目次
- 大手企業への就職を検討する前に物流業界の課題や動向を把握しよう
- 物流業界の概要
- 基本的な物流業界の流れ
- 物流業界の3つの輸送方法
- 物流業界の大手10社の売上高ランキング
- ①日本通運
- ②日本郵政
- ③ヤマトHD
- ④日本郵船
- ⑤商船三井
- ⑥SGホールディングス
- ⑦日立物流
- ⑧川崎汽船
- ⑨近鉄エクスプレス
- ⑩セイノーHD
- 大手企業なら配属される可能性がある! 物流企業の5つの職種
- ①物流営業
- ②物流コンサルタント
- ③倉庫管理
- ④情報システム
- ⑤ドライバー
- 物流業界の大手企業で求められる4つの能力
- イレギュラーな事態に対応できる冷静さ
- 基本的なPCスキル
- 英語力
- 十分な体力
- 大手企業に就職するために把握しておくべき! 物流業界の課題と動向
- 課題①宅配需要拡大により人手不足が深刻化している
- 課題②労働環境・待遇の改善が急務とされている
- 動向①3PLを活用している
- 動向②スマートロジスティクスにより作業が効率化
- 動向③海外展開が加速している
- 物流業界の大手企業に就職するための3つのポイント
- 物流業界のことを体系的に説明できるようにしておく
- 業務内容に変化が出ている業界だからこそ最新情報に気を配る
- アルバイトやインターンシップを経験して現場の状況を肌で感じておく
- 大手病になっていない? 物流業界の大手企業を志望する際の3つの注意点
- キャリアビジョンを考えた上で目標が達成できる企業を選ぶ
- 中小企業やベンチャー企業まで幅広く調べる
- 物流業界・企業にしか当てはまらない独自性のある志望動機を作成する
- 物流業界の大手企業に就職するために必要な能力を身につけよう
大手企業への就職を検討する前に物流業界の課題や動向を把握しよう
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。物流業界への就活を検討している学生から
「物流業界の大手企業に就職するために必要な能力を知りたいです」
「物流業界は今後どうなっていくのでしょうか?」
といった声が寄せられています。物流業界に興味があるものの、実は業界にかかわらず、とにかく大手企業に就職したい学生もいるのではないでしょうか。ただ、業界の課題や動向まで把握してから大手企業への就職を検討しましょう。
現在は大手企業に就職すれば安泰という時代ではないですし、大手企業や物流業界の働き方と相性がマッチしないかもしれません。
この記事では物流業界の概要から物流業界の大手10社の売上高ランキングや物流業界の課題と動向、大手企業に就職するためのポイントを解説しています。
物流業界や大手企業に少しでも興味がある学生はぜひ参考にしてみてくださいね。
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物流業界の概要
物流業界の仕事は荷物の運搬をおこない、生産者から消費者まで届けることですね。陸運・海運・空運などさまざまな輸送方法を駆使して、企業や個人のさまざまな取引を支えています。ビジネスモデルは以下の通りです。
- 生産者から消費者の商品を届けるために運送や倉庫の貸し出しをおこなう
- 生産者に商品の輸送や配送を依頼される
- 手数料・送料・配送料が利益になる
キャリアアドバイザー
基本的な物流業界の流れ
物流業界の業務内容は「保管」「荷役」「流通加工」「包装」「輸送・配送」「情報管理」の6つの工程に分類されますね。
- 物流業界の業務の一連の流れ
- 保管:荷物の送り主から預かった荷物を適切な条件に輸送するために倉庫で保管する。輸送時期を調整するために、冷蔵や冷凍など適切な保管方法で品質を保つ必要がある。
- 荷役:トラック・貨車・航空機など輸送機関への貨物の積み込みや積み下ろし、または保管倉庫への入庫・出庫をおこなう。輸出入品などの場合は通関手続きも荷役業務に含まれる。
- 流通加工:荷物の送り主のニーズに合わせて、ラベル貼り・値札付け・箱詰め・商品のセット組みなど加工をおこなう。
