自社養成パイロットを目指すなら努力は必須! 対策方法まで徹底解説

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目次

  1. 自社養成パイロットの選考内容や難易度を知って対策を進めよう!
  2. そもそも自社養成パイロットとは?
  3. 狭き門! 自社養成パイロットの難易度
  4. 倍率はどの航空会社も100倍以上
  5. 高学歴な採用者が多い
  6. 国内で自社養成パイロットの採用をおこなっている会社
  7. 全日本空輸(ANA)
  8. 日本航空(JAL)
  9. スカイマーク
  10. Peach Aviation
  11. 何が違うの? 自社養成パイロットの選考の特徴を解説
  12. ①英会話試験
  13. ②適性検査
  14. ③航空身体検査
  15. 事前に確認しよう! 大手2社の選考フローを紹介
  16. 日本航空株式会社(JAL)
  17. 全日本空輸株式会社(ANA)
  18. 入社後の流れは? 自社養成パイロットになるまでの訓練内容を紹介
  19. 地上業務に取り組む
  20. パイロットの基礎訓練をおこなう
  21. 副操縦士になるための訓練をおこなう
  22. 早めの準備が大切! 自社養成パイロットの選考を突破するための対策
  23. 航空会社のインターンに参加する
  24. TOEICのスコアを上げる
  25. 身体作りに努める
  26. 自社養成パイロットを目指すなら知っておこう! 2つの注意点
  27. 入社後も相当な努力が必要になる
  28. 採用されてもパイロットになれるとは限らない
  29. 自社養成以外でパイロットになる方法も紹介
  30. 航空大学校に入学する
  31. 大学のパイロット養成課程に入学する
  32. フライトスクールに入学する
  33. 自衛隊に入隊しパイロットの免許を取る
  34. 自社養成パイロットは狭き門! 早めの対策で選考突破を目指そう

自社養成パイロットの選考内容や難易度を知って対策を進めよう!

こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。航空業界に興味を持つ学生から、

「自社養成パイロットとは何ですか?」
「選考を突破するためにはどんな対策をすれば良いですか?」

といった質問を受けることがよくあります。パイロットは数ある職業の中でも特に高い専門知識・技術が求められる仕事であり、採用においてもさまざまな選考が実施されます。そのため内定を獲得するには、選考内容や難易度を知っておくことが大切です。

今回は、そんな自社養成パイロットの選考内容や難易度、対策方法などを紹介します。自社養成パイロットに興味を持っている人はぜひ最後まで読んでくださいね。

パイロットのなり方や仕事内容について詳しく知りたい人はこちらの記事を参考にしてください。

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そもそも自社養成パイロットとは?

自社養成パイロットとは、自社のパイロットとして活躍してくれる人を育てる制度です。パイロット候補生として航空会社に入社した人は、社内での訓練を受けながらパイロットを目指し、晴れてパイロットになった後は自社のエアラインパイロットとして働きます。

自社養成パイロットとは?

自社養成パイロットの採用選考を受けられるのは、主に4年制大学卒業見込み、または大学院修了見込みの学生です。ただし卒業後3年以内であれば他社に就業していても応募できる航空会社もあります。入社時点でパイロットに関する専門知識や資格を持っている必要はなく、応募資格を満たしていればどの学部・学科からも応募できます。

大学や専門学校などでパイロットの訓練を受ける場合、一般的には1,500~2,000万円程度の費用がかかりますが、自社養成パイロットは社員として給料をもらいながら訓練を受けられるため、費用面の心配をする必要がありません

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キャリアアドバイザー

訓練体制や環境も整っていることが多いため、パイロット志望者の中では非常に人気が高く、採用枠に対して多くの応募者が集まります。

塩田 健斗

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自社養成パイロットのメリットとデメリットを把握しておこう

自社養成パイロット制度にはメリットとデメリットの双方があります。大きなメリットとしては、航空会社が直接パイロットを養成する方法なので大きな費用を自己負担することなくプロのパイロットになれる点です。また、訓練が終了すると養成元の航空会社に勤務することができるため、別途時間をかけて就職活動をおこなう必要もありません。

ただし、費用や就職率は誰しもに魅力的にうつるため非常に競争率が高いです。選考内容も厳しい傾向があり、それなりの対策がもとめられます。さらに就職先が決まっているということは、その会社以外に転職をする道が少し狭まってしまう点も考慮しておきましょう。

自分の強み・適職を知るためにも、まずは自己分析を済ませましょう

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狭き門! 自社養成パイロットの難易度

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就活生

自社養成パイロットってやはり競争率が高いんですね……。不安になってきました。どれくらい難しいのでしょうか?

