実は簡単なIRの見方を紹介|就活が有利になる4つの確認ポイント

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目次

  1. IR情報には就活に必要な情報が詰まっている!
  2. IR情報とは
  3. 「投資家向け」に開示される情報
  4. IR情報の検索方法
  5. IR情報を開示していない企業もある
  6. 就活においてIR情報が重要である4つの理由
  7. より詳細な企業分析をおこなえる
  8. 根拠のある志望動機が作れる
  9. 企業がもとめる人物像を知ることができる
  10. 一次情報を得ることができる
  11. IRで開示されている8つの情報を解説
  12. ①IRニュース・IRカレンダー
  13. ②財務ハイライト
  14. ③決算短信
  15. ④決算説明資料
  16. ⑤有価証券報告書
  17. ⑥中長期経営企画
  18. ⑦統合報告書
  19. ⑧トップメッセージ
  20. 一覧つき! IR情報を読む際に知っておくべき用語を解説
  21. 学生必見! 就活が有利になるIR情報の4つのチェックポイント
  22. ①企業の過去・現在がわかる「決算説明資料」
  23. ➁企業の未来が見える「中期経営計画」
  24. ③企業の個性がわかる「統合報告書」
  25. ④企業の方針がわかる「トップメッセージ」
  26. 上級者向け! より企業理解が進むIR情報の数字の見方とは
  27. 企業の安定性 :貸借対照表の見方
  28. 企業の売上・利益: 損益計算書の見方
  29. 企業の強み・弱み:事業別セグメントの見方
  30. IR情報の見方を知れば就活を有利に進められる!

IR情報には就活に必要な情報が詰まっている!

こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。就職活動をおこなう学生から、

「IR情報は就活において重要って本当ですか?」
「IR情報の見方を教えてほしいです」

といった相談を受けます。

就活を進める中で企業の情報を集めることはとても重要になります。そこで、より深く企業理解をおこなうために用いてほしいのが、企業が投資家向けに開示している情報「IR」(アイアール)になります。

IRと聞くと「理解するのが難しそう」「数字ばかり記載されているのではないか」など、苦手意識をもっている学生もいるでしょう。しかし、実はIR情報は企業に関する数字ばかりが並んでいるだけではありません。

それどころか、企業研究はもちろん、志望動機や自己PRの作成に用いることができる、学生にとって有益な情報が多く開示されています。就活を有利に進めたい学生は積極的にIR情報を確認することをおすすめします。

こちらの記事では、IR情報の概要説明に加え、就活が有利に進む見方についてまで詳しく紹介しているので、興味のある学生はぜひ参考にしてみてください。

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IR情報とは

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就活生

そもそも「IR情報」が就活に役立つとは、どういうことですか?

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キャリアアドバイザー

まずはIR情報がどのような目的で開示されているのか、IRの概要を理解するところから始めましょう。

まずはIR情報がどのような情報であるのかを解説します。IR情報がどのような目的をもって開示されているのかを知ることで、IR情報の重要性を理解することができます。

「投資家向け」に開示される情報

IR(アイアール)とは
  • インベスター・リレーションズの略語。企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績、今後の経営戦略などを広報するための活動全般。

IR情報とは、企業が株主や投資家向けの広報活動(IR)の中で開示される情報を指します。また、企業がIRをおこなう目的は大きく分けて3つあります。

企業がIRをおこなう目的
  • 自社への投資を促すため
  • 株主や投資家と良好な関係を築くため
  • 社会的価値向上のため

つまりIR情報は、読んだ人が企業についてより深く理解することを目的としているため、誰にでも分かりやすく、企業の過去・現在・未来の情報が開示されています。企業は自社の社会的価値・信頼の向上のためにも、IR情報は具体的かつ分かりやすい情報の提供がもとめられるでしょう。

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キャリアアドバイザー

学生にとっても企業の情報がすべて記載されているIR情報を見ることで、安心して企業を選ぶことができるといえるでしょう。

IR情報の検索方法

IR情報は企業のコーポレートサイト(ホームページ)から見ることができます。

企業によってIR情報の掲載方法は多少異なりますが、基本的には「投資家の皆様へ」「株主・投資家情報」「IRについて」などとホームページに記載されていることが多いでしょう

IR情報を開くと、さまざまなカテゴリーの情報が羅列されています。すべての情報を見る必要はありませんが、就活において有益な情報を得るためにも、重要なポイントを選んで見ることができるようになると良いでしょう。

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キャリアアドバイザー

IR情報は決算短信や有価証券報告書などさまざまな資料が掲載されています。

IR情報に苦手意識を持たないためにも、具体的なIR情報の掲載内容を理解し、効果的な見方について理解することが大切になります。

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IR情報を開示していない企業もある

概念図
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就活生

すべての企業がIR情報を開示しているのですか?

