目次
- HR業界の全体像から人材業界との違いを押さえて行動指針を立てよう!
- そもそもHRとは?
- Human Resourcesの略
- 人的資源に関する仕事を指す
- 要チェック! HRと人事部の違いを解説
- 人事部:人材を管理
- HR:事業そのものをサポート
- 似ている業界も確認! HR業界と人材業界の違い
- 人材業界:採用に特化
- HR業界:採用後までサポート
- なぜ注目されているのか? HRが重視される3つの理由
- ①人手不足を解消するため
- ②人材の多様性(ダイバーシティ)に対応するため
- ③働き方の多様化に対応するため
- HRにもとめられるミッションとは
- 人材の育成
- 社員のコミットメントの向上
- イメージしよう! HRの4つの仕事内容を解説
- 採用
- 人材育成
- 人事・労務
- 人材育成や採用にかかわるシステム・ツールの導入
- HR業界でもとめられる3つの能力
- ①誰が相手でも信頼関係を築けるコミュニケーション力
- ②人事戦略を策定できる企画力
- ③常に知識をアップデートできる行動力
- 注目技術! 「HRテック」について知っておこう
- HRテックとは
- HRテックを導入するメリット
- 特徴を理解しよう! HRテックの大手企業を紹介
- ビズリーチ
- ウォンテッドリー
- SmartHR
- 魅力的なHR業界の志望動機を作成する3ステップ
- ステップ①なぜHR業界がいいのか
- ステップ②なぜその企業でないとだめなのか
- ステップ③入社後の展望
- 【例文5選】HR業界の志望動機例文を紹介!
- OK例文①企画力をアピール
- OK例文②コミュニケーション力をアピール
- OK例文③向上心をアピール
- NG例文①人材業界との区別ができていない
- NG例文②入社後の展望が具体的に書かれていない
- HR業界について理解を深め就活を有利に進めよう
HR業界の全体像から人材業界との違いを押さえて行動指針を立てよう!
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。
「HRってそもそもなんですか?」
「HR業界ではどんな企業が活躍していますか?」
HR業界について最近知ったという人や、この業界に興味をもって就活を進めている学生の中には、このような疑問を抱えている人が多く見られます。
HRは簡単に言えば「人的資源にかかわる仕事」を指しますが、似たような仕事をしている人事部とは実は違う点も多くあります。HR業界を目指すのであれば、まずはHRの定義や人事部との違いを正しく理解することが欠かせませんよ。
この記事では、HRの概要や似ている部署・業界との違いを紹介します。HR業界の志望動機のポイントと例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
そもそもHRとは?
就活生
キャリアアドバイザー
たしかにHRは近年、注目が高まっていますよね。でも、具体的に何を意味するか知っていますか?
就活生
ええと、ヒューマン……?
キャリアアドバイザー
何の略語なのかも含め、「HRとは何か」ということをまず確認していきましょう!
人材にかかわる仕事なのはなんとなくイメージできていても、具体的にHRという言葉にどんな意味があって何をしているのかまでわからない場合もあるかもしれませんね。そもそもHRとは? という部分から解説していくので一緒に理解していきましょう。
Human Resourcesの略
HRとは「Human Resource」の略で、直訳すると「人的資源」という意味になります。HRの業務は幅広く、会社全体を巻き混んだ取り組みを実施していく役割を担っています。
どんな業界・企業でも「人」という資源がなければ事業は成り立ちません。いかに人を確保・育成し、組織に貢献してもらうかが多くの企業にとっての経営課題となっています。そしてこのような「人」に着目し、企業の採用活動や人材育成をサポートしていくのがHRの役割なのです。
キャリアアドバイザー
人事部という似たような部署が以前から存在するにもかかわらず、「HR」と分けて呼ばれているのは、HRが人事部以上に広い意味と役割をもつためです。
人的資源に関する仕事を指す
HRは人的資源に関する仕事全般を指します。人材の採用や育成はもちろんのこと、社内異動から組織開発など、人的資源に関するあらゆる仕事が業務の範囲です。
たとえば組織開発では、持続的に成長していく会社にするために従業員の満足度を高めて組織を活性化させたり、健全な企業文化を浸透させる取り組みを考え、実施していくといった働きをしていきます。