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キャリアアドバイザー

自社養成パイロットはそのメリットが大きい分、志望する人も多いです。まずは採用倍率や難易度を知っておきましょう。

自社養成パイロットは「狭き門」と言われることも多いため、採用倍率や難易度を知ったうえで対策に活かしていきましょう。難易度がわかるとどれくらい対策をすればよいのかイメージもつきやすくなりますよ。

倍率はどの航空会社も100倍以上

自社養成パイロットの採用倍率は、国内のどの航空会社も100倍を超えると言われています。倍率が高い理由としては、訓練費用がかからず給料がもらえること、大手航空会社であるため労働条件が良いこと、応募をおこなっている会社が少ないことなどが考えられます

また自社養成パイロットは、健康状態やバランス感覚、英語力、コミュニケーション能力、判断力など幅広い適性が問われることから、倍率以上に難易度は高い傾向にあります。簡単に合格できる職種ではないため、「絶対にパイロットになりたい」という強い意志を持ち、入念な対策をおこなうことが内定獲得の鍵となるでしょう。

高学歴な採用者が多い

自社養成パイロットは採用後にゼロから訓練をおこなうため、学歴や学部によって有利になったり不利になったりする可能性は低いと考えられます。しかし実際の内定獲得者の中には、早慶や旧帝大など高学歴者も少なくありません。

その理由は単純で、倍率が非常に高くハイレベルな能力がもとめられるからです。学力や思考力に優れる高学歴者は選考においてもポテンシャルを発揮しやすいため、結果的に内定獲得者には高学歴者が多くなるのです。

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キャリアアドバイザー

ただし自社養成パイロットには、身体適性や英語力など個人の適性や能力を評価する選考も含まれるため、学歴が高い=有利になるとは限りません。そもそも倍率が非常に高い世界なので、あまり学歴に捉われず最大限の対策をしましょう。

国内で自社養成パイロットの採用をおこなっている会社

自社養成パイロットの採用をおこなっている企業
  • 全日本空輸(ANA)
  • 日本航空(JAL)
  • スカイマーク
  • Peach Aviation

就活において高い人気を誇る自社養成パイロットですが、国内で採用をおこなっている航空会社は多くありません。選択肢としては、基本的にはみなさんもよく知る大手航空会社に限られてしまいます。どの航空会社で募集があるのかを確認し、選考内容や特徴をつかんで対策に取り組みましょう。

なお、近年では新型コロナウイルスの影響により採用を中止しているところもあります。最新の情報は公式ホームページを見て確認しましょう。

全日本空輸(ANA)

全日本空輸(ANA)は自社養成パイロット(運行乗務職)の採用をおこなっています。応募資格は4年制大学・大学院を卒業・修了していること(見込み含む)ですが、卒業から3年以内であれば他社に就業している人も応募可能です

応募の際は公式ホームページからエントリーし、書類選考とともに「Flight Crew Assessment Test (FCAT) 受検」という適性テストを受けます。その後面接や英語コミュニケーションテスト、航空適性検査(シミュレーター)などがおこなわれます。

入社後は1~2年の地上業務をおこなったのち、基礎訓練、副操縦士任用訓練を経て副操縦士として働きます。

日本航空(JAL)

日本航空(JAL)も自社養成パイロット(運航乗務員訓練生)の採用をおこなっています。応募資格は3年以内に4年制大学・大学院(修士課程)、高等専門学校(専攻科)を卒業または卒業見込みであること。学部・学科などの指定はありませんが、「各眼の矯正視力が1.0以上であること」「各眼の屈折度が-6.0~+2.0ジオプトリー内であること」などの身体条件があります。

