目次
- 繊維商社を目指してみよう! まずはビジネスモデルを理解から
- 前提理解! 商社の分類について解説
- 総合商社
- 専門商社
- 業界情報もチェック! 繊維業界の動向
- 市場規模は下降気味
- 海外進出に注力
- M&Aが増加傾向
- 炭素繊維などの高機能繊維は好調
- 環境問題への対応が急務
- 全体像を把握しよう! 繊維商社の業務内容と商材を解説
- 業務:仕入から販売までのサプライチェーン全般にかかわる
- 商材:取り扱う素材は主に2種類に分けられる
- より理解を深めよう! 繊維商社の業務内容を解説
- 買い付け
- 受け渡し
- OEM
- ODM
- 企画・製造
- 商品PR・販売
- 志望先の解像度を上げる! 繊維商社の職種
- 営業
- 商品開発
- 研究開発
- 魅力満載! 繊維商社のやりがいを紹介
- 携わった商品が世の中に流通する
- グローバルな環境で仕事ができる
- ファッション以外にも幅広い分野に携われる
- 企業研究の参考に! 繊維商社の代表企業
- ①東レインターナショナル
- ②ワールド
- ③蝶理
- ④帝人フロンティア
- ⑤豊島
- ⑥モリリン
- ⑦ヤギ
- ⑧田村駒
- ⑨GSIクレオス
- ⑩日鉄物産
- 選考で押し出したい! 繊維商社でもとめられるスキル
- 語学力
- コミュニケーション能力
- 流行への感度
- 確認必須! 繊維商社のおすすめ選考対策6選
- ①なぜ繊維業界を志望するのかを整理する
- ②メーカーではなくなぜ商社なのかを深掘りする
- ③なぜその企業を志望するのかを考える
- ④志望企業のもとめる人物像との適性をアピールする
- ⑤語学力の高さをアピールする
- ⑥入社後にどのように貢献できるかを考える
- 繊維商社の選考を有利に進めるための資格
- ファッションビジネス能力検定
- 繊維製品品質管理士(TES)試験
- CAD利用技術者試験
- 繊維商社の理解を深めることが選考突破のコツ! 徹底的に企業研究をしよう
繊維商社を目指してみよう! まずはビジネスモデルを理解から
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく、
「繊維商社を受けるには、どのように業界研究を進めていけば良いでしょうか?」
「繊維商社の選考対策について教えてください! 」
といった質問を受けます。繊維商社は学生から人気の高い業界の1つですが、具体的な仕事内容や繊維業界の動向について熟知している人は少ないでしょう。
繊維商社はファッションだけでなく、自動車や医療にも役立つ技術を持っており、私たちの生活とも密接にかかわっている業界です。この記事では、繊維業界の動向や繊維商社のビジネスモデル、職種などについて解説していきますので、繊維商社の特徴やポイントをしっかりおさえ、就活を成功させましょう。
前提理解! 商社の分類について解説
- 総合商社
- 専門商社
繊維商社を目指している学生の中には「とにかく商社に入社したい!」と考えている人も多いのではないでしょうか。商社は就職活動において高い人気を誇る業界の一つではありますが、商社には「総合商社」と「専門商社」があってそれぞれ扱う商品や仕事内容、役割が異なります。
繊維商社の業界研究を進めるためには、まず商社の分類について理解しておきましょう。
総合商社
商社の仕事内容には大きくわけて「トレーディング」と「事業投資」の2つがあります。
- トレーディング
仲介業者として需要と供給を結びつける事業。総合商社は多種多様な商品を取り扱っているのが大きな特徴。 - 事業投資
企業に対してトレーディングで蓄積された経営資源を投資し、企業の利益向上を図る事業。
近年ではトレーディングよりも事業投資ビジネスに注力する総合商社が多く、トレーディング事業は傘下の専門商社へ移管しているケースも少なくありません。
総合商社についてはこちらで詳しく解説しています。
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専門商社
総合商社とは反対に、専門商社は特定分野の商材に特化しています。つまり、繊維商社は天然繊維や化学繊維などの繊維に関する商材を扱う専門商社ということです。
専門商社が取り扱う商材は、主に以下の6つに分類されます。
- 食品系
- 化学、医薬品系
- 機械、電子分野系
- 鉄鋼、金属系
- 繊維系
- 燃料、エネルギー系
専門商社の主力事業はトレーディングであることが多いですが、企業によっては専門知識を活かした事業投資や物流、さらには商品開発などをおこなうこともあります。また、得意分野が複数ある場合は複合型専門商社と呼ばれ、その複数ある得意分野の中に繊維が含まれているかもしれません。
繊維商社を探す際は繊維だけに特化した専門商社だけでなく、繊維を得意とする複合型専門商社にも注目してみましょう。
業界情報もチェック! 繊維業界の動向
商社には誰もが知っている有名企業も多く、将来が安定しているイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、商社だからといって必ずしも安定しているわけではありません。繊維商社の業界研究をおこなうには、事業内容や仕事内容はもちろんのこと、市場動向についてもしっかりとおさえておきましょう。
