目次
- 百貨店業界は常に進化し続ける業界!
- 百貨店業界の仕組み
- 百貨店業界は小売業界の中に位置づけられる
- 百貨店業界のビジネスモデル
- 百貨店業界の種類
- 都市型
- 鉄道型
- 地域型
- 百貨店業界の現状と課題
- 新型コロナウイルスの拡大による臨時休業や時短営業
- 専門化戦略やハイブリッド戦略など新たな戦略
- デジタル化の加速により顧客の実店舗離れが加速
- 百貨店業界の将来性
- 脱店舗型を狙ったEC事業の強化
- 外部の業者との協業
- コンシェルジュ設置などによる店舗の差別化
- 百貨店業界の職種と仕事内容
- 販売
- 営業
- 販売企画
- バイヤー
- 百貨店業界の魅力
- 顧客と直接かかわることができる
- アイデアや企画を提案できる
- 百貨店業界に向いている人の特徴
- いろいろなことに興味を持って取り組める人
- トレンドに敏感な人
- ルールを守れる人
- 百貨店業界の代表的な企業
- 三越伊勢丹HD
- 高島屋
- セブン&アイ・HD
- J.フロントリテイリング
- エイチ・ツー・オーリテイリング
- 丸井グループ
- 百貨店業界の選考で差をつけるポイント
- 百貨店ごとの特色を理解しておく
- トレンドを把握しておく
- 百貨店のアルバイトやインターンに参加する
- 志望動機を作る時のポイント
- なぜ百貨店業界か・その企業かを明確にする
- 自分がどう貢献できるのかを伝える
- その企業で成し遂げたいことを明確にする
- 百貨店業界の志望動機例文
- 接客経験を活かして働きたい場合
- 地域密着型の百貨店で働きたい場合
- 店舗作りに携わりたい場合
- 業界研究をしっかりとおこなってライバルに差をつけよう!
百貨店業界は常に進化し続ける業界!
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。学生からよく
「百貨店業界に興味があるけれど、将来性が気になります」
「百貨店業界に就職するためには、どんな選考対策をすると良いですか?」
といった質問を受けます。百貨店業界は、学生に人気のある小売業界に属する業界です。コロナ流行やデジタル化といった世の中の動きに影響を受け、常に進化を続けている業界ということができます。そのような百貨店業界を志望するならば、まずはしっかりと業界について知る必要があるでしょう。
この記事では、百貨店業界の仕組みや将来性、仕事内容などについて詳しく解説したうえで、選考を有利に進めていくためのポイントを紹介していきます。業界研究を深めて、ライバルに差をつけてくださいね。
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百貨店業界の仕組み
百貨店という言葉になじみがある人は多いですが、具体的にどのような店舗のことを意味していて、どのようなビジネスをおこなっているのかについてはあまり知らないという人も多いでしょう。
これから紹介する百貨店業界の仕組みを参考にして、理解を深めていきましょう。
百貨店業界は小売業界の中に位置づけられる
百貨店業界は、小売業界の中に位置づけられる業界です。小売業界には百貨店のほかに、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストア、専門店などが含まれます。その中でも百貨店は、衣料・食品・生活用品といった幅広い商品を販売する大規模なものといえるでしょう。
デパートとも呼ばれる百貨店は、経済産業省の商業統計調査の業態分類表おいては、衣食住のジャンル別の販売額が全体の販売額の10〜70%であり、従業員数は50人以上である店舗とされています。多様な商品を取りそろえているだけでなく、バランス良く販売する必要があるということですね。
小売業界についてはこちらで詳しく解説しています。
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百貨店業界のビジネスモデル
一般的に百貨店は、メーカーで生産された商品を、卸売業者を通して仕入れます。そして百貨店が顧客に販売するという流れとなります。
百貨店
百貨店は、卸売業者から仕入れた商品を顧客に販売します。
これまで百貨店では、対面での商品の販売が一般的でした。百貨店を顧客が訪れ、商品を手に取りながら購入していくというものです。もちろんこの形態は現在も存在しますが、近年ではEC店舗での商品販売をする百貨店が増えています。
