目次
- 「一身上の都合」と伝えても理由を聞かれるときは伝え方を工夫して対処しよう!
- そもそも「一身上の都合」って? まずは基礎知識を身に付けよう!
- 個人的な事情による都合を表す「一身上の都合」
- 一身上の都合を理由に退職することは法律上問題ない
- 退職理由を「一身上の都合」と伝えても理由を聞かれる可能性は十分にある
- 理由を聞かれるときはどうする? 「一身上の都合」で退職したいときの対処法
- ポジティブ変換して前向きな退職というように伝える
- 建前の理由を用意しておく
- 「一身上の都合」で貫き通す
- 「一身上の都合」を深掘りする企業の意図って? シーン別の理由を解説
- 退職時:退職以外に方法がないか考えるため
- 面接時:同じ理由で退職する可能性がないかを確かめるため
- 内定辞退時:引き止めと今後の内定者フォローに活かすため
- 転職面接で「一身上の都合」を深掘りされたときに備える3ステップ
- ①前職を退職するにいたった理由を整理する
- ②退職の決断を反省点としてとらえそこから学んだことを整理する
- ③得られた学びを活かして志望企業でどう働きたいかを考える
- フォーマットつきで解説! 「一身上の都合」を退職理由とする際の書類の書き方
- 退職願・退職届を提出するとき
- 履歴書・職務経歴書を書くとき
- 明確な理由が必須! 転職時に 「一身上の都合」が使えない2つのケース
- 面接で退職理由を聞かれた場合
- 会社都合で退職した場合
- 「一身上の都合」と「会社都合」では失業給付に違いがある!
- 「一身上の都合」はシーンごとに使い分けてスムーズに次に進んでいこう
「一身上の都合」と伝えても理由を聞かれるときは伝え方を工夫して対処しよう!
こんにちは、キャリアアドバイザーの今井です。
「なるべく企業に仕事を辞める理由を伝えたくない……」そんなふうに考えている人から、よくこんな相談をもらいます。
退職を申し出るには少なからず勇気が要りますよね。それが仮にネガティブな理由で辞めるとなると、言いにくいこともあるでしょう。
これから退職をする企業に対し、細かい理由を伝える義務はありません。ただし、円満退社をしたいなら伝え方を工夫することが大切です。また転職面接ではほぼ必ず退職理由を深堀りされます。「一身上の都合」で押し通すとイメージダウンにつながる可能性があるので、対策が必要ですよ。
この記事では、キャリアアドバイザーのアドバイスを交えて退職する企業に「一身上の都合」の理由を深掘りされた場合の対処法や、転職面接での答え方について解説していきます。
そもそも「一身上の都合」って? まずは基礎知識を身に付けよう!
あなたは「一身上の都合」の正しい意味を理解しているでしょうか? まずはその意味を理解して、あなたの退職理由が「一身上の都合」に当てはまるのかどうかを確認してみましょう。
ここからは「一身上の都合」についての基礎知識を解説していきます。あわせて「退職理由を伝えないことは法律上問題はないのか」「一身上の都合と伝えても理由を聞かれる場合はあるのか」について解説しているので、欠かさずにチェックしてくださいね。
個人的な事情による都合を表す「一身上の都合」
「一身上」とは、自分自身に関する事柄を表す言葉です。つまり「一身上の都合」とは個人的な事情による都合を指すものですよ。
たとえば労働環境の改善や病気・ケガ、ほかにやりたいことが見つかったことを理由に仕事を辞める場合が当てはまります。
また自分自身のことだけでなく、家族の介護や病気による退職の場合も「一身上の都合」に含まれます。「会社都合でやむを得ず辞める」ではなく、自分自身で退職を決断した際は「一身上の都合」に言い替えることができますよ。
米田 有希
一身上の都合を理由に退職することは法律上問題ない
「できれば退職理由を企業に伝えたくない……」そんなふうに思った時、それが法律上問題ないのか不安に思うこともありますよね。
「一身上の都合」とだけ理由を伝えて退職をすることは、法律上まったく問題ありません。もし言いにくいなら、企業には詳しい理由を伝えずに退職することもできますよ。
本田 百合香
ただし、退職理由を聞かれたとき「一身上の都合です」で押し通すことがトラブルの原因になることも0とは言えません。「一身上の都合」で退職するときでも、その伝え方には注意が必要ですよ。
退職理由を「一身上の都合」と伝えても理由を聞かれる可能性は十分にある
