目次
- tracs(スカウター)は独自の対策が必要! 企業の意図を押さえることから始めよう
- まずはここから! tracsの基本情報を押さえよう
- 特徴:業界唯一の不適性検査
- 種類:4つの検査があり自由に組み合わせられる
- 導入企業:中小企業を中心に12,000社以上
- 受検方法:3つに分かれる
- 何を見てる? 企業が tracs(スカウター)を導入する4つの意図
- ①基礎的な学力が備わっているかを確認したい
- ②入社後の不活性人材を避けたい
- ③ストレス耐性の低い人材を避けたい
- ④離職しやすい傾向の人を見極めたい
- チェック内容も紹介! tracs(スカウター)の4つの検査内容
- ①能力検査(検査NR)
- ②資質検査(検査SS)
- ③精神検査(検査SB)
- ④定着検査(TT)
- 通過を目指す! tracsを攻略するための5つのポイント
- ①能力検査は通常のSPI対策をおこなう
- ②資質・精神・定着検査は回答に一貫性を持たせる
- ③できるだけポジティブに回答する
- ④ライスケールに気をつける
- ⑤独自の質問を押さえておく
- 厳選14選! tracsの検査ごとに出題例と回答のコツを紹介
- 言語系
- 非言語系
- 論理系
- tracsについて学生からよくある質問に回答!
- tracsを突破するには特徴の理解が重要! 5つのコツを押さえて攻略を目指そう
tracs(スカウター)は独自の対策が必要! 企業の意図を押さえることから始めよう
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく
「tracsって何ですか?」
「tracsの対策方法はありますか?」
といった質問を受けます。tracsの意味について知りたい学生や、tracsを対策する方法を知りたい学生もいるでしょう。tracsは適性検査の一つですが、SPIなどと比較すると実施している企業は多くないため、知らない学生も多いですよね。
そこでこの記事では、tracs(スカウター)とは何かについて説明していきます。企業の導入意図から対策方法についても解説しているので、tracsについて詳しく知らないという学生は、ぜひこの記事を最後まで読んで事前対策に役立ててくださいね。
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まずはここから! tracsの基本情報を押さえよう
最近、採用試験の一環としてtracsを利用する企業を見かけるようになりました。しかし、インターネットやSNSで調べてみてもtracsに関する情報が少なく、不安になった経験もあるのではないでしょうか。
ここからは、tracsとは何か、どんな特徴や種類があるのか、詳しく解説していきます。これから受ける企業にtracsが用いられているという場合には、ぜひ参考にしてみてくださいね。
特徴:業界唯一の不適性検査
tracsとは、企業が「人材採用で失敗しないための不適性検査」のことです。「入社してもすぐ辞める」「頑張らない」「成長しない」などといった不適切な人材かどうかを見極めるためのもので、通常の適性検査と比べ、ストレス耐性や離職リスクを測定する問題が多くなっているのが特徴です。
まずは不適性検査スカウターとはどういったものかを押さえるため、公式サイトもチェックしておきましょう。
不適性検査スカウター 公式サイト
適性検査を提供している企業は複数存在しますが、不適性検査は株式会社スカウターの提供する「tracs」しか現状存在していません。
そのため、不適性検査の対策は、これさえ把握できていれば問題ないといえるでしょう。
適性検査と不適性検査の違い
不適性検査であるスカウターと一般的な適性検査では、目的や受検項目に違いがあります。適性検査と不適性検査のおもな目的の違いは、以下の通りです。
- 適性検査:優秀な人材を見極めるだけでなく、入社後の配属にも活用するため
- 不適性検査:企業との相性の悪い人材を見極めて、入社後の早期離職のようなトラブルを防止するため
一般的な適性検査では能力検査と適性検査の2種類であることが多いですが、不適性検査では能力検査のほか、性格を見極める3つの適性検査があります。そのため、採用面接では見抜きづらい、「性格・価値観の部分で自社にマッチしていない人」を明らかにしやすくなり、ミスマッチを防げるのです。
種類:4つの検査があり自由に組み合わせられる
