目次
- フェルミ推定を攻略するためにはコツが重要
- まずはフェルミ推定の概要を整理しよう
- フェルミ推定とは:論理的に概数を推定する手法
- 企業が採用面接でフェルミ推定を課す理由
- フェルミ推定は論理的思考を重視する企業で出題される
- 企業がフェルミ推定で見ている4つのポイント
- 「結論から考える」仮説思考力
- 「全体から考える」フレームワーク思考力
- 「対話を通じて精度を向上させる」修正力
- 「簡潔かつ論理的に伝える」説明力
- どんな問題でも対応可能! フェルミ推定の解き方の流れ
- ①前提条件の確認
- ②要素分解をして公式を作成
- ③公式に数字を入力
- ④確実性を検証
- コツを掴めば回答できる! フェルミ推定攻略の秘訣
- 論理性を重視して解く
- MECE(もれなく、ダブりなく)に分解
- 根拠となる数値などを学ぶ
- 完璧を求めない! 時間も意識してアウトプットを出す
- よくあるフェルミ推定の例題と回答例
- 例題①:「スクールバスにゴルフボールはいくつ入るか」
- 例題➁:「日本で使用されているテレビの台数は?」
- 例題③:「ラーメン店の年間売上を求めよ」
- 例題④:「日本にある電柱の数を求めよ」
- 例題⑤:「日本のスマートフォンの市場規模を求めよ」
- フェルミ推定を解く際に気を付けたい4つの注意点!
- ①正確性に捉われすぎて間に合わない
- ②要素分解にハマり目的を見失う
- ③公式に入れる数字が勘
- ④解けたことに満足して説明が疎かに
- 解き方やコツを理解してフェルミ推定を攻略しよう
フェルミ推定を攻略するためにはコツが重要
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。
「面接で出されることのあるフェルミ推定って何?」
「フェルミ推定を攻略するためのコツを知りたい」
特に外資系コンサル会社や投資銀行を目指す人からこのような相談を受けることがあります。就活生なら一度は耳にしたことがあるであろう「フェルミ推定」ですが、どのような課題でどのように攻略すればいいのか疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
聞き慣れない人にとっては難しそうに感じるフェルミ推定ですが、正しく対策することで大幅な選考通過率アップも可能です。今回は「フェルミ推定」を企業が導入する意図や評価ポイント、攻略方法も徹底解説します。
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まずはフェルミ推定の概要を整理しよう
就活生
キャリアアドバイザー
そうですね。解き方に悩む人も多いですが、コツをつかんで練習さえすれば誰でもできるようになりますよ!
それではまず攻略法を知る前にフェルミ推定とはどのようなものなのかを理解しましょう。概要や面接で課される理由と、面接でフェルミ推定を求める業界の特徴について解説します。
フェルミ推定とは:論理的に概数を推定する手法
フェルミ推定とは、実際に把握することが困難な数値について、論理的な思考を頼りにして概数を推定する方法です。
フェルミ推定の特徴は「特定できない・調べられない問題」に対して、自らの仮説をもとに論理的に概数を求めなければなりません。「そもそも分からない数字を出すのは無理なのでは?」と多くの就活生が難しさを感じますが、論理的思考力や問題解決力を最大限発揮して説得力のある回答が求められます。
逆を言えば、フェルミ推定は答えを導き出すのが困難と感じる問題であっても、ある程度の前提条件と論理的思考力や問題解決力があれば解くことができるともいえますね。
DXやVUCAの時代にこそフェルミ推定が求められている!
