【2025年版】化学業界の最新動向と将来性|職種別の志望動機例文

この記事のアドバイザー

職種別の志望動機例文付き! 化学業界で押さえるべきは○○!

目次

  1. 化学業界の現状と将来性をチェックして行動指針を立てよう!
  2. 化学業界とはどんな業界?
  3. 化学業界で働くメリット・デメリット
  4. 化学業界で求められる人の特徴
  5. 3段階で理解! 化学業界のサプライチェーン
  6. 上流:原油や天然ガスなどの原料を精製
  7. 中流:プラスチックや合成ゴムなどの中間製品を製造
  8. 下流:化粧品や電子部品などの最終製品を製造
  9. 化学業界の主要3分類と主な企業をチェック!
  10. ①総合化学メーカー
  11. ②誘導品メーカー
  12. ③電子材料メーカー
  13.  2025年最新版! 化学業界の動向と将来性
  14. 化学業界の最新動向
  15. 化学業界の今後の課題と将来性
  16. 文系・理系別の化学業界の人気職種を紹介!
  17. 理系が活躍する化学業界の職種
  18. 文系も活躍する化学業界の職種
  19. これで迷わない! 化学業界の就職先の探し方3選
  20. ①理系求人に強い就職サイトを活用する
  21. ②キャリアセンターで同業界に進んだOB・OGを紹介してもらう
  22. ③理系専属エージェントに相談する
  23. 職種別に紹介!化学業界の志望動機例文
  24. 例文①研究開発職
  25. 例文②製造・生産技術職
  26. 例文③営業職
  27. 例文④事務職
  28. 化学業界の全体像をつかんで目指すべきかを冷静に判断しよう!

化学業界の現状と将来性をチェックして行動指針を立てよう!

こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。化学業界に興味を持つ学生から、

「化学業界にはどんな仕事がありますか? 」
「化学業界の将来性はどうですか? 」

といった質問をよく受けます。化学業界はとくに理系学生からの人気が高い就職先で、アドバイザーとしても、社会的意義が大きく、やりがいにあふれた就職先としておすすめしている業界です。

ただ、ひとくちに化学業界といっても、業界内には多種多様な企業や職種が存在しています。目指すにあたっては、まずは業界の仕組みや現状、将来性をしっかりと理解することが大切です。

この記事では、化学業界について押さえておくべき基本知識と、おすすめの企業例、理系・文系それぞれが活躍できる職種を紹介します。職種ごとの志望動機例文も解説するので、化学業界への就職を目指している人はぜひ参考にしてください。

※記事内で紹介している企業例は業界内でも知名度が高く、かつ「就活生におすすめしたい企業かどうか」を編集部独自の観点で選定しています。紹介にあたって広告料は一切受け取っていません。

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化学業界とはどんな業界?

化学業界とは、化学反応を利用して原料を中間製品や最終製品に加工し、企業や消費者に販売する業界です。まさに「化学」そのものを中心とした業界といえます。

ここからは、そういった化学業界で働くメリット・デメリット、そしてどのような人材が求められているのかを解説します。一つひとつチェックしていけば、化学業界に就職した場合のイメージが浮かびやすくなりますよ。

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キャリアアドバイザー

必要な原料の調達から加工、製造、販売までの間で多くの企業や職種がかかわっているため、同じ業界内でも多種多様なキャリアパスがあるのも特徴ですよ。

化学業界で働くメリット・デメリット

化学業界で働くメリットは、主に以下のようなものが挙げられます。化学の力をもって社会的な意義のある仕事ができる点を多くの人がやりがいに感じているのが特徴です。学んできた専門的な知識が活かせる環境であるのも魅力の一つですね

化学業界で働くメリット
  • 化学繊維やゴム、農薬、電子材料など幅広い分野で活躍できる
  • 人の暮らしを支える製品を取り扱うため社会貢献の実感を持ちやすい
  • 最先端の技術に携われ、新製品の開発や品質向上に貢献できる

一方で、化学業界で働く場合、次のようなデメリットも存在します。人によってはストレスに感じやすい特徴ともいえるため、就職先として選ぶ前にはよく検討しておくことが大切です。

化学業界で働くデメリット
  • 製品の納期に追われて激務になることがある(主に営業職や生産管理職)
  • 専門性が高く他業界への転職でスキルや知識を活かしにくい
  • 仕事の成果がすぐに出ず精神的に負担を感じる(主に研究職)
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キャリアアドバイザー

