目次
- 安定志向を就活で伝えて良いのか不安に感じる人も多い
- そもそも安定志向とは?
- 安定志向の意味と類義語
- 安定志向の人の特徴
- 安定志向のメリット・デメリット
- メリット
- デメリット
- 安定志向の学生におすすめする企業の選び方
- 業界の将来性を確認しよう
- 職種・業務内容を確認しよう
- 福利厚生を確認しよう
- 実際に社員と話してみよう
- 安定志向の学生ならではの就活対策を解説!
- 自己PR
- 志望動機
- 企業目線で解説! 安定志向の学生に抱くかもしれない懸念点とは
- 積極性が足りないのではないか
- 自社業務に対する意欲が足りないのではないか
- 誤解を生まない! 安定志向の言い換え方法を解説
- 安定志向だけど積極性があると伝える
- 安定志向だからこそまじめで着実に働ける人物だと伝える
- 安定性を重要視する理由を明確にする
- 安定性以外の魅力を企業に感じていると伝える
- 就活で安定志向をアピールする際に注意すべきポイント
- 待遇面での安定志向を前に出し過ぎない
- 安定志向だけで意欲・積極性を伝えない
- 安定志向を盛り込んだ志望動機のOK例
- 安定志向もありつつ上昇志向も感じる
- なぜ安定が大切かが伝わる
- 安定性以外の魅力も企業に感じているのがわかる
- 安定志向を伝えるときは少しの工夫でポジティブに変換
安定志向を就活で伝えて良いのか不安に感じる人も多い
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。就活をおこなう学生からこのような質問をされることがあります。
「安定志向で就活を進めるのはダメなのだろうか」
「安定志向で仕事選びをしていることが伝わってしまうと不合格になるのではないだろうか」
などと心配になる人もいるかもしれません。
もともと性格的に安定志向が強く、就職についても安定を第一に考えたいという人も多いでしょう。
では、安定志向の学生はどのように就活を進めていくべきなのでしょうか。この記事では就活における安定志向の考え方や、安定志向の学生向けた企業の選び方、面接官に対して安定志向を含ませながら志望動機や自己PRを伝える方法などについて解説します。
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そもそも安定志向とは?
就活生
キャリアアドバイザー
そう思うところがあるのですか?
就活生
やっぱり倒産しそうもないところに就職したいですよね。
でもみんなそうではないのでしょうか? 安定志向ってよくない意味に使われることが多いように思いますが、何が悪いのでしょうか。
キャリアアドバイザー
安定志向はけっして悪いことではありません。まずは意味について見ていきましょう!
安定志向の意味と類義語
安定志向とは大きな変化を好まず、平穏な状態をもとめることを指します。人によって安定の基準は異なりますが、大きく2種類に分けられます。
- 企業そのものや働く環境が安定していること
- 自分が安定して業務をおこなうこと
そして、企業の安定とは以下のような状態を指します。
- 倒産の心配が少ない
- 福利厚生がしっかりしている
- 高水準の給与が得られる
- 派手な業務ではないが、コツコツと働ける
- 責任が少ない分、失敗も少なく働ける
親世代からバブル崩壊やリーマンショックの話しなどを聞かされることがある若い世代で安定志向は広がっているとも言われています。
また、安定志向の類語としては、無難、確実、しっかりした、などが考えられます。一方対義語としては冒険志向、上昇志向が挙げられます。
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安定志向の人の特徴
次に安定志向の人の特徴を確認しましょう。自身が安定志向なのか、またはそうではないのか、ぜひ確認してみてください。
安定志向の人には以下のような傾向があります。
- 不測の事態に対応するのが苦手
- 初めてのことをするのが苦手
- 一カ所で長く働きたいと思っている
- 周囲の変化についていくのが苦手
- 着実なキャリアプランをすでに描いている
もちろん、本人の気持ちだけではなく、家族の希望や時代の状況によって安定を目指す人もいます。バブル崩壊やリーマンショックを経験したことのある親世代からの話しなどの助言を受け、就活に安定志向をもとめる学生も少なくありませんね。
安定志向のメリット・デメリット
就活生
就活において安定志向はどのようなメリットとデメリットがあるのですか?