フェルミ推定を取り入れる企業は、少しずつ増えてきている印象です。最近ではDX(デジタルトランスインフォメーション)が進展していることや、VUCA(ブーカ)と呼ばれる時代に変化していることを踏まえて、フェルミ推定で用いる考え方の重要度が増していると考えられます。
このような時代には確実な答えは存在せず、仮説検証を繰り返して少しでも有効的な答えを導き出すことが求められます。仮説から論理的に答えを導き出すフェルミ推定の考え方ができる人材が、今後の価値ある人材といっても過言ではないのです。
企業が採用面接でフェルミ推定を課す理由
企業が採用面接でフェルミ推定を課す理由は、学生の論理的思考力や知的好奇心を把握するためです。「特定できない・調べられない問題」に対して正しいアプローチ方法で向き合う思考力や、最後まで考え抜く知的好奇心は仕事を進めていくうえで必要な能力とされています。
そのため、企業は採用面接でフェルミ推定を課すことで「問題に取り組む姿勢」「論理的なアプローチ方法」「適切な課題抽出」「仮説検証」「ディスカッション能力」などをチェックしたいと考えています。
難しい問題だからといって思考を止めたり、諦めたりしてしまうと評価は得られません。フェルミ推定の解き方やコツを理解して面接に臨みましょう。
フェルミ推定は論理的思考を重視する企業で出題される
採用面接でフェルミ推定を出題する業界は、外資系コンサルティング業界や投資銀行業界に多い傾向があります。その理由を見てみましょう。この二つの業界でなくても、求められるスキルが類似していればフェルミ推定が出題される可能性があるので、チェックしておくと良いですね。
まず、コンサルの仕事は顧客が抱える課題解決に向けて、「本質的な問題把握」「解決のための仮説立証」「論理的な最適解の提案」をすること。コンサルの仕事をするためには論理的思考力が必要不可欠なスキルとされています。
投資銀行では企業のM&A(企業・事業の合併や買収)や資金調達の手段を財務コンサルタントとして提案する業務をおこなっていることから、論理的思考力は必要不可欠です。たとえば企業のM&Aを提案するにあたっては、さまざまな条件をもとに論理的に買収金額を設定する必要があります。
こうしたことから、外資系コンサルティング業界や投資銀行業界では採用面接で就活生の「論理的思考力」の確認を重要視しています。そのスキルを見るのに最適なフェルミ推定を多くの企業が出題しているのです。
これらの業界では、採用面接だけでなく、グループワークやグループディスカッションのお題としてフェルミ推定が出されることもあります。対策についてはこちらの記事を参考にしてください。
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企業がフェルミ推定で見ている4つのポイント
フェルミ推定を攻略するために、まずは企業が見ているポイントを押さえておきたいところ。見られているポイントを把握してフェルミ推定を突破しましょう。
ひとつずつ詳しく解説していきます。
「結論から考える」仮説思考力
企業がフェルミ推定で見ているポイントの1つ目は、「結論から考える」仮説思考力です。フェルミ推定で課される問題は、「日本には何本の電柱があるか?」といった正しい答えがなさそうなものばかり出題されます。
そのため、現状持っている情報だけで最も可能性の高い結論を仮説して考える必要があります。そのゴールを見失うことなく仮説検証を繰り返してブラッシュアップしていくことが重要です。
企業はフェルミ推定で「限られた情報から仮説を構築する姿勢」「前提条件を設定して進める力」「時間内に結論を出す力」をチェックしています。わかりやすく言えば「限られた条件の中で結論を出せるか」ということです。仮説思考力が備わった人材かどうかを評価しています。
「全体から考える」フレームワーク思考力
企業がフェルミ推定で見ているポイントの2つ目は、「全体から考える」フレームワーク思考力です。フェルミ推定で課される問題に対しての解答の精度を高めるためには、「対象課題の全体像を俯瞰的に捉える力」と「俯瞰した全体像を最適に分解する力」、すなわちフレームワークで考える力が必要となります。