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キャリアアドバイザー

実はIR情報の開示は義務ではないため、企業によってはコーポレートサイトにIR情報が掲載されていない場合もあります。

なぜIR情報は開示する義務がないのか、企業が開示すべき情報と開示しなくても良い情報の違いを押さえておきましょう。

企業が開示する情報には、大きく3つの種類があります。なぜIR情報を開示していない企業があるのかを理解するためにも必ず押さえておきましょう。

IR情報とは、広報活動の一環であるため開示義務がない「任意開示」に該当します。ただし、図からもわかるようにIR情報には、法定開示・適時開示も含まれており、企業が開示している情報のすべてを網羅的に知ることができる情報といえるでしょう。

法定開示や適時開示は、今までの企業の成果などの結果にまつわる情報が掲載されていますが、IR情報ではそれらの情報に加え、経営戦略・財務戦略・資本政策などが掲載されています。

つまり、IR情報には企業の過去・現在の情報だけではなく、「企業が将来にどのように進みたいと考えているのか」という、未来に向けた情報も含まれている情報となります。

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キャリアアドバイザー

法定開示や適時開示の情報は比較的数字が多く記載されていますが、任意開示の情報では、トップメッセージなど数字だけではない情報が記載されています。

加藤 大智

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非開示の場合には他の企業の情報も見てみよう

情報非開示企業の情報を探すことは少し難しいかもしれません。志望企業が非公開の場合には、まずは、志望度はあまり高くなかったとしても、公開している類似企業の情報を調べてみましょう。大雑把で構わないので何となくのイメージを持つことができたら、今度は調べたい企業のサイトや外部ニュースの情報を見てみてください。

先に類似企業がIR情報内で述べている戦略や数字情報が頭に入っていれば、IR以外の情報を読んでも「この会社の事業内容は類似企業のIR情報を参考にすると〇〇ということを言っているのだろうか」など、推測をしながら情報を解釈できるようになります。

大切なのは情報の多さではなく、そこから自分なりにどのように考えるかが重要です。たとえ情報量が少なかったとしても諦めずに情報を集める工夫をしてみましょう。

あなたが受けないほうがいい職業を診断しよう

適職診断 適職診断

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就活においてIR情報が重要である4つの理由

就活において、企業に関する情報を得ることはとても重要になります。志望業界や企業を決めるための企業選びではもちろん、エントリーシート(ES)、面接などでも、企業に関する具体的な情報は重要となってくるでしょう。

IR情報は本来、株主や投資家向けに開示される情報ですが、「企業理解を深めたい」という目的は学生も同じであるため、IR情報は就活時に活用すべき情報といえるでしょう。

学生がIR情報を確認することで得られるメリットは大きく分けて4つあるので、ぜひ確認してみてください。

より詳細な企業分析をおこなえる

IR情報には企業の売上、営業利益、経営戦略、事業内容などがすべて記載されています。これらの情報を確認することで、企業選びで重要になる、企業の安定性や事業内容を具体的な数字を根拠に分析することができます

就活において、企業理解の精度の高い学生は企業側ももとめる人材であるといえます。入社後に後悔しないためにも、IR情報を用いて根拠のある企業分析をおこないましょう。

こちらの記事でも企業研究の方法について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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根拠のある志望動機が作れる

IR情報では業績や事業内容から企業の強みを知ることができます。そのため、志望動機を作成する際に重要な「他社との差別化」「自分と企業との相性」を主張することができる具体的な情報を得られるでしょう

志望動機では「企業を選んだ根拠ある理由」を主張することが重要なポイントの一つとなります。IR情報を見ることで、営業利益などの業績から企業がどの事業に力を入れているのかを知ることができるだけでなく、今後の経営戦略から他社との差別化もおこなうことができます。

志望動機の書き方については、こちらの記事を参考にすると良いでしょう。

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志望動機を書くことができずに悩んでいる学生は、こちらの記事を参考にしてみてください。

