目次
- 会計事務所の志望動機には準備が必要!
- トレンドを押さえよう! 会計事務所の現状
- 税理士法人の増加と顧客の減少
- 税理士の高齢化
- 公認会計士は人手不足
- AI技術の発展により付加価値がもとめられる
- 会計事務所の種類
- 種類①監査法人
- 種類②税理士法人
- 種類③個人事務所
- 種類④アウトソーシング会社
- 事業会社とは違う?会計事務所での仕事内容
- 仕事内容①監査業務
- 仕事内容②税務申告
- 仕事内容③経営コンサルティング
- 仕事内容④記帳代行
- ここがやりがい! 会計事務所の魅力
- 学んだ知識をさまざまな場面で役立てることができる
- 年齢に縛られることなく働くことができる
- 企業の社長から学びの機会を得ることができる
- 会計事務所は新卒でも入社できるチャンスはある!
- 会計事務所の就職を有利にする資格
- 公認会計士
- 税理士
- 日商簿記
- MOS
- 会計事務所が新卒の学生にもとめる要素
- 会計の知識
- コミュニケーション能力
- 向学心
- 正確性
- 会計事務所の志望動機作成時に重要な3つのポイント
- 会計事務所を選んだ理由を盛り込む
- 将来のキャリアプランを述べる
- 会計事務所によって専門分野があることを理解している旨を示す
- 会計事務所の志望動機の注意点
- 「数字が得意」だけでは不十分
- ネガティブな内容は盛り込まない
- 志望動機例文
- 例文①会計の知識を活かしたい
- 例文②仕事と資格取得の両立ができる
- 例文③業務に魅力を感じた
- 例文④正確性をアピール
- 例文⑤顧客企業の経営課題の改善に取組みたい
- 例文⑥持っている資格を活かしたい
- 志望動機NG例
- NG例文①受け身である
- NG例文②説得力がない
- 必要な資格を取得して会計事務所の志望動機を完成させよう!
会計事務所の志望動機には準備が必要!
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく、
「会計事務所への就職をするためにはどのようにアピールをしたらよいのでしょうか?」
「公認会計士や税理士など資格ないと会計事務所就職は難しいでしょうか?」
といった質問を受けます。会計事務所への就職は一般の事業会社に比べて公開情報が少ない一方で、志望動機を戦略的に考えれば未経験者でもチャンスはあります。
この記事では新卒でも会計事務所に就職するためのポイントや志望動機を例文付きで紹介します。また業界の魅力や新卒に求められる要件も解説しますので、是非参考にしてくださいね。
トレンドを押さえよう! 会計事務所の現状
会計事務所で働きたいと思っている人にとっては、まずは会計事務所の現状や業界を把握することが大切です。日本の国内ではさまざまな業界でAIなどのテクノロジーが進化し、また高齢化が進んでいき、この傾向は会計事務所にも当てはまります。
まずは、会計事務所の業界の現状とこれからの展望について詳しく解説していきます。
税理士法人の増加と顧客の減少
税理士の中には開業税理士も含まれることから、個人事務所を開設している税理士が中心であるというイメージをもっている人もいることでしょう。しかし、近年では個人事務所は減少傾向で、税理士法人が増加しています。
日本税理士会連合会によると法人設立届出数は平成28年3月時点では3,273法人でしたが、令和元年10月時点では4,104法人へと増えました。
一方で、税理士の主たる顧客である中小企業や個人事業主は長年に渡って減少傾向にあります。2009年から2016年までの間に中小企業は約15%も減少しています。
税理士の高齢化
日本税理士会連合会が発行した税理士を目指す学生向けのパンフレット『税理士って?一生の仕事を探すなら(平成31年3月改訂)』によると、第6回税理士実態調査の結果では、税理士の半数以上である54%が60歳代以上ということが明らかになっています。
また、継続年数のボリュームゾーンとしては11年以上20年以下が24.1%(7,905人)が最大になっています。高齢化が進んでいますが、若い税理士も増えているようです。
公認会計士は人手不足
人手不足の理由としては、そもそもの志望者数が減少していること、さらに人材が定着しづらいことが挙げられます。
平成24年には約5万人いた受験者は平成28年には約3万5000人まで減少しており、4年間で一万人以上減少しています。それに伴って会計事務所での勤務希望者も減っていく傾向にあるため、採用が困難になっている場合もあるのです。
また、採用できたとしても独立開業を志して事務所を退職してしまうケースも多いです。
AI技術の発展により付加価値がもとめられる
AI技術の発展により、なくなる仕事の一つに「税理士」が挙げられています。実際にIT先進国であるエストニアでは、税制度が簡素化されて誰でも簡単にインターネット上で手続きを済ませられるようになりました。