キャリアアドバイザー
従業員個人が抱える問題だけに焦点を当てるのではなく、従業員同士の関係や部門同士の関係を考慮しながら、会社全体の利益につなげていくことがHRの役割といえます。
要チェック! HRと人事部の違いを解説
就活生
HRと人事部は似ているようで違うのですね。
キャリアアドバイザー
そうですね。日本では同じような意味で使われることもありましたが、近年では本来のHRの重要性が理解されてきています。志望する以上は2つの違いを説明できるようにしておくことが大切ですよ。
HRと人事部には担当する領域の範囲に違いがあります。人事評価や労務管理などを通して「人材を管理」するのが人事部、人的資源を有効活用する戦略や施策を考えて「事業そのものをサポート」するのがHRです。ここからはそれぞれの特徴について詳しく解説していきますよ。
人事部:人材を管理
まず、人事部は人材を管理するのが仕事です。会社内の一部門として、主に次のような業務を担当しています。
- 人事評価
- 労務管理
- 福利厚生
- 勤怠管理
- 給与計算
たとえば人事評価では、社内ルールで定められた評価制度に則り、社員の成果や勤務態度などから評価などを検討していきます。
会社の人事戦略に基づいて、実際に人材を管理するのが人事部だと理解しておきましょう。
人事部の業務内容や志望動機の書き方はこちらの記事にまとめています。
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HR:事業そのものをサポート
一方のHRは、人を通して事業そのものをサポートするのが仕事です。人的資源を有効活用するためには何が必要なのかを考え、事業に必要な戦略や施策を策定・実行します。
たとえば人事評価では、従業員のパフォーマンスや能力を踏まえ、報酬や等級に正しく反映させる評価制度を作ります。戦略の策定や意思決定にまでかかわるのがHR、といえますね。
キャリアアドバイザー
「HRが担当する領域の中に人事部の業務がある」と捉えると、両者の違いがわかりやすくなりますよ。
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似ている業界も確認! HR業界と人材業界の違い
HR業界を志望する学生の中には、「人材業界と何が違うのだろう」と気になる人もいるかもしれません。
人材にかかわる支援をする点でHR業界と人材業界はとてもよく似ていますが、業界の企業が支援の対象とする層と、その内容には大きな違いがあり、人材業界は人材を求める企業と仕事を求める求職者、HR業界は企業の人事部が主な支援対象です。
キャリアアドバイザー
HRと人事部の違いと合わせて、HR業界と人材業界の違いも正しく理解しておきましょう。
人材業界:採用に特化
人材業界を簡単に表現するなら、企業と求職者をつなぐ事業をおこなう業界です。
企業は自社に貢献してくれる人材を採用したいと考えていますが、採用計画の立案から募集活動、選考まですべて自社だけでこなすのはなかなか難しいもの。求職者にとっても、自分の力だけで希望に合う企業や仕事を探すのは簡単ではありません。
このような、効率的に優秀な人材を採用したい企業のニーズと、自分に合う企業や仕事を見つけたい求職者のニーズに応えるのが人材業界の役割です。
キャリアアドバイザー
つまり人材業界は「人材の採用に特化した業界」といえます。
人材業界の職種や志望動機を書く際のポイントはこちらの記事を参考にしてください。
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HR業界:採用後までサポート
似たような立ち位置のHR業界は、企業の人事部を軸と捉え、事業そのものをサポートする業界です。
人材を求める企業と仕事を求める求職者を支援の対象にしている人材業界に対し、HR業界は企業の人事部を主な支援対象としています。
人材業界では就職・転職が完了すると支援終了となりますが、HR業界では採用後も企業にかかわり続けることになります。採用後の育成や評価を通じて、人材が企業に定着するためのサポートをしていくのがHR業界の特徴です。
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なぜ注目されているのか? HRが重視される3つの理由
近年の少子高齢化にひもづく人材不足や、価値観の多様化に合わせた対応など、企業が抱える「人材にかかわる経営課題」はますます増えてきています。HRはそうした多くの経営課題の解消に寄与できることから、幅広い業界・企業でその需要が高まっています。
