目次
- 例題で対策! ケース面接は正しい解き方を詳しく解説
- ケース面接って何?
- ケース面接の流れ
- 問題の解答を作成する
- 結論と思考プロセスを解説する
- 面接官からの質疑に応答する
- ケース面接で面接官が重視する6つのスキル
- ①ロジカルシンキング力
- ②数学的思考力
- ③独創性
- ④地頭力
- ⑤傾聴力
- ⑥説明力
- ケース面接の代表的な4つのお題を押さえておこう
- 売上推定・売上拡大策
- 利益推定・利益拡大策
- 賛成・反対あるいは二択
- 社会問題の現状・解決方法
- 新規事業の立案
- ケース面接を突破する7つのステップ
- ステップ①前提確認
- ステップ②現状分析
- ステップ③課題特定
- ステップ④施策立案
- ステップ⑤実行計画検討
- ステップ⑥施策評価
- ステップ⑦施策決定
- ケース面接対策では具体的に何をすればいい?
- 基本的な問題を解けるようにする
- 例題を繰り返し練習する
- フェルミ推定以外の問題も解けるようにする
- フレームワーク・理論を押さえる
- ケース面接でボロボロになる5つの原因
- 代表的なケース問題を解いていない
- ディスカッションの対策をしていない
- 現状分析に時間をかけすぎてしまう
- 正確性を意識しすぎてしまう
- 主要な統計数字を押さえていない
- 厳選8社! 企業別ケース面接例題
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例題で対策! ケース面接は正しい解き方を詳しく解説
こんにちは、キャリアアドバイザーの北原です。
「ケース面接の例題が解けずに選考に落ちないか不安です。」
「ケース面接の対策はどのようなことをすれば良いのでしょうか? 」
就活中の学生からこのような相談や質問をされることがあります。たしかに、ケース面接は一般的ではないため、対策方法がわからずに不安な学生もいますよね。中には、例題を練習したものの解き方がわからず、不安を感じている学生もいるでしょう。
ケース面接の対策としては、例題を通じて問題の解き方を知ることが有効となります。ここでは、ケース面接の特徴や流れ、面接官が重視することなどを紹介した後に、例題を通じて頻出問題の解き方を解説しますので、是非参考にしてみてくださいね。
ケース面接についてはこちらの記事でも解説しています。併せて読むことでより理解が深まるのでぜひ参考にしてください。
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ケース面接って何?
そもそもケース面接とはどのような面接がおこなわれるのか具体的なイメージが湧いていない学生もいるのではないでしょうか。
- 面接官がクライアントの立場で提示した問題に対し、その場で解決策を提示する面接のこと。ケース・インタビューとも言われコンサルティングファームなどの面接で採用されている。
提示される問題には、コンサルタントが実務で問題解決をする「経営課題」が多い特徴があります。問題を個人で解いたのちに採用担当者からのインタビューがあり、回答方法や回答に対する説明をするまでがケース面接です。
時間内で企業の課題をどのように解決をするのか、「思考プロセス」や「課題解決方法」を採用結果に活かしています。
また、ケース面接と似た言葉でケース問題というものもあります。ケース問題についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてくださいね。
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ケース面接の流れ
ケース面接の概要を紹介しましたが、具体的にどのような流れで面接が進むのかを把握することも重要な対策のひとつです。ケース面接の流れを事前に把握することで、面接当日に焦らずに回答することができます。
ここからはケース面接がどのような流れでおこなわれるのか解説します。
問題の解答を作成する
面接官から課題が出題され、まずはその課題に対して個人で回答を作成します。回答の作成には制限時間が設けられており、また、ケース面接の中にはひとつの課題だけでなく複数について分析がもとめられることもあります。たとえば、「市場規模」を概算した上で「市場規模を拡大するための施策について」などです。
回答時間は15〜40分間で解くことが一般的で、複数の課題が出題される方がより長い時間が与えられます。
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解答の作成方法は企業によって異なります。面接官の前でおこなうこともあれば個室に案内されることもありますよ。
結論と思考プロセスを解説する
問題の解答を作成した後に、クライアント役である面接官に対して口頭で結論と思考プロセスのプレゼンテーションをおこないます。
実際のコンサルティング業務でもプレゼン資料を作成するだけでなく、クライアントに対して説明をすることがもとめられるため、回答後に考えたことを面接官へわかりやすくアウトプットすることが必要になります。
プレゼンでは下記の内容を、2〜5分間で簡潔にまとめて回答する必要があります。
- 最終的な回答
- 回答に至るまでの根拠
- 最終的な回答以外の回答案
- 回答案それぞれの効果の高さ
面接官からの質疑に応答する
プレゼンを終えたあとは、面接官からプレゼン内容についての質問やディスカッションをおこないます。質問については説明が不十分であった箇所に関する質問や補足説明がもとめられます。また、回答のプロセスや最終的な回答に対して、論理的な矛盾があった場合に指摘されることがあります。これに対して自分の意見をまとめて的確に回答することがもとめられますよ。
ディスカッションでは改善案や反対意見を面接官から言われることもあるため、面接官の案や意見に対して自分の考えを整理し、伝えることがもとめられます。このとき、面接官の改善案がより良い案であると感じた場合には、改善案を取り入れてより良い案をディスカッションの中で作り出すことも必要になりますよ。
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ケース面接では数字などの根拠を元に回答することが必要です。根拠がないことや曖昧なことを答えると、入社後にも社内コミュニケーションや顧客への提案に対しても曖昧な回答をしてしまうのではとマイナスな印象を持たれてしまいます。また入社後に根拠のない回答をしてしまうと、顧客の経営状況に影響することもあるため、ケース面接を実施している企業は特に回答の根拠を重視していますよ。
根拠をセットで回答するためにはPREP法を意識することも効果的ですよ。PREP法は、結論のあとに理由や根拠を伝えるプレゼンテーションの型です。この型を使ってケース面接で回答すると、根拠がない回答を避けることができます。ただし、日常的なコミュニケーションではPREP法を使う機会がないため、練習をしなければ使いこなせません。面接練習をするなどして、PREP法を使いこなせるように練習をしておきましょう。
ケース面接で面接官が重視する6つのスキル
- ロジカルシンキング力
- 数学的思考力
- 独創性
- 地頭力
- 傾聴力
- 説明力
ケース面接の全体の流れを把握した後は、面接でどのようなことが重視されているか把握することがポイントです。面接官が重視しているポイントを把握することで、自分の強みを活かすことができたり、弱みがあれば面接までに克服することができたりしますよね。
ここからは、ケース面接で面接官が重視する6つのスキルを紹介します。
①ロジカルシンキング力
ケース面接で出題される経営課題は、さまざまな要素が絡み合っているため、漏れなく重複なく分析をする必要があります。そして、課題を解決するためには、論理が飛躍することなく筋道を立てて考えることがもとめられ、このときに必要なスキルがロジカルシンキング力です。
たとえば「売上」を導き出す際、「客単価×客数」に分解に加え、「実店舗売上+オンラインショップ売上」などの売上の種類別に計算しなければ、適切な分析ができないこともあります。課題に対する解決策を論理的に分析(ロジカルシンキング)できなければ漏れが生じ、回答が異なってしまいまうでしょう。
②数学的思考力
ケース面接だけでなく実際の仕事でも、コンサルタントは数字を使って分析するシーンが多いです。たとえば、売上や利益率など課題分析に欠かせないデータはすべて数字で表されています。これらの数字を使って計算をしたり仮説を立てたりするため、数学的思考力が必要になります。
また、データや数字が与えられていないケースでは自分で数値を見立てる必要があります。このときにも、自分が知っている数字やデータを使って計算をし、実際に近い数字を算出することがもとめられるでしょう。コンサルタントとして就職した後にもこのスキルは必要になるため、数学的な思考力は計算をするとき以外にも活かされますよ。
③独創性
ケース面接では最終的な答えが合っているかどうかではなく、思考のプロセスに焦点を当てています。企業ごとの課題は多岐に渡るため、唯一の答えがあるような経営課題はありません。そのためケース問題の課題では、思考の独創性があるかについても注視しています。
独創性を出すためには、これから例題で紹介するようなフレームワークや型を用いたうえで考えることが有効です。しかし、教科書通りに考えて答えを出すだけでは、人が介在する価値がなくなってしまいますよね。自分の経験を活かしたアプローチや考え方をできるように練習することももとめられるでしょう。
④地頭力
地頭力とは、フレームワークや過去の事例に頼らずに自分の頭で考えることができる力のことです。自分の知識や過去の事例を当てはめることで、同じ失敗を繰り返さないというメリットがあります。
しかし、別の事象にもかかわらずに過去の事例に当てはめてしまい、失敗してしまう可能性もありますよね。このような失敗に陥ってしまうと、コンサルタントとしては価値を発揮することができません。そのためケース面接では、過去の事例に当てはめるだけでなく、地頭力を活かして課題解決ができるかどうかも重視されています。
⑤傾聴力
ここまでに説明したスキルは自分の頭を使う「考える力」が中心でしたが、ケース面接では、ケース面接ではクライアントと円滑にコミュニケーションを取るための傾聴力も図っています。ケース面接では、面接官からの質問やディスカッションで傾聴力が図られています。
実際の仕事では、データが与えられるのではなく社員へヒアリングをしてデータを収集することもあります。そのときに、傾聴能力がなければ話を引き出すことができないですよね。そのため、思考力だけでなく話を聴く力も重視されているのです。
⑥説明力
クライアントの話を聞き、頭で課題を考えて終わりではありません。ケース面接でもプレゼンの時間がありますが、クライアントが理解できるようにわかりやすく解説する説明力ももとめられています。