- 包装:梱包材を使って荷物を包む。近年は環境保全のためにリサイクル・リユース可能な梱包材が使われる場合が多い。
- 輸送・配送:入荷準備のできた荷物を輸送機関で運ぶ。物流センターから拠点まで運ぶ工程を輸送、拠点から最終目的地に運ぶ工程を配送と言う。
- 情報管理:IT技術を活用して輸送中の荷物の位置を追跡したり、輸送経路や温度・湿度・衝撃などの状況を記録・管理したりする。
上記のように荷物の輸送だけが業務ではありません。物流企業は荷主の負担を軽減するために、商社や小売店に届くまで包括的なサポートをおこなっていますね。
物流業界の3つの輸送方法
物流業の輸送業務は陸運・空運・海運の3つに分かれていますね。輸送方法により扱う荷物の種類や業務内容も変わるのです。
- 陸運:顧客の自宅などトラックや車を用いた輸送できないような地域へ輸送できる。消費者に一番近い配送を担っている。
- 空運:速達性に優れており、長距離輸送ができる。精密機械や生鮮食品など劣化が進みやすい商品の輸送に使用されている。
- 海運:大量の商品や重量の重い商品を長距離輸送できる。自動車など超重量の商品の輸送で重宝される。
キャリアアドバイザー
全ての輸送方法に対応している企業もあれば、どれかに特化している企業もありますね。
どのような業務をおこないたいかで企業を選んでみてはどうでしょうか。
物流業界の大手10社の売上高ランキング
- 日本通運
- 日本郵政
- ヤマトHD
- 日本郵船
- SGホールディングス
- 商船三井
- 日立物流
- 川崎汽船
- 近鉄エクスプレス
- セイノーHD
大手企業の定義は指標によって異なりますが、最も分かりやすい指標が売上高でしょう。売上高が高い企業は業界を牽引している大手企業とも言い換えられますね。ここでは、物流業界の大手10社の売上高ランキングを紹介します。
キャリアアドバイザー
大手企業は業界を形成する重要な要素になります。
大手企業を知ることで業界の理解が深まるため、きちんと情報を把握しておきましょう。
参考:業界動向 SEARCH.COM 運送業界 売上高ランキング(2020 – 2021年)
業界動向 SEARCH.COM 海運業界 売上高ランキング(2020 – 2021年)
①日本通運
日本通運は物流業界最大手の企業として陸海空の全ての経路の物流に携わっています。物流以外にも倉庫や通関など関連事業も幅広く展開しており、今後も業績トップ企業として業界を牽引していくでしょう。
全国1,000を超える支店と営業所を持つだけではなく、海外にも600以上の拠点があり、グローバルに事業を展開中ですね。
- 業界:運送業界
- 売上高:2兆791億円
- 従業員数:34,449人
②日本郵政
日本郵政の物流事業では、ゆうパックやゆうメールなど荷物運送サービスをおこなっています。eコマース市場の成長に伴う顧客のニーズに応えるためのサービスを提供中ですね。
顧客に最適な物流戦略の設計・提案・構築から運用まで一括で請け負っており、日本の物流業界の中でも絶大な信頼を受けています。
- 業界:運送業界
- 売上高:2兆309億円
- 従業員数:194,842名
③ヤマトHD
物流業界の大手企業と聞いて、クロネコヤマトを思い浮かべた学生も多いのではないでしょうか。そんな知名度抜群のヤマトHDは宅急便事業以外にも事業領域を拡大しています。
- デリバリー事業
- BIZ-ロジ事業
- e-ビジネス事業
- フィナンシャル事業
- オートワークス事業
物流業界を牽引する企業として、労働環境の改善も積極的におこなっており、業界全体の問題を解決するために奮闘中ですね。
- 業界:運送業界
- 売上高:1兆6,958億円
- 従業員数:389名
④日本郵船
日本郵船の事業は主に国際的な海上運送業ですが、他にも幅広く事業を展開しているのが特徴です。
- 定期船事業:一般消費財を輸送するコンテナ船部門とコンテナターミナルを各地で展開するターミナル関連部門がある。
- 航空運送事業:連結子会社が北米・欧州・アジアに航空運送をおこなう。