ここからは上記で挙げた内容も含めて、HRが重視される理由について詳しく見ていきましょう。
①人手不足を解消するため
HRが重視されている理由の1つは人手不足を解消するためです。思うように人材を確保できずに悩んでいる企業や、人材がなかなか定着しないことが課題になっている企業をサポートする役割がHRに期待されています。
たとえば採用戦略を見直してより自社に合う人材を採用できれば、定着率は上がり、人手不足の解消につながっていきます。ほかにも育成・研修制度の設計や、適性に応じた人材配置など、複数の観点から人手不足の解消を手助けできるのがHRの強みです。
このような背景には、多くの業界・企業で人手不足状態が続いている現状があります。帝国データバンクによる人手不足という課題に対しての2023年の調査をまとめた「人手不足に対する企業の動向調査(2023年1月)」によると、51.7%の企業が正社員に人手不足を感じており、人手不足の解消が喫緊の課題となっています。
②人材の多様性(ダイバーシティ)に対応するため
企業の持続的な成長と発展のためには、人材の多様性への対応が欠かせません。似たような考えの人材を集めるだけでは、多様な価値観をもつ顧客のニーズに応えるのが難しいからです。
そのためには国籍や人種、思想にとらわれない人材の採用と育成に取り組む必要がありますが、これまで多様性を認識してこなかった企業が対応するのは簡単ではありません。
キャリアアドバイザー
そこで、採用活動から育成・研修制度の設計まで広く手がけているHRがサポートをし、多くの企業が人材の多様性に対応していくよう期待されています。
③働き方の多様化に対応するため
多様化しているのは人材だけではありません。テレワークやフレックスタイム制の推進、性別にとらわれない育児休業の取得など、働き方の多様化への対応もHRが重視される理由の1つです。
日々の業務に追われて、働き方改革に労力を割きづらい、前例がないから導入に不安がある、そうといった理由で導入が遅れるケースもあります。
そんな企業の改革をサポートするのもまた、HRの役割の1つです。
多様性のある働き方について気になる方は、正社員以外の働き方についてこちらの記事で解説しているのでチェックしてみてください。
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キャリアアドバイザーコメント塩田 健斗プロフィールをみる
今後日本では少子高齢化がさらに加速し、人材不足や外国人労働者に頼る問題はより深刻化していく見通しです。だからこそ、この社会問題を解決するために「人」にかかわるHRの仕事は非常に重要なものとなります。まずこの先なくなることはないですし、需要は上がっていくでしょう。
採用が激化していくなかでより良い人材を採用できるよう、雇用形態の多様化やリモートワークなどの制度の改革など、新しい働き方を提唱する企業が増えています。それにともない、HR業界で必要とされるミッションや仕事内容も増え、変化しています。
変化が激しいですが、社会問題を直接的に解決していくHRの仕事の役割は今後ますます大きくなっていくでしょう。
HRにもとめられるミッションとは
- 人材の育成
- 社員のコミットメントの向上
HRにもとめられるミッションは、企業内の1つの業務というよりも、組織全体に影響を及ぼすものとして捉えられるケースが多いです。
もしHRを志望先として考えるなら、働くうえでどんなことが求められるのかは把握しておく必要があります。
キャリアアドバイザー
人材戦略の策定・実行を通じて、HRにどんなミッションの達成がもとめられるているのか、ここでしっかり確認しておきましょう。
人材の育成
HRに特にもとめられているのが人材の育成です。採用活動で確保した人材に最大限パフォーマンスを発揮してもらうため、研修や教育によって成長を促す必要があります。
たとえば従来の人材育成手法では、教育担当者による育成効果のばらつきが問題となっていたケースの場合、育成手法を最適化・効率化するHRであればそうしたばらつきを軽減できます。直属の上司や先輩社員の主観に基づく教育を避けられるのが、HRならではのメリットです。
キャリアアドバイザー
HRが作成した共通の指針によって、誰が教育担当者になっても同じような育成効果をもたらしてくれる……。そういったメリットを企業側が期待していることも考えられますね。
社員のコミットメントの向上