専門用語や聞き馴染みがない用語を使用するとプレゼンの内容を理解できず、クライアントは実行に移すことができなくなってしまいます。そのため、誰が聞いてもわかるように相手の目線に立って説明するスキルがもとめられています。
キャリアアドバイザー
説明をするときには言葉の選び方だけでなく、話の構成や声の大きさ・速さ、身振り手振りなども意識しましょう。
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ここまでに紹介したスキルを身につけることに、ハードルの高さを感じている人もいるのではないでしょうか。たしかに、これらのスキルは社会人にもとめられるスキルなので、普段の学生生活で身につけることはハードルが高いです。
スキルを身につけるためには、面接練習をして長い時間をかけてトレーニングすることがおすすめです。より力をつけるためには、ケース面接を実施している企業で活躍している社員へOB・OG訪問をしてスキルを身につけることがおすすめですよ。ケース面接で重視されるスキルは、すでにケース面接を経験した人でなければアドバイスができません。より実践的なスキルを身につけるためにも、アドバイスを受けられる人を見つけることにも取り組みましょう。
またケース面接で必要なスキルは、数回練習しただけではマスターできません。そのため短期で学ぼうとするのではなく、長期間かけて対策することがポイントです。面倒に感じるかもしれませんが、早期から対策をしてほかの学生と差をつけましょう。
ケース面接の代表的な4つのお題を押さえておこう
ケース面接で重視されている点について説明しましたが、次は具体的な問題について解説します。ケース面接で出題される内容は、代表的なものが4つあります。これらを押さえることで、パターンに当てはめて解くことができますよ。
売上推定・売上拡大策
店舗や飲食店などの売上を予測して、予測した売上をプラスにする方法を考えるケースは頻出問題のひとつです。たとえば、「東京23区のタクシー1台当たり1日の売上と売上を+20%にする方法」や「ラーメン屋の売上推定と売上を+50%にする方法」などです。
このような売上推定をする問題は「フェルミ推定」を用いて問題を解きます。フェルミ推定とは、実際には調査をするハードルが高いことを、すでにわかっているデータを活用して論理的思考を元に推定する方法です。たとえば、「東京都内にあるマンホールの数」や「日本のショートケーキの1日の売上」などが例題としてよく取り上げられます。
フェルミ推定について詳しく知りたい人は、こちらで解説しているので参考にしてみてくださいね。
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利益推定・利益拡大策
はじめに紹介した代表パターンは「売上」でしたが、2つ目のパターンは「利益」を予測して、予測した利益をプラスにする方法を考えるケースです。利益は売上と異なり、売上から費用を引いたものになります。そのため、売上だけでなく下記のような各種費用を推定して利益を算出しなければなりません。
ただし、費用については専門的な知識がなければ正しい金額が推定できないため、下記に示す割合を仮定して計算しても問題ありません。
- 人件費(30%)
- 原価(30%)
- 家賃(10%)
- 光熱費(10%)
これらを計算することで、「売上推定・売上拡大策」と同じように施策を検討します。
賛成・反対あるいは二択
社会で議論されている問題に対しての是非を問う問題もケース面接では出題されます。たとえば、「銃規制に関する賛否」や「学校に制服は必要かどうか」「医師の数を増やすべきかどうか」などが挙げられます。このようなテーマが面接官より伝えられ、テーマの賛否の意見と理由を回答するパターンが「賛成・反対あるいは二択」のケース面接です。
細かい条件が設定されないことが多いため、自分で定義付けや条件を設定して是非を考える必要があります。
主なやり方として、まずは定義付けや条件設定をした後に、課題に対するメリット・デメリットを整理します。その後、デメリットが解消できるのであればテーマに対して「賛成」、またはデメリットが消化できない場合にはテーマに対して「反対」を主張するという流れになります。
社会問題の現状・解決方法
世の中には「満員電車」や「保育園の待機児童」「少子高齢化」などさまざまな社会問題がありますよね。これらに対する現状を推定した後に、推定結果を元に問題解決の方法を考えるケースも出題されます。
社会問題に関する問題は、定量化をして現状の整理と解決方法の検討をすることがもとめられます。たとえば、満員電車であれば利用者数や乗車率を数字で表すことができます。また、待機児童についても同様に保育園の数と児童の数、待機児童数を定量化することができるでしょう。
このように数字を使って整理すると、どこに課題があるのか明確になるため、解決方法を考えることができます。たとえば、「電車の本数を増やすことができず利用者が多い」ということが分かれば、利用者が時差出勤やリモートワークを活用することが解決方法として考えられますよね。
新規事業の立案
企業は時代の変化に対応するためや収益拡大のために新規事業に取り組むことがあります。そのような場合は外部のコンサルタントが支援するケースが多く、実際の仕事を想定したケース面接として新規事業の立案がテーマになることもあります。
新規事業の立案では、実現したい目標から決める必要があります。たとえば、「5年後に売上10億円を目指すビジネス」などです。目標は売上だけでなく既存のビジネスを活かす、「売上・利益の拡大」や「ブランド価値の向上」「カスタマーリレーションの向上」などのケースもありますよ。
ケース面接を突破する7つのステップ
ケース面接で出題されるテーマをみて、面接で解けるか不安に感じた学生もいるのではないでしょうか。実は、ケース面接で出題されるテーマには解き方があるため、解き方をマスターするとスムーズに解くことができますよ。
ここからはケース面接で面接官に評価されるための解放のステップを解説します。
ステップ①前提確認
まずは出題されたテーマの背景となる前提を確認することがポイントです。「どの立場から考えるのか」や「どのような状況なのか」によって、考える方向性が大きく異なります。たとえば、「保育園の待機児童」の例で考えると「保育園の立場」あるいは「日本政府の立場」「市区町村の立場」で実施できる施策が異なりますよね。また、対象とする「保育園の地域」や「保育園の規模」によっても異なります。
- 語彙の定義
- 施策の実行主体
- 目標の具体化
- 期間
このように前提条件を設定しなければ、回答を進める途中でさまざまな視点が重なり、一貫性がある現状の整理と施策の検討ができません。まずは前提条件を設定しましょう。
ステップ②現状分析
前提を整理した上で、次は設定されたテーマの現状をビジネスモデルなどを元に分析します。現状分析のステップで細かく分析ができるかどうかで、今後のステップの良し悪しが決まると言っても過言ではありません。
たとえば、飲食店の売上を分析すると「客単価」と「客数」に分けることができます。そして、「客単価」は「商品単価」と「注文商品数」に分けることができますよね。さらに「客数」は、「座席数」と「回転率(どれくらいお客様が入れ替わるか)」「稼働率(どれくらい席が埋まっているか)」「営業時間」に分解することができます。このように分解することで、次のステップである課題の特定をしやすくなるのです。
また、テーマによっては業界全体を俯瞰することがもとめられることもあり、このときには市場全体の現状分析も必要になります。業界全体の売上や顧客のニーズ、競合他社とのシェアの比較などです。
ステップ③課題特定
現状分析をした上で、テーマの課題となる要素を特定することが次のステップです。現状分析で導き出した要素に加え、足りない情報や条件などを仮定し、課題を導き出しましょう。
仮定をする際はさまざまな要素を想像する力が必要です。飲食店の客数を例にあげると、ランチタイムとディナータイムの人数や客層が異なることはもちろんですが、次の日が休日であるか、または曜日によっても客数や売れる商品が変わってくることが想像できますよね。
課題特定では様々な要素を想定したうえで仮説を立てることが、次のステップの「施策立案」でより具体的な提案をすることができるようになるでしょう。
ステップ④施策立案
課題を特定した後は、前のステップで特定した課題を解決するための施策を検討します。ここでは施策をひとつに絞るのではなく、いくつか施策を考えましょう。複数の施策を検討した後に、最終的にひとつに施策を絞る流れで進めます。ただし、費用がとてもかかる施策や実現するために長期間を要する施策の場合は、後に検討する時間をかなりとってしまうため削除するようにしましょう。
たとえば、前のステップで特定した課題が「カフェの夜の時間帯にお客さんが少ないこと」であるとします。この場合に考えられる施策としては、「夜の時間帯にアルコールの提供をする」や「夜の時間帯の限定メニューを始める」「スペースの貸し出しをおこなう」などが挙げられます。
ステップ⑤実行計画検討
施策を検討した後に「実行計画検討」のステップでは、それぞれの施策を実行することを前提により具体化をして検討します。具体的な施策の計画を検討をするときには、後に紹介するフレームワークを活用します。
たとえば、ケース面接のテーマが「売上・利益拡大策」や「新規事業立案」の場合には、自社商品やサービスに関する検討が必要です。このときに、マーケティングで活用するフレームワークである「4P分析」を活用すると、整理すべきことが「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」の4つと判断ができます。
ステップ⑥施策評価
計画まで検討した後に、それぞれの施策の評価をおこないます。
施策評価では、前のステップで検討した「実現可能性」に加えて、実行することによってインパクトがあるのかどうかを評価します。限られたケース面接の時間内では、すべての施策に対して定量的に良し悪しを計算する時間がありません。そのため、定性的にも各施策を評価することがもとめられますよ。
ステップ⑦施策決定
ここまでに準備した内容を元に施策の決定をおこないます。そして施策を決定した後には、仮説や見立てが達成できているかどうかを判断します。たとえば、売上10%アップなのであれば、実際に10%以上アップするのかどうかを判断するということです。
実際に効果があることが確認できたら、この内容をまとめて面接官へプレゼンをおこないます。もし、当初に想定していた効果が見込めないのであれば、決定した施策の課題についても解説できるように整理をしましょう。
ケース面接対策では具体的に何をすればいい?
