転職は何歳までがライン？ 最新の市場動向と若手が有利な理由を解説

転職は何歳まで？ 動き出すべきタイミングを理解しよう

こんにちは。キャリアアドバイザーの今井です。

いずれは転職を考えているものの、タイミングについて悩んでいる人からこういった質問を受けることがあります。

「転職は何歳までできますか？」
「転職に有利な年齢や上限はあるのでしょうか。」

いま転職しないと遅いのか、逆にもうタイミングを逃してしまったのか、年齢とキャリアは密接に絡み合う要素だからこそ「転職は何歳までできるのか」は気になりますよね。

アドバイザーの意見としては、転職は何歳まででも可能です。たとえば30歳を超えたらもう転職はできない、といったような事実はありません。とはいえ年齢によって「企業からの見られ方」が変わるのも事実。動き出すべきタイミングだけはよく考える必要がありますよ。

この記事では、転職時における年齢別の企業からの見られ方や、では何歳を目標に転職すべきかを見極める方法などを解説していきます。冷静に状況を把握して、自分のキャリアをよく見つめながらどう動くか決めていきましょう。

転職における「年齢」の基本情報をチェック

まず最初に、転職市場における「年齢」についての基本情報をチェックしていきましょう。以前は「35歳転職限界説」などさまざまな年齢に関する噂が出回っていましたが、昨今の人手不足を受け、転職市場は刻一刻と変化してきています。

ここから解説していく転職者の平均年齢や転職率の多い年代などを知っておくことで、動き方の参考にすることができますよ。一緒に確認していきましょう。

転職者の平均年齢は「32.4歳」

転職サービスdodaが転職者の年齢について調査した「転職成功者の平均年齢調査【最新版】転職するなら何歳まで？ 年代別の転職活動のポイントは？」によると、2023年の転職者の平均年齢は32.4歳で、前年より0.2歳上昇しています。

また転職者数自体はすべての年代で増加しており、前年から124.2％アップしています。

こういったデータから考えると、市場の転職者数全体は増加傾向にあり、また転職する人の平均年齢も高くなってきていることがわかります。

「20代前半」の転職率は過去と比べ増加傾向

同じくdodaの転職者の平均年齢調査によると、2023年の20代前半の転職者数は2022年から144.9％にアップしており、転職者数全体に対する割合においても、20代前半の転職者が最も増えたとされています。

このことからも、転職者のなかでもとくに若手である20代前半の転職者数は増加しており、もはや転職が当たり前の現象になってきていることがわかります。

まず理解しよう！ 転職は何歳からでも可能な3つの理由

事実として、転職は何歳まででも可能です。そもそも転職に法律的な制限はないうえ、労働人口の減少や雇用の流動性が高まってきているため、転職のハードルは年々低くなってきていると言えます。

ここからは、そういった転職が何歳まででも可能な3つの理由について解説していきます。前提条件をしっかりと理解したうえで、転職市場と年齢についての理解を深めていきましょう。

①そもそも「転職は〇歳まで」といった制限はない

そもそも、転職に年齢制限はありません。

たしかに、以前は求人票に「体力を要する仕事なため40歳以下募集」「若者向けの商品を取り扱うため30歳以下のみ募集」などと記載する事業者も多く存在していました。

しかし、平成19年10月に雇用対策法が改正され、一部の正当な理由を除き募集・採用の際は原則として年齢制限を設けないことが義務化されました。

②労働人口の減少により転職市場自体に追い風が吹いている

近年、少子高齢化の影響により労働人口の減少が深刻化してきています。実際、パーソル総合研究所の労働力に関する研究によると、すでに2023年の労働市場では約189万人の労働力が不足しているとされているのです。