その結果、個人向けの税理士の仕事はほとんどなくなってしまったのです。日本でも経理業務や税理士業務の一部はすでにAIを活用している場面があります。
さらにAI技術が発展していくと税務申告や会計処理など単純な事務作業はAIで代用し、会計処理から考察できる事業展開のサポートといったプラスαの価値を提供できる税理士が求められます。
他にも事業譲渡の手続きやM&Aの仲介といった単純に解決できない問題に対して最適解を提示するなど、AIにはできない仕事をおこなえる人材が求められていくでしょう。
AIの台頭で10年後に残る仕事や無くなる仕事はこちらを参考にしてみてください。
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会計事務所の種類
実は「会計事務所」という名称は俗称であり、正式名称ではありません。正式名称としては「○○公認会計士事務所」「○○監査法人」「○○税理士事務所」「○○税理士法人」といった名称を用いなければならないということが税理士法などに明記されています。
しかしながら、税金に関する業務に限らず、会計に関するサービスも含めて、会社や個人事業主の「会計」に関する業務の方に力をいれていることをアピールするために、会計事務所という俗称が用いられることがあるのです。次は会計事務所の種類について解説していきます。
種類①監査法人
- 公認会計士が5人以上集まって設立した法人のこと
公認会計士法に基づいて、会計監査を目的として設立されています。監査法人における公認会計士の役割は、独立した立場において「監査証明」をおこなうことです。
監査自体は一人の公認会計士でもできますが、大規模な株式会社の決算を監査するにはその分公認会計士の人数が必要になります。大規模監査を組織的におこなうために必要な法人が監査法人ということになります。
監査法人は大手・準大手・中小のカテゴリーに分けられることが多いですがこれらはあくまで通称的な分け方です。大手監査法人としては次の4法人が挙げられ、日本の上場企業の監査業務の8割を占めています。
- 有限責任あずさ監査法人
- 新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- PwCあらた有限責任監査法人
種類②税理士法人
- 税理士法人とは2人以上の税理士が協働して設立した法人形態の会社のこと
平成13年に第四次税理士法が改正された際に、税理士法人制度が制定されました。税理士業務の高度化・複雑化に対応するために税理士法人としての開業が許可されるようになったのです。
税理士法人の対になるのは税理士事務所です。税理士事務所は税理士が個人事業主として個人経営している事務所のことを指します。法人化されていないため規模が小さく、全国的に数は多くなっています。
個人の税理士事務所とは異なり、税理士資格をもつ人が2人以上いる税理士法人では、複数の専門家が在籍しており多様な税務相談に対応ができるという強みがあります。
種類③個人事務所
- 税理士または公認会計士の資格をもった人が独立・開業して運営している事務所のことを指す
先ほど紹介した税理士法人でも個人事務所でも、業務の範囲が広い事務所もあれば、相続などの特定の分野に特化している事業所があるという点は共通です。
しかし、個人事務所の方が税理士法人に比べると従業員の数が少なく、担当の業務は幅が広くなる傾向があります。個人事務所で働く職員は個人や法人両方の顧問先を担当するので、会計業務の知識だけではなく、法人税・所得税・相続税といった主要な税務の知識とノウハウを身につけることができます。
種類④アウトソーシング会社
会計事務所の中には事業会社の経理業務の一部またはすべてを代行するサービスもあります。それをおこなうのがアウトソーシング会社です。
おおまかには会計データ入力・月次年次決算などの経理業務と給与計算や社会保険手続きなどの人事業務を顧客から受注します。事業規模や業務内容はその会社によってさまざまあり、
近年では外資系企業に強いアウトソーシング会社など、会社の強みを生かした運営をおこなっています。アウトソーシング会社のメリットとしては、顧客企業の経理業務の効率化に貢献できる、経理のプロとして会社経営のサポートをおこなうことができるという点があるのです。
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事業会社とは違う?会計事務所での仕事内容
就活生
一般の事業会社にも経理部門はあると思うのですが、会計事務所での仕事も経理部門と同じようなものなのでしょうか。
キャリア
アドバイザー
確かに、経理職の方が見聞きをする機会は多く、会計事務所というのはあまり馴染みがありませんよね。しかし両者には明確な違いがあります。
就活生
そうなのですか?具体的にはどんな違いですか?