世界各国に400カ所以上の物流拠点を活用して、物流全体を最適化する包括的なサービスを提供していますね。
- 業界:海運業界
- 売上高:1兆6,084億円
- 従業員数:35,057名
⑤商船三井
商船三井では航空・海上・陸上輸送だけではなく、通関や倉庫保管、検品、重量物輸送、バイヤーズコンソリデーションなど幅広い物流サービスを提供していますね。
近年では東南アジアやアフリカなど発展途上国に拠点を広げて、海外展開によりサービスを強化している企業です。
- 業界:海運業界
- 売上高:9,914億円
- 従業員数:1,119名
⑥SGホールディングス
佐川急便を利用したことがある学生もいますよね。SGホールディングスでは、佐川急便の宅急便や大型特殊物の移動など輸送に関するさまざまなサービスを展開中です。
全国の物流施設と輸送ネットワーク、2万人を超えるドライバーが顧客の物流ニーズに応えており、以下のような包括的な物流ソリューションを国内外でもおこなっていますね。
- 倉庫における保管・検針・流通加工
- 国際輸送・通関
- 域内における輸送手配
- 業界:運送業界
- 売上高:1兆3,120億円
- 従業員数:97,774名
⑦日立物流
日立物流はシステム物流事業から企業の物流システムの管理や構築を展開しています。自社での物流だけでなく、他の企業に向けた物流合理化の提案をする物流コンサルティングまでおこなっているのが特徴です。
他の事業内容は以下の通りになります。
- 3PL事業
- 一般貨物・重量品・美術品などの輸送・搬入・据付作業
- 工場・事務所などの大型移転作業
- 倉庫業、トランクルームサービス
- 産業廃棄物の収集・運搬業
- 業界:運送業界
- 売上高:6,523億円
- 従業員数:43,729名
キャリアアドバイザー
物流システムの構築で環境に配慮するなど合理化を目指すだけではない取り組みにより、信頼が厚い企業でしょう。
⑧川崎汽船
川崎汽船の事業内容は海上輸送だけではありません。国際航空輸送・陸上輸送、通関、港湾運送、倉庫保管、据付、貨物混載サービスなど国内における海陸一貫輸送などの物流サービスを展開していますね。
国際海上輸送・国際航空輸送では国内外170カ所の拠点を設けているグローバルな企業と言えるでしょう。
- 業界:海運業界
- 売上高:6,254 億円
- 従業員数:769名
⑨近鉄エクスプレス
近鉄エクスプレスでは、物流ニーズの多様化に応えるため、包括的な物流サポートを展開していますね。
- 航空貨物輸送:スマホやタブレットなどの精密機械や自動車関連品、高級ブランド、生鮮品などの緊急性の高い貨物を輸送している。
- 海上貨物輸送:コンテナ船で小口貨物からコンテナ単位の貨物まで輸送している。大型機械や原料、衣類など。
- ロジスティック:倉庫での仕分けや検品などの流通加工及び受発注管理、在庫管理を顧客に代わって請け負う。
- 業界:運送業界
- 売上高:6,091億円
- 従業員数:1,278名
⑩セイノーHD
セイノーHDでは貨物自動車運送事業や倉庫業、通関業などを展開しています。セイノーHDの武器はなんと言っても独自のアイデアと技術によるサービスですね。
- カンガルーSAVE急便:業界初の700km圏内貨物の翌日午前中配達をおこなう。
- 精密書類回収BOX:個人情報を含む機密書類を回収して溶解処理をする。
- ロジスティック事業・3PL事業:子会社である西濃運輸のノウハウから物量の最適化を提案する。
- 業界:運送業界
- 売上高:5,920 億円
- 従業員数:92名
大手企業なら配属される可能性がある! 物流企業の5つの職種
大手企業では入社後の希望配属先が必ずしも通るわけではありません。そのため、どんな職種に配属されても大丈夫なように、物流企業の主な職種について把握しておきましょう。内容を知っておけば、面接で希望職種を聞かれた際に選んだ理由を答えやすくなるでしょう。
①物流営業
物流営業の業務は、荷主から商品の配送を一貫して自社に任せてもらえるように契約を結ぶことですね。自社のECサイトで商品を販売する企業は増えましたが、自社で保管・配送までできない企業は多いのが現状になりますね。