企業は不足した労働力を確保するために、未経験者の採用を拡大したり、より良い賃金・福利厚生を整えたりして、積極的に人材の採用を試みています。

このように、転職市場は労働力不足によって追い風が吹いてきているため、転職者にとっては年齢や性別問わず希望に叶う転職がしやすくなってきていると言えるでしょう。

③終身雇用制度が衰退しており雇用の流動性が高まっている

一度就職したら定年まで一つの会社で勤め上げる「終身雇用制度」は、少子高齢化や働き方の多様化が進んでいることから近年衰退しつつあります。

実際、政府会議での意見や国会議員などへの働きかけをおこなう東京商工会議所がまとめた「2024年度 新入社員意識調査」によると、今の会社で定年まで働きたいと考えている新入社員は21.1％しかおらず、約8割は今後のキャリアを転職ありきで考えていることがわかります。

とくに、最近では業務内容や勤務地などの条件を定めず働き、幅広い知識を持ったゼネラリストを目指す「メンバーシップ型雇用」から、条件を限定したうえで働き、専門的な知識を持ったスペシャリストを目指す「ジョブ型雇用」に移行する風潮も強まってきています。

一般的にジョブ型雇用へ移行すると雇用の流動性が高まると言われているため、今後は年齢を問わずますます転職者が増える傾向にあると考えられます。

「転職に年齢は関係ない」わけではない！ 年齢が転職に及ぼす2つの影響

転職自体は何歳からでも可能ですが、転職の「しやすさ」や企業が転職者に求める能力は年齢によって変わります。

ここからは、年齢が転職に及ぼす2つの影響について解説していきます。転職の時期を見極めるためにも、一緒に確認していきましょう。

若手ほど選択肢の幅が広く未経験でも飛び込みやすい

求人などで年齢に制限をかけるケースは少なくなったものの、実際のところ、若手ほど転職先の選択肢が多く未経験でも挑戦しやすい傾向にあるのは事実としてあります。

一般的に若いほど柔軟性や吸収力が高い傾向にあり、企業の社風や新しい業務へなじみやすいと考えられているため、若手であれば未経験の職種・業種でもポテンシャルで採用されやすいです。

とくに入社してから3年目までの若手は第二新卒として扱われるケースも多く、新卒とそう変わらない選択肢を持てるケースも多いです。

なお、未経験で異業種への転職を考えている人は、こちらの記事もチェックしてみてください。異業種転職についての基礎知識や気を付けておくべきポイントを解説しています。

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年齢を重ねるほど求められるハードルも高くなる

一般的に、年齢が高くなると転職のハードルも高くなると言われています。

理由としては、年を重ねるほど多くの経験を積んでいると考えられるため、若手よりも多くの能力が求められやすいことが挙げられます。

たとえば、20代前半ではポテンシャルが最も重視される一方で、20代中盤～後半になるとポータブルスキル、つまり職種や業界に縛られず活かすことができるスキルが求められるようになり、30代以降になるとそれに加えて実務経験や専門知識も求められる傾向にあります。

そのため、年齢を重ねるほどしっかりとした実力が必要になるということは把握しておく必要があるでしょう。

なお、20代中盤以降でポータブルスキルがないと悩んだときには、こちらの記事を参考にするのがおすすめです。アピールの方法を理解することができますよ。
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20代後半の転職についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせて確認してみてください。
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転職すべきか迷っている人必見！ 「今」動き出すべきか見極める4つの質問

いざ転職をしてから「やっぱりやめとけばよかった」という事態を避けるためにも、なぜ転職したいのかやどんな環境が理想的なのか、デメリットも押さえられているかなどしっかり確認し、動き出すべきタイミングが本当に今なのかを見極めていきましょう。

ここからは、「今」動き出すべきか見極める4つの質問について解説していきます。

Q①転職をしたいと思う原因は洗い出せているか

最初に考えたいのが、転職したい原因を特定できているかということです。

「なんとなく周りがしていたから」などのように転職理由が漠然としていると、企業選びや職種の選択も不明確なままになってしまい、転職をしても満足のいく結果ではなくなってしまう可能性があります。

そのため、まずはなぜ転職をしたいと考えるようになったのか、何が不満なのか、よく考えてみてください。とくに何の原因も思い浮かばない場合は、そもそも転職する必要がないかもしれませんよ。

