目次
- 介護業界を正しく理解して選考に臨もう
- 介護業界の概要
- 介護業界のビジネスモデル
- 介護業界の動向を押さえよう
- 介護保険制度の導入
- 高齢化進展による需要拡大
- 異業種からの参入
- 介護業界は売り手市場
- 今後の介護業界はどうなる?
- 介護サービスの種類
- 居住サービス
- 施設サービス
- 介護業界の職種
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
- 生活相談員
- 介護助手・介護補助
- 介護業界の売上高ランキングと上位5社の特徴
- ①ニチイ学館
- ②SOMPOホールディングス
- ③ベネッセHD
- ④ツクイ
- ⑤セコム
- 介護業界のキャリアパスを理解しよう
- 介護福祉士からキャリアアップ
- キャリアチェンジ
- 介護業界が求める人物像
- ①明るく前向きな人
- ➁他の人の気持ちを汲み取れる人
- ③体力がある人
- 新卒で介護業界を目指すメリット
- 早くから専門性を高められる
- 国家資格を取得しやすい
- 若いうちにキャリアアップできる
- 介護業界を志望するにあたっての注意点
- 体力的な負担が大きい
- 夜勤や休日勤務がある
- 待遇が他の業種に比べて低い可能性がある
- 介護業界の資格は働いてから取得しよう
- 介護業界の志望動機のコツ
- 福祉系の大学の場合
- 福祉系以外の大学の場合
- 介護業界の面接でよく聞かれる質問例
- 介護業界の志望動機
- その会社を選んだ理由
- 目標やキャリアプラン
- 自分の長所や短所
- 最近気になった介護関係のニュース
- キャリアプランを明確にして介護業界に就職しよう!
介護業界を正しく理解して選考に臨もう
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく、
「介護職が気になっているのですが、どんな仕事なのかわからず悩んでいます」
「介護業界についてもっと知りたいです」
といった質問を受けます。高齢化社会の進展にともない、介護職のニーズは高まっていることから、介護職が気になっている人も多いでしょう。
介護業界で働きたい場合は、まず介護業界を正しく理解してから選考に臨むことが重要です。というのも、介護業界の実態や動向を把握しておかなければ、「選考で効果的なアピールができなくなる」「入社後にギャップを感じて離職する」といったことも考えられるからです。
そこで当記事では介護業界が気になっている方に向けて、介護業界について徹底解説します。介護の実態だけではなく、選考のポイントともなる志望動機の書き方などについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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介護業界の概要
介護とは簡単に言うと不自由な高齢者のお世話をする仕事であり、人を直接的に手助けできることから社会貢献度が高く、やりがいも感じられる仕事と言うことができます。
さらに高齢者の急増に伴い、介護業界の社会的ニーズはますます高まっており、売り手市場であることからも、学生にとっても人気の高い職業です。
しかし介護には厳しい側面もあり、それも含めた特徴を理解しておかないと、誤ったキャリア選択をしてしまうことにもなりかねません。そのため、まずは介護の全体像を確認していきましょう。
以下では、介護職として勤めるうえで押さえておくべき介護業界の仕組みについて解説します。
介護業界のビジネスモデル
介護業界は以下の3つの要素で構成されていて、それぞれの関係と役割は画像の通りになります。
介護業界はサービス事業と自治体が手を取り合いながら要介護者である利用者を助ける構図となっていることがわかると思います。利用者は自治体に申請して要介護の認定をしてもらうことで、サービス事業において介護保険の恩恵を受けることができるのです。
介護業界の動向を押さえよう
近年、介護業界は高齢化の影響を受けてその形を大きく変化させています。
いずれも介護業界にとっての重要事項であるため、これらを把握せずに就活を始めるのは準備不足と言えます。介護業界に身を置くのであればこれらの動向をしっかり理解し、就活に役立てましょう。
それでは1つずつ確認していきましょう。
介護保険制度の導入
- 2000年に施行された、皆で保険料を納めることで介護が必要な高齢者の金銭的負担を緩和させることを目的とした制度。対象は65歳以上の高齢者で、40〜64歳であっても認知症や末期がんなどをはじめとする特定疾病である場合は給付を受けることが可能
2000年に導入された介護保険制度において、保険対象者の負担額は原則1割で、前年度の所得状況によっては公平を期すために3割まで負担することになっています。
保険の範囲は非常に広く、公的施設であればもちろん、民間施設であっても自治体から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けていれば、居宅サービス、施設サービスにかかわらず、介護保険が適用されます。
キャリアアドバイザー
高齢化進展による需要拡大
現代社会において介護の需要は拡大し続けています。その理由は高齢化が進展していて歯止めが利かない状態に陥っているからです。
厚生労働省によると、介護保険制度の施行当時の2000年では要介護・要支援の認定者数はおよそ218万人でしたが、2021年2月にはおよそ667万人と20年で3倍以上にまで増加しています。(厚生労働省介護保険事業状況報告 月報 暫定版)
厚生労働省は現在、介護の魅力を発信したり、介護職の離職者ゼロを目標とした賃上げやキャリアアップ支援などの待遇改善を図ったりと、人材確保に向けた取り組みを積極的におこなっています。しかし課題点も多く、介護の供給数は未だに不足していることから、介護職の需要は今後も拡大し続ける見通しとなっています。
こちらの記事では介護職を含めたこれから需要が増える職種について詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
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異業種からの参入
2000年に介護保険制度が施行されて以降、介護業界の需要が急速に拡大したことに伴い、異業種からの参入が相次いでいます。医療事務のニチイ学館や保険業界の損保ホールディングスを初めとしたさまざまな企業が介護業界に進出しており、独自の介護サービスや介護用品などを提供しています。
また、それらの新規参入企業には、介護サービスの提供に加え、自社の強みを活かした取り組みが目立ちます。たとえば、
- 警備会社→高齢者の見守りに特化したサービス
- 住宅機器メーカー→高齢者が安心して住める住宅設備
など、それぞれの独自性を活かして他社との差別化を図っているのです。
介護業界は売り手市場
介護業界は高齢者の増加の影響もあり慢性的な人手不足となっています。この傾向は今後もしばらく続く見込みであり、売り手市場が続くと考えられます。
2025年には団塊の世代が75歳以上になることもあり、後期高齢者がより一層増加することが予想されています。厚生労働省の「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計[確定値]について」によると、2025年に必要な介護人材は253万人であり、介護人材の供給は215万人と見込まれることから、およそ38万人もの人材が不足すると言えるでしょう。
また、介護では他業種の経験を活かすこともでき、未経験であっても取り組みやすい仕事であることから、介護業界への転職者は今後増加するものと思われます。
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介護業界の動向でとくに押さえたい点は「人手不足による売り手市場」です。なぜ人手不足なのかがわかると介護業界についての理解も深まりますよ。
先ほどお伝えしたとおり、高齢者の増加スピードに対して生産人口の増加が追いついていないため人手不足が起きています。誰しもいつかは高齢者になるので「人手不足のため介護は受けられません」という世の中は安心して暮らせないですよね。
そのため、介護を社会インフラとして捉え、さらに整備を進めようという動きがあります。社会インフラとは、社会生活の基盤となる施設や仕組みのことです。たとえば、道路や上下水道、医療や教育制度がこれに当てはまります。
今以上に介護を社会インフラとして整えるべく、サービスの充実化が図られ始めています。介護が学校や病院のように生きていくうえで欠かせない施設と認識されたら、働く人の環境ももっと良くなることが期待できます。
介護業界の動向で押さえておきたいことは、人手不足になるほど介護のニーズが高まっているということです。社会インフラとしての整備がさらに進められると、介護従事者にとってよりよい働き方が実現できるようになりますよ。
今後の介護業界はどうなる?