tracsには、下記4種類の検査があります。
- 能力検査(検査NR)
- 資質検査(検査SS)
- 精神分析(検査SB)
- 定着検査(検査TT)
目的に応じて自由に実施する項目を選択できるため、どの種類のテストを受検するかは企業ごとに異なります。1種類だけの場合もあれば、4種類すべてを受検する場合もあるのです。
キャリアアドバイザー
導入企業:中小企業を中心に12,000社以上
近年このtracsを採用に取り入れる企業が増え、中小企業を中心にスタートアップ企業から東証1部上場企業、士業、医院、自治体、官庁、NPOなど、32,000社以上が導入しています。
不適性検査結果の利用用途もさまざまで、不適性検査の結果を書類選考の一環として使っている企業もあれば、面接の補助ツールとしての利用にとどめている企業もあります。
受検方法:3つに分かれる
受検方法は、WEBテストと紙テストがあり、さらに紙テストは、回答用紙記入方式とマークシート回答方式の2パターンに分かれています。
- WEBテスト
WEB上で受検する方法です。インターネット環境があればどこでも受検可能なため、企業によっては、自宅で受検する場合、面接などの来社時に受検する場合があります。 - 紙テスト<回答用紙記入>
紙の設問冊子を配布し、設問冊子または専用の回答用紙に回答する方法です。基本面接などの来社時に受検します。 - 紙テスト<マークシート回答>
紙の設問冊子を配布し、マークシートに解答する方法です。会社説明会など、たくさんの受検者が同時に受検する場合が多いです。
キャリアアドバイザーコメント堀内 康太郎プロフィールをみる
tracsの最大の特徴は、性格の特性を調べる性格検査が最大で3つあることです。能力検査はほかのWebテストと同程度の量と内容ですが、性格検査は能力検査より項目数が多いので、性格や人柄の検査に重点を置いているといえます。
性格検査では受検者の物事に対する考え方などについて質問し、返答内容によって性格の特徴を把握します。性格検査の結果を踏まえて、受検者に向いている業務や職種、組織などの判断につなげるケースもあるのです。
tracsはほかの性格検査と比べて、一歩踏み込んだ特徴的な内容の質問があります。tracsを導入する企業の真意や質問項目などをチェックして、事前に対策を講じましょう。
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何を見てる? 企業が tracs(スカウター)を導入する4つの意図
就活生
企業側は、採用の一環としてなぜ「tracs(スカウター)」を利用しているのでしょう?
キャリアアドバイザー
合否の判断材料として使っている企業が多いですが、何を見ているのかは企業によって異なります。
候補者が自社にマッチしているかどうかは、学生時代の成績や履歴書だけで判断できるものではありません。そのため、より性格的な部分を検査できるtracsの実施が重宝されるのです。
企業がこの不適性検査スカウターを実施する意図は、大きく分けて4つ考えられます。
①基礎的な学力が備わっているかを確認したい
「tracs」では、候補者の基礎的な学力(言語能力・数図形能力)を測ることができます。業務をおこなううえでは、事務処理能力や理解力が求められるため、それらの能力に優れているかどうかを確認するために、能力検査(検査NR)をおこなうのです。
能力検査の問題は中学卒業程度の問題です。しかし、能力検査は基本的に「企業に合っているかどうか」ではなく「能力が高いかどうか」を検査するもののため、点数が高いに越したことはありません。きちんと対策してから臨みましょう。
キャリアアドバイザー
また、さまざまな検査項目がある「tracs」の中でも、能力検査のみを学生に課す企業も多いですよ。
②入社後の不活性人材を避けたい
不活性人材を避けることも企業がtracsを導入する理由の一つです。
不活性人材とは、何らかの事情によって組織のなかで本来のパフォーマンスを発揮し切れていない人材のことを指します。近年、リモートワークの普及や働き方改革によって、不活性人材に悩む企業が一気に増えました。
利益や成長を求める企業が、「働くモチベーションが低い」「常に受け身の姿勢」などといった不活性人材の採用を避けたいと思うのは当然のことです。特に中小企業にとって、採用や育成にかける金銭的かつ時間的コストの比重は大きくなり、より採用で失敗したくないと考えています。