キャリア
アドバイザー
違いをしっかりと把握しておかないと、入社後に異なるイメージで戸惑うこともあるかもしれませんので、これから説明していきますね。
事業会社の経理や税部部門は自社または関連会社のために経理業務をおこないます。経理部門の業務が会社の収益事業になることはありません。一方で会計事務所は個人事業主や企業などの顧客に対して税務代行や経理業務などのサービスを提供することで収益をあげているという違いがあります。次は会計事務所の主な業務内容を4つ紹介します。
仕事内容①監査業務
監査業務とは、企業の財務諸表が適切かを公正な立場で確認し、内容に誤りや粉飾がないことを保証するという業務です。顧客である企業からの依頼を受けて監査業務をおこなうので、顧客の決算期にあわせて監査のスケジュールを組んでいきます。
たとえば3月決算の場合は次のような流れで監査業務をおこないます。
- 7~9月 監査計画の立案・期中監査(内部統制、期中往査、支店・子会社往査)
- 10~12月 期中監査
- 1~3月 期中監査(・棚卸立会い(期末)
- 4~6月 期末監査・計算書類、有価証券報告書監査
監査意見表明(監査報告書の提出、株主総会での報告)
会社法では、資本金5億円以上または負債が200億円以上の株式会社には公認会計士による監査が義務付けられています。また、このような大企業の監査業務をおこなうために監査法人があり、監査法人の業務のほとんどはこの監査業務です。
仕事内容②税務申告
税務申告とは決算書を基に税務署に提出する税務申告書を作成する業務のことです。本来であれば納税者が自ら納税額を申告しますが、税制は複雑であり適切に理解するのは困難という現状があります。
適切な納税を推進するために税理士法では税理士だけに納税者に代わって申告し税務署などに対して主張ができるという法定行為を許しています。この法定業務は税理士業務と呼ばれ、税理士の独占業務です。
また、税務申告をおこなうための決算書や賃借対照表・損益計算書などの財務諸表を作成する「決算業務」は税務申告に付随する業務として位置付けている会計事務所が多いです。
仕事内容③経営コンサルティング
経営コンサルティングとは、会社の経営状況を分析・判断して将来的な経営方針について相談に乗ったり助言をしたりする業務のことを指します。コンサルティング業務には次のような業務があります。
- 財務コンサルティング業務
- M&Aアドバイザリー業務
- 企業再生アドバイザリー業務
会計事務所がおこなう主な経営コンサルティングは財務コンサルティング業務です。税理士や公認会計士は、資金繰りや帳簿の管理など顧客企業の財務状況を把握しています。その中から経営課題を見つけることができるため的確なアドバイスができるのです。
経営コンサルティングをおこなうために経理や財務以外にも経営戦略やITなど幅広い知識が必要になるため、顧客のニーズに応えられるようになると業務の範囲も広がるでしょう。
仕事内容④記帳代行
記帳代行とは帳簿作成業務を代行する業務のことを指します。平成26年1月の税法改正にともなって記帳や記帳の保存がより厳格化されました。時代の流れに伴って記帳業務自体の必要性も高まっているのです。
事業を営んでいると領収書や会計ソフトへの入力作業が日々発生しますが、自社の経理事務担当で業務がおこなえない場合に代行を依頼することもできます。
一般的に会計事務所がおこなう記帳代行とは各種伝票・仕訳帳・現金出納帳・預金出納帳などを預かり総勘定元帳を作成する業務になります。最近では会計ソフトを活用しながら進めることが多いです。単なるデータ入力ではなく、簿記の知識が必要になる業務です。
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ここがやりがい! 会計事務所の魅力
就活生
会計事務所というと真面目でお堅いイメージがあるのですが…実際の業務も融通が利かない形なのでしょうか?
キャリア
アドバイザー
確かに、決算書や会計業務などは正確性が求められます。しかし、会計事務所はあくまでもサービス業であり、コンサルティングサービス業の一種といえるでしょう。
就活生
会計事務所はサービス業? どういうことですか?
キャリア
アドバイザー
では「会計事務所はサービス業」についてこれから詳しく解説していきますね。
会計事務所では、確かにお金に関する事務作業が多いです。しかし、それ以外にも顧客を訪問し、アドバイスをおこなうといった人とのかかわりが想像以上に多いのです。業務を通して人とかかわることにやりがいを見出す人もたくさんいます。
次は会計事務所で働くことの魅力ややりがいについて解説します。
学んだ知識をさまざまな場面で役立てることができる
会計事務所ではその名の通り会計に特化した業務を通して、さまざまな能力や知識を身に付けることができます。具体的には次のような力です。
- 会社の日常的な取引を会計処理する能力
- 会計処理を基に決算処理や税金計算をする能力
- 財務諸表から決算を読み取る能力
会計事務所の仕事を通して得ることのできる知識や能力は、仕事をおこなうためだけではなく自分自身の日常生活や、身近な人へのアドバイスとしても活用することができます。
さらには会計の知識があることで日本や世界の経済状況を適切に把握しやすくなるでしょう。会計事務所の仕事内容は日常のさまざまな場面で活かすことができるのが魅力の一つです。
年齢に縛られることなく働くことができる
会社員と異なり税理士や公認会計士の仕事には定年はありません。厳密には会計事務所に勤務している無資格の職員には定年が定められていますが、税理士や公認会計士の場合は60歳や65歳といった一定の年齢を超えても心身が健康な状態で本人が望めば働き続けることができます。
会計事務所での業務は専門性が高く資格をもっていないとおこなうことのできない独占業務なので、出産や育児・介護などのライフステージに合わせた働き方の選択も可能です。
キャリアアドバイザー
会計は経営の要であり、公認会計士や税理士の専門的な知識はAIが発達しても必要です。自分が働きたいと思う限り半永久的に働くことができる貴重な仕事といえるでしょう。
企業の社長から学びの機会を得ることができる
会計事務所では、法人や個人事業主などさまざまな企業の社長から仕事を受ける機会があります。また、かかわる業種の幅も広くサービス業はもちろん、IT関連企業や建設業など多くの企業の経営に会計や経理の業務を通してかかわることができます。
もちろん社外の公正な立場からかかわることにはなりますが、税務や経営全般の内容だけではなく事業の引継ぎに関連することまで会社の成長の一助となることも可能です。
一般の事業会社では直接企業の社長とやりとりをするケースは多くありません。それに対して会計事務所では会社の経営と顧問契約が続く限り継続的なやりとりができます。経営にまつわる社長の判断やそれに伴う役員などとのかかわりを間近で見ることができ学ぶ機会も多いと言えるでしょう。
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みなさんの生活から学校や病院、公共サービスがなくなったらどうでしょう。
実は会計事務所の仕事はここに大きくかかわっているのです。公共サービスは税金によって運営されています。そのためきちんと税金を徴収できないと、これらのサービスを運営することができなくなってしまうのです。私たちがこれらのサービスを利用できているのは、会計事務所が国に収めるべき税金が正しく納付されているからと言っても過言ではありません。
学校や病院を支援しようと思っても貢献しづらいですが、税理士や公認会計士として働くことで社会全体に貢献ができるのです。そして、ご紹介したとおりこの仕事は定年がないため、他のどの仕事よりも長い期間で社会に貢献ができますよね。
社長クラスの方から学べたり経営者の役に立てること以外に、間接的ですが社会全体に貢献できることも魅力の1つですね。
会計事務所は新卒でも入社できるチャンスはある!