たとえば、「日本には何本の電柱があるか?」という問題に対して全体像を俯瞰的に捉えるにはこのような考え方で導き出すことができます。まず、日本の面積を把握した上で段々と細かな情報を考える「ズームイン」の視点が重要です。
さらに、細かな情報を正確に考えるためには、俯瞰した全体像を最適に分解する必要があります。たとえば、居住地には電柱がありますが、山間部などには電柱はありませんよね。それぞれを分解したうえで考える必要があります。
このように、問題を考える際にいきなりミクロ的な視点から考えるのではなく、全体像を俯瞰して捉えているかをチェックすることでフレームワーク思考力の備わった人材か評価しているのです。
「対話を通じて精度を向上させる」修正力
上記の2点のほかにもより高度なのは、「対話を通じて精度を向上させる」修正力です。採用面接でフェルミ推定を課される場合、グループワークとして取り組むことが多くあります。
グループワークではメンバー同士で問題に対して、さまざまなアプローチ方法を議論しながら答えを導き出しますが、その答えがずれていたということも多々あります。「答えが出た」と安心するのではなく、メンバー間で対話を重ね、個々の要素をブラッシュアップさせて間違いを修正していきましょう。
導き出した答えや自分の意見に固執するのではなく、常にブラッシュアップするために相手の良い意見を取り入れる姿勢や、対話を通じて精度を向上させようとする姿勢をチェックすることで修正力を評価しています。
「簡潔かつ論理的に伝える」説明力
2つの思考力を駆使し、さらに対話を通じて磨いていくことで結論が導き出せたとしても、それが面接官にうまく伝えられないのはもったいないですよね。そこで求められるのは、簡潔かつ論理的に伝える説明力です。プレゼンテーション能力と言い換えてもいいでしょう。
多くのフェルミ推定を取り入れた選考では、解いた後に面接官に発表することが求められます。いくら問題を解く過程で論理的に解けていたとしても、導き出した答えを簡潔で論理的に伝える能力が必要です。課された問題に対して「どういった仮説を立て」「どのように全体を俯瞰的に捉え」「どういったアプローチで答えを導いた」のかを論理的に説明できるようにしましょう。
企業はあなたの説明内容が論理的で分かりやすいものになっているかをチェックすることで、説明力を評価しています。
どんな問題でも対応可能! フェルミ推定の解き方の流れ
ここからはフェルミ推定の解き方の流れを解説していきます。フェルミ推定を攻略するためには正しい解き方の流れを把握することが大切です。
①前提条件の確認
フェルミ推定を解く際には、すぐに問題に取り掛かるのではなく前提条件を明確にする必要があります。フェルミ推定で課される問題は「靴の年間売り上げを求めよ」というようにあいまいなものが多いです。出題者側の意図に沿った解答を導き出すためにも、前提条件を確認して明確にすることが重要となります。
たとえば「靴の売り上げを求めよ」という例文に対し、対象が日本なのか世界中なのかというエリアを特定する必要がありますよね。靴の種類もスニーカーなのかすべての靴なのかの対象を明確にする必要があります。
この前提条件を確認せずに取り掛かってしまうと面接官の意図に沿わない解答をする可能性が出てしまうため、問題に取り掛かる前は面接官に前提条件を確認しましょう。特に決まった前提がない場合は、チームで前提を置いて問題に取り組むようにしてください。
②要素分解をして公式を作成
問題の前提条件の確認が終われば、実際に問題を解き始めます。問題を解く際に重要なのは問題に対する要素を分解して公式を作ることです。
具体的には、「売上」は「単価×数量」で求めることができるため、「単価」と「数量」に要素分解することができます。たとえば、「靴の年間売上を求めよ」という問は「日本の総人口」×「1人あたりの年間靴購入回数」×「靴の単価」という要素分解をすることで求めることが可能です。
このように、与えられた問いに対して要素分解を行うことで公式を作ることができます。また、要素分解をおこなう際の注意点としては「要素に抜け漏れやダブりがないか」「分解した要素で推定可能か」をチェックするようしましょう。
③公式に数字を入力