ここでは繊維業界の動向について、ポイントに分けて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
繊維業界についてはこちらで詳しく解説しています。
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市場規模は下降気味
近年、中国や東南アジアからの安価での大量輸入によって、日本の繊維業界は縮小傾向にあります。
経済産業省「繊維産業の現状と課題」によると、国内繊維業の製造品出荷額は1991年比で約1/4に減少し、一方で国内アパレル市場における衣類の輸入浸透率は増加傾向にあり、2018年には97.7%にまで増加しています。特に中国産の繊維は非常に安く、多くのアパレルメーカーが注目しているため、日本の繊維商社は海外取引において苦戦を強いられている状況といえるでしょう。
日本の繊維商社は衣類品の伸び悩みを受け、衣料繊維以外の産業資材系の繊維分野へ注力していく動きが見られます。繊維商社を調べる際は、得意な繊維分野や事業の動向にも着目してみましょう。
海外進出に注力
中国や東南アジアなどが安価な素材や製品を大量輸出していることで、特に日本の衣料繊維は大きな打撃を受けています。一方で日本の高い技術を売りに海外アパレルブランド向けに日本国内へ衣服の受注生産サービスをリリースしたり、産業資材を含むその他二次製品の輸出にシフトしたりと、海外進出に注力する繊維商社も増加しています。
繊維業界の海外進出については、経済産業省がとりまとめた「2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)」でもその重要性について議論されていることから、海外市場への積極的な参入の必要性がうかがえますね。
M&Aが増加傾向
日本の繊維商社が存続していくには、海外でも通用する基盤作りや衣料繊維以外の分野の強化が不可欠です。そこで繊維商社ではM&A(企業や事業の合併や買収)によって、それぞれの得意分野や技術を組み合わせ、新しい価値の創出を目指す企業が増えています。
たとえば、2021年には不織布・フェルトの総合メーカーであるフジコーと、毛織物メーカーの日本毛織が株式交換をおこなうことで、互いの経営資源を活用し世界規模で成長が期待される自動車や環境関連の市場の取り込みを目指しています。
ほかにも、合成繊維や合成樹脂などの化学製品を扱う東レは2019年にスウェーデンのAlva Sweden ABとその子会社2社を買収しました。Alva Sweden ABはエアバッグの縫製メーカーで、東レはM&Aによってエアバッグ事業の成長や高性能エアバッグの実現などを図っています。
キャリア
アドバイザー
M&Aによって、更なる事業成長を遂げている企業は多くあります! 企業研究の際は企業の歴史についても確認してみてみましょう。
炭素繊維などの高機能繊維は好調
中国や東南アジアの繊維業界の著しい成長によって、衣料繊維の分野は縮小傾向ですが、炭素繊維などの高機能繊維においては需要が高まりつつあります。高機能繊維は航空宇宙や自動車、医療用途に使われる製品で、繊維商社では需要の高い高機能繊維に注力している傾向にあるといえるでしょう。
また、高機能繊維は衣料品にも用いられることがあり、たとえば消臭効果のある下着や汗によって温かくなる肌着などもその一つです。
キャリア
アドバイザー
高機能繊維の分野では、日本の高い技術力が評価されていると言えますね!
環境問題への対応が急務
近年、さまざまな産業でサスティナビリティに関する取り組みが進められており、繊維業界も例外ではありません。日本政府は2050年カーボンニュートラルを目標に掲げており、2050年までに脱炭素社会の実現、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指しています。
繊維業界では「大量生産、大量消費」を前提とした直線型経済が成り立っているため、製品や資源を循環し活用させる循環型経済にシフトしていくことがもとめられています。今後の課題として、ただ製品を流通させるだけでなく、環境に配慮した取り組みを進めていかなければないといえるでしょう。
キャリアアドバイザーコメント長尾 美慧プロフィールをみる
繊維業界はさまざまな社会課題に直面していますが、その中でも顕著なのが環境問題とサステナビリティへの取り組みです。たとえば繊維が欠かせないファッション業界ですが、世界の二酸化炭素排出量で大きな割合を占めています。さらに原材料の栽培には膨大な水が必要で、生産過程での環境負荷は高いとされています。
繊維商社にとって、このような繊維産業の環境問題は大きな影響をもたらしています。SDGsという言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、消費者の間でもエコフレンドリーやサステナブルな商品への需要が高まっているため、商社もこれに対応した商品の取り扱いや供給チェーンの構築がもとめられています。さらに、持続可能な資源の使用や、リサイクル技術の導入など、新しい開発に投資をする必要が出てきています。