会計事務所は税理士や公認会計士といった国家資格をもっている人でないと入社できないと考えている人もいることでしょう。また、経済学部などの特定の学部を卒業していないと採用してもらえないと思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、実際は一般の企業と同様に多くの会計事務所が新卒の求人を出しています。また、文系の学生でも理系の学生でも入社は可能です。その理由は会計事務所の多くは未経験や無資格の人材であっても入社後に教育する方針をとっているからです。
キャリアアドバイザーコメント高橋 宙プロフィールをみる
まずは何度もこの記事を読み返して、会計事務所についての理解を深めましょう。
会計事務所についてきちんと理解ができていないと、自分の経験をどのようにアピールすれば良いかイメージが湧かないですよね。理解していない状態で面接を受けると、熱意が伝わらず選考落ちになってしまう可能性が高いのです。特に「会計や税務」に関して日常的に触れる機会がないので、時間をかけてじっくり理解をすることがおすすめです。
徹底的に調べたうえで会計事務所にアピールできる自分の経験を振り返ると、未経験であっても入社後に活躍してくれるイメージが採用担当者に伝わります。
たとえば、公認会計士の監査業務について学生時代の経験で十分アピールができます。「部活で審判として試合の運営に力を入れた」など第三者の立場から支援した経験があれば、未経験であっても入社後の活躍がイメージできますよね。
もちろん知識がある学生の方が高い志望度のアピールができるので、これから紹介する資格の勉強を始めることもおすすめですよ。
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会計事務所の就職を有利にする資格
会計事務所では、税務や会計についての仕事をおこなうため、税務・会計についての専門的知識をもっていることが証明できる資格を取得しておくと、就活を有利に進めることができます。具体的には次のような資格です。
- 公認会計士
- 税理士
- 日商簿記
- MOS
一般的に就活が有利になる資格はこちらを参考にしてみてください。
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公認会計士
公認会計士は国家資格です。監査業務をおこなうためには公認会計士の資格が必須になります。公認会計士の資格をもっていることで監査業務にもかかわることができるようになるため、資格を有していると仕事の幅が広がるでしょう。
公認会計士試験は2段階式となっており、1次試験の「短答式試験」と2次試験の「論文式試験」で構成されます。難易度は高いため合格するためには2500時間ほどの学習時間が必要とされています。それだけ、公認会計士の資格をもっていれば会計事務所の就職には有利に働くでしょう。
また、米国版の公認会計士試験である米国公認会計士(Certified Public Accountant、USCPA)もあります。この資格は日本の会計事務所で働く際に直接活かすことができるわけではありませんが、この資格をもっておくと英語もできる会計士であることがアピールできるため、外資系企業を多く手掛ける会計事務所を志望する場合には評価されます。
税理士
税理士も公認会計士同様に国家資格です。税務に関する高度で専門的な知識を有する証明となり、税務代理・税務書類の作成・税務相談といった独占業務をおこなうことができます。
これらの業務を税理士以外がおこなうと処罰を受けることになります。税理士になるためには次の4つの方法があります。
- 税理士試験に合格して税理士になる
- 大学院を卒業し、税理士試験の免除を受けて税理士になる。
- 税務署など国税官公署を退官し、税理士試験の免除を受けて税理士になる。
- 弁護士や公認会計士など他の資格を保有し、税理士試験の免除を受けて税理士になる。
最も一般的なのは税理士試験に合格することです。税理士試験も公認会計士同様に難易度の高い試験となっており、合格するためには1800~1950時間の勉強時間が必要と言われています。
日商簿記
会計・税務にかかわる業務をおこなう際に必ず求められる知識を身に付けているかどうかの証明であれば、簿記にかかわる資格をもっておくのも良いでしょう。逆に言うと、簿記の資格をもっていないと会計事務所での実務をおこなうことは困難とも言えます。
会計事務所の規模が小さい場合には中小企業の記帳代行業務を請け負うことが多いため簿記の知識が必要になる場面が多いからです。さらに、会計事務所の規模が大きくなると監査にかかわる機会が増えるため、より専門的な知識が求められるようになります。
日商簿記試験の中でも3~1級が履歴書やエントリーシートなど評価されるレベルになります。会計事務所で活躍するためには最低でも2級程度の知識が必要になるでしょう。また、一人で記帳業務をスムーズにおこなうためには1級の知識が必須です。
MOS
MOS(Microsoft Office Specialist)とはマイクロソフト社が認定する資格のことでExcelやWordといったMicrosoft Office製品の活用スキルを証明することができます。ExcelやWordの活用は公認事務所の日常業務で頻度高く活用するので、一定レベル以上の操作スキルがあれば即戦力として企業からの評価も高まるでしょう。
MOSは日商簿記に比べると短期間で取得することができます。MOSはソフトウェアごとに資格(スペシャリストレベル)が認定され、Excelとwordについてはエキスパートレベルという上級資格があります。