どのような仕事にもメリット・デメリットはあるので、自分にとってどちらのほうが大きいか、価値観に沿って考えることが大切です。

化学業界で求められる人の特徴

1つの製品ができるまでに多くの企業や人がかかわる化学業界では、次のような特徴のある人が求められる傾向があります。

化学業界に向いている人の特徴
  • チームワークで成果を出せる人
  • 忍耐強く継続力がある人
  • 多様な業務に柔軟に取り組める人

化学業界のモノづくりの現場では、多様な価値観を持つ人たちとかかわりながら仕事を進めるため、チームワークを重視しながら成果を出せる人材が重宝されやすいです

また、1つの新素材の開発に十年単位の期間をかけることも珍しくないため、地道な努力を積み重ねる忍耐力を持った人が求められます。

さらに、非常に幅広い分野の製品を取り扱うため、化学業界には新しい環境や得意分野以外の業務にも柔軟性を持って取り組める人が向いています。

キャリアアドバイザーが読み解く!化学業界に就職するために準備すべきこと

酒井 栞里

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学部によって必要な準備は異なる

理系で、かつ研究開発職を目指すのであれば、やはり専門的な研究能力や知識を深めることが必要不可欠です。真摯に研究に向き合ったうえで、研究内容をきちんとエピソードとして話せるように準備しておくことが大切です。

文系で、かつ営業職などを目指す場合、企業は「なぜ化学なのか」「なぜその職種なのか」を質問してくる場合が多いです。その点をよく自己分析し、自分の言葉で語れるように準備しておくと良いでしょう。

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3段階で理解! 化学業界のサプライチェーン

化学業界の構造

化学業界では、原料の調達・精製から製品の生産、そして最終製品となって消費者に届くまでの過程を、川の流れにたとえて表現することがよくあります。

上流は原料を生産する企業、中流は原料から中間製品をつくる企業、下流は最終製品を製造・販売する企業、というのが化学業界の3段階構造です。

上流:原油や天然ガスなどの原料を精製

上流には、原油や天然ガスなどの原料を精製する企業が属しています。粗製ガソリンとも呼ばれるナフサを熱分解する方法などを用い、中間製品に必要な基礎化学品を作ります

【用語解説】
  • 基礎化学品
    プラスチックや化学繊維、合成洗剤など、あらゆる製品の原料となる化学品のこと。石油化学基礎製品のエチレンやプロピレンなどが含まれる。
  • ナフサ
    原油の蒸留で得られるガソリンの一種。主に自動車や航空機の燃料や、石油化学製品の原料として利用されている。

中流:プラスチックや合成ゴムなどの中間製品を製造

中流には、プラスチックや合成ゴムなどの中間材料をつくる企業が属しています。こうした中間材料のなかには、耐熱性や耐薬品性など特別な機能を持つ「機能性化学品」もあります。

独自の技術によって差別化を図りやすい川中のメーカーは、基礎化学品を扱う川上のメーカーに比べて利益率が高いのが特徴です

【用語解説】
  • 機能性化学品
    基礎化学品にはない特殊な機能を持っており、多品種少量生産できることが大きな特徴。中流の企業が機能化学品からさまざまな機能性材料を生み出すことで、多種多様な下流企業を形成している。

下流:化粧品や電子部品などの最終製品を製造

下流には、実際に消費者が手にする最終製品をつくる企業が属しています。住宅用の断熱材や食品用ラップフィルム、洗剤や化粧品、電子部品、自動車の部品など、非常に幅広いジャンルのメーカーが存在するのが特徴です

下流に属する代表的なメーカー

キャリアアドバイザーが読み解く!自分がどの段階を選ぶべきか考える際のポイント

乾 花穂子

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それぞれの段階がどのように社会に影響を及ぼしているか理解しよう

それぞれの段階の魅力を知ったうえで、自分の今までの経験はどのようなことにやりがいを感じてきたか考えると携わりたい段階が見つかります。

上流・中流は、身近な商品から航空機の燃料まで欠かせない原料に携われます。そのため、自分1人の仕事が社会に大きな影響を及ぼしていると言っても過言ではありません。社会に大きなインパクトを残せるのは魅力の一つですね。

