目次
- 「公務員は安定」という考え方には注意! 特徴や実態を把握してミスマッチを防ごう
- まずは確認! 公務員の概要を理解しておこう
- 民間企業との違い:活動目的や役割が異なる
- 種類:国家公務員と地方公務員の2つがある
- 魅力がたくさん! 公務員が安定していると言われる6つの理由
- ①公務員という職業はなくならない
- ②不況の影響を受けづらく解雇リスクが低い
- ③給与が安定している
- ④福利厚生が手厚い
- ⑤社会的信用度が高い
- 公務員という職業は安定的! ただし「個人の安定」につながらない場合もある
- 「公務員=一生安定」とは言い切れない? 覚えておくべき5つのこと
- ①職種や部署によっては残業が多いこともある
- ②異動が多く職場環境が変わりやすい
- ③職種によっては仕事がAIに代替される可能性がある
- ④民間企業に転職しづらい傾向がある
- ⑤決まりが多く業務の改善が起きにくい
- 安定だけを理由にするのは注意! 公務員を目指す際にミスマッチを防ぐ3つの確認項目
- ①安定性以外にも公務員を目指す理由がある
- ②公務員として成し遂げたいことが明確にある
- ③公務員の仕事を長く続ける意志がある
- 公務員の安定さに関してよくある質問に回答!
- 公務員を目指すなら安定性以外も大切! 人生の方向性を考えたうえで就活に臨もう
「公務員は安定」という考え方には注意! 特徴や実態を把握してミスマッチを防ごう
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく
「公務員は安定しているとよく聞きますが、本当ですか?」
「公務員が自分に向いているかわからず、目指すべきか迷っています。」
といった質問や相談を受けます。
公務員に安定した職業のイメージがあることを理由に目指している人もいるのではないでしょうか。また、本当に安定しているのか実態が気になる人もいますよね。
公務員の職業の特性から安定した面があるのは事実ですが、「公務員=安定」と考えてしまうのは少し注意が必要です。また、公務員になることが「安定」だと感じるかどうかは人によっても異なります。
この記事では公務員が安定していると言われる理由や目指す際の注意点などを解説していきます。最後にはミスマッチを防ぐ確認項目も紹介するので、公務員の特徴や実態を踏まえたうえで、自分が目指すべき職業かどうか見極めてくださいね。
まずは確認! 公務員の概要を理解しておこう
就活生
キャリアアドバイザー
そうなのですね!
それではまずは公務員の概要について一緒に確認していきましょう。
公務員が安定していると言われるのは「職業の特性」によるところが大きいため、まずは公務員の特徴を理解しておくことが重要です。ここでは民間企業との違いや公務員の種類を中心として「公務員がどのような職業か」を解説するので、基本的な概要をまず押さえましょう。
民間企業との違い:活動目的や役割が異なる
公務員と民間企業が違うのはわかるけれど、具体的に何が異なるのか漠然としている人もいますよね。公務員と民間企業はどちらも日本社会を成り立たせるのに必要な機関ですが、以下のように活動目的や担っている役割が異なります。
公務員 | 民間企業 | |
活動目的 | 国や地域のために働く | 会社の利益を目的とする |
役割 | 日本社会の公正を保ち、国民の暮らしをより良くする | 株主や社会に商品やサービスを提供し、自社の利益と新たな価値を生み出す |
給与や活動資金 | 国民からの税金 | 自社の利益 |
仕事内容 | 国民や市民、国や地域全体につながる対応全般 | 自社の商品・サービスに対して利害関係のある企業や顧客への対応 |
公務員と民間企業の大きな違いは、活動目的が自社の利益ではなく国や地域のために働くことです。この目的が異なっているために、仕事内容にも違いが出てくるといえますね。
公務員と民間企業を併願する際の就活スケジュールや注意点を詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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種類:国家公務員と地方公務員の2つがある
公務員という職業は、大きく「国家公務員」と「地方公務員」の2つがあり、同じ公務員でも勤務先や仕事内容などが異なります。両者のおもな特徴の違いは以下です。
おもな仕事内容と勤務先 | |
国家公務員 | ・日本という国全体にかかわる業務に携わる ・おもに省庁や出先機関に勤務して働く |