今後は実店舗での対面販売が減少し、EC店舗での販売が増加することが予想されています。動向をしっかりとチェックするようにしましょう。
メーカー
メーカーは、百貨店で販売できる魅力的な商品を生産し、卸売業者へ販売します。
いわゆるブランド物の衣料品などの場合は、そのブランドがターゲットとする顧客層に合い、トレンドにもマッチした商品を作り出さなければなりません。このように世の中のニーズに合うように生産された商品を、卸売業者が購入していくことになります。
メーカーの中には、百貨店と提携してプライベートブランド商品を生産する企業もあります。この場合は卸売業者を通さず、百貨店が直接仕入れをおこなうこともあります。
卸売業者
百貨店が卸売業者から商品を仕入れるとき、「買取仕入れ」「委託仕入れ」「売上仕入れ」の3つの形態があります。
買取仕入れでは、商品を百貨店が買い取るので、もしも売れ残ってしまった場合は百貨店自身が在庫を抱えることとなります。一方、委託仕入れの場合は、仕入れた商品の売れ残りを卸売業者に返却することができます。そして売上仕入れでは、百貨店で売れた商品だけの仕入れ代金が卸売業者に支払われます。
百貨店の粗利から考えると、買取仕入れが最も粗利率が高くなります。一方で在庫を抱えるリスクも高まるため、百貨店は戦略を立てながら仕入れをおこなっているのです。
百貨店業界の種類
百貨店業界には大きく3つの種類がありますが、それぞれの種類について特徴を紹介していきます。どのような百貨店で働きたいか考えながら読んでみてくださいね。
都市型
都市型の百貨店には、呉服店がもととなっているものが多くあります。たとえば三越や伊勢丹、高島屋といった百貨店が有名です。
日本で初めての百貨店は三越であると言われています。ヨーロッパやアメリカのデパートメントストアを真似て、衣料品を中心に商品を陳列して販売するという形が取り入れられました。都市型の百貨店の数は増え、コロナ禍以前は訪日外国人のインバウンド需要に支えられて売上は好調でした。
鉄道型
都市型の百貨店に続いて現れたのが、鉄道型の百貨店です。東急、阪急などの百貨店が挙げられます。鉄道型の百貨店は、鉄道の主要な駅に直結・近接する形で建てられています。駅にある百貨店に行くという目的を作ることで、鉄道の需要を高めるという狙いがあります。
都市型の百貨店と提携して主要な駅に百貨店を設ける場合もあるため、厳密に都市型と鉄道型を分けることはできません。
鉄道業界についてはこちらで詳しく解説しています。
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地域型
地域型の百貨店は文字通り、地方で経営される百貨店です。
まず、都市型の百貨店が郊外の住宅地に出店するという場合があります。また、地方の鉄道会社が運営する鉄道型の百貨店も、地域型の百貨店と考えることができるでしょう。ほかに、都市や駅にアクセスできない顧客のために、地域密着型の百貨店を経営する企業もあります。
地方では大型ショッピングセンターが増加したことにより、苦境に立たされる地域型の百貨店が増えています。それぞれの百貨店の戦略を知っておく必要があるでしょう。
百貨店業界の現状と課題
就活生
コロナ流行の影響で、百貨店の売上が落ちていると聞きました。百貨店業界の現状を詳しく知りたいです。
キャリア
アドバイザー
確かに、コロナ禍は百貨店業界にとっては大きな逆風といえるでしょう。現在の百貨店業界が抱える課題を知り、それに対してどのような取り組みをしているのか理解することが大切です。
コロナ流行以外にも、百貨店業界の動向には注目すべきことがいくつかあります。これから紹介していくので、参考にしてくださいね。
新型コロナウイルスの拡大による臨時休業や時短営業
百貨店は、新型コロナウイルス感染症の流行を予防するために臨時休業や時短営業をせざるを得なくなりました。営業時間が減ったうえに、外出自粛の影響で顧客数も下がったことで売上は大きく減少しました。
巣ごもり需要が高まったことも、百貨店にとっては打撃となりました。主力である衣料品や化粧品といった商品のニーズが低下し、これも売上の減少につながったということです。
支えられてきたインバウンド需要が激減
これまで百貨店の売上を支えてきたインバウンド需要も、外国人観光客の入国制限によって激減しました。