それぞれのソフトウェアの試験は独立して受験ができるため、初めからエキスパートレベルとして受験することもできます。
キャリアアドバイザー
それぞれのソフトウェアのバージョンによって受ける試験の選択が用意されています。どのバージョンを受験したらいいのかわからないというときは最新のバージョンで受験すると良いでしょう。
MOSを取得したい学生にはこちらの記事もおすすめですよ。
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会計事務所が新卒の学生にもとめる要素
会計事務所への就職を希望する場合には、まずは会計事務所が新卒に求める要素を把握しましょう。一般的に会計事務所が新卒で入社する新入社員に求める要素としては次のようなものが挙げられます。
- 会計の知識
- 簿記検定
- コミュニケーション能力
- 向学心
- 正確性
ここからはそれぞれの要素について詳しく解説していきます。また、会計事務所は自社ホームページ(HP)に求める人物像を掲載していますので、いくつかのHPを参照してみるのも良いでしょう。
会計の知識
会計事務所では税理士や公認会計士が主力となって業務を進めていきます。しかし、経理の実務経験や簿記の資格がないという未経験の人でも業務を通じて知識を得れば良いと考える会計事務所も多く、未経験者の採用の枠が一定数あるというのが現状です。
たとえば、経済学部や商学部に在籍している人であれば基本的な会計の知識を有していると言えるでしょう。
また、会計業界は税制改正や関連法案の施行など知識のアップデートを定期的におこなう必要があります。会計事務所が社外用のセミナーを実施している場合もあるので、自主的に参加し会計についての知識を得ておくのも良いでしょう。また、会計に関する書籍を購入して読むなども効果的です。
簿記検定を取得しておくと説得力がある
会計事務所への就職に限らず、一般的に就職を成功させるためにはある程度の実務経験が必要と言えます。会計事務所においてもこの傾向は当てはまり、実際に資格をもっているだけでなく実務をこなす中で一般的なルールや知識を得ていきます。個別的な具体事例・例外的な処理をおこなうこともあるのです。
ただし、未経験でもより早く戦力になれることをアピールできれば円滑に進められるでしょう。簿記検定の2級を取得しておくことは、会計業務の素質を備えていることのアピールにつながり非常に有利になります。
コミュニケーション能力
会計事務所でも他の一般企業と同様にコミュニケーション能力の高い人材が求められます。コミュニケーション能力は自社内での業務を円滑に進めるために役立つのはもちろんのこと、顧客との対応に必要不可欠な物だからです。
会計事務所の顧客は主に中小企業の経営者です。経営者の要望を正確にくみ取り、依頼に合った業務を遂行するためにコミュニケーション能力を発揮できる人材は重宝されるといえるでしょう。
これはおしゃべり上手な人ということではなく、相手の立場や考えを理解する力、そして自分の考えをわかりやすく伝えることができる力のことを指します。適切なコミュニケーションをおこなうことで最適な提案ができるのです。
コミュニケーション能力の言い換えはこちらで詳しく解説していますので参考にしてアピールしていきましょう。
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向学心
会計事務所では特に小規模であればあるほど明確な分業はなく幅広い業務を担当することになります。
会計業務や税務を進める中ではさまざまな知識や能力が必要になりますが、会社に教えてもらう待ちの姿勢ではなく、自分からすすんで必要な知識や能力を得られるかどうかが成長の鍵といえるでしょう。
事業の再編や資金繰り、株主対策など顧客の相談に的確に回答するための知識を吸収しようというやる気のある人材を会計事務所は求めています。また、知識だけでなく問題を解決するための仮説設定の能力や提案力などビジネスシーンで必要となる能力も磨いていく必要があります。
正確性
これまでに述べてきた通り、会計事務所の業務内容は幅が広く、定期的な知識のアップデートも必要です。会計事務所で長く働いていくためにはこつこつと業務を進める正確性や一つ一つの仕事を丁寧におこなう慎重さが求められます。
これは数字を扱う仕事である以上避けられません。会計業務や税務はときに緻密な作業を求められることもあるので、計算が得意できっちりとやり遂げられる人に向いていると言えるでしょう。
また、業務を正確におこなうためには周りの人と適宜連携することも大切です。自分一人で網羅的に把握が難しく判断に迷う場合には自分から相談して柔軟に業務を進められると良いです。
会計事務所の志望動機作成時に重要な3つのポイント
会計事務所への就職を円滑に進めるためには、志望動機を作るための準備が重要です。
志望動機が重要であることは一般の事業会社への就職でも同様ですが、会計事務所の場合は税理士や公認会計士などの特別な資格を持たない人、経済学部や経理系の専門学校を卒業していない人などの未経験者にとってはこの志望動機が熱意を伝えるのに有効です。
志望動機を作成する際に意識すべきポイントについて紹介します。
志望動機全般のコツはこちらでまとめているので参考にしてみてください。
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会計事務所を選んだ理由を盛り込む
会計事務所はそれぞれの特徴をもっています。たとえば「規模の大きな業務にかかわることができる」「英語力を活かすことができる」「顧客に対して経営コーチングをおこなっている」など会計事務所の強みは事務所ごとに異なります。
