目次
- 新卒で派遣を選択することのキャリアへの影響を押さえて慎重に判断しよう!
- そもそも派遣ってどんな働き方? まず理解しておきたい3つの観点
- 雇用先:勤務先ではなく人材派遣会社と雇用契約を結ぶ
- 雇用形態:有期雇用が一般的だが無期雇用もある
- 派遣期間:1つの勤務先につき2〜3カ月が多い
- 正社員と何が違う? 派遣として働く6つのメリット・デメリット
- メリット①勤務時間の融通が利きやすい
- メリット②異動や転勤がない
- メリット③さまざまな企業・職種の仕事を経験できる
- デメリット①3年以上同じ職場で働けない
- デメリット②待遇や福利厚生が正社員ほど充実していない
- デメリット③重要な業務を任せてもらえるケースが少ない
- 当てはまったら要注意! 新卒で派遣を選んで後悔するリスクが高い3つのケース
- ①やりたいことがないから派遣社員になろうと考えている
- ②楽な仕事がしたいと思って派遣の仕事を考えている
- ③職場の雰囲気を確かめてから正社員になりたいと考えている
- 新卒で派遣社員を選ぶのがおすすめの3つのケース
- ①フルタイムで働けない事情がある
- ②仕事よりも優先的に時間を割きたいことが明確にある
- ③新卒就職が難しい仕事にチャレンジして経験を積みたい
- 「新卒カード」は一回きり! 派遣に絞るのではなく正社員就職も視野に入れよう
- 新卒で「なんとなく派遣」はもったいない! 正社員就職をすすめる4つの理由
- ①新卒は1人あたりの求人数が多く正社員になれるチャンスが多い
- ②正社員から派遣社員になるよりも派遣社員から正社員になるほうが難しい傾向がある
- ③新卒正社員は充実した研修やサポートが受けられてマナーや知識を身に付けやすい
- ④正社員のほうが昇給・昇進の制度が整っていてキャリアアップを実現しやすい
- 正社員に暗いイメージを持ってない? 誤解しやすい正社員のイメージと現実
- イメージ①残業が多くてプライベートの時間が全然取れない
- イメージ②責任が大きくて常にプレッシャーがある
- イメージ③自分がやりたくない仕事をやらされる
- 新卒では派遣だけでなく正社員も視野に入れてキャリアの可能性を広げよう
新卒で派遣を選択することのキャリアへの影響を押さえて慎重に判断しよう!
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。就活に悩んでいる学生から、
「新卒で就活をせず派遣社員として働くってアリですか? 」
「新卒で正社員にならず派遣社員を選ぶってもったいないのでしょうか? 」
といった相談を受けることがあります。
働く目的は人それぞれであるため、自分の目的に合うなら正社員ではなく派遣社員として働くのも一つの選択肢です。しかし、正社員と派遣社員ではキャリア形成や待遇などが大きく変わることもあるので、慎重な判断が必要です。
この記事では、新卒で派遣社員を目指すメリット・デメリットや、後悔する可能性が高い人の特徴などについて解説します。これから就活の方向性を考える際の判断基準として役立てましょう。
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そもそも派遣ってどんな働き方? まず理解しておきたい3つの観点


就活生

キャリアアドバイザー
派遣社員は正社員と比べていくつか特徴的な部分があるので、まずは3つの観点から比較してみましょう。
派遣社員になるにしても、ならないにしても、後悔しない選択をするにはまず派遣という働き方について正しい認識を持つことが大切です。
ここからは、そもそも派遣とはどういう働き方なのか、基本的な特徴を「雇用先」「雇用形態」「派遣期間」の3つの観点から解説します。自分が今持っている派遣社員のイメージが本当に合っているのかどうか確認してくださいね。
雇用先:勤務先ではなく人材派遣会社と雇用契約を結ぶ
派遣社員は、勤務先の企業ではなく、派遣社員を採用している「人材派遣会社(以下、派遣会社)」と雇用契約を結びます。派遣会社のスタッフとして、一時的に人員を必要としている企業へ短期間派遣されて勤務するという仕組みです。
派遣社員は派遣会社と雇用関係にあるため、以下は派遣会社がおこなうことになります。
- 派遣社員への給与の支払い
- 福利厚生の提供
- 契約更新
- トラブル相談対応
しかし、実際の勤務先は派遣会社ではなく、派遣会社が派遣契約を結んでいる各企業であるため、以下は勤務先の企業がおこないます。
- 派遣社員への業務指示
- 派遣会社へ派遣スタッフの給与を含む「派遣料金」の支払い