選考内容は、エントリーシートや面接、テストセンターのほか、英会話試験や飛行適性検査、心理適性検査など独自性の高い内容も含まれます。

入社後は国内およびアメリカにて約2年半のJAL独自訓練を受け、副操縦士を目指します。

スカイマーク

スカイマークにもパイロットの自社養成制度はありますが、新型コロナウイルスの影響で2021年度卒向けの新卒採用は中止となりました。2022年度卒、2023年度卒は一部職種において採用を再開しましたが、自社養成パイロットの採用はおこなわれていません

今後の採用方針は公開されていませんが、再開する可能性もあるため興味のある人はこまめに採用情報をチェックしておきましょう。

Peach Aviation

ANAホールディングスの連結子会社であるPeach Aviationは、2019年度より「パイロットチャレンジ制度」(自社養成パイロット)を開始しました。ただし他社の自社養成パイロットとは少し違い、訓練費用を一部負担しなければなりません。前半訓練を経て採用選考を通過した人のみ、社員として給料をもらいながら後半訓練を受けられます。

なおPeach Aviationは、新型コロナウイルスの影響を受けて2022年度と2023年度は採用を中止しました。今後採用が再開されたときに出遅れないように、公式サイトをチェックしておきましょう。

北浦 ひより

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パイロットは人手不足状態が続いている

近年、新型コロナウイルス感性症の影響で航空需要は一時的に大きく減少しました。新卒採用停止のニュースなども頻繁に流れていたため、学生の中には航空業界への不安感を持った人もいるかと思います。

しかし中長期的な視点で考えると、実はパイロットの人手不足は顕著です。LCCなどを取り扱う新しい航空会社の誕生や、航空機の小型化および増便にともないパイロットの需要が大幅に増えていますよ。また、パイロットは専門的な技能を必要とするため一定の訓練期間と経験がもとめられます。そのため短期間で大量のパイロットを養成することは難しく、人手不足の問題が生じやすいです。

これらからも言える通り、一時的な情報に惑わされず、将来的な需要を見すえて就職活動を進めることをおすすめします。

航空業界の特徴やもとめられる人物像についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。

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自己分析がまだの人は、ツールを活用して今月中に終わらせよう

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何が違うの? 自社養成パイロットの選考の特徴を解説

自社養成パイロットの選考の特徴

パイロットは専門知識や技術だけでなく、身体適性や高い英語力などさまざまな能力・適性がもとめられるため、自社養成パイロットの採用では、ほかの業界・職種ではあまり見られない選考方法も実施されます。

高い採用倍率を突破するためには、独自性の高い選考についても理解を深めておくことも大切です。ここでは、自社養成パイロットならではの選考内容について確認していきましょう。

①英会話試験

パイロットにとって英語力は必要不可欠なスキルです。入社時点で一定レベルの英語力がもとめられるため、自社養成パイロットの選考では英語力を確認する面接やテストがおこなわれます

ANAやJALでは採用条件としてTOEICのスコアなどは課されていません。しかし、訓練中に海外に行き教官と英語でコミュニケーションを取る機会も多いことから、日常会話レベルの英語力は必須といえます。TOEICのスコアで言うと、700点程度の英語力がもとめられるでしょう。

②適性検査

パイロットには、マルチタスク能力や判断力、集中力などの素養がもとめられます。そのため自社養成パイロットの選考では、心理適性検査や飛行適性検査などパイロットに特化した適性検査がおこなわれるのが一般的です

一般企業の選考においては、自社の社風に合う人材か、業務内容との適性があるかなどを見られますよね。自社養成パイロットも同じように、さまざまな適性検査を通し性格や人柄、素質などからパイロットに向いている人材かどうかを判断するのです。