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企業がもとめる人物像を知ることができる

企業がどのような人材をもとめているのかを知ることも、就活を有利に進めるうえで必要な情報となります。IR情報には企業の未来をしめす経営戦略に加え、社長によるトップメッセージなどが記載されているため、企業が今度どのような人材をもとめているのかを知ることができます

採用ページなどにも、もとめる人物像についての記載があるケースもありますが、IR情報に記載されている経営戦略などの情報と結び付けることにより、抽象的表現ではなく「こらから5年は事業拡大を経営戦略としているため、さまざまな事業領域に興味があり、積極的に物事を発言できる人材がもとめられている」など、具体的な人物像を描くことができるでしょう。

一次情報を得ることができる

就活中に誤った情報を得てしまうリスクを避けるためにも、IR情報は重要な情報源となります。

ネットを利用することでさまざまな情報が手軽に検索できますが、中には根拠のない誤った情報が掲載されていることもあります。しかし、IR情報は企業が開示する「一次情報」であるため、正当性は保証されています

サイトによっては更新がされておらず、社長名や事業内容が誤って掲載されているケースもあります。事業内容や経営状況などは常に変わり続けるため、企業情報を調べる際は、一次情報であるIR情報を確認することをおすすめします。

吉川 智也

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自分のやりたいことを明確に伝えられるようになります

上記と関連していますが、より詳しく情報を調べるとキャリアプランを聞かれたときや逆質問の場で、堂々と発言ができるようになります。入社後にやりたいことは、自由に話すのではなくて「御社の経営計画である5年後の○○という取り組みに関わりたい」など事業戦略に基づいて語ることが大切です。また、逆質問の場でも「○○という情報を拝見したのですが」など、一歩踏み込んだ情報を挙げることで企業理解が深まるだけではなく意欲も伝えられるでしょう。

慣れないうちはIR情報を読み解くことは難しいかもしれませんが、何度もいろいろな企業の情報を見ることでポイントを抑えられるようになるので、ぜひチャレンジをして他の学生と差別化を図れるようにしてください。

IRで開示されている8つの情報を解説

IRで開示されている8つの情報

IRではどのような情報が開示されているのかについて、確認しましょう。IRで開示されている情報は大きく分けて8つあります。それぞれの役割や記載されている内容を理解することで、目的に合わせた適切な情報を集めることができるでしょう。

①IRニュース・IRカレンダー

IRニュースとは
  • 企業に関する最新情報(新店舗のオープン予定、役員の変更など)が掲載されています。
IRカレンダーとは
  • IR情報に関する年間予定、決算発表会、投資家向けイベントなどの情報が掲載されます。

最新のIR情報を確認するために、企業がいつIR情報を開示するのかを確認する際は、IRニュースまたはIRカレンダーを確認すると良いでしょう。とくに決算説明会資料は学生にとって有益な情報が掲載されている重要な資料であるため、開示される時期は押さえておきましょう。

②財務ハイライト

財務ハイライトとは
  • 企業のお金に関する過去数年分の情報を知ることができます。主に売上高や営業利益などの推移について分かりやすく記載されています。

財務ハイライトは数年分のお金に関する値の推移を分かりやすく開示することを目的としています。そのため、棒グラフや折れ線グラフなどを用いて解説している企業が多いでしょう。

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キャリアアドバイザー

企業のお金関係の数値を見る際には過去1年間の数値の推移を確認するのではなく、過去数年間の推移から企業の売上高や営業利益の増減を見ることが重要になってきます。

その点、財務ハイライトは数年間のデータをグラフ形式でまとめられているため、就活生にとってもわかりやすい情報といえるでしょう。

③決算短信

決算短信とは
  • 適時開示に分類される情報で、主に1年分の情報をまとめた「通期決算短信」と四半期ごとに決算内容をまとめた「四半期決算短信」があり、企業の財務状況や経営状況について開示されています。
    主に財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を中心に構成されており、速報性に特化した情報となります。

決算短信は、企業の最新の情報が記載されているため、読み解くことができれば財務状況や経営状況について、いち早く知ることができます。つぎに財務三表がどのような情報が記されているのかについて、解説します。

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決算短信は速報性がもとめられるため、記載されている情報は速報値と予測値が含まれています。