「どこの会計事務所でもいい」と考えている人よりも「この会計事務所がいい」という方の方が短期で離職する可能性も低いと採用側も考えているため、志望した会計事務所に対する熱意を示すことが大切です。
そのときに「給料がいい」「自宅から通いやすい」などの勤務条件にかかわる部分だけのアピールでは不十分です。会計事業所のHPには業界全体の特長に加えてその会計事務所ならではのアピールポイントも記載してありますので、必ず確認をするようにしましょう。
長所になる性格はこちらで解説しているので当てはまるものがあるか確認してみましょう。
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将来のキャリアプランを述べる
まずは志望する会計事務所へ就職できるかどうかに焦点を当てる学生も多いでしょうが、その一歩先の入社した後のキャリアプランを考えておくことも志望動機を考えるうえで大切なポイントになります。
なぜならば、多くの企業はどのように働いていきたいかというキャリアプランを自分自身で設定し、自走することにできる人材を求めているからです。この特徴は会計事務所にも当てはまります。
将来の目標を設定していること、それを実現するために会計事務所を選んだという説明を加えると志望動機にも厚みが増すことでしょう。また熱意が伝わるだけでなく、会計事務所にとっても自分を採用することのメリットを伝えることができます。
キャリア形成についてはこちらで詳しく解説しています。
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キャリア形成とは仕事の経験やスキルを計画通りに積んでいくことです。このビジョンが明確だと周囲と差別化できますよ。 この記事ではキャリア形成のために必要な力や方法などをキャリアアドバイザーが解説します。 解説動画も参考に、学生のうちから考えを深めておきましょう。
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会計事務所によって専門分野があることを理解している旨を示す
これまで会計事務所の志望動機については次の2点を盛り込むと良いことを説明してきました。
- 会計事務所を選んだ理由
- 将来のキャリアプラン
これらが志望動機の中に含まれるようにした方がいいことはもちろんですが、志望動機の書き方について述べると、志望動機の冒頭部分に「その会計事務所の専門分野についての理解」を書くと良いです。
会計事務所によって専門分野があることを理解している旨を冒頭に書くことのよさは次の2点です。
- 採用担当者の目に止まりやすい
- 会計業界や会計事務所についてきちんと分析していることのアピールができる
一般企業同様、採用担当者は多忙な業務の中で書類選考や面接の対応をおこなっています。できるだけ目に留まりやすい志望動機の冒頭部分にその会計事務所の専門分野についての記述を入れましょう。
会計事務所の志望動機の注意点
会計事務所の志望動機を書く際に注意したい点を2つ説明します。
- 「数字が得意」だけでは不十分
- ネガティブな内容は盛り込まない
会計事務所の業務は多かれ少なかれ業界全体で共通しており、他の事業所との差別化がしづらくなっています。全国に3万事業所もある会計事務所で「どうして他社ではなくうちの事務所で働きたいのか?」と問われたときに明確に答えられるだけの志望動機を用意しておく必要があります。
「数字が得意」だけでは不十分
会計事務所は確かに数字を扱う業務ですが「数字が得意」というだけでは志望動機としては不十分です。なぜならば、数字を扱う業務という観点で言えば会計業界以外にもかかわることができる業界や企業があるからです。
特に学生の場合は採用担当者になぜ会計業界に興味をもったのかを明確に伝える必要があります。また、数字が得意という志望動機では自分本位な考え方で会計事務所を志望しているのではないかというイメージをもたれてしまう可能性もあります。
キャリアアドバイザー
自分の得意な数字を扱う会計という業務を通して、顧客企業へどのような貢献をしたいのかを説明するようにしましょう。
ネガティブな内容は盛り込まない
これは会計事務所を志望する学生に限った話ではありませんがネガティブな考え方が前面に出ないように志望動機を考えるようにしましょう。
ネガティブな思考は決して悪いものではありません。自分の今の状況を冷静に見つめてリスクを常に想定しながら業務を進めることができるという点は、伝え方を変えれば会計事務所での仕事でも生かすことができるでしょう。
しかし、就活の場において採用担当者が求めている人材は自社にとって将来的にメリットを与えてくれる人材です。
マイナスな発言によってネガティブな思考が伝わってしまうことのないように、できるだけ前向きな言葉を選ぶようにしましょう。そうすることで会計事務所のために積極的に貢献したいという姿勢をアピールすることができます。
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今説明したとおり「数字が得意」のように、強みをアピールするだけでは、他の学生と差別化ができず選考落ちになってしまう可能性が高まります。選考落ちにならないためにも、数字が得意なことを「どのように活かしたいか」を具体的に伝えられると内定獲得が近づきますよ。
自分の強みをアピールできたとしても、入社後どのように活躍するのかを伝えられなければ、担当者は採用するメリットを感じなくなってしまいます。また活かし方を考えることで、他の学生との差別化にもつながりますね。