介護が人材不足に陥ってしまうのは高齢者の急増のせいでもありますが、仕事が過酷であるところにも原因があります。というのも、介護では身体的に不自由な要介護者の身体を移動させたり、入浴排泄などの介助をしたりと肉体的に厳しい仕事内容が多くなってしまうからです。
そこで近年注目されているのが介護ロボットの導入です。現段階では介護職員による介護がほとんどであり、ロボットはまだ普及していません。しかし、要介護者の移動の補助や入居者の見守り、排泄の支援などができるロボットは実際に開発されており、今後はその普及がますます進むことが予想されています。
介護ロボットが広く普及されるようになれば、介護職員の肉体的疲労緩和や待遇改善につながり、介護業界は全体的により働きやすい環境となるでしょう。
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介護業界は将来的に賃金が向上して働きやすい環境になると考えられます。国が介護従事者の処遇改善のために全力を挙げているからです。
介護の仕事はキツくて給料が安いと言われがちですよね。実際に、過酷な仕事なのに給料は他業種より低い傾向にあります。でも低賃金で重労働を任せていては優秀な介護従事者が職場に定着しないため、近年は国が介護従事者の賃金アップのための支援をおこなっています。
たとえば、2019年におこなった「特定処遇改善加算」は、介護福祉士の給料が月8万円アップするというものでした。2022年2月から介護職員1人あたりに月額9,000円ほどの手当が支給される施策もおこないます。いずれも支給されるための諸条件はありますが、介護職の方の給料は増加傾向にあります。2008年から2018年までの10年間で、介護業界の賃金は108.5%もアップしました。日本のすべての産業の賃上げ平均は101%のため、介護業界は給料面でも伸びている業界とわかりますね。
介護業界は賃金増加率の高い業界です。大変な業務もありますが、賃金面の改善に伴い、働きやすさなども向上していくことが期待できますよ。
介護サービスの種類
近年高齢者が急増したことに伴い介護サービスもかなり多様化しています。介護利用者のニーズに合わせたサービスの提供をするためには、多様化したサービスをしっかり理解しておく必要があります。
そこでここからは介護業界を目指すうえで押さえておくべき介護サービスの種類について、居宅サービスと施設サービスに分けて紹介します。
居住サービス
居宅サービスとは、介護職員が利用者の自宅を訪問したり、一時的に施設に通ってもらったりすることで介護を提供するサービスです。
居宅サービスの例としては以下のようなものが挙げられます。
- 訪問サービス
- デイサービス
- 短期入所サービス
自宅ではなく短期的に施設で介護サービスを受けられるデイサービスや短期入所サービスも居宅サービスに位置づけられるので注意しましょう。
訪問サービス
訪問サービスとは、訪問介護士(ホームヘルパー)が介護利用者の自宅を直接訪問することで介護を提供するサービスとなります。
訪問サービスの中にも
- 訪問介護(介護福祉士やホームヘルパーが訪問)
- 訪問入浴介護(介護職員と看護師が訪問)
- 訪問看護(看護師が訪問)
- 訪問リハビリテーション(作業療法士・理学療法士が訪問)
- 居宅療養管理指導(医師・看護師が訪問)
といったさまざまな種類があり、介護職員以外も訪問してくれることから、利用者の状況に合わせたサービスを提供することができるようになっています。
デイサービス
デイサービスとは1日だけ施設において介護を提供するサービスで、通所介護とも呼ばれています。内容は利用者の食事、入浴、リハビリテーション、レクリエーションがメインです。施設・自宅までの送迎もおこなっているため、自力で移動する必要がないのが利用者、その家族にとって嬉しい点でしょう。
- 介護サービスを提供することに加えて、利用者の孤独感を緩和する。
自宅で介護を受けていると引きこもりがちになり、どうしても気持ちが内向的になってしまいます。より充実した生活を送るためには精神的な開放も必要となるので、そういった意味でデイサービスは非常に優秀であると言えるでしょう。
また、デイサービスにも種類があり、デイケア(通所リハビリテーション)という医療的なケアをメインでおこなってくれるサービスを利用することもできます。
短期入所サービス
短期入所サービスは一般的にショートステイと言われており、「短期入所生活介護」「短期入所療養介護」の2種類があります。
生活介護と療養介護の差は実施目的の違いにあります。
- 生活介護の目的
食事や入浴といった通常の介護サービスの提供を主とする - 療養介護
リハビリテーションを通した治療や機能改善を主とする
いずれにおいても、利用者は数日から1~2週間程度施設に入所し介護を受けることができます。しばらく施設で生活することになるので、利用者は気分をリフレッシュしやすく、家族は介護の休息を取ることができるでしょう。
施設サービス
居宅サービスでは自宅もしくは短い期間で施設において介護を提供する一方で、施設サービスは長期間の滞在を前提とした入居であり、24時間体制で利用者に介護を提供します。
そんな施設サービスの種類は以下の通りです。
- 特別養護老人福祉施設
- 介護老人保健施設(老健)
- ケアハウス(軽費老人ホーム)
- 介護付き有料老人ホーム
- グループホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
特別養護老人福祉施設
特別養護老人福祉施設とは地方自治体や社会福祉法人が運営している公的な福祉施設です。
居宅サービスなどとは異なり、要介護度3(基本動作だけでなく全面的な介助が必要で、思考力・理解力、問題行動がみられる状態)以上の、常に介護を必要としている方でないと入居できません。
入居一時金もかからず、他の民間施設と比べると入居にかかる費用が安いことも特徴の1つです。特別養護老人福祉施設では、食事の提供や入浴、排泄の介助といったサービスの他にもリハビリテーションを通した機能回復、医師の診断などの医療サービスも提供されます。
金額を抑えながらもこれらの充実したサービスを受けられるのが利用者のメリットであると言えるでしょう。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設も特別養護老人福祉施設と同様、自治体によって運営されているので入居にかかる費用が安く済むのが特徴です。
また、介護老人保健施設のその他の特徴としては
- 入居期間が原則3ヶ月
- リハビリテーションに手厚い
- 医師が常駐している
などが挙げられます。介護老人保健施設は利用者の在宅復帰を目的としているため、作業療法士・理学療法士によるリハビリテーションや医師による医療ケアに手厚いのがメリットと言えるでしょう。
介護老人保健施設では多床型の部屋が中心となっていますが、施設によってはユニット型の個室があるなど、プライバシーの保護も進んできています。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
ケアハウスとは1人で生活するのが困難であり、なおかつ家族の介護を受けることができない方が入居できる施設です。
ケアハウスには「一般型」と「介護型」の2種類があり、それぞれ入居の条件や提供されるサービスも異なります。