荷主によっては効率化や費用の軽減だけではありません。そのため、契約を獲得するには商品を使うユーザーの満足度が高まるようなサービスを提供できることを伝える必要があるでしょう。
- 自社のサービスを魅力的に伝える能力
- 相手のニーズを把握する能力
- 提案力
②物流コンサルタント
物流コンサルタントは物流の輸送・保管に関する費用をデータ化するなど視覚化して、荷主や物流企業が抱える問題を導き出し、適切な解決策を提案します。
物流の効率化を抱えている顧客の場合は、自社の商品に適したシステムを導入している同業他社の事例を調べて、新システムの導入の提案をするなど課題解決に努める職種ですね。
- 物流に関する幅広い知識
- 分析力
- 論理的思考力
③倉庫管理
倉庫管理は物流の流れの保管にかかわり、配送センターや倉庫で商品の入庫・出庫・仕分けなどをおこないますね。荷主から荷物を預かってから輸送するまで出荷準備を担当しており、商品を破損させてしまった場合は自社の責任になるでしょう。
キャリアアドバイザー
もとめられるスキルは在庫管理システムなどを使用するため、PC業務に強いことですね。
④情報システム
物流は情報システムにより効率化が進められており、それを支えるエンジニア職ですね。業務を効率化するだけではなく、実際の運用や保守もおこないます。
- 倉庫管理システム
- 在庫管理システム
- 配送管理システム
- 運賞管理システム
- 課題発見能力
- 論理的思考力
⑤ドライバー
ホワイトワーカーになりたい学生も多いのではないでしょうか。ただ、ジョブローテーションにより、ドライバーからキャリアをスタートする可能性も0ではありません。
- ジョブローテーション:定期異動や職務の変更を通じて、社員にさまざまな業務を経験させつつ、能力開発をおこなう制度。
ドライバーは倉庫や物流センターから出庫された商品をトラックで小売店・購入者などまで運ぶ仕事ですね。長距離だけでなく、ルート配送のように担当エリア内の配送や集荷をおこなう場合もあります。
- イレギュラーな事態への対応力
- 十分な体力
キャリアアドバイザーコメント吉川 智也プロフィールをみる
大手の物流会社では総合職採用が多く、エントリー時点ではどの仕事に配属されるかわかりません。ですが文理問わず新卒入社すると、営業や倉庫管理のいわゆる現場の仕事に配属されることがほとんどです。
将来的にコンサルタントや情報システム担当として活躍するためには、現場のことを知らなければなりません。そのため、新卒入社をしていきなりこれらの部門へ配属される可能性は少ないです。営業や倉庫管理の仕事を経験した後のキャリアパスとして、物流コンサルタントや情報システム担当へ異動になることが考えられます。特に、理系で情報工学専攻の人は、情報システム担当へ異動になる可能性は文系学生より高いですね。
またドライバーは総合職で配属される可能性は低く、ドライバー職として募集されていることがほとんどです。とはいえもちろん企業によってキャリアパスは異なるため、どのようなキャリアを歩んでいる社員がいるのか事前に調べておくようにしましょう。
物流業界の大手企業で求められる4つの能力
基本的に物流業界の大手企業では職種によってもとめられる能力は異なりますが、どの職種や業務内容でももとめられている能力が存在します。ここで解説する物流業界の大手企業でもとめられる4つの能力をアピールできれば、採用担当者に入社後に活躍できるイメージを持ってもらえるでしょう。
イレギュラーな事態に対応できる冷静さ
物流業界では思わぬ事故に巻き込まれるなど計画通りに仕事が進まない場合もあります。物流は保管から輸送まで全ての工程がつながっているため、トラブルが発生するとその後の工程に影響が出てしまうかもしれません。
- 渋滞
- 商品の破損・汚損
- 管理システムのエラー
- ドライバーの事故
キャリアアドバイザー
イレギュラーな事態に対して、的確に対応できる冷静な判断力が必要とされていますね。