キャリアアドバイザー
安定志向はどのように就活で活かすことができるのか、ポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
メリット
安定志向のメリットとしては、将来に向けて堅実な人生が歩みやすいという点があります。収入も常に安定しているので貯金や、趣味に使うお金が、常に計算しやすい状態です。月にいくらくらいまでは遊びに使っても大丈夫だという目安ができます。
安定した企業に勤めていれば、ローンも組みやすいと言えます。住宅ローンなどを組む際には金融機関の審査がありますが、公務員や大手上場企業などの正職として勤めていると通りやすいとされています。
また、仕事の内容的にも、さほど無理をせずに働けるので、精神的にも落ち着ける状態が持続します。スタートアップ企業などで常にチャレンジが必要な場合は緊張感が持続しますが、安定した企業の場合には落ち着いて自分の業務に集中しやすいと言えます。
デメリット
安定して働いていると刺激が少なく退屈に感じるかもしれません。出会う人の範囲も限られやすく、フリーランスやスタートアップで働く人が出会えるような、自分を高めてくれる刺激的な相手と仕事する機会は少ないでしょう。
安定して収入は得られるものの、劇的な収入アップは見込めません。企業の一員としての側面が強いため、個人的な成功を感じる機会は少なく、達成感も持ちにくい人も多いようです。
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安定志向のメリットとして、人生設計をしやすいという面もあります。勤め先が安定した企業や職業であれば、将来的に倒産や失業するリスクが低くなります。また、大手企業など退職金が出る企業の割合も多い傾向にあるため、将来的な金銭面の心配も軽減されやすくなるでしょう。
また、安定した企業だと社員数が多いことから、一人あたりの仕事が細分化されており、仕事内容がルーティンワークな傾向もあります。変化が苦手な人や、同じ作業を繰り返し行うことが得意な人にとっては働きやすい環境といえます。
そして安定志向のデメリットとしては、横断的なスキルが積みづらい点があります。上述したとおり、安定した企業は一人あたりの仕事の領域が明確に定められていることがほとんどです。
一方で、スタートアップ企業だと職種をまたいで複数の仕事をこなすこともあり、さまざまなスキルを身に付けやすい環境にあります。そのため仮に転職活動をするとなった際に、経験した業務が限定的だと受けられる企業が少なくなる可能性もあります。このように安定志向のメリット・デメリットを客観視できるとより良いですね。
安定志向の学生におすすめする企業の選び方
自分が安定志向だと思った場合、どのように企業を見極めたらよいのでしょうか。一般的に大手企業と呼ばれる企業も、必ずしも安定しているとは限りません。ネームバリューはあるものの、経営が安定せず、働いている人たちも厳しいと感じているケースもあります。
一方、中小企業でネームバリューは小さくても、業界のなかで大きなシェアと高い技術を持ち、安定感が抜群な会社もあります。
ESや面接での回答を考える際には、自分の資質と企業の特性をマッチさせなければなりませんが、そのためには企業選びの段階で自分に合っていないとうまくいきません。ここからは安定志向のための、企業選びについて解説します。
業界の将来性を確認しよう
業界自体に将来性があるかどうかの研究も忘れないようにしてください。
安定している業界は、どんな時代でも社会に必要とされる業界か、成長が見込める業界です。
社会に必要とされる業界としては、公務員や生活インフラ、医療、介護に関わるものがとくに挙げられます。また成長業界としてはITやAIに関する業界があります。今や私たちの生活のなかにITやIoT(モノのインターネット)、ロボットなどの技術は不可欠であり、新しく開発するほか、メンテナンスも必要になっていくことから、今後も安定して需要があると考えられます。
職種・業務内容を確認しよう
職種や業務内容についても安定して働けるか詳しく調べる必要があります。
とくに着目したいのが、AIに代わられる可能性があるかどうかという点です。職種によっては近い将来、AI(人工知能)がほぼおこなってしまうと予想されているものがあり、せっかく就職しても違う職種に回されてしまったり、最悪の場合にはリストラされてしまったりする可能性があります。
たとえばAIに一部の業務をまかせたとしても、なくなることはないと考えられるのが医師、看護師、介護士、教師、保育士です。記憶や情報処理については、人はAIにかないませんが、ケアをするような業務は、やはり人間のほうが向いています。