キャリアアドバイザー
派遣という働き方は3者間(派遣社員・派遣会社・勤務先の企業)のやりとりが必要で、コミュニケーションが少し複雑になるケースもあります。
雇用形態:有期雇用が一般的だが無期雇用もある
派遣社員は、派遣会社と雇用期間の定めがある「有期雇用(登録型派遣)」の契約形態で働くのが一般的です。この場合、派遣先が決まったらその都度派遣会社と雇用契約を結びます。
しかし、なかには正社員のように雇用期間の定めがなく、派遣会社と常に雇用関係にある「無期雇用(常用型派遣)」の契約形態で働いている派遣社員もいます。有期雇用の場合は契約を結んで派遣先で働くことで給与が発生しますが、無期雇用であれば企業へ派遣されていない期間も給与を支払う対象になるため、収入の安定性が高いのです。
なお、同じ派遣先で通算5年以上の雇用期間がある場合、自分から申し込めば無期雇用へ転換できます。通称「5年ルール」と呼ばれているので、派遣社員での就職を考えているなら押さえておきましょう。

キャリアアドバイザー
5年ルールの対象外だとしても、派遣会社の方針によっては最初の契約段階で無期雇用で働くことも可能なので、就職前に確認しておきましょう。
派遣期間:1つの勤務先につき2〜3カ月が多い
厚生労働省が派遣労働者を対象に調査した「令和4年派遣労働者実態調査の概況」によると、以下のように1つの勤務先の派遣期間は2〜3カ月程度が最も多く、約半数(48.5%)が2カ月〜6カ月の契約で働いているとわかります。
- 30日以下:1.3%
- 30日超〜2カ月以下:7.1%
- 2カ月超〜3カ月以下:31.0%
- 3カ月超〜6カ月以下:17.5%
- 6カ月超〜1年以下:11.9%
- 1年超〜3年以下:11.8%
- 3年超:8.3%
- 期間の定めなし:10.1%
しかし、これは必ずしも「数カ月単位で勤務先が変わっている人が多い」というわけではありません。勤務先の企業と派遣社員の双方の意思があれば契約の更新ができるため、実際には数カ月単位で契約を更新して同じ勤務先で長く働く人もいますよ。

キャリアアドバイザー
一般的に短期派遣というと数日〜3カ月未満、長期派遣というと3カ月以上の派遣を指す傾向があります。
正社員と何が違う? 派遣として働く6つのメリット・デメリット

就活生
派遣社員と正社員って、結局どっちが良いのでしょうか?

キャリアアドバイザー
正社員と派遣社員には、それぞれメリット・デメリットがあります。迷った際には、働くうえであなたが何を優先するかを考えてみましょう。
新卒の学生の場合、就活で正社員就職を目指すか、派遣会社に登録して派遣社員としてキャリアをスタートするかはとても悩む点ですよね。
そこでここからは、正社員就職と比較した場合の派遣社員として働くメリット・デメリットをそれぞれ3つずつ解説します。それぞれの働き方の特徴がよくわかるので、就職後の自分の生活やキャリアをイメージしやすくなりますよ。
メリット①勤務時間の融通が利きやすい
派遣社員は、派遣会社と契約する際に希望の勤務形態を伝えることができます。たとえば「週4日で1日6時間勤務」など自分の希望の勤務時間や出勤頻度などを伝えると、その希望条件になるべく合う派遣先を紹介してもらえるのです。そのため、勤務時間の融通はかなり利きやすいといえます。
一方で正社員として働く場合は、基本的にその会社が定める就業時間や出勤頻度に合わせなければなりません。そのため、派遣社員と比べると働き方に関しては自分の希望を実現しにくい可能性が高いです。
もちろん正社員でも、会社に申請して時短勤務ができたり、フレックスタイムが導入されていて自分の都合に合わせて出退勤できたりするケースもあるので、選考を受ける前にどのような制度が取り入れられているのかは確認するようにしましょう。

