目次
- 企業の現在・過去・未来を理解できるIR情報の見方を解説
- IR情報とは?
- IR情報のココを見れば把握できる! 就活が有利になる4項目の見方
- ①企業の過去・現在がわかる「決算説明資料」
- ➁企業の未来が見える「中期経営計画」
- ③企業の個性がわかる「統合報告書」
- ④企業の方針がわかる「トップメッセージ」
- 【一覧付き】IR情報を見る際に押さえておくと良い用語を解説
- 企業について深く知りたい人向け! IRで開示されている4つの情報
- ①IRニュース・IRカレンダー
- ②財務ハイライト
- ③決算短信
- ④有価証券報告書
- 上級者向け! 企業研究や志望動機作成に応用できるIR情報の見方
- 企業の安定性を測る 「貸借対照表」
- 企業の成長性を測る「損益計算書」
- 企業の注力事項を理解する「事業別セグメント」
- IR情報の見方を知って企業分析を深めることでライバルと差を付けよう
企業の現在・過去・未来を理解できるIR情報の見方を解説
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。就職活動をおこなう学生から、
「IR情報は就活において重要なのですか?」
「IR情報の見方がわかりません」
といった相談を受けます。
IRと聞くと「理解するのが難しそう」「数字ばかり記載されているのではないか」など、苦手意識を持っている学生もいるでしょう。しかし、見方を理解すれば十分に就活に役立てることができます。
IR情報には、企業研究はもちろん、志望動機や自己PRの作成に用いることができる有益な情報が多く開示されています。就活を有利に進めたい学生は積極的にIR情報を確認することがおすすめです。
こちらの記事では、IR情報の概要説明に加え、就活が有利に進む見方についてまで詳しく紹介しているので、興味のある学生はぜひ参考にしてみてください。
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IR情報とは?

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まずはIR情報がどのような目的で開示されているのか、概要を理解することが大事ですね。
「IR情報」という単語は聞いたことがあっても、その内容まで詳しく知っている学生は少ないでしょう。「IR」には以下のような意味があります。
- インベスター・リレーションズの略語。企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績、今後の経営戦略などを広報するための活動全般
- 企業が株主や投資家向けの広報活動(IR)のなかで開示される情報
IR情報を提示する目的は、「読んだ人が企業についてより深く理解すること」です。IR情報から企業についての理解が深まることにより、以下のようなメリットを得られます。
- より詳細な企業分析をおこなえる
- 根拠のある志望動機が作れる
- 企業がもとめる人物像を知ることができる
- 一次情報を得ることができる
IR情報には、さまざまなカテゴリーの情報が羅列されているため、すべての情報を見る必要はありませんが、重要なポイントを押さえて見られると良いでしょう。