なお検査内容の詳細や採用条件は公開されていません。対策をしづらい選考が含まれることも、自社養成パイロットの難しさのひとつといえるでしょう。

③航空身体検査

パイロットとして安全な運行を遂行するためには、心身が健康な状態でなければなりません。そのため選考においては、パイロットに適した身体状況であることを確かめるための「航空身体検査」がおこなわれます

各航空会社の明確な採用基準は公開されていませんが、国土交通省の「航空身体検査マニュアル」では以下のような身体検査基準が定められています。

  • 航空業務に支障をきたすおそれのある奇形や機能障害、疾患やその既往歴がないこと
  • 航空業務に支障をきたすおそれのあるアレルギー性疾患がないこと
  • 航空業務に支障をきたすおそれのある睡眠障害がないこと
  • 血圧や貧血など血液状態が航空業務に支障をきたすおそれのない状態であること
  • 各眼が裸眼で 0.7 以上および両眼で 1.0 以上の遠見視力を有すること

このように、パイロットとしての業務に支障のない身体状況であることが条件となります。自社養成パイロットを目指す人は一度「航空身体検査マニュアル」の詳細を確認しておくと良いでしょう。

上村 京久

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自分の努力ではどうにもならない場合も想定しておこう

ここまで見てきたとおり、パイロットを目指す際には飛行技術や知識の習得だけでなく、健康状態や既往歴に関する厳しい基準が設けられています。視力や聴力、その他健康状態などは遺伝にも左右されるため個人の努力で改善することが難しい場合もあるでしょう。厳しいようですが、一定の基準を満たさない場合にはパイロットとしての道は閉ざされることとなってしまいます。

そうならないためにも早めに自分の健康状態を把握して不安がある項目については医療機関での診断や治療を受けておいて損はありません。それでも難しい場合には、冷静に異なる選択肢を考えていけるようにしておきましょう。航空業界で働きたいのか、違う業界でもいいのか、パイロットに類似した職業はないかなどをキャリアアドバイザーなどに相談してみてください。

事前に確認しよう! 大手2社の選考フローを紹介

上記で紹介したように、自社養成パイロットの採用では多様な選考がおこなわれるため、一般的な企業に比べると長期戦になります。体力と集中力を持続させるためには、選考フローを把握しておくことが大切。そこで次に、大手2社(JAL・ANA)の選考フローを紹介します。

両社の選考特徴を押さえ、それぞれに合った対策スケジュールを組みましょう。なお選考方法は年度や状況により変更になることがあります。詳細は公式サイトを見て確認してくださいね。

日本航空株式会社(JAL)

JALの自社養成パイロットの選考フローは以下の通りです。

  1. エントリーシート
  2. テストセンター
  3. 1次面接
  4. 2次面接 
  5. 心理適性検査・英会話試験
  6. 飛行適性検査
  7. 航空身体検査
  8. 最終面接
    ※採用予定人数:80名程度(新卒+既卒)

エントリーシートや面接など一般的な選考を通過すると、英会話試験や飛行適性試験などパイロットとしての適性を確認する試験がおこなわれます

全日本空輸株式会社(ANA)

ANAの自社養成パイロットの選考フローは以下の通りです。

  1. エントリー・Flight Crew Assessment Test (FCAT) 受検
  2. 書類選考 
  3. 英語試験
  4. 適性検査 
  5. グループワーク・面接・その他
  6. 身体検査

ANAの最大の特徴は、書類選考の前に「Flight Crew Assessment Test (FCAT)」という独自のパイロット適性検査がおこなわれることです。この試験に合格しなければ、その後の選考には参加できません。なおFlight Crew Assessment Test (FCAT)では、視力に関する応募要件があります。詳細は公式サイトを確認してください。

また、一定以上の英語力を証明できる場合は英語試験が免除になります。具体的なスコアなどは後程紹介します。

入社後の流れは? 自社養成パイロットになるまでの訓練内容を紹介

自社養成パイロットになるまでの訓練内容
  • 地上業務に取り組む
  • パイロットの基礎訓練をおこなう
  • 副操縦士になるための訓練をおこなう

自社養成パイロットとして採用された場合、自社で訓練を受けながらパイロットに必要な智識や技術を身につけていきます。具体的な訓練内容や期間は航空会社によって異なりますが、まずは3~4年かけて「副操縦士」を目指すのが一般的です。