ケース面接は紹介したとおり意識すべきポイントが多いため、正しい準備が面接結果を大きく左右します。ここからは、ケース面接を控える学生がすべき対策について詳しく解説します。
基本的な問題を解けるようにする
他の学生と差をつけるためには、応用問題を解く必要があると考える学生がいるかもしれません。しかし、ケース面接で高評価を得るために最も大切なポイントとして、まずあ基本的な問題を解けるようにしておくことが重要になります。
応用問題はケース面接で出題される基本的な問題を解けるようになった上で練習しなければ、自己流の解き方になってしまう可能性が高いでしょう。応用問題の対策をするよりも前に、まずは内定獲得する他の学生も解くことができる基本的な問題を解けるように訓練してくださいね。
例題を繰り返し練習する
ケース面接の対策をするときに、どの題材にも答えられるように多くの例題を解こうとする学生がいます。しかし、この対策方法が適していない学生も多いため注意が必要です。たしかに、面接に備えて問題数をこなすことが重要ですが、やはり基本的な問題を高い精度で回答できることの方が重要です。
まだ基本的な問題をスムーズに解くことができない学生は、同じ例題を繰り返し練習することがおすすめです。例題を繰り返し解き基本的な問題をスムーズに解けるようになると、応用問題もスムーズに解くことができるようになります。そのため、焦らずに基礎から学習することが大切ですね。
フェルミ推定以外の問題も解けるようにする
ケース面接の問題は「フェルミ推定」を活用する問題が多いですが、それ以外の問題も回答できるように準備しましょう。たしかに、売上や利益に限らず現状を整理するときに数値やデータを推定することはあります。しかし、フェルミ推定を活用することに固執すると、フェルミ推定を活用しないテーマが出題されたときに適切な回答ができなくなってしまいます。
フェルミ推定を活用しないケースとしては、次に紹介するビジネスフレームワークを活用するケースが挙げられます。
フレームワーク・理論を押さえる
- 4P分析
- 3C分析
- SWOT
- AIDMA
- ジェイ・エイブラハム理論
限られた時間で課題を整理して施策や意見を出すためには、すでに活用されているビジネスフレームワークを活用することがおすすめです。フレームワークを活用すると、必要な情報を当てはめるだけで整理できるため、漏れなく重複なく必要な情報を知ることができます。ここでは、代表的な5つのフレームワークを紹介します。
4P分析
4P分析のフレームワークは、「どれくらいの価格」かつ「どのような流通経路」で商品やサービスを販売するかを検討するときに活用します。
- Product(製品):商品・サービス
- Price(価格):商品・サービスの価格
- Promotion(販売促進):広告手法(ネット広告、電車内広告、街頭広告など)
- Place(流通):展開場所(都心、駅ビル、オンラインなど)
商品やサービスの特徴が4つにわかりやすく分類されているため、新規事業を開拓するときや競合他社との比較をするときに主要な情報を整理できます。
3C分析
3C分析のフレームワークは、企業を取り巻く環境の分析をするときに活用します。また、自社と競合を分析するときには、前に解説した4Pを当てはめることで比較をすることもできます。
- Company(自社):自社のニーズ、価値提供、4P、リソース
- Competitor(競合):競合のニーズ、価値提供、4P、リソース
- Consumer(顧客・市場):市場や顧客のニーズ
後に紹介するSWOT分析では「市場」についても考えるため、マーケット全体を俯瞰して整理します。一方で、3C分析ではマクロな目線では考えずにミクロ視点でマーケットの分析をおこなうフレームワークです。
SWOT
SWOT分析のフレームワークは、戦略策定や経営資源の最適化を検討するときに活用します。
- Strength(強み):自社・自社商品の強み
- Weakness(弱み):自社・自社商品の弱み
- Opportunity(機会):社会や市場の変化など外部のプラス要因
- Threat(脅威):社会や市場の変化など外部のマイナス要因
法律や社会の流行などマーケット全体に対する外部の要因を考えなければならないときに、SWOT分析を活用すると課題が整理しやすくなります。また、外部要因をきちんと整理することで、新規事業を検討する際に将来的に持続可能かどうかを判断することできますよ。
AIDMA(アイドマ)
AIDMAは消費者の購買決定プロセスのフレームワークです。このフレームワークを活用することで、「社会問題の現状・解決方法」や「新規事業の立案」のケース面接において活用することができます。
- Attention(認知):商品やサービスについて知る
- Interest(関心):商品やサービスに興味を持つ
- Desire(欲求):商品が欲しい、サービスを利用したい欲求を感じる
- Memory(記憶):商品やサービスを記憶する
- Action(行動):商品の購入、サービスの利用をする
たとえば、「とあるボランティア活動参加の現状と解決方法」というテーマを考えてみましょう。AIDMAのフレームワークに当てはめることで、ボランティアを認知してから参加するまでのどの段階に課題があるのかを特定することができます。
認知に課題があるのであれば、広告宣伝の施策を検討すべきということがわかりますし、ボランティア参加への興味につながる要因がないのであれば参加賞を検討すべきことなどが見えてくるでしょう。
ジェイ・エイブラハム理論
アメリカの経営コンサルタントであるジェイ・エイブラハムによると、売上をアップさせる方法は下記の3つと言われています。
- お客様を増やすこと
- 単価をあげること
- 購入頻度を増やすこと
ケース面接で「売上拡大策」と「利益拡大策」のテーマが出題されたときには、この理論に当てはめることで、施策の検討をスムーズにすることができます。
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入社するまでにフレームワークや理論など覚えることが多く、ハードルが高い印象を持っている学生がいるかもしれません。たしかに、ケース面接を課していない企業に比べると、覚えることが多くて対策に時間がかかりますよね。
しかし、フレームワークや理論は入社後にも活用する知識なので、ケース面接を通じて必要なスキルが身についているのか判断しているとも捉えられます。ほとんどの企業では、入社したあとに研修期間があるため、完璧にこれらのフレームワークや理論を理解しなければならないという訳ではありません。しかしケース面接を実施している企業では特に、会社が提供する研修以外に自ら学ぶ姿勢がもとめられます。そのため、研修などを与えられなくても自分で学ぶことができるのかも試されていますよ。
ケース面接に限らず、面接で聞かれることや課される課題は入社後に必要になることがほとんどです。面接の形式から企業がもとめることを判断することも重要ですね。そのため、入社後に必要になると捉えて、フレームワークや理論はきちんと学びましょう。
ケース面接でボロボロになる5つの原因
ここまでに紹介した面接対策をすると、実際にケース面接でも面接官に評価される回答をすることができます。しかし、対策をしても思い通りにケース面接で回答ができなかったという学生が毎年います。
ここからはケース面接で失敗しないために、過去にケース面接で失敗してしまった学生の事例を共有します。自分が当てはまっていないか確認をしながら読み進めてくださいね。
代表的なケース問題を解いていない
ここまで紹介したとおり、ケース面接には代表的な5つのパターンがあります。このパターンを対策していれば、いずれかに分類することができるため、面接でも回答することができます。
しかし、これらの問題をきちんと練習していない学生は、緊張感がある面接の当日になって回答する方針が曖昧になってしまうことが多く、時間内に回答することができなくなってしまいます。緊張するシーンであってもパフォーマンスを発揮できるように、基本的な問題を練習しておくことがポイントですね。
ディスカッションの対策をしていない
企業によっては面接官とのディスカッションが用意されることがあると紹介しました。しかし、このディスカッションはひとりで対策をすることができないため、多くの学生がディスカッション対策をしていません。すると、当日になってディスカッションの進め方がわからずに、論理的な回答ができなってしまう学生が多いので注意が必要です。論理的な回答ができずに曖昧な回答をしてしまうとケース面接の評価が下がってしまいます