- 一般型
60歳以上の自立した方や軽度の介護が必要な方が対象で、食事の提供や見守り・相談、レクリエーションなどのサービスはあるが、食事や入浴、排泄の際の介助はないため、ある程度自身で生活ができる方向けとなっている。介助等の介護を受けたい場合は外部事業者との契約が必要となる。 - 介護型
65歳以上で要介護度1(基本的に1人で生活できるが、運動機能、思考力・理解力の低下、問題行動がみられる状態)以上の方が対象。受けられるサービスの内容は一般型の内容に加えて日常生活における介助となる。また、看護職員は入居者3人に対して1人以上配置されるため、医療サービスも充実していると言える。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、都道府県から介護保険制度の「特定実施入居者生活介護」の指定を受けた民間企業によって運営されている施設です。
介護付き有料老人ホームは民間施設であるため公的施設より費用はやや高くなってしまうものの、サービス内容に融通が利き、施設によって力を入れているサービスも異なります。そのため要介護者は比較的たくさんの選択肢の中から自分のスタイルに合った施設を選ぶことができます。
介護付き有料老人ホームには
- 自立型:自立した生活を送れる方が対象
- 介護専門型:要介護度1以上の方が対象
- 混合型:自立している方も介護の認定を受けている方も対象
の3種類があります。
一般的にいずれのタイプにおいても入居は65歳以上の方が対象であり、認知症の有無は問われません。ただし要介護レベルや認知症の状況によっては入居できる施設にばらつきがあるため注意しておく必要があります。
グループホーム
グループホームとは、認知症高齢者の方が共同生活するための施設です。
グループホームはその名の通りグループを作るのですが、グループの人数は5〜9人と少人数であり、いつもメンバーが同じであることから、アットホームな雰囲気で生活できるのが特徴です。
また、「できることは自分でやる」という、自立した生活を送れるようになるためのコンセプトのもと運営されているため、施設内での生活は認知症のリハビリにつながっています。したがって、グループホームは認知症ケア特化型の介護施設と言うことができるでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅とは介護サービスが受けられるバリアフリー付きの一般住宅です。他の施設とは異なり一般住宅なので、個人のライフスタイルに合った生活ができ、必要に応じて安否確認や生活相談のサービスを受けることができます。
サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2種類があり、大きな違いは介護サービスの提供の仕方にあります。
- 一般型
介護を必要としない自立している高齢者が対象で、介護士が常駐しておらず、介護サービスを利用しようとすると外部事業者と別に契約をする必要がある。 - 介護型
介護が前提となっているので、その施設に常駐しているスタッフが介護を提供してくれる。介護型の方が充実した介護サービスを受けながら生活できますが、費用に食費が含まれており、施設によっては水光熱費や上乗せサービス費が追加されている場合もあるので事前の確認が必要となる。
介護業界の職種
介護業界では数多くの利用者に対して充実したサービスを提供するために、さまざまな職種を設けています。一般的なイメージでは利用者の生活支援をおこなう介護職員の印象が強いと思いますが、その他にも相談業務やマネジメントなどさまざまな職種があります。
以下では介護職員以外の代表的な介護職種を4つ紹介します。
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
- 生活相談員
- 介護助手・介護補助
それでは、それぞれの職種の特徴や仕事内容を確認していきましょう。
介護福祉士
- 介護福祉士:介護職員実務者研修の資格を有している人が受けることができる国家資格
どの介護職種を希望していたとしても、最初は介護福祉士を経由することになるので、キャリアアップを目指すうえでは避けては通れない資格となります。
介護福祉士の資格を取得できれば、介護利用者の自立を支援するためのさまざまな専門知識・スキルを身につけることができ、介護業界の転職の際にも有利に働きます。
介護福祉士の仕事内容としては、施設や利用者の自宅における通常の介護業務に加えて、利用者の家族に対する説明や相談なども請け負っています。さらに介護スタッフのマネジメントや指導もおこなうなど、まさに介護現場のリーダーと言えるでしょう。
ケアマネージャー
- ケアマネージャー:介護利用者やその家族からのヒアリングを実施することで、利用者の要望に合った介護サービスプランを作成する仕事
施設や医療関係者、自治体など介護関係者と、作成したプランを遂行するために必要な調整をすることで土台の部分から介護を支えるサポート業務と言えます。
ケアマネージャーは現場で直接介護利用者を手助けできるわけではありませんが、ケアプランを作成することで利用者を自立まで導くことが可能です。ケアマネージャーは介護サービスを提供するうえで必要不可欠な存在であることから、非常にやりがいのある職種でしょう。
生活相談員
- 生活相談員:その名の通り介護利用者の生活に関する相談業務をメインとしており、その他にも幅広く業務を遂行するマルチな職種
具体的には介護利用者の入所手続きや退所手続き、利用者の家族に対する相談、他機関との連絡調整、苦情対応などの仕事を請け負っており、介護サービスの窓口としての機能を果たしています。
ケアマネージャーも介護利用者とその家族と対面して相談をすることがありますが、それはあくまでもケアプランの作成のためのものです。一方で生活相談員は介護全般に関する質問・相談に対応しており、扱う内容の幅が広くなります。
キャリアアドバイザー
生活相談員は施設によって求められる仕事が異なり、臨機応変な対応が必要となりますが、各職種間のパイプともなるので介護業界のキーパーソンとも言うことができるでしょう。
介護助手・介護補助
- 介護助手・介護補助:介護職員のサポート係であり、介護利用者がより充実した生活を送れるように身の回りの世話をすることが主な業務
介護助手・介護補助は介護職員がおこなうような利用者の入浴や食事といった業務には携わりませんが、ベッドメイキングや掃除、食事の準備、利用者の話し相手など、取り組む内容は多岐にわたり、介護現場には欠かせない存在です。
介護助手・介護補助を経験して本格的に介護業界に入る人も少なくないため、自分が介護業界に向いているかどうかを確かめるのにも良い職種と言えるでしょう。
介護業界の売上高ランキングと上位5社の特徴
介護業界には異業種からの参入が激しくなっていることは前述した通りですが、具体的にどのような企業が進出しているのでしょうか。以下では介護業界の売上高ランキングの上位5位に位置している企業を紹介していきます。
売上高ランキング上位5位の企業は以下の通りです。
- 1位:ニチイ学館
- 2位:SOMPOホールディングス
- 3位:ベネッセHD
- 4位:ツクイ
- 5位:セコム
それでは各企業の特徴を見ていきましょう。
①ニチイ学館
ニチイ学館は介護業界の売上高No.1であり、医療関連事業、介護事業、保育事業といった社会機能の維持に必要不可欠なサービス基盤の強化に力を入れている企業です。