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アドバイザー
IR情報の開示は義務ではないため、IR情報が得られない場合もあります。そのようなときは志望企業と同業他社にあたる企業のIR情報を確認してなんとなくのイメージをつかんでみましょう。
キャリアアドバイザーが読み解く!ほかの学生と差をつけるにはIR情報の閲覧がカギ
IR情報の読み込みで入社意欲も示せる
IR情報を見ておくと、「ほかの学生よりも十分な情報収集ができている」という自信から、堂々と発言ができるようになります。
たとえば入社後にやりたいことを聞かれたときに、自由に話すのではなくて「御社の経営計画である5年後の○○という取り組みにかかわりたい」と、事業戦略に基づいて語れると、企業理解の深さが伝わりますよね。また、逆質問の場でも「○○という情報を拝見したのですが」など、一歩踏み込んだ情報を挙げることで、入社意欲も伝えられるでしょう。
慣れないうちはIR情報を読み解くことは難しいかもしれませんが、いろいろな企業の情報を見ることでポイントを抑えられるようになります。ぜひIR情報を閲覧して、ほかの学生と差別化を図れるようになってくださいね。
IR情報のココを見れば把握できる! 就活が有利になる4項目の見方
「情報が多すぎてどこを見たら良いのかわからない」
「とりあえず見ておくべき箇所を知りたい」
このように、ポイントを押さえてIR情報を確認したい人もいますよね。見るべきポイントがわかっていると、面接までに時間がないときや、なかなか企業研究がはかどらないときに、重要な情報をサッと確認することができます。
IR情報のなかで特に確認しておきたいのが、以下の4項目です。
それぞれの内容を詳しく解説していくため、企業研究や志望動機の作成にどのように役立てたら良いのかを押さえましょう。
①企業の過去・現在がわかる「決算説明資料」
決算説明資料とは、企業が株主・投資家向けに対して決算説明会をおこなう際に使用する資料です。決算内容、事業内容や今後の方針などについて、わかりやすくまとめられています。
企業についてよく知るためには、その企業の現状を多方面から知ることが必要不可欠です。
決算説明資料には「企業の売上高」「営業利益」「経営状況」「事業内容」「今後の方針」などが記載されているため、企業HPや、OB・OG訪問にプラスした情報を得ることができます。
また、株主・投資家向けに開催される決算説明会などのIRイベントで使用されるため、グラフなどが用いられており、視覚的に見やすく、内容がつかみやすいのが特徴です。
「志望企業のこれまでの取り組みを手っ取り早く知りたい」「金銭的な観点から企業の成長率を測りたい」という人におすすめします。

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重要な情報を効率良く集めることができるため、はじめに目を通してみると良いでしょう。
➁企業の未来が見える「中期経営計画」
中期経営計画とは、企業が中長期的に目指す経営計画、計画に対するビジョンなどが記載されているものです。「将来的にどのような姿を目指しているのか」を具体的に株主・投資家向けに発表しています。
企業が「将来どのような姿を目指しているのか」を理解することは、企業選びや志望動機の作成や、入社後のミスマッチを防ぐうえで重要になります。
中期経営計画では、売上目標や事業戦略などについて具体的な数字を用いて解説しているため、「志望企業の展望を見すえたうえで、自分にできることを考え、伝えたい」という学生にとっては必見の項目です。

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自分が入社後「どのように活躍したいのか」を具体的にイメージする手助けにもなりますよ。
③企業の個性がわかる「統合報告書」
特定の業界を志望しており、行きたい企業に対しての優先順位をうまくつけられずに悩む機会もありますよね。そのようなときは統合報告書から、その企業特有の個性を押さえてみましょう。
統合報告書は、自社の将来目指す姿を軸に、企業の現状を分析した資料です。売上高や利益に関する財務情報だけでなく、サステナビリティ活動や採用基準、人材育成、LGBTへの取り組みなど、さまざまな非財務情報に関する内容が掲載されています。
非財務情報からは、企業ならではの風土や特徴を読み取れるため、「企業選びの判断材料が欲しい」「同業他社と差別化できるポイントを知りたい」という際におすすめです。

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「志望企業が社会課題に対しどのような取り組みをしているのか」「働く環境はどのように整備されているのか」を確認することは、入社後のギャップを防ぐためにも重要といえるでしょう。
キャリアアドバイザーが読み解く!年次報告書も併せて目を通すようにしよう
短期的なプランをわかりやすく知るには年次報告書がおすすめ
統合報告書などは比較的長期スパンのプランが記載されていることが多く、ときには抽象的な表現も多くなります。
学生のみなさんも、いざ5年後のプランを考えようとしても困るけれども、1年後のプランならば「志望校に合格する」「ダイエットで3キロ痩せる」などわかりやすい目標を掲げられるのではないでしょうか。
このように、短期的なプランについて、わかりやすく知りたいときは年次報告書を読むのがおすすめです。統合報告書より細かい内容も記載されているため、併せて目を通すと事業内容へのイメージを膨らませやすくなります。
どちらから読み始めても問題ありませんが、統合報告書とアニュアルレポートは関連された資料同士なので、なるべく両方を確認できるようにしてみてください。
④企業の方針がわかる「トップメッセージ」
トップメッセージは、企業の代表取締役社長やCEOが発信するメッセージを指します。現在の企業の状況や今後の展望について語られることが多く、企業のブランドイメージを決定づける重要なメッセージを読み取れるでしょう。
就活において「学生と企業との適性」は重要な採用基準の一つです。しかし、そう簡単にマッチポイントは見つけられないものです。そのようなときに、トップメッセージを参考にしてみましょう。
トップメッセージを読み解き、方針を理解することで、企業とのマッチポイントを提示しやすくなりますよ。