要素分解をして公式を作成することができれば、その公式に数字を入力することで実際の数値を求めることができるようになります。公式に数字を入れるときに大切なのは、公式を作成するたびに数字を入れるのではなく、全ての要素に分解し終えてから数字を入れて計算をすることで効率的に推定が可能です。
また採用面接で課されるフェルミ推定の多くは問題を解く時間が限られているため、公式に数字を入れて計算をするときにはスピードと正確性が重要になります。そのため、素早く問題を解くためには要素分解する際の数字をどれだけ知っているかも重要になってくるでしょう。
④確実性を検証
最後は導き出された解答が妥当なものかを確かめるために、その確実性を検証することになります。いくら制限時間内に数字を求めることができたとしても根拠のない的外れな数字だった場合、評価されることは難しくなるでしょう。
そのため、解答する前には必ず求められた数字の確実性を確認することが大切です。確実性を確かめるためには、「正しく要素分解ができているか」「公式に入れた数字は誤っていないか」という算出過程をよく見直すようにしてくださいね。
確実性を検証した上で解答ができれば、あとは求めた解答を論理的に説明するようにしましょう。
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フェルミ推定は短時間に概算で答えを出すことが求められます。考える時間が短いので慌ててしまいますよね。でも、フェルミ推定を解いていくうえで大切なのは「正しく定義付けをすること」です。前提条件があいまいなのに論理を組み立て始めるのは短絡的な印象を持たれるかもしれません。
次に大切なことは、「考える軸がぶれないこと」です。先ほどの靴の例でいうと、総人口などから靴の売上を算出していますよね。靴の売上高を考えるときは靴メーカーの数やメーカーの売上高から考えることもできます。しかし、もし「靴を履いている人の数から考える」と軸を定めたなら、そこからぶれないように論理を組み立てていきましょう。
コツを掴めば回答できる! フェルミ推定攻略の秘訣
ここまででフェルミ推定の解き方の流れは理解できたと思います。しかし流れを理解しただけではフェルミ推定を攻略することは難しいでしょう。フェルミ推定を攻略するためには、解き方のコツを理解することが重要です。
論理性を重視して解く
フェルミ推定を攻略するために最も重要なことは、論理的に数値を導き出すことです。そのため、明確な答えがない問題に対しては答えの正しさよりも、論理性を重視して解くことが求められます。
つまり、与えられた課題に対して前提条件を明確にし、正しく要素分解をおこなうことこそが論理的な推定につながるため、フェルミ推定を解く際は「誰が見ても納得できる」要素に切り分けることを心掛けてください。
面接官は物事を論理的に捉えて答えを導き出そうとする姿勢を評価しているため、常に論理性を意識して取り組みましょう。
正確性はどこまで重要?
とはいえ、「どんなに論理的でも実際の数字とかけ離れた回答ではだめですよね」という就活生の相談も多くあります。もちろん、導き出した数値と実際の数値に乖離がなければ素晴らしいことですが、実は正確性を重視しているわけではありません。
フェルミ推定によって面接官が見極めたいのは論理的思考力や問題解決力です。正しく要素分解を行って計算するプロセスこそ最重要視していることを理解しておきましょう。
MECE(もれなく、ダブりなく)に分解
フェルミ推定を解くコツとして要素分解を正しく行うことが大切になりますが、要素分解を行う際に必要になる考え方としてMECEがあります。
MECEとは、ある物事を「もれなく、ダブりなく」切り分けた状態で、英語の「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったものです。
立てた仮説に対してMECEの概念を用いることで論理的に立証していくことが可能になります。MECEを実現するためには代表的なフレームワークを知っておくことが有効的ですので、最低でも以下4つは押さえておきましょう。
- 因数分解:ある物事を複数の要素に分解(掛け算・割り算・足し算・引き算など)
- 3C分析:自分の立ち位置を理解するために「顧客・市場(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」に切り分けて情報整理