転職するかどうかなど、多くの人が転職で悩むポイントについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

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Q②:どんな環境が理想なのか具体化できているか

次に考えたいのが、理想的な環境を具体的に思い描けているかということです。

自分の理想的な働き方や職場環境もなく、ただ今の会社に不満があるということだけをモチベーションとして転職してしまうと、新しい職場も結局合わなかったという事態になりかねません。

そのため、まずはどんな環境なら不満なく働けそうか、自分の理想を具体的に考えてみましょう。理想が描けたら、企業選びの軸も明確になるはずです。

転職先を決めるうえでは業界知識は必須。こちらの記事で自分に合う・合わない業界を詳しくチェックしましょう。

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Q③:不満を解消するために転職以外の方法も検討したか

また、転職を考える人の多くは今の会社に何かしら不満があるからという場合が多いでしょう。しかし、今抱えている不満を解消するために、転職以外の方法も考えてみたかは確認する必要があります。

たとえば、やってみたい仕事に取り組めないことが不満なら他部署への移動を願い出てみたり、給与が低すぎると感じるのであれば給与交渉を持ち掛けてみたり、といったことです。

もし今の職場でも動き方次第で不満が解消できるのであれば、人間関係や労働環境がまったく新しい会社に行くよりも負担が少なく、結果として今の会社にとどまった方が満足度が高いということも考えられます。

仕事上でかかえた悩みに対しての解決方法をまとめたこちらの記事もぜひ参照してみてくださいね。

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Q④:デメリットも把握したうえで転職を希望するか

最後に、転職のデメリットをきちんと把握できているかということです。

転職は良いことばかりとも限りません。転職することで退職金に影響が出たり、場合によっては年収が下がることもありえます。

また、とくに人間関係は入社してみなければわからない場合も多く、いざ入社してみたら周りとなじめなかった、というケースも考えられます。

そのため、転職して得られるメリットと想定されるデメリットを天秤にかけたうえ、それでも転職したいという気持ちの方が強いのか精査する必要があります。

何歳からのスタートでも転職を成功させるための準備3選

熟考した結果「今すぐは転職しない方が良い」という結論になる場合もあるでしょう。そういった場合でも、転職したくなったときにすぐ動き出せるよう準備をしておくことがおすすめです。

ここからは、いつかするかもしれない転職に向けた3つの準備について解説していきます。転職が当たり前になった時代を生き抜くためにも、一緒に確認していきましょう。

①自社以外でも活躍できるようなポータブルスキルを身に付ける

最も大切なのは、仮に今とは別の会社で働くことになったとしても活躍できるようなポータブルスキルを身に付けることです。

ポータブルスキルとは、特定の業界や職種が変わっても幅広い応用が可能な能力のことです。こういった汎用性の高いスキルを身に付けておくことは、今後転職を考える際に役立つだけでなく、自社で活躍し昇進していく際にも役に立ちます。

そのため、「その会社でしか役に立たない知識・スキル」ではなく「どの会社でも活躍できるような能力」を養っていくことを意識しながら働くようにしましょう。

②自分の市場価値を把握しておく

また、自分の市場価値を正確に把握しておくことも大切です。

自分が自社以外でどの程度評価されるのかを把握しておけば、万が一会社が傾いたり不測の事態で転職を余儀なくされたりしたとしても、慌てることなく自分に相応しい会社に転職することができます。

なお、自分の市場価値を確認するには、スカウトサービスに登録するのがおすすめです。スカウトしてきた企業が提示する条件を見ることによって自分の市場価値を確認することができます。

③定期的に自分のキャリアプランを振り返る

最後に、時期を決めて定期的に自分の理想のキャリアプランを振り返ることも忘れないようにしてください。

キャリアを積んでいくと、挑戦してみたいことや今後の目標が変わっていくこともあると思います。成長とともに考えが変わること自体はおかしなことではありません。

しかし、理想のキャリアプランが当初とはまったく変わっているのにもかかわらず惰性で仕事を続けていくと、気づいたときにはもう軌道修正ができないところまで来てしまい「あと数年早く行動すればよかった」などと後悔することになりかねません。

