目次
- 独立系SIerを目指すなら他のSIerにはない特徴を理解して進めることが肝心
- SIerとは?
- SIerの業務内容
- SIerの分類
- 独立系SIerの代表的企業
- 大塚商会
- SCSK
- BIPROGY(旧 日本ユニシス)
- オービック
- インターネットイニシアティブ(IIJ)
- TIS
- 独立系SIerのメリット・デメリット
- メリット
- デメリット
- 独立系SIerで働くのに必要なスキル
- プロジェクトマネジメント
- プログラミングスキル
- ドキュメント作成
- コミュニケーション能力
- 独立系SIerに向いている人
- 様々な業種のシステムに広くかかわりたい人
- 数多くの現場でスキルアップしたい人
- 顧客へ最善案の提案をしたい人
- 独立系SIerを選ぶ際は7つのポイントを押さえよう
- ①さまざまな業界とつながりがあるか
- ②上流・大規模案件が多いか
- ③営業力が高く実績が豊富か
- ④業績が安定しているか
- ⑤業界での強みがあるか
- ⑥待遇が良く離職率が低いか
- ⑦働き方がイメージしやすいかどうか
- 企業別に紹介! 独立系SIerの志望動機例文
- ①大塚商会
- ②SCSK
- ③日本ユニシス
- ④オービック
- ⑤インターネットイニシアティブ(IIJ)
- ⑥TIS
- 独立系SIerのメリットを理解して就職を目指そう!
独立系SIerを目指すなら他のSIerにはない特徴を理解して進めることが肝心
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく、
「独立系SIerから内定をもらったので、実際の業務内容について詳しく知りたいです。」
「独立系かユーザー系かで迷っているのですが、どういった違いがありますか? 」
といった相談を受けます。AIやDXなど、企業のIT活用推進の流れもあり、近年学生の就職先として人気のあるSIerですが、プログラミングをしたくてIT業界を志望しているけれど、SIerはたくさんありすぎて違いがわからない、という方も多いのではないでしょうか。
また、独立系SIerを目指すことがすでに決まっている人も、他のSIerにない特徴や仕事の詳細を知ることで、自身の方向性がより明確になってくるので、ぜひ選考前に基本をおさえておきましょう。
本記事では、SIerの基本的な知識や、独立系SIerのメリット・デメリット、必要なスキルから志望動機の例文まで広くお伝えしていきます。記事を読んで独立系SIerの特徴を正しく理解し、適切な進路選択をしていきましょう!
SIerとは?
SIer(エスアイヤー)とは、「System Integrator(システムインテグレーター)」の略で、顧客企業のシステムの設計・開発・運用・保守を請け負う企業のことを指します。
近年、企業におけるIT活用が活発化してきたことから、多くの企業においてITシステムが導入されてきています。しかし一方で、日本ではIT技術の急激な進化に対応できる社内エンジニアがまだ不足しており、自社システムを自分たちだけで開発できる企業は多くありません。そこで、SIerが顧客企業において必要なシステムを一緒に考え、導入から実際の運用までサポートしていくのです。
SIerの業務内容
SIerの業務は、基本的に下記の流れでおこなっていきます。
- 営業
特定の顧客を担当して企業内の問題を解決していく「アカウント営業」と、特定の製品を担当し、業界内でのシェアを広げていく「ソリューション営業」により、案件を獲得していきます。 - 要件定義
顧客の抱える課題やニーズについてヒアリングをおこない、システムに必要な機能や性能を決め、業務処理の手順やシステム操作などの要件定義をしていきます。 - 設計・開発
要件定義の内容をもとに、どのようなシステムにするのかおおまかな基本設計をおこない、詳細設計で細かな仕様を決めていきます。仕様書が作成できたらシステム開発に移り、設計書とコーディング規約に沿って要件を満たすプログラミングをしていきます。 - テスト
設計書通りに動作するか、不具合がないかをテストしていき、必要に応じて修正をおこないます。 - 運用・保守
導入時や運用の際に問題が発生した場合は速やかに対処し、その後も稼働状況の監視や定期的なメンテナンスによって安定的な運用をサポートしていきます。
SIerの分類
SIerの分類は、大きくわけて、「メーカー系」、「ユーザー系」、「独立系」、「外資系」の4つになります。メーカー系やユーザー系は日立や伊藤忠など、大手企業を親会社に持つ企業が多いため、なんとなく馴染みやすいのではないでしょうか。
同じSIerであっても、企業分類によって特徴や仕事内容は異なりますので、1つずつ確認していきましょう。
メーカー系SIer
メーカー系SIerは、コンピューターや家電などのハードウェアを作る大手メーカーの情報システム部門が分社・独立してできた子会社や関連会社のことを指します。
基本的には親会社からの仕事が多いため、親会社の経営が安定している限り、仕事をコンスタントに受注できます。また、大手メーカーの親会社の強みを活かし、親会社の製品とシステムを組み合わせたトータルでの提案が可能です。
一方、親会社の製品を優先するために他社のハードウェア・ソフトウェアの使用に制限があることが多く、顧客の課題に対して最適な提案ができない場合があります。親会社の製品に則した専門的知識は習得できますが、独立系などと比較するとシステムに関する幅広い知見を身につけることは難しいといえるでしょう。
メーカー系SIerについてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
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ユーザー系SIer
銀行、生保、商社、製造などの大手企業における情報システム部門が子会社や関連会社として独立してできた企業のことを指します。メーカー系と同じく、親会社が大手企業であるため、経営は安定しやすく、年収も比較的高水準にあります。