地方公務員 | ・日本の各地方に属し、地域にかかわる業務をおこなう ・都道府県庁や市役所、その他公共機関などで働く |
国家公務員は国全体にかかわることが多く規模感の大きい仕事をすることができますが、その分責任も重くなる傾向にあるのが特徴です。一方、地方公務員は所属する地域に関する仕事をおこなうため、住民と比較的近い距離で接することができるのが特徴といえます。
この後、国家公務員と地方公務員のそれぞれの職種について詳しく解説していきますね。
国家公務員:国を支える仕事
国家公務員は「国を支える仕事」をする職員であり、国の司法・立法・行政に関する業務をおこなう公務員です。国家公務員は以下のように大きく「総合職」「一般職」「専門職」の3つに分かれます。
仕事内容や勤務地 | |
総合職 | ・おもに中央省庁に勤務 ・国の政策の立案や決定、環境や教育についてなどさまざまな国の課題解決や方向性を検討することが仕事 ・日本のリーダーたちであり、キャリア官僚ともよばれる |
一般職 | ・おもに省庁や出先機関に勤務 ・総合職が決定した政策を現場で執行するのが仕事 |
専門職 | ・特定の専門分野に特化した仕事をおこなう ・具体的には国税専門官や外交官、財務専門官などがある |
国家公務員として国を支えるという役割は変わりませんが、3つの職種によっておこなう業務の特性や扱う範囲は変わってきます。役割の異なる3つの職種が連携することで国の施策が動いているといえますね。
こちらの記事では国家公務員の種類についてわかりやすく解説しています。興味がある人はあわせて参考にしてみてください。
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地方公務員:地方を支える仕事
地方公務員は「地方を支える仕事」をする職員であり、地方の機関に勤務し、地域の住民の暮らしがより良いものになるための業務をおこなう公務員です。地方公務員は以下のように大きく「行政職」「資格免許職」「技術職」「公安職」の4つに分かれます。
地方公務員のおもな職種 | |
行政職 | ・地域における施策の立案や執行から財政に至るまで、地域や住民に関する業務全般にかかわる |
資格免許職 | ・特定の資格や免許が必要な職種であり、知識や知見を活かして住民をサポートする ・おもな職種としては栄養士や保育士、臨床心理士や社会福祉士などがある |
技術職 | ・特定の技術が必要な職種であり、土木や建築、農業などを扱う |
公安職 | ・地域の治安を維持するための職種 ・具体的には警察官や消防士などがある |
国家公務員に比べて仕事の対象範囲は狭まりますが、その分より地域や住民に近い距離感で仕事をおこなうことができるのが特徴です。異動もその地方の中に限られるため、目指す際は特に地域の選択が重要になるでしょう。
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キャリアアドバイザーコメント根岸 佑莉子プロフィールをみる
公務員の就職活動で、最も労力と時間を費やすのは筆記試験対策です。筆記試験を突破しないと面接へ進めず、倍率も高いことから多くの人は筆記試験で断念することになります。そのため、早い人では大学2年生から予備校に通うなどして対策をしています。
そのため公務員を目指すかどうかは早めに判断して、早めに対策をするようにしましょう。合格した先輩に「大学受験の勉強と公務員試験の勉強、どちらが大変でしたか」と尋ねると「公務員の方が大変だった」と返事があった、という学生の話を聞いたこともあります。まず、第一難関の筆記試験を突破することを目指し、その後民間企業と同じように面接対策も十分に準備して臨むようにしましょう。
また、一口に「公務員」といっても地方公務員と国家公務員とでは、試験内容や試験を受けるプロセスが異なるため、併願する学生はそれぞれの対策をする必要があります。特に国家公務員の採用試験では「官庁訪問」というのがあり、志望する省庁から業務説明や面接を受ける必要があります。このプロセスを踏まないと試験に合格しても採用にはつながらないこともあるので、ルールやスケジュールは必ず確認するようにしましょう。
自分の強み・適職を知るためにも、まずは自己分析を済ませましょう
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魅力がたくさん! 公務員が安定していると言われる6つの理由
就活生
公務員の概要が理解できました!
では、そんな公務員はなぜ安定していると言われるのでしょうか?