これらの課題への取り組みは、繊維商社にとってはコストや時間を要するものですが、重要なステップとなります。
全体像を把握しよう! 繊維商社の業務内容と商材を解説
ここまで、繊維商社の分類や繊維業界の動向について解説してきました。業界研究をおこなうには、業界の全体像を把握することが重要です。しっかりとポイントをおさえて、志望動機や面接対策の参考にしてくださいね。
繊維業界の全体像が把握できたら、次は繊維商社のビジネスモデルについて理解を深めていきましょう。ビジネスモデルを理解することで、入社後のキャリアビジョンをイメージしやすくなりますよ。
業務:仕入から販売までのサプライチェーン全般にかかわる
商社の主な業務は生産者と販売者の仲介人として取次をすることですが、専門的なネットワークを駆使してサプライチェーン全般にかかわります。たとえば、素材メーカーと共同で新素材の企画をおこなったり、生産や加工、物流の分野に大きく携わったりすることも珍しくありません。
ほかにもアパレルメーカーや販売店に製品の企画提案をおこなうなど、新しいトレンドを発信するメーカー的な機能も持ち合わせています。
いち早く新素材の研究開発を進められたり、新素材の企画提案ができたりするのは、専門知識と専門的なネットワークを持つ専門商社の魅力とも言えるでしょう。
商材:取り扱う素材は主に2種類に分けられる
繊維商社が取り扱う繊維商材は多種多様です。一般的に繊維というと、洋服を作る素材をイメージする人が多いかもしれませんが、繊維商社では衣類用繊維以外にもさまざまな繊維素材を取り扱っています。
昨今の中国や東南アジアの繊維業界のめざましい成長を受けて、日本の衣料用繊維は縮小傾向です。一方で、医療や宇宙、自動車産業にも活用される高機能繊維の需要が高まっており、新素材の企画にシフトする繊維商社も増えつつあります。
各繊維商社の特徴や得意分野を把握するには、扱う繊維商材についてもしっかりおさえておきましょう。
化学繊維
化学繊維には大きくわけて無機質繊維と有機質繊維の2種類があります。有機質繊維に含まれるポリエステルやナイロンなどは、冷感や発熱、速乾などさまざまな加工が可能で、多くの衣類に利用されている素材です。
一方、無機質繊維に含まれる炭素繊維は衣類以外にも航空機やロケット、自動車などに使われており、断熱性や吸音性に優れているガラス繊維は住宅やビルの天井や外壁などにも使用されています。このように、化学繊維は衣類以外にもさまざまな場面で活用されているのです。
天然繊維
化学繊維が人工的に作られた繊維である一方、天然繊維は人工的に作られていないもの全般を指します。たとえば、木綿や麻など植物由来の植物繊維や、獣毛や絹のような動物由来の動物繊維などが天然素材に分類されます。
天然繊維は肌触りに優れ、高い吸水性や摩擦に強い特徴を持っていることから、主に洋服や下着などの衣類に利用されています。
より理解を深めよう! 繊維商社の業務内容を解説
- 買い付け
- 受け渡し
- OEM
- ODM
- 企画・製造
- 商品PR・販売
ここまで、繊維業界の動向やビジネスモデルなど、繊維商社の大枠について解説してきました。繊維商社の主な業務は生産者と販売者の仲介人として取り次ぐことですが、実際にはそれ以外にも専門知識やネットワークを駆使し、さまざまな業務を担っています。
ここでは繊維商社の具体的な業務内容について、もう少し深堀りして解説します。具体的な業務内容を把握することで、入社後どのように働いていくのかをイメージしやすくなりますよ。
買い付け
従来の繊維商社では生産者と販売者を仲介することで利益を出すトレーディング業務が中心でしたが、原材料やテキストタイル、アパレル商品などを仕入れる買い付け業務などもおこなっています。また、中には自社ブランドを立ち上げ、商品の企画から素材の買い付け、マーケティング、営業までを一貫しておこなっている繊維商社もあります。
これまではアパレルメーカーがおこなっていた業務を繊維商社でもおこなうようになったことで、メーカーと商社の線引きが薄まりつつあります。
受け渡し
商社は生産者と販売者の仲介人として、さまざまな取引先と連携を取らなければなりません。たとえば、取引先に対する代金を回収したり配送手配をしたりするのも繊維商社の仕事の一つです。受け渡しは営業の基礎でもあり、繊維商社に入社する新人社員の多くは、まず受け渡し業務を経験して一連の流れを理解できるように実務経験を積んでいきます。
OEM
OEMとは「Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)」の略語で、取引先企業のブランド製品を製造することです。自社で製品を企画、製造しているアパレルメーカーもありますが、製造設備のコスト削減や在庫リスクの低減を目的にOEM委託するケースが増えています。
繊維商社は長年築き上げてきた専門知識や独自のネットワークを持っているため、取引先に応じた提案やサービス提供が可能です。OEMを専門に展開している企業もありますが、専門的なリソースに長けている点は繊維商社の強みとも言えるでしょう。
ODM
OEMと似ている言葉に、ODMがあります。ODMとは「Original Design Manufacturing(Manufacturer)」略語で、OEMと同じく取引先企業のブランド製品を代行して製造することですが、製造だけでなく製品の企画や設計なども担当する形態のことです。