下流では、自分が携わった商品が直接誰かに貢献をしていることがわかるので、介在価値をより近くに感じられます。社会的に大きな影響を及ぼしたいか、範囲は狭くとも直接誰かに貢献したいかで考えると良いでしょう。

各段階の魅力を自分の経験に当てはめて自己分析してみよう

これらを踏まえて経験を振り返ったときに、たとえば団体競技や部長・サークル長などで部活やサークル全体への貢献にやりがいを感じている人は、広く影響を与える上流・中流がマッチングしやすいですね。

アルバイトなどで直接人とかかわることに魅力を感じている人は、直接貢献する下流の仕事のほうがイメージが湧きやすいでしょう。このように仕事の特徴を知り、経験を当てはめて考えると、納得感を持ったキャリア選択がしやすいですよ。

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化学業界の主要3分類と主な企業をチェック!

化学メーカーの3つの分類
  1. 総合化学メーカー
  2. 誘導品メーカー
  3. 電子材料メーカー

化学メーカーは生産している製品が多様なため明確に区別できませんが、大まかに分類すると3種類のメーカーがあります。

同じ化学メーカーといっても、それぞれのメーカーで扱う製品は大きく異なります。各化学メーカーがどのような特徴を持っているのか確かめ、業界への理解を深めていきましょう。

①総合化学メーカー

総合化学メーカーは、自社で基礎原料から中間材料、最終製品の開発までをすべて一貫しておこなう企業です。基礎原料から生産する総合化学メーカーは非常に技術力が高く、他の化学メーカーより大規模な企業が多い傾向にあります。

総合化学メーカーの主な特徴
  • 上流から下流まで自社で生産しているため、価格を抑えた製品をつくりやすい
  • 企業規模が大きいため、原油価格や為替など外部要因の影響を受けやすい

②誘導品メーカー

誘導品メーカーは、基礎原料を基に、最終製品に必要な中間材料をつくる企業です。化学業界の3段階構造でいうと、中流の部分を担当しています。

消費者とは直接かかわらないため聞きなれない名前の企業が多いかもしれませんが、最終製品の品質を左右する、非常に重要な役割を果たしている企業です。

誘導品メーカーの主な特徴
  • 他のメーカーにはない技術で高い国際競争力を持っている企業が多い
  • 今は安泰な企業でも、将来的に独自の技術や価値を他のものに代替される可能性がある

③電子材料メーカー

電子材料メーカーは、基礎原料や誘導品から半導体、ディスプレイといった電子材料をつくる企業です。電子材料は私たちの生活にも身近な、スマートフォンやパソコンなどの電子機器に使用されています。

電子材料メーカーの主な特徴
  • AI(人工知能)やIoTの発展・普及により電子材料の需要が拡大していて将来性がある
  • 最終製品に近い製品を扱っているため、誘導品メーカーよりも市場のトレンドや需要に影響を受けやすい

半導体業界の動向についてはこちらの記事で詳しく解説していますよ。

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 2025年最新版! 化学業界の動向と将来性

化学業界は、国内における市場規模は非常に大きいものの国際競争力の面では課題があり、とくに石油価格に影響を受けやすいという弱点もあります。そのため現状の課題を解決できる分野に対して、大きな将来性があると期待されていますよ。

ここからは、化学業界の最新の動向と将来性についてくわしく解説します。化学業界を目指すかどうか決める際の参考にしてくださいね。

化学業界の最新動向

化学業界の最新動向

人の暮らしを支える化学業界は市場規模の大きい業界ではあるものの、いくつかの懸念事項もあります。化学業界が現状どのような課題を抱えているのかを知り、業界への理解を深めましょう

①市場規模は大きいが国際競争力の面では盤石とは言い難い

化学工業の製造品出荷額の推移
出典:業界サーチ

化学工業の製造品出荷額の推移 ※経済産業省のデータをもとに作成

総務省と経済産業省がまとめた「2023年経済構造実態調査」によると、2022年の化学工業の製造品出荷額等は約34.3兆円でした。これは輸送用機械器具製造業に次ぐ第2位の数字で、このことから化学業界は国内において非常に市場規模の大きな業界であるとわかります。

しかし、化学産業の基本原料の生産をおこなう「基礎化学」の分野では中国やアメリカの供給能力にかなわず、またアメリカの関税引き上げによって海外への出荷量が減少するなど、国際的な状況をみると日本の化学業界はすべて好調とはいえません。

