目次
- 建設業界を志望するなら課題や展望を把握することが大切
- そもそも建設業界とは
- 建設業界のビジネスモデル
- 建設業界の主な6つの職種と求められる人物像
- 設計職
- 施工管理
- 技術職
- 技術開発職
- 営業職
- 事務職
- 本当に厳しい状況なのか? 建設業界の課題
- ①従業員の高齢化により若手人材が不足している
- ②手持ち工事が増加傾向にある
- ③長時間労働の常態化
- 業界理解に必須! 建設業界の今後の動向
- ①日本企業でもDX化の取り組みが進む
- ②建設バブルがさらに加速する
- ③既存建造物の維持管理の需要が増加する
- ④労働環境の改善施策が進む
- 建設業界に就職する3つのメリット
- 建設物として仕事の成果がずっと残る
- 業界としての需要が高い
- スキル・資格次第で年収がアップする
- 3ステップで完成!建設業界の志望動機の書き方
- ①建設業界を選んだ理由を書く
- ②応募先企業を選んだ理由を書く
- ③入社後どのように貢献できるのかを書く
- 【職種別】建設業界の志望動機の例文6選
- 例文①設計職
- 例文②施工管理
- 例文③技術職
- 例文④技術開発職
- 例文⑤営業職
- 例文⑥事務職
- 業界の課題や動向まで把握して建設業界の内定を掴もう
建設業界を志望するなら課題や展望を把握することが大切
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。建設業界に興味を持つ学生から
「建設業界とはどんな業界なのでしょうか?」
「建設業界は今後も伸びていきますか?」
といった声が寄せられます。オリンピック景気は終わりましたが、建設業界では今後も大きなプロジェクトがあるので需要は衰えません。建設業界を志望するなら課題や展望を把握することが大切です。応募のために知識を身につけた背景から「志望度が高い」と判断されやすく、選考で有利になるかもしれません。
この記事では建設業界の概要やビジネスモデル、職種、課題・展望について紹介しつつ、効果的な志望動機の書き方も例文付きで解説します。
建設業界を志望する学生は参考にしてみてくださいね。
そもそも建設業界とは
建設業界とは、建物を作ったり、土地や水路の工事をおこなう土木工事まで包括的に施工する業界のことです。
つまり、建設業界で建設と土木の両方をおこないます。
- 建設の業務:ビルや施設の施工など
- 土木の業務:ダム建設や道路の施工など
キャリアアドバイザー
建設業界のビジネスモデル
- ゼネコン:大林組・鹿島建設・大成建設・清水建設・竹中工務店
- マリコン:五洋建設・東亜建設工業・東洋建設
- サブコン:サーラコーポレーション・大気社・ユアテック・高砂熱学工業・三機工業
建設業界は受注型のビジネスモデルです。発注者が何かの目的で建物を建てたいと考えたり、道路を作りたいと考えた場合、その案件を受注することをビジネスとしています。
- 不動産会社がゼネコンに土地開発・建設の依頼をする
- 依頼を承諾する→受注が成立する
- ゼネコンがサブコンに工事を依頼する
- サブコンが各専門分野に特化した業者へ工事を依頼する
発注者がゼネコンに依頼する方法だけではなく、入札やコンペによって競い合い、選ばれたゼネコンが仕事を請け負う場合もありますね。
キャリアアドバイザー
上記からわかるように実際の工事をおこなうのはサブコンと工事業者です。ゼネコンは工事に参加しません。勘違いしないように覚えておきましょう。
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建設業界の主な6つの職種と求められる人物像
建設業界の職種は設計職や施工管理職のイメージが強いですが、他にもさまざまな職種があります。職種で求められる人物像を把握して、自分の強みと合致する点をアピールできれば、内定獲得に近づけるでしょう。そこで、建設業界の主な6つの職種と求められる人物像を解説します。
設計職
建設業界の設計職といえば、設計士をイメージする学生も多いのではないでしょうか。ただ、設計職は「設計士」と「建築士」という2つの職種をさします。
建築士はどのような建設物を作るのかを構想する計画段階から完成までに携わります。図面を使い設計するのはもちろん、工程管理もおこなう設計の司令塔的な立場です。建築士は人の命を預かるので、一級建築士・二級建築士・木造建築士のいずれかの資格が必要になります。それぞれ受験資格として実務経験を満たす必要があるので、入社後に勉強して、建築士を目指しましょう。