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企業がもとめる人材を探るためにも、トップメッセージから企業の雰囲気や特徴、今後のビジョンについて確認すると良いでしょう。
「企業が求める人物像」をより深めるには、こちらの記事も参考にしてください。4つの方法で簡単に対策をすることができます。
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キャリアアドバイザーは実際にこうアドバイスしています!IR情報は企業のありのままの姿を見極められる重要な資料!
IR情報から一歩踏み込んだ情報を得よう
私の経験上、IR情報を徹底的に読み込んでいた学生はあまりいません。だからこそ、情報収集が徹底していることを企業に示せると、熱意の高さを伝えられる武器にもなります。
私は、特にM&A業界や金融業界などを志望している学生にIR情報の閲覧をおすすめしています。なぜなら、これらの業界は、大きな金額を動かす機会が多く、ほかの企業からの信頼性が重視されるからです。そのため、ほかの業界と比較しても特に多くの情報が掲載されているため、ほかの学生よりも踏み込んだ情報を得ることができるでしょう。
IR情報は公に出る情報であり、法律に基づいて開示内容が決まっています。そのため、就活生にとっては企業のありのままの姿を見極められる重要な資料にもなるのです。有効的に活用して、志望動機の作成に役立てましょう。
【一覧付き】IR情報を見る際に押さえておくと良い用語を解説

就活生
IR情報を見てみたのですが、難しい用語が多くて読むのを諦めてしまいました……。

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一つひとつの意味を理解すれば、決して難しくありませんよ! 頻出単語の意味を確認していきましょう。
IR情報には専門的な用語も多く出てくるため、読むことを億劫に感じてしまう気持ちもよくわかります。しかし、言葉の意味をきちんと理解すれば、有効な情報となって就活に活用することができるのです。
ここでは基本的なIR情報で用いられる用語を解説するため、意味を確認しましょう。
- 上場企業
企業が発行する株式を証券取引所で売買できるように、資格を与えられた企業
市場は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに分けられる - 非上場企業
証券取引所で株式を売買する資格を有していない企業。全株式会社の約99%が非上場である - 四半期
一年を四等分した一つの期間。多くの企業が4月1日~3月31日までを一会計期間としているため、一般的に4~6月が第1四半期、7~9月が第2四半期、10~12月が第3四半期、1~3月が第4四半期と呼ばれる - 決算
企業の年間収益と費用などを計算し、一年間の業績を集計する手続き。企業規模にかかわらず一年に1回必ずおこなわれる - 有価証券
株式・債権・手形・小切手などを指す。有価証券自体に財産的価値を有する - 手形
一定期日に、一定の場所で、一定の金額を支払うことを記載した証券。決算の手段として、現金の代わりに用いられることもある - 資本
事業をおこなうために必要な元手となる資金 - 資産
企業が有している財産。お金や商品、使用している機械や土地、建物なども含まれる - 負債
企業の借金などの、企業が返済しなくてはならないマイナスの財産。銀行からの融資や買掛金などが含まれる - 利息
借りたお金の使用料。金額と期間に比例して一定の割合で支払う - 借入金
企業や政府などから借りたお金。借用証明や約束手形といった書面を通じて、金銭の受領によって発生する債務のこと

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アドバイザー
IR情報で使用されている用語は、社会人になった後にも必要となる知識です。この機会にぜひ覚えておくことをおすすめします。
企業について深く知りたい人向け! IRで開示されている4つの情報

就活生
IR情報の頻出単語の意味がわかりましたが、もう少し深く企業のことを知るためにはどのような情報を知っておくと良いですか?