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「機能性化学品」の分野では高いシェアを誇る材料が多いため、高機能・高付加価値化を中心とした事業展開が求められています。

②原油価格の影響を受けやすい

「石油化学」とも形容されるほど、多くの製品に原油が使用されている化学業界は、原油価格の影響を非常に受けやすい業界です。一般的に、原油価格が下がれば業績に好影響を及ぼし、反対に原油価格が上がれば業績に悪影響を及ぼします。

近年の原油価格の変化
  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、原油価格は大きく落ち込む
  • 2021年以降はコロナ下以前の水準まで戻る傾向にあった
  • 2025年に産油国による供給拡大が決定し、原油価格は再び下がる予想がある

原油価格の上昇は企業のコストを上昇させ、企業収益を圧迫する要因となるため、化学業界でも原油価格の動きに高い関心が集まっています。

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近年は石油化学への依存度を下げるため、天然ガスや石炭、バイオマスなどを総合的に利用しようとする動きも活発化しています。

キャリアアドバイザーが読み解く!化学業界の就職動向

吉田 実遊

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吉田 実遊

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化学業界の就活ハードルは高くなっているがむしろおすすめ

今までは原油の枯渇などは心配されておらず、化学業界は安定と言われていました。しかし、国際競争力の観点では盤石とまでは言いにくいため、新たなチャレンジが求められているのです。

このような業界の現状は新卒採用にも影響しており、以前に比べると就職のハードルが上がっている印象もあります。業界的に専門性や即戦力が求められやすいため、中途採用を積極的に実施している企業も多いのが現状です。

「挑戦心がある人」が求められる

ただし、難しいから就活を諦めてほしいということではなく、むしろチャレンジすることをおすすめしています。それだけ成長に対する意欲が高い業界なので、入社後、自分自身も大きく成長することができます。

新卒採用であれば専門知識や経験が問われないため、経験重視される中途採用よりはハードルが低いとも考えられます。さまざまな経験が積める化学業界で働くことは、長期的なキャリアで考えても必ずプラスになりますよ。

化学業界の今後の課題と将来性

化学業界の今後の課題と将来性

志望する業界・企業を選ぶためには、現在の動向だけでなく、今後の課題や将来性を把握することも大切です。今後の課題を正しく理解しておけば、自分が活躍できるフィールドを発見できるうえ、志望動機や自己PRの材料にもなりますよ

そこでここからは、化学業界の課題や将来性について詳しく解説します。

①脱石油依存への対応

要点のまとめ
  • 日本は原油輸入の90%以上を中東に依存している
  • 国際情勢の影響を受けない「脱石油依存」の対応が必要

原油価格の影響を非常に受けやすい化学業界では、石油化学への依存度を下げることが喫緊の課題です。石油化学だけに依存していると、国際情勢の影響で安定的に原料を得られなくなるリスクがあります。

日本は原油輸入の90%以上を中東に依存していますが、中東は情勢が安定していないため、いつ原油価格が高騰してもおかしくない状態にあります。

<近年の中東の政情・事件>
  • 2019年6月:オマーン湾で日本関係船舶が攻撃される
  • 2023年10月:イスラエルとガザのイスラム組織ハマスの間で衝突が発生する
  • 2025年6月:イスラエルがイランを攻撃して軍事的な緊張が高まる
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こうした政情不安による価格高騰リスクを回避するためにも、化学業界では脱石油依存への対応が求められているのです。

②EV・リチウムイオン電池に期待

化学業界に新たな価値をもたらす分野として期待されているのが、自動車産業とテクノロジー産業を融合させた「モビリティ分野」です。EV市場の拡大を見込み、各化学メーカーは以下のような取り組みに力を入れています。

EV市場の拡大を見込んだメーカーの取り組み
  • 車体の軽量化につながる材料の研究開発
  • リチウムイオン電池関連製品の生産能力増強

たとえば大手化学メーカー・旭化成の場合、非常に軽くて小さいリチウムイオン電池の関連事業に力を入れています。軍用車両や乗用車などの車両の電動化に伴って需要が高まる、リチウムイオン電池の生産能力を増強・整備する方針です。

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従来は顧客の要求に応える請負型のビジネスが主流だったなか、将来的な自動車の材料置換を見据え、提案型ビジネスに移行する化学メーカーの動きも見られます。