与えられたテーマに回答するだけでなく、自分の回答に対して「別のデータがあると結論は変わるか」や「別の条件を加えたときには回答が変わるか」など考察をするように訓練することも大切です。
ディスカッションにはグループディスカッションもあります。グループディスカッションについてはこちらの記事で解説していますので、併せて参考にしてみてください。
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現状分析に時間をかけすぎてしまう
回答のステップを解説したときに、現状分析が大切だと説明しました。しかし、この分析に時間をかけてしまうと後のステップに時間が確保できず、「施策立案」と「実行計画検討」「施策評価」を考える時間がなくなってしまいます。
時間がなくならないために、各ステップにどれくらいの時間をかけるのか意識してケース面接の練習に取り組みましょう。時間配分のイメージが湧いていない学生は、下記の時間配分で解くことを練習してください。
- ステップ①前提確認:2分
- ステップ②現状分析:3分
- ステップ③課題特定:1分
- ステップ④施策立案:2分
- ステップ⑤実行計画検討:1分
- ステップ⑥施策評価:3分
- ステップ⑦施策決定:3分
正確性を意識しすぎてしまう
論理的に考えられることをアピールするために、データを詳細に算出すべきと考える学生がいるでしょう。もちろん、正確なデータが短時間で用意できるのであれば用意すべきです。しかし、ケース面接は限られた時間の中で結論を出すことがより重要となるため、正確なデータを算出することにこだわりすぎて時間が足りなくなってしまった場合は、大幅な減点対象となってしまう可能性がありますが。
ケース面接では、答えを導き出すことよりも思考プロセスや筋道の良い仮説が立てられているかどうかが判断されます。細かいデータにこだわりすぎず、限られた時間で結論を導くことを意識しましょう。
主要な統計数字を押さえていない
ケース面接ではフェルミ推定を活用して数字を推定しますが、推定するためには主要な統計数字を押さえる必要があります。たとえば、日本人の平均年収について600万円と見立ててしまうと、実際の430万円とは大きな乖離があります。すると、見立てが事実から大きく異なってしまいますよね。
これから紹介する主要な統計数字は、ケース面接で必要になるため必ず覚えましょう。
- 人口:1億2,500万人
- 平均寿命:84歳
- 世帯:5,000万戸
- 平均世帯人数:2.5人
- 国土面積:38万平方キロメートル (30%平地、70%山岳地)
- 小学校の数:20,000校
- 中学校の数:10,000校
- 高校の数:5,000校
- 短期大学の数:300校
- 大学の数:750校
- 大企業の数:1.1万社
- 中企業の数:55万社
- 小企業の数:330万社
- 給与所得者:5,000万人
- 平均年収:430万円
- フリーター人口:200万人(若年層)
- フリーター平均年収:100万円
- 地球の直径:12,000km
- 地球の円周:40,000km
- 地球の表面積:5億キロ平方メートル(海70%、陸30%)
面接本番まで時間がない人は、頻出質問の模範解答だけでも必ず押さえておこう
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厳選8社! 企業別ケース面接例題
ここからは実際にコンサルティングファームのケース面接で出題された例題を紹介します。興味あるコンサルティングファームの過去問題を解き、傾向と対策を掴んで他の学生と差をつけましょう。
マッキンゼー・アンド・カンパニー
マッキンゼー・アンド・カンパニーはアメリカ本社の戦略コンサルティングファームで、世界で最も権威性あるコンサルティング会社のひとつで「BIG3」と言われています。世界65カ国に130支店あり、コンサルタントが国境を超えてプロジェクトにかかわっています。国籍に関係なく業種別(エネルギー、ヘルスケアなど)、機能別(コーポレートファイナンス、組織など)のグループに分かれてプロジェクト運営がされています。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのケース面接は、網羅的かつ構造的に考えるテーマが出題される傾向があります。たとえば、「できる限り述べよ」や「他に施策はあるか」などは面接官からの口頭試問でも聞かれることがあります。また、資料が提示されて計算するテーマも出題されたことがあります。
- とあるスーパーの酒部門の売上が減少している。その原因を特定せよ。
- ビジネス街にある定食屋の利益が減少している。その原因を分析せよ。
- ある企業X社は売上が減少している。資料をもとにその原因を検討せよ。
- アメリカのある地方銀行の利益率を改善するために、
・打つことができる施策を網羅的に列挙せよ。
・グラフを見て読み取れることをできる限り多く列挙せよ。 - ある大手ゼネコンのクライアントから費用削減について意見をもとめられている。
・かかる費用はどのようなものがあるか。
・グラフを見て、どのようなことを感じたか。
・グラフの数字を用いた計算問題
例題
ビジネス街にある定食屋の利益が減少している。その原因を分析せよ。
マッキンゼーのケース面接では、グラフや資料をあわせて活用する問題が出題される傾向があります。ただし、資料は面接でのみ共有されるものなので、ここでは原因分析の例題をピックアップして解説をします。
キャリアアドバイザー
定食屋が題材になっているためわかりやすいですが、他の例題のように「アメリカにある地方銀行」や「大手ゼネコンのクライアントの費用削減」など馴染みがない分野からも出題されます。解法の基本を押さえて、類似問題もスムーズに解けるように訓練しましょう。
解答
◇前提確認
- ビジネス街:大手町を想定する
- 定食屋:和食料理をメインに提供している
- 営業時間:11:00〜14:00・16:00〜20:00
- 定休日:土日祝日
- 昼客単価:1,000円
- 夜客単価:1,200円
- キャパシティ:30席
- 利益 = 売上 – 費用
- 売上 = 客数 × 客単価
- 客数 = 営業時間 × キャパシティ × 稼働率 × 回転率
- 店舗改装や営業時間の変更・メニュー・金額の改定はおこなっていないとする
◇現状分析
現状分析は、3C分析と各セグメントを4P分析をすることで整理することができます。市場については、前提条件で大手町を想定しているため、大手町の特徴と近辺で働く会社員を想定して特徴を整理します。
- 市場・顧客
・大手町はビジネス街で会社員が多い特徴がある
・会社員をターゲットとした飲食店が多い
・少しでも価格を抑えて早く食事を済ませたい
・SNS活用をして飲食店リサーチをする層が増えている - 気候変動による食材費用の増加傾向がある
- 自社
・和食料理を提供している
・昼客単価:1,000円/夜客単価:1,200円
・大手町の飲食店街にある
・プロモーションは特におこなっていない - 競合
・洋食・中華・和食など多数あり
・昼客単価:1,000円/夜客単価:1,200円(同価格帯)
・大手町の飲食店街にある
・リピーター獲得のクーポン発行を始めている
◇課題特定
現状分析をすると、市場のニーズと他社との違いが明確になるため、課題を見つけることができます。今回であれば、価格や立地、商品・サービスは変更されていないため、競合とのプロモーションの違いと市場のニーズの変化に注目しましょう。すると、このような利益減少の原因が考えられます。
- リピーター獲得プロモーションを実施していない
- 売上に対する費用の増加
- 洋食への注目による和食の需要の低下
ベイン・アンド・カンパニー
ベイン・アンド・カンパニーはアメリカ本社で世界38カ国に支店がある戦略コンサルティングファームです。マッキンゼーと同じく「BIG3」のうちの一社です。ベイン・アンド・カンパニーは、成長環境とワークライフバランスが重視されている特徴があり、働きやすい環境と言われています。顧客の成果にコミットする風土があり、クライアントからも高い信頼を得ている特徴があります。
ベイン・アンド・カンパニーのケース面接は、フェルミ推定から売上向上策を内容が頻出テーマとなっています。
- iPhoneケースの市場規模を推定せよ。また売上向上施策を考えよ。
- 中堅お菓子メーカーの売上向上施策を述べよ。
- ナイジェリアのアルミ缶メーカーの戦略を考えよ。
- 家電量販店(ヤマダ電機)の市場規模が伸び悩んでいる。
・その理由は何か?