- 4P分析:他社と比較する際に「品質(Product)」「価格(Price)」「Place(立地)」「Promotion(宣伝)」の観点で検討
- SWOT分析:「強み(Strongth)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threats)」を「外部・内部」「プラス面・マイナス面」の二項対立で表現
根拠となる数値などを学ぶ
限られた時間の中でフェルミ推定を解くためには、あらかじめ根拠となる数字を知っておくこともコツの1つです。フェルミ推定で推定する数値の正確性はそこまで重要視されないと言いましたが、「考える手がかりとなる数字」があった方がより具体的な議論ができますよね。
また、要素分解をしたときに作成する公式に当てはまる数字を知っているのと知らないのとでは、問題を解くスピードや正確性に大きな差がでます。そのため、フェルミ推定で押さえるべき数字は最低限知っておくと良いでしょう。
暗記推奨! フェルミ推定で押さえるべき数字
採用面接でフェルミ推定が課されることの多い外資系コンサル会社や投資銀行を志望するのであれば、最低限の数字は暗記しておきましょう。
- 人口:約1億2623万 人
- 国土面積:38万㎢(30%平地、70%山岳地)
- 世帯数: 約5572万世帯
- 労働力人口:約6152万人
- 小学校の数:約2万校
- 中学校の数:約1万校
- 高校の数:約5千校
- 大学の数:約750校
- 中企業の数:55万社
- 小企業の数:330万社
- 市の数:800箇所
- 町の数:750箇所
- 村の数:200箇所
(参照:統計局ホームページ「平成27年国勢調査」/「令和2年国勢調査」)
- 世界総人口:約76億人
- 地球の表面積:5.1億㎢(30%陸、70%海)
- 地球の直径:12万km
- 地球の円周:40万km
- 密度=(単位体積の質量)=質量÷体積
- 速度=(単位時間に進む距離)=距離÷時間
- 球の表面積=同じ半径の円の面積×4
- 球の体積=表面積×半径×1/3
- 円周=半径×2×円周率
- 円の面積=半径×半径×円周率
完璧を求めない! 時間も意識してアウトプットを出す
コツというわけではありませんが、「完璧を求めない」という姿勢も非常に重要です。何でも完璧に答えようとする完璧主義の考え方は、フェルミ推定においては大きな仇になりかねません。問題を解くための時間が十分にあるのであれば、丁寧に要素分解をおこなって正確な数字を入力していけば精度の高い推定はできるでしょう。
しかし、採用面接で課されるフェルミ推定を解く時間はせいぜい5~10分程度と非常に短いため、時間を意識してアウトプットを出すことも重要です。限られた時間で解答するためには、完璧な数値にこだわらずに、論理的に説明ができる程度に要素分解をすることが大切です。
無理して正確性を追求するのではなく、論理性とスピードを重視して解くことを心掛けましょう。
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フェルミ推定を解く際のポイントは「思い切って仮説を立てて解く」です。フェルミ推定は論理的思考力を見ているので途中式が大切です。細かい部分が間違っていても、論理に漏れがなく、途中式さえできていれば、あとから数字を入れ替えるだけで答えが導き出せます。途中式に知りうる範囲の数字を入れてみて、出た答えが常識的に考えてあっているか考えましょう。
合っていないなら途中式が間違っている可能性があるので、どこが間違っているか考えます。グループワークの場合、メンバーと話し合ってブラッシュアップする機会にもつなげられますよ。
よくあるフェルミ推定の例題と回答例
フェルミ推定の解き方や攻略のためのコツは理解できたと思いますが、ここでは実際に例題を確認しながらどのように解くのかを解説します。
解き方やコツがわかっていても実際に問題を熟知していなければ面接本番で焦ってしまうので、対策のためにも多くの例題に触れるようしましょう。
例題①:「スクールバスにゴルフボールはいくつ入るか」
面接官
スクールバスにゴルフボールはいくつ入りますか?