特に都市型、鉄道型の百貨店はインバウンド需要に支えられてきました。アフターコロナの世界で訪日外国人が増加した際に、売上を復活させることができるのかについても注目ですね。
専門化戦略やハイブリッド戦略など新たな戦略
百貨店業界では、新たな戦略を取ることで活路を見出そうとする店舗があります。
たとえば専門化戦略として、ターゲットとする顧客層や取り扱う商品のジャンルを絞り込むことで、特定のニーズに応えようとするものが挙げられます。伊勢丹メンズ館が好例ですね。
百貨店とショッピングセンターの両方の機能をあわせ持つ、ハイブリッド戦略を取る店舗もあります。百貨店の一部のスペースをショッピングセンターに貸す方法や、ハイブリッド店舗として新たに出店する方法が取られています。
デジタル化の加速により顧客の実店舗離れが加速
百貨店の抱える課題として、デジタル化が加速したことにより顧客の実店舗離れが進んでいることがあります。
Amazonや楽天市場といったネットショッピングサイトが普及し、実店舗を訪れずに買いものをする人が増加しています。この動きは新型コロナウイルス感染症による外出自粛にも後押しされて加速しており、百貨店業界は苦戦を強いられています。
また百貨店業界でもECサイトを設ける企業が出てきています。企業それぞれの動向をチェックしておきましょう。
百貨店業界の将来性
百貨店業界の現状と課題についてわかってくると、気になるのはこれからの動向、将来性ですよね。
インバウンド需要により業績は回復傾向ではあるものの、デジタル化の波が激しく、依然として苦しい戦いを余儀なくされている百貨店業界ですが、一方でさまざまな戦略を立てて課題を克服しようとしています。具体的にどのようなものがあるのか、しっかりと理解していきましょう。
脱店舗型を狙ったEC事業の強化
1つの戦略として、脱店舗型を狙い、EC事業の強化をおこなうということが挙げられます。
すでにECサイトの運営に取り組んでいる百貨店としては、マルイが有名でしょう。マルイのECサイトでは、ただネットショッピングができるだけではなく、店舗に商品を取り置きしておいて試着することも可能です。EC事業の強化によって、実店舗離れも同時に防ごうとする取り組みですね。
ほかにも、アプリを導入してネットショッピングを楽しみやすくするなど工夫をしている百貨店がたくさんあります。
外部の業者との協業
一部の百貨店では、外部の業者との協業という形で顧客を集めようとしています。
ハイブリッド戦略は、すでにお伝えしたとおり、ショッピングセンターと協業するという方法です。高級なイメージのある百貨店ですが、同じ空間にショッピングセンターがあることで訪れやすくなる効果もあります。
特定の分野に強みを持つ専門店にテナントとして出店してもらい、集客力を高める方法が取られている百貨店もあります。一口に外部との協業といってもさまざまな形があるので、企業研究の際によく調べておきましょう。
コンシェルジュ設置などによる店舗の差別化
実店舗離れの動きを食い止めるため、コンシェルジュ設置などの方法によって店舗を差別化する百貨店もあります。
これまでも百貨店では、丁寧で親切な接客がおこなわれてきました。コンシェルジュを新たに設置することで接客の質をさらに高め、実店舗でしか味わえない買い物体験を提供しようとしています。
一方で、ECサイト上でライブコマースとしてリモート接客をおこなうなど、ECサイトならではの取り組みもあります。実店舗とEC店舗の両方でさまざまな工夫がなされているということですね。
キャリアアドバイザーコメント北浦 ひよりプロフィールをみる
百貨店業界に就職する際は、将来性がある企業かどうかを見極めることが大切ですよ。百貨店業界はコロナ禍やECサイトの普及で構造改革が進められているからです。
百貨店の将来性をチェックするときは、営業利益などの数字を見るだけでなく「なぜ営業利益を上げられたか」と背景まで確認できるといいですね。新事業を始めたことで売上が上がったのか、人件費を大幅に削減したことで利益確保につながったか把握できるからです。
また百貨店は、ラグジュアリーブランドなど好調のジャンルもあります。「質の高い商品を上質な接客で買いたい」という顧客の心をガッチリとつかんで離さないのは百貨店の強さです。
短期的な業績で判断せず、百貨店がどのようにして売上を上げているのか考えて、将来性の期待できる企業を見極めましょう。
百貨店業界の職種と仕事内容
就活生
百貨店業界で働くというと、接客をする販売の仕事が思い浮かびます。ほかにはどんな職種がありますか?