③サステナビリティへの取り組み

近年、SDGs(持続可能な開発目標 )をはじめとする社会課題解決への取り組みが加速し、企業にも環境問題や社会的問題において達成すべき目標への貢献が求められています。

【用語解説】
  • SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)
    2015年に国連で採択された国際目標。2030年までに持続可能なよりよい世界を達成するための17のゴールと169のターゲットからなる。

なかでも注目されているのが、企業が環境や社会、ガバナンスに配慮した経営をする「ESG」という概念です。化学業界でも製造過程での温室効果ガスの排出を抑えるなど、ESGのためのさまざまな取り組みが進められています。

【用語解説】
  • ESG
    環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせた言葉。ESGに取り組む企業を高く評価して積極的に投資する「ESG投資」の動きが世界中で進んでいる。

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文系・理系別の化学業界の人気職種を紹介!

化学業界の職種は大きく、技術系職種、営業、事務系職種の3つに分けられます。

化学業界の職種の分類と職種例
  • 技術系職種:研究開発、製造・生産技術などがある
  • 営業:法人営業が中心で、既存顧客を訪問するルート営業が多い
  • 事務系職種:経理、総務、人事、企画管理などがある

各職種の特徴と具体的な仕事内容を確認し、どんなポジションが自分に向いているのかイメージを膨らませることがミスマッチのない進路選択につながりますよ。

ここからは具体的に文系と理系に分けた、化学業界でも特に人気の高い職種を紹介します。

理系が活躍する化学業界の職種

化学に関する高度な知識や研究のノウハウを有する理系の学生の場合、化学業界への就職は有利になります

技術系や営業系、事務系などの職種によって求められる知識の専門性に違いはありますが、いずれの職種でも理系の知識が役立つことは確かです。特に以下の技術系職種では、理系の専門性を存分に発揮することができますよ。

理系が活躍する化学業界の職種
  • 研究開発
  • 製造・生産技術

研究開発

研究開発は、より良い製品を作るための研究で得た成果を、実際の製品として実現していく仕事です。

顧客や他の部署の人と連携しながら、新製品の開発や既存製品の改良をおこないます。新しい価値を持つモノを生み出していくことから、化学業界の数ある職種のなかでも特に高度な専門知識が必要となる職種です。

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研究開発は時間も手間もかかる仕事であるうえ、時には思うような成果が得られずに終わる場合もあります。失敗も成功もすべて糧にして成長しなければならないため、粘り強さや高い集中力が不可欠です。

製造・生産技術

製造・生産技術は、製品の製造工程や生産体制に着目し、効率化や品質維持を図る仕事です。製造の効率化や製品の品質維持、トラブルなく製品を安定的に製造・供給するための管理が主な業務内容です。

生産技術の主な業務
  • 生産装置の開発、設計
  • 生産ラインの設備設計
  • 生産設備の品質維持
  • 製造プロセスの開発、工程設計
  • 人員配置の決定

生産技術が生産ラインの確立および効率化を目指すのに対し、製造技術は製品の各製造工程に着目し、より細かな問題点の解決に努めます。

文系も活躍する化学業界の職種

文系の学生の場合、化学業界で働くなら、多くの場合営業職や事務系職種に就くことになります。

特に、採用される人数が多く就職を目指しやすいのが営業職です。化学の予備知識がなくても入社後の研修を通して顧客に提案できるレベルの知識を身に付けることができますよ

営業

化学業界の営業職は、自社の商品を顧客に提案し、購入・契約につなげる仕事です。

営業の業務内容
  • 既存顧客を対象とした提案活動
  • 新規顧客の開拓・アプローチ
  • 顧客と技術・開発部門の仲介

なかでも化学メーカーの営業活動は、既に取引実績のある顧客を対象とした営業をメインにおこなっているのが特徴です。一般的に化学メーカーは、新規商品を毎月のようにリリースする業界ではないため、既存商品を販売して安定性を保ちつつ新規商品を開発する戦略をとっています。

以下の記事では営業職の志望動機の書き方を解説しているので、営業職希望の場合はぜひ参考にしてみてくださいね。

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営業職は競争が厳しいので、具体性と意欲をアピールした志望動機で差別化を図ることが重要です。 この記事では営業職の志望動機の書き方や例文、アピールになる4つのスキルなどをキャリアアドバイザーが解説します。 動画も参考にぜひ自分なりの志望動機を作ってみてくださいね。

