目次
- デジタル時代に製紙業界はどうなるの?
- 製紙業界ってどんな業界?
- 製紙業界の企業の種類
- パルプ・紙系
- 加工(厚紙)系
- 総合系
- 受ける前に知っておきたい製紙業界の現状
- 製紙業界の市場規模
- 環境への取り組み・カーボンニュートラルについて
- 製紙業界の業務内容と職種は?
- 職種①研究開発
- 職種②製造
- 職種③営業
- 職種④事務
- 製紙業界で求められる人材とは
- 開拓精神がある
- 語学力がある
- 就活時に必要な学歴・資格はある?
- 技術系では理系が有利
- 語学系の資格があるとアピール材料になる
- 製紙業界の志望動機で盛り込むべき要素
- 製紙業界を選んだ理由
- 技術系は大学の研究テーマとのマッチ度
- 企業が力を入れている分野への興味
- 製紙業界の志望動機回答例
- 研究開発
- 製造
- 営業
- 事務
- 就活を成功させるために製紙業界のことをよく知ろう
デジタル時代に製紙業界はどうなるの?
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。就活生から
「就職で製紙業界も視野に考えているけれど、デジタル時代に将来性はどうなの?」
「製紙業界に就職するための、志望動機の書き方のポイントを知りたい」
という疑問が寄せられています。
デジタル媒体が増え新聞や雑誌などの紙媒体が減少し、オフィスでの紙の使用も減る中、製紙業界の現在の動向は気になるところです。しかし一方で、製紙業界の中でも売り上げが安定している分野があると言います。
この記事では、製紙業界の現状や動向、主な職種、志望動機の書き方などを見ていきます。
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製紙業界ってどんな業界?
製紙業界は「紙・パルプ業界」とも言われ、紙の原材料であるパルプや古紙を使った製品を研究、製造、販売している業界です。コピー用紙や新聞紙、ラッピング用の紙などのほか、段ボールや板紙、ティッシュ、トイレットペーパーなど、紙を使ったありとあらゆる製品を扱っています。
学生のみなさんにとっても、必ず「使ったことがある!」「愛用している」という製品が多くあることでしょう。紙おむつなども製紙業界が製造しているんですよ。
また、製紙だけにとどまらず最近は、自然の原在料を使った地球にやさしい素材の開発や、森林を守る活動をおこなっている企業も多くあります。
製紙業界の企業の種類
就活生
キャリアアドバイザー
そうですね。落ち着いて周りを見てみると、紙で作られているものがとても多くあると気づきます。ちなみに、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどは衛生用紙などとも呼ばれています。
製紙業界の中でも企業ごとに得意分野があり、ひとつの企業がすべてを扱っているわけではありません。ここからは大まかに製紙業界の企業を、パルプ・紙(家庭用紙)系、加工(厚紙)系、そしてその両方を扱っている総合系に分類して解説していきます。
パルプ・紙系
私たちが思い浮かべる一般的な「紙」や、暮らしの中で欠かせない紙製品を製造しています。たとえば、トイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの衛生用紙やキッチンペーパーなどの家庭用紙、紙おむつなどです。
また、新聞用紙、出版用紙などの文化を支える紙や、オフィスでも個人でも使用するコピー用紙、はがき、封筒などの情報用紙、包装用紙、色画用紙なども扱っている企業もあります。
キャリアアドバイザー
主な企業には王子ネピアや大王製紙、日本製紙クレシア、大分製紙などがあります。
加工(厚紙)系
加工紙とは用途に合わせて耐水性、柔軟性、接着性、耐油性などを紙に加えたものを指します。また厚紙は板紙とも呼ばれ、厚みがあることから、補強などにも使用されます。
加工紙、厚紙を専門に扱う企業もあり、段ボール製品、板紙製品、フィルム包装、セロファン、パラフィン紙、印画紙、カーボン紙、銀紙などを製造しています。ほかにも、製品を包んでいるパッケージや紙製の器、ペットボトルのラベルなど、いずれも現代の生活に欠かせないものばかりです。
段ボールについては原紙のみ製造販売することもあれば、組み立てられるように加工した状態で顧客に提供している場合もあります。耐火性の高いものや、表面をデザイン加工したもの、開封が簡単にできるように工夫したものなど、段ボールひとつとっても幅広い製品があります。
キャリアアドバイザー
代表的な企業としては王子マテリア、トーモク、レンゴーなどが挙げられます。
総合系
生活用紙、板紙、ろ紙、抗菌紙、段ボール、加工紙など、パルプを原料にした幅広い製品を製造をしているのが総合系です。
製紙業界は環境保全に力を注ぐ企業が多くありますが、とくに規模が大きい総合系の企業は、木質バイオマスなどを使用したエネルギ―事業などに力を入れているところもあります。
キャリアアドバイザー
王子ホールディングスや日本製紙、大王製紙など、東証一部などに上場している大手企業の多くが挙げられます。
受ける前に知っておきたい製紙業界の現状