・ヤマダ電機がこれからすべきことは何か? - 世界では毎年飢餓で3600万人が亡くなっている。食料を調達する国連の団体が寄付金不足に悩んでいる。
・世界で飢餓に苦しんでいる人々に食糧を届けるためにはいくら必要か。
・寄付金を集めるための打ち手は何か。
例題
ナイジェリアのアルミ缶メーカーの戦略を考えよ。
キャリアアドバイザー
このケース面接は、ナイジェリアについての知識を問う問題ではありません。ナイジェリアについて知識がない前提で、市場について予測をして回答することがもとめられる問題です。もしナイジェリアについて知識があるのであれば、他の国に当てはめて考えましょう。
解答
◇前提確認
まずは、ケースを考えるための前提条件を考えます。今回のケースでは、「ナイジェリア」と「アルミ缶」「アルミ缶メーカー」というキーワードがあります。そのため、それぞれの特徴について前提条件で整理しましょう。
- アルミ缶の使用用途
・飲料向けアルミ缶
・石油向けアルミ缶 - 顧客
・飲料メーカー
・石油精製会社 - ナイジェリアの特徴
・アフリカの国
・裕福ではない
・人口が多い、かつ、人口増加の見込みがある
・アフリカ最大の産油国
◇結論
前提条件を設定した後に、ケース面接では結論である「ナイジェリアのアルミ缶メーカーの戦略」について回答をします。
ナイジェリア国内に外資系飲料工場を誘致し、国内で缶詰をする契約を結ぶ
◇現状分析
結論を述べた後に、結論に至った理由として現状の分析について解説します。まずは3C分析に基づいて「市場」と「競合」「自社」について整理します。市場についてはナイジェリアの特徴を踏まえて回答し、自社事業については「アルミ缶の使用用途」を踏まえて整理します。「競合」については、自社事業を元に競合となる事業を整理しましょう。
今回は、「アルミ缶業界」と「石油業界」「飲料業界」の3つを考えるため、それぞれの特徴を考えて現状分析をおこないます。
- 市場
・現状は小さいが人口増加に伴い需要拡大が見込まれる - 自社事業
・飲料缶:経済成長に伴い需要拡大が見込まれる
・石油缶:経済成長に伴い需要拡大が見込まれる - 競合
・飲料メーカー:消費地の近くで工場を立地
・石油メーカー:タンカー輸出、あるいは、タンクローリーで輸送(一斗缶使用) - アルミ缶業界の特徴
・強度を考えると長距離輸送は避けたい
・消費地あるいは原材料地の近くに立地する
・缶や瓶で輸入されると国内容器メーカーはチャンスがない
・産油国なので缶入りの石油輸入はない - 石油業界の特徴
・需要は拡大する
・新規企業の参入障壁が高い - 飲料業界の特徴
・人口増加に伴って需要の拡大が見込まれる
・国外メーカーのシェア率が高い
・石油業界に比べると参入障壁が低い
◇課題特定
これらの現状を踏まえて、課題がどこにあるのかを特定します。現状分析の中で、石油業界への新規参入障壁が高いこと、飲料業界の国外メーカーのシェア率が高いことが整理できていますよね。これらを課題としてピックアップします。
- 石油へのアルミ缶活用ができていない
- 国外からの飲料輸入が多く国内アルミ缶メーカーが関われない
◇施策立案・実行計画検討・評価・決定
課題を特定した後に、課題を解決する施策を検討します。今回であれば、「石油へのアルミ缶活用」と「国外からの飲料輸入が多いこと」が課題として挙げられます。そのため、施策としてはこれらの2つが考えられます。
- 石油メーカーへのアルミ缶利用の営業活動
- 外資系飲料メーカーの国内誘致・製造拠点の新設
続けて、この2つの施策に対して是非を検討します。現状分析で「石油業界は新規企業の参入障壁が高い」と整理しました。そのため、実現可能性が低いため施策としては適切ではないことがわかります。そのため、結論のとおり「ナイジェリア国内に外資系飲料工場を誘致し、国内で缶詰をする契約を結ぶ」が適切な施策と考えることができます。
A.T. カーニー
A.T. カーニーは、アメリカ本社で世界41カ国に支店がある経営コンサルティングファームです。戦略からオペレーション、IT領域までコンサルティングをおこなっており、経営層・マネジメント層に対する戦略策定、実行できるレベルまでアクションプランまでつくり込むことが強みのひとつです。
A.T. カーニーのケース面接では、売上推定・売上向上策が頻出で、すでに因数分解されている問題が出題されるケースもあります。また、「ロングセラーとは何か」など抽象的なテーマが出題されることもあり、全体を俯瞰しどこにボトルネックがあるのか見つけることがもとめられます。
- 八百屋の売上向上施策を考えよ。
- コロナの影響によって、5年後の東京一極集中問題はどのようになるか。
- 自分がベンチャーの社長だとする。今、あなたの会社は日本の宿泊業界に新規参入を考えているが、どんな業態で勝負するか検討せよ。
- 1年間でカラオケボックスで曲が流れている時間の総時間をもとめよ。
- ロングセラーとはなにか。
例題
1年間でカラオケボックスで曲が流れている時間の総時間をもとめよ。
キャリアアドバイザー
一般的なフェルミ推定では、売上や利益を考えさせる問題が多いです。今回のケースは売上ではなく「曲が流れている時間」なので、ややイレギュラーな問題です。しかし、基本的な考え方は一緒なので、きちんとフェルミ推定の練習をしたかどうかが問われる問題ですね。
解答
◇1年間で曲が流れている総時間
まずは、1年間でカラオケボックスで曲が流れている時間をもとめる計算式を整理します。日本全国のカラオケボックスで歌われている時間をもとめるため、「総カラオケ店舗数」が必要です。また、ひとつのカラオケボックスで複数の部屋が用意されているため、1店舗当たりの平均部屋数も必要な要素ですね。
そして、1日当たりにどれくらいの時間が営業されているのか、カラオケボックスの部屋がどれくらい利用されているのか(稼働率)も必要となります。さらに、今回は「曲が流れている時間」なので歌唱されている時間が必要です。
今回は、カラオケボックスを利用する時間の中で、どれくらいの割合で歌われているのかを「平均歌唱時間率」で表します。最後に、年間を表すために365日を掛け合わせればもとめることができます。
- 総カラオケ店舗数 × 1店舗当たりの平均部屋数 × 営業時間 × 稼働率 × 平均歌唱時間率 × 365日
◇前提確認
- 平均部屋数:30部屋(1フロア10部屋で3階分)
- 営業時間:9:00〜4:00
- 定休日:なし
- 平日と休日で利用者数が変わる
- 時間帯によって利用者数が変わる
- 平均歌唱時間率は曜日・時間帯問わず同じ80%とする
- カラオケ店舗は駅周辺に1店舗あると仮定する
- 日本全国の駅数は9,500駅あるため、9,500店舗と仮定
- 平日は年間245日、休日は年間120日とする
9:00〜14:00(5h) | 14:00〜18:00(4h) | 18:00〜24:00(6h) | 24:00〜4:00(4h) | |
---|---|---|---|---|
平日稼働率 | 30% | 30% | 70% | 30% |
休日稼働率 | 50% | 70% | 70% | 50% |
◇結論
これらの前提を元に計算をすると、平日と休日はそれぞれこのような結果になります。
9,500店舗 × 30部屋/店舗 × (0.3 × 5 + 0.3 × 4 + 0.7 × 6 + 0.3 × 4)時間/日・部屋 × 80% × 245日
=452,466,000時間
9,500店舗 × 30部屋/店舗 × (0.5 × 5 + 0.7 × 4 + 0.7 × 6 + 0.5 × 4)時間/日・部屋 × 80% × 120日
= 314,640,000時間
これらを合計すると、1年間でカラオケボックスで曲が流れている時間の総数は「767,106,000時間」と考えられます。
アクセンチュア
アクセンチュアは、アイルランド本社で世界54カ国に支店がある世界最大級の総合コンサルティングファームです。5つの領域「ストラテジー」と「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーション」でサービス提供しており、特にIT・テクノロジー分野に強みがあります。
アクセンチュアは、IT・テクノロジー分野に強いコンサルティングファームなので、ケース面接では「ITに関連するテーマ」が出題される傾向があります。もちろん、IT分野以外にも出題されるため、他のコンサルティングファームと同様にさまざまなテーマの対策をする必要があります。
- うどんの年間消費量を推定せよ。
- 日本のインバウンド消費を増やすために打つ手を考えよ。
- 日本のメーカーが海外メーカーに負けている原因は何か。
- 競合にシェアが奪われつつある文房具屋の戦略を策定せよ。
- コロナによるダメージで経営不振に陥った酒造企業の売上向上施策を検討せよ。
例題
競合にシェアが奪われつつある文房具屋の戦略を策定せよ。
解答
◇前提確認
まずは文房具屋が扱っている商材やビジネスモデルを前提として確認をおこないます。扱っている商材を明確にすることで、どのような商材でシェアを獲得するのか決めることができます。
また、ビジネスモデルについては「法人への文房具販売」を考え出せるかどうかがポイントです。学生は特に「文房具=個人で利用するもの」と考えていますが、企業は一括で文房具を発注することがあります。そのため、文房具屋のビジネスモデルとして2つが考えられることを前提として確認しましょう。
その上で、今回のケース面接で考える文房具屋の前提条件を整理します。ここでは「4P分析」に基づいて文房具屋の特徴を整理すると、必要なことが漏れなく確認できます。