例題の1つ目は「スクールバスにゴルフボールはいくつ入るか」という問題です。これは実際に企業の面接でも出されたことのある問題なので、フェルミ推定に慣れるにはちょうど良い問題と言えます。
スクールバスに入るゴルフボールの数を計算する際は、バスの大きさを決めた上で「バスの体積」を「ボールの体積」で割ることで求めることが可能です。
実際にこの問いに対しては以下の流れで解きます。
就活生
スクールバスには約320万個のゴルフボールが入ります。
スクールバスには約320万個のゴルフボールが入ります。
スクールバスの中にゴルフボールが何個入るか求めるためには、バスの体積をゴルフボールの体積で割ることで導き出すことが可能です。
まず、バスの大きさを高さ3m・幅3m・長さ10mと仮定し体積を90㎥と算出しました。次にゴルフボールの大きさを直径3cmと仮定し体積を約14㎤、つまり0.000014㎥と算出しました。
また、スクールバスには運転席・座席・エンジンなどがありボールが入らないスペースがあることを考慮した結果、ボールが入る面積を半分の45㎥とすると、スクールバスに入るゴルフボールの数は約320万個と推定されます。
よって、スクールバスには約320万個のゴルフボールが入ります。
例題➁:「日本で使用されているテレビの台数は?」
面接官
日本で使用されているテレビの台数は?
例題の2つ目は「日本で使用されているテレビの台数は?」という問題です。こちらは日本の世帯数や世帯構成などの統計データを用いて解く問題となっており、データを知っているかどうかで算出される数値が大きく異なります。
この問題は「世帯数」と「世帯あたりのテレビの所有台数」を掛け合わせることで数値を導くことが可能です。
実際にこの問いに対しては以下の流れで解きます。
就活生
日本で使用されるテレビの台数は約7000万台です。
日本で使用されるテレビの台数は約7000万台です。
日本で使用されるテレビの台数を求めるためには、日本の単身世帯と核家族世帯の数と各世帯が所有しているテレビの台数を掛けたものを足すことで導き出すことができます。
まず、統計局が発表しているデータによると単身世帯の数は1841万世帯、核家族世帯の数は3503万世帯ということが分かっています。さらに、単身世帯は1台のテレビを保有し、核家族世帯は1.5台のテレビを所有していると仮定します。
すると、単身世帯のテレビ所有台数は1841万台となり、核家族世帯は5254万台という数値が求められ、それらを合わせると日本で使用されているテレビの台数を求めることが可能です。
よって、日本で使用されるテレビの台数は約7000万台です。
例題③:「ラーメン店の年間売上を求めよ」
面接官
ラーメン店の年間売上を求めよ。
例題の3つ目の例題は「ラーメン店の年間売上を求めよ」という問題です。この手の問題は注意が必要な問題と言えます。なぜかと言うと、問題がとても抽象的で定義が曖昧だからです。ラーメン店といっても規模や立地などさまざまな要因で変わってしまうため、問題だけでは定義が明確化できない問題に対しては面接官に定義を確認するようにしましょう。
就活生
問題を解く前に、前提条件について確認させてください。ラーメン店の規模・立地など明確な条件があれば教えてください。
面接官
今回はこちらで条件は設定していないので、前提は自分たちで設定してかまいません。
そこで定義を提示されたら、その定義に沿って進めていけば良いですし、定義を提示されなかったとしたら自分自身で前提条件を作って進めれば良いです。
一般的に売上を因数分解すると「単価×数量」で算出されますが、ここではもう少し精緻に計算をします。具体的にラーメン店の年間売上を求める際は「店の規模×稼働率×回転率×営業時間×単価×365日」という公式に当てはめれば算出することが可能です。