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働き方の仕組みとして、派遣社員は正社員よりも時間の都合が付けやすいと認識しておきましょう。
フレックス制度について、実際にどんな働き方なのか詳しく知らないという人は、以下の記事も併せて確認しておきましょう。
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自由に働けるって本当? フレックスタイム制度の仕組みを知ろう
フレックスタイム制度とは労働者が働く時間を指定できる制度です。 この記事ではキャリアアドバイザーがフレックスタイム制度のメリットやデメリットを解説します。フレックスタイム制度が向いている人の特徴も紹介しているので、ぜひ企業選びの参考にしてくださいね。
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メリット②異動や転勤がない
派遣社員は、派遣会社と契約する段階で勤務地や業務内容が明確に定められています。そのため、契約内容にない勤務地への転勤や異動は原則ありません。
正社員の場合は、会社から異動や転勤を命令されたら基本的にはその指示に従わなければなりません。自分が希望していない環境で働くことになる可能性もあるので、勤務地や配属という観点で考えると、派遣社員のほうが自分のこだわりを優先しやすいといえます。
ただし派遣社員であっても、無期雇用契約の場合は「全国転勤可」や「転居を伴う異動が発生する可能性あり」といった契約内容になっているケースもあります。この場合、遠くの勤務地への派遣や希望しない部署への異動を依頼される可能性もあるので注意してくださいね。

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派遣社員だから絶対に異動や転勤がないというわけではなく、あくまで契約内容によると理解しておきましょう。
メリット③さまざまな企業・職種の仕事を経験できる
派遣社員は自分が希望する職種や業務内容に合う派遣先を選ぶことができるので、自分に合わないと判断すれば派遣期間を更新せず別の派遣先で働くことも可能です。
そのため「やりたいことがないから、いろいろな会社や業務を経験して自分に合う仕事を見つけたい」と考えて派遣という働き方を選ぶ人も多くいます。
正社員の場合は会社の人員配置や教育などの関係で、派遣社員ほど柔軟に業務内容を選ベるケースは少ないです。一般的には、一度配属されたら数年間は同じ部署で勤務することになるので、さまざまな分野の仕事を経験してみたいなら、派遣社員の働き方のほうが合っているかもしれませんね。

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正社員でもジョブローテーション制がある会社であれば、半年〜数年単位でさまざまな職種や部署を変えることができます。
デメリット①3年以上同じ職場で働けない
派遣社員は、原則として3年以上同じ職場で働くことはできません。労働者派遣法によって、派遣という不安定な形での勤務を長期化させず、労働者の雇用を安定させる目的で、このような決まりが設けられています。
そのため派遣先での仕事や職場環境に魅力を感じて「ここで働き続けたい」と思っても、3年経てば次の派遣先に移らなければならないのです。
ただし無期雇用派遣になるとこの決まりは適用されないため、3年を超えても同じ勤務先で働くことができます。また、派遣という働き方を辞めて以下のように直接雇用でその職場で長く働き続けるという選択肢もありますよ。
- 無期雇用派遣になる
- 派遣先から直接雇用の打診を受ける
- 紹介予定派遣で働く

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同じ職場で長く働き続けたいと思ったら、有期雇用の派遣社員という働き方を変えなければならないと理解しておきましょう。
デメリット②待遇や福利厚生が正社員ほど充実していない
派遣社員は正社員に比べると業務の責任範囲や職務範囲が狭い傾向があるので、その分待遇や福利厚生の面では条件が厳しい傾向があります。
- 家族手当
- 住居手当
- 昇給
- ボーナス
- 退職金
派遣社員は時給制が主流で、月給制である正社員よりも毎月の収入が多い人もいます。しかし上記のように福利厚生があまり充実していないため、トータルで考えると正社員のほうが金銭的な余裕が生まれやすくなります。

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同一労働同一賃金の観点から、正社員と同程度の責任や職務範囲である場合は、「派遣社員だから」という理由で待遇や福利厚生に差が出ることは原則ありません。
デメリット③重要な業務を任せてもらえるケースが少ない
派遣社員はあくまで短期間の契約であることが多いため、会社の事業に大きくかかわるような仕事は、長期的なキャリア形成が期待されている正社員が担当することが多い傾向にあります。
そのため、単調な業務が多かったり、高度なスキルや経験を身に付けられる機会がなかったりして、仕事にやりがいを感じられないという人も少なくありません。会社で重要な業務を任せてもらえるような人材になりたいと思ったら、正社員を目指すべきといえます。
ただし派遣社員であっても、勤務先の企業にいないような高い専門性を持っている場合や、働きぶりが勤務先に認められた場合などは、企業からの信頼を得て高度な業務を任されることもありますよ。

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派遣社員だから仕事が簡単というわけでは決してありませんが、雇用の仕組みによって任せてもらえる仕事が限定的になってしまう傾向があると理解しておきましょう。