そのため、確定情報だけ記載されているわけではない、ということも特徴の一つとして覚えておきましょう。

貸借対照表

貸借対照表とは
  • 決算日における企業の資産・負債・純資産の内訳について記載されています。企業の資産の内訳と負債・純資産の内訳を見比べることができるため、企業がどのように資金を調達し、どのように使用しているのかを確認できます。

企業選びをする際、「志望企業が安定しているのか」という点は学生にとって知りたい情報の一つです。貸借対照表から企業の資産・負債・純資産の内訳を見ることができるため、企業の財政状況が安定しているのか、それとも不安定なのかを知ることができるでしょう

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貸借対照表の詳しい読み方については後ほど詳しく解説するので、興味のある学生はぜひ参考にしてみてください。

損益計算書

損益計算書とは
  • 決算期における企業の売上高や利益などの経営成績に関する情報、利益や支出について記載されています。さまざまな項目から企業の利益、支出の数値を開示することで、利益が発生した経緯などを知ることができます。

記載されている情報は財務ハイライトと同様ですが、損益計算書はより具体的な数値に関する情報が記載されています。財務ハイライトは売上高や利益の数値をグラフを用いて過去数年分の数値の推移を見ることができますが、損益計算書では企業がどのように利益を生み出したのかなど、より詳細な数値の内訳を知ることができます

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過去数年分の売上高・利益の推移を知りたい場合は「財務ハイライト」。

企業がどのように利益を生み出し、何に支出しているのか、内訳を知りたい場合は「損益計算書」を確認すると良いでしょう。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書とは
  • 決算期における企業のキャッシュ(現金あるいは、ほとんど現金として扱うもの)の動きについて記載されています。主に営業活動・投資活動・財務活動の3つの活動にわけられており、それぞれのお金の出入りの内訳を確認することで、キャッシュの増減理由を知ることができます。

キャッシュフロー計算書を確認することで、企業の具体的な現金の流れを知ることができます。各活動の損益を見ることで、企業にいくらお金の増減がわかるため、企業の倒産リスクなどを確認することができます。

④決算説明資料

決算説明資料とは
  • 企業が株主・投資家向けに対して決算説明会をおこなう際に使用する資料を指します。決算内容、事業内容や今後の方針などについて、わかりやすくまとめられた資料となります。

決算説明資料はIR情報をわかりやすくまとめた資料になります。数字ばかりが羅列されているわけではなく、グラフや図形を用いたプレゼンテーション資料として作成されています。

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企業に関する過去・現在・未来の情報が分かりやすく掲載されているため、企業研究をおこなう学生にとっても重要な資料となるでしょう。

⑤有価証券報告書

有価証券報告書とは
  • 法定開示に分類される情報で、企業の概要や経営状況、財務三表などが記載されています。決算短信と同様、企業の財務状況や経営状況が記載されていますが、決算短信よりも情報量が多く、確定情報のみが掲載されていることが特徴となります。

有価証券報告書は数百ページに及ぶため、決算短信よりも情報量が多く、経営状況や財務状況に加え、設備状況などについても記載されています。また、有価証券報告書には決算短信にて開示されている速報値や予測値ではなく、確定値について開示されているため、情報の正確性は決算短信よりも高いといえるでしょう。

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有価証券報告書には社員の平均年収、平均勤続年数、従業員数についても記載されています。

そのため、毎年国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」を確認し、日本の平均年収の水準と比較することもできますね。

⑥中長期経営企画

中長期経営企画とは
  • 企業が中長期的に目指す経営計画、計画に対するビジョンなどが記載されており、企業が「将来的にどのような姿を目指しているのか」を具体的に株主・投資家向けに発表している資料となります。

企業を選びや志望動機を考えるうえで、企業が目指している「未来の姿」を知ることは重要となるでしょう。中長期経営企画を確認することで、具体的な売上高の目標や事業展開、組織の強化目標などを知ることができます

⑦統合報告書

統合報告書とは
  • 財務情報と非財務情報を統合した資料となります。特徴としては「自社の将来目指す姿を軸に、企業の現状を分析した資料」という点です。企業が自社の将来を見すえたうえで、どのような方針・戦略で経営課題に取り組むのかについて記載されています。

統合報告書は、企業の過去と現在に関する財務情報を開示している資料とは異なります。具体的には企業が掲げる目標、経営戦略、実現に向けた取り組みなど、財務情報だけでなく社内制度やサステナビリティ活動などの非財務情報を紹介し、企業ならではの価値を株主・投資家に伝えることを目的としています