製紙業界について考えると気になるのが、企業などのペーパーレス化に伴う紙使用量の減少です。企業で作成・保存をおこなう書類の多くがデジタルでおこなわれるようになり、契約書の多くも現在、電子化が可能となっています。さらに、リモートワークが進んだことにより、業務のやり取りはほぼインターネットを介したものとなり、オフィスで紙を使うことが減りました。
また、一般家庭でも情報の多くをデジタル媒体で入手するようになり、新聞や雑誌離れも進んでいると言います。
紙の使用量が減れば当然、製紙業界に影響があると考えられます。そこで、製紙業界の市場規模や、需要、現状や将来性などについてデータを基に見ていきましょう。
製紙業界の市場規模
三井住友銀行の「紙・パルプ産業の動向と今後の方向性」(2020年10月)によると、2019年度の紙の国内出荷量は1,220万トン、板紙は1,120万トンとなっています。
内需の推移は右肩下がりとなり2009年から2019年にかけて年平均成長率は-2.3%であり、新型コロナウイルスまん延の影響を受けた2020年以降はさらに下がっているともいいます。
製紙業界の内需が減っている原因に挙げられるのが、デジタル化です。
総務省情報通信政策研究所「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 内のデータによると、2020年における全年代での平日の平均利用時間は新聞閲読が8.5分に対してネット利用時間は168.4分と圧倒的に、新聞を読むよりもネットをしている時間が長いことが分かります。紙媒体としての新聞や雑誌の部数が減ることで、使用してきた紙の需要が大きく下がっています。
日本人の紙・板紙消費量
紙の使用量は下がってはいるものの、私たちは多くの紙製品を使用しています。
日本製紙連合会のデータで紙の個人消費を見てみると、日本の紙・板紙消費量は2019年の時点で1人につき平均202.7㎏となります。世界的に見るとベルギー、スロベニア、ドイツ、オーストリア、アメリカについで6位ですが、世界平均54.6㎏を上回っています。極端に多いわけではありませんが、比較的、日本では紙を使用しているようです。
紙の種類別に国内需要を見てみると以下の表の通りとなっています。段ボールの需要がとても高いことが分かります。ネットショッピングの一般化もあり、段ボールの需要は今後も高くありそうです。
紙媒体が衰退している一方、生活用紙の需要は安定
現在、雑誌や新聞などの紙媒体の生産量は落ち込んでいますが、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどに使用される衛生用紙の需要は安定し、新型コロナウイルスまん延のなかであっても、生産量を増やしています。衛生用紙は暮らしに欠かせないものであり、今後も安定して需要があると考えられます。
国内の種類別生産量を見ていくと以下の通りですが、日本製紙連合会のデータでは段ボールと衛生用紙だけが売上を伸ばしていることが分かります。
環境への取り組み・カーボンニュートラルについて
現在、製紙業界においても「カーボンニュートラル」が重要なキーワードとなっています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均等にするという意味で、政府は2050年までに実現を目指しています。
天然素材であるパルプを使用する製紙業界でも環境への取り組みは続けられ、日本製紙連合会の資料「カーボンニュートラルに向けた取組について」でも化石エネルギー由来のCO2削減が順調に推移されていることが報告されています。また、2050年に向けた生産活動でのCO2排出実質ゼロなどの目標が立てられています。
企業でもさまざまな環境問題への取り組みをおこなっているので、面接などの前にしっかりと調べておくようにしましょう。
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製紙業界で取り扱っている商品はどれも私たちの生活に欠かすことができず、市場規模は衰退しているものの安定的な需要があるとも言えます。さらに企業によっては海外進出も果たしており、国内に止まらない需要獲得を行なっていますよ。たとえば、日本で売り上げ上位を誇る王子製紙は国内展開だけでなく、中国やニュージーランドにも進出しています。
このように今までにはなかった新しいビジネスにかかわるチャンスがある業界とも考えられますね。
加工紙(厚紙)系は特に伸びる可能性が高い
コロナウイルスの流行によってオンラインショッピングの需要が増加しましたよね。実は、このショッピングの約半数は食料品と言われています。便利なサービスで継続利用が考えられるので、配送に使う段ボールはこれからも一定のニーズがありますね。
さらに今までプラスチックを利用していたものが、環境への取り組みで紙製品に代替され、特に加工紙系は需要が高まることも考えられます。スターバックスがプラスチックのストローを廃止し、紙ストローにしたことがその一例ですね。このような取り組みが活発になることを考えると、これからも製紙業界の成長が期待できますよ。
製紙業界の業務内容と職種は?