キャリア
アドバイザー
顧客からは見えにくい仕事をする職種についても、これから詳しく紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
それぞれの職種の具体的な仕事内容を知って、自分がやってみたいのはどのような仕事か考えていきましょう。
販売
接客で大切になるのは、顧客との会話を通じて1人1人が求めているものをしっかりと把握し、適切な商品を提案したりアドバイスをしたりすることです。いつも笑顔を忘れず、丁寧な態度で人と接するように心掛けなければなりません。
接客だけでなく、商品を陳列したりディスプレイを考えたりすることも販売の仕事に入ります。世の中のトレンドに敏感な人に向いているといえるでしょう。
販売職についてはこちらで詳しく解説しています。
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営業
百貨店業界における営業は、外商と呼ばれるものです。
外商は、得意先である個人の顧客の家に直接出向き、商品の提案・販売をおこないます。顧客と深い信頼関係を築いて好みを把握する必要があり、コミュニケーション能力が求められるでしょう。
また、企業への外商もあります。法人外商では、企業が必要とするお歳暮などの贈答品、制服といった商品を販売します。大口の注文を受けることもあり、百貨店の売上に大きく影響を与える仕事です。
営業の魅力についてはこちらで詳しく解説しています。
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販売企画
販売企画の仕事とは、顧客に商品を購入してもらえるようにプロモーション活動をおこなうことです。
物産展などのイベントの開催や、キャンペーンの実施を通して百貨店の集客力を高めることが求められます。魅力的なプロモーション活動をおこなうためには、顧客のニーズを理解して企画していくことが大切でしょう。
自分のアイデアを積極的に出すことが求められる仕事です。行動力があることも重視されそうですね。
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バイヤー
百貨店で販売する商品の仕入れを担当しているのがバイヤーです。
できる限り売れ残りを出すことなく商品を販売するには、適切な数の商品を仕入れることが大切です。バイヤーは、トレンドや実際の店舗での売上の状況、市場動向から判断して売れる商品を見極め、仕入れをおこないます。
取引先となる企業の担当者と会話する機会が多く、交渉力が必要となるでしょう。
百貨店業界の魅力
顧客との距離が近く、販売のためにイベントなどを企画できる小売業界ならではの魅力です。このような小売業界で自分の力を活かすことができそうか、考えてみてくださいね。
顧客と直接かかわることができる
実店舗を持つ百貨店業界では、顧客と直接かかわることができることが魅力といえます。
特に販売や営業といった職種の場合、顧客と会話をして商品を販売することができます。その際には顧客の喜ぶ姿を見ることができ、直接感謝を伝えてもらえることもあるため、やりがいを感じやすいでしょう。
顧客とかかわることの少ない職種でも、自分の企画したキャンペーンへの反響の大きさや、自分が仕入れた商品の人気などから、顧客の満足度の高さを知ることができます。
アイデアや企画を提案できる
アイデアや企画を提案できる場が多いことも、百貨店業界の魅力の1つです。
販売や営業の仕事では、魅力的なディスプレイを作り上げたり、顧客の求めるものを見極めて商品を提案できるなど、自分の考えたことが形になります。販売企画の場合は、次々とアイデアを出すことが求められるため、意見を発信する機会が豊富にあります。またバイヤーも、どのような商品を仕入れるのか考えるのは自分自身です。
どの職種でも自分の考えを実行できるチャンスが多く、責任感を持って取り組めることが大切でしょう。
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百貨店業界に向いている人の特徴
業界研究が進んでくると、自分が百貨店業界に向いているのか、自分の強みは活かせそうかといったことが気になってきますよね。
これから、百貨店業界に向いている人の特徴を紹介します。自分のことと照らし合わせながら読んでみてくださいね。
いろいろなことに興味を持って取り組める人
いろいろなことに興味を持って取り組める人は、百貨店業界に向いているでしょう。
百貨店では幅広い商品が取り扱われています。さまざまな商品に興味を持ち、その魅力を顧客に伝えられることが大切です。