地上業務に取り組む

自社養成パイロットとして入社した後、まずはグランドスタッフとして地上勤務をしながら会社の仕組みや各部門との連携を学びます。

航空会社では営業や整備、空港などさまざまな職種の人が協力して安全なフライトを維持しています。パイロットになればこうした人たちと連携を取りながら業務に取り組まなければなりません。

そのため、一見パイロットとは関係なさそうに見える場所での仕事も非常に大切な経験なのです。特に搭乗手続きや荷物検査など顧客と直接かかわる仕事は接客マナーを学ぶ貴重な機会といえます。地上業務をおこなう期間は約1~2年です。航空会社の社員として必要な幅広い知識や心構えを学ぶ期間といえるでしょう。

パイロットの基礎訓練をおこなう

地上勤務が終わると、次はいよいよパイロットになるための本格的な訓練が始まります。この訓練では、事業用操縦士技能証明や計器飛行証明、航空無線通信士といった国家資格を取得し、飛行機を操縦するための基礎知識や技術を学びます

飛行に必要な基礎論理を学んだりシミュレーターを用いた訓練をおこなったりして、審査を通過することで正式に運航乗務員として乗務できるようになります。

基礎訓練をおこなう期間は約1年半です。海外でおこなう訓練も含まれ、たとえば日本航空株式会社(JAL)では約5カ月間アメリカのアリゾナ州で訓練がおこなわれます。

副操縦士になるための訓練をおこなう

基礎訓練後は、「副操縦士任用訓練」といって副操縦士になるための訓練をおこないます。副操縦士とは、機長の補佐をする操縦士のことです。たとえ補佐であっても独立した資格であり高いスキルが必要とされる重要な仕事になります。

副操縦士任用訓練では、シミュレーターや本物の航空機を使用して、操縦技術やトラブル時の対応、気象変化時の判断などより実践的なスキルを磨きます。乗務する航空機の免許を取得し、運航便での運航経験を積むことで晴れて副操縦士となることができます。

副操縦士となった後は、さらなる訓練を経て機長へとキャリアアップしていきます。入社してから機長になるまでは約10年かかると言われています。

早めの準備が大切! 自社養成パイロットの選考を突破するための対策

自社養成パイロットの選考を突破するための対策

自社養成パイロットは非常に人気が高く、強い熱意を持った人が多く集まることから、なんとなく受けるだけではまず合格できません。またパイロットならではの選考フローが含まれることから、それに合わせた対策をすることが必要です。

自分の能力やポテンシャルを最大限発揮するために、今からできる対策を確認していきましょう。

航空会社のインターンに参加する

航空会社では、自社養成パイロットを希望する人を対象とした数日間のインターンシップを実施することがあります。

航空業界・パイロットの業務への理解を深めるための内容となっており、グループワークや個人面談をおこなうこともあります。パイロットの使命ややりがいを肌で感じられる貴重な機会なので、自社養成パイロットを目指す人はぜひ参加しましょう。

インターン参加中に優れた成績を残した学生は、本選考での優遇措置を受けられる場合もありますよ。ただし自社養成パイロットは非常に人気があるため、インターンにおいても高倍率になることが予想されます。

しっかりと選考対策をしないと参加する権利を得られないので、採用情報をよく読んで早めに準備を進めましょう。

TOEICのスコアを上げる

先程説明したように、自社養成パイロットの採用においては一定レベルの英語力がもとめられます。「TOEIC〇点以上でなければならない」という明確な基準はありませんが、選考では英語試験がおこなわれるためTOEICスコアを上げておくと有利になるでしょう

参考までに、ANAが実施するパイロット適性テスト「Flight Crew Assessment Test (FCAT) 」では、下記スコアを持っていると英語試験が免除になると記載されています。

TOEIC
  • Listening & Reading Test:Reading 385点以上 Listening 400以上  計785点以上
  • Speaking &Writing Test:Speaking 160点以上 Writing 150点以上 計310点以上