不適性検査スカウターでは一般的な適性検査と比較して性格検査が多く、採用面接では見抜きづらい精神的な部分を明らかにしやすくなっています。その中でも特に、資質検査は潜在的な特性や性格がわかりやすくなっていて、これを活用することで不活性人材の採用を避けることができます。
③ストレス耐性の低い人材を避けたい
昨今メンタルヘルスケアの環境構築が進む一方、中小企業などでは心のバランスを崩してしまった人への対処が適切にできていないケースも多く、企業経営にとっては深刻な問題となっています。
そのため、採用段階からよりストレス耐性の高い人材を採用したいと考える企業が増えています。ただ、面接の中でストレス耐性があるかを見極めることは簡単ではありません。
そこでおもに不適性検査スカウターの精神分析を利用して、効率よく、精度高くストレス耐性を見極めたいと考えています。
たとえ、適性検査を突破できたとしても面接でストレス耐性の有無をチェックされるので、ストレス耐性があることをアピールする方法を把握しておきましょう。
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④離職しやすい傾向の人を見極めたい
企業は忙しい合間を縫って採用活動をおこないます。ようやく入社したにもかかわらず、ちょっとした理由で早期離職するケースは避けたいものです。
そこでおもに不適性検査スカウターの定着検査を利用して、早期離職してしまうリスクはどのくらいあるのか、何に対して職ストレスを感じやすいのか、自分なりのストレス発散方法を理解しているのかなどを測定することで、採用段階から離職傾向のある方を見極めたいと考えています。
キャリアアドバイザーコメント上村 京久プロフィールをみる
企業がtracsを導入する意図を踏まえると、導入企業は「業務に積極的に取り組み、打たれ強い人材に入社してほしい」「採用する人材には長期的に働いてほしい」と考えているという特徴があります。主体的に働いてくれる人材は、企業に良い貢献をもたらすことが多いからです。
tracs導入企業はツールも活用して判別したいと考えているほど、自社に合った学生が採用できるように慎重になっていると考えられます。
tracs合格後に受ける採用面接で、回答結果をもとに質問されることもあります。tracsを導入する企業の意図と特徴を理解して、求められている人物像をイメージしておきましょう。
チェック内容も紹介! tracs(スカウター)の4つの検査内容
就活生
tracsでは、どんな内容を検査されるんですか?
キャリアアドバイザー
tracsでは、おもに4つの項目で検査がおこなわれます。
それでは、tracsの4つの検査について、詳しくみていきましょう。
各検査におけるチェック内容についても紹介しています。こちらを確認すれば問題の傾向が把握できますよ。
①能力検査(検査NR)
能力検査(検査NR)は、基礎能力を判断するテストで、言語系と数図系の問題が測定されます。
- 回答時間:30分
- 回答形式:5肢択一式
- 設問数:30問
おおよそ「1問あたり1分」ですが、複雑で1分以上かかる問題もあります。わかる問題から解答し、確実に得点を取りましょう。問題の難易度は、中学校卒業程度の知識があれば解ける問題となります。事前対策では、SPIの言語・非言語の対策をしていれば、問題ありません。
また、テストを受ける際は下記を用意しておくと良いでしょう。
- 筆記用具
- 計算用紙
- 電卓
- 辞書
- 正方形の紙(折り紙など)※図形問題で使用
言語系
言語系では文法や文章の並び替え問題などの言語問題が約11問、論理問題が約4問出題されます。出題範囲が広いため、SPIの対策本などで、言語分野の勉強をしておきましょう。
- 文法問題(同訓異字、類義語、対義語、敬語、慣用句)
- 文章の並び替え
- 単語の法則性
- 文章読解能力と論理的思考が試される推論の問題
(例)○○が正しいとすれば、必ず正しいといえるものは次のうちどれか。
数図系
数図系は計算問題や空間把握などの問題を中心に約15問程度出題されるので 、SPIの対策本などで、非言語分野の対策をしておきましょう。
- 連立方程式
- 暗号、数列などの規則性
- 方角
- 場合の数・確率、集合
- 図表の読み取り
- 図形認識(展開図、折り曲げ、切り取り、規則性)
- 空間把握
tracsの出題範囲のうち、空間把握はSPIには含まれておりません。正方形の紙などを用意し、実際に組み立てる方法もありますが、時間がかかるのと数問しか出題されないため、時間不足になるのは避けましょう。