一方、設計士は建築士の資格を持たない人で、設計やその補助をおこないます。新卒が設計部門に配属された際に就く職種ですね。設計士は上司や顧客の要望を汲み取るコミュニケーション能力、建築士は部下を指示を出すマネジメント能力や納期までに仕事を完遂させるスケジュール管理能力が必要になります。
また、設計といっても一括りにはできず、下記の設計があり、それぞれ目的も異なるのです。自分が携わりたい設計の種類に強みがある企業を選ぶのをおすすめします。
- 意匠設計:デザインにかかわる設計
- 設備設計:電気や水道の使用しやすさにかかわる設計
- 構造設計:安全にかかわる設計
施工管理
施工管理は建設物や整備を建設するために工事現場の施工や予算、安全面の配慮、役所への手続きなど工事全体の管理をおこなう仕事です。
現場で職人に指示を出したり、顧客・設計者と打ち合わせや折衝をおこなったりします。
- 工事のスケジュール管理
- 完成品の質の管理
- 作業員の安全の管理
- 工事にかかる予算の管理
基本的に施工管理に資格は必要ありません。ただ、受験資格を得るのに実務経験が必要な「施工管理技士」という資格を取得した方が今後のキャリアで有利になります。そのため、入社後の資格取得を考えておくといいですね。
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プロジェクトを引っ張っていくリーダシップやスケジュール通りに進まない場合など、不具合に対処できる臨機応変な対応力を持った人材が施工管理では求められていますね。
技術職
技術職は工事を実際に担当する職人のことです。肉体労働なので、体力が求められる仕事ですが、繊細な技術や指示の内容を汲んで動く柔軟性も必要になります。
- 土工:地盤や道路をトンネルを造る
- 大工:建物を建てる
- とび:高所の工事をする
- 鉄筋工:鉄筋コンクリート内の鉄筋を組む
- 内装工:建物の内装を工事する
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力仕事のため体力がある人や、厳しい職人もいることから打たれ強い人材を求められていますね。自ら技術を学ぶ探究心が強い人は戦力になるスピードが早いかもしれません。
技術開発職
技術管理職は生産性を向上させる新しい技術を開発する仕事です。人手不足の傾向がある建設業界では、工事現場へのロボットやAIなどの導入が必要不可欠になります。その一端を担う職種が技術職です。
- AIを活用した現場計測
- ロボットが鉄骨を組む作業のシステム構築
ロボットやAIを活用することで、今後は力仕事より機械を操作する仕事が増えるとも言われているため、将来性が見込める職種です。
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技術開発職はシステム構築を開発するため、理系大学出身者を多く募集しています。特にロボット開発・ITシステム構築のスキルがあると、就活で有利に働くかもしれません。
営業職
営業職は顧客のニーズに応え、自社の技術を提案して工事を受注する仕事です。案件を受注するためには、信頼を得るために顧客の情報をリサーチをしたり、社外の人脈を形成したりする必要があります。
営業職は基本給+受注件数に応じて歩合給が加算されることが多いので、業績次第では高い年収を得ること可能です。
- ゼネコン
- ハウスメーカー
- 工務店のリフォーム
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企業側は人と話すのが好きだったり、成果を追うのが苦にならない人材を求めていますね。応募先企業の建設物が好きな人は、営業で魅力をより伝えやすいかもしれません。
事務職
事務職には、物品管理・保守などをおこなう総務・予算管理などをおこなう会計・事務処理を代行し、現場で働く職種が業務に集中できる環境を整える営業事務や現場事務など幅広い仕事があります。
経理に関しては専門的な資格が必要です。そのため、建設経理士の資格を取得しておくのをおすすめします。また事務職は正確な仕事を求められるので慎重でミスが少ない人や、周りの人と円滑にコミュニケーションが取れる人に向いている職種といえます。
事務職についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。
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本当に厳しい状況なのか? 建設業界の課題
建設業界は労働環境が厳しいと聞いたこともある学生も多いのではないでしょうか。その背景としては人材不足が考えられます。しかし、課題は密接に関係しており、他にも原因があります。そこで建設業界の課題を解説します。
①従業員の高齢化により若手人材が不足している