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アドバイザー
それでは、先ほどの情報に加えて4つの項目を解説します。
IR情報によく出てくる単語の意味を理解できたところで、ほかにはどのような内容が記されているのか気になる人もいるでしょう。
これから解説する4つの項目について理解することで、企業に対してより深く知ることができますよ。
①IRニュース・IRカレンダー
- 企業に関する最新情報(新店舗のオープン予定、役員の変更など)が掲載されているもの
- IR情報に関する年間予定、決算発表会、投資家向けイベントなどの情報が掲載されているもの
企業に関するニュースやスケジュールを知りたいときに、これらの情報を有効活用することができます。「志望度の高い企業のニュースをいち早く押さえたい」という際にチェックすると良いでしょう。
②財務ハイライト
- 過去数年分の、企業のお金に関する情報を知ることができるもの。主に売上高や営業利益などの推移についてわかりやすく記載されている
数年分のお金に関する値の推移を棒グラフや折れ線グラフなどを用いて解説している企業が多いです。
企業内において「どのタイミングでお金が動いたのか」「それは良い動きなのか・悪い動きなのか」ということを確認できると、直近の動向がつかめてくるはずです。

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企業のお金関係の数値を見る際には過去1年間の数値の推移を確認するのではなく、過去数年間の推移から企業の売上高や営業利益の増減を見るようにしましょう。全体像が見えてきますよ。
③決算短信
- 適時開示に分類される情報。主に1年分の情報をまとめた「通期決算短信」と四半期ごとに決算内容をまとめた「四半期決算短信」があり、企業の財務状況や経営状況について開示されている
決算短信は、企業の最新の情報が記載されているため、読み解くことができれば財務状況や経営状況について、いち早く知ることができます。

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決算短信は速報性がもとめられるため、記載されている情報は速報値と予測値が含まれています。「確定情報だけが記載されているわけではない」ということも覚えておきましょう。
また、決算短信には「財務三表」という企業が資金を調達、利用している方法などについて書かれた項目もあります。財務三表には下記の3つがあるため、詳しく見ていきましょう。
- 決算日における企業の資産・負債・純資産の内訳について記載されている。企業の資産の内訳と負債・純資産の内訳を見比べることができるため、企業がどのように資金を調達し、どのように使用しているのかを確認するのにおすすめ
- 決算期における企業の売上高や利益などの経営成績に関する情報、利益や支出について記載されている。さまざまな項目から企業の利益、支出の数値を開示することで、利益が発生した経緯などを知ることができる
- 決算期における企業のキャッシュ(現金あるいは、ほとんど現金として扱うもの)の動きについて記載されている。主に営業活動・投資活動・財務活動の3つの活動に分けられており、それぞれのお金の出入りの内訳を確認することで、キャッシュの増減理由を知ることができる
企業がどのように資金を調達し、どのように使用しているのかを確認したい場合は「貸借対照表」、どのように利益を生み出し、何に支出しているのか、内訳を知りたい場合は「損益計算書」、その企業の現金の動きを知りたい場合は「キャッシュフロー計算書」を確認するようにしましょう。
また、財務三表は次に解説する「有価証券報告書」にも記載されており、有価証券報告書では、決算短信に比べてより詳細で正確な数値が記載されます。同時に確認してみてください。
④有価証券報告書
- 法定開示に分類される情報で、企業の概要や経営状況、財務三表などが記載されているもの。決算短信よりも情報量が多く、公認会計士や監査法人による監査を通った、信頼性の高い情報が掲載されていることが特徴
決算短信が速報性を意識して開示されているのに対し、有価証券報告書は、経営状況や財務状況に加え、設備状況などのより詳細な情報が記されています。また、有価証券報告書には決算短信にて開示されている速報値や予測値ではなく、監査後の情報が開示されているため、正確性は決算短信よりも高いといえるでしょう。