退職理由を一身上の都合と伝えているのに、理由を聞かれることはあるのか? ここが気になるポイントですよね。結論から言えば、退職理由を聞かれる可能性は十分にあります。
退職の意向を伝えた上司からも、深掘りはされなくとも一度は聞かれると思っておきましょう。同じ職場で働いていた仲間にも「どうして辞めるの? 」と聞かれることがあるかもしれません。
また忘れてはいけないのは、転職する際の面接でもほぼ必ず退職理由を聞かれるということです。ここは面接のなかでも多くの企業が注目しているポイントなので、しっかりと対策を立てておくことが大切ですよ。
松下 建都
退職理由を聞かれても、責められているわけではないことは覚えておきましょう。純粋に理由が知りたかったり、就活においては企業とのマッチ度を見極めるために聞かれている場合が多いですよ。
理由を聞かれるときはどうする? 「一身上の都合」で退職したいときの対処法
前の内容で解説したとおり、「一身上の都合で退職します」と伝えた場合でもその理由を聞かれるシーンは多くあるでしょう。もしネガティブな事情なら、正直に答えたくない場合もありますよね。
ここからは、退職理由を聞かれるときに備えた対処法を解説していきます。退職時のストレスを最低限にするためにも、ここからの内容を参考にしてみてくださいね。
ポジティブ変換して前向きな退職というように伝える
退職理由がネガティブな理由の場合は、ポジティブ変換できないかを考えてみましょう。ポジティブな退職理由なら、周囲にマイナスな印象を残す可能性を抑えることができます。企業側もあなたがポジティブな理由で転職をするなら、むやみな引き止めはしないでしょう。
たとえば業務内容に不満があるなら「ほかにやりたいことが見つかった」、裁量権に関する不満があるなら「もっと多くの仕事に挑戦してスキルを磨きたい」と「〇〇がしたい」で退職理由を伝える意識をしてみてください。
米田 有希
前向きな退職理由なら伝えた相手にマイナスなイメージを持たれることなく、むしろ背中を押してもらえる場合もありますよ。
- 業務内容に不満がある→ほかにやりたいことが見つかった
- 裁量権に関する不満がある→もっと多くの仕事に挑戦してスキルを磨きたい
建前の理由を用意しておく
どうしても退職理由を伝えるのが難しい場合は、理由を聞かれる場合に備えて建前の理由を用意しておくことも手段の一つです。
たとえば親の介護や体調不良など、事実でないことであったとしても企業側が引き止めにくく、あなた自身も後ろめたく思う必要のない理由を作ることもできます。あくまで建前の理由なので、必ずしも事実を伝える必要はありませんよ。
本田 百合香
「退職理由が言いにくい」という理由で気を病んでしまったり、選択肢を狭めてしまうのは避けたいですよね。またトラブルを防ぐためにも、こうした建前が必要になることもありますよ。
- 親の介護をするため
- 体調があまり良くなく療養するため
- パートナーの転勤に伴う引越しのため
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民法では雇用の解約について、2週間以上前に退職する意思を伝えておけば退職は成立するとされています。退職の理由を伝える義務もありません。つまり、退職理由で嘘をついても法的には問題ないということです。
けれど今の職場に事実でない退職理由だとバレた場合、余計なトラブルに発展する可能性があります。特に「病気になった」「実家の家業を継ぐ」といった理由は後々本当かどうか判断しやすいため、嘘だとバレるリスクは高まります。
建前の理由は自分にしか本当か判断できない内容がベター
「ほかにやりたい仕事がある」「キャリアアップしたい」など、本当かどうかを自分でしか判断できない内容であれば、建前だと思われる可能性はほぼありません。また前向きな理由でもあるので、企業側も不快にならずトラブルにも発展しにくいでしょう。
転職先に退職理由を伝える場合、内容が事実でないと思われてしまえば内定をもらうことはできません。上記同様に前向きな理由なら「建前の理由なのでは」と思われるリスクは少なく、企業側に好印象を残すこともできるのでおすすめですよ。
「一身上の都合」で貫き通す
退職理由のポジティブ変換が難しく、どうしても建前で伝えることもしたくない……そんなときは、何を聞かれようとも「一身上の都合」で貫き通すこともできます。ただこの方法にはリスクがあることも忘れないでくださいね。