ビジネスシーンにおける「コミットメント」とは、従業員が働く組織に対して抱く帰属意識や、目標に対して責任をもって取り組むことなどを指します。
そうした意識が高ければ高いほど組織と人のつながりが強くなるため、早期離職の予防や「この会社のために頑張ろう」と社員のパフォーマンスが高まることが期待できます。
キャリアアドバイザー
いかに従業員一人ひとりのコミットメントを向上させられるかは、どんな企業も重要課題として捉えています。
- コミュニケーションの活性化
- 生産性の向上
- 離職率の低下
組織と人のつながりを強くし、仕事のやる気や組織への愛着を育むことがHRにもとめられるミッションです。
キャリアアドバイザーコメント北浦 ひよりプロフィールをみる
社員が自らモチベーションを上げて仕事に取り組むことも重要ですが、企業側が率先して社員が働きやすいような環境づくりに力を入れないと、社員の気持ちは離れていきやすくなります。企業と社員、双方がお互いのために努力できていることが重要です。
たとえば企業が社員のコミットメントを向上させるために、社員個人の能力を活かした仕事や役割を与える例が挙げられます。スキルを活かして働くことができたり、責任のある役割を任せてもらうことでやりがいを感じ、コミットメントが向上する社員も多いのです。
また企業理念や経営方針をしっかりと社員に共有し理解してもらう機会を定期的につくることで、社員の帰属意識も高める取り組みをしている企業もありますよ。このように社員に意欲的に仕事に取り組んでもらえるよう、環境を整えることを重要視している企業は多いのです。
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イメージしよう! HRの4つの仕事内容を解説
キャリアアドバイザー
HRの定義と役割について解説してきましたが、結局のところHRがどんな仕事をしているのか説明できますか?
就活生
そう言われると……難しいです。
キャリアアドバイザー
具体的な仕事内容を知ることで、自分が働く姿をイメージできますよ。
ここからはHRの4つの仕事内容を解説します。仕事への理解を深めることは、その仕事が本当に自分にマッチしたものであるのかを判断することから、具体的な志望理由を考えることにも役立つため、しっかりと確認しておきましょう。
採用
HRがかかわるなかでも最初の仕事といえるのが「採用」です。新卒・中途採用の正社員はもちろん、派遣社員やアルバイトの採用にもかかわります。
- 企業戦略に基づいた採用計画の立案
- 適切な採用人数の検討
- 面接などの選考
会社に貢献してくれる人材を採用するため、ノウハウを有するHRが企業の採用活動をサポートしていきます。
また計画の立案も含めてかかわっていく点もHRならではの特徴だといえますね。人材業界は採用活動に特化したサポートをしますが、HRでは採用活動と計画の立案をセットでサポートしていきます。
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学生時代にアルバイト先でバイト採用にかかわった経験がある人は、バイトの採用にかかわることと正社員の採用にかかわることはまったく違うことに注意しておきましょう。
まず正社員とバイトでは、もとめられる責任が違います。正社員採用の際にはただ単に仕事をこなすのではなく、会社の売上や利益に貢献できる人材がもとめられるのです。また正社員の場合は企業のカルチャーとマッチしていることももとめられるので、仕事ができたり責任感があるだけでは採用できません。バイトの場合は、出勤日数などある程度条件が合致していれば問題ないため、採用ハードルが低くなります。
とはいえ採用の経験がHRの仕事において活かせることは間違いありません。採用の経験から何を学び、入社後どのように活かせるのかを言語化しておくことで、企業への大きなアピールになりますよ。
人材育成
就職・転職が完了してもHRの仕事は終わりではありません。採用した人材に対し、業務内容や役割に応じた知識を定着させ、育成をサポートするのも重要な役割です。
- 新入社員研修の実施
- テーマ別研修の実施
- 職種別研修の実施
企業の特徴や目標とする組織像に合わせ、適切な研修内容を考えることも仕事の1つなのです。
大企業であれば独自に研修制度を構築しているケースもありますが、中小企業が自社で築き上げるのは難しいものです。そのような企業を主な支援対象として、HRが活躍しています。
人事・労務
HRの仕事には、社内の人事や労務にかかわる業務のサポートが含まれます。人事・労務にかかわる仕事は多岐にわたり、人事評価、配属先の決定、給与計算、社会保険手続き、入退社手続きなどさまざまあります。