ユーザー系では主に親会社やグループ会社のシステム開発・運用をおこなうため、システムに関する知識だけでなく、親会社の業界や業務に関する専門知識や資格が必要となることがあります。
また、仕事としてはコンサルティングなどの上流工程を担い、プログラミング等は下請けに出すことが多いため、プログラミング知識を深めていきたい人にはあまり向いていません。システムの構築については、メーカー系と異なり使用するハードウェア等の縛りがないため、比較的自由度は高いといえます。
独立系SIer
SIerの中でも圧倒的に数が多いのが独立系SIerであり、一部を除いて比較的中小企業が多いことが特徴です。独立系SIerは、メーカー系やユーザー系と異なり、親会社を持たない独立資本の会社です。
そのため、親会社やグループ会社の製品を用いる必要がなく、顧客に応じて比較的自由に使用するハードウェアやソフトウェア、言語を選定できます。また、親会社がいないため、案件は自分たちで取ってくる必要があり、営業重視の企業も多く、エンジニアにも売上のノルマがある場合があります。あらゆる業界・企業の案件に携わることができるため、さまざまな経験を積んでいくことができるでしょう。
外資系SIer
外資系SIerとは、日本に事業を展開している海外資本の企業のことを指します。IT企業やコンサルタント企業が中心で、ほとんどがグローバルに名の知れた大企業となります。
外資系であるため、基本的には実力主義のところが多く、新入社員の頃から比較的給与が高い一方で、それ以降は個々の実力によって上げ幅が大きく変わってきます。入社時から高いスキルがもとめられ、本部が海外にあるため語学力もある程度必要となってきます。案件によっては世界的な大規模プロジェクトに参加できるチャンスもありますよ。
外資系コンサルタントの場合は、SIerの仕事の中でも企画や要件定義といった上流工程を担い、開発等の工程は外注することが多いです。また、自社でハードウェア製品を扱っている企業では、メーカー系SIerと同様、SIer事業が自社製品のシェア拡大を担っているケースもありますよ。
外資系について基礎から知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
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独立系SIerの代表的企業
- 大塚商会
- SCSK
- BIPROGY
- オービック
- インターネットイニシアティブ(IIJ)
- TIS
就活生
独立系SIerに興味があるのですが、どういった企業がありますか?
キャリア
アドバイザー
知名度が高く、学生からの人気もある代表的な企業をいくつか見ていきましょう。同じ独立系SIerでも企業によって特色は異なります。比較しながらひとつずつ確認していきましょう。
独立系SIerは比較的中小企業が多い一方、企業規模が大きく、安定性が高くて待遇の良い企業もあります。代表的企業を6社あげていますので、企業選びや志望動機を書く際の参考にしてみてください。
大塚商会
企業名 | 大塚商会 |
設立 | 1961年7月17日 |
従業員数 | 7,480名(2022年3月時点) |
売上高 | 7,667億2,400万円(2022年3月期決算) |
純利益 | 360億8,700万円 |
HP | https://www.otsuka-shokai.co.jp/ |
大塚商会は、オフィス用品の通信販売「たのめーる」のCMにより知名度が高い企業ですが、事業内容としてはIT機器やシステムの提案から導入までをおこなう「システムインテグレーション」と、導入後に運用面での支援をおこなう「サービス&サポート」があります。
大塚商会の強みは、特定のメーカーにとらわれない「マルチベンダー対応」と、オフィス用品からIT機器・ITサービスまで幅広く提供する「マルチフィールド対応」です。
60年以上の歴史の中で、120万社以上の企業との取引実績、および15,000種類以上の業種・業界に特化した構築事例があり、豊富な経験と実績を武器に企業におけるIT活用をトータルでサポートしています。
SCSK
企業名 | SCSK |
設立 | 1969年10月25日 |
従業員数 | 8,462名(2022年3月時点) |
売上高 | 3,321億5,300万円(2022年3月期決算) |
純利益 | 291億9,500万円 |
HP | https://www.scsk.jp/ |
SCSKは独立系SIerではありますが、もともと総合商社である住友商事の情報システム部門が独立してできた企業です。そのため住友商事が半数以上の株を保有しており、現会長および取締役のうち数名は住友商事出身です。住友グループから仕事を受注できるため、事業基盤が安定しているといえます。
一方、SCSKは住友グループ以外にも幅広く事業を展開しており、売上全体の8割を占める製造・流通・金融・通信業の4業種で約8, 000社の企業との取引があります。
また、SCSKはワークライフバランスを重視しており、なでしこ銘柄・健康経営銘柄に8年連続で選定され、社内における従業員満足度は9割を超えています。
BIPROGY(旧 日本ユニシス)
企業名 | BIPROGY(旧 日本ユニシス) |
設立 | 1958年 3月29日 |
従業員数 | 4,451名(2022年3月時点) |
売上高 | 1,869億1,000万円(2022年3月期決算) |
純利益 | 206億6,500万円 |
HP | https://www.biprogy.com/ |
2022年4月1日付で会社名を「BIPROGY株式会社」に変更しました。
金融・製造・商業・流通・官公庁など幅広い業界に対して偏りなく事業を展開しており、営業利益率は10期連続で右肩上がりとなっています。450社以上のエンジニアベンダーとあらゆるメーカー製品を用いてコンサルティングからシステム導入までをおこなうワンストップのサポート力を強みとしています。