基本的なPCスキル
基本的に物流管理の業務はPCでおこないます。書類作成やデータ入力、メールの送受信などが問題なくできれば、基本的なPC操作ができることをアピールしても良いでしょう。
特にExcelでの基本的なスキルは業務で必要になるため、基本的な操作を覚えておいてください。
- 書式設定
- 表の作成
- 四則演算
- 基本的な関数(SUM関数・AVERAGE関数など)
- 画像・図形の挿入
- ヘッダーやフッターの調節
英語力
物流業界の大手企業では海外展開が加速しています。海外とのやり取りが発生するため、語学力があると、海外との文書のやり取りや商談などで役立てられるかもしれませんね。
ただ、どの程度の語学力ならアピールできるか分からない学生もいるのではないでしょうか。英語力をもとめる企業では採用サイトにTOEICの点数を記載しています。
キャリアアドバイザー
もし、記載がない場合でもビジネスレベルの英語力を証明できる730点以上のスコアがあれば、業務に支障はありません。
十分な体力
「体力が必要になるのはドライバーになった場合だけでは?」と思う学生もいますよね。確かに荷物を運搬する業務が中心なドライバーは体力が必要ですが、現場を統括する際にも体力がいるでしょう。
現場では多くの人とコミュニケーションを取ったり、多くの業務をマネジメントしたりしなければなりません。
人間関係や運行トラブルなど精神的なストレスに対する耐性があると、企業から重宝される可能性が高いため、アピールしてみてはどうでしょうか。
大手企業に就職するために把握しておくべき! 物流業界の課題と動向
就活生
物流業界に就職しても大丈夫なのでしょうか?
キャリアアドバイザー
どの業界も確実に繁栄していくとは言い切れません。
物流業界の課題と動向を把握して、自分で予想してみましょう。
今は業績が好調の物流業界ですが、今後の将来が把握できないと就職して良いのか不安になりますよね。業界の課題やトレンドを理解しておくと、業界の将来が想定できます。物流業界を志望すべきかの判断基準になるため、ここで課題と動向を把握しておきましょう。
課題①宅配需要拡大により人手不足が深刻化している
ネット通販の普及により、個人宅配の需要は拡大しています。事実、国土交通省の「令和2年度 宅配便取扱実績について」によると、2020年度の宅配取扱個数は前年比の11.9%増の48億3,647万個でした。
物流業界の業績は好調ですが、それが影響して業務量の増加が人材流出を引き起こしているのも事実ですね。
- 急激に需要が拡大しているため:ネット通販の普及による個人宅配の需要拡大が供給に追いつけていない。
- 人材不足から激務になり人材が流出しているため:従業員だけでは供給スピードが追いつかず、結果的に過酷な労働環境になり、離職する人が多い。
キャリアアドバイザー
急激な需要拡大に供給が追いつかず、長時間労働を強いられるなど従業員の負担が増えて、人材流失に拍車をかけているでしょう。
課題②労働環境・待遇の改善が急務とされている
物流業界の労働環境について不安を抱えている学生もいるのではないでしょうか。実際、物流業界は長時間労働の常態化で人材流出が増えており、労働環境・待遇の改善が急務とされていますね。
- 賃金の引き上げ:増えすぎた業務に相応の対価を支払い、銃要員のモチベーションを維持させている。ただ、賃金が上がっても業務量が改善されているわけではない。
- 配達日の制限:年中無休から一部配達日の制限を設ける企業が増えている。その分、業務が溜まる懸念点もある。
上記のような新たな人材を確保するために環境改善に向けた取り組みをおこなっていますが、直接的に個人の業務量を変える取り組みではありません。そのため、労働環境・待遇は今後も改善の余地があるでしょう。
動向①3PLを活用している
近年の物流業界では、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)というビジネスモデルが主流になっていますね。