建設業界就業者は高齢化の一途を辿っており、若手人材が不足しています。事実、国土交通省の「建設業を巡る現状と課題」によると、55歳以上が約35.9%に対して、29歳以下が約11.7%でした。
10年後には高齢労働者の大半が引退する可能性を考えると、若手人材の確保・育成は必須ですね。
②手持ち工事が増加傾向にある
- 手持ち工事:契約済みの建設工事における未着手の工事のこと
現在の建設業界は、施工管理などの管理をおこなう側の人材と工事をおこなう側の人材の両方が不足しています。建設業界では人手不足になると、案件を受注しても工事に取り掛かれません。
事実、国土交通省の「建設業を巡る現状と課題」によると、1997年には455万人であった現場で働く技能者数は、2022年時点で302万人ほどまで減少しており、少子高齢化の影響を受け今後も不足すると予想されます。
アーキブックの「ゼネコンの手持ち工事月数ランキング|ゼネコンランキング【2024年版】」では、未着手の工事を終えるまでに必要な時間をあらわす指標である手持ち工事月数は以下の通りです。
- 大成建設:23.9ヵ月
- 大林組:18.2ヵ月
- 鹿島建設:17.6ヵ月
- 清水建設:18.4ヵ月
- 竹中工務店:13.3ヵ月
施工依頼は多くても、工事をする人が少ないのが建設業界の現状ですね。
キャリアアドバイザー
長時間の労働により、納期を守っている企業もあるので、年間求人や月の平均残業時間を必ずチェックしてから、求人に応募しましょう。
③長時間労働の常態化
国土交通省の「建設業を巡る現状と課題」によると、建設業界の年間の実労働時間と出勤日数を、全ての業界と比較した結果が以下の通りです。
- 年間出勤日数:全産業(約234日)・建設業界(約246日)
- 年間実労働時間:全産業(約1950時間)・建設業界(約2040時間)
加えて、同じく国土交通省の「建設業を巡る現状と課題」によれば、平均的な休日の取得状況において、4週8休以上の休みを取得できている割合は8.6%と、他産業で当たり前となっている週休2日を建設業では1割も取れていない深刻な状況となっています。後期の遵守する必要性+建設業界全体で根付いてしまった長時間労働の体質が抜けていないのが原因かもしれませんね。
キャリアアドバイザーコメント乾 花穂子プロフィールをみる
若手の不足は、今までは建設業界で活躍していなかった人々が活躍できるような「新しい働き方」を提案することができるチャンスでもあります。
実際の統計データとして現れているように、若手の人材不足は建設業界では特に問題となっています。しかし少子高齢化のため、急に若い働き手が急激に増えることはまずありません。そのため将来的には、女性やシニア層、外国人も巻き込んでいくことが考えられます。今までと同じ環境で彼ら・彼女らに仕事を任せることは体力的なハードルが高いですよね。そのため、さまざまな人が活躍できる仕事へと整備を進めることになります。
もちろん業界全体がすぐに変わることは考えにくいですが、新しい建設業界の働き方を作っていく1人になることは間違いありません。新しい働き方を推進できると、長時間労働も解消できるはずです。現状は課題が多いものの他の業界よりも伸び代を抱えていると考えれば、やりがいのある業界とも考えられますね。
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業界理解に必須! 建設業界の今後の動向
業界のトレンドを理解して志望動機に絡めることで、採用担当に応募のために知識を身につけた背景から「志望度が高い」と判断されやすく、選考で有利になります。また、キャリアビジョンが明確になり、仕事のモチベーションアップにつながりやすいです。建設業界の今後の動向を解説します。面接で業界について問われた際の返答の材料になるので、ぜひ読んでみてくださいね。
①日本企業でもDX化の取り組みが進む
- DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革すること
建設業界の今後の動向は、日本企業でもDX化の取り組みが進みます。DX化の取り組みが進むと、アナログな業務がほとんどの建設業界で業務効率が改善される可能性が高いです。
- 事務作業のデジタル化:テレワーク環境の整備するなど
- 業務でのIT技術の活用:図面管理や施工管理をタブレットでおこなう など
特にコロナ禍では対面でのコミュニケーションを避ける必要があります。そのため、建設業界では設計・施工管理などオフィスワーク中心の従業員のテレワーク勤務を進めています。
