目次
- 化学メーカーの仕事を知って自分に合う企業を見つけよう
- そもそも化学メーカーって何?
- 化学反応で素材を作る企業
- 化学メーカーの種類
- 化学メーカーの特徴
- 経営が安定している
- 知名度が低くても優良な企業が多い
- 労働環境がホワイト
- 海外進出している企業が多い
- 国内化学メーカーランキングトップ10
- ①三菱ケミカルHD
- ②住友化学
- ③富士フイルムHD
- ④旭化成
- ⑤信越化学工業
- ⑥昭和電工
- ⑦花王
- ⑧三井化学
- ⑨積水化学工業
- ⑩資生堂
- 化学メーカーの今後の課題
- 脱炭素社会への貢献
- 機能化学品の開発
- 化学メーカーの就職に関してよくある質問
- 化学メーカーの年収はどれくらいですか?
- 文系でも化学メーカーに就職できますか?
- 化学メーカーに就職するのに英語力は必要ですか?
- 化学メーカーの就活で有利になる資格はありますか?
- 化学メーカーの特徴や企業を知って就活準備をしよう
化学メーカーの仕事を知って自分に合う企業を見つけよう
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。学生の方から
「化学メーカーってどんな業界なんですか?」
「具体的にどんな企業がありますか?」
といった相談を受けることが多くあります。
学生の中には化学メーカーという言葉になじみがなく、何をしている企業なのか分からない人も多いですよね。そこでこの記事では、化学メーカーの種類や特徴、代表的な企業について解説していきます。
就活に関する情報や文系向けの内容も紹介するので、化学メーカーへの就職を考えている人はぜひ最後まで読んでくださいね。
そもそも化学メーカーって何?
化学メーカーと言われても「いったい何をしている会社なの?」と思うかもしれません。また、私たちの生活の何に役立っているのかあまり知らない人もいるでしょう。
そこでまずは、そもそも化学メーカーとは何なのかについて詳しく説明します。
化学反応で素材を作る企業
化学メーカーとは、一言で言えば「化学反応で素材を作る企業」です。素材とは、たとえばプラスチックや塗料、繊維、合成ゴムなどを指します。これらは原油を原料とし、ナフサと呼ばれる石油製品を経て各素材になります。そして素材は家電や衣料品、洗剤など私たちが使う日用品を作る際に使われます。
一般的にはプラスチックや塗料などの素材を作る企業を総称して化学メーカーと呼ぶことが多いです。しかし、広義では化粧品や接着剤、農薬などの最終製品、原料となる石油精製なども化学メーカーとして扱われます。
要するに、化学メーカーは私たちの生活に欠かせないあらゆるものを作っている業界です。そのため、なじみがなくても実は普段から何らかの形で化学メーカーとはかかわっているといえます。
化学メーカーの種類
化学メーカーは生産している製品が多様であるため明確な区別は難しいですが、大まかには次のように分類されます。
- 上流(基礎化学品の製造)
- 中流(中間材料の製造)
- 下流(最終製品の製造)
総合化学メーカーは、基礎原料から中間材料、最終製品までを一貫して生産するメーカーです。技術力が非常に高い大企業が多くみられます。誘導品メーカーは、基礎原料をもとに最終製品に必要な中間材料を生産するメーカーです。直接消費者とかかわっていないため知名度の低い大手企業も多く存在します。
そして、下流と呼ばれる最終製品を生産するメーカーには電子材料メーカーや生活消費財メーカーがあります。電子材料メーカーはスマホやパソコンなどの電子機器に使われる部品の生産を、生活消費財メーカーは化粧品や洗剤、紙パルプなど日用品の生産をおこないます。下流メーカーでは技術力だけでなく製品を広く知ってもらうためのマーケティング力も重要になってきます。
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化学メーカーの特徴
化学メーカーは私たちの生活を支える重要な役割を担っていますが、どんな業界なのかイメージするのは意外と難しいものです。そこで次に、化学メーカーの特徴について解説します。
すべての企業がこれに当てはまるわけではありませんが、業界全体をイメージする際や他業界と比較する際はぜひ参考にしてください。
経営が安定している
化学メーカーは全体的に経営が安定している傾向にあります。なぜ安定しているのかというと、生活に欠かせないものを生産しているため需要が安定しているからです。
たとえば、百貨店や不動産業界、金融業界などは景気による影響を受けやすく時代によって求められるものも変化していきます。一方化学メーカーは製品の供給がストップすると人々の生活が回らなくなるため、不景気でも長期的なダメージを受けることがありません。特に上流や中流に位置する化学メーカーはその傾向が強いでしょう。