キャリアアドバイザー
公務員が安定していると聞いても、理由がわからないと不安になりますよね。
さっそく一緒に確認していきましょう。
公務員が安定していると言われる理由は、「公務員という職業の特性」による部分が大きいです。ここでは公務員という職業の性質を深堀りながら、安定していると言われる6つの要素を解説していくので、公務員を目指す前に確認してみてくださいね。
①公務員という職業はなくならない
公務員が安定していると言われる大きな理由の1つとして、公務員という職業がなくならないことが挙げられます。
公務員は国民全体の奉仕者として公共のために存在する仕事のため、国や勤める地方がなくならない限り「公務員」という職業はなくなりません。人口減少や少子高齢化、財政難などさまざまな問題により影響を受けることも考えられますが、勤務形態や勤務場所が変わることはあっても公務員として仕事を続けられるでしょう。
民間企業に勤めていると、解雇だけでなく会社自体が倒産してしまうリスクを抱えることになりますが、そのリスクがないのは公務員の魅力といえますね。
②不況の影響を受けづらく解雇リスクが低い
公務員は国に仕える職業であり営利を目的としておらず、給与も税金から支払われます。そのため、経済が不況に陥っても影響を受けづらく、民間企業よりも解雇されることが低いです。
もちろん、勤務態度が著しく悪かったり、犯罪や情報漏洩などがあると懲戒免職(公務員に対する懲罰の1つで、民間企業の解雇に相当するもの)になることはあります。しかし、民間企業のように個人の能力や所属する自治体などの財政状況が理由で突然リストラされることはほぼありません。
社会情勢などを理由に職を失うことがないというのは、精神的にも安定して自分の仕事に集中できることにもつながるでしょう。
③給与が安定している
給与の変動が少なく毎月一定の収入が保証されていることも、公務員が安定していると言われる理由の1つです。
公務員は国や地域のために仕事をする職業であり、給与は税金から支払われています。そのため、会社の利益の有無に影響されることなく一定額の収入を得ることができるのです。
また、公務員は継続年数で評価される年功序列であるため、長く勤めるほど給与は上がります。民間企業でも年功序列の企業はありますが、あくまで会社の利益が元であるため、経営状況によっては個人の評価が低いと給与が下がることもあるのです。このリスクが低いことも公務員の魅力の1つですね。
キャリアアドバイザー
公務員の給与は民間企業の平均給与に基づいて調整されています。
もちろん、公務員の職種によって異なる部分もありますが、あまりにも低い額になることはないといえますね。
年功序列制度についてはこちらの記事で解説しているので、詳しく知りたい人はあわせて参考にしてみてください。
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④福利厚生が手厚い
公務員は福利厚生が手厚いという特徴もあります。法律で義務づけられている福利厚生が中心であるため、どの就職先でも大差なく手厚いサポートを受けられることが、公務員として働く安定さにつながっているといえますね。
公務員の福利厚生は大きく以下の3種類の組織から補助されており、あらゆる側面から公務員をサポートしているのです。
- 自治体(省庁):通勤手当や住宅手当、休暇制度などを補助
- 共済組合:医療や健康関連の福利厚生、社会保障などを支援
- 職員互助会:共済組合の福利厚生にプラスする形でサポート
特に有給休暇が初年度から20日付与されたり、病気になったときにほぼ給与と同じ額が保証されるなどは公務員の福利厚生の魅力といえます。
⑤社会的信用度が高い
公務員は職業の特性上、毎月の給与が安定していることや解雇リスクが低いことなどから「社会的信用度が高い」といえます。
たとえば、家や車など価格の高いものを購入するときにローンを組みやすいです。公務員は今後安定的に返済できる見通しが立っているからですね。
もちろん、公務員以外の職業に信用がないわけではありません。ただ、公務員に対する社会的信用度が高い風潮はあるといえるでしょう。
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上記で公務員の魅力をお伝えしていますが、公務員の種類は大きく国家公務員と地方公務員に分かれ、さらにそれぞれの中に複数の職種があります。
職種によってやりがいや活かせるスキルは異なるため、自分が何に魅力を感じるのか、まずは自己理解を深めることをおすすめします。たとえば国家公務員の中でも、国を動かすダイナミックな仕事にやりがいを感じられそうな人は国家総合職が向いていると考えられますし、正確な事務遂行能力がある人は国家一般職で活躍できるでしょう。
一方、地方公務員では、地域施策の企画や実行など地域全体を動かしたい人は行政職が向いていると考えられ、地域住民一人ひとりの特定の悩みや課題を解決したい人は資格免許職や専門職に就くとやりたいことができるでしょう。自分の得意分野、やりがい、理想の働き方などを自己理解し、公務員の種類や職種と照らし合わせてみましょう。
公務員という職業は安定的! ただし「個人の安定」につながらない場合もある
就活生
公務員はやはり安定した職業なのですね!