最近ではOEMとODMの区分が曖昧になっており、製品の製造はおこなわず、既製品のブランドだけを変更する場合もあります。また、自社では生産設備を保有せず、デザインや企画を担当するアパレルメーカーと生産工場を仲介するだけのケースも珍しくありません。
企画・製造
商社の主な業務は生産者と販売者を仲介するトレーディング業務ですが、商品の取引以外にも自社で製品の企画や製造をおこなうことも多くあります。
繊維商社では社会のトレンドや消費者ニーズをいち早くキャッチし、どのような商品を作るか企画し、販売戦略や販促企画などの立案や実行をすることがもとめられるといえるでしょう。
商品PR・販売
自社で開発した製品はアパレルメーカーと同様に展示会へ出展したり、マスコミや紙媒
体に広告を出稿したりして製品のPRをおこないます。また、自社製品に限らずメーカーの製品をPRしたり、オンラインストアなどで販売するのも繊維商社の仕事の1つです。
自社製品の開発や販売に関してはアパレルメーカーとの区分が曖昧になりつつありますが、メーカーに代わって商品のPRや販売をおこなう点では従来の商社の役割が色濃く残っています。
キャリアアドバイザーコメント加藤 大智プロフィールをみる
繊維商社のビジネスモデルの特徴としてかかわれる範囲が広いことがあげられるでしょう。上述したとおり、繊維商社は生産地から消費地までの複雑な繊維の流れを管理しており、原材料の調達から加工、製造、流通、販売までの一連の過程にかかわることができます。
また、繊維はものをつくる素材の中でも応用が効き、一言で「繊維」と言っても取り扱われる範囲は多種多様です。洋服から宇宙産業まで幅広い分野で繊維は使用されており、扱われる分野によって顧客も異なります。
さらに素材メーカーと協力して新しい素材の開発をおこなったり、自社で新製品の企画をおこなう場合もあるでしょう。このように、繊維商社は扱う分野やかかわることができる仕事の範囲が広いことが特徴といえますね。
志望先の解像度を上げる! 繊維商社の職種
- 営業
- 商品開発
- 研究開発
繊維商社のビジネスモデルについて理解を深めたことで、入社後の働くイメージがより具体的になったでしょう。しかし、繊維商社を目指す学生の中には、どのような職種に就いて仕事をするのかまだ具体的にイメージできていない人もいるかもしれません。
次は繊維商社の代表的な3つの職種について解説するので、具体的な仕事内容をイメージしてみましょう。職種の名称や仕事内容は企業によって異なる部分もあるため、細かい点は自分が志望する企業についてよく確認してくださいね。
営業
繊維商社の営業は生産者と販売者をつなげる仲介的な役割だけでなく、メーカーの製品を必要とする企業に卸したり自社の製品を取り扱ってもらうようメーカーに交渉したりするなど、担当する業務は多岐に渡ります。取引先はアパレルメーカーとは限らず、医療や自動車、住宅などさまざまな顧客とのつながりを持つのも繊維商社の営業ならではの特徴です。
ときには海外の取引先とやり取りをおこなうため、コミュニケーション能力はもちろん、語学力が必要でもあります。必ずしも海外の取引先とやり取りをしたり、海外赴任をしたりするわけではありませんが、キャリアアップのために語学力を身につけておいた方が良いでしょう。
商品開発
商品開発にはOEMやODMといった取引先の商品開発と自社商品の開発の2種類があります。本来、OEMは製造部分だけを代行するものですが、最近では商品の企画や設計も委託するケースが増えているため企画開発段階から携わることも可能です。
また、繊維素材を必要とするメーカーと連携を取りながら商品開発をおこなうこともあります。繊維商社は繊維のプロのため、専門知識や独自のネットワークを提供しながらメーカーと共に新商品の開発も担当します。
一般の消費者へ販売する場合は、販促企画なども商品開発の業務です。市場や店舗調査をおこない、社会のニーズを的確に把握することが重要になります。
研究開発
繊維商社では素材や製品にかかわる技術の研究開発をおこなっています。主に理系出身者が就く研究職です。自社製品の開発のために素材や製品の研究をおこなうこともありますが、顧客の依頼に合わせて製品の研究、開発をすることも少なくありません。
製品に適した素材を研究するのはもちろん、低コストかつ高品質など、実際に流通や販売が可能かどうかという視点も重要です。さまざまな要望を取り入れ、理想的な繊維を開発するには高い技術力がもとめられます。
日本の繊維技術は世界をリードしており、企業の強みにもなり得ます。実際に製品を販売することはありませんが、技術力の面から企業価値を高める影の功労者とも言えるでしょう。
研究職に向いている人の特徴はこちらで解説しています。
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研究職は募集も少なく倍率も高いので、仕事内容や現状、今からできることをチェックして備えていきましょう。 この記事では研究職の仕事内容、向いている人、志望動機のポイントなどをキャリアアドバイザーが解説します。 志望動機例文も参考にしてくださいね!
