Uターン転職は誰にでも合うわけではない！ 判断軸となる4つの質問

Uターン転職のメリットと注意点を把握してベストな選択肢を見極めよう

こんにちは、キャリアアドバイザーの今井です。

Uターン転職を検討している人から、

「Uターン転職のメリットとデメリットは？」
「どうすればUターン転職はうまくいく？」
「Uターン転職で後悔しないためには何が大事？」

といった相談を受けることがあります。「やっぱり地元で働きたい」「都会で働くのは疲れたな」といった気持ちがわいてUターン転職を考えることはありますよね。

ただ、どうやってUターン転職先を探せば良いのか、自分にはUターン転職は向いているのかなど、疑問を抱くことも多いのではないでしょうか。Uターン転職は生活拠点が変わるので慎重な判断も必要です。

この記事では、Uターン転職のメリットや注意点を紹介したうえでUターン転職がベストな選択かを見極めるための方法について解説していきます。Uターン転職への理解を深めて判断できるように一緒に見ていきましょう。

Uターン転職とは？ まずは基本知識から押さえよう

Uターン転職をしようかどうか考え始めた段階だと、漠然と地元に戻って働くイメージはあってもUターン転職について詳しくはわからないということもありますよね。

移動をともなう転職にはUターン転職のほかに、「Iターン」「Jターン」もあります。ここからは、転職市場の状況やUターン転職の基本について解説していきます。まずはUターン転職の基本知識から押さえていきましょう。

①Uターン転職は転職をきっかけに地元へ戻ること

Uターン転職とは、転職のタイミングで地元へ戻ることです。

よくあるケースとしては、大学進学や就職のタイミングで生まれ育った地元を離れて、そのまま都会で就職した後、転職で地元に戻って働くパターンなどが挙げられます。

就職の際に地元から都会に出て働き、しばらくして転職でまた地元に戻るというケースもUターン転職に含まれます。

地方に戻るとは限らず、たとえば大阪や名古屋の都市部で育った人が東京で就職し、転職を機に地元に戻るのもUターン転職です。

②IターンやJターンとの違いは「地元に戻る」かどうか

Uターン転職以外に都会からの転職先を探す選択肢としては、「Iターン」と「Jターン」があります。それらのUターン転職との違いは、地元に戻るかどうかと覚えてください。

Iターン転職は、地元で就職した人が転職を機に地元以外の場所で働くことです。旅行で訪れた場所が好きになったり、都会とは異なるライフスタイルを求めてIターン転職を選ぶ人がいます。

Jターン転職は、地元を離れて都会やほかの地域で就職した人がさらに地元とは別の場所の転職先を選び働くことです。生まれ育った場所ではないところで働くことになりますが、希望の企業の求人があった、その土地が好きになったなどの理由でJターンを選ぶ人もいます。

③転職市場では若手のUターン転職需要は高い傾向にある

転職市場では第二新卒世代のような若手に対する需要が高い傾向にあり、Uターン転職でもそれが当てはまります。

日本の労働市場は、団塊世代の大量退職や少子高齢化による若手の労働力人口の減少という課題があり、どの企業も若手は確保したい人材です。第二新卒で働いた期間が短いため経験が浅いと心配になるかもしれませんが、その分伸び代が大きいと考えることもできますよ。

生活コストの削減も？ Uターン転職のメリット5選

都会を離れて地元に戻るUターン転職を検討しているときは、都会での生活よりも地元での暮らしに魅力を感じている部分があるのではないでしょうか。

一度地元を離れたことでわかる良さもありますよね。地元の企業で働くことは経済的な面をはじめ、都会で働くこととは違うメリットが数多くあります。地元で働くほうがワークライフバランス的に自身の価値観に合っているケースもありますよ。

ここからは、Uターン転職の5つのメリットを解説していきます。自分自身がUターン転職に何を求めているか整理するためにも、一つずつチェックしていきましょう。

①仕事を通じて地元に貢献できる

Uターン転職することのメリットの一つとして、仕事を通じて生まれ育った地元に貢献できるという点が挙げられます。

特に地方に戻る場合は、地方自治体には若者の流出の課題を抱えているところも多いなかで、第二新卒のような若手が地元に戻ることは地域にとっては喜ばしいことです。大学で学んだことや、就職で身に付けたスキルを地元で働くことで還元することもできますよ。

②慣れ親しんだ土地で生活できる

進学や就職を機に地元を離れた人のなかには、帰省したときに「やっぱり地元は落ち着くな」と思った経験がある人は多いのではないでしょうか。Uターン転職は、慣れ親しんだ土地で生活できるのも魅力の一つです。

故郷であれば、仲の良い友人も都会より地元のほうがたくさんいるという人も多いですよね。地元とは違う場所で生活しているとなかなか会えなかった友人に会う機会を増やすこともできます。

③実家に住む場合は家賃などの生活費が抑えられる

Uターン転職には、実家に住む場合に限った話ではあるものの、家賃が抑えられて生活費にゆとりができるといった経済的なメリットがあります。

一人暮らしを続ける場合でも、たとえば東京と比較すると地方の家賃相場のほうが安いので、差額を貯金したり趣味に使ったりすることもできますよ。地元が大阪や名古屋という人も東京に比べれば家賃の安さを感じられるはずです。