ニチイ学館は全国に1400以上のサービス事業所を展開しており、在宅介護から居住系介護まで、介護に関するさまざまなサービスを扱っています。また介護の他にも、介護をするうえで負担となるような家事や掃除などを代行するサービスも展開していることから、非常に人気を集めています。
②SOMPOホールディングス
介護業界売上高No.2に位置づけられるのが保険事業で知られるSOMPOホールディングスです。SOMPOホールディングスはSOMPOケアを創設し、介護業界における幅広いサービス事業を展開しています。
SOMPOホールディングスはシニアリビング(介護施設)の居室数において業界No.1を誇っており、中でも有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅から介護業界に貢献しています。また他にも、グループホームの運営や在宅サービス、通所サービスもおこなっており、非常に幅広い分野で活躍している最先端の企業と言えるでしょう。
③ベネッセHD
介護業界売上高ランキング第3位はベネッセHDです。ベネッセHDは教育・保育に特化した企業ですが、介護分野にも進出しています。
主な事業・サービスは有料老人ホームやサービス付き高齢者向けなどの高齢者向け住宅の運営であり、その他にも在宅介護・通所介護サービスを提供しています。
都市部を中心に展開しており、売上高は第2位のSOMPOホールディングスとほとんど差はありません。
④ツクイ
第4位は介護事業をはじめて35年以上の実績を有するツクイです。
ツクイは当初訪問入浴から事業がスタートしましたが、現在では訪問介護やデイサービス、施設運営など多岐にわたり事業を展開しています。
中でもデイサービス事業数は全国で500か所を超え、業界でもトップクラスを誇っています。
⑤セコム
第5位は警備業界で有名なセコムです。セコムはセキュリティや防災といった警備保障をメイン事業としていますが、介護サービスでも売上を伸ばしている企業です。
具体的には訪問介護サービスや通所サービス、在宅総合ケアサービスなどを展開しています。また有料老人ホームなどの施設運営も手がけており、施設には警備会社であるセコムのノウハウが結集されていることから、不安なく快適に暮らせることで人気を集めています。
介護業界のキャリアパスを理解しよう
キャリアアップをすると手当などが増えて年収増加などが見込めるうえに、資格取得により専門性も身につくため、介護業界における転職にも非常に有効となります。
そんな介護業界は、キャリアアップの道のりが非常にわかりやすく、研修制度も非常に充実しています。未経験で就職した場合、まず介護職員初任者研修、介護職員実務者研修、介護福祉士の資格取得を通して介護に関する幅広い知識やスキルを取得していきます。
介護福祉士からキャリアアップ
介護福祉士の取得までの流れはさまざまですが、この後は自分の得意や希望に沿って職種を選択してキャリアアップを図ることができます。当然キャリアアップには試験や資格取得が必要なので、仕事をしながら勉強しなければならないという試練もありますが、難関を乗り越えることができれば、自分の能力をさらに活かせる職種に就くことができるでしょう。
介護福祉士からのキャリアアップには以下のような例が挙げられます。
- ケアマネージャー
- 認定介護福祉士
- 施設長・ホーム長
ケアマネージャー
ケアマネージャーは利用者の状態や家族の要望などに合わせてケアプランを作成する仕事を担当しており、介護の土台とも言えることから非常にやりがいのある職種ですが、目指すには相当の努力が必要となることを覚悟しておきましょう。
ケアマネージャーになるためには「介護支援専門員実務研修受講試験」の資格が必要となります。「介護支援専門員実務研修受講試験」は受験資格が厳格であり、実務経験も必要となるため、国家資格ではないものの、高難易度の試験です。仕事と並行しながらの受験となるため、学習時間の確保などが難しく、合格率が10%程度である年もあります。
ケアマネージャーは介護利用者や家族と話すことで、その利用者1人ひとりにあったプランを考えることから、より利用者に貢献できるという点でキャリアアップ先として非常に人気の高い職種です。
認定介護福祉士
介護職を目指すうえで「私は介護の現場で直接利用者の役に立ちたい」といった人もいるでしょう。そういった人には認定介護福祉士へのキャリアアップがおすすめです。というのも、認定介護福祉士は介護職員のリーダーとして現場の総指揮をとれるからです。
認定介護福祉士の主な仕事は通常の介護職員の業務に加えて、介護スタッフの教育指導、看護師や理学療法士などの多職種との連携の中心としての役割もあります。介護現場全体の状態をより良い方向に導くことができる立場であるため、より利用者への貢献度の高さを感じることができるでしょう。
認定介護福祉士は高度な知識・スキルを習得したうえで現場において現役で活躍できるので利用者と直接的にかかわりたい人にとっては非常に魅力的なキャリアアップ先と言えるでしょう。
施設長・ホーム長
施設長・ホーム長は主に施設運営全般を取りまとめる介護業界の管理職です。施設長・ホーム長になると介護業界のために取り組める内容が大幅に増えます。
入居促進の営業活動や介護スタッフの採用、労務収支管理など、施設全体の管理の他、現場に入ることもあり、場合によっては夜勤や欠員補充に対応することもあります。
施設長・ホーム長になれば施設全体を活性化させ、ひいては利用者一人ひとりの生活の充実させることにもつながる職種となるため、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。
キャリアチェンジ
介護業界にはキャリアアップだけでなくキャリアチェンジの選択肢もあります。キャリアチェンジをすると介護で培った知識や技術を次の仕事に活かすことができ、ゼロからのスタートではないため、即戦力として働けるのが魅力です。
介護職のキャリアチェンジ先として挙げられるのは以下の2つです。
- 作業療法士・理学療法士
- 看護師
介護職の経験がある人材によるこれらの職種へのキャリアチェンジは、施設やサービス事業所から非常に歓迎され、介護職よりも給与面の待遇も良好となるでしょう。
作業療法士・理学療法士
作業療法士・理学療法士は身体に何らかの障害を持つ患者を対象としており、日常生活における基本動作を支障なくおこなえるように治療・指導・援助を遂行するのが仕事です。
作業療法士・理学療法士は患者の自立をサポートするという点で介護のコンセプトと共通するところがありますが、介護職とは違い、リハビリなどを通して身体的・精神的症状の改善を図ることで問題解決にアプローチすることができます。
患者の問題を根本から解決することができる職種であるため、より直接的に人々の自立に貢献したい方は介護を学んだうえで作業療法士・理学療法士にキャリアチェンジするのも1つの手です。
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アドバイザー
作業療法士・理学療法士になるには国家資格を取得する必要があり、試験は1年に1度しかおこなわれないため、目指したい方は早めに試験対策をしておくのが賢明でしょう。
看護師
看護師にキャリアチェンジすると、より医療分野から患者にアプローチすることになります。