キャリアアドバイザー
わからなければ一旦答えを記入して先に進み、時間が余れば戻って考えるようにしましょう。
②資質検査(検査SS)
資質検査は臨床心理学と行動科学に基づき、面接だけでは見極めにくい潜在的な特徴を明らかにする適性検査です。
- 回答時間:15~20分
- 回答形式:5肢択一式
- 設問数:150問
性格や価値観、職務適性といった一般的な適性検査の内容を含むほか、性格や意欲、ネガティブ傾向などが判定されます。また、虚偽回答と予測される度合いを10段階で測定されるため、一貫性のない解答はすぐにバレてしまいます。できる限り正直に解答するようにしましょう。
資質検査では、以下8項目が検査されます。
- 性格の傾向
- 意欲の傾向
- 思考力の傾向
- ストレス耐性
- 価値観の傾向
- ネガティブ傾向
- 職務適性
- 戦闘力
性格の傾向
以下7項目の分析で、その人の性格や個性の傾向がわかります。
分析項目 | 測定内容 |
活動性 | 考えるよりも先に行動することを優先するのか、それとも行動するよりもまずは考えることを優先するのかという傾向を測定 |
社交性 | 多くの人とかかわることに楽しさや喜びを感じるのか、他社とは関わりを持たないことを好むのかという傾向を測定 |
慎重性 | 繊細さ、気難しさ、神経質さの傾向を測定 |
新奇性 | 新しいものを好み、未知のモノに反応する傾向を測定 |
固執性 | こだわり、固執、頑固に反応する傾向を測定 |
主体性 | モノゴトへの取り組みにあたり、自分の意志を重視する傾向を測定 |
決断性 | 結論を求め、自己の考えをはっきりさせようとする傾向を測定 |
キャリアアドバイザー
結果による良し悪しはありませんが、各項目の数値の高低によってその人の強み・弱みがわかるため、仕事内容の向き不向きが判断などに使用されますよ。
意欲の傾向
以下7項目の分析で、どれだけ自らの意志によって積極的に仕事に取り組めるのか、それだけ進んで学習できるのかがわかります。
分析項目 | 測定内容 |
向上欲求 | 自己成長・向上しようという意欲 |
挑戦欲求 | 困難や目標にチャレンジしようという意欲 |
自律欲求 | 自分の意思で物事に取り組もうという意欲 |
探究欲求 | 本質や理由・メカニズムを知ろうという意欲 |
啓発欲求 | 他者に良い影響を与えようという意欲 |
承認欲求 | 役割を果たし他者に認められようとする意欲 |
エネルギー | 総合的な活動意欲の強さ。意欲の総合判定 |
どの数値が重視されるかは、仕事内容によっても異なります。たとえば自主性が求められる仕事は意欲が高い方が良いとされますが、定型的な仕事は意欲が低い方が定着率が良い場合もあるため、一概に数値が高ければ良いというわけではありませんよ。
思考力の傾向
以下4項目で、思考や意志、感覚、感情に基づく能力がわかります。
分析項目 | 測定内容 |
直観力 | 抽象的な事柄や概念的な本質を感覚的に捉える力。直感力が高い場合、コミュニケーションなどで場の空気を読めたり、抽象的な事柄を認識する能力が高いと判断されます。 |
論理力 | 筋道立てて思考し、物事を論理的・定量的に捉える力。論理力が高い場合、既知の方法論やノウハウを応用するための能力が高いと判断されます。 |
実行力 | 具体的に計画を立てて行動し遂行する意志力。実行力が高い場合、仕事の進行を具体化・計画化したり、プロジェクトを予定通りに進める力があると判断されます。 |
共感力 | 他者の心理や感情を感知し汲み取る力です。共感力が高い場合、他者に配慮や気遣いをし、良好な人間関係を築こうとするための能力があると判断されます。 |
点数が高いから良い、低いから悪いというわけではなく、どの要素が求められるかは仕事の内容によって異なります。たとえば、エンジニア職では直感力よりも論理力が重要視される一方で、デザイナー職では論理力よりも直感力を重視されることが多いです。
ストレス耐性
ストレス耐性やストレスを受けたときにどういった反応になるかが測定可能です。
精神面と身体面それぞれにおいて、どの程度ストレスに耐える強さがあるのかを測定します。一般的に、ストレス耐性が強いと判断されるのが望ましいです。
価値観の傾向
自分にとっての働くことの意義や価値の傾向がわかります。
分析項目 | 測定内容 |