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建設現場で測量の際にドローンのカメラで現場を撮影するなど、AIやドローンが活躍する時代も近いですね。
②建設バブルがさらに加速する
「オリンピック景気も終わり、今後は建設業界の需要は減っていくのでは?」と思った学生も多いのではないでしょうか。
ただ、建設業界はオリンピック後も確実に需要が増していくと予想されています。建設需要が衰えないのは、以下のような大規模な建設プロジェクトの進行が今後も予定されているからです。
- 2022年:東京メトロによる銀座線全駅リニューアル計画
- 2025年:大阪万博に向けたインフラ整備
- 2027年:品川・名古屋駅間のリニア中央新幹線開通プロジェクト
国民の新型コロナウイルスのワクチンの接種が完了すれば、観光業の復興が見込めます。それに伴い、観光施設のリニューアルや新設も増えるかもしれません。また、高齢社会の日本では今後も福祉施設の増設やリニューアルなどもあります。そのため、建設業界の需要は衰えない可能性が高いのです。
③既存建造物の維持管理の需要が増加する
建設業界では、高度経済成長期以降に整備された建造物の維持管理の工事のタイミングが近づいているため、今後既存建造物の維持管理の需要が増加するといわれています。
事実、国土交通省の発表によると、2013年度の維持管理・更新費が約3.6兆円に対して、10年後の2023年は約4.3〜5.1兆円、20年後の2033年は4.6〜5.5兆円でした。そのため、既存建造物の維持管理の需要は増加していくでしょう。
④労働環境の改善施策が進む
建設業界では、今後労働環境の改善施策が進んでいきます。労働者の働く環境作りに力を入れることで、人材確保・定着を目指しているためです。
- 適切な賃金水準の確保
- 安定的な仕事量の確保
- 週休2日モデルの工事の拡大
- 女性活躍の推進
- 社会保険未加入への対策
事実、国土交通省は2024年3月に公共工事の労務単価を5.9パーセント引き上げたうえ、4月からは「残業の罰則付き上限規制」を適用しました。今後も改善への取り組み意識は高まり続けていくでしょう。
建設業界に就職する3つのメリット
就活生
建設業界は将来性とともに課題も多いのが現状なのですね。
キャリアアドバイザー
建設業の実態を知ったところで、就職するメリットも解説していきます。魅力的なメリットを把握しておくと、建設業界の企業へ入社する前に不安になりにくいですよ。
就活生
そうなんですね。課題を超えるメリットがあるなら安心できます!
建設業界には労働環境という大きな課題があります。しかし、それ以上に仕事のやりがいがあったり、自分の能力次第で給料を伸ばせたりするなど魅力も満載です。ここでは建設業界に就職するメリットを3つ紹介します。
建設物として仕事の成果がずっと残る
建設業界に就職すると地図に残る大規模なものづくりができます。
たとえば、広告業界でCMを作成するCMプランナーとして働いていたとします。CMが放送されるたびで仕事の成果を見ることはできますが、放映期間は決まっているため、自分の仕事を半永久的に見続けるのは不可能です。
一方、建設物なら半永久的に仕事の成果が残るため、他の業界より仕事のやりがいを感じやすいです。そのため、成果が残る仕事にやりがいを見出せる学生にはメリットでしょう。
業界としての需要が高い
建設業界に就職するメリットは、業界としての需要が高いことです。事実、国土交通省の「令和3年度(2021年度)建設投資見通し 概要」によると、2021年度の建設投資予算は前年比2.9%増加の62兆6,500億円になる見通しです。
投資内訳では政府投資額が増加しており、政府から支えられている需要の高い業界と言えます。さらに前述した通り、今後も大規模なプロジェクトが多いです。
キャリアアドバイザー
建物の建設は今後も確実になくならない仕事なのも大きなメリットかもしれませんね。
スキル・資格次第で年収がアップする
たとえば、営業職は歩合制により業績によって給料が変動したり、施工管理や設計職は資格手当がついたりします。
- 設計職:一級建築士
- 施工管理:施工管理技士
就職後に資格を取得できれば、年収・キャリアアップを狙えるのもメリットですね。
キャリアアドバイザーコメント吉田 実遊プロフィールをみる
1つの建物を建設するために数多くの人と協働する経験は、他の業界であってもプロジェクト運営に活かすことができます。今紹介したようなDX推進など、プロジェクト単位の仕事がどの企業でも増えているため、どの会社でも発揮できる強みなのです。
建設業界では納期がとても重要で、完成が遅れてしまうと損失にもつながってしまいます。たとえばオフィスビルの建設であれば、入居が遅れてしまうとクライアントの業績に直接影響がでてしまいかねません。またクライアントだけでなく、紹介した「手持ち工事」を抱えることになり自社の損失にもつながってしまうのです。