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魅力満載! 繊維商社のやりがいを紹介
就活生
繊維商社がさまざまなモノづくりを支えていることがわかりました。働くうえでのやりがいについて教えてください。
キャリア
アドバイザー
繊維商社はさまざまな企業と取引をおこないます。幅広いフィールドで活躍できるのも魅力の1つではないでしょうか。
繊維素材はさまざまな産業で活用されており、取引先企業の業界も多岐に渡ります。大規模な仕事にやりがいを感じる人にはぴったりな仕事でしょう。続いては、繊維商社のやりがいについて解説するので、志望動機やキャリアプランを考える際の参考にしてみてくださいね。
携わった商品が世の中に流通する
繊維素材はさまざまな製品に活用されているため、自分が携わった商品が世の中に流通する様子を実感しやすいでしょう。特に衣料品は店頭に陳列されていたり、消費者が身につけていたりするので、消費者の反応や話題性を直接感じ取れてやりがいを感じやすいかもしれませんね。
また、ロケットや飛行機などは直接見る機会は少ないですが、ニュースなどで話題になったときは大規模なプロジェクトにかかわれたとやりがいを感じるでしょう。
グローバルな環境で仕事ができる
衣料繊維は新興国が躍り出ており、海外から輸入する機会が増えています。一方で、高い技術が必要な産業資材の分野では、日本から世界各国の企業に製品を輸出しているのが現状です。どちらにおいてもグローバルな視点を持つことが重要であり、国内だけでなく世界の動向を見極めながら、いかに日本の繊維製品を広められるかを考えなければなりません。
繊維商社は海外企業との取引や海外出張も多いので、グローバルな環境で仕事がしたい人にとっては魅力的な業界でしょう。
ファッション以外にも幅広い分野に携われる
繊維というと、衣料品などのファッションをイメージする人が多いかもしれませんが、繊維にはさまざまな種類があり用途は多岐に渡ります。たとえば自動車や住宅、医療に関する製品にも取り入れられているのです。
そのため、繊維商社ではアパレルメーカーだけでなく、多種多様な業界の企業が顧客になり得ます。繊維のプロとして成長しながら、幅広い顧客のモノづくりをサポートできるのは繊維商社ならではのやりがいと言えるでしょう。
企業研究の参考に! 繊維商社の代表企業
- 東レインターナショナル
- ワールド
- 蝶理
- 帝人フロンティア
- 豊島
- モリリン
- ヤギ
- 田村駒
- GSIクレオス
- 日鉄物産
ここまで、繊維商社の業界について理解を深めてきました。繊維商社のやりがいや魅力を知り、志望度も高まってきたのではないでしょうか。
次は繊維商社として有名な企業について、それぞれ解説していきます。企業によって得意分野が異なるため、企業ごとの特徴にも注目してみましょう。
①東レインターナショナル
企業名 | 東レインターナショナル株式会社 |
設立 | 1986年12月20日 |
従業員数 | 国内: 563人(東レインターナショナル) 海外: 866人(海外商事会社、駐在員事務所) 合計: 1,429人 |
売上高 | 5,701億円(2021年度) |
純利益 | 110億円(2022年3月期) |
HP | https://www.toray-intl.co.jp/ |
東レインターナショナルは東レグループの商事活動を担うことを目的に設立されました。東レはレーヨン糸の生産会社としてスタートしましたが、現在の主力製品は炭素繊維複合材料です。炭素繊維複合材料は航空機や宇宙、アーバン・エア・モビリティ、自動車などさまざまな産業で活用されており、私たちの生活を支えています。
また、東レインターナショナルではアパレル事業も展開しており、東レグループとの密接な連携によって素材の開発から衣料品の企画・生産まで一貫して手がけています。
②ワールド
企業名 | 株式会社 ワールド |
設立 | 1959年1月13日 |
従業員数 | 8,388名(2022年3月末現在) |
売上高 | 1,713億円(2022年3連) |
純利益 | 460億円(2022年12月期) |
HP | https://corp.world.co.jp/ |
ワールドは1959年にニット婦人セーターの卸売業を生業に誕生したアパレルメーカーです。グループ企業を多数持ち、1980年に株式会社ワールドテキスタイルを設立し、繊維商社の分野へ進出しました。また、2005年には繊維専門商社として株式会社プライムキャストを子会社化し、生産系改革の強化を図っています。
自社ブランドの立ち上げや製品開発から販売までをグループ企業でおこなっており、多数のアパレルブランドは国内だけでなく、海外でもブランド展開を進めているグローバル企業です。繊維商社の中でも、衣料品に特化した企業だと言えるでしょう。
③蝶理
企業名 | 蝶理株式会社 |
設立 | 1948年9月2日 |
従業員数 | 連結1,322名 単体416名(他社への出向者76名を含む) |
売上高 | 2840億円(2021年度) |
純利益 | 68億円(2021年度) |
HP | https://www.chori.co.jp/ |
蝶理は生糸問屋として創業以来160年以上に渡って繊維事業を展開してきました。現在はその高い専門性を活かし、原料から資材、アパレルと川上から川下までトータルに事業展開をおこなっています。
衣料繊維だけでなく車輌資材部ではカーシートなどに使用されるポリエステル糸の販売とファブリックを取り扱っており、国内シェアは原料で40%以上、ファブリックで30%以上を誇っています。まさに繊維を追求した繊維の専門商社です。
④帝人フロンティア
企業名 | 帝人フロンティア株式会社 |
設立 | 2012年10月1日/創業1869年 |
従業員数 | 877名(2022年3月31日現在)/連結5,505人(帝人㈱ 繊維・製品事業グループ) |