公益志向 | 人の役に立つことに働く価値を感じる度合い |
成長志向 | 自己の能力向上に働く価値を感じる度合い |
金権志向 | お金を稼ぐことに働く価値を感じる度合い |
享楽志向 | 娯楽的な面白さに働く価値を感じる度合い |
安定志向 | 生活・収入の安定に働く価値を感じる度合い |
結果の数値の高低に良い悪いはありませんが、その数値により、志望企業の社風や仕事の性質に合うかが判断されます。
ネガティブ傾向
働くうえでマイナス要因となる心理・情緒、パーソナリティ面の傾向がわかります。
分析項目 | 測定内容 |
非自尊傾向 | 自尊心が低く自己卑下する傾向 |
気分傾向 | 気分の浮き沈みや感情の変化が極端に起こりやすい傾向 |
悲観傾向 | 未来の出来事に対してうまく行かないと捉える傾向 |
非倫理傾向 | 他者に対する思いやりに欠ける自分本くらいな判断や行動や、目的達成のためであれば手段は選ばないといった傾向 |
モラトリアム傾向 | 目標ややりがいを見失い、生き方に迷っている傾向 |
不適応傾向 | 環境に適応しにくく、集団になじみにくい傾向 |
一定の水準以上の場合、数値が高いほど、定着率、成長率、生産性、仕事上のパフォーマンス、人間関係上のトラブルなどといった面で、弊害やトラブルの確率が高いと判断されます。
職務適性
仕事するうえで要求される個性や能力の職務適性が測定されます。
以下8つの職務特性の観点から検査することで、仕事への向き不向きを判定することが可能です。
- 人間関係を築いていく職務
- フットワークの軽さを必要とする職務
- リーダーシップを必要とする職務
- 過去に事例のない新しい職務
- 反復・継続的な職務
- 企画力や創造力を必要とする職務
- 丁寧さ注意深さを必要とする職務
- 情報を集め問題を分析する職務
得点の高い低いに良し悪しはなく、どのような仕事内容が合っているのかを検討する際に役立ちます。
戦闘力
意欲や思考力、ストレス耐性、攻撃的な性質などを掛け合わせた総合力を測定し、ビジネスにおける戦闘力や競争力の高さを見極めます。
ただし、戦闘力が高いと組織内で周囲との争いごとや摩擦が生じる可能性もあります。その一方で、戦闘力が低いことで仕事がスムーズに進まないケースも少なくありません。
そのため、得点の高低に良し悪しはなく、周囲との関係性や仕事内容における向き不向きの判断で使われます。
③精神検査(検査SB)
精神検査は、心理分析と統計学に基づき、面接だけでは見極めづらいメンタル面の潜在的な負の傾向を明らかにする適性検査です。
- 回答時間:10~15分
- 回答形式:5肢択一式
- 設問数:100問
仕事を進めるうえでのストレス耐性やメンタルの強さなどが検査されています。また、虚偽回答と予測される度合いを5段階で測定されるため、一貫性のない解答はすぐにバレてしまいます。できる限り正直に解答するようにしましょう。
精神検査では、以下4項目が検査されます。
- 精神状態の傾向
- ストレス要因
- 負因性質(トラブルを起こしやすいか)
- ストレス度
精神状態の傾向
現在どういった精神状態かがわかります。
うつ傾向、非定型うつ傾向、仮面うつ傾向、失感情傾向、境界傾向、演技傾向、自己愛傾向、強迫傾向、回避傾向、妄想傾向など、問題行動やトラブルの引き金になり得る精神状態の傾向を測定します。
精神状態の傾向の得点が高い場合、精神面に何らかの不調があると判断されますが、あくまでも現在の精神状態を表しているだけで、それ自体が問題ということにはなりません。
ストレス要因
働くうえで精神的に強い負担となるストレス要因が測定されます。
以下4つの項目に対するストレスの度合いが判断されます。
- 対人関係
- 仕事の責任
- 環境の変化
- 仕事量
その人がどんな部分にストレスを感じるかを明確にすることで、企業は適切な部署やチームの配置ができるようになります。また、自分のストレスの原因を知っておくことで、いざストレスを感じた際にどう対処すべきかが明確に判断できるようになりますよ。
負因性質(トラブルを起こしやすいか)
職場のトラブルや問題行動の原因となりやすい特性があるかがわかります。
常識的な行動ができるかについて以下4つの尺度から判断され、トラブルを起こしやすいとなれば、不採用基準であると判断されます。
- ストレスに弱いか、精神的に脆いか
- 欲求不満を溜め込むタイプか
- 集中力や注意力があるか
- 倫理・道徳感があるか
ストレス度