免除条件スコアに満たない場合でも応募はできますが、選考突破を目指すならこのレベルの英語力を目指しましょう。

企業がもとめる語学力の実態については、こちらの記事を参考にしてくださいね。

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身体作りに努める

一般財団法人 航空医学研究センターによると、自社養成パイロットの身体適性検査では、内科・眼科・耳鼻咽喉科・精神神経科の4科において専門医による健康状態のチェックがおこなわれます。ここで引っかかってしまうと、その年度で不合格になるだけでなく再受験ができない場合もあるため、日頃から生活習慣に気を遣い健康な身体作りに努めましょう。

また、パイロットは厳しい訓練や長時間のフライトなど体力がもとめられる場面も多くあります。入社後の生活に耐えられる身体を作るためにも、学生のうちから健康に過ごすための習慣を作っておきましょう。

自社養成パイロットを目指すなら知っておこう! 2つの注意点

費用や教育などさまざまな魅力のある自社養成パイロットですが、ほかの仕事にはない苦労や大変さもあります。憧れの気持ちだけで目指してしまうと、運よく内定を獲得できても入社後につらい思いをすることになるでしょう。

自身が本当に自社養成パイロットに向いているかを再確認するために、ここでは自社養成パイロットを目指す人が知っておくべき注意点を2つ紹介します。

自社養成パイロットを目指す前に知っておくべき注意点
  • 入社後も相当な努力が必要になる
  • 採用されてもパイロットになれるとは限らない

入社後も相当な努力が必要になる

自社養成パイロットは、採用された後も相当な努力が必要です。というのも、一人前のパイロットになるまでには、入社後すぐに始まる地上業務から国内外での基礎訓練や審査まで多くの難関が待ち構えているからです。

晴れてパイロットとなった後も定期的な訓練や試験があり、常に勉強し続けなければなりません。決して楽な仕事ではないため、パイロットに対して強い熱意や覚悟を持っていることが最低条件といえるでしょう

またパイロットは健康な状態であることが非常に大切であるため、休みの日も夜更かしや暴飲暴食などを避け体調に気を遣わなければなりません。「仕事とプライベートをしっかり分けて休日を楽しみたい」と考えている人には向かない可能性が高いため注意しましょう。

採用されてもパイロットになれるとは限らない

「自社養成パイロットとして採用される=パイロットになれる」と考えている人もいるかもしれません。しかし実際は、訓練中の試験や審査に合格できなかったり体調を崩したりして途中で脱落する人もいます

一般企業とは違い、入社後に「落とされる」場面も多くあるのです。そのためパイロットになれない可能性があることも理解しておきましょう。

参考までに、ANAの採用ページのANA運航乗務職(自社養成パイロット)FAQには以下のように記載されています。

  • Q.訓練に失敗し、ライセンスが取得できなかった場合どうなるのですか。
  • A.原則として退職となります。
    ただし、ライセンスを取得できなかった原因や訓練に対する取り組み姿勢、本人の希望を検討したうえで、グローバルスタッフ職への職種変更が認められることがあります(訓練から離脱したら自動的にグローバルスタッフ職になれるということではありません。)

吉川 智也

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受け身の精神で挑むことはご法度

パイロットを目指す訓練は通常の新入社員研修とは異なり、非常に厳格で専門的です。新入社員だからといって単に「教えてもらえればできるようになるだろう」という受け身の精神で物事に取り組んでもパイロットになるのは難しいでしょう。技術や知識の習得だけでなく、判断力やリーダーシップ、チームワークなど、最初から多岐にわたる能力を身につけていく必要があるからです。

実際の飛行では予測不能な状況が生じることも多く、新人といえども瞬時の判断や確かなスキルがもとめられます。最悪の場合その判断が命取りになることも想定し、常に自己主導で学び、練習する姿勢が必要です。