というのも、やはり頑なに理由を伝えずにいるのは余計な憶測をされる原因になってしまったり、最悪の場合トラブルに発展したりする可能性があるからです。伝え方にもよりますが、円満退社できる可能性が下がってしまうと思っておきましょう。
米田 有希
退職するといってもすぐに辞められるわけではなく、また退職に際して少なからず周りの人の負担になることもあります。できるだけトラブルがないように配慮をすることも大切ですよ。
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リスクを承知のうえでどうしても理由を言いたくない場合、できる限りトラブルを生まない方法として、正直に「理由を話したくない」と伝えるのも一つの手段です。理由を言いたくないという意思をはっきりと伝える方が企業側は納得でき、しつこく引き止められるようなこともなくなるでしょう。
また退職の意思を伝えた後も、実際に退職するまではしっかりと役割を全うすることが重要です。「どうせ退職するから仕事も適当で良いや」という姿勢は必ず周囲に伝わります。退職理由を言わないことで企業側に不信感を抱かせる場合もあり、重ねて適当な態度を取ってしまうと円満退社はしづらくなります。
与えられている役割はもちろん、業務の引継ぎまで丁寧におこなうなど、退職する日まで真摯な姿勢を見せることが円満退社を実現するうえでは非常に大切ですよ。
「一身上の都合」を深掘りする企業の意図って? シーン別の理由を解説
トラブルなくスムーズに退職理由を伝えるには、「一身上の都合」を深掘りして聞いてくる相手の意図を理解することが大切です。意図に沿った簡潔でわかりやすい回答をして、退職理由を伝える際の精神的な負担をできるだけ少なくしましょう。
ここからは、「一身上の都合」を深掘りする企業の意図を説明します。「一身上の都合」で内定辞退の連絡をした際に理由を聞かれた場合も解説しているので、転職活動のときに役立ててくださいね。
退職時:退職以外に方法がないか考えるため
企業に退職を申し出た時、ほぼ必ず退職理由を聞かれるでしょう。そこには「退職以外にあなたの希望をかなえる方法はないか」と考える意図がある場合が多いですよ。
また退職者が出たら、あなたの上司はその旨や理由を企業に報告する必要があります。社内に何かしらの問題があるならそれを改善するためにも、退職を希望する社員に理由を聞くのです。
もし退職をする確固とした意志があり、できるだけ引き止めにあいたくないなら「転職なしには希望をかなえられない」と思えるような理由を伝えましょう。もしくは前の内容で解説したような前向きな理由や、建前の理由を用意しておくのもおすすめです。
松下 建都
ここで「一身上の都合」で押し通そうとすると、余計に深掘りされてしまったり相手に嫌な思いをさせてしまう可能性もあります。円満退社をしたい場合は、退職理由の伝え方には注意しましょうね。
- その企業では実現の余地がない希望があることを伝える
- ポジティブ変換した前向きな退職理由を伝える
- 建前の理由を用意しておく
面接時:同じ理由で退職する可能性がないかを確かめるため
選考書類に「一身上の都合」と書いたとしても、面接の場ではほぼ確実に理由を聞かれるでしょう。ただこれにはしっかりとした意味があるのです。
もしあなたが退職をした原因になるものが転職先にもあったら、また仕事を辞めることになってしまうかもしれません。企業側もそれを理解しているからこそ、あなたが前職を辞めた原因を知りたいと思っています。
せっかく採用した人がすぐに辞めてしまっては、企業側もかけた採用コストが無駄になりますよね。お互いにミスマッチな選択をしないためにも、明確な退職理由を確認しておくことは重要です。
本田 百合香
どんなに企業研究を重ねたとしても、そこで働いている人にしかわからないことはたくさんあります。あなた自身が入社後に後悔しないためにも、退職理由はしっかりと伝えましょう。
- 自分:入社後にミスマッチが判明し同じことに悩まされる可能性がある
- 企業:せっかく採用した社員が早々に辞めてしまい採用コストが無駄になる可能性がある
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