グループ全体として顧客のDX推進をしていくことで、社会全体の課題を解決する「社会DX」の実現を目指し、現在はアウトソーシング事業および金融分野のDX拡大に特に注力しています。
オービック
企業名 | オービック |
設立 | 1968年4月8日 |
従業員数 | 1,857名 (2022年3月時点) |
売上高 | 826億1,600万円(2022年3月期決算) |
純利益 | 401億3,800万円 |
HP | https://www.obic.co.jp/ |
コンサルティングからシステム企画・設計、開発、稼働、導入後のサポートまで自社で一貫して提供する「ワンストップ・ソリューション・サービス」を掲げており、自社開発・直接販売を軸に顧客のニーズに沿ったサービス提供をしています。
また、クラウドサービスは自社のクラウドセンターでインフラからアプリケーションまでをワンストップで提供しており、働き方改革の流れに伴い順調に売上をあげています。そのほか、ソフトウェア関連も好調で、営業利益は28期連続で増益となっており、営業利益率は過去最高の6割超えです。
インターネットイニシアティブ(IIJ)
企業名 | インターネットイニシアティブ(IIJ) |
設立 | 1992年12月3日 |
従業員数 | 2,344名(2022年3月時点) |
売上高 | 1901億8,000万円(2022年3月期決算) |
純利益 | 115億9,600万円 |
HP | https://www.iij.ad.jp/ |
日本で初めて国内インターネット接続事業者として創業したパイオニアであり、そこで培った高い技術力を武器に、クラウドを始めとするアウトソーシングサービス、WANサービス、システムインテグレーションを展開しています。
大手企業や官公庁を中心とする13,000社の顧客基盤を持ち、電機・情報通信・精密機器など主要業界における売上高トップ10の企業に対して高いサービス浸透率を維持しています。また、売上は各業界・企業に偏りがなく幅広い企業にサービスを提供しており、安定した収益基盤があります。
自社開発の法人向け月額ネットワークサービスの売上が順調に伸びているほか、SI事業においては、新クラウドサービス「GIO P2 Gen.2」で企業システムのクラウド化需要獲得を目指しています。
TIS
企業名 | TIS |
設立 | 2008年4月1日 |
従業員数 | 5,469名(2022年3月時点) |
売上高 | 2,229億8600万円(2022年3月期決算) |
純利益 | 335億6,300万円 |
HP | https://www.tis.co.jp/ |
創業は1971年ですが、2008年にTISとインテックが経営統合してITホールディングスを設立、2016年にTISを吸収合併して社名をTISに変更し、現在の形になっています。
「金融包摂」、「スマートシティ」、「エネルギー」、「ヘルスケア」の社会課題に対して、IT技術によって取り組むという方針を掲げ、特に決済領域に大きな強みを持っています。クレジットカード基幹システム開発実績は国内市場シェア約50%、ブランドデビットカード関連サービス提供、システム開発実績は国内市場シェア約80%であり、グループ全体の売上においても約3割は金融業界の顧客からあげています。
現在ASEAN地域での体制拡充を強化しており、有力企業との資本・業務提携を推進し、グローバル事業の拡大を図っています。
独立系SIerのメリット・デメリット
つづいて、独立系SIerのメリット・デメリットを見ていきましょう。独立系とユーザー系・メーカー系の大きな違いは、親会社がいるかいないかですが、それによって仕事の内容や、やり方にも異なる点がいくつかあります。
「独立系の方が自由に仕事ができそう」といったようなぼんやりとしたイメージだけで就活をしてしまうと、入社後にギャップを感じたり、職場に馴染めないといったおそれがあります。
メリット・デメリット両方を理解し、企業や仕事に対して正しい認識を持って企業選択をおこないましょう。
メリット
独立系SIerにおける最大のメリットは、親会社からの制限がないことによる自由度の高さにあります。
親会社やグループ会社とのかかわりがない分、自分たちで全て考え、仕事を完結させなければならない大変さはありますが、その分経験できる幅も広く、スキルアップをしていくのに適した環境といえるでしょう。
それでは具体的なメリットについて、ひとつずつ見ていきましょう。
親会社がいないので自由度が高い
親会社がいることは、経営の安定性などの面でメリットも大きいですが、一方で親会社の制限があると、受注する案件に偏りがあったり、コストや効率の面で融通がきかないというデメリットもあります。
つまり、案件によって他社製品を用いた方が良い場合でも、親会社のルールに従わなければならず、逆に作業時間が増えて人件費が上がるといったことが起こる可能性があります。
一方、独立系SIerは、親会社が決めた開発ルールや製品の制限などがないため、システム開発においてソフトウェアや言語を顧客に応じて比較的自由に選定していくことができる点が魅力であり、そういった面でのストレスがありません。
システム開発がメイン業務
SIerでは、自社で要件定義から運用・保守までおこなうことももちろんありますが、要件定義や基本設計などの上流工程はユーザー系などが担当し、その後の開発・テストを独立系が担うといった流れも比較的多い傾向にあります。
そのため、同じSIerであっても、ユーザー系に入社したら、仕事はコンサルや設計書作成ばかりでプログラミングができない、ということも多々あります。
さまざまな案件をこなしてプログラミング経験を積み、実践的な知識を身につけていきたいという人には独立系SIerの方が向いているといえるでしょう。
システム開発が売上に直結する