売上高 | 2,825億円(2021年度 帝人㈱ 繊維・製品事業グループ売上高) |
純利益 | |
HP | https://www2.teijin-frontier.com/ |
帝人フロンティアは化学メーカーである帝人の商事活動の子会社化によって誕生した繊維商社です。衣料繊維と産業資材の2本柱で事業を展開しており、衣料繊維では衣料用途に応じて独自の原糸・原綿、生地から衣料製品まで幅広く展開しています。
一方で、産業資材では最先端の素材や製品を開発し、環境保全やインフラ、モビリティなどの産業でも数多く取り入れられているようです。帝人は化学メーカーでありながら、繊維商社として市場の動向やニーズを収集しながら、入手した情報を素材の研究開発にも活用しています。
⑤豊島
企業名 | 豊島株式会社 |
設立 | 1918年6月27日 |
従業員数 | 579名(男316名、女263名)[2022年6月30日現在] |
売上高 | 1920億円(2022年6月期) |
純利益 | 53億円(2022年6月期) |
HP | https://www.toyoshima.co.jp/ |
豊島は素材から製品までを扱う繊維商社です。繊維に関する事業は原糸・原料やテキスタイルなどの衣料繊維を扱う素材事業と、主に衣料品を扱う製品事業の2つに分かれています。
素材事業では長い歴史の中で培ってきた専門性と情報・ネットワークを強みに、オリジナル素材の開発や提案などにも注力しているようです。また、製品事業においては企画提案から品質管理、物流と一連のプロセスを管理しています。2006年には中国に2つの合弁検品工場を設立するなど、グローバルビジネス展開にも力を入れている企業です。
⑥モリリン
企業名 | モリリン株式会社 |
設立 | 1903年 |
従業員数 | 611名 |
売上高 | 956億円(2022年2月期) |
純利益 | |
HP | https://www.moririn.co.jp/ |
モリリンは、紡績から織り・編み・染色・縫製まで繊維に関する幅広い事業を展開しています。商事事業だけでなく、メーカー機能も併せ持っており、川上から川下まで顧客の要望に応じられる体制と事業領域の広さを誇る繊維商社です。
国内外の生産・物流拠点を整備し、独自のサプライチェーンマネジメント(SCM)をいち早く確立しました。近年ではバングラディッシュでの物流拠点や韓国での工場設立など、海外販路の開拓にも注力しているようです。中南米やヨーロッパにも市場を拡大するなど活躍の場を海外へと広げています。
⑦ヤギ
企業名 | 株式会社ヤギ |
設立 | 1918年4月 |
従業員数 | 666名(連結、2022年3月末現在) |
売上高 | 775億円(2022年3月期連結) |
純利益 | 3億6000万円(2022年3月期連結) |
HP | https://www.yaginet.co.jp/index.html |
ヤギは繊維の原料からテキスタイル、アパレル、ブランド、ライフスタイル領域に至るまでさまざまな事業をグローバル展開している繊維商社です。原料分野では合繊加工メーカーや加工場とパートナーシップを組み、高機能かつ高品質な糸の独自開発もおこなっています。
また、テキスタイル分野では国内外の工場と連携を取りながらアパレルメーカーやSAP企業に対して高品質なテキスタイルを提供しています。さらに原料やテキスタイルの提供だけでなく、企画提案型のODMを導入し、数多くのアパレル製品の開発製造にも注力しているようです。
⑧田村駒
企業名 | 田村駒株式会社 |
設立 | 1918年 |
従業員数 | 603名(2022年3月31日現在) |
売上高 | 861億(2022年3月期) |
純利益 | 3億6000万円(2022年3月期) |
HP | https://tamurakoma.co.jp/ |
田村駒は1894年に洋反物商として創業以来、テキストタイルからアパレル製品、リビング製品、建築・産業資材分野にまで事業を拡大してきた老舗繊維商社です。
マテリアル分野ではトレンドを的確にキャッチするだけでなく、顧客のニーズに適した素材や生地の開発をおこなっており、ストック機能を持つことで迅速な対応を可能としています。
また、建築・産業資材分野では空調機のエアフィルターや各種断熱材、縫製資材などを取り扱っており、さまざまな産業のモノづくりを支えています。
⑨GSIクレオス
企業名 | 株式会社GSIクレオス |
設立 | 1931年10月31日 |
従業員数 | 624名(2022年3月期 連結) |
売上高 | 1,118億円(2022年3月期 連結) |
純利益 | 16億円(2022年3月期 連結) |
HP | https://www.gsi.co.jp/ja/index.html |
GSIクレオスは1931年にアメリカの生糸輸入商の在日エージェントとして生糸の買い付け業務を開始させました。2001年に現在の「GSIクレオス」に社名を変え、新たにナノテクノロジー事業へ参入し、カーボンナノチューブの応用・開発に着手し始めました。
現在は衣類繊維以外にも医療・衛生消耗品を資材面からサポートしたり、原料メーカーや化粧品メーカーと連携を取りながら美容関係の商品企画・提案をおこなったりもしています。繊維事業と工業製品事業を組み合わせ、さらなる成長と発展を目指している繊維商社です。
⑩日鉄物産
企業名 | 日鉄物産株式会社 |
設立 | 1977年8月2日 |
従業員数 | 単体 1,307名/連結 6,638名 |
売上高 | 1兆8659億円(2022年3月期連結) |
純利益 | 354億円(2022年3月連結) |
HP | https://www.nst.nipponsteel.com/ |