実際にこの問いに対しては以下の流れで解きます。
就活生
ラーメン店の年間売上は1414万円です。
ラーメン店の年間売上は1414万円です。
ラーメン店の売上を求めるためには、規模・稼働率・回転率・営業時間・ラーメンの単価・稼働日を把握することで算出できます。ここでは10席のラーメン店を想定し、稼働率70%・1時間当たりの回転率を1.5回転と仮定しました。
そして、営業時間は11時~15時までのランチタイムの5時間とし、単価は850円に置きました。また、休みは週1日としたことから稼働日は317日となりました。
これらの前提条件を全て掛け合わせるとラーメン店の年間売上を求めることができます。
よって、ラーメン店の年間売上は1414万円です。
例題④:「日本にある電柱の数を求めよ」
面接官
日本にある電柱の数を求めよ。
例題の4つ目は「日本にある電柱の数を求めよ」という問題です。この数を求める問題はフェルミ推定の定番とも言え、電柱に限らずマンホールなどあらゆる物の数を求められます。
ただ、考え方や要素分解する流れは共通しているところが多いので、この例題を理解することでしっかりと対策することが可能です。
日本にある電柱を計算するには、日本の総面積と電柱の立っている間隔を割ることで求めることができます。ただ、単に日本の総面積を用いると多くなりすぎるため、日本を都市部と田舎に分解して考えるとうまく解けるようになるでしょう。
実際にこの問いに対しては以下の流れで解きます。
就活生
日本にある電柱の数は3800万本です。
日本にある電柱の数は3800万本です。
日本にある電柱の数を求めるためには、日本の総面積を電柱の立っている間隔で割ることで導き出すことができます。ただし、日本の総面積を単純に使用するのはなく、都市部と田舎で分けて考えました。
まず、日本の総面積を38万㎢に対して都市部と田舎の割合を2:8と置き、都市部では250㎡四方に電柱が1本立っていると仮定します。さらに、田舎では40000㎡四方に1本の電柱が立っていると仮定します。
各面積を電柱の立っている間隔で割ること、都市部と田舎でそれぞれの電柱の本数を求めることが可能です。
よって、日本にある電柱の数は3800万本です。
例題⑤:「日本のスマートフォンの市場規模を求めよ」
面接官
日本のスマートフォンの市場規模を求めよ。
例題の5つ目は「日本のスマートフォンの市場規模を求めよ」という問題です。フェルミ推定には市場規模を求める問題も多く存在するため、きちんと押さえておきましょう。
スマートフォンの年間の市場規模を求めるためにはスマートフォンの保有数と1人あたりの平均保有数、そして買換え頻度を把握することで算出することができます。
あとはスマートフォンの単価を設定し「スマホ保有数×平均保有数/人×単価÷買換え頻度」の通り計算すれば求めることができますね。実際にこの問いに対しては以下の流れで解きます。
就活生
日本のスマートフォンの市場規模は年間2.7兆円です。
日本のスマートフォンの市場規模は年間2.7兆円です。
日本のスマートフォンの市場規模を求めるためには、スマホ保有率と1人あたりのスマホ保有数、そして単価を掛け合わせたものに対して買換え頻度で割ることで算出することができます。
まず、スマホの保有率は人口の7割とされ、さらには1人当たり平均1.2台保有していると仮定します。そして、スマホ単価を5万円に設定し、買換え頻度はキャリアの契約期間が終わる2年に設定しました。設定したそれぞれの数字を掛けたものを買換え頻度で割ることでスマートフォンの年間市場規模を求めることが可能です。
よって、日本のスマートフォンの市場規模は年間2.7兆円です。
フェルミ推定を解く際に気を付けたい4つの注意点!