これから始める仕事が、将来的にも継続して需要があるか、考えてみてください。
福利厚生を確認しよう
福利厚生が整っている会社は、企業の体制がしっかりとしているため、安定性が高いといえます。
仕事と育児が両立できるように、産休制度、育休制度が充実しているかを確認するのをおすすめします。子育て環境が整っていれば、途中で長期休暇をとっても長く働けます。産休・育休制度が整っている会社は社員に対して全体的に働きやすい環境を整えていると考えられます。
また、男女構成比がほぼ半々の企業を選ぶと、待遇や給与の面で男女格差の少ない企業である可能性があります。現代の状況に合わせ、男女の待遇を同等に近い状態にしている企業は、ほかの面でも時間の状況を敏感に捉え、柔軟に働きやすい環境を整えてくれる可能性があります。
実際に社員と話してみよう
会社の状況を知るには、実際に働いている人に話を聞いてみるのをおすすめします。OB・OG訪問や、会社見学、金融業界でしたら支店訪問などで話を聞いてみてください。
もちろん「安定していますか?」などと聞くのは失礼ですし、福利厚生や給与のことばかり聞くのも印象がよくありません。それよりも、実際の働き方や、産休・育休後の復帰状況、社風などについて聞いてみるなかで判断していくとよいでしょう。生き生きと働いている様子がわかれば、ある程度安心できます。
また、競合他社や業界の将来性、業界内での応募先企業のポジションなどについて聞いてみても、企業の状況が見えてくるかもしれません。
安定志向の人は年功序列の企業も合っている可能性があるでしょう。こちらの記事で年功序列について解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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安定志向の学生の特徴の一つとして、初めてのことに対して行動を起こすスピードが遅いことがあげられます。説明会への参加やOB・OG訪問など、慣れていないうちは腰が重くなり、なかなか行動に移せない学生もいるかもしれません。
とはいえ、ある程度慣れが生じたらストレスは減るでしょう。行動を先延ばしにすると、より億劫になってしまうため、先に予定を入れておき、動かざるをえない環境をつくってしまうことをおすすめします。
自分の気持ちに正直に企業を選ぶようにしよう
また、安定志向の学生には、幼少期に親から言われたとおりに行動してきた場合も多く、自発的に動くことが得意でない人もいます。就活においても、周囲から勧められた企業をなんとなく受けてしまうと、自分に合った企業がわからず、選考に通りづらくなる可能性もあります。仮に内定を獲得できたとしても、合わない企業だと入社後に苦しむこととなるでしょう。
重要なことは、周りの意見に惑わされず、自分の意思で受ける企業を決定することです。勧められた企業だとしても、まずは自分で調べ、自分に合っているか、やりがいをもって働けそうか、といった観点で選考を受けるか判断すると良いですね。
安定志向の学生ならではの就活対策を解説!
キャリアアドバイザー
ここからは安定志向の学生さんに向けて、就活対策を解説しますね!
安定志向を伝える機会としては自己PRや志望動機をエントリーシート(ES)や面接で伝える際に、要素とする人が多いかと思います。
いずれでも安定志向の伝え方次第によっては、けして悪いものにはなりません。
ここでは安定志向の伝え方について例文とともに紹介します。
自己PR
自己PR文では自分の特性として安定志向を伝えることになります。しかし、それだけでは受け身の印象が強くなり、魅力的な自己PR文とはなりません。
安定志向と同時に、コツコツと着実に物事を進めるのが得意という点を強みにしてはいかがでしょうか。
一方、安定志向でありながら向上心を持っていることを伝えてもよいでしょう。安定志向と向上心はけっして相反するものではありません。安定があってこそ大胆な挑戦もできるのだという点を主張してみてもよいかもしれません。
自己PRの書き方を詳しく知りたい人はこちらを参考にしてください。
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OK例文
私はコツコツと着実に物事をすすめるのが得意な性格をしています。冒険もあまりおかさないのでよく「安定志向」だと周囲の人に言われます。しかし私は『どんな冒険もしっかり準備をして計画的に行うことが大切』だと考えています。