日鉄物産は繊維製品の他に鉄鋼製品や食糧、機械などの販売や輸出入をおこなう専門商社です。もともと鉄鋼や産機、繊維、食糧などを扱う専門商社の住金物産と、大手鉄鋼メーカーの新日鐡系の日鐵商事が2013年に統合して日鉄住金物産となりました。さらに2019年に商号を日鉄物産に変更し、今に至ります。
繊維事業は2022年1月に三井物産アイ・ファッションと統合し、現在はMNインターファッションが繊維事業を担っています。繊維事業では主にOEMやODM、機能テキスタイルの提供、ライセンス・インポート・オリジナルブランドの運営などを展開しています。
キャリアアドバイザーコメント石川 愛プロフィールをみる
繊維業界の企業研究をおこなう際は、繊維業界の課題や技術に対してどのような取り組みをしているのかに着目をしてみましょう。たとえば環境に配慮した商材がもとめられている昨今において、自社オフィスのレイアウトをサスティナブルなものに変えている企業もあるかもしれません。
また、繊維産業は国際的な供給チェーンが特徴であるため、企業のグローバル戦略やどのようなエリアに力を入れようとしているのかも詳しく調べると良いでしょう。入社後のキャリアを具体的に伝えられたり、必要な語学の勉強をすることで熱意をアピールできますよ。
選考で押し出したい! 繊維商社でもとめられるスキル
キャリア
アドバイザー
繊維商社を知ることで、自分がどのように活躍したいのかをイメージできたのではないでしょうか。次は繊維商社でもとめられるスキルについて解説していきましょう。
書類選考や面接では、スキルをアピールすることが大切です。特に商社は人気の高い業界なので、自分に当てはまるスキルがあったら積極的にアピールしていきましょう。スキルをアピールする際は、スキルをイメージしやすいエピソードも一緒に考えておくと書類選考や面接で役立ちますよ。
語学力
繊維商社は海外の企業との取引も多いため、語学力が必要です。必要な英語力の目安はTOEIC730点以上で、これはあらゆる状況で適切なコミュニケーションが取れるレベルを指します。
また、TOEICなどの資格はただ語学力を評価する側面だけでなく、積極的に学ぶ姿勢があるという面でも評価されるでしょう。自分をより魅力的にアピールするためにも、語学力という具体的なアピール材料をもっておくとよいでしょう。
語学力をアピールする際はTOEICの点数だけでなく、勉強で工夫したことや努力したことなど過程にも注目してみましょう。
商社でもとめられる英語力についてはこちらで解説しています。
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コミュニケーション能力
繊維商社は社内の他部署と連携を取りながら業務を遂行していきます。たとえば、顧客との交渉は営業担当がおこないますが、出荷や輸送の手続きや出荷・納入の管理は事務職がおこなうケースも少なくありません。連携ミスがあれば企業に不利益をもたらす可能性もあり、社内でも円滑なコミュニケーションがもとめられます。
また、営業職は顧客のニーズを的確に把握し、要望に応えなければなりません。顧客の業界も多岐に渡るため、さまざまな年齢や人種の方とコミュニケーションを取ることになるでしょう。繊維商社では、社内外問わず状況に応じたきめ細やかな対応がもとめられます。
流行への感度
アパレル業界とも深く関係している繊維商社では、市場の動向やトレンドをいち早くキャッチする力が必要です。ファッションの流行に関する情報を得るのはもちろん、これからどのようなファッションが流行するのかを先読みする力も活かせるでしょう。
また、産業資材ではどの産業で、どのような繊維がもとめられているのか情報を得ることも重要です。たとえば時事ニュースからそれぞれの産業の動向やトレンドを把握するのも良いでしょう。
確認必須! 繊維商社のおすすめ選考対策6選
繊維商社を目指す学生の多くは、繊維商社の選考をどのように勝ち抜けば良いか気になっているでしょう。人気の高い業界だからこそ、効果的なアピール方法を身につけ、ライバルに差をつけたいところですよね。
これまで、繊維商社の職種やもとめられるスキルなどについて解説してきました。面接や書類選考の対策をするには、これまで解説してきた内容を踏まえ、自分の長所や魅力を的確に伝えることが大切です。効果的にアピールするためにおさえておくべきポイントをチェックしながら、今後の選考に向けて対策を練っていきましょう。
商社の志望動機のポイントはこちらを参考にしてみてください。
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①なぜ繊維業界を志望するのかを整理する
志望動機を考える際は数ある商社の中で、繊維業界の志望理由を明確化することが重要です。学生の中には「とにかく商社に入社したい」と考えている人もいるかもしれません。しかし、繊維業界を志望する理由が定まっていないと、入社後にミスマッチを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
企業側も入社後のミスマッチを防ぐため、学生の志望動機に注目しています。本気で繊維業界を目指している熱意を伝えるためにも、志望理由を整理してみましょう。
②メーカーではなくなぜ商社なのかを深掘りする
アパレルやファッションへの興味から繊維商社を目指している学生もいるでしょう。繊維商社の中にも独自ブランドを持っていたり、自社で製品企画や開発をおこなっていたりするケースもありますが、アパレルやファッションにかかわる仕事であればメーカーでも携われます。志望動機を考える際は、メーカーではなくなぜ繊維商社を目指しているのか志望理由を明確化することも重要ですよ。
メーカーとの差別化を図るには、繊維商社でしか実現できないことや、繊維商社ならではの魅力に注目すると良いでしょう。志望理由を深堀りすることで、志望度の高さを伝えることができます。
③なぜその企業を志望するのかを考える