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有価証券報告書には社員の平均年収、平均勤続年数、従業員数についても記載されています。そのため、毎年国税庁が発表している「民間給与実態統計調査」を確認し、日本の平均年収の水準と比較することもできますね。
IR情報から企業のことをより深く理解できると、逆質問などにも役立てられることがあります。逆質問についてはこちらの記事を確認しましょう。
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上級者向け! 企業研究や志望動機作成に応用できるIR情報の見方

就活生
IR情報について基本的なことは押さえられました! より詳しく読み解くための見方を知りたいです!

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より具体的に企業の売上や利益、強み、弱みなどを押さえられる項目についてみていきましょう。
「IR情報からより具体的に企業分析をおこない、ほかの学生と差別化を図りたい」という人もいるはずです。そのような場合は、貸借対照表・損益計算書・事業別セグメントを確認すると良いでしょう。
それぞれの情報の見方や数値の計算方法について、詳しく解説します。
企業の安定性を測る 「貸借対照表」

(参考:マナーフォワード クラウド会計「貸借対照表でよく使われる勘定科目まとめ」)
「就職するなら、安定性の高い企業に勤めたい」という考えの人もいますよね。そのような人は、貸借対照表から「純資産が占める割合」を確認してみてください。そうすることで、企業の安定性を図ることができますよ。
貸借対照表には、企業の資産・負債・純資産の詳細な内訳が記載されています。貸借対照表は表の左側に資産、右側に負債と純資産が記されており、「資産合計=負債合計+純資産合計」という式になっているため、必ず左右の表の数値が同じになる構図となっています。
そして、貸借対照表の中でとくに注目すべき点は「純資産比率」です。
- 企業の資産合計のうち、純資産の占める割合を指す
- 純資産比率(%) = 純資産合計(円) ÷ 資産合計(円)
純資産は、負債とは異なり「企業が返済する必要のない資産」となります。つまり、純資産の比率が高いほど、「返すお金が少ない=倒産しにくい」ということになり、そのような企業は、財政基盤が固く、財政状況が安定しているといえるでしょう。

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純資産比率30%以上が一般的とされており、50%以上の企業は良好といえるでしょう。とはいえ、純資産比率の基準は業界やビジネスの種類によって異なるため、負債と純資産のバランスを確認しましょうね。
「安定した職業」については、この記事を参考にしてください。7つの基準をもとに、あなたに合う職業を探してみましょう。
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安定した職業15選|安定した仕事は7つの基準から見極めよう
安定した職業に就きたいと考える人は多くいます。1つの指標としては、時代によって需要が左右されなかったり、成長性の高さなどが条件として挙げられます。ただこうした仕事は誰しもが気になる仕事であるため、目指すためには入念な対策が必要です。この記事ではキャリアアドバイザーのアドバイスを交えて、具体的な職種例を15個解説。仕事の選び方も解説しているので、ぜひチェックしてくださいね。
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企業の成長性を測る「損益計算書」