- 筆記用具
- ノート
- ハサミ、のりなど
- 一般的な相場と同じ
- 店舗での文房具販売
- 法人への文房具販売
- 街の文房具屋とする
- 学校とのコネクションがある
- 新商品の取り扱いをおこなっていない
- オンラインの活用はしておらず店舗販売がメイン
- オンライン販売の需要の高まりによってシェアが奪われている
◇現状分析
前提を整理した次は、「3C分析」などを活用してよりマクロ視点で分析をおこないます。
- 市場
・電子デバイスの普及により文房具の販売数が減少している
・オンライン販売の需要が拡大している - 文房具屋の競合
・ECサイト(Amazonなど)
・通信販売(アスクル、たのめーるなど)
・100円ショップ
・コンビニ
・本屋 - 顧客
・法人(一般企業・学校・役所)
・学生
・サラリーマン
・主婦
◇課題特定
現状を分析した後に、現状から考えられる課題について考えましょう。前提としてオンライン販売を活用していないことと、市場の変化を加味して下記の2点が課題として考えられます。
- オンライン販売を活用していない
- 法人顧客の拡大ができていない
◇施策立案・実行計画検討・評価・決定
課題を解決するための施策としては、下記の2点が例として考えられます。そして、実行するためにはどのようなステップがあるのか計画を検討します。
- オンライン販売の活用
・Amazonなど既存プラットフォームの利用をする - 法人顧客へ新たなプランの提案
・変更可能なサブスクリプション型の新サービスを提案する
前者については、登録を済ませて出品するだけなので、すぐに実現することができます。そのため、実行のしやすいだけでなく効果を期待することもできます。
後者については、街の文房具屋で地域の学校や役所とのコネクションを活かして提案をします。法人販売の競合は融通が効かないことが多いため、柔軟に対応できるように新たなプランを提案します。そのため、サブスクリプション型のサービスをベースにして、納品の1週間前までは数量の変更可能などとすれば強みである柔軟性を活かすことができます。
デロイトトーマツコンサルティング
デロイトトーマツコンサルティングは、世界140カ国にある世界4大監査法人グループのコンサルティングファームです。監査法人トーマツ、DTC-FAS(財務アドバイザリー)と連携し、幅広い案件にも対応しています。提供しているプロジェクトは戦略立案だけでなく、実行支援まで含めたものが多いです。部門は業種などに分かれているため、各分野の専門的知識を持ったコンサルタントが課題解決をおこなっています。
デロイトトーマツコンサルティングのケース面接は、メリット・デメリットを挙げてから意見をまとめる内容や時事問題が出題される傾向があります。
- 若者の車離れに対して、自動車会社として施策を考案せよ
- リモートワーク下で社員のストレスが増加している。それを解決する施策を立案せよ
- e-sportsを東京オリンピックの競技にすべきか否か。メリット・デメリットを挙げて、意見を述べよ。
- サマータイムを導入すべきか否か。メリット・デメリットを挙げて、意見を述べよ。
- 経営者の立場に立ったとき、副業を推進すべきか否か。メリット・デメリットを挙げて、意見を述べよ。
例題
サマータイム導入に関する記事を読んだ上でのケース問題
①どのような観点で考えるべきか、文章を元に考える
②サマータイムのメリットデメリットを羅列する
③サマータイム導入に賛成か反対か、理由とともに述べる
指定の記事が提示されるため、その記事を参考にして問題を解くパターンです。実際に出題されたこのケース問題は、回答時間が55分間でじっくりと考える時間がありました。
キャリアアドバイザー
この問題は定量的な評価よりも定性的な評価をする必要があります。そのため、フェルミ推定を活用しようとすると、かえって問題を難しくしてしまい回答時間が足りなくなってしまうため注意が必要です。
解答
①どのような観点で考えるべきか、文章を元に考える
まずは、そもそも議論をされるきっかけとなった問題点について整理します。
- 2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策
問題点を再認識した上で、文章によると「サマータイム導入」は下記の観点で議論されている。
- 環境:省エネや温暖化ガス削減につながる
- 経済:余暇時間が増え消費が拡大する・交通事故や犯罪が減る
- 企業:システム変更が必要・労働強化につながる
- 従業員:体調に悪影響が出る、労働強化につながる
また、環境や経済については国の施策として考えられるため、政府としてひとつにまとめることができる。そのため、本件を考える上でのステークホルダーは3つが挙げられる。
- 企業
- 従業員
- 政府
②サマータイムのメリットデメリットを羅列する
資料を元に、3つのステークホルダーそれぞれのメリットとデメリットを整理すると、このような要素が挙げられる。
企業 | 従業員 | 政府 | |
---|---|---|---|
メリット | ・光熱費コスト削減 | ・余暇が増える ・熱中症予防 | ・省エネ・温暖化ガス削減(原油換算で93万キロリットル分の省エネ) ・消費拡大(名目家計消費が7500億円増える) ・犯罪率の減少・2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策 |
デメリット | ・システム対応費用の増加 ・労務管理が増える ・労働生産性の低下 | ・体内時計が乱れる ・残業が増える | ・公共交通機関のダイヤ変更 |
③サマータイム導入に賛成か反対か、理由とともに述べる
メリットとデメリットを踏まえて、企業と従業員の観点から考えるとサマータイム導入に反対である。
資料によるとサマータイムを導入する企業のメリットが書かれておらず、デメリットによって労働時間の増加による労働生産性の低下やコストの増額が考えられるためです。
たとえば、「システム対応」については新規機能の実装ではなく、維持保守費用となるため生産性の向上を見込むことができません。1システム当たりの回収費用を1,000万円と考え、1社当たり5システムを利用していると仮定すると、5,000万円のコストが増額になります。また、この期間に別のシステム改修に着手することができず、機会損失となる可能性があります。
また、労務管理についても新たな制度の策定や健康状態の管理工数が増加することで、企業への負担が増加してしまいます。
余暇時間の拡大や熱中症予防が見込まれるものの、健康への影響や労働時間の増加による健康被害のデメリットが大きいと考えられます。余暇を増やす方法は、サマータイム導入によって実現する方法以外にも、有給休暇の奨励や新たに制度をつくることで実現をすることができます。
これらの観点からデメリットが大きいため、サマータイム導入には反対です。
PwCコンサルティング合同会社
PwCコンサルティングは、世界4大監査法人グループの総合コンサルティングファームです。経営戦略の策定から実行までサービスを提供しています。
コンサルティング領域だけでなく、グループ各社が緊密に連携をとり、監査やコンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務の専門家がトータルサービスを提供しています。
PwCコンサルティングのケース面接は、シンプルなビジネスケースは少なく公共系のケースが出題される傾向があります。
- アフターコロナ、ウィズコロナで考えられる課題とその解決策の提示
- 地方都市の活性化政策
- 日本が国際的にプレゼンスを落としている理由とその解決策の提示
- 地方の大学の入学者を2倍にするための施策
- コロナの影響で日本のインバインド消費が急激に減少する中で、With/afterコロナ時代において外国人が日本にお金を落としてもらうための施策
例題
地方の大学の入学者を2倍にするための施策
典型的なケース面接の問題で、新規事業の立案に分類される内容です。現状を分析した後に、課題を解決するための施策を検討する方法です。今回は売上や利益について考える必要はないものの、学校経営をするためには経営状況を加味することも必要です。
キャリアアドバイザー
必要となるコストについても考えて、効果がある施策を検討することがもとめられます。
解答
◇前提確認
まずはケース問題を解く上での前提となる確認をおこないます。今回のケースであれば、対象とする大学の情報やどの立場から施策を検討するのかを考えます。たとえば、大学職員の立場で考えるのか、文部科学省の立場で考えるのかによって施策の方針が大きく異なりますよね。
- 地方私立大学の役員の立場で施策を検討する
- 定員割れで入学者数が確保できていない
- ブランド力が低い
- 偏差値が低い
- 大学の規模は1学年200名程度
- 現行法の変更は行わない
◇現状分析
現状分析では「3C分析」と「4P分析」を活用して、現状の整理をおこないます。まずは「4P分析」に当てはめて現状を分析して、このような仮説を立てます。
- 価格
・授業料:100万円/年
・入学金:30万円
・受験料:3万 - サービス
・文学部・経済学部・法学部
・通常の就職支援サービス - 集客場所
・地元学生の集客がメイン - プロモーション
・学校説明会
・ホームページ
続いて「3C分析」を活用して顧客と競合他社について整理します。顧客については、大学入学する目的まで深掘りすることで、後に施策検討をするときにスムーズに決めることができます。また、競合に関しては大学進学以外の専門学校進学と企業への就職は高校卒業者のどれくらいの割合かもあわせて仮説を立てます。