- 3PL:物流企業が荷主企業に対して物流業務の改善を提案して、企業活動にまつわる物流業務を一括して受託して遂行すること。
渋滞の物流は前述した6つの工程をそれぞれ別の業者に委託していましたが、3PLでは専門業者が全肯定を一括して請け負うことで物流に関するコストや時間を大幅にカットできるのです。
キャリアアドバイザー
荷主企業は物流にかかるさまざまな業務に割く時間が減り、自社の業務に集中できるメリットがありますね。
動向②スマートロジスティクスにより作業が効率化
- スマートロジスティクス:AIやロボットを駆使して作業効率を上げること。
物流業界では、増大する物流量に対応するためにITテクノロジーの活用を模索していますね。事実、経済産業省の「IT利活用分野について(物流分野)」によると、物流業界のIT活用では以下のような取り組みがおこなわれているのです。
- 最適なサプライチェーンの構築・運用管理:販売履歴や気象データを分析して需要を予測したり、Iotを活用した在庫情報を共有して生産計画の精度向上を図ったりする。
- 新輸送モデルの構築・運用管理:GPSや次世代型ETCなどの活用による車両情報の入手や追列走行や自動走行を実現した幹線高速道路物流システムを実装する。
- 物流拠点内作業の自動化と作業改善:完全無人物流センターやロボットによるピッキング・荷揃えの完全自動化を実現する。
最新テクノロジーにより作業の効率を図れると、物流業界の課題である人手不足を解決できる可能性が高まるでしょう。
大手企業では業務効率化の流れが加速している
労働環境の改善だけでなく、個人の負担が解消されれば、物流業界は働きやすい環境になりますね。
- ヤマトHD:2019年5月に24時間荷物の受取と発想が可能なセルフ店舗「クロネコスタンド」をオープン。9月にはスマートフォンでの宅配手続きを可能にした。
- SG HD:AI活用で配達伝票業務を自動化。2020年5月には「指定場所配送サービス」を開始した。
- 日本郵政:都営地下鉄の一部のコインロッカーで荷物を受け取れるサービス「はこぽす」を開始した。
業務効率化のために上記のような大手企業が取り組みを始めており、働きやすい環境作りをおこなっているのです。
動向③海外展開が加速している
現在は宅配需要が急激に拡大し、成長を見せていますが、長期的に見ると少子高齢化による人口減少の煽りを受け、業界規模は縮小していくと予想されています。
減少する国内需要を見越して、海外で新たに事業展開をして収益源を確保しようとしている企業が増加中です。
- ヤマトHD:米国や欧州、台湾、上海、シンガポール、香港の宅配便ネットワークを広げる。米国のテキストロン社との共同開発である「空飛ぶトラック」は2025年実用化予定。
- SG HD:シンガポールに海外事業の統括拠点を設置。東南アジアや南アジア、アメリカ、アフリカに進出。2020年2月にベトナムの3温度(ドライ・冷蔵・冷凍)管理輸送を支援。
- 日本通運:日本・米国・欧州・東アジアや南アジア・オセアニアの5極体制を展開する。タイ・ラオス・カンボジア・ベトナム・中国の5ヶ国で越境トラック輸送を開始した。
- 日立物流:世界各国に物流会社を開設。2019年6月からタイで輸送車両のシェアリングサービスを展開している。
キャリアアドバイザー
特に大手企業は物流インフラが整っていないアジア圏の発展途上国に狙いを定めて、海外事業を展開していますね。
物流業界の大手企業に就職するための3つのポイント
- 物流業界のことを体系的に説明できるようにしておく
- 業務内容に変化が出ている業界だからこそ最新情報に気を配る
- アルバイトやインターンシップを経験して現場の状況を肌で感じておく
物流業界の大手企業に就職したいなら、志望度の高さをアピールしましょう。新卒生は中途採用者と違い、スキルに大きな差はありません。そのため、志望度の高い学生を選んだ方が入社後も高いモチベーションを維持して、将来的に戦力になってくれる可能性が高いです。ここでは、物流業界の大手企業に就職するためのポイントを3つ解説します。
物流業界のことを体系的に説明できるようにしておく