メーカー系などは親会社から仕事を安定的に受注することができますが、独立系は自ら営業して案件を取ってくる必要があるため、営業努力で取ってきた案件によって売上が大きく変わってきます。
独立系でもソフトウェア販売などはおこなっていますが、多くの独立系では仕事全体におけるシステム開発の割合が高いため、エンジニアの現場営業などもおこないながら案件を受注し、業界業種問わず多くのシステム開発をこなしていきます。
スキルアップしやすい
独立系SIerでは、システム開発を数多くこなしていくため、開発やプログラミングのスキルを高めていくことができます。また、先述した通り親会社の制約がないため、案件の幅も広く、さまざまな経験を積むことが可能です。
独立系ではユーザー系などと異なり、一部工程のみではなく要件定義から運用・保守まで一貫して提供することも多いため、一連の流れを経験していくことができます。もし将来的に転職することになっても、その経験をアピール材料として活用できるでしょう。
一方、独立系の中でも、二次請け、三次請けばかりで上流工程の経験がなかなかできない企業もありますので注意が必要です。自分のしたい仕事や獲得したいスキルにあわせて企業選びをしていくようにしましょう。
さまざまな業界とかかわることができる
独立系SIerは親会社がいない分、案件も自分たちで決めていくことができ、顧客となる業界や企業の幅も広く、さまざまな経験を積んでいくことができます。
ユーザー系は親会社やグループ会社の案件が多く占めているため、その業界における専門的知識と技術は身につけることができますが、金融や保険など分野が限られている分、広く経験を積むことは難しいという面があります。
業界や企業によって、扱うシステムやもとめられる技術も異なるため、独立系で仕事をすることによってあらゆるシステム開発の案件に携わることができ、エンジニアとしての土台をしっかりとつくっていくことができるでしょう。
デメリット
親会社がいないことは、メリットとなるだけでなく、デメリットにもなります。
メーカー系やユーザー系であれば、親会社の経営状況が悪くならない限り、安定した仕事の受注ができるうえ、比較的予算も潤沢にあるため、そういった意味で仕事のしやすさ、待遇のよさがあります。
一方、独立系は、親会社やグループとのつながりがない分、安定した企業経営のために売上にもシビアな面があり、そうしたところが残業の多さにつながっている面もあります。
納期と予算に厳しい
ユーザー系であれば、親会社やグループ会社との取引が基本となるため、トラブルがあった際に多少納期を延ばすなど、融通をきかせてくれることもあります。
一方、独立系は顧客との資本関係がないため、融通をきかせることは難しく、顧客との信頼関係を維持するために納期と予算は遵守しなくてはなりません。一度信用を失えば、今後の取引や売上に大きく影響するからです。
しかし、だからといってあらかじめ予算を十分に確保しようとすれば受注金額はあがり、顧客の獲得が難しくなるため、そういったバランスも考慮しながら、多少無理をしてでもなんとか受注につなげようとする企業も少なくありません。
客先常駐がほとんど
独立系SIerは客先常駐がほとんどであり、自社で働くことはあまり多くありません。特に中小企業であれば客先常駐が基本と思っていた方が良いでしょう。
ユーザー系であれば、関係会社からの仕事がほとんどであるため、自社で仕事をすることが多いです。一方で独立系はセキュリティ面や設備などの関係から、自社で仕事を完結することは難しく、客先常駐が中心となります。
そうなると、たとえば環境の良い常駐先にいても短期間で異動しなければならなかったり、自社で仕事をすることがない分、帰属意識が低下し、自社に対する愛着が薄れていく可能性もあります。
残業が多い
納期と予算に厳しいこととも関連しますが、独立系SIerでは平均して残業が多い傾向にあります。特に納期が近くなると残業だけでなく休日出勤することもあり得ます。独立系SIerの中でも、開発などの下流工程のみを下請けで受注することが多い企業の場合は特にその傾向が強くあります。
一般的に、二次請け、三次請けと、元の依頼主から遠くなるほどマージン(仲介手数料)が取られて報酬は減っていきます。予算や人手も少ない中で、何があっても納期までに完成させなければならないため、スキルアップの機会が多い一方、残業も多くなる傾向にあります。
親会社が存在しないため安定性が低い
独立系SIerは親会社から継続して案件を受注することがないため、営業力次第で売上が変わってきます。そのため、営業の結果次第では業績に大きく打撃を受けることもあり、そういった点で安定性は他のSIerよりも低いといえるでしょう。
また、経済情勢が不安定なときでも大企業の親会社がいれば多少のサポートを受けられる可能性がありますが、独立系はそういった点でもダイレクトにダメージを受けやすく、業績次第では雇用面などにも影響を及ぼす可能性があります。
親会社がいないことは、自由に案件を受注でき、経験を広く積めるというメリットもありますが、他企業の助けがなく、全て自社だけで完結しなければならない点はデメリットともいえます。
キャリアアドバイザーコメント根岸 佑莉子プロフィールをみる
SIerを目指す場合、独立系とユーザー系のどちらか一方に絞らずに選考を進める学生も多いです。自分の中でそれぞれのイメージがまだ曖昧な場合にはそれでも問題はないでしょう。ただし、面接の場で「なぜ独立系を志望するのか」など細かい質問をされることが多々あるため、メリットとデメリットをきちんと整理しておきましょう。
それぞれのメリットやデメリットを整理しないまま選考を進めてしまうと、入社後のギャップに戸惑ってしまうリスクもあります。最終的に独立系とユーザー系のどちらが優れているということはありません。自分自身の強みや就活の軸と照らし合わせながら、自分にとってメリットが大きいのはどちらなのかを結論付けていきましょう。
独立系SIerで働くのに必要なスキル
就活生
独立系SIerで働くために必要なスキルはありますか?