ゼミで夏休み明けまでにレポートを出すように言われた際にも、入念に準備と調査、分析を行い、あわてることなく徹夜もせずに締め切りに間に合わせました。それまでのテーマとは異なるジャンルに挑戦したため教授から「新しいチャレンジがとてもよかった」と評価をもらいました。
貴社に入社できましたら、安定志向の着実性を持ちながら、営業職として挑戦していきたいと思います
キャリアアドバイザー
自分の特徴を安定志向ではなく、着実という言葉に置き換えられていますね。
また、安定志向だからこそチャレンジができるという点も伝え、受け身ばかりではないことも表現できています。
NG例文
私の長所は安定志向である点です。常に足元を見て安定した道を歩むことで、大きな失敗を避けることができてきました。
アルバイトも周囲は、リゾートバイトやコンパニオンなど、華やかで時給の高いものを選びましたが、私は知人の会社で事務のバイトを続けました。アルバイトとはいえ社員食堂を利用でき、半年ごとには時給が上がり、待遇はとてもよいものでした。アルバイトですからけしてでしゃばらず、社員の方の指示通りに作業を進めたおかげで、とくに目立つ失敗もなく2カ月前に、予定通り退職しました。
貴社に入社しましたが、上司や先輩方に仕事を教えていただき、ご指導をうけながら仕事を進めていきたいと思います。
キャリアアドバイザー
安定志向であるとストレートに表現し、さらにアルバイト体験も時給や待遇の話しばかりで、就職後も企業に対し待遇の良さだけをもとめそうな印象です。
志望動機
志望動機では企業選びの段階で安定を考慮に入れたことを伝えることができますが、伝え方には注意が必要です。
「経営が安定している企業だから志望した」「安定して働けるから志望した」というだけでは、企業がESや面接で知りたい、業務への感心や熱意、企業へ行いたい貢献などについて、何を考えているかが伝わりません。
また、安定だけの理由では、ほかの安定している企業への就職でよいのではないのかという印象を与えます。
経営が安定している大手とされる企業は応募者も多いため、しっかりと自分をアピールできていないといけません。業務への理解、やりたいという熱意、企業に貢献したいという気持ちを伝えるようにしましょう。
志望動機の書き方をあらためておさらいしたい人は、この記事を参考にしてみてくださいね。
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OK例
私は経営状態も安定している貴社で、人々が継続して快適な暮らしができるようにITインフラを供給する仕事をしたいと思いました。
私は東日本大震災のときにはまだ子どもでしたが、金融関連のシステムエンジニアをしていた叔父がほとんど寝ずにがんばったと聞きました。お金の出し入れが滞ってしまうと、首都圏の人々の暮らしがたいへんなことになるという思いがあったそうです。そのときに、ITインフラが安定して稼働していることの大切さを知りました。
私もスキルを高めながら、貴社の一員としてITインフラの開発運営に携わっていきたいと考えています
キャリアアドバイザー
企業が安定しているからこそできる事業があるとし、経営状態だけではなく、ちゃんと業務にも関心を持っていることが伝わります。
インフラ業界も安定していると言いますが、インフラの重要性を理解している点も良いですね。
NG例文
貴社は業界のなかでもトップクラスの大手であり、給与面でも安定しているという点に魅力を感じ志望しました。
また、できれば私は生涯、同じ企業で働きたいと考えています。貴社は離職率が低く、それだけ長く働ける環境があると考えました。福利厚生が良いという点も、これからの人生を考えると安心感があります。安定した環境の中で着実に働き、貴社の資格取得制度を活用して英語関連の資格も取得できたらと思っています。
キャリアアドバイザー
安定と自分の安心を中心に文章を構成しているため、全体的に受け身の印象があり、損をしてしまっている志望動機となっています。
企業目線で解説! 安定志向の学生に抱くかもしれない懸念点とは
就活生
ESや面接で安定志向を盛り込んだら不採用ということはあるのでしょうか。
志望動機に安定志向を書いたら落とされたという先輩の話を聞いたことがあります。安定志向の学生に対して、企業はどのような印象を持つのでしょうか?
キャリアアドバイザー
必ずしも安定志向だからダメというわけではありません。
ただ、伝え方によってはマイナスに受け取られてしまう場合もあります。
就活生
それはどのような面でマイナスの印象を持つのでしょうか?