- 顧客
・学生:学歴/雇用機会/研究機会/モラトリアム
・留学生:日本語習得
・社会人:学歴/学び直し
・シニア:学び直し - 競合:
・国立・公立大学
・同地域の私立大学
・都市の私立大学
・専門学校(25%)
・企業(25%)
◇課題分析
ここまでの情報を踏まえて、課題がどこにあるのかを特定します。今回は「入学者数を2倍に増やすこと」が目的のため、集客に関する施策と入学するメリットに焦点を当てます。すると、この4つが課題として考えられます。
- 提供している価値の差別化ができていない
- プロモーション方法の差別化ができていない
- 全国の学生にプロモーションできていない
- 学費が都市の私立と同じ金額でハードルが高い
◇施策立案・実行計画検討・評価・決定
課題を踏まえて、課題を解決する施策を検討します。今回であれば、「差別化をする戦略」と「プロモーション方法」を具体化することで、新たな施策を考えることができます。
- 就職支援プログラムを新設する
- SNSを活用したプロモーションをおこなう
- 学費の減額をおこなう
それぞれの施策の評価をすると、「就職支援プログラムの新設」は差別化だけでなく、専門学校への入学・企業への就職をしている層にもアプローチをすることができ、インパクトが大きいと考えられる。ただし、プログラムの検討に時間と費用がかかることはデメリットとして挙げられる。
SNSを活用したプロモーションは、プロモーション方法の差別化だけでなく全国の高校生にリーチすることができるため、インパクトが大きい施策と考えられる。ただし、運用工数や外注費用の発生などのコスト発生が考えられる。
学費の減額は応募障壁を緩和する効果があるものの、大学への収入の減額になるデメリットがある。新規施策を実施するにあたって、収入が減額すると運営にマイナス影響が出るため、今回は施策からは外す方が適切と考える。ただし、長期的に考えたときには実施を検討する価値がある。
これらを加味して、実施すべき施策は下記が適切と考えられる。
- 就職支援プログラムを新設する
- SNSを活用したプロモーションをおこなう
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、世界4大監査法人グループの総合コンサルティングファームです。デジタル・金融・公共サービスなど幅広くコンサルティングをおこなっています。
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングは、22卒採用からフェルミ推定が出題されており、録画面接で回答して個人面接で回答の深掘りする面接方法が採用されています。
- 今後5年以内にコンビニを完全キャッシュレス化していくにあたっての施策
- 2020年度のアルコール除菌関連の売上高推定
- 2030年における任意の県の自動車台数推定
- フードデリバリー業界の市場規模がコロナ前後でどの程度拡大したか
- 日本の眼鏡の市場規模
例題
日本の眼鏡の市場規模
キャリアアドバイザー
典型的なフェルミ推定を活用するケース面接の問題です。非常にシンプルな問題ですが、どのように因数分解をして市場規模を推定するかがみられる問題です。良問ですので必ず一度は解いておきましょう。
解答
◇前提確認
まずは、眼鏡のマーケットを考えるための前提条件を考えます。眼鏡と言っても、度入り眼鏡だけでなく老眼鏡やブルーライトカット、サングラスもありますよね。これらを含むのかどうかを前提として設定する必要があります。
また、市場規模を算出する上での計算式を提示し、必要となる数字と定義しましょう。今回は、年代によって眼鏡利用率と眼鏡保有数、平均買い替え年数が異なると仮定して推定します。
- 年間の市場規模の算出とする
- 眼鏡の単価 × 総人口 × 眼鏡利用率 × 一人当たりの眼鏡保有数 / 平均買い替え年数
- 眼鏡は度入り眼鏡と老眼鏡、ブルーライトカット、サングラスを対象
- 眼鏡利用率は、度入り眼鏡と老眼鏡、ブルーライトカット、サングラスを含む
- 平均単価:10,000円
- 平均買い替え年数は、いずれの理由でも同じとする
- 「度の変更」や「劣化」「故障」「好みのデザインが変わった」など
年代 | 人口割合(%) | 眼鏡利用率(%) | 眼鏡保有数(個) | 平均買い替え年数(年) |
---|---|---|---|---|
〜19歳 | 10 | 20 | 1 | 3 |
20〜39歳 | 20 | 30 | 1 | 3 |
40〜59歳 | 30 | 50 | 2 | 5 |
60歳〜 | 40 | 80 | 2 | 5 |
眼鏡利用率は、年齢を重ねるごとに視力低下や老眼によって利用率が上がると推定する。眼鏡保有数は、20歳以上はブルーライトカットや老眼鏡など複数の眼鏡を使い分けていると推定し2個とする。
平均買い替え年数は、19歳以下は成長にあわせて買い替えるため、短めの期間を設定する。これらを計算式に当てはめて計算をすると、各年代ごとの市場規模は下記の通りである。
年代 | 市場規模 | 計算式 |
---|---|---|
〜19歳 | 80億円 | 10,000円 × 1,200万人 × 0.2 × 1 / 3 |
20〜39歳 | 230億円 | 10,000円 × 2,400万人 × 0.3 × 1 / 3 |
40〜59歳 | 720億円 | 10,000円 × 3,600万人 × 0.5 × 2 / 5 |
60歳〜 | 1,536億円 | 10,000円 × 4,800万人 × 0.8 × 2 / 5 |
よって、日本の眼鏡の市場規模は「2,566億円」である。
アビームコンサルティング
アビームコンサルティングは、2003年にデロイトトゥシュトーマツから脱退した日本発の総合コンサルティングファームです。
戦略立案・構想策定から、業務改革・設計、ITシステム開発・導入、組織・人事、アウトソーシングなど幅広い領域を担当しています。クライアントも多種多様で、金融、製造、流通、エネルギー、情報通信、公共事業などのコンサルティング実績があります。
アビームコンサルティングは、4〜7名の学生がグループになるワークショップ型のケース面接が採用されています。ケース問題を回答する前に、ケース問題の解き方について講義があります。講義の後に一人ひとり異なる問題が課され、回答後は社員・学生からの質問に回答する流れとなります。
- ジムの利用者向上施策
- レンタカー会社の利用者数向上施策
- 飲食チェーン店の売上向上策
- ビール会社の売上向上策
- クリーニング店の売り上げを上げるための施策
例題
ビール会社の売上向上策
キャリアアドバイザー
典型的なケース問題の例題で、売り上げを推定した後に売上向上策を考えるパターンです。アビームコンサルティングでは売上向上策を考える問題が頻出なので、限られた時間で回答できるようにきちんと対策しておくことがもとめられます。
解答
◇前提確認
まずは、ビール会社についてどの範囲で考えるのか定義が必要です。また、売上についてもケース問題の問題文には期間が指定されていないため、定義付けをすることが必要ですね。また、ビール会社が扱う商品についても明確にしてから回答に進みましょう。
- 国内市場を対象とする
- 売上は1年間で考える
- ビール会社の商品はビールと発泡酒・第三のビールとする
- ビール飲酒対象者は20〜80歳(人口の70%)とする
- ビール市場規模 = 自宅ビール飲酒市場規模 + 外食ビール飲酒市場規模
- 自宅ビール飲酒市場規模
= 一般販売ビール単価 × 1回当たりのビール飲酒本数 × 晩酌頻度 × ビール飲酒人口 - 外食ビール飲酒市場規模
= 飲食店ビール単価 × 1回当たりのビール注文数 × 外食時の飲酒頻度 × ビール飲酒人口 - 一般販売ビール単価を200円とする
- 飲食店ビール単価を400円とする
- 男女の人口分布は50%とする
- 年代別の飲酒可能人口は下記の表のとおりと仮定する
- 年代別のビール飲酒率は下記の表のとおりと仮定する
- 自宅での晩酌する平均頻度を男女ともに年間100回とする
- 外食時に飲酒する平均頻度を男女ともに年間24回とする
◇現状分析
前提を設定した後に、市場規模を推定するために現状を分析します。市場規模は前提確認で設定したとおり、今回は「自宅ビール飲酒市場規模 + 外食ビール飲酒市場規模」で算出します。そのため、自宅と外出時で分けて飲酒量と飲酒人口を設定します。
人口割合(%) | 男性飲酒割合(%) | 女性飲酒割合(%) | |
---|---|---|---|
〜19歳 | 1,200万人(10%) | 0% | 0% |
20〜39歳 | 2,400万人(20%) | 70% | 60% |
40〜59歳 | 3,600万人(30%) | 70% | 50% |
60歳〜79歳 | 3,600万人(30%) | 60% | 40% |
80歳〜 | 1,200万人(10%) | 0% | 0% |
男性晩酌 ビール飲酒数 | 女性晩酌 ビール飲酒数 | 男性外食時 ビール飲酒数 | 女性外食時 ビール飲酒数 | |
---|---|---|---|---|
〜19歳 | 0回 | 0回 | 0回 | 0回 |
20〜39歳 | 1回 | 1回 | 1回 | 1回 |
40〜59歳 | 2回 | 1回 | 2回 | 1回 |
60歳〜79歳 | 2回 | 1回 | 2回 | 1回 |