キャリア
アドバイザー
入社条件として特定のスキルを必須にする企業はあまり多くありませんが、独立系SIerとして活躍していくために身につけておいた方が良いスキルはいくつかあります。一緒に確認していきましょう。
独立系SIerで働くのに必要なスキルについて知っておくと、選考時のアピールにも活かすことができます。
たとえばプログラミングが得意な学生はそのままスキルをアピールできます。また、プロジェクトマネジメントなど直接経験のないものであっても、学生時代にメンバーをまとめた経験があるなど、関連性の高いスキルを伝えることで、SIerとしての適性があることをうまくアピールできる可能性も高まります。
プロジェクトマネジメント
SIerでは、プログラミング能力などの技術力だけでなく、システムの企画から運用まで、プロジェクトを円滑に進めていくマネジメントスキルが必要です。
プロジェクト成功のためには、QCD(品質・費用・納期)の適切な管理が不可欠だといわれています。SIerはこれらをバランスよく整え、顧客のニーズに沿ったシステム構築をおこなっていくことが大切です。
システム構築にはあらゆる「想定外」が起こります。テストによるバグ、予算に入れていなかったコストの発生、スケジュールの遅れなどの事態に対して、QCDを意識しつつ、状況を正しく判断して納期までに調整をしていくことがもとめられます。
プログラミングスキル
独立系SIerの場合、メイン業務がシステム開発であり、案件によっては開発から運用までの工程だけを担うことも多いため、プログラミングスキルは不可欠です。
また、開発部分だけでなく、プログラミングスキルがないと、顧客との打合せで技術的な質問に答えられなかったり、適切な工数の算出ができず、プロジェクトの計画や見積りにおいても苦労することになります。さらにシステム構築後のテストでバグが生じた際も、コードを正しく理解できていないと原因が特定できないため、余計な時間がかかってしまいます。
このように、業務内容にかかわらず、プログラミングスキルはSIerで働くうえで必要不可欠なものとなっています。入社前に主要なプログラミング言語であるJava、PHP、Pythonなどについては基礎をあらかじめ習得しておくと良いでしょう。
独立系SIerではプログラミングスキルはキャリアアップの第一歩
独立系SIerでは、システム開発を中心とした業務の中で、さまざまな業界・企業の案件に携わることができるため、プログラミングスキルを始めとする技術的な知識・経験を多く積んでいくことができます。
そうした知識や経験は、将来的にエンジニアとして転職し、キャリアアップをしたい場合にも有効です。エンジニアの中途採用においては、新卒と異なり、実践的なスキルが重視されます。特定の分野だけでなく、幅広いプロジェクト経験を経て培ったプログラミングスキルは、IT業界全体において需要が高いといえます。
SIerは比較的中途採用も活発におこなっている企業が多いため、中小の独立系SIerで経験を積んでから、大手の好待遇なSIerや社内SEに転職する人も少なくありません。
ドキュメント作成
SIerというと、プログラミングなどの技術的知識が重要だと思われがちですが、必要な情報を整理して要点をまとめていくドキュメント作成能力も、仕事を円滑に進めていくためには大切なスキルとなります。
SIerとしてシステム開発の経験を積んでいくと、要件定義や基本設計などの上流工程の業務にもかかわる機会が増えてきて、仕事もマネジメント寄りとなっていきます。
そうすると、顧客に説明するための要件定義や設計、状況報告や、社内向けのプロジェクト進捗管理・打合せなど、あらゆる場面においてドキュメント作成をすることが多くなっていきます。特に大きな案件になるほど、かかわってくる人や工数も多くなるため、内容も煩雑化しやすく、ドキュメントによる関係者間の情報共有と可視化が重要になってきます。
コミュニケーション能力
SIerの仕事は、プログラミングスキルやITに関する知識だけでなく、コミュニケーション能力ももとめられます。
SIerでは、顧客、社内メンバー、関連企業など多くの人たちと何度も打合せをおこない、情報共有をしながら1つのシステムをつくっていきます。互いに良い関係性を維持しながら仕事を進めていくためには、適切なコミュニケーションを取り、必要に応じて交渉をしたり、調整をおこなっていくスキルがもとめられます。
特にシステム構築においては、バグや計画の遅れなどの事態が起こることが少なくありません。そうした際も関係者間で連携を取り、納期までに方向修正していくコミュニケーション能力がSIerで働く際には必要不可欠となります。
コミュニケーション能力のアピール方法を理解して選考を有利に進めましょう。
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独立系SIerに向いている人
ここまで独立系SIerのメリット・デメリットや、必要なスキルをお伝えしてきましたが、この章では、独立系SIerに向いている人について説明していきます。
「プログラミングが好きだからSIerになりたい」「学生時代の専攻との関連でSIerを志望している」など、この業界を志望する理由は人それぞれあるでしょう。しかし、選考を受ける前に今一度、自分が独立系SIerで仕事をする姿を具体的にイメージしたうえで、自分の適性と合致しているかを考えておくことが大切です。
様々な業種のシステムに広くかかわりたい人
ある種のシステムを専門的に極めていくよりも、さまざまな業種のシステムに広くかかわりたい、という人は独立系SIerに向いているといえます。
独立系SIerのメリットでもお伝えしたように、独立系は親会社がいないため、かかわる案件の幅が広く、金融・製造・物流・通信・官公庁などさまざまな業界・企業の顧客のシステム開発に携わります。業界や企業によって、多種多様なシステム開発を経験できるため、汎用性が高いスキルを身につけることができるでしょう。