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事務職

経理や総務、人事、企画管理などの業務を担当する事務職も文系におすすめです。

仕事内容は研究部門や製造部門、営業部門などの情報の取りまとめや、ほかの職種のサポートなど、高度な専門知識を持っていなくても活躍できるため、文系にとって特に人気の職種です。

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企業によっては一般事務が営業事務、経理事務、人事事務などの複数の仕事を兼任するケースもあるため、スケジュール管理能力や作業の正確性が求められます。

事務職で求められるスキルについてこちらの記事で確認しておきましょう。

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キャリアアドバイザーが読み解く!文系で化学業界はハードルが高い?

酒井 栞里

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職種によってはハードルが高いとも限らない

文系で化学業界の研究開発のような専門性の高い職種を目指す場合、やはりハードルは高いと言わざるを得ません。しかし営業などの職種の場合、文系にも広く門戸が開かれています。なぜ化学業界を志望するのか、そのなかでもなぜその職種なのかなどの志望動機をしっかり伝えることができれば、十分に就職をかなえることができますよ。

これで迷わない! 化学業界の就職先の探し方3選

これまで解説したように、化学業界には上流から下流までさまざまなタイプの企業があります。そのなかから自分に合う企業をどうやって探せば良いのかと悩んだときは、以下の3つの方法を試してみてください。

化学業界の就職先の探し方3選
  1. 理系求人に強い就職サイトを活用する
  2. キャリアセンターで同業界に進んだOB・OGを紹介してもらう
  3. 理系専属エージェントに相談する

ここからは、それぞれの方法について具体的な取り組み方を詳しく解説します。

①理系求人に強い就職サイトを活用する

化学業界の就職先を探すなら、理系求人に強い就職サイトを積極的に活用するのがおすすめです。理系人材を募集している企業の求人が一箇所に集まっているので、自分の専門や希望条件に合う企業を効率的に見つけることができますよ

理系求人に強い就職サイトの例

ただし上記は理系学生向けのサイトが多いため、文系の人は一般的な就活求人サイトで化学業界の企業の求人を探したり、以下の②の方法を試すことをおすすめします。

②キャリアセンターで同業界に進んだOB・OGを紹介してもらう

学校のキャリアセンターや就職支援課などに相談して、化学業界に進んだOB・OGを紹介してもらうのも就職先探しの一つの方法です。

OB・OGが現在働いている企業について質問できるだけでなく、OB・OGが就活時にどのような化学業界の企業を受けたのかなど、就活に関する内容も聞くことができますよ

OB・OGに質問できることの例
  • 学校での研究を入社後の仕事に活かせるか? 
  • 化学業界で他にどのような企業を受けたのか?
  • 化学業界の就活ではどのようなことをアピールすると良いか?
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実際に化学業界で活躍しているOB・OGに会えば、情報以外にも多くの刺激をもらえ、就活のモチベーションアップにもつながりますよ。

OB・OG訪問に関してはこちらの記事の解説がわかりやすいですよ。

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③理系専属エージェントに相談する

化学業界の就職先探しで困ったら、理系学生専属の就活エージェントに相談する方法もあります。

「研究が忙しくて就活にあまり時間を割けない」「専門性を活かせる企業を見つけられない」など理系ならではの就活の悩みを理解しているので、就職先の提案や就活の進め方に関するアドバイスなど、効果的なサポートを得ることができますよ

理系専属エージェントの強み
  • 理系学生が活躍できる業界や企業に精通している
  • 理系の専門性や魅力を最大限活かす就活の進め方をアドバイスできる

職種別に紹介!化学業界の志望動機例文

ここからは、研究開発、製造・生産技術、営業、事務の4つの職種別に化学業界の志望動機例を紹介します。

例文を参考に、これまでに紹介してきた化学業界の概要や今後の課題を踏まえて、自分なりの志望動機に仕上げていきましょう。

化学業界の志望動機例文
  1. 例文①研究開発職
  2. 例文②製造・生産技術職
  3. 例文③営業職
  4. 例文④事務職

例文①研究開発職

例文

私は新しいモノや技術を自分の手で生み出すことに魅力を感じ、研究開発職を志望しました。

化学業界の研究開発職に興味を持ったのは、コンピュータの計算によって、物質の組成構造を解き明かす手法を確立する研究を続けてきたのがきっかけです。

材料科学と情報科学の融合分野と言われるマテリアルズ・インフォマティクスを深く知るにつれ、それを製品開発という実際のモノづくりに活かしてみたいと思うようになりました。