では公務員になったら安定した人生を送れますよね?
キャリアアドバイザー
たしかに公務員という職業は安定しているといえますが、だからといって個人の人生が安定するとは限りません。この点は注意しておきましょう。
公務員が安定しているからといって「公務員になりさえすれば大丈夫!」と考えるのは、少し注意が必要です。将来的に長く安定した生活を送りたいと考えて公務員を志望している人もいるかと思いますが、職業の安定が個人の人生の安定につながらない可能性もあります。
安定のとらえ方は人それぞれです。一定の給与をもらえることが安定だという人もいれば、長く心身の平穏な状態であることが安定だと考える人もいます。
このように考えると、必ずしも公務員が安定した職業だとは言い切れません。公務員を目指すか検討する際は、公務員になることで自分の思い描く安定した生活が送れるかどうかを考えてみると、自分にとって正しい選択がしやすくなるかもしれませんよ。
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「公務員=一生安定」とは言い切れない? 覚えておくべき5つのこと
就活生
公務員になれば安定した生活が送れると思っていました……。
「職業の安定」と「自分の人生の安定」は異なるのですね。
キャリアアドバイザー
そうですね。
また、公務員になったからといって一生安定した生活を送れるとは言い切れない要素もあります。それぞれの要素について1つずつ見ていきましょう。
公務員は職業の特性上、安定した収入や手厚い福利厚生などがあり魅力的な職業ですが、見方を変えたり長期的な視点で考えてみると安定とは言い切れない側面もあります。ここでは、公務員を目指す際に覚えておくべきことを5つ紹介するので、就職後の生活や自分の人生を長い目で見たときに公務員を目指すべきなのかを意識しながら確認してくださいね。
①職種や部署によっては残業が多いこともある
公務員は定時で仕事が終わる印象が強い人もいるかもしれませんが、職種や部署によっては残業が多くなることもあります。
職業が安定しているからといって仕事が楽にできるとは限りません。職を失うリスクが低いことを安定ととらえるならば問題ないですが、公務員になれば毎日定時で帰宅でき、ワークライフバランスを保つことができると考えている人は少し注意が必要です。
また、職種によっては同じ公務員でも勤務形態が異なる場合もあるので、目指す際は応募職種の勤務形態や実態についても事前に調べておきましょう。
②異動が多く職場環境が変わりやすい
所属する地域や職種にもよりますが、公務員は2〜4年の間隔で人事異動がおこなわれるのが一般的です。そのため、その職場に腰を据えて働くことが安定的だと考えている人は印象との違いを感じてしまうかもしれません。
公務員に比較的異動が多い理由としては、個人の新たなスキルアップや知見の拡大、職場環境の活性化、不正の防止などが挙げられます。同じ部署に長くいると特定の団体や企業とやり取りすることが増え、それが不正につながる場合もあります。公務員は国全体や地域住民の機密情報を多く扱うシーンも多いため、不正を未然に防ぐためにも異動を定期的におこなっているのです。
異動が多いことで得られる知識や知見の幅は広がりますが、同時に慣れてきた職場環境や業務から離れて、また新たな業務に取り組む必要があることは認識しておきましょう。
③職種によっては仕事がAIに代替される可能性がある
職種によっては仕事がAI(人工知能)に取って代わられる可能性もあり、自分の担当していた役割がなくなることもあるかもしれません。そうなると、将来的に公務員の人員が減ることも考えられます。
というのも、職種にもよりますが公務員の仕事は事務的な業務も多く、AIやIT技術で代替できる仕事も多いからです。特に、市役所での窓口や受付業務などは、オペレーション効率を上げるためにAIやIT技術を導入しているところも増えています。
完全に人がすべき仕事がなくなることはないですが、今ある仕事さえおこなっていれば一生安泰と考えるのは注意したほうが良いでしょう。解雇リスクの低い公務員であっても、時代の変化に合わせて仕事を考える意識を持つことは大切だといえますね。
こちらの記事では10年後になくなる可能性のある仕事について解説していますので、気になる人はあわせて読んでみてください。
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10年後になくなる仕事の傾向には数字やデータを扱うものや、単純作業、担い手がいないなどの特徴があります。今回はIT化が進むことで10年後になくなる仕事の候補を15個紹介します。キャリアアドバイザー監修のもと、10年後に仕事を失わないためにやるべきことも紹介していきます。
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④民間企業に転職しづらい傾向がある