加えて、化学製品を生産するには高い技術力が必要であるため、参入障壁が高く競合が増えにくいことも関係しています。
知名度が低くても優良な企業が多い
化学メーカーはBtoB企業が多いため知名度が低くても優良な企業が数多く存在します。BtoB企業は資本の大きな企業が顧客であり継続的な取引が多いことから、経営が安定しやすい傾向にあります。
一方で、直接消費者とかかわることが少ないためCMや生活の中で企業名を目にすることは少ないでしょう。そのため、一般消費者にとっては知らない企業でもその分野では世界トップクラスというケースも少なくありません。
特に上流や中流の化学メーカーはその傾向が強く、学生にとっては「採用倍率が低くても実は穴場」という隠れ優良企業を見つけやすい業界といえるでしょう。
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労働環境がホワイト
化学メーカーは比較的職場環境がホワイトな企業が多いです。なぜホワイト企業が多いのかというと、前述したように新規参入が難しく安定している業界だからです。
日本の化学メーカーの技術力・生産性は非常に高く、国内他社はもちろん新興国のメーカーに抜かれることは当分ないとされています。競合他社を意識することなく安定して自社の経営をおこなうことができるため、職場環境も安定していることが多いのです。
また、化学メーカーの仕事はBtoBが多く個人の頑張りだけで売り上げが変わるものではないため、極端なノルマはありません。そのため、真面目で穏やかな人が多く業界全体で見ると堅実で落ち着いた風土があります。
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海外進出している企業が多い
化学メーカーは海外進出している企業が多く存在します。なぜ海外進出に力を入れているのかというと、人口減少や労働力不足により今後国内市場は縮小していくと考えられているからです。すでに巨大な市場を築き上げているため、新たな市場を見つけ出す手段として海外市場に参入する企業が増えているのです。
たとえば、旭化成はアジアやヨーロッパ、北米など世界20ヶ国以上に生産・販売・研究開発の拠点を配置しています。積水化学工業は50年以上前に海外進出をはたして以降、アジアや北米を中心に事業拡大を続けてきました。
また、ゼロから海外進出をおこなうには時間やコストがかかるため、近年ではM&A(合併買収)による成長戦略で収益性を延ばす動きも見られます。化学業界では、今後も国内外問わずM&Aによる生産・販売拠点の獲得が進んでいくでしょう。
国内化学メーカーランキングトップ10
化学メーカーと聞いても、具体的にどんな企業があるのか知らない人も多いでしょう。そこで次に、国内化学メーカーのトップ企業10社を紹介します。
事業内容や特徴についても解説するので、ぜひ業界研究に活用してくださいね。
- 三菱ケミカル
- 住友化学
- 富士フイルム
- 旭化成
- 信越化学工業
- 昭和電工
- 花王
- 三井化学
- 積水化学工業
- 資生堂
①三菱ケミカルHD
三菱ケミカルHDは、国内化学メーカーで売り上げトップを誇る大企業で、素材から最終製品までを一貫して製造する総合化学メーカーに該当します。生産性の向上や競争力の強化を目的として2017年に三菱化学、三菱樹脂、三菱レイヨンの3社が統合することで発足しました。傘下には、田辺三菱製薬や日本酸素、生命科学インスティテュートを持っています。
基礎化学品や電子材料、ヘルスケア製品など幅広い製品を手がけており、中でもアクリル樹脂原料は世界的に見てもトップクラスのシェアです。海外での売り上げが全体の40%程度を占め、グローバル市場での拡大にも注力しています。また、人や社会、地球のサスティナビリティにも力を入れており、さまざまな社会問題・環境問題を解決する事業を積極的に推進しています。
②住友化学
住友化学は、売上高国内2位の総合化学メーカーです。海外売上比率が68%(2020年度実績)と同業他社に比べて高いのが特徴で、積極的に海外投資をおこなっています。
事業内容はエッセンシャルケミカルとエネルギー・機能材料、情報電子科学、健康・農薬関連事業、医薬品の5本柱。特に、医薬品や農薬・飼料、スマートフォンの部品などを手掛ける情報電子化学事業に強みを持っています。
新卒採用ではクリエイティブスタッフ(総合職)とプロフェッショナルスタッフ、オペレーションスタッフの3職種に分けて募集をおこなっています。
③富士フイルムHD
富士フイルムHDは、ヘルスケア、マテリアルズ、イメージングの3領域で幅広い事業を展開する大手精密化学メーカーです。富士フイルムや富士ゼロックスなどを傘下に持ち、一般消費者にもその名が広く知られています。