数ある化学メーカーのなかで貴社を選んだのは、計算化学に特化した部門を立ち上げるなど、業界内でいち早く材料開発に計算化学の手法を取り入れているためです。

貴社でならデータサイエンティストとして、材料開発の一大改革に携われると感じました。

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興味を持ったきっかけと企業を選んだ理由が伝わる志望動機です。面接で具体的な研究内容や実験について聞かれた際、詳しく答えられるように準備しておくと安心です。

※選考の通過率を上げたい人は、志望動機例文集も参考にしましょう
高評価な志望動機を厳選!「志望動機例文集」

例文②製造・生産技術職

例文

私が生産技術職を志望するのは、社会のみならず、企業全体を支えるような仕事をしたいからです。

就活を始めた当初は消費者段階から最も近い最終製品の製造メーカーに興味を持っていたのですが、業界研究を進めるにつれ、高品質な最終製品を作り出すためには上流のメーカーが非常に重要であると気づきました。

消費者と下流のメーカーの双方に大きな影響を与え、さらに企業内で司令塔的な役割を果たす生産技術職であれば大きなやりがいを感じられると思います。

数ある化学メーカーの中から貴社を選んだのは、業界内で最もグローバル化が進んでおり、留学で培った英語力を活かしやすいと感じたためです。

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化学業界のなかでも上流のメーカーを選んだ理由や、生産技術職を選んだ理由が明確に伝わる志望動機です。

例文③営業職

例文

私は「自分の提案が新たなモノづくりにつながる」営業の仕事に魅力を感じ、製品の素材を取り扱う貴社を志望しました。

営業の仕事に魅力を感じたのは、大学時代に経験したアパレルショップのアルバイトがきっかけです。お客様の要望に合わせた提案をすることや、提案した商品を気に入ってもらえることに仕事の楽しさを見出しました。

そのなかでなぜ貴社を選んだのかというと、貴社の企画営業であれば、単に素材を売りつけるのではなく、コーディネーターとしてモノづくりの過程に携われると考えたためです。

自分も世の中のモノづくりにかかわっていると実感できれば、大きなやりがいを持って長く会社に貢献していけます。

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キャリアアドバイザー

アルバイトで営業の楽しさを身をもって体感した経験から、営業職を選んだ理由が論理的でわかりやすい文章です。面接で「なぜ化学業界の営業なのか」をより深掘りして言及できると、さらに説得力のある志望動機になります。

例文④事務職

例文

さまざまな製品を提供して人々の暮らしを支える化学メーカーの仕事に惹かれ、常に業界をリードし続ける貴社を志望しました。

化学メーカーの数ある職種から事務職を選んだのは、幅広い担当領域の作業をコツコツとこなしていく事務の仕事が私の性格に合っていると感じたためです。

大学在学中には一般事務のアルバイトで、電話応対や書類作成、在庫・備品管理などの仕事を経験したため、入社後は事務職の仕事にすぐに適応できます。

また、女性活躍推進チームを設置したり、男性の育児休暇取得を推奨したりといったように、性別にかかわらず誰もが活躍できる職場づくりに力を入れている点も貴社を志望する理由の一つです。

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キャリアアドバイザー

事務職の仕事はどのメーカーでもそれほど大きな違いはありません。その点、この志望動機では企業ならではの取り組みを例に挙げることで、他のメーカーとの差別化ができています。

※選考の通過率を上げたい人は、志望動機例文集も参考にしましょう
高評価な志望動機を厳選!「志望動機例文集」

化学業界の全体像をつかんで目指すべきかを冷静に判断しよう!

この記事では、化学業界の仕組みや働くメリット・デメリット、最新動向、将来性などについて解説し、志望動機の書き方についても紹介しました。

さまざまな観点から化学業界について考えたことで、化学業界とはどんな業界なのか理解が深まり、全体像が掴めたと思います。この機会にぜひ化学業界が自分が理想とするキャリアと合いそうか冷静に判断して、今後の就活に活かしてくださいね。

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