公務員の中でも行政職は事務的な業務が中心であり、民間企業で扱う知識やビジネススキルなどが身に付きづらいです。そのため、公務員以外に転職するとなった場合に民間企業向けにアピールできる力が多くなく、転職しづらい可能性があります。
公務員になるために必要な試験では一般教養を身に付けますが、民間企業で実践的に使える力とは異なるため、即戦力を求める民間企業ではそれほど重要視されません。また、公務員は年功序列のため長く働くほど評価されますが、民間企業に転職する場合は公務員でいた期間が長いほど不利に働いてしまう可能性もあります。
公務員でいる限りは問題ないですが、公務員の仕事内容や職場環境が合わないなどの理由で転職したいとなった場合は、苦労する可能性があることを認識しておきましょう。
キャリアアドバイザー
専門職や技術職に関しては、専門分野で仕事が見つかれば知識やスキルを活かした職種に就ける可能性が高いです。
⑤決まりが多く業務の改善が起きにくい
公務員の仕事は不正やミスなどを極力なくす目的もあり、細かな決まりやルールが多い傾向にあります。そして、そのルール自体も「昔から決まっていることだから」とされることも少なくなく、業務改善よりも前例を踏襲することが多いです。
間違えてはならない重要な情報を扱うために確認段階も多い傾向にあります。確認書類も多く、手続き関連の業務は民間企業よりも煩雑だといえるでしょう。そして、これらの確認が重なることにより仕事量が多くなり、さらに時間がかかってしまうという現象が起きやすい傾向にあります。
手続きを踏む理由として、「前にやっていたから」や「決まりだから」という理由で納得できない人は、もどかしさを感じてしまうかもしれません。
キャリアアドバイザーコメント吉川 智也プロフィールをみる
公務員の実態を把握したい、仕事理解を深めたいという学生は、まずはOB・OG訪問をすると良いでしょう。直接話を聞くことで実際の仕事内容ややりがい、現在の雰囲気や労働条件など一歩踏み込んだ情報を手に入れることができます。注意点としては、OB・OG訪問で得られる情報は、その人の主観が入っている場合も多いことです。すべてを鵜呑みにするのではなく、自分の気持ちや考えと照らし合わせながら話を聞く姿勢も大切ですね。
また、インターンシップへの参加もおすすめです。インターンシップは民間企業だけでなく、公務員で実施している場合も多くあります。募集事項などはおもにホームページで公開されますが、掲載がない場合は直接問い合わせても良いでしょう。大学のキャリアセンターで取りまとめて申し込みをする場合もあるので、確認しておくことをおすすめします。
ほかにも、直接現場を訪ねて様子を見に行っても良いでしょう。たとえば市役所の職員がどのように市民対応しているのか、職員同士のコミュニケーションの様子はどうなのかといったことを観察するのも有効だと思います。仕事の理解が深まるとモチベーションも上がると思いますので、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
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就活生
公務員は人によっては安定と言い切れない側面もあるのですね。
自分が公務員として働くことが向いているのか不安になってきました……。
キャリアアドバイザー
いろいろと話を聞くと不安にもなりますよね。
でも大丈夫です。安定性だけに目を向けず公務員になってどのような人生を送りたいのかを考えてみてください。
今まで述べてきたように、人によって公務員が安定かどうかは変わります。そのため、公務員の職業としての安定性だけではなく、自分の人生にとってベストな職業かどうかを判断することが重要です。
ここでは公務員を目指す際にミスマッチを防ぐチェックポイントを3つ紹介します。公務員に向いているのか自分自身に問いかけながら確認してみてくださいね。
①安定性以外にも公務員を目指す理由がある
公務員を目指す際は、公務員という職業の安定性以外に目指す理由があることが重要です。
安定性は見方や状況によって変化します。それこそ、時代が変化していくにつれて公務員の仕事内容や勤務形態が変わることもゼロではありません。そのとき、安定性だけを理由に公務員を選択していると、働く理由やモチベーションを保ちづらくなる可能性があります。
以上のことから、公務員の職業としての安定性がなくなったときに、公務員の仕事をしたいと思う強い理由を持っているかどうかが、公務員を目指すか判断するときの大きな決め手の1つとなるでしょう。
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②公務員として成し遂げたいことが明確にある
公務員でなければ成し遂げられない理由が明確に定まっている人は、ミスマッチが起こりにくいといえます。