現在、周囲からストレスを受けているか、もしくは知らずのうちに心身がストレスを感じているかなどがわかります。
ストレス度の得点が高い場合、職場または私生活で強いストレスにさらされ心の負担を感じていることになります。
ストレス度が高い場合、不採用基準であると判断されます。
④定着検査(TT)
定着検査は、離職率を抑えることを目的として実施される適性検査です。
- 回答時間:10~15分
- 回答形式:5肢択一式
- 設問数:100問
離職率をメインとした検査であり、仕事でのストレスを感じやすい原因やストレスに対する対応力などが、以下6項目で判断されます。
- 離職の傾向
- 離職ストレス要因
- ストレス感受性
- ストレス習慣
- ストレス対処スキル
- 対話スキル
また、虚偽回答と予測される度合いを5段階で測定されるため、一貫性のない解答はすぐにバレてしまいます。できる限り正直に解答するようにしましょう。
離職の傾向
離職の傾向では、離職と定着に関するリスクの度合いがわかります。測定は、「離職リスク度」「定着リスク度」の2つの尺度でおこなわれます。
- 離職リスク度:在職中の従業員が離職に至ってしまうリスク度合いを測定
- 定着リスク度:在職中・離職中にかかわらず、職場に定着しにくい度合いを測定
定着率を重視する企業では、この項目の得点が低いとマイナス評価につながる可能性が高いですよ。
離職ストレス要因
離職ストレス要因では、離職に至る原因となる職場のストレス要因に対し、現在のストレスの度合いがわかります。測定は、在職中の労働者が離職に至る原因となる職場のストレスの主要10項目のストレス(不満)状態ではかります。
- 仕事の質
- 仕事の量
- 仕事の適性
- 自己の成長
- 顧客との関係
- 職場の人間関係
- 自分への評価
- 環境の変化
- 将来性
- 雇用の安定性
キャリアアドバイザー
なお、基本的に在職中の離職原因についての尺度となるため、入社前はあまり気にしなくて良いでしょう。
ストレス感受性
ストレス感受性では、自らストレスを生じさせてしまう特性について、以下5つの尺度で測定されます。
- 人目や恥に対して過剰に反応するか
- 物事を悲観的に捉えるか
- 完璧主義か
- 怒りを抱えやすい、また他者に対して攻撃的か
- 感情的な偏りが強いか
ストレス感受性が高いと判断された場合、日常生活でのストレスなどが仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。自分のストレス解消法を持っているかが重要です。
ストレス習慣
ストレス習慣で評価されるのは、ストレスが発生した際に、どのようにしてストレスを増やしてしまうかです。以下3つの尺度で測定されます。
- 自分で自分のあやまちを責めるか
- 非現実的な願望を夢想する習慣があるか
- 問題から逃避する傾向にあるか
この数値が高いと、ストレスが生じたときにそのストレスを増加させてしまう傾向にあります。そのため、一般的には点数が低いほうが望ましいです。
ストレス対処スキル
ストレス対処スキルでは、ストレスが発生した際に、ストレスの悪影響を軽減したり・解消したりする努力ができるかについて、以下3つの尺度で測定されます。
- 現状分析し、問題を解決する行動ができるか
- 事象の捉え方を変え、心理状態を落ち着けることができるか
- 他者に援助や共感、理解を求めることができるか
ストレス対処スキルが高い=自身で適切にストレスを解消できるということなので、一般的には高いほうが良いといわれています。
対話スキル
対話スキルでは、継続的で良好な人間関係を築くためのコミュニケーション能力がわかります。
対話スキルは以下3つの尺度で判定され、得点が高い方が職場環境において良好な関係を築くことができると判断できるため良いでしょう。
- 他者の意見や主張を受容的に聴くことができるか
- 自分の首領を他者に伝える力があるか
- 対人関係における負の感情を制御できるか
通過を目指す! tracsを攻略するための5つのポイント
上述の通り、不適性検査スカウターは、能力検査よりも適性検査が重要視されています。性格は、今まで培ってきた経験で醸成されているため、少しの対策で変えることは困難でしょう。もし、無理に自分を取り繕って解答してしまうと、虚偽解答と判断される恐れがあるため注意が必要です。
ただ、まったく対策できないわけではないので安心してください。選考を突破するためのポイントを5つ解説します。