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新卒で派遣社員として働きたい場合は、派遣社員の働き方について具体的なイメージを持ったうえでキャリアを選択することが大切です。イメージだけで選んでしまうと、実際に働き出した後に「やっぱり正社員として働けば良かった」と後悔してしまう可能性があります。
派遣社員の働き方に関する具体的なイメージを持つためには、実際に派遣社員として働いている人の話を聞くことがおすすめです。家族や友人など、周りに派遣社員として働いている人や、過去に働いた経験を持つ人がいれば、直接話を聞いてみてください。
もし、周りに派遣社員として働いた経験を持つ人がいなければ、ブログなどを通じて派遣社員の人の体験談を読んだり、SNSで派遣社員として働く人にアプローチし、アドバイスを求めるのも有効な手段となるでしょう。
当てはまったら要注意! 新卒で派遣を選んで後悔するリスクが高い3つのケース


就活生
新卒で派遣社員になろうと思うのですが、将来後悔するかも……と不安です。

キャリアアドバイザー
新卒として入社できるのは基本的に1回きりなので後悔したくないですよね。新卒派遣を選んで後悔するリスクが高いケースというのがいくつかあるので、まずは自分が当てはまっていないか確認してみてください。
正社員と比較した場合の派遣社員のメリット・デメリットを知って「新卒で派遣社員にならないほうがいいのかな? 」という考えが浮かんだかもしれません。今後の就活にかかわる大きな問題であるため、とても悩みますよね。
そこでここからは、新卒で派遣社員になって後悔するリスクが高いケースを3つ解説します。自分のファーストキャリアとしてどんな働き方がベストなのか、判断する材料の一つになりますよ。
①やりたいことがないから派遣社員になろうと考えている
「やりたいことが決まっていないのにいきなり正社員になるのは不安」「まず派遣でいろいろな仕事を経験してやりたい仕事が決まったら正社員を目指そう」と考えて派遣社員を選ぶ人は少なくありません。
たしかに派遣の働き方なら数カ月単位で職場を変え、いろいろな業務を経験することができます。しかし、派遣の働き方を選んだからといってやりたいことが見つかるかどうかはわかりません。
数年経ってもやりたいことが見つからず、「こうなるんだったら最初から正社員になっておけば良かった」と後悔する人も珍しくないのです。

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正社員として働くなかでやりたいことが見つかるケースもあります。また、やりたいことがない状態でも、職場環境が合っていて正社員としてイキイキと働いている社会人も多いですよ。
やりたいことが見つからないときは、キャリア形成の考え方について理解を深めましょう。以下の記事でくわしく解説しているので目を通してみてくださいね。
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キャリア形成とは仕事の経験やスキルを計画通りに積んでいくことです。このビジョンが明確だと周囲と差別化できますよ。 この記事ではキャリア形成のために必要な力や方法などをキャリアアドバイザーが解説します。 解説動画も参考に、学生のうちから考えを深めておきましょう。
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②楽な仕事がしたいと思って派遣の仕事を考えている
「正社員は責任が重く残業も多いだろうから嫌だ」「派遣は正社員ほど責任が大きい仕事がないから楽だろう」と考えて新卒で派遣社員を検討する人もいます。たしかに職場での責任は正社員ほどはなく、残業も少ない傾向があります。
しかし派遣だからといって仕事が楽なわけではありません。職場によっては残業も発生することがあります。また、派遣という働き方ならではの大変さもありますよ。
- 職場が変わるごとに新しい環境に慣れなければならない
- 教育や研修があまりなく即戦力を期待される
- 雇用が不安定で将来が心配になる
そのため、実際の業務や職場が想像以上に大変で、安易に派遣社員の働き方を選んだことを後悔する人もいます。

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どのような働き方であっても、楽しい部分もあれば大変な部分もあります。そのことを忘れずに、「楽さ」ではなく「自分が目指す人生やキャリア」を軸に働き方を選ぶようにしましょう。
③職場の雰囲気を確かめてから正社員になりたいと考えている
「正社員で就職したらブラック企業だったときに辞めづらそう」「働きやすそうな職場だとわかってからその会社で直接雇用を目指して正社員になろう」といった考えで派遣社員を目指す人も一定数います。
たしかに派遣の場合は長期雇用が前提ではないため、契約が終了すればその職場を去ることができます。職場の雰囲気を見て判断したいという目的で考えると有効な方法の一つですね。
しかし派遣社員の場合、すぐに辞めたいと思っても契約期間満了までは原則働く義務があるので、辞めるタイミングは無期雇用の正社員のほうが選びやすいと考えることもできます。
また、派遣社員として勤務していて働きやすい職場を見つけられたとしても、その会社の都合で直接雇用になれない場合があります。
- 人員が足りていて正社員を募集していない
- 自分の能力が勤務先の希望と合っていない

