められるケースがありますよ。

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ただし、労働環境のどのような点に問題があるのかを明確にし、それを証明できなければ会社都合退職が認められるのは難しいこともあるというのは覚えておきましょう。
③実際の労働条件と契約で異なる点があった
労働条件への不満による退職は自己都合退職となる場合がありますが、会社側が契約違反をしていると見なされる場合は会社都合退職になります。
- 労働契約書に記載の給与と実際に支給される給与額が違う
- 本来任されるはずの仕事内容とは異なる業務を任されている
労働契約書には専門性が高いような限られた仕事だけを任される予定だったと明記されていたとしましょう。それに対して、契約書に書いてある仕事以外のことも任されるようになったことが退職の要因となった場合も、会社都合退職と見なされるケースがあります。

キャリアアドバイザー
労働契約と異なる環境・条件で働かされていた場合は、会社側の契約違反となるケースがあります。それに該当する場合に会社都合退職となることがありますよ。
④ハラスメントを受けていた
一緒に働く人からハラスメントを受けていたことが原因で退職をする場合は、会社都合退職となるケースがあります。人間関係による退職は基本的に自己都合退職とされますが、ハラスメントの場合は自分に非はないとされるためです。
- 暴力や暴言を受けた
- ほかの社員とは明らかに違う、攻撃的な態度で接されていた
- 仕事を押し付けられていた
ただし、ハラスメントを理由に会社都合退職をする場合も、その事実を証明できるものは必要になることは覚えておいてくださいね。

キャリアアドバイザー
退職時にハラスメントについて言えなかったとしても、退職後にハローワークで手続きをすれば会社都合退職と認められる場合がありますよ。
パワハラを受けたときの対処法はこちらの記事でも解説しています。
関連記事
パワハラで退職したいなら即行動|会社都合退職のための3つの準備
パワハラは精神的にも悪影響を及ぼす必要があり、自分自身を守るための選択肢として退職があります。パワハラを受けているかもしれず辛いと感じている人のために、会社都合退職にするための方法と退職以外の選択肢をキャリアアドバイザーが徹底解説します。
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⑤会社からの休職命令が長期間続いた
休職をしたうえでの退職は基本的に自己都合退職となる場合が多いですが、休職が会社からの要請であり、それが原因で退職をする場合は会社都合退職になるケースがあります。
またその期間が長期間続いたために収入が途絶えて生活に困窮するなどの理由で退職をする場合も、会社都合退職と見なされることがありますよ。

キャリアアドバイザー
この場合、休職命令が会社側の都合によるものかどうかが重要なポイントになります。休職せざるを得ない事態を自分自身が作っているのであれば、自己都合退職となる場合がありますよ。
⑥職場が移転し通勤時間が長すぎて働けなくなった
職場が移転したことで通勤時間が長すぎて働けなくなった場合も、会社都合退職と見なされるケースが多いです。
たとえば会社の都合で勤務地が県をまたいで大きく変わり、それによって通勤時間が何時間を超えるものの、近隣に引っ越すこともできないといった理由で退職をする場合は、会社都合退職となります。

キャリアアドバイザー
この場合、異動や転勤を理由にした退職だと会社都合退職にはならないことが多いですよ。特に労働契約書に移動・転勤の可能性が明記されていた場合は自己都合退職となる可能性が高いです。
⑦会社が法令違反を犯していた
会社が法令違反を犯したことが原因で退職をする場合は、会社都合退職となるケースがあります。
法令違反は会社の重大な落ち度であり、それによって社員が退職をするのは会社側に原因があると見なされることが多いためです。
- 贈収賄の事実が明らかにされた
- 社内でインサイダー取引がおこなわれていた
会社の法令違反によって評判が落ちると、そこで働いている社員も不利益を被る可能性が高くなります。それによって退職をするのであれば、場合によっては会社都合退職となります。

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ただし、会社が法令違反を犯したのがかなり前で、自分には直接の被害がない場合は会社都合退職とならない可能性が高いですよ。
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こんなときどうする? 自己都合退職に関する万が一の場合の対処法