紙の原材料を研究し、紙製品を加工し販売する製紙業界では研究所、本社、工場などでさまざまな職種の人が働いています。ここでは代表的な以下の4職種について紹介します。
- 研究開発
- 製造
- 営業
- 事務
職種①研究開発
製品開発の要となる職種です。素材の開発から実用化に向けた研究、営業やマーケティングと連携を図りながら製品の開発、改良などをおこないます。
製紙業界ではペーパーレスの時代に入っている影響もあり、従来の紙だけではなく新素材、新製品の開発を熱心におこなっています。そのため、研究開発を担当する社員の役割はより重要になっています。
森林の資源を活用した、地球環境に配慮した新たな素材研究などもおこなわれています。植林において、より生産性を上げたり、環境への配慮をしたりするための研究開発も盛んにおこなわれています。
研究職を目指す学生はこちらの記事を読んでおきましょう。
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職種②製造
工場の設備の設計改善をするプラントエンジニアリング、工場における製造工程などを担当する人もいます。エンジニアとして設備技術にかかわるほか、生産職として生産技術や設備設計、品質保証、情報システムにわる社内SEなどの業務もあります。
会社によってはトイレットペーパー、紙おむつなど幅広い製品を扱っていることから工場の規模も大きく、最先端の技術に囲まれての作業が可能です。グローバル展開している企業の場合には海外に赴任する可能性もあることは覚えておきましょう。
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職種③営業
工場で製造された製品を卸売りへと紹介し、仕入れてもらえるような営業をおこないます。提案力やコミュニケーション力がもとめられる職種です。
製紙業界の場合は新規の営業というのは少なく、ルート営業が中心になるともいいます。各社ともある程度歴史があるため、それぞれのシェアがある程度固定化されているというのが理由です。新製品の紹介をしながら価格の交渉などをします。
また、提案営業も多くなっています。顧客の要望を聞き、オリジナルの紙製品を提案していきます。そのため、アイデア力やプレゼン力も必要とされます。
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職種④事務
他の業種同様に人事、総務、経理財務などをおこなうバックヤードの職種です。
製紙業界の事務としては、総務、経理、人事などのほか、営業事務や工場事務もあります。営業事務は営業担当者のサポートをするのが主な仕事で、経費の精算や書類の作成などのほか、顧客からの注文を受ける仕事も担当します。
工場事務は、生産の際のコストの計算や予算作成などもおこないます。工場内の経営状態を管理するとともに、備品や製品の残量なども的確に把握します。
製紙業界では事務の他、秘書、企画、広報などの部署があり、本社や、研究所、工場、営業職を支えています。
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製紙業界で求められる人材とは
就活生
製紙業界ではどんな人材がもとめられているんですか?