どうしても転職先の企業に退職理由を言いづらく、面接で濁したとしても、企業側から無理に理由を深掘りされる可能性は0ではありません。ミスマッチによる早期離職は企業側にとっても非常に大きなデメリットとなるため、選考を通じて適性などを慎重に見極めるためです。
自社との相性や長期的な定着を判断するために重要な質問となるのが前職の退職理由であり、具体的な回答を必要としている企業も少なくありません。このような企業側の事情を考えると、可能であれば具体的な退職理由を伝える方が、選考を突破できる確率は高まります。
とはいえ、決して無理に退職理由を答える必要はありません。退職理由以外にも、あなたと自社の相性を見極めるポイントはいくつもあります。具体的な退職理由を伝えずとも、そのほかの部分であなたを評価してくれる企業に入社するのも一つの方法ですよ。
内定辞退時:引き止めと今後の内定者フォローに活かすため
転職活動を始めると、一度に多くの企業に応募することもあるでしょう。複数の企業から内定が出た場合は、内定辞退の連絡をする機会もあるはずです。その場合でも「一身上の都合」と伝えることができますよ。
またこのときにも理由を聞かれることがあります。これには「可能なら引き止めたい」という意図がある場合が多いですね。
時間とコストをかけて採用したからには、できればあなたに入社してもらいたい気持ちが強いでしょう。あなたを優秀な人材と見込んで内定を出しているので、引き止めの余地がないかを確認している可能性があるのです。
もしくは内定辞退を決意したあなたの意見を、今後の内定者フォローに活かしたいと考えている可能性もあります。あなたが抱いた不安や不満を、同じように感じる人への適切なフォローに役立てるためですね。
松下 建都
引き止めにあわないためには、内定辞退を決意した理由をしっかりと伝えることが大切です。とはいえ特に待遇面が理由となると伝えにくいこともありますよね。そんなときは、建前の理由を用意しておくのが良いですよ。
- 内定辞退を決意した理由をしっかりと伝える
- 建前の理由を用意しておく
転職面接で「一身上の都合」を深掘りされたときに備える3ステップ
転職面接では、退職理由をほぼ必ず聞かれます。明確な退職理由が答えられないと、企業に不安を抱かれる可能性がありますよ。転職を考えているなら、面接で「一身上の都合」を深掘りされたときに備えた準備をしておきましょう。
ここからは、転職の際の面接で退職理由を聞かれる場合に困らないための事前準備を3ステップで解説していきます。
①前職を退職するにいたった理由を整理する
- 転職しないと解消できない理由をピックアップする
- 志望動機と矛盾していないかを確認する
明確な退職理由を伝えるためには、まず前職を退職する決断をした理由やきっかけを整理しておく必要があります。「働いていてストレスを感じたことは何か」「どんなことに不満を抱いていたのか」を整理し、言語化しましょう。
このとき前職でも不満を解消する余地のある内容だと「わざわざ退職しなくても良かったのでは」と疑問を抱かれてしまうので、転職をしない限り解決できない理由をピックアップしてくださいね。
米田 有希
退職理由が志望動機と矛盾していないかどうかも要チェックです。この点が噛み合わないと「自社では希望をかなえられない」と判断されてしまう可能性があります。
②退職の決断を反省点としてとらえそこから学んだことを整理する
退職する理由が整理できたら、次はその経験を振り返り、あなた自身の反省点と考えられる部分はなかったかを思い返してみてください。その反省から学びを得て、次の行動に活かせないかを考えましょう。
- 自分からのコミュニケーション不足によって起こったトラブルもあった→次は積極的にコミュニケーションを取ろう
- もっと気持ちにゆとりがあればトラブルを防げたかもしれない→気持ちにゆとりがないときこそ、その気持ちも含めて正直に伝えよう
うまくいかなかったことを振り返り、反省点を見つけることを意識してみてください。それをしっかりと企業に伝えることで、周りのせいにしない、自分を客観視できる人材だとアピールすることにもつながりますよ。
本田 百合香
退職理由を周りのせいにしてしまうと「自分勝手な人」という印象につながってしまうこともあります。あなた自身のイメージを下げないためにも、このステップは大切ですよ。
キャリアアドバイザーコメント松下 建都プロフィールをみる