このような、1つの建物を建設するという「長期のプロジェクト」とも捉えられる建設を遅滞なく遂行する経験は、今後他業界に転職をし建設からは離れたとしても、プロジェクト運営に必ず活かすことができます。もちろんマネジメントとしての経験がなかったとしても、1人のメンバーとして協働する経験は重宝されます。業界内外で必要とされるスキル・経験が身に付けられるのは建設業界に就職するメリットと考えられますね。
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3ステップで完成!建設業界の志望動機の書き方
建設業界や企業独自の内容を志望動機に盛り込みましょう。どの業界の企業でも言える内容では採用担当者の評価は上がりません。独自性を出すには、解説する3つの手順の通りに志望動機を書き上げてみましょう。ぜひ、試してみてくださいね。
①建設業界を選んだ理由を書く
「給料がいいから」「大手企業だから」などの理由で建設業界を選んでいる学生もいるのではないでしょうか。しかし、建設業界を選んだ明確な理由がないと選考は突破できません。他の業界でも通用する理由では志望度の高さを感じられないためです。
たとえば、「建設に携わる仕事がしたい」と「高度経済成長期から日本を支え続けた建造物の建て替えを担当して、歴史を更新する立場になりたい」という学生がいたとします。
この場合、後者の方が志望度の高さを感じて採用したいと考えられるでしょう。そのため、明確な建設業界を選んだ理由を書く必要があります。
建設業界の課題や展望に絡めた内容だと尚よし
建設業界は厳しい課題があるからこそ、きちんと将来を考えたうえで志望してくれる学生を求めています。そこで志望動機は建設業界の課題や展望に絡めた内容にすると、高評価を得られる可能性が高いといえます。
たとえば、「DX化を推進しており、建設業界全体の働き方の是正に取り組んでいる姿勢に感銘を受けた」など、建設業界の展望に触れられると良いでしょう。
展望に絡めて話すと、建設業界を志望する理由が明確になり、「今後の働き方をどう変えていくべきだと考えるか」と深掘りした回答を話せるチャンスを得られたりします。
面接でアピールする機会も増やせるため、企業研究で課題と展望を把握しておき、志望動機に絡めてみてくださいね。
②応募先企業を選んだ理由を書く
応募先企業を選んだ理由を他の企業と差別化してアピールしましょう。なぜなら、独自性のない内容では「他社でも良いのでは?」と判断されてしまうためです。
「自社は滑り止めなのかな?」と疑問に思われてしまいます。建設業界は人材不足が加速していることもあり、新卒の採用人数が減ることは企業にとって大きな損失です。
また、採用担当者は他の業務の合間を縫って面接している企業も多く、再度面接をおこなうのが難しいかもしれません。そのため、自社が第一志望の学生を優先する傾向があります。
- 応募先企業と競合他社の事業を比較する
- 応募先企業にしかない事業=企業独自の強みを探す
たとえば、「他の企業より断然早くから図面管理や施工管理のIT化を進めており、建設業界の最先端の技術を開発できる環境があると思った」など企業独自の強みを伝えてみるのをおすすめします。
採用担当者が応募先企業で選んだ理由が納得できるよう、企業独自の強みに触れた志望動機に仕上げましょう。
職種や企業が求める人物像にマッチした内容にする
企業の求める人物像=活躍できる人材の特徴に近いため、企業に合った人物像とマッチした内容にすることを心掛けてください。企業風土や業務内容にマッチしない人材は本来の能力を発揮できず、業績に貢献できないかもしれません。
特に建設業界では業種によって求める人物像は大きく異なるでしょう。実際、案件の受注などに着手するゼネコンと、実際に現場で作業をおこなうサブコン・工事業者では必要になる人材は大きく変わりますよね。
そこで時間があるなら、アルバイトやインターンで建設業界で働いてみましょう。休憩中に現職の社員が感じる必要な人材を聞いてみたり、業務をこなしたりする中で企業から重宝されている人の特徴が掴めるかもしれません。
③入社後どのように貢献できるのかを書く
特にサブコンや工事業者では入社後は早めに現場で働く場合が多いです。現場では命にかかわる危険性もあるため、入社後にきちんと働ける姿をイメージが湧くかどうかが重要になるでしょう。
そこで最後に自分が応募先企業でどのように貢献できるのかを伝えましょう。
ゼミ活動で周りをまとめ上げて発表を成功させたリーダシップを活かして、社員に的確な指示を出せる施工管理として活躍したいです。