キャリアアドバイザー
製紙業界は歴史ある企業が多い一方、バイオマス事業など時代に合わせた新たな事業に挑戦している企業が多いという特徴があります。そのため、多様な人材をもとめているところが多いようです。
志望動機を書くにあたっても、製紙業界でもとめられる人材がわからなければ人事に刺さるアピールは難しいでしょう。ここでは製紙業界でもとめられる人材について解説します。
開拓精神がある
今、製紙業界では開拓精神がある人材をもとめる企業が多いと言われています。
デジタル化社会のなかで製紙業界も変化が必要となり、多くの企業が環境問題に取り組んだり、新素材の製品を研究したりするなど、新たな分野への開拓が進んでいます。
また、新型コロナウイルスまん延の中では衛生用紙の需要が高く、マスクなどももとめられるほか、ネット通販の需要に合わせて段ボールの製造量が増えるなど、社会の動きに柔軟に対応することも必要となっています。
そのため、社員も受け身タイプ、指示待ちタイプよりも、自ら考えて行動しチャレンジする人材がもとめられやすい傾向があります。学校での授業やサークル、部活、アルバイト、ボランティアなど、積極的にチャレンジした経験もアピールポイントになりそうです。
語学力がある
製紙業界への就職では、海外から資材の調達、現地工場の運営、輸出を活発におこなっている企業も多く、とくに海外拠点が多い場合は、語学力があると言う点が就活に有利になる可能性があります。なかには、研修やeラーニングなどで語学支援制度を設けている企業もあります。
帰国子女レベルや留学経験者レベルではなくても、TOEICなどを受検しておいたり、現在英語を勉強したりしていることを、アピールしましょう。
もちろん、語学力以外にも、開発や製造部門では理系の知識がある人がめられ、営業や事務系の部門ではコミュニケーション力などがある人が採用されやすくなっています。
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キャリアアドバイザーコメント柴崎 拓也プロフィールをみる
特に大手企業は社宅や家賃補助などの福利厚生が充実しており、平均年収が高水準のため毎年多くの学生が製紙業界を志望しています。また採用人数も多くなく、大手の日本製紙でも50名程度の採用人数です。限られた採用人数に対して多くの学生がエントリーするため、就活対策が選考結果を左右するとも言えますね。
素材としての「紙」に好奇心が高い学生ももとめられる
「開拓精神がある」でも説明したとおり製紙業界は変化や新しいチャレンジがもとめられています。新しい紙商品やサービスを考えることがめられますが、大切なのは企画力よりも前に紙に対して好奇心があるかどうかです。「紙製品をもっと世の中に広めたい・使って欲しい」という思いがあってはじめてアイディアが浮かんできます。
業界の特徴を知ることも大切ですが、製紙業界に興味を持ったきっかけや想いをエントリーシートや面接で伝えることも大切ですね
就活時に必要な学歴・資格はある?
就活生
製紙業界に就職するために有利な学歴や資格ってあるんですか?私は文系ですが、なんとなく製造業って理系のほうが有利なイメージがあります。
キャリアアドバイザー
製造業界といってもいろんな職種があるので一概には言えません。幅広い人材がめられているようですよ。
就活生
資格などもとっておいたほうがいいのでしょうか
製紙業界を目指すにあたって、必須の資格はありませんが持っていることで仕事への熱意をアピールできる資格はあります。ではここからは就活時に必要な学歴やあると強みになる資格について見ていきましょう。
技術系では理系が有利
製紙業界の技術系部署に採用されるのは以下のような学部の出身者が多いようです。
- 機械、工学系
- 電気、電子系
- 化学系
- 農学系
- 生物・生命科学系
また、研究開発職で採用されるのは、大学院の修士以上が中心となっています。
一方、文系出身者でも活躍している職種が製紙業界には多くあります。営業、事務など幅広い職種があるところから、文系でもチャンスは十分にあります。
とくに営業は募集人数も多く就職しやすい状況です。自分の強みや製品への愛着などをアピールするとよいでしょう。
語学系の資格があるとアピール材料になる
製紙業界でも日本の市場が頭打ちであることから海外進出をする企業は多くあります。企業研究をしたうえで海外に拠点がある企業や輸出を積極的におこなっている企業であれば、語学力をアピールするとよいでしょう。