傷病者や高齢者の療養上の世話、医師の診断補助をメインに活動しており、近年では病院だけでなく訪問介護や介護施設にも活躍の場を広げており、やることも多様化してきています。また、看護師にも「専門看護師」「認定看護師」「認定看護管理者」といったキャリアアップ先があります。
キャリア
アドバイザー
看護師になるには大学や専門学校で学んだ後に国家資格を取得する必要があるためハードルは高いですが、介護士としての経験が役に立つことは間違いないので、キャリアチェンジを検討してみても良いでしょう。
キャリアアドバイザーコメント根岸 佑莉子プロフィールをみる
介護業界で働く際は、事前にキャリアパスを考えておくことをおすすめしています。介護は実務経験や資格の必要な職種が多いため、たとえば「認定介護福祉士になりたい」と考えてもすぐに就けるわけではないからです。
たとえば今挙げた認定介護福祉士の資格を取得するには、介護福祉士としての実務経験が5年必須なうえ、居宅と施設での生活支援経験のあることが望ましいとされています。認定介護福祉士になるためには、まず介護福祉士の資格取得に向けた勉強から始めなくてはいけませんよね。そのうえで施設だけでなく居宅の生活支援経験も積む必要があります。
そのため自分が将来何になりたいかを決めて、その職種に就くためにはどのルートを通らないといけないか逆算して考えておきましょう。そうするとやるべきことが見えるので、より早く希望の仕事に就くことができますよ。
介護業界が求める人物像
介護の社会的ニーズが高く、人手不足が深刻化しているのはすでに述べたとおりですが、だからといって誰でも採用してくれるかというと、決してそんなことはありません。
そのため、介護職を目指すのであれば、介護業界が求める人材の特徴を理解するのは必須事項と言えます。ここからの解説を参考にし、面接などでアピールすることで、介護業界への就職を有利に進められるようにしましょう。
①明るく前向きな人
介護の現場では高齢者と明るく接しなければなりません。なぜなら、要介護者とは他人の助けがないと生きていけない高齢者であり、なかには他人に迷惑をかけると罪悪感を感じている方や自分の人生に疲れてしまった方もいるからです。
そういった方に対して暗く後ろ向きな人が接するとどうなるでしょうか。場合によっては状態を悪くしてしまうことも考えられます。したがって介護業界で働いていくうえでは明るく前向きな姿勢というのは欠かせない要素なのです。
前向きさをアピールする方法はこちらで解説しています。
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➁他の人の気持ちを汲み取れる人
介護とは決められた業務をこなしていればよい仕事ではありません。介護の目的は要介護者のやりたいことや意欲を引き出して、それが可能な環境を整えることであり、それはマニュアルベースの業務をしていては実現できないものです。
特に要介護者の中にはしてほしいことが伝えられない、何をしたいのかわからないといった人は非常に多くいます。
大事なのは高齢者に寄り添う気持ちです。高齢者に寄り添う気持ちさえあれば自然と気持ちを汲み取ることは可能となります。介護業界に携わりたいのであれば、高齢者に対して思いやりを持って接することは大前提であることを理解する必要があるのです。
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面接などでは、高齢者を助けたい率直な思いや他の人の気持ちを汲み取れることがわかる具体的なエピソードを盛り込むことができれば、良いアピールになるでしょう。
他の人気持ちを汲み取れる人は人の役に立つ仕事にも向いてます。人の役に立つ仕事についてはこちらの記事で詳しく解説していますよ。
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③体力がある人
介護業界は体力がある人も求めています。理由は簡単で、体力がないと介護業界ではやっていけないからです。
介護では主に身体的に不自由な高齢者の手助けをします。そのため、業務中は高齢者の身体を起こしたり、ベッドから移動させたりと身の回りの世話をつきっきりでおこなうことになります。また介護者自身の世話以外にも、ベッドメイキングや掃除等をおこなう必要もあり、業務量が多く、かなりの体力を消耗するでしょう。
そのためいくらやる気があっても、それに伴う体力がないと厳しいというのが現実です。介護を本気で目指すのであれば体力が必要であることは覚悟する必要があります。
新卒で介護業界を目指すメリット
介護業界で活躍している人の中には中途で転職してきた人も多くいます。未経験の転職者でもすぐに戦力として働けるのが介護の良いところですが、介護職を目指すのであれば、新卒で就職した方が得られるメリットがより多くなるため、転職よりも新卒で就職するのがおすすめです。
早くから専門性を高められる
介護には幅広い知識があり、習得するべきスキルも数多くあります。そのため、新卒で介護業界で経験を積んでいれば若さならではの吸収力で専門性を身につけるのも早くなり、その分将来のキャリアプランを決める余裕が生まれます。
専門性は自分を助ける武器になります。特に介護に関連のある理学療法士や看護師などへの転職を希望する場合、介護の専門性が非常に役に立つことになります。
国家資格を取得しやすい
新卒から介護に携わっておくと、早い内に実務経験を積むことができるからです。介護の国家資格には実務経験3年以上などの受験制限が設けられていることが多く、当然スタートダッシュが遅ければ資格の取得も遠のいてしまいます。
また、介護業界は資格取得のための支援制度が非常に充実しており、将来のキャリアアップに必要不可欠な資格を取得しやすい環境です。企業によっては会社負担で資格取得を支援してくれるところもあり、若いうちから資格を取得し専門的な知識・スキルを身につけることができるでしょう。
若いうちにキャリアアップできる
キャリアアップをするには実力を身につけることは当然ですが、競争率も問題になってきます。大手の企業などであれば、人が多い分経験があってもキャリアアップをしづらく、待遇や成果につながりづらいといった側面があるのです。
一方で人手不足である介護職では社員数や役職が少なく、実力や経験さえ積めば若くてもキャリアアップしやすいというメリットがあります。キャリアアップできれば給与・待遇が良くなることからも、新卒から介護職につくのは非常におすすめできます。
キャリア形成については学生のうちから考えておくとよいでしょう。
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新卒で介護業界を目指すメリットは、自身の希望に添った労働条件の事業所に入社しやすくなることです。それには業界全体として中途より新卒のほうが採用されやすい傾向にあることがかかわっています。
介護業界はさまざまな事業所があるので、待遇の良いところもあれば良くないところもあります。待遇の良いところは離職率が低く、入社難易度もやや高いです。
たとえば、2021年に介護事業大手のSOMPOケアは、ケアコンダクターというリーダー級の社員の年収を50万円引き上げると発表して話題になりました。賃金アップの原資は、離職率を下げることで採用コストを抑えて捻出するようです。