従業員の満足度を高めるために欠かせない仕事ですが、人材や働き方の多様化に対応しつつ、こうした仕事をこなすのには大きな労力がかかるものです。
そこで「業務を効率化し、人事部や労務部にかかる負担を軽減する」といった役割を果たすこともHRの仕事の1つといえます。
キャリアアドバイザー
待遇が改善されれば従業員の定着率が上がり、人手不足の解消につながる可能性もあるため、HRは非常に大切な役割を担っているといえますね。
人材育成や採用にかかわるシステム・ツールの導入
HR業界には、業務効率化を目的とするシステムや、業務ツールを手がける企業が見られます。
- 人材採用や社員教育にかかわる人事管理システム
- 人材戦略マネジメントシステム
- 選考で実施する適性検査・ アセスメントテスト
上記のようなシステムやツールを導入して業務の効率化を図り、人的資源に関する仕事の負担を軽減しています。
人材不足に対応するには、人手そのものを増やすだけでなく、いかに少ない人手で組織を運営していくかが重要です。そのため、少ない人手をカバーするシステムや業務ツールの開発・販売も、HRに欠かせない仕事の1つになっています。
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HR業界でもとめられる3つの能力
HR業界ではエンジニアやデザイナー、企画・マーケティング職、広報などさまざまな職種が活躍していますが、どの職種にも共通してもとめられるスキル、素質があります。
次に紹介する3つのスキルを参考に、HR業界で活かせそうな自分の強みと、今の自分に足りない点がないか考えてみましょう。
①誰が相手でも信頼関係を築けるコミュニケーション力
人材やそれにともなう企業戦略にまでかかわる仕事であるからこそ、企業の経営者や従業員、労働組合員、研修講師などさまざまな立場の人と接することになります。
さまざまな立場、多様な価値観をもつ人たちと円滑に業務を進めていくためには、コミュニケーション力が不可欠です。
人当たりの良さはもちろん重要ですが、それ以上にもとめられるのが「聞く力」と「伝える力」です。
- 企業ごとの特徴と課題を考慮した戦略を策定するため、相手の考えを正しく汲み取る力
- 自分の考えを論理的に説明する力
- 多くの人と公平に接することができる力
ときには既存の戦略を大幅に変更する場合もある、HRだからこそ特にもとめられるスキルです。
コミュニケーション力を効果的にアピールするための言い換え表現はこちらで解説しています。
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②人事戦略を策定できる企画力
一般的な戦略がどの企業にもうまく当てはまるとは限りません。企業の特徴が違えば効果的な戦略も異なるため、企業ごとの特徴と課題をしっかりと見極めて、そのうえで適した戦略を策定する「企画力」もHR業界で求められる能力です。
人材や働き方の多様化はこれからも進んでいくことが予測されます。そういった状況であるからこそ、市場や時代の変化に即した人事戦略を策定する力は、HRに期待される能力としてますます重要度が高まっていくともいえるでしょう。
キャリアアドバイザーコメント吉川 智也プロフィールをみる
HR業界にもとめられる「人事戦略を策定できる企画力」を学生のうちから身につけるためには「周囲を観察する力」「先を見据えて計画を立てる力」を磨く必要があります。
「周囲を観察する力」とは身の回りの状況や他者を注意深く観察することで、物事や人の変化に気付くことができる能力です。また「先を見据えて計画を立てる力」は今置かれている状況から未来を想像し、目標を達成するために逆算して計画を立てる能力を指します。
「周囲を観察する力」は身の回りの物事やニュースに関心を持ち、変化がないか注意することで少しずつ身につきますよ。「先を見据えて計画を立てる力」は日常的なやるべきことに対し、常に逆算して行動計画を立てることで身についていくでしょう。ぜひ実践してみてくださいね。
③常に知識をアップデートできる行動力
HR業界は人事戦略や労務管理、人材育成など幅広い領域にまたがる仕事なので、人事領域にかかわる専門知識と広い知見がもとめられます。
またHR業界は経営に近い仕事をする業界でもあるため、経営者視点をもつことがもとめられることもあります。専門知識を習得するには、現状に満足せず、レベルの高い目標にチャレンジする行動力が重要になります。