④もともと持っている人脈を仕事で活かせる

Uターン転職では、仕事面でも古くからの人脈を活かせる可能性があります。

必ずしも地元の人脈を仕事に活かさなければならないというわけではありませんが、営業職など人とかかわることが多い職種では人脈はとても重要です。

地元であれば友人が勤めている会社が取引先だったり、友人や親戚のつてで人を紹介してもらうなど、これまでのつながりを仕事でさらに広げていくこともできます。

⑤自治体から移住支援や補助金を受けられるケースがある

Uターン転職は、地方自治体が積極的に支援しており、補助金を受けられるケースもあります。活用できるものがあれば忘れずに申請したいですね。

国の補助金で地方自治体が窓口となっている「地方創生移住支援事業」では、東京23区に住むか勤務していて地方に移住した場合、単身で最大60万円の補助が受けられます。

事前に把握しよう！ Uターン転職で気をつけたい4つのポイント

Uターン転職はメリットばかりではなく、注意しなければいけないポイントもあります。

Uターン転職には、引っ越しなど生活環境の変化がともないます。転職してから後悔しても、通常の転職よりももとの環境に戻りづらいため、慎重に判断することが重要です。

ここからは、Uターン転職で気をつけたい4つのポイントについて解説していきます。事前に把握したうえで、転職を冷静に決断できるようにしましょう。

①転居をともなうため生活環境が大きく変わる

Uターン転職には地元への転居が必要になります。慣れ親しんだ土地に戻る分、楽しみもあるかもしれませんが、仕事の環境は大きく変わるので不安もありますよね。

土地勘があるので、実家の場合も一人暮らしの場合も生活のリズムは問題なく作ることができるでしょう。ただ、仕事は新しい会社で一から覚えなければならないこともあるため、それが負担となる可能性はあります。

「転職3カ月の壁」とも言われますが、転職直後は人間関係や仕事で悩む人も多く、「思っていたのと違った」「辞めたい」などと環境の変化から心がストレスを感じる可能性があることは注意したいポイントです。

②一般的な転職活動よりもスケジュールに余裕を持つ必要がある

Uターン転職をする場合は、一般的な転職活動よりもスケジュールに余裕を持つ必要があります。

今働いている職場と地元との距離にもよりますが、転職活動で都会と地元を往復するのにはそれなりに時間がかかりますよね。Web面接をとり入れている会社もありますが、すべての企業というわけではないので何回か行き来することは想定しておいたほうが良いです。

また、Uターン転職は引っ越し業者を決めたり、転出のための役所への届出など事務手続きが多く、時間を取られることも頭に入れておきましょう。

③都会から地方へのUターンの場合は生活の利便性が低くなる

都会から地方にUターン転職する場合、交通などの生活面で利便性が低くなる可能性があります。

もともと都会志向があって進学や就職をした人の場合は、Uターン転職をするとやっぱり都会のほうが良かったと思うことがあるかもしれません。

娯楽は都会のほうが多いので、趣味がライブなどのエンターテインメントやスポーツ観戦などの場合、公演数が少ない、他県に行かないと試合が観られないなど、不満に思うこともあり得ます。

④地方は大企業の求人が少ない可能性がある

Uターン転職をする場合、地方だと大企業の求人が少ない可能性があります。

中小企業庁がまとめた2021年6月時点の都道府県別の大企業の分布を見ると、全国に約1万社ある大企業のうち、約4600社は東京に集中しています。次に多いのが大阪で約970社です。

一方、東北地方だと仙台がある宮城を除く他県は40社程度、北陸だと60社ほど、四国で約40社、山陰は約20社となっています。そもそも企業数が都心部と比較すると圧倒的に少ないため、転職の求人が少なくなってしまうのは仕方がありません。

Uターン転職はキャリア的にも大きな決断！ 中長期的な視点で判断しよう

Uターン転職は勤務先と生活拠点が同時に変わり、働き方が変わるのでキャリア的にも大きな決断となります。

そのため、中長期的な視点で自分のやりたいことや理想の暮らしを整理して、Uターン転職がベストな選択肢と納得したうえで決めたいですよね。焦って決めたり、考えが定まらないうちに決めたりして、後悔することは避けたいです。

ここからは、Uターン転職がベストかを見極めるための考え方や、実際にUターン転職を決意した後の進め方について解説していきます。冷静に判断するために、一つずつ丁寧に見ていきましょう。

あなたにとってUターン転職は最適解？ ベストな選択肢か見極める5つの質問

自分にとってUターン転職がベストかどうかを判断するためには、自問自答して地元に戻って働く理由を明確にすることが大切です。

なぜ地元に戻りたいのか、どんな仕事をやりたいのかなど、自分に問いかけることでそれがUターン転職でないと実現できないものかどうか考えましょう。地元に戻ることに気持ちが傾いていても、一度フラットにして考えを整理することが大事ですよ。