そのため、1つの業界におけるシステムに精通し、専門性を高めていくプロフェッショナルになりたい、という人は、入社後にギャップを感じてしまう可能性があります。そういった人は、ユーザー系など親会社からの受注が多いSIerの方が適性が高いといえるでしょう。
数多くの現場でスキルアップしたい人
ユーザー系や外資系などでは、上流工程のみを担当し、開発以降は外注することも多いです。そうすると、「プログラミングがしたくてSIerに入社したのに設計書ばかり書いている」「打合せのためのドキュメント作成に追われて1日が終わってしまった」、ということも珍しくありません。
一方、独立系ではシステム開発をメインとしているため、入社後はさまざまな業種のシステム開発を現場で経験し、プログラミングなどの実践的な技術を身につけてスキルアップしていくことができます。
客先常駐は、非効率な作業であっても顧客企業の職場のルールに従わなければならない、職場の雰囲気に合わないことがある、などのデメリットもありますが、一方で多種多様な企業の現場に直接入って経験を積めるため、あらゆる案件に臨機応変に対応する力がつき、エンジニアとして成長できる魅力があります。
顧客へ最善案の提案をしたい人
誰であっても、顧客から依頼を受けたら最善の提案をおこない、お互いに満足できる結果にしたいと思うものです。
しかし、親会社がいる場合は、親会社の意向や製品・言語の制約などによって妥協せざるを得ないこともあります。最善の提案ができない理由が、自身のスキル不足や予算オーバーであれば納得もできますが、企業内のルールによって自由な提案が阻まれることはストレスにもなるでしょう。
独立系SIerになることで、顧客の要望を満たすシステム構築を自由におこないたい、新たな技術や知識も取り入れながら、自身のスキルを最大限に活かして提案したい、という思いが強い人は、独立系に向いているといえるでしょう。
キャリアアドバイザーコメント上原 正嵩プロフィールをみる
上記は向いている人の特徴でした。反対に、言われたことだけを黙々とこなしていきたい人にとっては、入社後に少し苦労する可能性があります。独立系SIerの顧客の中には、ITの知識が十分とはいえない人もいます。その際、依頼者はあなたのことをその業界のプロだと思って接するため、意見をもとめられることも多々あるでしょう。
自分から提案をすることが苦手な場合には、そうしたコミュニケーションの場をうまく進めていくことが難しいこともあるかもしれません。もちろん初めのうちは知識不足でうまくいかないこともあるかもしれませんが、それは当然のことです。大切なことは自ら学んでいく姿勢があるかどうかです。自分がどのようなキャリアを築きたいのかを考えて適性を考えていきましょうね。
独立系SIerを選ぶ際は7つのポイントを押さえよう
独立系SIerはSIer業界の中でも企業数が多く、中小企業から大企業までさまざまです。そのため、独立系SIerの中には、元請けがほとんどなく、二次請け、三次請けばかりで給料や待遇があまり良くない企業や、業績が不安定で雇用に不安を抱えている企業も少なくありません。
しかし独立系SIerの中には知名度が高く安定した業績をあげている企業や、自社の強みを武器に業界をリードしている企業ももちろんあります。独立系SIerを選ぶ際のポイントを確認し、後悔のない企業選びをしていきましょう。
①さまざまな業界とつながりがあるか
独立系SIerは自社の営業によって案件を受注していくため、営業で受けた案件次第で売上や経営状況が左右されます。そのため、1つの業界や特定の企業のみと取引している場合は注意が必要です。なぜかといえば、取引をしている業界・企業が何らかの理由で経営が悪化した場合にその影響をダイレクトに受けてしまうからです。
さまざまな業界とのつながりがあれば、そうしたリスクの分散化ができるため、たとえある業界の景気が悪くなったとしても影響を最小限に抑えることができます。つながりのある業界が多いほど、案件を継続して受注することができ、企業の安定性にもつながっていきます。
②上流・大規模案件が多いか
IT業界全体として、多重下請け構造が浸透しているという問題がありますが、二次請け、三次請けと外注を重ねていくほどマージン(手数料)が引かれて受注金額が下がります。その結果として、企業の給与や待遇、労働環境も悪くなる傾向にあります。
下請けである以上、依頼主からの要望は極力聞かなければなりません。最初から無理のある予算と人員数で計画を立て、連日の残業や休日出勤を余儀なくされ、そのうえ仕事量に見合わない報酬に限界を感じて辞めてしまう人も少なくないでしょう。
元請けで上流工程を担う企業や、大規模案件を受注できるほどの大企業であれば、ある程度の給与や待遇は期待できますので、企業を選ぶ際は、請け負う案件の内容にも注目しましょう。
③営業力が高く実績が豊富か
先述したように、独立系SIerは自社の営業が売上に直結してくるため、営業力の高さは重要です。親会社のいる他のSIerのように安定した仕事がグループ内とのつながりでもらえるわけではないので、継続して案件を受注できるだけの実力があるかは確認しておく必要があります。
過去に担当した案件や取引先企業をチェックし、幅広い業界・企業の案件を数多くこなしてきたかを見ておきましょう。豊富な実績を持つ企業であれば、営業の際に他の企業からの信頼を獲得しやすく、仕事が枯渇する心配も少ないといえます。
④業績が安定しているか
SIerに限った話ではありませんが、企業の業績、経営状況は企業選びの際にしっかりと確認しておきましょう。「知っている企業だから大丈夫だと思う」「やりたい仕事だから頑張れる」といった気持ちだけで入社を決めてしまうのはリスクが大きいです。
長く働いていくには、企業の経営が安定していることが大前提です。業績が不安定になると、下請けでもなんでも案件を選ぶことなく取りに行くようになり、労働環境も悪化するおそれがあります。
業績が安定しているかどうかは、企業のHPから株価や決算情報、IR情報など複数の資料を確認し、総合的に判断するようにしましょう。四季報も業績見通しがわかりやすく書かれているので参考になります。