キャリアアドバイザー
変化に対応するため常に新しい知識を身につけていく必要があるのが、HR業界の大変さであり、やりがいでもあります。
注目技術! 「HRテック」について知っておこう
キャリアアドバイザー
HR業界で注目を集めているのが「HRテック」と呼ばれる技術です。
就活生
確かに、聞いたことがありますね。
キャリアアドバイザー
業界への理解を深めるため、HRテックが注目される背景や、導入するメリットについても理解しておきましょう。
HRテックとは
HRテックとは、HRとテクノロジーを掛け合わせた言葉です。従来の人材管理システムに新たなテクノロジー技術を組み込み、人事領域の業務を効率化することを指します。
HRテックが注目される背景には、優秀な人材の確保・育成の必要性が高まっていることや、AIをはじめとするIT技術の著しい進化があります。
たとえば、従業員一人ひとりの情報を担当者が目視でチェックするシステムと、AIによって的確に情報をチェックできるシステムとでは、効率に大きな差が生まれるのは言うまでもありません。
キャリアアドバイザー
HR関連のサービスが続々と登場するなか、ITの進化に対応できないままでは競合他社との差別化を図れないため、HR業界ではHRテックが注目されているのです。
HRテックを導入するメリット
HRテックを導入するメリットは人事領域の業務効率化だけではありません。AIによって情報をわかりやすく管理・運用したり、ビッグデータをもとに従業員の特徴とスキルを細かく分析したりすることで、多くのメリットが生まれます。
- 業務の効率化
- 採用のミスマッチの防止
- 離職率の低減
- 公正な人事評価制度の実現
- コスト削減
- 意思決定の迅速化
採用活動においては採用のミスマッチを防ぎ、人材育成においては離職率を低減できるなど、幅広い業務で恩恵を得られるのがHRテックの魅力です。
特徴を理解しよう! HRテックの大手企業を紹介
HRテックについての理解が深まったところで次に気になるのは、ではHRテックにかかわる企業にはどんなところがあるのか、というところではないでしょうか。
キャリアアドバイザー
HRテックにかかわる企業としては、人材活用にかかわるプラットフォームやソフト、Webアプリなどを開発・販売する企業が有名で、学生からの人気も高いですよ。
ここから具体的に3つの大手企業を解説するので、それぞれの企業が手がけるサービスの特徴も押さえて志望先選びの参考として活用していきましょう。
ビズリーチ
HRテックの代表的な企業の1つがビズリーチです。
- 転職サイトの「ビズリーチ」
- 人材活用プラットフォーム「HRMOS(ハーモス)」
- OB/OG訪問ネットワーク「ビズリーチキャンパス」
このうち、HRテックと特に関連性が高いサービスは「HRMOS」です。HRMOSには人財活用システムや採用管理システム、勤怠管理システムなどの種類があり、人事・労務に関する情報をシステムで一元管理することで業務を効率化できます。
ビズリーチではエンジニアにデザイナー、企画・マーケティング職と、幅広い職種の募集があります。また、自分に合ったポジションを検討したい人向けに、オープンポジション(エンジニア)という枠が設けられているのも特徴です。
ウォンテッドリー
ウォンテッドリーは、働くことを楽しくしたり、ビジネス上のつながりを増やしたりするためのSNSを手がける企業です。
- 「Wantedly Visit」:気になる企業に対して気軽に訪問のアポイントメントをとれるサービス
- 「Wantedly People」:名刺を撮影で読みこんでデジタルデータ化するサービス
- 「Engagement Suite」: チームメンバーがより高い価値を発揮できる関係性を気づくためのツール群を提供するサービス
ウォンテッドリーでは募集職種ごとのインターンシップが多く開催されています。調べて得られる情報と体験して得られる情報とではまた違ってくるため、時間に余裕があればインターンについての情報もチェックしてみてくださいね。
SmartHR
SmartHRは、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を手がける企業です。従業員2名の小企業から、従業員数万名の大企業まで幅広い企業での導入実績があります。
- 入社手続き、雇用契約
- 文書配布
- 人事評価
- 配置シミュレーション
- 従業員データベース
採用ページではこと細かに企業にカルチャーや働き方についての情報発信をしており、またカジュアル面談も申し込むことができるため、気になる場合はまず公式サイトをチェックしてみてくださいね。