最後にフェルミ推定を解く際の注意点を解説します。ここで紹介する4つの注意点を理解することで、面接でフェルミ推定を解く際に失敗することを回避できるようになります。
フェルミ推定を解くにあたってのNG例を把握した上で、フェルミ推定に取り組むようにしましょう。
①正確性に捉われすぎて間に合わない
フェルミ推定を解くときに注意しなければならない点の1つ目は、正確性に捉われすぎて間に合わないということです。精緻な答えを出そうとして細かな要素分解と公式作成に時間をかけてしまった挙句、答えまでに辿り着かないとなると評価されるのは難しくなります。
「納期遵守」が基本である社会人にとって、結果の良し悪しに関わらず期限までにアウトプットを出すことは当然です。また、採用面接でも同じように制限時間内に解答するのは重要になってきます。
正確性に捉われ過ぎず、検証不完全なところがあったとしても時間を逆算して、時間内にアウトプットを出すように取り組みましょう。
②要素分解にハマり目的を見失う
フェルミ推定を解くときの注意点の2つ目は、要素分解にハマってしまい目的を見失うということです。フェルミ推定を解く過程では要素分解をすることが重要ですが、「論理的に導き出さなければならない」という意識が強くなり、どの要素でもMECEに当てはめようとしてしまいます。
もちろん、論理的に考えるにあたってはもれなく、ダブりなく考えることは大切なのですが全ての問題が公式に当てはめて解ける問題とも限らず、要素分解ばかりに拘っていると目的を見失うことにつながりかねません。
フェルミ推定を解くときには、必ず細かな要素分解に入る前に与えられた問題は何を求められているのかという目的を押さえた上で取り組むようにしましょう。
③公式に入れる数字が勘
フェルミ推定を解くときの注意点の3つ目は、公式に入れる数字が勘になってしまうことです。フェルミ推定を解く際、要素分解にエネルギーを取られるあまり、公式に入れる数字を根拠なく勘で入れてしまう人がいます。
フェルミ推定を解くにあたっては、「勘」で解くことは論理性を一切示さないため最も注意しなければならない点とされており、「時間が無い・分からない」からと言って勘で数字で置くのは避けるべきです。
未知の数字に対して現状持っている知識・情報・常識を拠りどころにして考えることで、あなたの論理的思考力や問題解決力を図っているため、勘に頼らず根拠を持った数字を入れられるかが評価の分かれ目となるでしょう。
④解けたことに満足して説明が疎かに
フェルミ推定を解けたことに満足して、面接官への説明がおろそかにならないように注意をしなければなりません。実際にやってみればわかると思いますが、フェルミ推定の問題を解けると非常に満足感を感じます。
未知の問に対して自分の持っている知識・情報だけで論理的に答えを導き出すことができれば達成感は高いです。しかし、採用面接では問題を解くだけではなく、それを面接官に簡潔かつ論理的に説明できなければ評価にはつながりません。
正しいステップで答えを導き出したことを証明するためにも、説明するときはPREP法を意識して述べるようにすると良いですね。
「PREP法」を意識しよう
相手に伝わるフレームワークにPREP法があります。結論を述べ、その理由・具体例を伝えた後にもう一度結論をいいます。漫然と伝えるのでなく、PREP法を意識するだけで相手の理解度が格段に変わるので、ぜひ試してみてください。
- Point(結論):初めに結論を述べる(売上高は〇〇円です)
- Reason(理由):次にその理由を述べる(売上高は「数量×単価」で算出しました)
- Example(具体例):理由を裏付ける具体例を示す(実際の計算数値は△△×□□となります)
- Point(まとめ):最後にもう一度結論を述べる(以上の、根拠・数値から売上高は〇〇円を導き出しました)
キャリアアドバイザーコメント上村 京久プロフィールをみる
面接でフェルミ推定を解くときの注意点は「少ない情報を元に落ち着いて問題を解ききる」ことです。まったく見当がつかなくても慌てなくても大丈夫です。出題された問題の定義があいまいなら面接官とすり合わせて限定させていけばいいのです。こういった「すり合わせ」ができるかも能力の一つとして見られています。
フェルミ推定は面接の途中でいきなり始まることもあります。たとえば「高校のときにバスケットをしていました」というエピソードから「バスケットボールボールは全国に何個あると思う?」などと始まります。突然聞かれると頭が真っ白になるタイプの方もいますよね。有効な対策は、趣味や自己PRで使うエピソードに関係する統計データはある程度記憶しておき、「準備はできている」と自信を持つことです。
解き方やコツを理解してフェルミ推定を攻略しよう
外資系コンサルや投資銀行を目指す就活生にとってはフェルミ推定は避けては通れません。不安を感じている学生も多いかもしれませんが、フェルミ推定は解き方やコツを理解して攻略することが可能です。
自信を持って面接に取り組むためにも、ここで紹介した多くの例題や解答例を参考にフェルミ推定の問題に慣れていきましょう!
フェルミ推定とは | 問題の特徴から解き方のコツまで元教員が徹底解説!
フェルミ推定って名前がまず難しそうです……。