語学力を示すためには以下の資格を取得するのがおすすめです。
- 英検2級以上
- TOEIC600点以上
- TOEFL70点以上
- IELTSスコア5.0以上
ほか、中国語など海外拠点で使用できる言語が得意なこともアピール材料になります。語学習得に熱心で、海外留学経験などがある人は国際的な情報にも長け、広い視点を持って業務にあたれるという印象を与えることもできます。
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製紙業界の志望動機で盛り込むべき要素
就活生
製紙業界に入るための志望動機ですが、ほかの業界と比べたときに注意する点はあるのでしょうか。
キャリアアドバイザー
志望動機の書き方は大きな違いはありませんが、製紙業界の特性や業界の動向を見ながら考慮すべき点はありますね。
ここからは製紙業界への就活用履歴書またはエントリーシート(ES)に志望動機を書く際のポイントについて解説します。
製紙業界を選んだ理由
年ごとに状況は異なりますが、製紙業界では企業ごとの募集人数は決して多くなく、名前がよく知られる企業になると、倍率も非常に高くなっています。選考に受かるにはしっかりとした準備が必要です。あらかじめ業界研究や企業研究を念入りにおこなってから受けるようにしましょう。
上述のようにデジタル化で紙の消費が減っている中で「なぜ製紙業界に入りたいのか」「なぜその企業を選んだのか」などを考えた上で、自分がどのように貢献できるのかを考えてみてください。
製紙業界の企業は、それぞれ扱っている製品が異なっているため、なぜその製品について自分も扱いたいと思っているのかについても、明確に伝えられるとよいでしょう。
技術系は大学の研究テーマとのマッチ度
研究職や技術職の場合は、大学で何を学び、それをどう入社後に生かせるかという点も重視されます。研究テーマが、企業がもとめるものと合っていれば、より評価は高くなります。
気を付けなくてはいけない点は、専門家ではない人事担当者にも伝わるように文章を整理することです。つい知識ばかりを書いて、読みづらい文章になってしまう人がいます。入社後も研究職、技術職ではない人に業務内容や業務の成果を説明する必要があるため、研究内容を人に分かりやすく発信できる人の方が採用に近くなります。
企業が力を入れている分野への興味
上でも解説しましたが、製紙業界と一口にいっても、家庭用紙を主に扱っている企業や、板紙に強みを発揮している会社もあります。それぞれどんな製品を扱っているのか十分に知ってから志望動機を書くようにしましょう。板紙中心の会社に対して、家庭用紙への興味を盛り込んでしまうと、それだけで企業研究ができていないと分かってしまいます。
また、製紙業界ではカーボンニュートラルや森林保護、電気エネルギーへの参入など大手になるほど、さまざまな事業に取り組んでいます。従来の製紙業界にとらわれず、新しい事業についても興味を持っているとアピールするのもおすすめです。
キャリアアドバイザーコメント根岸 佑莉子プロフィールをみる
製紙業界を選んだ理由に加えて、入社した後にどのように活躍したいかや貢献をしたいかについて履歴書・エントリーシートへ書くと志望度の高さがアピールできますよ。入社後の活躍を書くためには、エントリー企業の特徴やどのような仕事があるのか理解しておく必要がありますよね。つまり、企業について徹底的にリサーチしていることのアピールにつながるので実践してみましょう。
面接で自分の経験を具体的に伝えられる学生は高評価が得られやすい
製紙業界に限らず自己PRやガクチカ、志望動機は具体的なエピソードを交えて説明することがもとめられます。特に製紙業界では採用人数も少ないため、製紙業界ならではの入社意欲や今までの経験をより具体的に伝えなければ、入社後に活躍するイメージで周りの学生と差がつかなくなってしまうのです。そのため、実際に起きたことを説明するレベルまで具体化したり数字を使ったりして自己分析をしておくことが大切ですね。
この後に紹介する回答例を読み込んで、面接官へ入社後の活躍イメージが伝わるようにしましょう。
製紙業界の志望動機回答例
ここからは製紙業界に就職したい人向けの志望動機の回答例を紹介します。志望動機の構成は「結果(なぜ志望したのか)」「志望動機を裏付けるエピソード」「入社後に何をしたいのか」という構成が書きやすいですね。