魅力的なHR業界の志望動機を作成する3ステップ
入社意欲をアピールするためには志望動機の深掘りが欠かせません。特に、「なぜHR業界なのか」「なぜその企業なのか」の視点を大切にしながら深掘りしていきましょう。
また入社後どうしたいか、という点について触れておくのもポイントの1つです。これらの要素を志望動機作成3ステップとして解説していくので、しっかりチェックしておきましょう。
志望動機で差別化を図るためのコツはこちらの記事で解説しています。
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目を惹く志望動機は箇条書きで作ろう! 差別化を図る3つのコツ
志望動機を箇条書きで書くと、採用担当の印象に残りやすくなります。今回は志望動機を箇条書きで書くことのメリットや、箇条書きを効果的に使う3つのポイントをキャリアアドバイザーが紹介します。箇条書きを使った志望動機の例文も紹介していますよ。
記事を読む
ステップ①なぜHR業界がいいのか
志望動機に説得力をもたせるには、HR業界で働きたい理由をはっきり伝えることがなにより大切です。社会にはさまざまな業界が存在するなかで、なぜHR業界に興味をもったのか、どこが自分に合うと思ったのかを志望動機に書きましょう。
HR業界で働きたい理由は、他の業界と比較しながら考えていくのがポイントです。たとえば似ている業界に人材業界がありますが、人材業界では採用に特化したサービスを提供し、HR業界では採用前から採用後まで包括的なサービスを提供しています。
キャリアアドバイザー
こうした業界ごとの違いを考慮しながら、自分が実現したいことと結び付けていくと、HR業界でなければならない理由が見えてくるはずです。
ステップ②なぜその企業でないとだめなのか
志望企業に受かる志望動機を考えるうえでは、HR業界の中でなぜその企業を志望したのかという観点も重要です。どこの企業にも通用するような志望動機では入社意欲を伝えづらいため、志望企業ならではの特徴や強みを踏まえてアピールしましょう。
志望企業でなければならない理由を考えるポイントも、HR業界で働きたい理由を考えるときと同じです。同じHR業界といっても、ソフト開発に強みをもつ企業があればWebアプリの開発に強みをもつ企業もあります。
キャリアアドバイザー
企業ごとに特徴と強みが異なるため、それを踏まえた志望動機に仕上げましょう。
ステップ③入社後の展望
採用のミスマッチを避けるため、多くの企業は、学生が入社後にどんな展望をもっているかにも注目しています。
具体的な展望をもっていると志望動機でもアピールできるよう、「入社後は◯◯の業務に携わりたいと思います」「◯◯の場面で特に自分の強みを活かせると考えています」など、どんな形で企業に貢献していくつもりなのかを述べましょう。
入社後の展望を伝えるときのポイントは、自分の強みと入社後の仕事内容をよく理解することです。
キャリアアドバイザー
展望が志望企業で実現できないものではアピールにならないため、自分の強みをどんな仕事に活かせるのか企業研究で調べておきましょう。
【例文5選】HR業界の志望動機例文を紹介!
キャリアアドバイザー
ここまで解説してきたHR業界の志望動機のまとめ方を踏まえたうえで、ここからは実例として5つの志望動機例文を解説していきますよ!
志望動機は「結論→理由→具体例→再び結論」で伝えるPREP法を心掛けると、誰が読んでも理解しやすい文章になります。
以下に紹介する例文を参考にしながら、「HR業界を選んだ理由」と「その企業を選んだ理由」が明確な志望動機を考えてみましょう。
OK例文①企画力をアピール
自分の企画力を活かせる業界だと考え、HR業界を志望しました。
大学のゼミでは、町おこしイベントを企画する機会がありました。町おこしに必要なのは、そこに住む「人」の力です。
そのイベントは地元企業と地元の特産品をPRするのが目的だったのですが、ただPRするだけでは興味をもたれづらいと思い、謎解きゲームと組み合わせたイベントを提案しました。
謎解きゲームを通じて地元企業や地元の特産品について学べるイベントを企画した結果、町の人からも非常に評判がよく、大きなやりがいを感じたのが印象に残っています。
HR業界の中で貴社を志望したのは、年齢や職種にかかわらず意見を出せる社風の貴社が、企画力を活かす最適な環境だと思ったからです。
キャリアアドバイザー
実際に企画に携わった経験があれば、企画力を強みとする説得力が高まります。過去に経験した出来事や、経験から得た成果を交えながらアピールしてみましょう。