たとえば、「顧客である経営者へのアドバイスだけでなく、業務効率の改善にも自分の強みを活かしたい」などが考えられますね。業界のトレンドでもご紹介したとおり、AI活用が進められているため企業の日常業への貢献もアピールポイントになりますよ。さらに、部活やサークルの経験で「試合の分析で数字を使っていた」などの経験がある方はさらにアピールできますね。
もちろん企業の分析がきちんとできていなければ、どのように活躍するか語ることはできないです。高い志望度をアピールするために、企業分析も手を抜かずに取り組みましょう。
志望動機例文
会計事務所の志望動機の例文を紹介します。会計事務所の多くは人材不足であり、すぐにでも人材を確保したいと考えているところが多いです。
しかし、だからといって誰でも良いというわけではなく、その事務所に合った人材を採用しないと定着しないため、採用するかどうかの判断にはその会計事務所に合っているかどうかという判断基準が加わります。
会計事務所への就職を成功させるためには、なぜその事務所を選んだのかを志望動機で伝えるようにしましょう。例文を参考にして自分なりの強みを加えることで志望動機が考えやすくなることでしょう。
例文①会計の知識を活かしたい
経済学部に所属しているなど、会計の知識がある人はその知識を活かしたいという熱意をアピールできる志望動機にすると良いでしょう。
私は大学時代は経済学部に在学しておりました。また、大学在学中から、簿記の勉強をしていており、現在、日商簿記2級の取得を目指しております。
大学での講義と自身で勉強を通して会計の知識を身に付けており、基本的な会計事務には自信があります。貴事務所においても、実務を通してこれまでに身に付けた知識を活かすことができると考えております。貴事務所においては会計事務を通して顧客のことを第一に考えた業務をおこなえたらと思っております。
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簿記2級に加えて大学でも会計の知識を身に付けているということが明記されているので、採用担当者にどのような知識があるのかがわかりやすく伝えられています。
例文②仕事と資格取得の両立ができる
会計事務所で勤務をしながらスキルアップのために資格を取得したいという人は仕事と資格取得の両立という観点を志望動機に盛り込むと良いです。
貴事務所のHPを拝見しました。HPに記載があった未経験でも基礎からご指導いただけること、仕事と税理士の資格取得の両立をサポートしていただけること、この2点を魅力を感じ志望致しました。
私の強みは、大学在学中に簿記2級を取得し、自発的に学習を進めることができるところです。私のキャリアにおける目標は簿記の資格に加えて公認会計士として顧客の事業に貢献することです。そのために、会計事務所での業務と公認会計士の資格取得の両立ができる貴事務所を志望いたします。
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この志望動機では会計事務所のHPを確認したうえで、自分自身のキャリアの方向性と事業所の一致度をアピールできているのが良いです。
例文③業務に魅力を感じた
会計事務所の業務内容に特徴があり、業務に魅力を感じた場合にはその点を志望動機に盛り込んでみましょう。
貴事務所のHPでは会計事務所として多様な業務にチャレンジすることができるという記載がありました。また、業務を進める際にはデジタル推進化をおこなっており時代の先駆けとなる体制を構築されていると感じました。
これからは業務のIT化が進んでいく中で、ツールを有効に活用してより顧客のニーズに応えられる対応をおこなっていきたいと考えております。
大学時代は学生団体の代表を務め、他学生の悩みに対して解決策を提示してまいりました。そこで培ったコミュニケーション能力を貴事務所においても発揮できると考えております。
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デジタル化が進む会計業界の流れをしっかりと理解したうえで、どのような公認会計士になりたいかを伝えることができていますね。
例文④正確性をアピール
会計事務所の業務は数字を正しく扱いミスなく資料を作成することが求められます。真面目にコツコツと業務をこなすことができるという性格もアピールポイントになりますので、ぜひ志望動機に記載してみましょう。
貴事務所のHPを拝見し、未経験者に対して丁寧に手厚い指導をおこなっている点や資格取得に向けて前向きなサポートをいただける点に魅力を感じて志望いたしました。
私の強みは大学4年生で日商簿記1級を取得したことです。正確性が求められる業務でもミスなくこなすことができると考えております。会計事務所の業務では顧客からの依頼を正しく資料にまとめる必要があると考えております。自分の能力を貴事務所において最大限に活かすことができると考えています。
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正確性を簿記1級という資格でアピールしており、さらに会計事業所のどのような場面で自分の強みを発揮したいかを明記できているのが良いです。
例文⑤顧客企業の経営課題の改善に取組みたい
会計事務所では企業の経営状態を正確に把握することを通して企業の経営課題を見つけ解決策を提示することができます。そのような経営コンサルタントの業務に興味がある場合にはその点を志望動機に盛り込むと良いでしょう。