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正社員でも派遣社員でも職場の雰囲気を確かめることはできるので、この理由だけで派遣社員を目指すのはおすすめしません。
志望先の社風を調べる方法は、実際に働く以外にもたくさんあります。以下の記事で、企業の社風を把握する方法を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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新卒で派遣社員を選ぶのがおすすめの3つのケース


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派遣社員になるのはやっぱり後悔するリスクが高いのでしょうか?

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そうとも限りません。場合によっては派遣社員という働き方が合っているケースもありますよ。
新卒で派遣社員になって後悔するケースもありますが、個人の事情によっては新卒で無理に正社員就職を目指すよりも、派遣としてファーストキャリアを歩むほうが向いている場合もあります。
ここからは、新卒で派遣社員を選ぶのがおすすめな3つのケースについて紹介します。これらのケースに当てはまったからといって絶対に派遣社員になるべきというわけではありませんが、選択肢の一つとして前向きに検討してみると自分らしい働き方を見つけやすくなりますよ。
①フルタイムで働けない事情がある
フルタイムで働けない事情がある場合は、正社員就職だけでなく派遣社員として働くことも検討してみることをおすすめします。派遣社員は、正社員と比べると自分の都合を優先した働き方を実現しやすいため、無理のない範囲で仕事をすることができますよ。
- 持病があって心身の状態や体力に不安がある
- 介護など家庭の事情で家をあけられる時間があまりない
しかし、派遣であっても残業があったり人手不足で責任の大きな仕事を振られたりする可能性もあるため、自分の状況をしっかり理解して尊重してくれる派遣会社や勤務先を見つけることが大切です。

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近年は正社員でも時短勤務やフレックスタイム、テレワークなど働き方の自由を選べるようになってきているので、最初から正社員就職を諦める必要はないということも覚えておきましょう。
②仕事よりも優先的に時間を割きたいことが明確にある
「やりたいことがないからなんとなく派遣社員になろう」ではなく、やりたいことが明確にあり、それに時間を割くために派遣社員を選ぶのもキャリアの一つの選択肢としておすすめです。
- 大学院に入るために勉強時間を確保したい
- 趣味が生きがいでそのために1分1秒でも多く時間をかけたい
派遣社員は正社員よりも時間の使い方に融通が利きやすいため、やりたいことに時間を当てるという目的に合った働き方ですよ。この場合も、残業が比較的少ない仕事を選んだり派遣会社や勤務先に事情を説明して協力を得られる状況をつくったりと、時間を確保するうえでの工夫は必要になります。

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正社員よりも雇用の安定さや福利厚生の充実度は下がってしまいますが、それ以上に得られるものがあると思う場合は派遣社員の働き方が向いていますよ。
③新卒就職が難しい仕事にチャレンジして経験を積みたい
新卒募集の枠が少なく未経験での正社員就職が難しい仕事にチャレンジしたいという場合、一度正社員就職を狙って就活を進め、難しそうであれば派遣社員としてキャリアをスタートさせるのも一つの選択肢です。
- 経理職
- マーケティング職
高い専門性を持った派遣社員も多くいるため、この方法で希望の職種に就きたいなら専門スキルや資格などをしっかり身に付けたうえでチャレンジしましょう。
また、新卒で正社員で一度別の職種の経験を積んでから中途採用枠で希望の仕事に転職するという道もありますよ。たとえば事務職なら、営業経験を積んで営業事務になるなどです。