退職理由については、退職者側と会社側でそれぞれに異なる考えを持っているものです。退職者側は退職をした原因が会社にあるなら会社都合退職としたい一方、会社側は会社都合退職の事例があると会社の評判に影響することがあるためです。
それによって、退職時にトラブルが発生することもゼロではありません。ここからは、そのような万が一のときにどのように対処すれば良いのか、事例をふまえて解説します。
①自己都合退職をしたが後から「会社都合退職なのでは」と感じたとき
●ハローワークで相談してみよう
自己都合退職と会社都合退職についてきちんと理解していない場合、初めは自己都合退職として退職をしたものの、後から「よく考えたら会社都合退職なのでは」と感じるときもあると思います。
そのようなときは、ハローワークの窓口で会社都合退職に変更できないかを確認しましょう。ハローワークでは失業給付金の受け取りについての手続きをしますが、その際に会社都合退職に該当するのではないか、といったことを伝えてください。

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ハローワークで会社都合退職であると認められた場合、会社からは自己都合退職とされていても会社都合退職の際と同様に失業給付金の受け取りができますよ。
②会社都合退職にもかかわらず退職届を出すように言われたとき
●退職届に会社都合退職であることを明記したうえで提出しよう
会社都合退職の場合、会社側から退職をするように言われるため基本的には退職届や退職願は必要とされません。これらは自分から退職をしたいと申し出る際に必要な書類だからです。
むしろ退職届を提出することで自己都合退職と見なされ、トラブルになる可能性もあります。
ただし、例外として会社から退職を促し、それに応じた「退職勧奨」に該当する場合は退職届けが求められる場合があります。そのようなときは、会社都合退職であることを明記した退職届を提出しましょう。
貴社の業績不振による退職勧奨を受け、○年○月○日をもって退職いたします。
自己都合退職として処理されるのではないかと不安な場合は、以下の対応も視野に入れましょう。
- 会社都合退職である旨の記載をした書類を用意してもらう
- 会社側から会社都合退職であることを言い渡された音声を録音しておく
そもそも退職届とは? 退職願とは? というところから知りたい人はこちらをチェックしてください。
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退職願と退職届の違いは提出タイミング! 正しい書き方を見本で解説
退職しようと決意した人は、退職願や退職届についてもルールやマナーを知っておく必要がありあます。退職願と退職届の提出タイミングや書き方をキャリアアドバイザーが徹底解説します。
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③会社から「自己都合退職にしてほしい」と言われたとき
●必要に応じて専門家に相談しよう
会社都合退職の事例があると、会社の評判に影響が出ます。そのため、まれに「自己都合退職としてほしい」と言われる場合もありますよ。そのような事態が起きたときは、迷わず拒否をして大丈夫です。
自分から強い拒否の意思を示すのが難しい場合は、必要に応じて弁護士に相談し、仲介をしてもらうのも一つの手ですよ。どちらにせよ、会社からの自己都合退職の要請に従う必要はない、ということは覚えておいてくださいね。
- 弁護士
- ハローワーク
- 退職代行
- 就職エージェント
キャリアアドバイザーからあなたにメッセージ退職トラブルに発展しないための予防が大切
冷静な視点といつでも頼れる専門家を持っておくことが円満退職のコツ
上記のようなケースに該当する場合、会社側とトラブルに発展する可能性も十分に考えられます。ただ、転職など次のステップにスムーズに進むためにも、できる限り会社側とはトラブルなく、円満に退職するのが理想的ですよね。
円満退職するために最も重要なのは、常に冷静な視点を持つことです。不当な要求や理不尽なお願いをされると、つい感情的になってしまいがちですが、感情に任せて行動すればさらに大きなトラブルに発展するリスクもあるため、冷静さを失ってはいけません。
また、労働問題は専門的な法律知識なども絡んでくるため、労働基準監督署や弁護士など、相談できる専門家を見つけておくのがおすすめです。頼れる専門家がいれば、余計なトラブルを避けつつ、スムーズに手続きを進められるので、円満に退職できるでしょう。
上記にかかわらず、退職に関して引き止められたりと対応しにくい事例があったときの対処法をこちらで解説しています。
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自己都合退職に該当するかは理由による! まずは退職理由から確認しよう
ここまで、自己都合退職に関する基本的な知識や会社都合退職との違い、どのような事例が自己都合退職、会社都合退職に該当するのかを解説してきました。
自己都合退職と会社都合退職の見極めがきちんとできていないと、知らず知らずのうちに不利益を被っている場合もあります。まずは自分の退職理由を整理し、どちらのケースに該当するのかを冷静に判断しましょう。
自己都合退職か会社都合退職かといった退職理由は、その後の就職活動にもかかわる可能性のある重要なポイントです。しっかりと確認し、自分の置かれている立場を明確にしてくださいね。
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退職の原因が個人的なものであったり、自分が原因を作っている場合は基本的に自己都合退職と考えましょう。