たとえば、このような締めの言葉は将来の働く姿を想像させやすい内容になっていますね。どのように企業に貢献できるのかを具体的にアピールしてみてください。
キャリアアドバイザーコメント酒井 栞里プロフィールをみる
基本的には今紹介した3ステップを意識すれば誰でも建設業界の志望動機が書けますが、各ステップのつながりを意識するとより良くなります。
具体例として紹介したDX化についても、「なぜ建設業界の業務効率化に貢献をしたいのか」が面接で答えられなければ、志望度の高さをアピールできなくなってしまいます。小さなきっかけでも良いので、貢献したいと思うきっかけを伝えましょう。
企業の志望理由は業界を選んだ理由の延長でなければ、「他社の方が志望度が高いのでは」と疑われてしまいます。たとえば建設業界の志望理由がDX化なのであれば、企業のシステム関連について述べると一貫性が生まれますね。
入社後の貢献は志望動機とは別の「自己PR」で書いた強みと一致していなければなりません。一致していないと、採用担当者は貢献できるかどうか判断できなくなってしまいます。採用担当者が会社への貢献がイメージできるようにまとめることも重要です。
このように各ステップを別々に考えるのではなく、関連性を意識して志望動機をまとめましょう。
【職種別】建設業界の志望動機の例文6選
職種別の建設業界の志望動機を伝える際の例文を6つ用意しました。前述した手順を網羅しているので、ぜひ参考にしてみてください。
建設コンサルの志望動機についてはこちらの記事で解説しています。
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建設コンサルだからこその熱意が伝わる志望動機の作り方|例文5選
建設コンサルの志望動機を作成する際には、建設コンサルの魅力を理解して熱意を伝えるようにしましょう。今回は建設コンサルの仕事内容ややりがい、志望動機の作成方法を紹介します。キャリアアドバイザー監修のもと、建設コンサルでアピールできるスキルや志望動機に盛り込みたい要素も解説しますよ。
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例文①設計職
私は記憶に残る建造物の設計をしたいと思い、御社を志望しました。御社では六本木ヒルズなど印象に残る建造物を手がけています。実用性とデザイン性のバランスがとても良いと思いました。
私は大学時代から意匠設計を学び、2級建築士を取得後、同期と設計コンペに参加しました。まずは話し合いの中でチームメンバーそれぞれがやりたいことを把握して、必要な部分と無駄な部分を分け、テーマが伝わる作品に仕上げました。結果的には社会人が参加する中で佳作をいただきました。顧客のニーズを汲み取り、取捨選択する能力を活かして、御社の業績に貢献したいと思います。
キャリアアドバイザー
まずは建築士としてのスキルと資格があることを伝えています。折衝能力は必須なので、アピールできれば戦力になると思ってもらえるかもしれませんね。
例文②施工管理
私は博物館の建設にかかわりたいと思い、御社を志望しました。博物館では空調や消防など施設内の設備が整っており、来場者が快適かつ安全に展示品を閲覧できるようになっています。そして、御社の徹底したアフターケアによる安全性の高い仕事に関心を抱くようになりました。
私はゼミの学年発表でグループのリーダーシップを取り、仕事を振るなど班員をまとめました。結果的に学年で優秀発表に選ばれました。入社後は施工管理職として、的確な指示を出せるようになり、御社の業績に貢献したいと考えております。
キャリアアドバイザー
業界や企業を志望している理由が明確にわかり、志望度の高さが伝わる内容です。リーダーシップという強みと施工管理職に求める人物像がマッチしているので、入社後の活躍している姿がイメージしやすい例文ですね。
施工管理の志望動機の作成方法について詳しく知りたい学生はこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
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施工管理の志望動機で高評価を得る秘訣|企業研究や構成のコツを解説
施工管理の志望動機を書くために、業界の仕事内容を押さえるのは不可欠です。今回は施工管理を目指す就活生に向けて、キャリアアドバイザーが施工管理の志望動機を徹底解説! 構成方法や企業が求めるスキルも紹介するので、志望動機作成の参考にしてみてくださいね。
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例文③技術職