どうしても反省点が見つからないのであれば、退職にいたった理由に何度も「なぜ」をぶつけて細分化する方法を試してみてください。
たとえば、退職する理由が「今の仕事が合わない」だった場合、なぜ今の仕事が合わないのかを考え、いくつでも良いので要因を洗い出します。それが「作業的な業務が苦手」だとして、さらにここで「なぜ作業的な業務が苦手なのか」を考え、飽き性の性格が原因だった場合、仕事と割り切って取り組めなかったことが反省点として挙げられますよね。
上記のように「なぜ」を何度もぶつけ退職の理由を細分化することで、理由がより具体的になり、反省点を見つけやすくなりますよ。
また退職にいたった理由を企業に伝える際には、ただ反省点として伝えるのではなくその反省をどのように改善していくのかまでセットで伝えることで、同じ失敗は繰り返さないという姿勢をアピールすることができます。
③得られた学びを活かして志望企業でどう働きたいかを考える
最後に、それを志望企業でどう活かしていくかを考えてみてください。退職理由を企業へのアピールにつなげることができ、好印象を残しやすくなります。
- コミュニケーションの大切さを学んだ:積極的にコミュニケーションをとり部署内外で連携する雰囲気の醸成に貢献したい
- 気持ちにゆとりがないときこそ周囲に相談する大切さを学んだ:うまくいかないときこそ連携しお互いを支え合う働き方をしてチームの結束を強めたい
仕事への価値観や前向きな意欲を伝えることができるので、志望企業の社風や業務内容に合わせた働き方を考えてみてくださいね。
フォーマットつきで解説! 「一身上の都合」を退職理由とする際の書類の書き方
退職願や選考書類を書くときには、書面で一身上の都合での退職であることを伝えます。相手からの印象が悪くならないよう、マナーを守った書類作成法も事前に確認しておきましょう。
ここからは、一身上の都合で退職する場合の書類の書き方をお手本つきで解説していきます。
退職願・退職届を提出するとき
- 退職届:退職の固い意志を会社に通告する場合や、すでに退職が決まったことを届け出るもの。原則として撤回ができない
- 退職願:「退職を認めてほしい」と企業に願い出るもの。企業に残る場合には撤回ができる
退職の意思を伝えるときは、退職願や退職届を提出する必要があります。内容に大きな違いはありませんが、退職願は退職を願い出るもので、相談をするようなニュアンスになりますよ。
一方退職届はすでに決定していることを報告するものなので、細かい書き方に微妙な違いがあります。画像を参考に状況に合わせた書類作成をしてくださいね。
このたび、一身上の都合により、勝手ながら20××年〇月〇日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
このたび、一身上の都合により、勝手ながら20××年〇月〇日をもって退職いたします。
履歴書・職務経歴書を書くとき
志望企業へ提出する履歴書や職務経歴書を書くときには、簡潔に「一身上の都合」とだけ書くことができます。
ただし前にも解説したとおり面接で詳しい理由を聞かれる可能性が高いので、明確な回答ができるように準備をしておきましょう。
より詳しい職務経歴書の書き方が知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。
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明確な理由が必須! 転職時に 「一身上の都合」が使えない2つのケース
基本的に退職理由を企業に詳しく説明する義務はなく、一身上の都合と伝えても問題はありません。ただしなかには例外もあります。面接で回答するときのほかに、会社都合での退職の場合にも「一身上の都合」にはしない方が良い場合がありますよ。
ここからは、「一身上の都合」を使わないのがおすすめの2つのケースについて解説していきます。
面接で退職理由を聞かれた場合
面接で退職理由を聞かれるシーンは多くあるでしょう。もちろん無理に理由を話す義務はありませんが、ここで明確な理由を伝えられなければ企業からの印象が下がってしまう可能性が高いですよ。
前にも解説したとおり、企業側はあなたのマッチ度を測ったり会社を早期離職してしまう可能性がないかを確かめるためにも退職理由を聞きます。採用可否を判断するための重要な指標なので、答えてもらえないことで採用に前向きになれない企業もあるでしょう。