(参考:お金のカタチ「貸借対照表と損益計算書の違いや関係は?覚え方を紹介」)
「給与が高い会社に勤めたいから、利益を出し続けられる環境で働きたい」と考える人には、損益計算書の確認をすることをおすすめします。
損益計算書を確認することで、単純な売上高だけでなく、本業で得た利益や財務活動によって得た利益から、「企業の収益力」について詳しく知ることができるからです。
損益計算書は大きく分けると、「収益(=企業が稼いで得た収入)」「費用(=企業が使った支出)」「利益(=最終的に残っている金額)」のそれぞれ3つの項目が記載されており、「利益 = 収益 - 費用」という関係性になっています。そして、損益計算書で確認してもらいたい点は次の5つです。
- 売上高
企業が本業によって稼いだ金額の合計。売上高には本業以外の稼ぎは含まれないため、副業として不動産収入が入っていたとしても計上されない - 売上総利益(粗利)
売上高から売上原価を差し引いた値。売上総利益は、「商品の原価に対していくら上乗せしているのか」がわかるため、「商品が生み出すことの利益=稼ぐ力」を確認でき、企業が有している商品の価値を確かめることが可能になる
計算方法
売上総利益(粗利) = 売上高 - 売上原価 - 営業利益
売上総利益から販売費や一般管理費を差し引いた値。本業で稼いだお金から人件費などの費用を差し引いた値となるため、「企業が最終的に本業でいくら稼ぐことができたのか」を確認することができる
計算方法
営業利益=売上総利益(粗利)- 販売費および一般管理費 - 経常利益
営業利益に営業外利益を足し、営業外費用を差し引いた値。企業の本業に加え、受取利息や不動産収入で計上された利益も加算されるため、企業が通常業務の中で得た利益のすべてを表す値となる
計算方法
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 - 当期純利益
企業の実際の利益である税引前当期利益(経常利益 + 特別利益 - 特別損失)から、法人税などを差し引いた値。最終的な企業の利益となるため、前期と比較して企業の成長性を確かめることができる
計算方法
当期利益 = 税引前当期利益 - 法人税など
それぞれの値を見ることで、企業に対するお金の出入りを確認することができます。また、売上高に対する各利益の割合なども確認することで、「企業の収益力」を知ることができるでしょう。

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損益計算書を確認する際は「経常利益がマイナスになっていないか」を確認してください。「利益がマイナス」ということは「損失が生じている」ということであるため、どこかに業績が落ち込んでいる原因があるはずです。
給料が高い仕事については、この記事からどのようなものがあるかを学んでみてください。
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平均給料が高い仕事20選|給料以外の条件の着眼が適職発見のカギ
給料の高い仕事は、誰にでも簡単に就けるわけではありません。給料以外でその企業を志望する理由の準備は必須です。この記事では、給料の高い20の仕事と給料の高い仕事に就きたい場合に意識すべきことを解説します。
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企業の注力事項を理解する「事業別セグメント」

「事業内容を詳しく理解したうえで、ほかの企業と比較をしたい」このように考える人は、事業別セグメントを確認してみてください。
事業別セグメントは、主に各事業の売上高・利益・売上高の構成比などが記載されている資料です。ここから、「取り組んでいる事業ごとの売上高や利益」「その成績が生じている理由」について知ることができます。
利益が大きな事業は「それだけ企業が力を入れている」「希望をかけている」ということになるため、企業の強みや、今後強みとしていきたい分野を知ることができるしょう。

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事業別セグメントは企業の強みだけではなく、弱みを知ることもできます。双方を確認して課題感を洗い出し、企業分析や志望動機に活かせると良いですね。
この記事も参考にしながら企業の強みを押さえ、他者と差別化した志望動機の作成に役立てましょう。
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参考例50選|会社の強みを把握することでミスマッチを防げる!
会社の強みを伝えるには、念入りな企業研究と回答例を参考にすることで的確な回答ができるようになります。 この記事では、会社の強みを把握するメリットや探し方、回答例をキャリアアドバイザーが解説します。 きちんと会社の強みを伝えられると、採用される可能性が上がりますよ!
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IR情報の見方を知って企業分析を深めることでライバルと差を付けよう
IR情報は、企業が自社の活動成績と特徴をわかりやすく伝え、アピールしている資料です。
IR情報の見方を知ることができれば、企業研究や志望動機に深みを持たせられ、ライバルと差を付けることができます。ぜひIR情報の適切な読み方を理解し、就活を有利に進めてくださいね。
そもそも「IR情報」って何ですか?