①能力検査は通常のSPI対策をおこなう
不適性検査スカウターの能力検査は、中学卒業程度の難易度といわれています。出題範囲は広いですが、SPIの言語・非言語の対策をしていれば問題ありません。
なお、「空間把握」は、SPIになくて不適性検査スカウターにある問題ですが、数問しか出ません。そのため、SPI対策をしておけば十分です。
②資質・精神・定着検査は回答に一貫性を持たせる
不適性検査スカウターの適性検査では、虚偽回答の傾向が数値で示されます。資質検査は11段階、精神分析・定着検査は6段階で測定され、数値が高いほど虚偽回答の可能性が高いと判断されます。
- 資質検査:0~10の11段階
- 精神分析:0~5の6段階
- 定着検査:0~5の6段階
回答に一貫性を持たせるため、受検日直前にSPIなどの適性検査をするのも対策としておすすめです。事前に練習しておくことで解答をより明確にできますし、本番の問題傾向もある程度把握しやすくなるため、安心して臨みやすくなります。
③できるだけポジティブに回答する
多くの場合、適性検査の質問はストレートで「どちらを選べば正解か」がわかりやすくなっています。
たとえば、
- 仕事でストレスを感じやすいか
- 周りとコミュニケーションをとるのが苦手だ
などです。企業はストレスを感じづらい、周りとコミュニケーションをとるのが上手な人を採用したいと考えます。どういった人を採用したいのかを考え、できるだけポジティブに回答するようにしましょう。
④ライスケールに気をつける
ライスケールとは性格適性検査の判断基準の一つであり、その人の回答の虚偽を見るものです。「人生で⚪︎⚪︎」「今まで一度も⚪︎⚪︎」といった質問が出てきたら、ライスケール測定のための質問の可能性が高いです。
たとえば、
- 生まれてから今まで何かに失敗したことはない
- 生まれてから今まで一度も嘘をついたことはない
- 嫌いな人は過去も含めて一人もいない
などです。世の中に嘘を一度もついたことがない人もいるかもしれませんが、いいえ(=失敗したことがある、嘘をついたことがある、嫌いな人がいる)と答えるのが良いでしょう。
ライスケールの回答は一貫性が大事であり、同じ検査の中に類似する質問が出されることもあります。それらの質問に対しての解答が違っていれば、虚偽解答の可能性があるとみなされます。
上手に解答しようと意識するあまりに、解答がぶれてはいけないので、一貫性を意識して解答を進めていきましょう。
⑤独自の質問を押さえておく
不適正スカウターでは普通の性格検査では聞かれないような厳しい質問もあります。
- 蕁麻疹は出ないか
- 胃腸は弱くないか
- 無性に何かを壊したくなることはないか
などです。自社にマッチした人材を探すよりも、自社に合わない人を探すことを目的にしているためです。あまり深く考えず、回答するようにしましょう。
キャリアアドバイザーコメント長尾 美慧プロフィールをみる
tracsを攻略するための5つのポイントの中で特に大事なものは、「③できるだけポジティブに回答する」になります。企業はポジティブで前向きな学生を採用し、自社に貢献をしてほしいと考えているからです。
tracsでポジティブな性格かどうかが判別される項目だと感じたら、なるべくポジティブな回答をしましょう。そのためには、試験会場に入る前に好きな音楽を聞いたり、仲の良い人と電話したりして、気持ちがポジティブな状態になるよう調整しておくのがおすすめです。
企業は学生の人柄を重視して選考することを念頭において、tracsでは正直かつポジティブな回答になるよう心掛けましょうね。
厳選14選! tracsの検査ごとに出題例と回答のコツを紹介
- 言語系
- 非言語系
- 論理系
2023年12月現在、不適性検査スカウターの問題集や対策本は出ていません。言語系・非言語系については、SPI対策本やWebテストなどで事前に問題に慣れておくようにしましょう。
言語系
「言語」の得点は、いわゆる国語力に関する問題が約11問出題されます。SPIの対策本などで、言語分野の勉強をしておきましょう。
- 文法問題の出題傾向
・選択肢の中から敬語の使い方が間違っている個数を選ぶ問題 - 文章の並び替え
・選択肢の文章を並び変えて、文章を完成させる問題 - 単語の規則性
・二語の関係性を選択肢の中から選ぶ問題
非言語系
数図系では、連立方程式や暗号、数列、確率、図表の読み取り、図形問題など約15問が出題されます。 SPIの対策本などで、非言語分野の対策をしておきましょう。