80歳〜 | 0回 | 0回 | 0回 | 0回 |
男性晩酌 ビール飲酒率(%) | 女性晩酌 ビール飲酒率(%) | 男性外食時 ビール飲酒率(%) | 女性外食時 ビール飲酒率(%) | |
---|---|---|---|---|
〜19歳 | 0回 | 0回 | 0回 | 0回 |
20〜39歳 | 1回 | 1回 | 1回 | 1回 |
40〜59歳 | 2回 | 1回 | 2回 | 1回 |
60歳〜79歳 | 2回 | 1回 | 2回 | 1回 |
80歳〜 | 0回 | 0回 | 0回 | 0回 |
男性晩酌 ビール飲酒率(%) | 女性晩酌 ビール飲酒率(%) | 男性外食時 ビール飲酒率(%) | 女性外食時 ビール飲酒率(%) | |
---|---|---|---|---|
〜19歳 | 0人(0%) | 0人(0%) | 0人(0%) | 0人(0%) |
20〜39歳 | 360万人(30%) | 240万人(20%) | 600万人(50%) | 360万人(30%) |
40〜59歳 | 900万人(50%) | 360万人(20%) | 1,440万人(80%) | 540万人(30%) |
60歳〜79歳 | 900万人(50%) | 180万人(10%) | 1,080万人(60%) | 360万人(20%) |
80歳〜 | 0人(0%) | 0人(0%) | 0人(0%) | 0人(0%) |
これらの情報を元に、自宅飲酒時と外出飲酒時のビールの市場規模を算出します。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
20〜39歳 | 200円 × 1本 × 100日 × 360万人 | 200円 × 1本 × 100日 × 240万人 |
40〜59歳 | 200円 × 2本 × 100日 × 900万人 | 200円 × 1本 × 100日 × 360万人 |
60歳〜79歳 | 200円 × 2本 × 100日 × 900万人 | 200円 × 1本 × 100日 × 180万人 |
男性 | 女性 | |
---|---|---|
20〜39歳 | 400円 × 1本 × 24日 × 600万人 | 400円 × 1本 × 24日 × 360万人 |
40〜59歳 | 400円 × 2本 × 24日 × 1,440万人 | 400円 × 1本 × 24日 × 540万人 |
60歳〜79歳 | 400円 × 2本 × 24日 × 1,080万人 | 400円 × 1本 × 24日 × 360万人 |
2つを合算すると、市場規模は約1.6兆円と推定することができます。
◇課題特定
現状を整理した後は、整理した情報から課題を特定します。定量的に推定した内容から、このような課題が考えられます。
また、今回は自宅でのビール晩酌と外食ビール飲酒を分けたため、どちらに課題があるのかをデータから読み取ることもできます。外食ではその場の付き合いで1杯目にビールを頼む人がいるため、自宅よりも多い数のビールが飲まれています。そのため、今回は自宅でビールを飲んでもらうための施策を検討することが適切と考えられます。
- 若者の飲酒割合に対するビール注文数が少ない
- 女性の飲酒割合に対するビール注文数が少ない
◇施策立案・実行計画検討・評価・決定
課題を解決するための施策を検討して評価をおこないます。今回は「若者のビール離れ」と「女性のビール離れ」を解決する施策がもとめられます。ビール業界の課題として「若者・女性のビール離れ」は挙げられています。これに対して、ビール会社だからこそ提案できる施策を考えましょう。一例としてこのような施策が考えられます。
- フレーバービールの企画・販売
- クラフトビールの販売
前者については、アルコールを飲酒する若者でビールではなくカクテルなどのアルコールを注文している層を獲得する施策です。ビールの製法を活かした女性や若者でも飲みやすい新商品の企画・販売です。後者は、すでに販売している企業が多いですが、より多くのバリエーションを揃えることで、ビールが苦手な人にも楽しんでもらう方法です。
これらの施策を評価すると、前者は企画・開発に期間とコストがかかるものの、長期的に考えると新しい層の獲得につながるためインパクトが大きい施策として考えられます。後者はすでに参入している企業が多いため、力を入れたとしてもインパクトは小さいと予測できます。そのため、この2つの施策を検討するのであれば、前者が適切であると評価できますね。
ケース面接の対策に役立つおすすめ本4選
ここまでに例題と解答を紹介しましたが、学生の中にはより多くの問題を解きたいという人もいるのではないでしょうか。そのような学生に向けて、ケース面接の対策ができるおすすめの本を4冊紹介します。
『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』
「東大ケーススタディ研究会」が出版するシリーズ累計28万部の名著です。この本は、1,000問以上のフェルミ推定問題を解いてトップ外資系戦略コンサル企業に内定した東大生が監修する例題と解説が書かれています。解説がわかりやすいと評判の書籍なので、ケース面接の中でも「フェルミ推定」の対策を始めたばかりの初心者に特におすすめの本です。
15問のコア問題とフェルミ推定の良問30問が掲載されており、それぞれ5つの解法ステップに当てはめて解説されているため、体系的に解法を学ぶことができます。
『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』
「地頭を鍛えるフェルミ推定ノート」と同じシリーズでケース問題に特化した参考書です。この本はフェルミ推定だけでなくロジカルシンキングのプロセスにフォーカスされており、問題解決の5つのステップを学ぶことができます。
また、ケース面接で活用できる「50個のフレームワーク」や「問題解決ケース120選」が書かれており、網羅的に対策をすることができます。ケースの解説は簡単な図式になっているので、初心者でも理解しやすい内容の1冊です。
『過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題』
「現役東大生が書いたシリーズ」よりもレベルが高い対策本を購入したい学生は、東洋経済新報社出版の『過去問で鍛える地頭力 外資系コンサルの面接試験問題』の購入がおすすめです。この本は、実際に外資系コンサルで出題されている面接問題・模範解答が書かれており、より実践的な内容を学ぶことができます。各問題に対してどのようなアプローチで解くべきかが解説されているため、ケース面接で活用できるさまざまなアプローチを身につけられますよ。
ただし、問題の難易度は高いものが掲載されており、問題の解答は簡単な説明は省かれています。そのため、基本的な問題が解けるようになった中級者におすすめの1冊です。
『戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策』
よりレベルが高い対策をしたい学生は、マーク・コゼンティーノ著の『戦略コンサルティング・ファームの面接試験―難関突破のための傾向と対策』がおすすめです。マーク・コゼンティーノは、20年間ハーバード大学で、10,000名以上の戦略系コンサルティングファームを目指す学生の就職指導を行った実績があるケース面接の第一人者です。
この問答集は36例題と解答例が掲載されており、いずれもインタビュー形式で書かれています。そのため、ケース面接のイメージを掴みやすい構成になっています。また、この本は「アイビー・ケース・システム」という出題されたケースをカテゴリーに分類し、各シナリオ毎に重要なポイントを抑えて戦略的に回答を導く解き方が解説されています。
コンサルティングの仕事に興味がある学生は、こちらの記事でコンサル業界の志望動機について解説していますので、併せて参考にしてみてください。
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ケース面接を解く正しいステップを把握して例題を何度も解こう
ケース面接の対策で重要なことは、本文で紹介した例題をスムーズに解けるまで練習をすることです。ケース面接を突破してコンサルタントへ就職する人は、少なくとも100問は練習問題を解いていると言われています。練習量をこなすためには、基本的な問題を押さえて応用問題まで取り組むことが必要ですよね。
少しでも回答につまずいた問題があれば、スムーズに解けるまで何度も練習し、他の就活生と差をつけましょう。
キャリアアドバイザーコメント吉川 智也プロフィールをみる
ケース面接と一般的な面接の違いを明確に把握していますか。この違いを知らずに面接に臨むと、面接官が重視することと異なることをアピールしてしまい、マイナス評価になってしまう可能性があるので注意が必要です。
一般的な面接は、学生の強みを仕事で発揮できるかどうか定性的な判断をすることが多いです。一方で、ケース面接はより実践的なスキルを判断するため、入社後に必要なスキルの有無を判断しています。そのため、ケース面接では強みが何かのアピールをするのではなく、持ち合わせているスキルをアピールすることがもとめられるのです。
その点で一般的な面接とは異なり学生のスキルの有無が顕著になる特徴があります。そのため、ケース面接でもとめられるスキルをきちんと把握して、アピールできるように練習や準備をすることが重要になりますよ。本文で紹介されている例題を何度も解いてスキルをアピールできるように準備しましょう。