自社養成以外でパイロットになる方法も紹介

自社養成以外でパイロットになる方法4つ

パイロットになるには、自社養成パイロット以外にも方法があります。自社養成パイロットは倍率が非常に高く難関なので、どうしてもパイロットになりたいという人はほかの選択肢も知っておきましょう。

航空大学校に入学する

1つ目の方法は、航空大学校に入学し必要なライセンスを取得することです。航空大学校とは、国が設立した唯一の公的パイロット養成機関で、本校は宮崎県宮崎市にあり、北海道帯広市と宮城県岩沼市の2ヶ所に分校があります。

在学期間は2年間で、その間に学科座学や単発機操縦演習、単発機操縦演習をおこないます。入学時期は年4回あり、25歳未満で4年制大学に2年以上在学している人や短期大学や高等専門学校を卒業した人などが受けられます。卒業後は各航空会社に就職するのが一般的です。

なお航空大学校は、約350万円の授業料のほか、生活費や学用品費、移動費などがかかります。

大学のパイロット養成課程に入学する

パイロット養成課程のある大学に入学し、そこでライセンスを取ることも1つの方法です。下記大学のパイロット養成課程では、4年間で航空や操縦に関する知識・秘術を学び、卒業までにライセンスの取得を目指します。

パイロットを目指せる大学
  • 桜美林大学 航空・マネジメント学群 フライト・オペレーションコース
  • 崇城大学 工学部 宇宙航空システム工学科 航空操縦学専攻
  • 第一工業大学 航空工学部 航空工学科
  • 帝京大学 理工学部 航空宇宙工学科 ヘリパイロットコース
  • 東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空操縦学専攻
  • 法政大学 理工学部 機械工学科 航空操縦学専攻
  • 千葉科学大学 危機管理学部 航空技術危機管理学科 パイロットコース

年齢制限などは設けていない大学が多いですが、就職時に航空会社の応募要項に引っかかる可能性はあります。学費は大学によって異なりますが、2,000~3,000万円程度必要となります。

フライトスクールに入学する

航空大学校や大学以外にも、パイロットのライセンスを取得できる専門学校(フライトスクール)があります。

大学と比べて学費が安く、身体検査さえクリアできれば学歴関係なく入学できるところも多いため、比較的入学しやすいでしょう。ただし学校やコースによって取得できるライセンスの種類が異なるため、自身の希望に合ったカリキュラムが用意されているかよく確認する必要があります

また、フライトスクールでライセンスを取得できたとしても、パイロットとして希望通りに就職できるとは限りません。もしフライトスクールに入学するのであれば、就職実績もチェックしておきましょう。

自衛隊に入隊しパイロットの免許を取る

次に、自衛隊に入隊してパイロットになる方法を紹介します。たとえば、航空自衛隊であれば以下3つの選択肢があります。

航空自衛隊のパイロットになる方法
  1. 航空学生として入隊
  2. 防衛大学校を卒業して入隊
  3. 一般幹部候補生の飛行要員として入隊

航空自衛隊 よくある質問によると、①②は18歳以上21歳未満でなければ応募できません。③は22歳以上26歳未満(大学院修士課程修了者・修了見込み者は28歳未満)であれば応募できるため、大学卒業者の場合は③が選択肢に入ってくるでしょう。なお③の受検倍率は、航空自衛隊 航空教育集団司令部によると、約27倍(平成22年度)となっています。

自衛隊でライセンスを取得し航空会社のエアラインパイロットに転職することも可能です。ただし紳士協定という制度により、自衛隊から離職後2年間はエアラインに就職できないと決められているため注意しましょう

自社養成パイロットは狭き門! 早めの対策で選考突破を目指そう

自社養成パイロットは、給料をもらいながら充実した訓練を受けられることから、パイロットを目指す人たちから高い人気を誇る制度です。採用においては激しい競争が予想されるため、中途半端な気持ちではまず合格できないと思っておきましょう。

身体適性検査や英会話試験など選考内容も多岐に渡るため、企業研究や面接対策だけでなくパイロットならではの対策に取り組むことも大切です。ここで紹介した内容を参考に、今日から自社養成パイロットの選考に向けた準備を始めましょう。

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