そのため、1年に1回〜2年に1回程度の頻度で自分のキャリアプランを振り返り、もし理想が変わったのであればそれを実現する手立てを考えることが重要です。

要注意！ 「転職は何歳までか」と気になる人が陥りがちな落とし穴

転職が何歳まで可能か気になる人のなかには、周りと比べて焦っていたり、逆に転職したい気持ちはあってもまだ先延ばしにしようと考えている人もいるかもしれません。

しかし、大切なのは目的を明確にして今後の計画を考えていくことですよ。ここからは、「転職は何歳までか」と気になる人が陥りがちな2つの落とし穴について解説していきます。

焦るばかりに「転職すること」だけを目的に動き出してしまう

まず気を付けたいのが、転職すること自体を目的としてしまうことです。

「周りの友人がみんな転職しているから」「〇歳までに1回は転職を経験しておかないと良くないと聞いたから」などと曖昧な理由で転職そのものを目的として動いてしまうと、本当に自分が実現したい将来から遠ざかってしまう可能性があります。

また、転職を目的としてしまうと、転職の軸も曖昧になりがちです。その場合、面接官にも「うちの会社である必要があるんだろうか」「またすぐ辞めてしまうのではないか」と思われてしまい、転職活動自体もうまくいかない場合もあります。

「まだいいや」と転職したい気持ちに蓋をして何もしない

将来のことを考えると転職した方が良いと明確にわかっており、転職したい気持ちもあるのにもかかわらず何もしない場合も注意が必要です。

つい目の前の仕事に忙殺され転職活動をするのが負担になってしまうと、「まだいいや」と転職活動を先延ばしにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、前述のとおり転職活動のハードルは若いほど低いです。

もし転職したい気持ちはあるのに何もしないまま何年も過ごしてしまうと、自分が理想とするキャリアプランを実現するのが難しくなってしまうかもしれません。

そのため、もし転職したいという気持ちが確かなら、少しずつでも行動に起こしていくことが大切です。

転職は何歳までできるか気になる人によくある質問に回答！

転職が何歳までか気になる人のなかには、転職する年齢の上限や、転職のしやすさが変わるかについて気になっている人もいるかもしれません。

ここからは、そういった転職の年齢についてよくある疑問についてキャリアアドバイザーが回答します。ぜひチェックしてみてください。

転職は何歳までが上限ですか？

転職の上限年齢はありません。実際、政府が平成19年10月に改正した雇用対策法によると、一部の正当な理由以外では年齢制限を設けないことが義務化されました。そのため、法律上は転職の上限年齢は存在しないと言えます。

しかし、実際のところ若手の方が企業文化になじみやすく柔軟性に優れてる傾向があることから、未経験でも挑戦しやすいなど、転職先の幅広さでいうと若手に軍配があがることは覚えておきましょう。

何歳まで転職できるかは性別によって変わりますか？

何歳まで転職できるかは性別による差はありません。前述のとおり採用時に年齢制限を設けることは国により認められておらず、そこに性差はないからです。また、昨今人手不足が加速していることもあり、男女関係なく優秀な人材を欲している企業が増えてきています。

転職は何歳まででも可能だが若手が有利！ 転職したいなら今すぐ行動しよう

ここまで、年齢が転職に及ぼす影響や転職するかどうかの見極め方、転職の準備方法などを解説してきました。

転職に年齢制限はありませんが、未経験の職種や業種にチャレンジする際には若手ほど有利であり、また若い方が転職時に求められるスキルが多くないことは理解しておきましょう。

また、転職は目的が何より大切です。目的のない転職は後悔を生みやすいので、自分のキャリアプランや理想、身に付けたスキルなどをしっかり考えたうえで、挑戦するなら今すぐ行動することが大切ですよ。

この記事を参考に自分のキャリアについて今一度振り返り、転職したい気持ちが確かな場合は理想的な未来へ向けて一歩踏み出してみましょう。