OK例文②コミュニケーション力をアピール
私が貴社を志望したのは、組織と人の両面からサポートしていくHR業界の仕事に魅力を感じたからです。
大学で所属するゼミには個性の強い人が多く、意見の対立が頻繁に起こるなか、私は2つの集団の緩衝材の役目を果たして意見調整に努めました。お互いが納得する落としどころに収めるのは大変でしたが、問題を明確にして意見をまとめるのは、やりがいのあることでもありました。
組織と人それぞれの事情を考慮しながら戦略を策定するHR業界で、大学のゼミで経験したような意見調整を仕事にしたいと思ったのが志望動機です。
なかでも、人事戦略の策定を主力サービスとする貴社であれば、私のコミュニケーション力を活かせると考えています。
キャリアアドバイザー
大学のゼミでの経験から、HR業界で意見調整を仕事にしたいと考える理由を明確にアピールできています。強みとするコミュニケーション力が具体的にどんな業務で活かせるか説明できると、より入社後の展望が伝わる志望動機になりますよ。
OK例文③向上心をアピール
私は広い知識と知見をもとめられるHR業界でこそ、自分の強みである向上心を活かせると信じています。
動画サイトやECサイトをユーザーとして利用するうちに、Webアプリ開発に興味が芽生え、プログラミングの基本であるJavaScriptとPythonを独学で勉強しました。好奇心をもって勉強をつづけた結果、今では簡単なWebアプリなら自分で作れるようになりました。
HR業界は今後の人材不足の中、大きな進歩とニーズが期待される業界であり、企業や従業員だけでなく、市場や時代の変化も考慮しながらサービスを提供する必要があります。
そんな環境でWebアプリ開発をしてみたいと思い、エンジニアとして企画から設計開発まで携われる貴社を志望しました。
キャリアアドバイザー
携わりたい仕事を具体的に述べており、入社後の展望が明確です。現時点で自分ができることについても言及しており、入社後は向上心をもって新しい知識とスキルを身につけてくれそうな印象があります。
NG例文①人材業界との区別ができていない
私は人の選択肢を増やせるような仕事に就きたいと思い、HR業界を志望しました。
HR業界に興味をもったのは、2年間経験した塾講師のアルバイトがきっかけです。生徒の指導や進路相談に応じるうちに、悩んでいる人の背中を押したり、一緒に解決策を考えたりすることにやりがいを感じるようになりました。
なかでも貴社は、障害のある方や過去に辛い経験をした方に対し、一人ひとりの個性に向き合った人材紹介を徹底しています。
企業に採用されることだけを目的にせず、長く自分らしく働くことを重視しているところが自分の性格に合うと思いました。
キャリアアドバイザー
人材紹介はHR業界というより、人材業界がメインとする仕事です。両者の仕事内容を混同しないよう、入念な業界研究によって違いを理解しておきましょう。
NG例文②入社後の展望が具体的に書かれていない
HR業界を志望するのは、企業の業務効率化に貢献したいからです。
大学時代に経験したレストランのアルバイトでは、キッチンとホールの連携方法の改善を提案し、業務効率化に貢献しました。
そのレストランでは業務についてのマニュアル本がなく、誰に仕事を教わったかによってやり方がバラバラになっている状況でした。それぞれが違う解釈をして業務効率が下がっていたため、共通のマニュアル本を作って認識のずれをなくすように提案しました。
業務効率化に貢献して大きな達成感を得たことがきっかけで、将来はHR業界で企業の業務効率化に努めたい気持ちが強くなりました。
キャリアアドバイザー
業務効率化に貢献したい気持ちは伝わりますが、具体的に何を実現したいのか、なぜHR業界なのかが読み取れません。「労務管理システムの開発を通じて書類作成の効率化を図りたい」というように、どんな方法で業界の業務効率化に貢献したいのかを述べましょう。
HR業界について理解を深め就活を有利に進めよう
人材にかかわる支援をする点はよく似ていますが、HR業界と人材業界には支援対象や仕事内容に細かな違いがあります。HR業界だからこそ実現できること、できないことを正しく理解しておきましょう。
志望動機を考えるときのポイントは、業界・企業ごとの特徴を明らかにすることです。他の業界との差別化点や、競合他社と比較したときの強みに着目しながら、「なぜHR業界のこの企業を選んだのか」が伝わる志望動機に仕上げていきましょう。
最近HRという言葉を耳にして、なんとなく気になっています。