物流業界のビジネスモデルや業務の流れなどを体系的に説明できるようにしておいてください。業界のことを深く理解していないと体系的に説明はできませんよね。
業界研究に時間を割いている証明になり、志望度が高いと評価されやすいのです。
志望度の高い学生は長期的に定着してくれるだけでなく、今後の業務に活かせるような勉強を自主的にしたり、結果を出している先輩から営業の極意を聞いたりするなど自己研鑽を積んで業績に貢献してくれるかもしれません。
そのため、物流業界のことを体系的に説明できるくらい知識を蓄えておくと、大手企業の就活で有利になるでしょう。
業務内容に変化が出ている業界だからこそ最新情報に気を配る
物流業界では3PLの活用やAIやロボットの導入により、業務内容が大きく変化しています。作業効率を上げるために新しい技術や業務が生まれてくる可能性は高いでしょう。そこで物流ニュースメディアをチェックして最新情報を獲得しておいてください。
キャリアアドバイザー
「最近気になったニュースはありますか?」と面接で聞かれる場合は多いですね。
物流業界もトレンド情報を話すことで入社意欲の高さをアピールできるため、おすすめします。
アルバイトやインターンシップを経験して現場の状況を肌で感じておく
ネットの情報では労働環境や社員の特徴を完全に把握することはできません。特に社風が合わないと、優秀な人材でも入社後に活躍できない可能性が高いです。
物流業界の企業と自分がマッチしているかを図るために、アルバイトやインターンシップを経験して現場の状況を肌で感じておくことをおすすめします。
また、業務の休憩中などに働いている社員に質問してみてください。
- 企業で活躍している社員の共通点は?
- 業務で面白いと感じる部分は?
- 企業の問題点は?
キャリアアドバイザー
入社後にミスマッチを起こさないように、リアルな情報源から企業の内情を把握しましょう。
キャリアアドバイザーコメント根岸 佑莉子プロフィールをみる
大手企業へエントリーをするときには、業界の将来性や課題に対して自分の意見を持つことが大切になります。大手企業は業界のトレンドをつくったり、業界の課題をいち早く解決したりすることがもとめられています。そのため、中小ではなく大手の物流へ入社した際には、どのように活躍するかイメージを持ってもらうことが重要なのです。
たとえば、「宅配需要増加による人手不足の深刻化」という課題がありましたよね。これに対して自分なりの意見や解決策を考えておきましょう。一例としては、「UBER EATSのようなマッチングシステムを物流業界に導入することで、新たな雇用を創出するだけでなく、よりスムーズな物流動線の確立ができると考えている」などです。
このように自分なりの意見や解決策を持っていることを企業へアピールすると、入社後にどのようなシーンで活躍できるか採用担当者はイメージが湧きやすくなりますよね。その結果、採用につながることも十分考えられるので、必ず将来性や課題に対する自分の意見は整理しておきましょう。
大手病になっていない? 物流業界の大手企業を志望する際の3つの注意点
目標を大きく持つことは立派ですが、「大手企業だけ受ける」といったやり方はおすすめできません。大手企業の働き方が合わない学生も一定数います。企業規模で志望企業を決めてしまうと、自分の適職に出会えるチャンスを捨ててしまうかもしれません。ここでは、物流業界の大手企業を志望する際の注意点を解説します。
大手企業への強い憧れは時として就活で不利に働きます。無意識に大手病に陥っている場合も多いため、大手企業を志望している学生はこちらの記事をチェックしてみてください。
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キャリアビジョンを考えた上で目標が達成できる企業を選ぶ
働くことで達成したい目標や理想の生活を思い浮かべて、そこから逆算して目標が達成できる企業を選びましょう。もしかすると、就職先が大手企業である必要はないかもしれません。
- どんな業務に携わりたいか?