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統合報告書には、社会課題に対する企業の取り組みや社内制度について記載されているため、学生にとっては企業の風土を理解するためにも重要な資料といえるでしょう。

⑧トップメッセージ

トップメッセージとは
  • 企業の代表取締役社長(CEO)が発信するメッセージを指します。現在の企業の状況や今後の展望について語られることがことが多く、企業のブランドイメージを決定づける重要なメッセージとなります。

財務情報などの数字を中心に用いる情報だけではなく、トップメッセージのような情報もIR情報には含まれます。トップメッセージでは、トップが何を考え、今後どのような戦略のもと、企業を動かしていくのかについて言及することが多いため、トップのイメージがそのまま、企業イメージに反映されるといえるでしょう

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学生にとってトップメッセージは、必ず確認すべき重要な情報となります。

企業がもとめる人材を探るためにも、トップメッセージから企業の雰囲気や特徴、今後のビジョンについて確認すると良いでしょう。

面接ではIR情報からより企業のことを深く理解し、逆質問などを考える必要があります。面接の対策方法についてはこちらの記事を確認しましょう。

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一覧つき! IR情報を読む際に知っておくべき用語を解説

IR情報を理解するために押さえておくべき用語があります。ここでは基本的なIR情報で用いられる用語を紹介するため、必ず確認しておきましょう。

  • 上場企業 
    企業が発行する株式を証券取引所で売買できるように、資格を与えられた企業。
    市場は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに分けられる。    
  • 非上場企業
    証券取引所で株式を売買する資格を有していない企業。全株式会社の約99%が非上場である。
  • 四半期
    一年を四等分した一つの期間。多くの企業が4月1日~3月31日までを一会計期間としているため、一般的に4月~6月が第1四半期、7月~9月が第2四半期、10月~12月が第3四半期、1月~3月が第4四半期と呼ばれる。
  • 決算
    企業の年間収益と費用などを計算し、一年間の業績を集計する手続き。企業規模にかかわらず一年に1回必ずおこなわれる。
  • 有価証券
    株式・債権・手形・小切手などを指す。有価証券自体に財産的価値を有する。
  • 手形
    一定期日に、一定の場所で、一定の金額を支払うことを記載した証券。決算の手段として、現金の代わりに用いられることもある。
  • 資本
    事業をおこなうために必要な元手となる資金。
  • 資産
    企業が有している財産。お金や商品、使用している機械や土地、建物なども含まれる。
  • 負債
    企業の借金などの、企業が返済しなくてはならないマイナスの財産。銀行からの融資や買掛金などが含まれる。
  • 利息
    借りたお金の使用料。金額と期間に比例して一定の割合で支払う。
  • 借入金
    企業や政府などから借りたお金。借用証明や約束手形の差し入れなどにより、金銭の差入をすることによって発生する債務のこと。
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キャリアアドバイザー

IR情報で使用されている用語は、社会人になった後にも必要となる知識です。

この機会にぜひ覚えておくことをおすすめします。

学生必見! 就活が有利になるIR情報の4つのチェックポイント

IR情報の中で学生におすすめな情報は4つあります。

  • 決算説明資料
  • 中期経営企画
  • 統合報告書
  • トップメッセージ

①企業の過去・現在がわかる「決算説明資料」

決算説明資料には企業の売上高・営業利益・経営状況・事業内容・今後の方針などがグラフなどを用いてわかりやすく記載されているため、企業の過去・現在の状況を確認することができます

決算説明資料が学生にとっておすすめな理由として見やすさがあげられます。決算説明資料は株主・投資家向けに開催される決算説明会などのIRイベントで使用される資料となるため、有価証券報告書や決算短信などの重要な情報がわかりやすく記載されています。

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キャリアアドバイザー

さまざまな企業の情報を確認する必要がある学生にとって、重要な情報を効率よく集めるためにも決算説明資料は重要な資料といえるでしょう。

➁企業の未来が見える「中期経営計画」

企業が将来どのような姿を目指しているのかを理解することは、企業選びや志望動機の作成、入社後のミスマッチを防ぐうえで重要になってきます。

企業が目指す姿については採用ページなどに記載している企業もありますが、中期経営企画では、売上目標や事業戦略などについて具体的な数字を用いて解説しているため、企業研究をより深くおこないたい学生にはぜひ確認してもらいたい資料となります