また、百貨店業界では専門化戦略、ハイブリッド戦略といった多様な戦略や、EC事業への注力といった動きがあります。
キャリア
アドバイザー
常に進化を続ける業界ですから、臆することなくいろいろな変化に対応できると良いですね。
トレンドに敏感な人
トレンドに敏感な人も、百貨店業界で活躍できそうです。
すでにお伝えしたように、百貨店業界は小売業界に含まれる業界です。多くの顧客に商品を購入してもらうためには、ニーズをしっかりと把握して販売していく必要があります。世の中のトレンドを敏感に察知し、タイミングよく商品を提供できることが重要となるでしょう。
キャリア
アドバイザー
常にアンテナを張って流行を追うことができる人は、力を存分に活かすことができるはずです。
ルールを守れる人
百貨店業界においては、ルールを守れる人も高く評価されるでしょう。
百貨店での接客は丁寧だという印象を持っている人は多いでしょう。顧客に対して失礼のない質の高い接客をおこなうということは、百貨店の強みの1つです。そのような接客は、社員それぞれがルールやマナーを守って行動しているからこそ可能になっています。
キャリア
アドバイザー
接客をしない職種でも、顧客を第一に考える姿勢は共通しています。ルールを守って誠実な態度でいることは、百貨店業界にとってはとても重要だといえるでしょう。
キャリアアドバイザーコメント加藤 大智プロフィールをみる
百貨店業界に向いている人の特徴は「縁の下の力持ち」になれるタイプですよ。百貨店業界は、裏方の仕事が多いからです。
販売職の場合は、接客して商品を売る人が評価されやすい傾向にあります。でも、商品を売るためには、顧客が希望する商品をバッグヤードから持ってきて、会計の準備や梱包作業も必要です。これらの作業を行ってくれる人がいないと店舗は回りません。
裏方仕事に励む人の頑張りは、上司が本社へ適切に報告しない限り本社から認められにくいこともありますが、店舗には必要不可欠です。このスキルがあれば職場の良好な人間関係も築きやすくなります。
数字として見えにくい裏方仕事に励めるタイプは、百貨店業界に向いています。数値化されにくいため目立つプレイヤーになりにくいかもしれませんが、職場になくてはならない存在になりますよ。
百貨店業界の代表的な企業
ここからは、百貨店業界の代表的な企業を6つ紹介します。
同じ業界に属する企業でも、それぞれに特徴があるものです。企業研究をする際には、その企業が業界の中ではどのような位置づけで、どのような強みを持つか考えると良いでしょう。自分に合った企業を見つけることにも役立つはずですよ。
三越伊勢丹HD
三越伊勢丹HDは、日本初の百貨店である三越と、同じく都市型の百貨店である伊勢丹が経営統合してできたものです。
デジタル化に力を入れており、2020年にはネット上での接客も可能なネットショッピングアプリを公開しました。顧客のニーズの把握を分析する際にも、AIを活用するなどの取り組みがあります。
行動指針に「変化せよ」とあるように、常に時代の最先端を進むことを大切にしている企業です。トレンドに敏感な人が活躍できそうですね。
高島屋
高島屋は、呉服店から始まった都市型の百貨店です。
国内外に店舗を展開し、百貨店を中心としたまちづくりにも取り組んでいます。百貨店のほかに、商業開発や金融、建装、飲食といった幅広い事業があり、すべての力を活かして魅力的な商業施設を作ることを目指しています。
経営理念の「いつも、人から」という言葉からは、顧客を大切にする誠実な姿勢がうかがえますね。
セブン&アイ・HD
セブン&アイ・HDは、そごう、西武百貨店を経営する株式会社そごう・西武をグループ会社に持っています。
西武池袋本店のような都市型の百貨店のほか、その土地に合わせたショッピングセンター型の百貨店も展開しており、柔軟な経営がおこなわれています。海外でも、アジア地域に多くの百貨店を出しています。
そごう・西武では、今までにない提案をすることが大切だとされており、個性を尊重する風土がある企業といえるでしょう。
J.フロントリテイリング
J.フロントリテイリングは、大丸、松坂屋といった百貨店を経営する企業です。ショッピングセンターであるPARCOも経営しており、事業の中心はこれらの小売業となっています。
顧客の実店舗離れを防ぐため、既存の百貨店の改装をおこなうなど、実店舗での体験をより魅力的なものにしようとする戦略があります。また、外商をオンラインでおこなう仕組みを進化させるといった、デジタル化の取り組みにも力を入れています。
新しい時代を見すえた事業を展開することを目指している企業のため、変化に柔軟に対応できる人が求められているでしょう。
エイチ・ツー・オーリテイリング
エイチ・ツー・オーリテイリングは、関西エリアを中心に商業施設を経営する企業です。百貨店としては、阪急、阪神百貨店があります。