もともとは写真フイルムの製造が主力でしたが、デジカメの普及でフイルム市場が急激に縮小したことによりその技術を活かした事業展開を進めています。現在主力となっているのは高機能材料や医用画像システムなどです。化粧品や健康食品など身近な一般消費者向けの商品も手掛けており知名度が高いため、新卒就活では毎年高い人気を誇っています。
④旭化成
旭化成はマテリアル、住宅、ヘルスケアの3領域で事業展開している大手総合化学メーカーです。伝統的な化学工業製品だけでなく、衣料品や電子材料などを幅広く手がけており、時代に応じた変革を遂げています。2019年にはリチウムイオン電池の開発によりノーベル化学賞を受賞し、技術の高さを世界にアピールしました。
サランラップやジップロックといった日用品、住宅事業のヘーベルハウスなど最終製品も手掛けているため、知名度が高く学生からも人気があります。新卒採用では技術職、事務職、MR職に分けて募集をおこなっています。海外展開にも力を入れているため、グローバル思考のできる人材が求められるでしょう。
⑤信越化学工業
信越化学工業は時価総額日本一の化学メーカーです。材料に特化した誘導品メーカーで、自動車やパソコン、スマホなどに使われる半導体ウエハーや、塗料や接着剤に使われるポリ塩化ビニルに強みを持ちます。特に半導体ウエハーは世界でもトップクラスのシェアを占めています。そのほか、電子・機能材料やシリコーン、界面活性剤なども手掛けています。
また、信越化学工業は海外にも製造拠点を広げており、売り上げの7割以上が海外となっています。IT需要の高まりにも応えていることから、今後来るであろうIoT社会においても長期的な成長が見込まれるでしょう。
⑥昭和電工
昭和電工は石油化学や化学品、無機、アルミニウム、エレクトロニクスなどの製品を扱う総合化学メーカーです。日本の大切な資源である水を利用する電気化学工業の将来に注目することから出発しました。現在ではスマホや太陽光発電、自動車の部品、医療用品などを主力としています。2023年には昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)と統合することが決まっており、それによりさらなる技術の強化や事業の育成が期待されています。
昭和電工の特徴のひとつは「個性派企業」を目指している点です。個性派企業とは収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体のことです。現状では事業全体の約3割が個性派事業ですが、2025年には半数以上を個性派事業にするという目標を掲げています。
⑦花王
花王は洗剤や化粧品、ファブリックケア製品などの生活消費財を扱う大手化学メーカーです。ビオレやアタック、バブなど誰でもが知る消費財を多く手がけているため、一般消費者にも広く社名が知られています。その一方、油脂や界面活性剤、水性インクジェット用顔料インクなどBtoB向けケミカル製品も製造しており、全体の約2割を占めています。
また、花王は中期経営計画として環境問題への取り組みやデジタルトランスフォーメーションを目標に掲げました。2025年には過去最高の売上高1兆8,000億円と営業利益2,500億円を実現するという見通しを立てています。これによりさらにグローバルで存在感のある化学メーカーになることが期待されています。
⑧三井化学
三井化学は、三井鉱山の石炭化学事業を発端に100年以上の歴史を持つ総合化学メーカーです。ヘルスケアやICTソリューション、機能性材料など幅広い事業を展開しており、メガネレンズ材料や衛生材料用不織布、自動車材コンパウンドなどで世界トップクラスのシェアを誇っています。持続可能な成長に向けて2030長期経営計画をスタートしており、2025年に営業利益2,000億円、2030年には2,500億円を目標としています。
また、三井化学はアジアや北南米を中心にグローバル展開しており、2018年には海外売上が全体の45%を突破しました。社員の海外在籍比率も41%と高いため、三井化学に就職するならするなら海外勤務の可能性も頭に入れておきましょう。
⑨積水化学工業
積水化学工業は、住宅や環境・ライフライン、医療、自動車などさまざまな分野の製品を手がける大手化学メーカーです。積水化学工業と聞くと住宅のイメージが強いですが、もともとはプラスチック成型加工のパイオニアとして創業した企業です。現在では高機能プラスチック製品の技術を活かしながら、ユニット住宅「セキスイハイム」や建材、介護用設備、自動車向け製品を生産しています。
積水化学工業の強みは外部環境の変化に対応できる安定的な収益の創出です。リーマンショックや東日本大震災など外部環境が変化した際も、常に成長戦略と構造改革を進めることで安定的な収益を生み出してきました。また、アジアや北南米を中心にグローバル展開しており、世界20ヶ国以上で積水化学グループのグローバル人材が活躍しています。