新卒採用の場合は定期的に採用活動をおこなっているうえ、事業所が社員を教育するつもりでいるため中途より入社が難しくないケースも多いです。そのため、新卒は難易度が高そうで採用間口の狭そうな事業所にも入りやすいといえます。
もし介護業界に興味があるなら、希望の事業所に入社しやすい新卒の時期から目指すことをおすすめします。
介護業界を志望するにあたっての注意点
介護業界は高齢者を助けることを生業としているため、当然簡単にできるような仕事ではありません。そのため、以下の注意点を参考にすることで自分が本当に介護職に向いているのかを再確認するようにしましょう。
体力的な負担が大きい
介護を必要としている高齢者は日常生活もままならない状態である方も多く、移動や入浴、排泄などの際に介助が必要となります。介護職で働くということは、そういった方々のお世話を断続的におこなうということです。当然続けていれば体力を消耗し、足腰の痛みなども出てくるでしょう。
介護に勤める場合はそういった肉体的なつらさを抱えながらも働かなくてはなりません。介護をする方が機能しなくなれば、介護利用者の方々は日常生活を送ることが難しくなってしまうからです。
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場合によっては利用者の命を危険にさらしてしまうこともあるため、体力がなくてもなんとかなるといった安易な考えで介護職に臨まないようにしましょう。
夜勤や休日勤務がある
介護業界では、ほぼ確実に夜勤や休日勤務があります。ここで理解しておくべきなのは、望んでいない場合も夜勤・休日出勤に対応しなければならないということです。
自分から望んで夜勤を選択している場合は苦ではないと思いますが、望んでいない場合は心身ともにつらいものがあるでしょう。
しかし、介護業界では常に人手が足りていないので欠員が出てしまえば穴を埋めるために出勤しなければならないケースも出てくると想定されます。
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介護業界を目指す際は一度自分の生活スタイルと仕事が合っているかどうか確認しましょう。
待遇が他の業種に比べて低い可能性がある
介護職の平均年収はボーナスも含めて350万円前後であり、資格を取得してケアマネジャーになってようやく400万円程になります。日本における平均年収は436万円であり、ケアマネージャーになっても平均額に追いつかないという現実があります。(参照:厚生労働省[令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果]、厚生労働省[2020年賃金構造基本統計調査])
近年厚生労働省による介護職の待遇の改善が推進されており、以前よりも状況が良くなっています。しかし、まだ改善の余地が大いにあり、低待遇のために介護を志す人が不足していることもまた事実です。
そのため介護職に勤めたい場合は他の業種に比べて待遇が悪いことはあらかじめ承知しておきましょう。
介護業界の資格は働いてから取得しよう
介護業界の資格は実際に実務経験をこなしながら取得するのがおすすめです。
介護福祉士の資格は介護士の当面の目標となりますが、その資格を取得するためには実務経験3年以上という受験制限が設けられています。働く前から資格を取得しても問題はありませんが、結局実務を経験しないうちは次の段階へ進むことができません。
したがって、効率良くステップアップするためにも、介護業界の資格は働いてから取得するようにしましょう。
キャリアアドバイザーコメント辻 華菜子プロフィールをみる
医療と福祉の世界は資格社会です。介護業界を目指すなら、学生のうちから「介護職員初任者研修」の資格は取得しておくほうがいいですよ。
たとえば、訪問介護の仕事は介護職員初任者研修の有資格者しかできません。訪問介護以外の事業所でも「この仕事は介護職員初任者研修の有資格者しかさせない」と業務内容を分けているところもあります。資格のあるなしでできることが変わってくるので「先輩の仕事を真似して私も積極的に働きたい」と思っても、資格がないとできないことも多いです。
介護の基本的な知識があれば、無資格なのに有資格者の仕事をしてしまうというリスクが減らせます。学校で介護や福祉を専攻せず、資格や知識のない状態では、本来してはいけない仕事をうっかりしてしまう可能性もあります。
将来像を見据えて早めに動き出すことも大切!
また、将来的に「ケアマネジャー」を目指しているなら早めに動き出すようにしましょう。ケアマネジャーは知識が求められるうえ、指定された業務を900日以上経験しないと受験できないからです。
介護業界において資格を取得しておくと仕事の幅が広がり給料もアップします。時間のあるうちに、介護職員初任者研修を取得しておくのもいいですね。
介護業界の志望動機のコツ
たとえ介護に対して人一倍の情熱を持っていたとしても、事前の準備なしに行き当たりばったりばったりで面接に臨んでは、その気持ちを思うように伝えられない可能性もあります。
そこで、ここからは介護業界の選考で自分を効果的にアピールをするための志望動機のコツについて解説します。
以下の内容を参考にして、あらかじめ志望動機を考えておくことで、介護業界に対する興味、やる気を伝えられるようにしましょう。
志望動機の作り方のコツはこちらでまとめています。
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福祉系の大学の場合
介護職を目指す人の中には福祉系の大学で学び、すでにある程度の知識・スキルを身につけている人もいると思います。そういった人は以下の2点を中心に志望動機を考えましょう。
- 介護職を目指したきっかけを伝えよう
- 今後のキャリアを考えておこう
介護職を目指したきっかけを伝えよう
志望者が福祉系の大学出身の場合に面接官が気になるのは介護職を目指したきっかけです。
介護に携わることにしたきっかけは、今後介護職を続けていけるかを確認するうえでも非常に重要な部分となります。そのため記憶を整理して介護職を目指したきっかけを言えるようにしておくのがおすすめです。
きっかけを話す際は必ずエピソードを盛り込みましょう。具体的なエピソードがあると介護職を目指したきっかけに信憑性が出てきますし、貢献したい理由に説得力も出てきます。
注意点は話が長すぎないようにすることです。話が長すぎると、面接官も聴き疲れてしまうので、ポイントを押さえて簡潔明瞭に伝えられるように心がけましょう。
今後のキャリアを考えておこう
福祉系の大学出身の場合、今後のキャリアについて述べるのも効果的です。その理由は、将来のビジョンが明確になっていた方が介護の仕事への本気度を伝えることができるからです。
今後のキャリアを伝えるときは、将来やりたい仕事にどう自分の経験や強みを活かせるのかを意識しましょう。たとえば他人とコミュニケ―ションを取るのが得意でヒアリングスキルの高い方は生活相談員、人をまとめる、物事を俯瞰的に判断できるリーダーシップがある方は施設長などを目指すのがおすすめです。
福祉系以外の大学の場合
福祉系以外の大学の場合は、以下の2点を丁寧に伝えるよう心がけましょう。
- 介護職に興味を持ったきっかけを伝えよう
- なぜその現場なのかを考えておこう