ここからは、Uターン転職がベストな選択肢か見極めるための5つの質問を投げかけていきます。

まずUターン転職をしたい、地元へ戻りたい要因は何でしょうか。

Uターン転職は転居をともない時間もかかります。一度Uターン転職して、やっぱりもとの場所が良いと再び転職することもできますが、エネルギーが必要になります。

なんとなく地元で働きたいというようりも、この仕事がしたいなどはっきりとした要因を見つけるようにしましょう。

Uターン転職をして、やりたい仕事は明確になっているでしょうか。

たとえば、今の仕事が自分に合わないから地元に戻ってほかの仕事を探そうという気持ちがある場合、そのまま都会で転職先を探すことも選択肢として考えられます。「地元に戻ってこの仕事がしたい」とはっきりさせることが大切ですよ。

Uターン転職は転居をともなうため、生活環境も大きく変わります。ワークライフバランスも考えて将来設計はできているでしょうか。

地元に戻ったほうが通勤時間が短くなってほかのことに時間が使えるようになる、都会の人混みのストレスから解放されてゆったり生活できるなど、プラスになることもあります。仕事と生活の両方を考えて、Uターン転職が必要か判断することが大切ですよ。

5年後、10年後、20年後の理想の自分の姿をイメージして、Uターン転職によってそれが実現できるかどうかを考えていきましょう。ワークライフバランスを含めて将来について考えることによって、日々目標に近づいていくことにつながります。

キャリアビジョンの描き方については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

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自分が理想とする仕事や生活が現職のままでは実現が難しいか考えてみましょう。Uターン転職という大きな決断の前には、現状の問題点を整理することも大切です。

現職では将来的にやりたい仕事ができない、成長が見込めない、人間関係が悪いなど、さまざまな問題があるはずです。それが一時的なものなのか、対処すれば解消されるものなのかを考えることも重要ですよ。

よく考えると現職の問題を改善できて、理想を実現できる可能性もあります。考えずにUターン転職すると、現職で目標をかなえる機会を逃してしまうこともあり得ます。

配偶者や子どもがいる場合は、Uターン転職を決める前に十分話し合うことが大事です。

若い世代では単身で自分だけの決断で行動できる人も多いかもしれませんが、配偶者がいる場合は相手の仕事の都合もあり、子どもの幼稚園や学校など考えるべき要素が増えます。配偶者も同時に転職活動をすることも考えられます。

Uターン転職は家族にとっても環境が大きく変わるタイミングなので、納得して進められるようにしっかり話し合いましょう。

事前準備が成功のコツ！ Uターン転職の進め方4ステップ

Uターン転職が自分にとってベストな選択と決断したら、行動に移していきましょう。

Uターン転職はゆとりを持ったスケジュール調整が大切なので、事前の情報収集などの準備がカギとなります。理想の転職先を見つけられるように着実に進めていきましょう。

ここからは、具体的なUターン転職の進め方について4つのステップを解説していきます。

ステップ①地元の自治体のUターンに関する情報を集める

Uターン転職を決意したら、地元の自治体のUターン転職に関する情報を集めましょう。自治体主催の転職イベントや補助金にかかわる情報があります。

情報は道府県や市区町村のホームページをはじめ、イベントの専用サイトが開設されている場合もあります。UIJターン個別相談会というような形で、地方へのUターン転職に詳しいキャリアコンサルタントが都市部に出張し、相談に応じるイベントも開催されています。

ステップ②さまざまな方法を駆使して求人情報を収集する

希望のUターン転職先を探すためには、さまざまな方法を駆使して求人情報を集めることも大切です。

転職サイトやエージェントのなかにもUターンに特化したものがあります。また、都市部で開催される地方企業の合同説明会や、地元での転職セミナーに足を運んで、実際に企業の担当者の話を聞くのも良い機会となります。

ステップ③自分の将来設計に合った企業を見極めて選考を進める

求人情報のなかから希望のものがいくつか見つかったら、自分の将来設計に合っているかどうかを見極めて応募、選考へと進みましょう。

キャリアビジョンとライフプランに照らし合わせて、その企業で理想を実現できるか考えることが大切です。やりたい仕事ができるか、希望の給与水準を満たしているか、ワークライフバランスは保てそうかなど、重視する項目をチェックしていきましょう。

ステップ④入社と引っ越しの準備をする

希望の企業の内定を得ることができたら、Uターン転職のための入社と引っ越しの準備を進めましょう。

まず現職の上司に退職の意思を伝える必要があります。法律的には2週間前までに伝えれば大丈夫ですが、余裕を持って2カ月前くらいには伝えたいですね。その後の事務手続きや業務の引き継ぎにかかる時間も考慮して、円満退社を進めるためです。

引っ越しの準備も内定が出たら早めに進めましょう。特に年度末の時期と重なると、直前の場合は引っ越し業者が日程を確保できない恐れもあります。

退職の流れについては、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

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生活環境が大きく変わるUターン転職は、必要性をしっかりと見極めて決断することが大切です。地元で働くことは、都会とは違った喜びや成長を得られる面もあります。

Uターン転職を成功させて、仕事も私生活も充実させましょう。