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企業が目指す未来を知ることは、就職活動をおこなううえでのモチベーションにもつながります。

自分が入社後どのように活躍したいのかを考えるきっかけにもなるでしょう。

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入社後の早期離職を避けるためには、自分に適性のある職業を選ぶことが大切です。しかし、それがどんな職業なのかが分からず悩む人も多いでしょう。

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自分に適性のある職業を早めに知って、就活を成功させましょう。

③企業の個性がわかる「統合報告書」

就活をすすめるうえで、企業の業務内容だけでなく「社会課題に対する取り組み」や「社内制度」についても確認することは、企業選びや他社との差別化などを考えるうえで重要となります

統合報告書は売上高や利益に関する財務情報だけでなく、サステナビリティ活動や採用基準、人材育成、LGBTへの取り組みなど、さまざまな非財務情報に関する内容も掲載されています。つまり、非財務情報は企業の風土や特徴が現れやすい内容となっているため、志望企業がどのような「個性」を持っているのかを確認する際に、ぜひ押さえてほしいIR情報の一つとなります。

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入社前に企業が社会課題に対してどのような取り組みをおこなっているのか、働く環境はどのように整備されているのかを確認することは、入社後のギャップを防ぐためにも重要といえるでしょう。

④企業の方針がわかる「トップメッセージ」

就活において「企業との適性」は重要な採用基準の一つとなります。そこで、トップメッセージを読み解き、企業の方針を理解することが、企業とのミスマッチを防ぐうえで大切になります

トップメッセージには、企業の社長が今後どのように企業全体をけん引していくかなどの情報が含まれているため、企業がどのような人材をもとめているのか、また今後どのような未来を目指しているのかを推測することができるでしょう。

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トップメッセージは企業全体が目指すべき未来、社員が持つべき価値観などをあらわしています。

選考対策のためにも、企業がどのような雰囲気なのかをトップメッセージから推測することも大切でしょう。

長尾 美慧

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アニュアルレポートも併せて目を通せるようにしましょう

学生のみなさんも、いざ5年後のプランを考えようとしても困るけれども、1年後のプランならば「志望校に合格する」「ダイエットで3キロ痩せる」などわかりやすい目標を掲げられるのではないでしょうか。

同様に、統合報告書などは比較的長期スパンのプランが多く、時には抽象的な表現も多くなるケースがあります。一方、アニュアルレポートはより細かい内容もあるため併せて目を通すと事業内容へのイメージを膨らませやすくなります。

どちらから読み始めても問題ありませんが、統合報告書とアニュアルレポートは関連された資料同士なので、なるべく両方を確認できるようにしてみてください。

IR情報から企業研究をすることができたら、次は自己分析から自分と企業との接点などのより具体的な志望理由を見つけましょう。自己分析をおこなう際にはマインドマップを使用することをおすすめします。興味のある学生はぜひ参考にしてみてください。

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マインドマップで広く深く自己分析を進めることで、自己理解を深めて効率的に自分をアピールすることができます! 今回はマインドマップでわかる自分の特性や、自己分析で使うメリットを紹介していきます。またマインドマップの作り方や活用例もキャリアアドバイザーが解説していくので参考にしてくださいね。

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上級者向け! より企業理解が進むIR情報の数字の見方とは

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就活生

IR情報をより詳しく読み解くための見方を知りたいです!

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キャリアアドバイザー

IR情報の数字を読み解くことで、より具体的に企業の売上や利益、強み、弱みなどを知ることができます。

興味のある学生はぜひ参考にしてみてください。

IR情報からより具体的に企業分析をおこないたい学生は、貸借対照表・損益計算書・事業別セグメントを確認すると良いでしょう。それぞれの情報の見方や数値の計算方法について、詳しく解説します。

企業の安定性 :貸借対照表の見方

(参考:マナーフォワード クラウド会計「貸借対照表でよく使われる勘定科目まとめ」)

貸借対照表には企業の資産・負債・純資産の詳細な内訳が記載されています。その中の純資産が占める割合を確認することで、企業の安定性をはかることができます。

貸借対照表は表の左側に資産、右側に負債と純資産が記されており、「資産合計=負債合計+純資産合計」という形式となっているため、必ず左右の表の数値は同じになる構図となっています。そして、貸借対照表の中でとくに注目すべき点は「純資産比率」となります