貴事務所のHPを拝見し、顧客の経営課題の改善に力を入れていることを感じました。私は会計業務を通して顧客のニーズを把握し、経営状況の改善にかかわっていきたいと考えております。
貴事務所でおこなわれている会計業務は質の高さが伺え、これまで適性な会計常務をおこなってきた実績があるため、顧客からも高い評価を得ていることと推察いたします。私は、貴事務所の業務を通して、顧客企業の繁栄を手助けすることができる公認会計士として貢献したいと考えております。
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ただ会計事務に携わるだけでなく、会計業務・税務を通して顧客にどのような価値を提供したいかを伝えることができている点が効果的な志望動機といえるでしょう。
例文⑥持っている資格を活かしたい
大学在学中に資格を取得している人は資格をアピール材料にしても良いでしょう。ただ資格を保有しているだけではなく、その資格を業務でどのように活かしたいのかを明記すると良いです。
貴事務所のHPを拝見し、国際税務などの専門的な税務手続きに携わることができることを魅力に感じました。
私は大学時代から英語を継続的に学んでおり、TOEICのスコアは890点です。貴事務所は顧客のグローバル化を支援しており、他事業所ではかかわることの難しい領域にもチャレンジできると感じました。
私のキャリア目標は中小企業のグローバル化を支援し、英語力を活かしたした国際的な会計税務をおこなえる専門家になることです。そのために貴事務所においてまずはサポート業務を正確にこなし、いずれは英語力を活かした難易度の高い業務に取り組みたいと考えています。
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自分の持っている資格を志望する事業所の特徴に合わせて述べることができているので、採用担当者に将来活躍してくれるイメージを抱いてもらえるでしょう。
志望動機NG例
ここまで会計事務所の採用担当者に効果的にアピールできる志望動機を紹介してきました。一方で相手にマイナスなイメージを与えてしまう可能性のある志望動機もあります。具体的には次の2点のような志望動機は避けた方が良いでしょう。
- 受け身である
- 説得力がない
避けたい例とともに、このように書くと前向きな印象につながるというポイントも紹介しますので参考にしてください。
NG例文①受け身である
御社の求人情報を拝見し、未経験でもていねいな研修をしていただけるという内容があったため、志望いたしました。研修に参加することでいち早く知識を身に付けられるように努めていきます。
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このような志望動機は一見すると謙虚で好感度が高いイメージがあるかもしれません。しかし、社会人になった後は学生とは異なり、自分から進んで知識を身に付けるための行動を起こす必要があるのです。もっと自分から積極的に仕事を覚えようとする意欲を伝えられるような一文を加えましょう。
NG例文②説得力がない
貴事務所は私に向いていると考えており志望しました。私は大学生の頃から会計の勉強をしており、知識には自信があります。私はよく周りの人から真面目だね。と言われます。
そのため業務でのミスは少ないと思いますし、成果も出せると思っています。貴事務所は新人の育成に力をいれていると聞きましたので、魅力に思い志望しました。
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こちらは「会計の知識があること」と「真面目であること」をアピールポイントに挙げていますが、どちらも具体的な内容がないため、根拠が曖昧な印象になっています。また、応募する会計事務所の特徴も記載がないため、なぜその事業所を志望しているのかが分かりません。具体事例を入れて説得力を増すようにすると良いでしょう。
必要な資格を取得して会計事務所の志望動機を完成させよう!
この記事では、会計事務所の現状や種類、志望動機の例文などを解説しました。会計事務所の志望動機では、応募する事務所の特徴を把握したうえで自分のキャリアプランや強みとの共通部分を伝えることが大切です。
また、簿記や英語などの学習をおこない資格を取得するのも効果的です。志望動機を作成したら、自分の熱意や採用するメリットが採用担当者にアピールできそうかを見直し、説得力のある志望動機を作成しましょう。
キャリアアドバイザーコメント吉川 智也プロフィールをみる
会計事務所の現状・トレンドを知って、業界に対するマイナスなイメージを感じた人もいるかもしれませんね。
ですが、将来的に会計事務所は今よりも貢献性の高い仕事になりますよ。特に経営者の役に立ちたいと感じている就活生にとっては、おすすめの就職先です。
今までは税理士・公認会計士以外でもできる仕事が多く、本来従事するべき経営者へのアドバイス以外のことに多くの時間が取られていました。事務処理であっても取り扱っている内容が会計のため、慎重に対応することも求められています。
AI技術の発展は逆に税理士の本業に注力するのにも役立つ
今紹介したようにAI技術の発展により、税理士・公認会計士ではなくてもできる仕事はコンピューターがより早く・より正確に処理する時代になりつつあります。すると税理士の本業務であれ経営者とかかわる時間により多くの時間を割くことができますよね。
税理士を本当に必要としている人に対して時間を割けるようになるため、経営者に向けてより高い価値貢献ができるようになるとも言えますね。また、こういった知識は将来的に自分が経営者になったときにも役立つかもしれませんよ。