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派遣社員としてスタートする以外にも、やりたい仕事に就く方法は複数あると理解しておきましょう。
新卒での就職が難しいと言われるマーケティング職ですが、3つの対策をおこなえば内定に近付けるかもしれません。以下の記事で詳しく解説しているので確認しておきましょう。
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マーケティング職を新卒から目指すのはとても難しいです。仕事の特性上求められる能力は専門性の高いものとなり、加えて募集自体も多くはないためです。しかし、決して不可能ということではありませんよ。この記事ではキャリアアドバイザーの解説を交えて、目指すための方法から目指しやすい企業例、必要な対策を解説しているので、ぜひチェックしておきましょう。
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経理職も新卒では配属されにくいと言われていますが、業務内容を深く理解していれば不可能ではありません。こちらの記事を参考に、実際に経理として働くイメージを具体化しましょう。
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キャリアアドバイザーコメント根岸 佑莉子プロフィールをみる
新卒で派遣社員になるか、もしくは就活して正社員就職を目指すか、どちらを選択すべきか悩んでいる人もいますよね。周りの環境や仕事に対する価値観は人それぞれ異なるため、派遣社員や正社員など、働き方についても決まった正解があるわけではありません。
ただ、ここで知っておいてほしいのは、働き方は自分の目標ややりたいことをかなえるための手段であるということです。派遣社員と正社員、どちらの働き方にすべきか悩んでいるのであれば、まずは仕事に限らず、自分の目標ややりたいことを整理してみてください。
その目標ややりたいことから逆算し、実現する方法を考えれば、自ずとどちらの働き方をするべきかが見えてくるでしょう。目の前の働き方だけに固執するのではなく、理想とする未来に目を向けたうえでこれからのキャリアを選択することが大切ですよ。
「新卒カード」は一回きり! 派遣に絞るのではなく正社員就職も視野に入れよう

働く目的や個人の事情はさまざまなので、新卒で正社員就職をせず派遣社員になるのもキャリアの一つの選択肢ですよ。
しかし、正社員と派遣社員はキャリアや働き方、待遇などあらゆる面で違いが大きいのも事実です。これらを考慮せず勢いだけで決めてしまうと、派遣として働き始めてから後悔するケースもあります。
そのため、最初から派遣社員だけを目指さず、就活の段階で一度正社員就職も視野に入れてじっくり検討しましょう。
派遣社員以外にも、新卒からフリーランスを目指している人もいるかもしれません。以下では新卒でフリーランスになる場合のリスクや注意点を紹介しているので、目指す前に一度確認しておきましょう。
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新卒フリーランス希望なら実情理解が欠かせない! 必須スキルも解説
新卒でフリーランスとして働くには良い面だけでなく、留意すべき点もあります。この記事ではキャリアアドバイザーが新卒でフリーランスとして働くメリットやデメリットを紹介します。新卒でフリーランスとして働くのにおすすめの仕事も紹介しているので、フリーランスを検討している学生は参考にしてくださいね。
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新卒で「なんとなく派遣」はもったいない! 正社員就職をすすめる4つの理由


就活生
派遣社員か正社員かで悩んでいるのですが、どう考えたら良いですかね?

キャリアアドバイザー
正社員として就職すると何が良いのか、もう少し具体的に知ると考えやすくなると思いますよ。
「正社員は大変そうだから」といった理由でなんとなく派遣の働き方を選ぶのは、正直もったいない場合が多いです。派遣社員を目指す明確な理由がない場合は、正社員就職がおすすめです。
ここからは、新卒での正社員就職をおすすめする理由を4つ説明します。正社員就職に対して前向きに考えるきっかけになるかもしれないので、一つずつ確認しましょう。
①新卒は1人あたりの求人数が多く正社員になれるチャンスが多い
新卒での正社員就職をすすめる理由の1つ目は、新卒は1人あたりの求人数が多く正社員になれるチャンスが多いからです。
リクルートワークス研究所が2024年2月に企業の採用予定人数や学生の就職意欲などを調べた「大卒求人倍率調査」によると、2025年卒の大卒求人倍率は1.75倍でした。つまり、大卒者1人あたり1.75個の採用枠があると考えることができます。
一方、厚生労働省がハローワークの求人情報を調べた「一般職業紹介状況(令和6年2月分)」によると、新規学卒者を除いた2024年2月の有効求人倍率は1.26倍でした(パートタイムは含む)。
同じ調査ではないため一概に数値を比較することはできませんが、新卒採用枠で就活をすると2つ程度の内定がもらえる可能性があり、その分正社員になれるチャンスも多いと考えることができますよ。