キャリアアドバイザー
では、安定志向の学生に抱くかもしれない懸念点について解説しますね。
積極性が足りないのではないか
安定志向の人は、仕事に取り組む姿勢に積極性が足りないのではないかと思われてしまいがちです。
安定志向の人が会社に期待することは、経営の安定性や福利厚生の良さなどで、自分から会社に貢献しようというよりは、自分が会社から何かをしてもらえることに重点を置いているような印象を与えます。
また仕事でのミスをおそれ、自分が責任をとらなくて済むように指示待ち傾向が強いとも判断されてしまいます。
どんな職種であっても、自分から仕事を探して行動し、わからないことがあれば周りに聞くような積極性が必要です。積極性が感じられないようでは、企業側の担当者から高評価とはなりません。
自社業務に対する意欲が足りないのではないか
安定志向ばかりを前面に押し出していると、自社の業務に対して興味や意欲、理解が足りていないと思われてしまいます。
安定性をもとめる人が主にチェックするのは、企業の経営状況や、給与、福利厚生など、会社の運営状況と条件面ではないでしょうか。そのため、安定性の話題ばかりだと、業務内容に関する研究が浅く、さほど強くは興味を持っていないかのようにも見えてしまいます。
企業は早期離職をせずに長く働いてくれる人材をもとめています。また、意欲的に働いて組織によい効果をもたらしてくれる人に来てほしいと思っています。それには業務への理解や意欲が強くあってほしいと考えるため、安定志向ばかりを主張するとマイナスとなってしまいます。
キャリアアドバイザーコメント加藤 大智プロフィールをみる
実際に企業担当者からすると、安定志向すぎる学生はマイナスな印象を抱きやすい傾向にあります。安定志向ばかりアピールしてしまうと「安定さえしていればどの企業でもよく、志望度も低いのではないか」と思われてしまうこともあります。
なぜなら、志望度が低い学生に内定を出しても辞退されてしまったり、入社後すぐに辞めてしまう懸念が生じるため、選考に落とされてしまう可能性が高いのです。また、たとえ志望度が高くても、企業の業績が悪化して安定性がなくなってしまった際にすぐ辞めてしまうのではないかと思われてしまうパターンもあります。
しかし、安定志向そのものが悪いわけではなく、誰しもがある程度安定をもとめることは企業担当者も理解しています。安定志向が企業担当者にとってマイナスな印象に働く際、学生が消極的な面を見せてしまっていることが多いです。安定性を重視しつつも、志望度の高さや仕事に対して意欲的姿勢を見せることができれば、安定志向が選考で不利に働くことは少ないでしょう。
誤解を生まない! 安定志向の言い換え方法を解説
就活生
やっぱり安定志向を企業に伝えるのはやめたほうが良いでしょうか。
キャリアアドバイザー
いいえ、けっしてそういうわけではありません。
ただ、安定志向だけを言うのはあまり得策とは言えないですね。
就活生
では、どうしたら良いのですか?
キャリアアドバイザー
ここにコメントを記載してくださ少しだけ伝え方を変えると良いと思いますよ。
では、安定志向の言い換えや伝え方について解説しますね。
安定志向だけど積極性があると伝える
安定志向とだけ伝えるのではなく、安定志向だけど積極性もあると言い換えると良いでしょう。
安定志向と積極性は、共存しないわけではありません。人生設計は安定志向ではあるものの、仕事については積極的に働きたいという、意欲があるように伝えるのをおすすめします。
学生時代に学業やアルバイト、部活、課外活動などで積極的に働きかけたエピソードなども添えてみてください。
また、安定志向でも以下のような表現を使うと、積極性があるように感じます。
- ネームバリューがあるからこそ実現できる仕事がしたい
- 安定した経営状態のなか、より御社を発展させるチャレンジをしたい
安定志向から受け取れる保守傾向だけではない、チャレンジしたい気持ちを伝えるようにしましょう。
安定志向だからこそまじめで着実に働ける人物だと伝える
安定志向の人の特徴には、まじめでコツコツと働く人というものがあります。業務を正確に着実に進めてほしい部署にとってはほしい人材だと言えます。
安定性という言葉よりは「着実に」「堅実」「コツコツと」「まじめに」などと言い換えると良いでしょう。とくに自己PRでは「私の強みはまじめさです」と言い換えることが可能です。
ただし、あまりにも着実や堅実さをアピールすると、かたい印象も与えるので、周囲の人とのコミュニケーションも大切にしているなどと、やわらかな印象を与えることも伝えるようにすると良いでしょう。
安定性を重要視する理由を明確にする
なぜ安定性を就職に際して重視しているのか、明確な理由があれば、採用担当者を説得できます。
「ネームバリューのある会社で安定して働きたい」「安定して給料をもらえれば良い」とだけ伝えるのではなく、安定をもとめる理由や、自分にとっての特別な安定への思いを伝えてみてはいかがでしょうか。
たとえば「長く働きたいからこそ、会社が安定して事業を持続できるようであってほしい」「自分1人だけではなく、ほかの社員の安定を実現するために、会社に貢献したい」など、安定への思いや安定をもとめる理由を伝えてみてください。
安定性以外の魅力を企業に感じていると伝える