介護業界ではIT業界などとは異なり、入社以前に知識やスキルを身につけていなくても十分に戦力になります。さらに研修制度も充実していることから、福祉系の大学を出ていなくても、しっかりと上記の点を意識できれば採用される可能性は十分に高いでしょう。
介護職に興味を持ったきっかけを伝えよう
知識やスキルのない未経験者でも介護業界に入ることは十分にできますが、福祉系の大学を出ている学生に比べると、アピールポイントが不足してしまうのは事実です。
そのため、福祉系以外の大学出身者は、特に介護職に興味を持ったきっかけに力を入れるようにしましょう。面接官にとっては、大学等で専門的に学んできていないにもかかわらず、なぜ介護職を志しているのかについては、非常に気になるポイントとなります。
身内に介護が必要な家族がいる、介護の現場に携わる機会があったといった場合は、そういった話を膨らませることで介護に興味を持った理由を明確にしておくと志望動機に説得力を持たせることができるでしょう。
なぜその職場なのかを考えておこう
志望したのがなぜその職場であるのかについても考えておきましょう。介護施設や介護に参入している企業はいくつもあるのに、なぜそこを選んだのかは、アピールするうえでも非常に重要な部分です。
他社との違いを明確に説明し、そこから志望先でしかできないことや志望先ならではの点にまで言及することで魅力を伝えられれば、選考を通過する可能性はグンと上がるでしょう。
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他社との違いを述べるには企業研究が必要不可欠です。根拠のない違いを述べても深彫りされた場合に答えられなければマイナスの評価になるだけなので、各企業の事業内容を確認したうえで伝えるようにしましょう。
介護業界の面接でよく聞かれる質問例
ここまで介護業界の動向から志望動機のコツまで細かく説明してきましたが、最後に介護業界の面接でよく聞かれる質問例を紹介します。
質問の内容は企業によって異なりますが、重要となる質問事項はどの企業も変わりません。
あらかじめ準備しておくことで、面接において焦らず効果的に自分をアピールできるようにしましょう。
介護業界の志望動機
どの面接でもほぼ確実に聞かれるのが志望動機。志望動機は選考において極めて重要な要素であり、選考を通過できるかどうかは志望動機にかかっていると言っても過言ではありません。
まず意識するべきなのは介護に興味を持った具体的エピソードを盛り込むことです。単に「介護職として働きたい」というだけでは表面上の言葉だと受け取られてしまい、面接官に対するアピールとしては弱いでしょう。
一方エピソードを加えることで、介護に携わりたくなった具体的なきっかけを伝えられれば、働きたいという話の信憑性が増すことになりますよ。
また、志望動機ではどのように貢献できるかまできちんと伝えることで熱意を伝えることができます。
志望動機の締め方はこちらを参考にしてみてください。
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熱意が伝わる志望動機の締め方|作り方・伝え方を例文付きで解説
志望動機のしめの文では、入社してやりたいことをしっかりと伝えることで面接官に熱意を伝えることができます! 今回は熱意の伝わる志望動機のしめ方をOK例文とNG例文とともに紹介していきます。キャリアアドバイザー監修のもと、魅力的なしめを作るポイントも紹介するので参考にしてみてください。
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回答例
私は介護職に携わることで、高齢者が生活しやすい環境を整えたいと考え、貴社を志望いたしました。
介護職に興味を持ったきっかけは、祖母が介護を受けるようになったことです。私の祖母は年々自分で日常生活を送ることが厳しくなっており、数年前からホームヘルパーのお世話になっております。
自宅に来られたホームヘルパーさんは非常に明るく、丁寧なお世話をしてくれるだけでなく、業務以外にも祖母の話し相手になってくれたり、励ましてくれたりと親身になって対応してくださいました。祖母は元気がなくなっていましたが、そのホームヘルパーさんのおかげで次第にいきいきし始め、毎日の生活が充実するようになりました。
そばでホームヘルパーさんのお姿を拝見していた私は、人を心身ともに手助けできる介護という仕事に感銘を受けました。それ以来私は福祉に興味を持ち、高齢者の方々を手助けできる介護職を志望するようになりました。
いち早く介護に必要な知識やスキルを身につけ、現場で活躍できる介護士になりたいと考えております。
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具体的かつリアルなエピソードを盛り込むことで介護職を目指した理由を明確に示すことができています。また、理由がポジティブであるため、介護職に携わりたい熱意が伝わってきます。
その会社を選んだ理由
次に面接でよく聞かれる質問として挙げられるのが会社を選んだ理由。介護業界に携わる企業が非常に多くある中で、どうして自社を選んだのかは面接官が非常に気になるところです。
会社を選んだ理由で大切になるのは理由を明確にすることです。理由がない、もしくは明確ではないと、すぐに辞めてしまうかもしれないという不安を与えてしまうことになりかねません。
逆に理由をしっかり固めておけば、介護に対する意欲や熱意を表現でき、介護を志望したことに説得力を持たせることもできるでしょう。
回答例
私が御社を志望いたしましたのは、御社が提供する警備システムと介護を融合させた画期的なサービスに惹かれたからです。
御社が提供するセキュリティ対策と見守り機能が取り入れられた高齢者向け住宅は、御社のノウハウが詰まった、他社では真似できないサービスであると考えており、要介護者の方々が安心して暮らすためのサービスとして非常に感銘を受けました。
また御社は介護業界売上高〇位に位置しており、現在高齢化が急速に進み、安心して暮らせる住宅のニーズが増加していることから、今後も継続的な収益アップが見込めます。
また、それにより得た高い収益を元手にすれば、御社の優れた技術を介護に応用した新規事業の立ち上げも可能となり、他社と比べ将来性も期待できると考えております。
以上のことから私はより多くの高齢者方に貢献するために御社を志望いたしました。
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志望先の特徴を具体的に述べることで、その会社でしかできないこと、その会社でなければならない理由を効果的に伝えることができています。また、回答例のように他社と比較した将来性などにも言及すると、その会社を選んだ理由にさらに説得力を加えることもできるでしょう。
目標やキャリアプラン
目標やキャリアプランも面接ではよくある質問です。ここで明確な答えを用意しているかどうかは志望者の印象を大きく左右します。というのも、目標やキャリアプランがすでに決まっていれば、介護に真剣に携わろうとしている熱意や入社後に熱心に取り組んでいく姿勢をアピールできるからです。
そのため、目標やキャリアプランについても以下のポイントを参考に考えておくようにしましょう。
- 具体的な目標を設定する
- 自分の強みとキャリアプランを関連付ける
回答例
私は実務経験を通して介護職に必要なスキルを身につけ、いずれはケアマネジャーになりたいと考えております。