IR情報の見方について興味のある学生はこちらの記事を参考にしてみてください。
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⑤業界での強みがあるか
金融・流通など、特定の業界向けのシステム構築に強みを持っていたり、AI、IoT、クラウドなど特定の分野の技術に秀でた強みがある企業は、その領域におけるシェアが高く、継続して案件が受注できるため経営も安定しています。
業界の中で特に秀でた特徴がない企業は、「その企業でなければならない」という強み(=収益の柱)がないため、年によって受注できる案件数にばらつきがあったり、経営が突然不安定になるリスクがあります。
企業HPのIR資料の中にある株主・投資家向けの決算説明会資料は、業界外の一般の人にもわかるようにその企業の強みや今後力を入れていく分野について書かれていることが多く、参考になります。
SI業界についてはこちらで詳しく解説しています。
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⑥待遇が良く離職率が低いか
待遇は企業HPや四季報で確認しましょう。なお、SIerでは給与に「みなし残業代」といって、一定時間の残業代を見込んであらかじめ給与に含んで支給するところも多いです。一見すると基本給が高いように見えても、実際は他社より低いこともあるのでよく確認しましょう。
離職率については、四季報やリクナビなどの採用サイトに書かれていることが多いです。入社3年以内に5割以上辞めているなど極端に離職率が高い場合は、労働環境が悪い可能性があります。また、転職サイトには、社員の退職理由が書かれていますのである程度参考になるでしょう。
なお、優良企業の見極めには社員の平均年齢も参考になります。平均年齢は高い方が安定していると思われがちですが、毎年一定数の新入社員が入っているにもかかわらず、極端に年齢層が高い企業は、若手社員が早々に見切りをつけて辞めている可能性が高いので注意が必要です。
離職率の調べ方についてはこちらの記事で詳しく解説していますよ。
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⑦働き方がイメージしやすいかどうか
OB・OG訪問や面接の質問などを通じて、自分がどういった仕事をするのか、1日の流れはどのような感じになるのかを具体的に知ることは、入社後のギャップを生じさせないために大切です。
ただ、企業研究をおこなっても、なんとなく働き方がイメージしにくいと感じる企業は注意が必要です。そういった企業の中には、自社のマイナス点を隠すためにあえてぼんやりとした情報しか与えないところもあるからです。仕事内容や職場について、抽象的でイメージの良い言葉を並べているものの、結局何をするのかわからない場合も同様です。
求人票全体の情報量が少なく、基本給の内容や勤務時間、勤務地などについて詳細が書かれていない場合は、あいまいなままにせず、事前に企業に確認するようにしましょう。
OB・OG訪問のやり方はこちらを参考にしてみてください。
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企業別に紹介! 独立系SIerの志望動機例文
企業への熱意をうまくアピールするには、自分がその企業に対して正しい認識を持ち、企業に適性があることを採用担当にわかるように伝えなければなりません。業界・企業研究を徹底しておこない、自己分析で得た自分の特性と照らし合わせて、企業を志望する根拠を論理的に伝えられるようにしましょう。
①大塚商会
私は貴社に入社し、企業のITインフラを整備することで業務効率化や生産性の向上を実現し、ITの力で社会を支える一員になりたいと考えています。
私は大学でプログラミングについて学んだことがきっかけでIT業界に興味を持ちました。複数のインターンに参加し、独立系SIerであれば、数多くのシステム開発を経験し、実践的なスキルを身につけることができると考えこの業界を志望しました。
貴社は、マルチベンダー対応とマルチフィールド対応により企業のあらゆるIT課題をカバーできる強みがあります。顧客の課題に対して、幅広い選択肢の中から最善案を提案できることに魅力を感じました。
貴社に入社できましたら、居酒屋のアルバイトで培ったコミュニケーション力を自身の強みとして、顧客や社内メンバーと良好な関係性を構築し、顧客のニーズに適したシステム開発をおこなっていきたいです。
キャリア
アドバイザー
業界・企業を選んだ理由がそれぞれきちんと書かれていますね。また、SIerの仕事をするうえで重要なコミュニケーション力について、自身の強みとつなげて書かれており、仕事への理解があることが伝わってきます。
②SCSK
私は貴社に入社することで、システム開発により企業のデジタル化を推進し、人々の暮らしを豊かにするための新しい働き方の創出に貢献したいと考えています。
私は大学で情報システムを専攻する中で企業のシステム構築に興味を持ち、コンサルから開発、運用まで一貫して提供できる独立系SIerを志望しました。
IT企業のインターンに参加する中で、今後の日本においてはDXによるビジネス変革が経済活性化のために必要だと学びました。貴社は現在、DXの事業化に大規模投資をおこない、先端デジタル技術を持つ人材育成に力を入れており、ぜひ貴社に入社し、一戦力として貢献したいと感じました。
貴社に入社後は、大学で学んできたプログラミングスキルをもとに、多くの現場でシステム開発の経験を積んでいきたいと思います。時代のニーズを汲み取りながら、顧客のもとめるシステム構築ができるエンジニアとして活躍できるよう、尽力していきます。
キャリア
アドバイザー
SCSKは「事業革新」、「DX事業化」、「人材投資」の3つの基本戦略を推進していますが、そこと自身の興味をうまくつなげて書けていますね。プログラミングがしたい、というだけでなく、インターンで学んだことがきっかけでDXに興味を持ったことが書かれており、業界・企業への理解と志望度の高さが伝わってきます。