安定性についてのみ言及するのではなく、それ以外の応募先企業に対して感じている魅力も加えるようにしましょう。
安定志向だけで話を進めてしまうとどうしても、「消極的」「業務には興味を持っていないのではないか」などのマイナスな印象を持たれてしまいます。
そのため、安定志向のニュアンスを含ませつつ、安定を言い換える必要があります。安定は次のように言い換えることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
- 経営状態が継続して安定している
- 将来性を強く感じられる
- ブランド力が強く多くの人に親しまれている
- 市場規模が大きく業界からの信頼が高い
- 常に人々の暮らしのために貢献している
- 歴史があり、伝統に裏打ちされた高い技術がある
安定以外の魅力も挙げ、そのなかで自分が何をしたいのか、自分の強みをどう発揮したいと思っているのかについてつなげていくのをおすすめします。
積極性を軸に自己PRを考えている学生はこちらを参考にしてください。
関連記事
例文18選! 自己PRで「積極性」を上手に伝える秘訣
自己PRで積極性をアピールするときに重要なのは「自分なりの積極性を明確にすること」。今回は、積極性の種類や面接で積極性を伝える時のコツをキャリアアドバイザーが解説します。自己PR例文も紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
記事を読む
就活で安定志向をアピールする際に注意すべきポイント
就活生
安定志向はマイナスに受け取られやすい傾向があるなか、注意しなければいけない表現やアピール方法はあるのでしょうか?
キャリアアドバイザー
ネガティブ表現を使いすぎないというのはポイントですね。
安定志向を伝える際には、不安、自信がない、気が弱い、不況、リストラなどのマイナス表現を使いすぎると、就職にネガティブな気持ちが強すぎると受け取られてしまうことがありますよ。
安定志向をネガティブに伝えないためのアピールする際のポイントについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
待遇面での安定志向を前に出し過ぎない
待遇面での安定志向を全面に出した志望動機はあまりおすすめできません。
待遇面の良さだけをもとめた志望動機の場合、会社の経営状況や社会の状況の変化で同じ待遇が維持できなかったり、変化があったりした場合に、その社員が継続して働き続けてくれるかに疑問がわきます。
高水準の給与を出している会社でも不況に陥れば、給与水準を下げなければなりません。そのときに一緒に乗り越えられる社員であれば良いのですが、入社時の志望動機が待遇面の安定のみをもとめている場合、すぐに離職することが考えられます。
待遇面をアピールしすぎた場合のマイナス面は、極端に受動的な人に感じられるという点です。会社は利益を出す必要があるのに、社員が貢献を考えずに良い待遇だけをもとめていては、収益を生み出せません。そこで待遇ばかりを重視している人は望ましくないと考える可能性があります。
待遇面をアピールしすぎたNG例
待遇面をアピールし過ぎている自己PRや志望動機などには以下のようなものがあります。
- 私の強みは、着実に歩むことが得意な点にあります。将来は税理の仕事をしたいため、資格取得の勉強をしたいと考えています。貴社はワークライフバランスを実現できる環境があるとのことで、ぜひ勉強の時間にあてたいと考えています。
- 私は安定した経営と貴社の給与の良さにひかれて志望しました。
- 私は貴社の福利厚生を見て、社員を大切にしている姿勢にひかれ志望しました。有給休暇もしっかりと取得できるという点も魅力に感じました。
自分の都合だけを言っているように感じてしまうので注意が必要です。
安定志向だけで意欲・積極性を伝えない
安定志向ばかりを主張し、意欲や積極性が感じられない自己PRや志望動機もNGです。
企業は利益をもとめるための集団です。利益がなければ多くの社員とその家族の生活は成り立ちません。そこで当然、会社に貢献し業績を上げてくれる人材をもとめます。バックオフィスの事務職などは、会社の雑務も請け負うことでマーケティングや営業、販売などの直接利益を生み出す部門のサポートをします。
つまり、すべての社員が企業の業績アップに貢献することになるのですが、業務に前向きでなければ、その人材からの会社への貢献は期待できません。意欲がないまま仕事をしている社員に対しては上司もいちいち指示を出さなくてはならず、上司の負担が増えてしまいます。
意欲・積極性が伝わらないNG例
ESや面接の回答でも、意欲・積極性が伝わらない自己PRや志望動機は多数見られます。例えば以下のような例があるので注意しましょう。
- 私の特徴は謙虚で、常に失敗しないように気を付けていることです。
- 常に周囲との調和を大切にし、自己主張をせずに合わせることを大切にしています。
- 貴社を志望したのは安定した会社で働きたいと思ったからです。
- 世の中の状況は変わりやすいので、安定が一番だと考えて志望しました。
- リストラが不安なので安定した会社で働きたいと思いました。
安定志向を盛り込んだ志望動機のOK例
就活生
どのような表現を盛り込むと、安定志向でもOKな回答になりますか?