松下 建都
面接の場で退職理由を聞かれたときは、できるだけ答えるのがおすすめです。あなた自身がミスマッチな選択をしないためにも、事前に前職を退職した理由を伝えておくことは大切ですよ。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
どうしても面接で退職理由を伝えたくないときは、前向きな転職理由を伝えることでイメージダウンをカバーしましょう。たとえば「今の企業に不満はないが、さらにキャリアアップするため」など、未来の話を中心とした退職理由を伝えることで、ポジティブな転職であることをアピールできます。
ここでポイントとなるのは、今の企業を否定しないということです。もし「人間関係」や「職場環境の悪さ」など、今の企業に対するネガティブな部分が退職理由の本音だったとしても、今働いている企業を下げるような発言は避けましょう。最悪の場合、不満の多い人や忍耐力のない人など、あなた自身のマイナスイメージにもつながりかねません。
またイメージダウンをカバーできる可能性はありますが、やはり多くの企業は退職理由を知りたがっています。無理をする必要はありませんが、選考を突破するためには素直に退職理由を伝える方が無難ですよ。
会社都合で退職した場合
- 会社が倒産した
- リストラにあった
- 契約期間が満了した
- ハラスメントを受けて退職を決意した
退職をする理由が、あなた個人の都合によるものでない場合もありますよね。それが会社都合での退職です。
会社の倒産やリストラ、契約期間満了はあなた自身が考えて判断をする余地もなく退職しなければなりません。このときは企業側からも会社都合での退職ということを認めてもらいましょう。
詳しくはこの先の内容で解説しているので、目をとおしておいてくださいね。
本田 百合香
会社でハラスメントを受けたのが理由で退職を決意したときも、会社都合と認められることがあります。可能な限り自分が該当するかどうかを確かめてみてくださいね。
「一身上の都合」と「会社都合」では失業給付に違いがある!
次の転職先が決まっていない状態で退職をする場合は、雇用保険の失業給付金を受け取ることができますよ。ただこの場合、一身上の都合での退職、つまり「自己都合」での退職と「会社都合」での退職とでは給付日数や受け取ることができる金額が変わってきます。
自己都合で退職した場合、ハローワークへ離職票を提出してから3カ月間の給付制限と最低7日間の待機期間が発生します。つまり最短でも失業給付を受け取るまでに3カ月と7日かかるのです。失業給付金の支給日数は90~150日、給付金の最大支給額は120万円となります。
一方会社都合の場合は、ハローワークへ離職票を提出してから最低7日間の待機期間後に支給されます。また給付金の支給日数は90~330日、最大支給額は270万円です。
企業に退職の意思を伝えるときは、このことをふまえて一身上の都合か会社都合かを判断する必要があります。自分で見極めるのが難しいときは、直接企業に問い合わせてみてくださいね。
ハローワークについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
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「一身上の都合」は理由を聞かれる可能性あり|就活での伝え方を伝授
企業に退職の意思を伝えるときに「一身上の都合」と伝えるのはアリなのか? 理由を聞かれることはあるのか? そう悩んでしまうことがありますよね。この記事では専門家のアドバイスを交えて「一身上の都合」で退職をする場合の注意点や上手な伝え方について解説していきます。
記事を読む
「一身上の都合」はシーンごとに使い分けてスムーズに次に進んでいこう
ここまで、退職理由を「一身上の都合」と伝える場合の注意点やトラブルのない伝え方について解説してきました。
退職理由を「一身上の都合」と伝えることにまったく問題はありません。ただしトラブルの原因をなくすためには、シーンに合わせて伝え方を工夫する必要がありますよ。
一緒に「一身上の都合」の上手な使い分け方法を知り、次のステップへスムーズに進んでいきましょう。
会社都合で退職以外の選択をする余地がなかった場合は、一身上の都合に当てはまらないこともあります。詳しくはこの先の内容で解説しているので、確認しておきましょう。