純資産比率とは
  • 企業の資産合計のうち、純資産の占める割合を指す
計算方法
  • 純資産比率(%) = 純資産合計(円) ÷ 資産合計(円)

純資産は、負債とは異なり「企業が返済する必要のない資産」となります。つまり、純資産の比率が高いほど、「返すお金が少ない=倒産しにくい」ということになり、そのような企業は、財政基盤が固く、財政状況は安定しているといえるでしょう。

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純資産比率30%以上が一般的とされており、50%以上の企業は良好といえるでしょう。

とはいえ、純資産比率の基準は業界やビジネスの種類によって異なるため、負債と純資産のバランスを見ることが大切になるでしょう。

企業の売上・利益: 損益計算書の見方

損益計算書の見方

(参考:お金のカタチ「貸借対照表と損益計算書の違いや関係は?覚え方を紹介」)

損益計算書を確認することで、単純な売上高だけでなく、本業で得た利益や財務活動によって得た利益から、「企業の収益力」についてより詳しく知ることができます

損益計算書は大きくわけると、「収益(=企業が稼いで得た収入)」「費用(=企業が使った支出)」「利益(=最終的に残っている金額)」のそれぞれ3つの項目が記載されており、「利益 = 収益 - 費用」という関係性になっています。そして、損益計算書で確認してもらいたい点は次の5つです。

まずは売上高と粗利とも呼ばれる売上総利益について、

売上高
  • 企業が本業によって稼いだ金額の合計となります。売上高には本業以外の稼ぎは含まれないため、副業として不動産収入が入っていたとしても計上されません。
売上総利益(粗利)
  • 売上高から売上原価を差し引いた値を指します。売上総利益は、商品の原価に対していくら上乗せしているのかがわかるため、「商品が生み出すことの利益=稼ぐ力」を確認することができます。企業が有している商品の価値を確かめることができるでしょう。
計算方法
  • 売上総利益(粗利) = 売上高 - 売上原価

企業の本業で生み出された利益となる営業利益について、

営業利益
  • 売上総利益から販売費や一般管理費を差し引いた値となります。本業で稼いだお金から人件費などの費用を差し引いた値となるため、企業が最終的に本業でいくら稼ぐことができたのかを確認することができます。
計算方法
  • 営業利益=売上総利益(粗利)- 販売費および一般管理費

企業の通常業務で生み出された利益となる経常利益について、

経常利益
  • 営業利益に営業外利益を足し、営業外費用を差し引いた値となります。企業の本業に加え、受取利息や不動産収入で計上された利益も加算されるため、企業が通常業務の中で得た利益のすべてを表す値となります。
計算方法
  • 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

さまざまな利益から損失を差し引いた最終的な利益となる当期純利益について、

当期純利益
  • 企業の実際の利益である税引前当期利益(経常利益 + 特別利益 - 特別損失)から、法人税などを差し引いた値となります。最終的な企業の利益となるため、前期と比べることで企業の成績を比較することができます。
計算方法
  • 当期利益 = 税引前当期利益 - 法人税など

それぞれの値を見ることで企業に対するお金の出入りを確認することができます。また、売上高に対する各利益の割合なども確認することで、「企業の収益力」を知ることができるでしょう。

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キャリアアドバイザー

損益計算書を確認する際は「経常利益がマイナスになっていないか」を確認しましょう。

利益がマイナスということは収益が費用よりも少なく「損失」となっているということであるため、業績が落ち込んでいる原因を探るようにしましょう。

企業の強み・弱み:事業別セグメントの見方

事業別セグメントの見方

事業別セグメントを確認することで、企業が取り組んでいる事業ごとの売上高や利益、成績の理由についても知ることができます。よって、企業がどの事業に力を入れているのかを確認することができる資料となります。

事業別セグメントは、主に各事業の売上高・利益・売上高の構成比などについて記載されています。利益がおおきな事業はそれだけ企業が力を入れている、または期待をしている事業ということになるため、企業の強みを知ることができるしょう。

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キャリアアドバイザー

事業別セグメントは企業の強みだけではなく、弱みを知ることもできます。

売上高の中で事業が占める売上の割合が低い事業は、企業にとって今後伸ばしていきたい、または何かしらの改善策を考えている事業といえるでしょう。

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