キャリアアドバイザー
もちろんあります。工夫次第では魅力的に安定志向を伝えられる場合もあるので、しっかりと自己分析や企業研究をしたうえで、安定を望む自分の気持ちを表現してくださいね。
安定志向もありつつ上昇志向も感じる
安定志向でありながら上昇志向もあると思ってもらえる志望動機がおすすめです。
しっかりとした土台があってこそ、安心して上を目指せるともいえます。そこで安定志向と上昇志向の両面をきちんと整理したうえで、文章のなかにまとめると良いでしょう。たとえば以下のような表現はいかがでしょうか。
ここに例文のテキストを記載御社は長年培われた営業基盤とネームバリューがしっかりとしています。だからこそ、社員は思い切り営業活動ができるのだと思います。私も御社の事業の中で、多くの社員や顧客の役に立てるよう、どんどん上を目指していきたいと考えています。
御社が手掛けるインフラ事業は、これからも人々の生活に不可欠なものです。これからも安定して需要があると思われるなか、私も長く、多くの方の役に立てる仕事がしたいと考えます。
なぜ安定が大切かが伝わる
人によって、安定をもとめる理由はさまざまです。ただ楽さをもとめるのではなく、きちんとした理由が伝えられると説得力が出ます。
たとえば、以下のような安定をもとめる理由が考えられます。
リーマンショックのときに父がリストラに合いました。家族の経済状況もかなり不安定で困窮したものとなりましたが、それ以上に、好きだった仕事から離れなければならなかった父の顔を見るのはつらいものがありました。私は経営状態の安定した企業に勤め、父が途中であきらめたエンジニアの仕事を続けたいと思います。
私は一流の技術者となり、海外でも通用する〇〇の保守運用に携わりたいと考えています。しかしそれを主任技術者として行えるようになるには長い年月が必要です。御社のような安定した企業で高い技術を習得しながら、私も技術者の一員として長く、多くの人の役に立てるシステムに関わっていきたいと考えています。
安定性以外の魅力も企業に感じているのがわかる
安定性以外に感じた企業の魅力も合わせて伝えるようにしましょう。安定性だけを伝えては「ほかの企業でもいいのではないか」ということになります。そこで、安定性以外にも、応募先企業に感じた魅力を合わせて伝えるようにする必要があります。
たとえば、以下のような文章が考えられます。
経営的な安定性とともに、御社が行っている開発事業の社会貢献性に大きな魅力を感じました。
貴社は福利厚生や社員食堂などを充実させ、社員を大切にされているとうかがっています。人を大切にし、社員が生き生きと働く御社で、より皆さんが快適に働けるように、私も事務職として貢献したいと考えています。
安定志向を伝えるときは少しの工夫でポジティブに変換
安定志向は就活において、必ずしもマイナスに受け取られてしまうわけではありません。しかし、伝え方には注意が必要ということを必ず押さえておきましょう。
就活で安定志向ということを伝えたいときには、「将来性を感じる」「経営がしっかりしている」などの言葉に言い換えることを意識することで、より印象がよくなりますよ。ぜひ参考にしてみてください。
「最近の若者は、就活において安定志向が強い」と言われたのですが、私も安定志向なのかもしれません……。