- どんな生活を送りたいか?
- 5・10年後にどうなっていたいか?
キャリアアドバイザー
周りの目を気にして大手企業に就職したいと考える学生もいますが、大切なのは就職後に納得した仕事ができるかどうかでしょう。
中小企業やベンチャー企業まで幅広く調べる
国内にある大手企業は約0.3%と言われています。ただ、他の企業を調べてない人にとってはそれだけ多くの選択肢が残されていることの裏返しでもあるのです。就活サイトで中小企業からベンチャー企業まで幅広く調べてみましょう。
- 中小企業:社員同士の距離が近い・風通しが良い・幅広い業務に携われる・転勤や異動が少ないなど。
- ベンチャー企業:スピードが速い・事業に革新性がある・裁量権が大きい・年齢や社歴に関係なく評価されるなど。
大手企業にこだわりを捨てきれない学生は、大手企業の子会社や関連企業に応募してみるのをおすすめします。親会社と遜色ない待遇だったり、倒産のリスクが低かったりと大手企業にもとめている条件をクリアできる可能性が高いでしょう。
物流業界・企業にしか当てはまらない独自性のある志望動機を作成する
どの業界・企業にも当てはまるような志望動機では「本当に自社が第一志望なのか?」と疑われてしまいます。
独自性のある志望動機を作成するには、自分のビジョンと一致している業界トレンドを伝えましょう。その人しか言えない一貫性のある志望動機になりやすいです。
就活生
3PLを通して、人と人とをつなげる仕事がしたいです。
といった業界トレンドまで調べている学生は業界・企業知識が豊富で志望度が高い証明になるかもしれません。志望度の高い学生は内定辞退する場合が少なく、企業側としても安心して内定を出しやすくなりますね。
物流業界の志望動機の作成方法について詳しく知りたい学生はこちらの記事も参考にしてみてください。
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キャリアアドバイザーコメント柴崎 拓也プロフィールをみる
大手志望の人の中には、「将来的に国際物流にかかわりたい」など目標を持っている人がいるかもしれません。ですが大手企業は社員数も多く、やりたい仕事に将来的に配属されるかどうか保証されていません。そのため、特定の仕事や部署でチャレンジしたいと考えている人は、入社しても希望する仕事にかかわれない可能性もあります。
また、希望する部署に配属や異動になったとしても、ジョブローテーションによる異動があるため、どれくらいの期間を希望する仕事にかかわれるかわかりませんよね。社員数や部署が多い大手だからこそ、ミスマッチにつながる可能性があることは認識しておく必要があります。
このようなミスマッチを防ぐためにも、紹介したように中小企業とベンチャー企業も併願エントリーをするようにしましょう。そうすることで、やりたい仕事にチャレンジしやすい環境は大手ではないことがわかるかもしれないです。
逆もしかりで、中小企業やベンチャー企業と併願することで、大手企業への志望度が高まり面接でも強い思いを語れるようになりますよ。
物流業界の大手企業に就職するために必要な能力を身につけよう
物流業界の大手企業に就職するには業界の課題やトレンドまで調べて、業界知識をつけましょう。物流企業の将来が把握でき、志望すべきかが明確になります。志望することが決まったら、選考で物流業界でもとめられる能力をアピールして内定獲得を目指しましょう。
他の業界と比べて、ビジネスモデルとしては理解しやすい形態なのできちんと覚えておきましょう。