「公務員は安定しているから」という公務員全般に当てはまるような理由で目指すと、配属先が思ったような職場でなかったときや残業が多い部署であった場合、働き続けるのがつらいと感じてしまうかもしれません。
そのようなときでも、勤務制度や安定性などの環境に依存しない夢や目標があれば、乗り越えることができるでしょう。
③公務員の仕事を長く続ける意志がある
公務員の仕事を長い間続けていく確固たる意志がある人も向いているといえます。
民間企業の転職を考えた場合は転職活動は大変になる可能性がありますが、公務員としてさまざまな経験を積んでいくのであれば問題ないでしょう。公務員は勤続年数が多くなるほど評価も上がり、給与も増えていきます。そうすると必然的にモチベーションも上がりますよね。
反対に、民間企業に転職することを前提に公務員を目指すのは避けたほうが無難かもしれません。
キャリアアドバイザーコメント塩田 健斗プロフィールをみる
もし現段階で公務員に強い志望動機がない場合は、民間企業も視野に入れて就活することをおすすめします。
民間企業も視野に入れる場合は、公務員と民間企業の就活を同時進行で進めることになるので、スケジュール管理は徹底しておこなうようにしましょう。まずはそれぞれの試験日から逆算してやるべきことを整理しておくと良いですね。特に公務員試験は筆記試験対策に労力と時間を費やすため、早めに計画を立てて両立できるようにしましょう。民間企業は、合同企業説明会など就活イベントも多くありますので、効率よく動くために、ある程度、絞った方が良いかもしれませんね。
また、並行で就活を進めるとなると就活の軸があいまいになってしまう場合があるので、「公務員の軸」と「民間企業の軸」の2軸を立てることをおすすめします。「公務員で求められる人物像」「民間企業で求められる人物像」といったように頭を切り替えて考えられると、その後の面接対策などもスムーズにおこなうことができますよ。
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公務員の安定さに関してよくある質問に回答!
公務員が安定かどうか調べる中で疑問や不安に思うことが出てきますよね。ここでは公務員の安定さに関して学生からよくある質問にキャリアアドバイザーが回答していくので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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公務員が安定だといわれる要素は何ですか?
公務員が安定だといわれるのは、公務員という職業の性質によるところが大きいです。民間企業のように営利目的ではなく、国や地方自治体に仕える職業のため日本がなくならない限り公務員自体がなくなることはほぼありません。経済的な影響を受けづらく、突然解雇されるリスクも低い傾向にあります。
また、一定額の給与が毎月支払われることや年功序列で給与が上がっていくことも安定だといわれる要素の1つです。福利厚生も手厚く、公務員として長く働くうえでは環境が整っているといえますね。
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公務員は安定志向の人に向いているのでしょうか?
公務員は必ずしも安定志向の人に向いているとはいい切れません。職業の特性上、倒産や解雇のリスクは低いですが、公務員という「職業の安定」と「個人の安定」は異なる可能性があります。仕事をしてみたら自分にはあわず精神的につらくなってしまったり、職場環境があわない場合もあるでしょう。部署によっては忙しく、ワークライフバランスを保って心穏やかに過ごすことが難しいかもしれません。
また、AIやIT技術の発展により将来的に仕事が取って代わられる可能性もあります。個人の安定という観点で考えると、職業自体の安定性に頼るだけでなく、変化に対応できる個人の力を持つことが本当の安定性だといえるかもしれませんね。
公務員を目指すなら安定性以外も大切! 人生の方向性を考えたうえで就活に臨もう
公務員という職業自体は安定しているといえます。職業の特性上、倒産や解雇のリスクはほぼなく、給与も安定しているため日々の生活に困ることはないでしょう。
しかし、将来を見すえて個人の人生の安定性を考えたときには、必ずしも安定だとは言い切れません。職場があわないことや仕事が向いていない可能性もあります。また、将来的に公務員の一部の仕事がAIやITに取って代わられる可能性もあり、必要な人員が減るかもしれません。
このように考えると、公務員を目指す際には安定性以外の要素にも目を向けて、公務員として成し遂げたいことややりたいことを明確にしておきましょう。自分の人生をどのようにしたいのか、公務員として何がしたいのかを考えて就活に臨んでくださいね。
公務員は安定していると聞いて興味があるのですが、公務員についてまだちゃんと理解できていないような気がしていて……。どのような職業か概要を教えてほしいです。