キャリアアドバイザー
なんとなくで派遣を選ぶと正社員就職の大きなチャンスを捨てることになってしまうので、慎重な判断が必要です。
②正社員から派遣社員になるよりも派遣社員から正社員になるほうが難しい傾向がある
新卒で正社員就職をおすすめする理由の2つ目は、派遣社員から正社員になる難しさが関係しています。一般的に、正社員から派遣社員になるよりも、派遣社員から正社員になるほうが就職のハードルが高い傾向があります。
これは、派遣社員は正社員に比べて責任が大きい業務を担当できる機会が少ないため、ポテンシャルより実績や経験、スキルが重視される転職市場で不利になりやすいためです。
また、派遣社員から正社員を目指す際、企業側からこのような不安を持たれるケースも少なくありません。
- フルタイム勤務に対応してもらえるのか
- 異動や転勤、希望以外の業務などにも対応してもらえるのか
今後やりたい仕事が見つかったときのことやライフスタイルが変わる可能性などを考えると、正社員就職を経験しておくほうが自分の未来の選択肢を多く残しておけるといえます。

キャリアアドバイザー
転職が当たり前になりつつある今の社会だからこそ、自分のキャリアの可能性を広げる選択を心がけましょう。
③新卒正社員は充実した研修やサポートが受けられてマナーや知識を身に付けやすい
新卒で正社員就職をおすすめする理由の3つ目は、研修やサポートが充実しているからです。新卒の正社員はその会社で長期的に働くことを期待されていて、同時期に一斉に入社する社員も多いため、企業側も十分な費用や期間をかけて新人教育をおこないます。
特に、ビジネスマナーや電話応対など基本の部分から学べる点は、初めて社会人になる人にとっては非常にメリットが大きいといえます。
派遣社員の場合は一斉入社ではないため、研修があったとしても新卒正社員ほど手厚いサポートを受けられるケースはあまり多くありません。そのため基本的な部分から外部講習を受けるなどして自主的に学んでいく必要があり、時間も労力もかかってしまいます。

キャリアアドバイザー
新卒で正社員として就職できると、社会人としての基礎力をスムーズに身に付けることができますよ。
④正社員のほうが昇給・昇進の制度が整っていてキャリアアップを実現しやすい
新卒で正社員就職をおすすめする理由の4つ目は、正社員のほうが昇進や昇給の制度が整っていることが多いからです。
会社は正規雇用である社員のキャリアアップに力を入れているため責任が大きな仕事を任せてもらえることが多く、昇給や昇進を目指しやすい環境があります。そのため、正社員として働くと収入面でもキャリア面でも社会人生活が充実しやすくなりますよ。
派遣社員でも派遣会社と交渉することで時給アップや昇給を実現できることもありますが、正社員ほど厳密に仕組みが整っておらず交渉がうまくいかないこともあります。また、正社員のサポート業務が多いため、スキルや経験を積み上げることが難しくキャリアアップを実現しにくいという面もありますよ。
社会人の最初の数年間はこれから長いキャリアを歩む土台となるため、できる限り高いスキルや豊富な経験を得られる環境に身を置くことをおすすめします。

キャリアアドバイザー
ファーストキャリアで大きく成長できれば、その後の人生や仕事の可能性も大きくなりますよ。

キャリアアドバイザーコメント長尾 美慧プロフィールをみる
ある程度決められたスケジュールの中で選考をおこない、一度に大量の新卒者を企業が採用する新卒一括採用の仕組みは日本特有の採用形態であり、ほかの国に比べて学卒者が就職しやすい傾向にあります。
また、転職であれば即戦力としての知識やスキルを求められますが、新卒就活であれば入社後の成長や将来性を期待したポテンシャル採用となるため、転職に比べ、新卒就活のほうが入社できる企業の選択肢も必然的に多くなります。つまり、正社員就職するうえでもっともチャンスが多いのは新卒就活なのです。
もちろん新卒就活だからといって簡単に就職できるわけではなく、大変な部分もたくさんありますが、自分の人生やキャリアをより豊かなものにするためにも、まずは新卒就活という恵まれた環境を最大限に活用するのがおすすめですよ。
正社員に暗いイメージを持ってない? 誤解しやすい正社員のイメージと現実


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正社員就職の魅力はわかったのですが、どうしても大変そうなイメージが強くて……。