- 連立方程式
・複数の式の関係性から、変数の値を求める問題 - 暗号
・提示された規則性から答えを導く問題 - 数列
・提示された数字の並びから規則性を読み取り、空洞に入る数字を導き出す問題 - 場合の数・確立
・ある事柄の起こりうる場合の総数や確率を求める問題 - 集合
・複数の集合に関する情報が与えられ、それをもとに答えを導く問題 - 図形
・提示された図形の並びから規則性を読み取り、空洞に入る図形を導き出す問題
論理系
推論の問題では与えられた情報から、正しい選択肢を選ぶことが求められます。
不適性検査スカウターでは1つの問題にかけることができる時間が約1分程度しかありません.、推論の出題パターンやポイントを把握し、制限時間内に解答できるようにしましょう。
- 論理問題
・複数人の発言から読み取れる事実を答える問題
・リーグ戦での情報から読み取れる事実を答える問題
キャリアアドバイザーコメント酒井 栞里プロフィールをみる
tracsの例題を解いて問題に慣れておくと、1問あたりにかかる時間がだいたい分かるようになります。「1分で回答するのは意外に難しいな」「数秒で解ける問題があるから、難問は2分弱かけられそう」など、本番に向けて時間配分の計画が立てやすくなります。
また資質・精神・定着検査は正解が考えにくいため、例題を解くときから偽りがない一貫した回答になるよう気を付けましょう。
さまざまな方向から質問されるため、取り繕おうとしすぎると、最後の方の回答では一貫性がなくなってきてしまうことも考えられます。落ち着いて、ポジティブな心持ちで回答を選ぶことが大切だと頭に入れておいてくださいね。
tracsについて学生からよくある質問に回答!
tracsは対策本などが出ておらず、気になっている学生が多いようです。その中でもよくいただく質問に回答します。
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tracsはどのような検査ですか?
tracsとは、「人材採用で失敗しないためにおこなわれる不適性検査」のことです。一般的な適性検査は優れた人材を見極めることを目的としていることに対し、不適性検査スカウターでは、不適性な人を見極めることを目的にしています。そのため、能力検査のほか、ストレス耐性や離職リスクを測定する問題が多くなっているのが特徴です。
適性検査は全部で3種類あり、それぞれストレス耐性や精神状態、離職の要因などを計ることができますよ。
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さまざまな適性検査がある中で企業がtracsを導入する意図は何ですか?
tracsを導入する企業が増えている理由は2つあります。まず1つめは、一般的な適性検査と比較して費用が安いことです。能力検査(言語・計数)だけなら無料で実施でき、もっとも高い資質検査でも800円程度と圧倒的に安いため、企業からすると非常に導入しやすいです。
そして2つめは、優秀な人材を見抜く適性検査と異なり、不適性検査スカウターは「その企業に合わない候補者を見抜く」という目的のため、性格を見抜くための検査項目が多くなっています。それにより企業にとって、長期で活躍してくれる人材を採用しやすくなります。
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tracsを受ける際はどのような点に注意すべきですか?
不適性検査スカウターの適性検査では、虚偽の解答に対しての分析も細かくされることになっています。回答は一貫性を持ち、正直に答えることが大切です。
tracsを突破するには特徴の理解が重要! 5つのコツを押さえて攻略を目指そう
近年導入企業が増加している、tracsについて紹介しました。導入企業が増え注目されているものの、不適性検査スカウターの問題集や対策本は出ていません。また、能力検査よりも性格検査が重要視されていることから、対策自体もしづらくなっています。
しかし、例題や問題集がないからといって、まったく対策できないわけではありません。過去のSPI試験で出題された能力検査・性格検査などを参考にして、問題の傾向を把握しておきましtracsの攻略を目指しましょう。
最も不適性を見抜けるとされている資質検査(検査SS)は、不適性検査スカウターの中でも多くの企業が利用しています。