私は学生時代に飲食店のアルバイトをしており、多くの顧客とコミュニケーションを図って参りました。そこでわかったことは、顧客によってサービスの感じ方は異なり、満足度も一様ではないということです。すべての顧客に満足してもらうには、一人一人に合わせたサービスの提供が必要であり、そのためにはサービス設計の大本に携わり、根本的に変えていく必要があると感じました。
私はこのような経験から介護利用者一人ひとりに合わせてケアプランを作成していくケアマネジャーに興味を持ちました。ケアマネジャーには会話を通して利用者のニーズを正確に引き出すヒアリング力やコミュニケーション力が求められると思いますが、アルバイトで培った経験をその場で活かせると考えております。
はじめは介護職員として目の前の介護利用者の方を全力で支えていきます。そしていずれは資格を取得しケアマネジャーになりたいと考えております。
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大学時代の経験や自分の強みを活かせる仕事を目標にすることで介護職への熱意を効果的に表現できています。また、将来のキャリアのみならず、目の前のことにも一生懸命になれることにも言及し、現実的な視点もまた伝えることができています。
自分の長所や短所
介護業界の面接でも他業種の面接と同様に自分の長所や短所はよく質問されます。
重要なのは介護業界で役に立つ人材と思われることです。そのため、長所を述べるときは
- 性格であれば真面目さや責任感の強さ
- スキルであればコミュニケーション力や対応力、体力など介護に必要な特徴
をアピールするようにしましょう。
また、短所を述べる際に自分を落としすぎるのは良くありません。正直に答えることは大事ですが、短所が不安材料になれば選考に通らなくなってしまうので、長所の裏返し、短所とも言えるが長所とも言える特徴を伝えましょう。
回答例
私の長所は真面目で責任感が強いところです。
これまで学業、部活、アルバイトのいずれにおいても、やらなければならないことを途中で放り出したことはなく、自分に与えられた役割は必ず果たしてきました。
ただその一方で、真面目すぎることからやや融通の利かないところが短所として挙げられます。指令に従うことを意識しすぎるあまり、自分の思考を止めてしまうこともあるので、普段から意識的に自分の頭で考えて行動するよう心がけております。
介護は高齢者の方々の命を預かる仕事ですので責任感は必須のものと考えております。また、ときには臨機応変な対応力も必要となると思いますので、今後も実務経験を通して常に考えて行動することで自分の短所も克服していけるよう全力で取り組んでいく所存です。
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長所は介護に必要かつ自分の強みである性格を挙げることで、自分が介護に必要な人材であることをアピールしています。また、短所についても理解し、改善のための努力についても言及しているので、面接官も自己分析や問題解決ができる人材であるという判断がしやすくなるでしょう。
真面目さをアピールする方法はこちらで解説しています。
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真面目さが長所はOK? 差別化のコツを例文付きで解説
長所で真面目さをアピールするときは、具体的なエピソードを交えて効果的にアピールしていきましょう。今回はキャリアアドバイザーが、真面目さをアピールする際に必要な3ステップや具体的なアピール方法を紹介していきます。3つの例文も紹介するので、自分に合ったアピール方法を探してみましょう。
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最近気になった介護関係のニュース
最近気になったニュースは就活における鉄板の質問事項です。介護業界の面接であれば当然介護に関係するニュースを求められるため、介護への熱意を伝えるためにもこの機会をうまく利用しましょう。
ニュースは最新のものでなければなりません。古い内容のものを扱っていては、情報に疎いイメージを持たれてしまう可能性もあります。近年は介護業界の待遇改善や介護保険制度の見直しなど、働くうえで介護職員が直接的にかかわる部分の改変なども起きているため、常にアンテナを張り巡らせることで情報感度の高さをアピールしましょう。
回答例
最近気になった介護のニュースは介護職員の賃上げです。
来月3月から9月まで補助金による月額3%の賃上げがおこなわれ、介護報酬の新加算もおこなわれることで賃上げは10月以降も恒久的な措置となるようでした。
私はこのような介護職の待遇改善は今後の介護業界にとって非常に明るいことであると考えております。というのも、介護職の待遇がより改善されれば、新たな人材確保や介護職員の負担軽減につながるからです。
近年高齢者は年々増加しており、厚生労働省によると、2025年にはおよそ37万人の介護職員が不足するとの統計が発表されています。私はこの状況に危機感を抱いており、このまま介護職員の供給が滞ってしまえば、介護業界が成り立たなくなってしまいかねないため、介護に関する抜本的な改革が必要であると考えております。
そのため今回の待遇改善はその改革の第1歩として、非常に価値があるものと考えております。介護職の待遇改善が進めば要介護者の方々により一層充実したサービスを提供できるので、今回の賃上げのニュースには非常に興味を持ち、取り挙げさせていただきました。
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ニュースの概要だけでなく自分の主張も併せて述べることで、情報感度が高いことを表現できています。意見を述べるときは数値などを効果的に用いると評価も高くなりやすいでしょう。
最近のニュースを聞かれた際の答え方はこちらで解説しています。
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面接で最近のニュースを聞かれたときに、上手く答えるためには日頃の情報収集と回答のコツが肝心になります。 この記事では、面接で最近のニュースが問われる理由や取り上げる内容、ポイントなどをキャリアアドバイザーが解説します。 回答例文や解説動画も参考に、考えをまとめておきましょう。
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キャリアプランを明確にして介護業界に就職しよう!
介護は需要が拡大しており、未経験者でも歓迎される業種ですが、明確な志望動機や将来のビジョンもなしに内定を獲得できるほど甘くはありません。
今回解説した介護業界の仕組みや種類、特徴、志望動機のポイントを把握したうえで業界の理解を深めることが大切です。
介護職に就職する際は、まず介護業界についてしっかり理解し、キャリアプランを明確にしたうえで選考に臨みましょう。
介護業界の求める人物像や志望動機のコツを解説!成長産業と呼ばれる理由とは?【就活】
この制度は3年ごとに見直しがおこなわれており、日本における高齢化は急速に進んでいるため、今後は財源が減ることによる介護保険サービスは縮小し、民間企業等による介護保険外サービスがますます普及していくことが予想されます。