一口に繊維商社と言っても、さまざまな企業が存在します。数ある繊維商社の中で、なぜその企業を志望するのかを考えてみましょう。同じ繊維商社でも、企業ごとに将来のビジョンや事業内容、企業の強みが異なるため、どの部分に惹かれたのかを明確にすると差別化しやすくなりますよ。
志望動機を考える際は、繊維商社というビジネスモデルや業界以外にも、企業研究をおこなってそれぞれの企業が持っている独自の魅力や長所をおさえておきましょう。
④志望企業のもとめる人物像との適性をアピールする
企業のコーポレートサイトを見ただけでは、志望企業のもとめる人物像を上手くイメージできないかもしれません。そんなときは志望企業の採用ホームページを探してみましょう。採用ホームページにはもとめる人物像や実際に働いている社員のインタビューが記載されている可能性が高く、そこから志望企業のもとめる人物像を読み取ることができます。
志望企業のもとめる人物像と合致していることをアピールする際は、合致しているとイメージしやすいエピソードを簡潔にまとめて添えましょう。
⑤語学力の高さをアピールする
海外とのやり取りも多い繊維商社では、高い語学力は有効なアピールポイントになります。ただ英語が得意なことを伝えるだけでなく、TOEICの点数や留学経験など根拠となるエピソードも一緒に伝えてみましょう。留学経験がない場合は、語学力を活かせた経験や勉強している中での苦労や工夫をアピールするのもおすすめです。
履歴書やエントリーシートには取得資格を記載する欄があるので、資格を持っている場合は資格の正式名称と取得年月を正しく記載しましょう。
⑥入社後にどのように貢献できるかを考える
書類選考や面接では「この人と一緒に働きたい」と思ってもらうことが重要です。ただ得意分野や過去の栄光をつらつら伝えても、一緒に働くイメージが持ちづらいでしょう。長所を伝えるのも大切ですが、入社後にどのように企業へ貢献したいのかを明確化することも重要です。
具体的なキャリアビジョンや活躍するイメージがあれば、採用担当者も入社後にどのように活躍してくれるのかを想像しやすくなります。入社後のイメージを明確化するには、志望企業の特徴や魅力、キャリアパスなどの情報をしっかりおさえておきましょう。
繊維商社の選考を有利に進めるための資格
繊維商社の新卒採用において、必須資格は特にありません。技術系職種の募集のみ、理工系学部や学科を卒業予定の人を対象にしているケースもありますが、応募条件は企業によって異なるので志望する企業の募集内容をしっかり確認しましょう。
取得必須の資格はありませんが、繊維商社の選考を受けるうえで役立つ可能性のある資格はいくつかあります。次は繊維商社の選考を有利に進めるために取得しておきたい資格について解説していきましょう。
ファッションビジネス能力検定
衣料繊維を得意とする繊維商社を目指すなら、ファッションビジネス能力検定を取得するのがおすすめです。ファッションビジネス能力検定は、ファッションビジネスに関する知識や習得度合いを判定する検定で、ファッション商品の企画や生産、流通に携わる人が取得を目指しています。
2・3級は「ファッションビジネス知識」と「ファッション造形知識」の2科目で構成されており、それぞれ全試験配点の60%、70%の得点を目安に合格となります。また、1級になるとマーケティング戦略や流通戦略などより実践的なビジネス知識をもとめられるのが特徴です。
繊維製品品質管理士(TES)試験
繊維製品品質管理(TES)の資格は、繊維製品の品質管理業務に必要な基礎知識と応用力を認定する資格であり、主に繊維商社の営業職が取得する資格の一つです。この資格を持っていると、取引先に対して技術や品質面において安心感を与えることができたり、商談や交渉をスムーズに運ぶことができたりと役立ちます。
試験は短答式試験と記述式試験の2種類で、繊維に関する一般知識や家庭用繊維製品の製造と品質に関する知識などが問われるようです。受験資格に制限がないので、学生でも資格取得を目指せます。
CAD利用技術者試験
理系を専攻している学生の中には、CADを使用したことのある人もいるかもしれません。CAD利用技術者試験は、CADを利用するための知識や効率的に作図する技能を証明する試験制度です。CADはアパレルやインテリアに関する仕事でも使用されるので、在学中に資格取得を目指してみるのも良いでしょう。
CAD利用技術者試験には「2次元CAD試験」と「3次元CAD試験」の2種類がありますが、繊維商社を目指すなら2次元CAD技術者を目指すのがおすすめです。2次元CAD技術者試験には1級と2級があり、授業でCADを使用したことがない方は2級の取得を目指しましょう。
繊維商社の理解を深めることが選考突破のコツ! 徹底的に企業研究をしよう
繊維業界を志望する場合は、業界の動向や繊維商社のビジネスモデルを理解した上で、自分がどのように活躍できるかをイメージしてみましょう。
選考では本記事で紹介したポイントをおさえ、繊維商社への熱意や本気度を効果的にアピールしてください。志望理由やキャリアビジョンを明確化することで、自身の熱意が伝わりやすくなりますよ。
キャリアアドバイザーコメント酒井 栞里プロフィールをみる
総合商社と専門商社ではもとめられる資質も異なることも覚えておきましょう。前述したとおり、総合商社は多岐にわたる商品やサービスを取り扱っています。1社で鉱物、食料品、機械、情報サービスなど、幅広い分野にまたがるビジネスを展開しているため総合的なビジネススキルがもとめられます。社内でも否応なしにさまざまな知見に触れ、自らの学びとすることができるでしょう。
一方、専門商社は特定の業界や分野に特化して取引をおこないます。扱っている商材に関する知識や興味を持つことと同時に、常に視野を広げて新たな発想を持ち込むことで自社に新しい視点を持ち込むことももとめられます。
自分の興味やキャリアビジョンに合わせて、どちらの商社を目指すかを検討すると良いでしょう。