⑩資生堂
資生堂は日本を代表する化粧品メーカーです。スキンケアやメイクアップ、プレグランスなどの化粧品のほかに、レストラン事業や教育・保育事業など幅広く事業展開をしています。化粧品は界面化学や粉体工学、画像解析などの技術が深くかかわってくる分野であるため、広義では化学メーカーのひとつといえます。
化学メーカーは技術力や生産性が肝になる業界ですが、資生堂のようなBtoCメーカーはそれだけでは太刀打ちできません。技術力に加え、消費者が求める使いやすさや雰囲気などで他社との差別化を図るためのマーケティングも重要になってくるでしょう。
そのため、資生堂に入社すると化粧品や日用品を開発するための仕事にとどまらず、商品企画や宣伝、営業など幅広い業務に携わる可能性が高いです。
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化学メーカーの今後の課題
化学メーカーへの就職を考える際には、どんな課題があり今後何が必要になってくるのかを把握しておくことが大切です。そこで次に化学メーカーの今後の課題について解説します。
脱炭素社会への貢献
昨今では世界的にカーボンニュートラルへの関心が高まっており、日本でも2020年に「2050年までに脱炭素社会を目指す」という方針が打ち出されました。この流れを受けて、日本化学工業協会は「カーボンニュートラルへの化学産業としてのスタンス」を策定し、化学メーカー各社は温暖化ガス排出削減に向けた取り組みを開始しました。
たとえば、旭化成は2030年に温室効果ガス排出量を2013年度比で30%以上削減、2050年にはCO2 排出量を実質ゼロにする方針を打ち出しています。
化学業界は、火力発電や鉄鋼に次いで温暖化ガスの排出量が多い産業で、石油化学と言われるほど原油を多く使用する産業です。そのため、技術力の強化だけでなく「いかに脱炭素社会の実現に貢献できるか」ということも事業の安定化に重要となってくるでしょう。
機能化学品の開発
これまで日本の化学メーカーは、エチレンやプロピレンといった基礎化学品と、それをもとに作られる機能化学品の双方に力を入れてきました。しかし、基礎化学品は新興国の化学メーカーとの価格競争を受け、生産能力を段階的に減らしているのが実情です。その代わりに、今後は各メーカーが得意とする分野の機能化学品の開発へとシフトしていく動きが見られます。
たとえば、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構では「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」という取り組みがおこなわれました。
こちらは有機材料メーカーと計算機科学とのコラボレーションにより機能性材料の開発を加速化するというものです。世界で勝負できる機能化学品を開発することが、今後の事業成長の鍵となるでしょう。
キャリアアドバイザーコメント北浦 ひよりプロフィールをみる
化学メーカーの市場規模はIT業界とほとんど変わらず、化学製品は生活に不可欠なので将来的に業界がなくなってしまうことは考えにくいですね。ですが、為替の影響や原油価格の変動、世界情勢に左右されるため、年によって需要が大きく変動することもあります。
2009年に起きたリーマンショックによる金融危機の影響で化学製品の需要が減少したり、逆に2018年には石油化学製品の減量であるナフサの価格上昇で業界の売上が拡大したこともあります。近年では、紹介したような機能化学品の開発などの技術革新により、市場の拡大が予想されていますよ。
このように景気などさまざまな外部要因によって影響を受ける業界ですが、市場規模が大きくこれから市場規模拡大も注目されており将来性が十分ある業界と考えられますね。
化学メーカーの就職に関してよくある質問
最後に、化学メーカーの就職に関してよくある質問にお答えします。化学メーカーへの就職を考えている人はぜひ参考にしてください。
化学メーカーの年収はどれくらいですか?
化学メーカーの年収は企業によって異なるため、業界全体で「だいたいこれくらい」と示すことは難しいです。しかし比較的経営が安定している業界であることから収入面での安定も期待できます。
特に大手の総合化学メーカーや誘導品メーカーは景気に左右されにくく生産性が高いことから、長く働くことによって高収入が期待できるでしょう。実際に、業界最大手の三菱ケミカルの平均年収は、1,000万円を超えています。また、他の大手企業を見ても平均年収は650~900万円となっており他業界と比べて高めの傾向が見られます。そのため、企業による違いはあるものの収入面では比較的恵まれた業界であるといえるでしょう。
文系でも化学メーカーに就職できますか?