そしてその中で、なぜ製紙業界に入りたいと思ったのかを盛り込むとよいでしょう。また、製紙業界の企業が扱っている製品には、私たちの暮らしのなかでとても身近なものが多くあります。製品への愛着などを伝えるのもおすすめです。
研究開発
新たな素材、製品の開発を多数おこなっている貴社で、私自身も新しいモノを生み出したいと志望しました。
大学でバイオマスの研究をおこなっております。研究では成功に至らず失敗も数々ありましたが、そこで諦めずに研究を続ける粘り強さも培うことができました。貴社は森林資源の総合利用から、植林、森林エネルギーの有効活用など、総合的にバイオマス事業をおこなっていると伺い、ぜひ今までの研究を生かしながら、貴重な資源の活用について私も貢献したいと思っています。
キャリアアドバイザー
研究の詳しい内容は添付する研究概要書に記載する人が多いと思いますが、志望動機でも研究の内容を書いて問題ありません。大学で学んだことや研究をどう仕事に活かしたいと思っているのかを伝えましょう。また、研究を通じて培った自分の強みを盛り込んでもいいと思います。
製造
暮らしの中の身近なものを製造することで、多くの人の役に立ちたいと志望しました。
私は貴社の製品を愛用し、とくにティッシュは欠かすことはできません。肌触りがとてもよく、花粉症で日に何度もティッシュを使う私には、ありがたい存在となっています。また、個人的に大きく興味を持っているのが成人用紙おむつです。多くの人が不自由や不快感を持つことなく過ごしてもらえる製品であり、社会的にとても意味がある事業だと感じています。
私は現在電気工学科で主に電子回路について学んでいますが、もともとモノづくりが好きで多くの人に使ってもらえるモノを作りたいと思っていました。ぜひ、貴社の一員としてモノづくりをしていけたらと考えています。
キャリアアドバイザー
製品への愛着を伝えながら、製造担当者として何がしていきたいかを明確に伝えているのがいいですね。
営業
〇〇という新しい素材を開発するなど、常に挑戦を続ける貴社で、私も多くのお客様の発展のためにチャレンジし続けたいと志望しました。学生時代は自転車部に所属し、苦しいときも常に前へ前へと進むことの大切さ、ゴールしたときの心地よさを感じていました。仕事においても上司や先輩方にご指導いただきながら、常に前を向いてチャレンジしていきたいと思っています。また、大学時代には短期でしたが1カ月の留学経験がありTOEICでも650点を獲得するなど、語学についても磨いてきました。東南アジアに海外拠点を持ち、東アジア地区では現地で商品展開もしている貴社で、グローバルな活躍ができればと考えています。
キャリアアドバイザー
前向きな開拓精神があるという点と、語学の勉強をしているという点でポイントが高いと考えられます。学生時代のエピソードもしっかりと盛り込めています。
事務
貴社の『一人ひとりの暮らしをやさしく支える』という企業理念に共感し志望しました。私の実家にはティッシュやトイレットペーパーなど貴社の製品が数多くあり、ひとり暮らしとなった今も愛用しています。幼い頃は私が顔や手を汚すたびに、母が貴社のティッシュで拭いてくれ、今も使うたびに母のぬくもりを思い出します。
大学では学友会で会計事務を担当し、細かい作業が自分にあっていると感じたことから、事務職に就きたいと考えるようになりました。
多くの方に愛される製品を生み出す貴社で働くみなさんを、事務職としてサポートしていければと考えています。
キャリアアドバイザー
企業理念と製品を使った感想を取り合わせることで、志望動機を分かりやすく伝えています。事務職に就きたいと考えた理由もはっきりと分かる点もよいと思います。
製紙業界以外の業界でもメーカーを目指したい方はこちらも参考にしてください。
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就活を成功させるために製紙業界のことをよく知ろう
デジタル社会で紙離れが進んでいると言いますが、衛生用紙や段ボール、ラッピング用の用紙、紙おむつなど、紙は私たちが思っている以上にいろんなところに使われています。そのため、製紙業界の役割は今後も引き続きあると考えられます。
扱っている製品が幅広い業界だけに、企業研究をしてどんな事業をおこなっているか理解した上で、志望動機を作成してみてください。
一般的な紙から、紙おむつまで製紙業界って幅広い製品を扱っているんですね。