私は東京の大規模な建設に職人としてかかわりたいと思い、御社を志望しました。私の祖父は東京タワーの建設にとび職で、仕事の成果が目に見えることに誇りを感じたと話していて、私もそんな祖父に憧れていました。御社は大規模な建造物の建設に関わる老舗企業であり、私も歴史に残る仕事をしたいと思っています。
私は学生時代、サッカー部に所属しており、国体選手に選ばれました。特にスタミナには自信があり、チームへの貢献度には自信があります。体力を活かして献身的に仕事へ取り組み、とび職として御社の業績に貢献したいと考えています。
キャリアアドバイザー
サッカーの実績のアピールにより、とび職に必要な体力と精神力の強さを持ち合わせていることが伝わる内容でした。長期的に定着してくれそうな期待感が持てますね。
技術職を目指す学生はこちらの記事もぜひ読んでみてください。
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技術職の志望動機で刺さる内容を書くためには職種理解が必須です。今回は技術職の志望動機で必須な3つの要素と、職種別の志望動機の例文5選をキャリアアドバイザーが解説します。他の応募者と差別化するコツも紹介しているので、参考にしてみてください。
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例文④技術開発職
私は、DX化を推進しており、建設業界全体の働き方の是正に取り組んでいる姿勢に感銘を受け御社を志望しました。建設業界はアナログな働き方をしている企業が多いですが、御社は早くに図面管理や施工管理のIT化を進めていました。もちろん、アナログな働き方が悪いというわけではありませんが、規模の大きな案件では特に、少しの効率化でより多くのお客様のお悩みを解決できると私は考えております。建設は人の生活に必要不可欠なものです。私は震災を経験し、将来は建設という暮らしの観点から人の役に立ちたいと強く思っています。
私は学生時代にロボット開発を学び、学生ロボコンで3位入賞を果たした経験があります。この技術力を御社で活かし、業務の効率化、そして1人でも多くの課題を解決する即戦力となりたいと考えております。
キャリアアドバイザー
技術開発職にはスキルが必要不可欠です。特にロボット開発の技術は企業から重宝される傾向がありますね。
例文⑤営業職
私は建造物の写真を撮ることが趣味であり、その中で御社の建造物が多く撮影してきました。御社は意匠性の建造物に強くその魅力に惹かれるうちに、今度は趣味ではなく、仕事として真剣に建造物に携わりたいと思いました。
私は学生時代、アパレル店のアルバイト経験しました。毎月のノルマを達成するために、お客さんに声をかけるタイミングやセールストークを学びました。結果的には数ヶ月で店舗No.1の成績を出すことができました。成果を出すために学ぶ姿勢を活かして、御社の業績に貢献したいと考えています。
キャリアアドバイザー
営業職は実績至上主義なので、成果を出すためのコツや努力を惜しまない姿勢は評価できますね。本当に好きな商材に関わる営業職は強いので、建造物が好きなこともプラスなポイントです。
例文⑥事務職
私はものづくりの第一線で活躍する人たちのサポートをしたいと思い、御社を志望しました。御社は国立競技場の建て替えを担当するなど文字通り、一流のゼネコンです。今後は高度経済成長以降に作られた建物の維持管理の需要が増します。多忙を極める従業員が最高の仕事ができるようにサポートをしたいと考えています。
私はピアノを10年以上続けていました。ピアノの演奏は細部までこだわる必要があり、ミスができない緊張感には慣れています。建設業界の事務職として働くために、建設経理士の資格を取得しました。ミスが許されない状況下を乗り越えてきた経験を活かして、御社の業績に貢献したいと考えています。
キャリアアドバイザー
ピアノでミスが許されない状況を経験していることが事務職で活かせるという説得力がある例文ですね。建設業界の動向を把握していたり、資格も取得していたりしていることから志望度の高さがうかがえます。
業界の課題や動向まで把握して建設業界の内定を掴もう
建設業界を志望している学生は、自分をどうアピールするかに注力するだけでなく、業界の課題や動向をしっかりと把握してみてください。業界の深い理解が志望理由が明確にしたり、面接での質問に回答しやすくなる一番の近道です。またそれは採用担当者に志望度が高いと判断されやすく、内定に近づけるかもしれませんよ。
建設業界を志望するなら課題や展望を把握するのが鍵!志望動機や選考対策を徹底解説!【就活】
面接で質問されても困らないように、類似業界との違いをきちんと把握しておきましょう。