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そういう学生はとても多いです。正社員の実際の働き方を知るとイメージが変わると思いますよ。
新卒で正社員就職を目指すべき理由を説明すると、「そうはいっても正社員は大変なイメージがあるから嫌だ」という意見を述べる学生も一定数います。しかし、正社員として仕事に大きなやりがいや楽しみを感じてイキイキと働いている大人も大勢いますよ。
そこでここからは、社会人に対して学生がよく抱いている暗いイメージについて、「残業の多さ」「責任の重さ」「仕事内容」の3つの観点から実際はどうなのかを解説していきます。正社員に対するイメージが変わり、就活に前向きに取り組むモチベーションにつながりますよ。
イメージ①残業が多くてプライベートの時間が全然取れない
正社員は毎日夜遅くまで何時間も残業して、プライベートの時間が全然取れなさそうというイメージを持っている人も多いでしょう。
しかし、厚生労働省が企業の残業時間について調べた「毎月勤労統計調査」によると、2023年分のパートタイムで働いている人を除いた一般労働者の月の所定外労働時間(早出、残業、休日出勤などの合計時間)は、平均13.8時間でした。
仮に毎月の出勤日数が20日だとすると、残業は1日40分程度という計算になります。正社員になったからといって、毎日何時間も残業するわけではないとわかりますよね。また、最近はどの業界でも働き方改革に取り組んでいて、残業時間自体も減少傾向にありますよ。

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残業時間の多さは所属する企業によって大きく左右されるため、派遣社員・正社員にかかわらず勤務先選びは慎重にしましょう。
イメージ②責任が大きくて常にプレッシャーがある
「正社員は企業の今後を担う存在として責任の大きな仕事を任され、常にプレッシャーと戦わなければならないのでは……」と不安に感じている就活生も多いです。
たしかに企業は正社員に早く成長してもらい事業を支えてもらうために、重要な仕事を積極的に任せる傾向があります。そのため、経験のない大きな仕事を任されて強いプレッシャーを感じる社会人もいます。
しかし、働き続けるうちにそのような状況にも慣れていき、最初の頃のようにプレッシャーを強く感じることは少なくなりますよ。また、プレッシャーは必ずしも悪いものではなく、責任や緊張感があるからこそ頑張れて達成感も味わえる面もあります。

キャリアアドバイザー
強いプレッシャーを感じたときは、自分で思い詰めず上司に相談するという選択肢を取ることが重要ですよ。
イメージ③自分がやりたくない仕事をやらされる
「正社員になったらやりたくない仕事を任されるかもしれないから嫌だ」と考えて正社員になるのを迷う学生も一定数います。たしかに会社は業務に合わせて人員配置を調整しなければならないため、やりたい仕事だけを任せてもらえるとは限りません。
しかし、会社側もそれぞれの社員がやりたい業務に取り組めるよう面談を定期的に実施したり異動希望届の制度を設けたりしています。そういった機会に上司へ自分の希望を伝えておけば、会社の業務のなかでもなるべくやりたいことに近い仕事を任せてもらえることもありますよ。
また、最初はそこまで興味が持てない仕事であっても、やっていくうちに楽しさがわかることもあります。学生の頃まではまったく知らなかった分野だとしても、気付けば何年も夢中になっている、という社会人も実際よくいます。

キャリアアドバイザー
派遣社員であっても正社員であっても、自分がやりたいことをやるために積極的に行動をおこす姿勢が一番大切ですよ。

キャリアアドバイザーコメント塩田 健斗プロフィールをみる
新卒採用を受ける学生はこれまで正社員として働いた経験がないため、ネガティブなイメージを持ってしまうのは仕方ありません。そんな場合は、家族や友人、先輩など実際に正社員として働いている人に話を聞いてみてください。実際に働く人の声を聞くことで、正社員のリアルな状況を知ることができます。
なお、正社員として働く人に話を聞く際は、一人ではなく複数の人に話を聞くのがおすすめです。業界や職種、経験年数などによって聞ける話の内容も大きく異なるため、さまざまな立場の人の話を聞くことで、より幅広い視点で状況を理解できますよ。
また、インターンシップに参加して自分の目で正社員として働く人の姿を確かめるのも有効な手段の一つです。正社員の人たちと同じ職場で一緒に仕事をすることで、雰囲気なども含めて、よりリアルな正社員の状況を知ることができるでしょう。
新卒では派遣だけでなく正社員も視野に入れてキャリアの可能性を広げよう
この記事では、新卒で派遣社員になるメリットやデメリット、派遣社員を選んで後悔する可能性が高いケースなどを説明しました。派遣社員として働きたい明確な理由や個人的な事情がなければ、新卒カードを最大限活かせる正社員就職がおすすめです。
最初から派遣社員だけに絞って考えるのではなく、正社員就職も視野に入れて、自分のキャリアや人生の可能性が一番広がると思う選択をしてくださいね。
派遣社員の働き方が気になっているのですが、実際どんな感じなのでしょうか?