文系でも化学メーカーに就職することは可能です。多くの企業の新卒採用では、事務系職種と技術系職種に分けて募集をおこなっていますが、事務系職種であれば文理を問わないことがほとんどです。そのため、文系から化学メーカーに就職する場合は営業や購買、管理部門などの事務職に配属されることが多いでしょう。
ただし、化学業界は採用人数自体が少ない傾向にあり、事務系職種となればさらに採用枠は限られてきます。また、理系から事務系職種を目指す人も少なくないため、ライバルは文系学生だけではありません。そのため、文系学生にとって化学メーカーは狭き門とも言えます。
キャリアアドバイザーコメント津田 祥矢プロフィールをみる
文系でも化学メーカーに就職できることは紹介しましたが、それ以前に化学の専門知識がなくて就職できるか不安な人もいるのではないでしょうか。結論からお伝えすると、専門的な知識がない人であっても内定獲得は十分狙えますよ。
企業が求める人材は、必ずしも化学の専門知識がある学生だけではありません。営業職であればコミュニケーション能力や、提案力が必要になりますよね。このような強みがある人であれば、学生のときには知識がなくても入社後に勉強すれば問題ないです。
このように企業はさまざまな人材を求めているため、事前に勉強しておくことは大いに賛成ですが、化学の知識を持っていることは必須の条件ではないのです。
大学の専攻と異なり化学の専門知識がない人であっても、自分の強みと向き合ってアピールすれば内定獲得に近づきますよ。
化学メーカーに就職するのに英語力は必要ですか?
国内需要の減少や労働力不足といった背景から、多くの化学メーカーは海外進出に力を入れています。特に大手企業はその傾向が強く、国内のみで完結している企業を探すのは困難です。そのため、化学メーカーに就職するなら英語力を付けておいた方が良いでしょう。
特に研究職は論文を読んだり学会発表したりする機会が多いため、英語力は必須といえます。また、英語以外にも中国語やフランス語などさまざま外国語を使う機会が多いでしょう。
新卒採用はポテンシャル重視のため入社時点で完璧である必要はありませんが、TOEICなどのスコアがあると有利になるのは確かです。どうしても語学が苦手な人は国内中心のメーカーを探してみましょう。
化学メーカーの就活で有利になる資格はありますか?
化学メーカーに就職するために何か資格がないといけないということはありません。そもそも新卒はスキルよりも将来性や熱意を重視されるので、今から焦って資格を取る必要はないでしょう。
しかし、化学メーカーで働くうえで役立つ資格をもっておくと採用時に興味を持ってもらえる可能性が高いです。たとえば危険物取扱者(甲種)、TOEIC、知的財産管理技能検定などは入社後もその知識を活用する場面が多いでしょう。そのため、少しでも化学メーカーの就職で有利になりたい人はこれらの資格取得も検討してくださいね。
化学メーカーの特徴や企業を知って就活準備をしよう
化学メーカーは私たちの身の回りにあるあらゆるものやその素材を作る業界です。業界特徴としては、高い技術力が必要であり新規参入が難しいこと、そのため経営も比較的安定していることが挙げられます。したがって、新しい技術で世界中の人々の生活を支えたい人や安定して働きたい人にはおすすめの業界といえます。
ただし、一口に化学メーカーといっても事業内容や強みはさまざまであるため、その違いをしっかり理解しておかなければ内定獲得は難しいでしょう。化学メーカーに興味のある人は、この記事を参考に業界・企業理解を深め就活準備を進めましょう。
化学メーカーとは | 仕事内容から年収・福利厚生まで徹底解説!
キャリアアドバイザーコメント清水 沙也香プロフィールをみる
ここまで国内大手化学メーカーを10社紹介しましたが、中小企業にも優良企業は数多くあります。化学メーカーは企業間取引をおこなうBtoBビジネスなので、大手以外の企業名を聞く機会が少ない傾向があります。ただ、知名度が低い中小企業であっても、世界で必要とされている高い技術を持っている会社は数多くありますよ。
たとえば、炭素繊維のリサイクル事業をおこなっている化学メーカーの「カーボンファイバーリサイクル工業」という企業は社員数が約20名規模の小企業です。しかし、技術力が高く炭素繊維のリサイクル技術は三菱ケミカルよりも高品質とも言われていますよ。
大手企業を魅力的に感じる学生が多いと思いますが、中小企業だからこそ大手より裁量権を持ちやりがいを感じやすいという方も多くいるので、化学メーカーを見ている場合は規模感の違う企業様も見て比較していただいたほうが後悔のない就職活動にできそうです。