③日本ユニシス
私は、エンジニアとして社会全体のデジタル化を推進し、少子化や働き方改革等の課題解決に貢献したいと考えています。
大学でDXについて研究した経験からIT業界に興味を持ち、その中でも、さまざまな業界とつながりを持ち、自由度の高い開発ができる独立系SIerに魅力を感じました。
貴社は、ECビジネスの急拡大に対応したASP事業の展開や、業界に先駆けたクラウドサービスの提供など、常に時代の先を読んで対応していく先見性とシステム実装力を持っており、業界をリードする姿勢に魅力を感じました。
また、OB・OG訪問において、貴社は年代に関係なく社員同士が教え合い、成長していく社風と充実した研修制度があると知りました。
私は文系出身ですが、自身の強みである粘り強さをもとに、一からプログラミングを学んでスキル向上に向けて努力します。大学から始めたラグビーでは、誰よりも基礎練習を徹底し、技術を磨くことで試合の中心メンバーになることができました。貴社に入社しましたら、多くの現場経験を重ね、いち早くチームに貢献できる人材になりたいです。
キャリア
アドバイザー
文系出身であるものの、努力する姿勢と意欲があることを自身の経験からうまくアピールできていますね。
④オービック
私は、大学で情報工学を学んだ経験を活かし、IT技術によって企業の労働環境をより良いものにし、人々の暮らしをサポートしていきたいと考えています。
私は就職活動において、「自身の技術を直接活かせる」と、「常に成長できる」の2点を軸に企業を探してきました。その中で、独立系SIerであれば、技術力を生かしたシステム構築をおこなうことができ、最新技術や知識を取り入れながら時代に適応した自由な提案をしていけると考えました。
貴社はワンストップ・ソリューションを掲げており、貴社であれば顧客と最も近い立場で、ニーズに適した提案をおこなうことができると感じ、志望しました。
また、すべての社員を新卒で採用し、充実した研修により社員を一から育てていく文化があると聞き、魅力を感じました。
貴社に入社後はシステム開発の経験を多く積み、いずれはコンサルとして上流工程を担い、顧客のもとめるシステムを提案し、企業の経営をサポートできる人材となりたいです。
キャリア
アドバイザー
独立系SIerの特徴、および企業の特徴を文章に組み込むことで、業界・企業への強い関心があることをアピールできています。
⑤インターネットイニシアティブ(IIJ)
私は、ITインフラの構築により、社会全体の経済活性化を実現したいと考えています。
IT業界のインターンに複数参加する中で、独立系SIerであれば、幅広い業界のシステム構築を担当し、一連の流れを経験することができると感じ、この業界に興味を持ちました。
貴社は、長い歴史の中で培った信頼をもとに13,000社の顧客基盤を持ち、各業界・企業に対して広くサービスを提供しています。その中で、「デジタルシフトが進んだ世界を支えるIT環境を、ワンストップで実現する」という貴社の姿勢とシステム構築における総合力に魅力を感じ、志望しました。
貴社に入社後は、学生時代の研究で培った向上心を強みとして、開発案件に積極的に取り組み、技術シーズと市場ニーズの両方から最善のアプローチを考えていきます。顧客のIT課題を解決していくスペシャリストとして、貴社に貢献していきたいです。
キャリア
アドバイザー
IT業界の企業のインターンを複数経験した中で企業選びをしていて、自身の軸をもって就活ができていることが伝わってきますね。企業の特徴をきちんと踏まえてアピールできています。
⑥TIS
私は、貴社のITプロ職として産業システムの構築に携わり、人々が暮らしやすく便利な社会づくりに貢献したいと考えています。
大学で経済学を専攻する中で、現在、日本では生産性と競争力向上のためのDX化が急速に進んでいることを知りました。私は就職活動でさまざまな業界・企業を見てきましたが、どの企業も事業におけるIT技術の導入に力を入れており、SIerで企業のデジタルシフトを推進することが経済全体の活性化につながると考え、この業界を志望しました。
貴社は金融領域に強みを持ち、キャッシュレス決済のシステム構築において高いシェアを持っておられます。貴社で開発をおこなうことにより、人々の暮らしの根幹を支えていけると感じ、ぜひ入社したいと思いました。
留学生活で培った英語力を強みとして、将来的には日本だけでなく、貴社が現在注力しているASEAN地域を始めとする海外のシステム構築にも携わり、グローバルに社会課題を解決をしていける人材になりたいと考えています。
キャリア
アドバイザー
企業が注力しているグローバル戦略について、自身のスキルを活かして貢献したいという意気込みが書かれており、入社後の戦力として活躍していくイメージが湧き、好感が持てます。
独立系SIerのメリットを理解して就職を目指そう!
独立系SIerに興味を持ち、選考に参加したいと感じた方は、ぜひ本記事を参考に、早期から対策を練っていきましょう。
なぜIT業界なのか、なぜSIerなのか、なぜこの企業なのか、それぞれの根拠を明確にして志望動機や自己PRに活かしていくことによって、採用担当に効果的なアピールをすることができます。独立系SIerのことを正しく理解し、就職活動を有利に進めていきましょう!
キャリアアドバイザーコメント吉川 智也プロフィールをみる
世界中でサービスや事業のDX化が叫ばれる中、SIerの重要性は日に日に増してきているといえるでしょう。多くの学生は、たとえばキャッシュレス決済が当たり前になっていたり、ネット通販を主流として洋服を買っていたりなど、ITの力を借りながら日々の生活を送っているのではないでしょうか。
しかし、当たり前ですがこれらのサービスはそもそも誰かが作らなければ生まれてきません。そして、その役割をはたしている1つの職業がSIerだと考えられます。その意味で、SIerはこれからの世の中にとって必要不可欠かつニーズが非常にある仕事だといえるでしょう。メリットやデメリットを踏まえながら、自分の適性をぜひ考えてみてくださいね。