百貨店事業はグループ会社の株式会社阪急阪神百貨店がおこなっています。「OMOビジネススタイル」を推進しており、オフラインとオンラインの融合によってより良いサービスを提供できるように取り組んでいます。
グループ全体として「顧客の心を豊かにする暮らしの元気パートナー」であることを目指しており、顧客を第一に考える企業だといえるでしょう。
丸井グループ
丸井グループは、百貨店であるマルイの経営のほかに、金融、不動産、物流などさまざまな事業をおこなう企業です。
マルイは小売と金融を一体化させた独自のビジネスモデルを強みとしています。商品とクレジットカードの両方を提供することで、利便性を向上させています。また、直営のECサイトでの販売にもいち早く取り組んでいます。
丸井グループでは、社員1人1人が成長することが企業の成長につながると考えられています。当事者意識を持って行動できる人が活躍できる企業だといえそうです。
百貨店業界の選考で差をつけるポイント
百貨店業界を代表する企業について見てくるなかで、この業界を志望する気持ちが強まったという人もいるでしょう。入社したい企業からの内定を勝ち取るためには、選考で自分をアピールしていかなければなりません。
これから、百貨店業界の選考で差をつけるポイントをお伝えします。ポイントを押さえて、うまく選考を乗り切りましょう。
百貨店ごとの特色を理解しておく
ここまでのところでお伝えしてきたとおり、百貨店には都市型・鉄道型・地方型の3種類があります。そして、それぞれの百貨店が独自の戦略を立てて、デジタル化や実店舗での接客の質の向上などに取り組んでいます。百貨店ごとの個性、特色をしっかりと把握したうえで、その企業で自分はどのような貢献ができそうか考えてみましょう。
トレンドを把握しておく
百貨店では、常にトレンドを意識した商品を展開し、顧客のニーズに応えることができるように販売をおこなっています。商品の仕入れ、イベントの企画、顧客への販売のすべての部分で、時代の最先端を追っていく必要があります。
いつも流行や市場動向にアンテナを張って、トレンドに敏感であることを強みとしていってください。
百貨店のアルバイトやインターンに参加する
百貨店のアルバイトやインターンに参加し、百貨店業界のことを深く知るのも良いでしょう。
接客のアルバイト経験があることはアピールポイントになります。特に百貨店でのアルバイトは、丁寧なおもてなしの姿勢を実践することができるので、即戦力として期待されそうです。
インターンを通して百貨店のことを詳しく研究することも有効です。社風が自分に合うかどうかも確認でき、企業選びにも役立ちますよ。
インターンに参加する場合は、充実させるための参加目的を整理しておきましょう。
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志望動機を作る時のポイント
百貨店業界で仕事がしたいという意欲をうまく伝えるために、どのような志望動機を作れば良いのかについて解説します。
- なぜ百貨店業界か・その企業かを明確にする
- 自分がどう貢献できるのかを伝える
- その企業で成し遂げたいことを明確にする
3つのポイントを押さえて作ることで、論理的に志望動機を伝えることができますよ。
なぜ百貨店業界か・その企業かを明確にする
顧客とのかかわりがあることや、企画の提案ができることといった百貨店業界だからこその魅力を意識して述べるのも良いでしょう。企業選びに関しては、百貨店ごとの特色を押さえて、その企業の何に共感したのか、どこが自分に合うと思ったのかなどを伝えられると良いですね。
論理的に理由を述べるには、深い業界研究と企業研究が欠かせません。しっかりと分析して考えるようにしましょう。
企業研究のコツはこちらで詳しく解説しています。
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自分がどう貢献できるのかを伝える
業界、企業選びの理由を説明したら、自分が企業にどう貢献できるのか伝えてください。
百貨店業界に興味を持つ人の中には「〇〇百貨店の雰囲気が好き」のように、顧客目線で考えている人もいると思います。ですが、百貨店で仕事をするならば、自分が企業のためにどのようなことができるのかを考える必要があります。
自分の強みをどう活かすのか、具体的に考えてみると良いでしょう。
自分の強みを見つける方法はこちらを参考にしてみてください。
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その企業で成し遂げたいことを明確にする
最後に、その企業で成し遂げたいことを明確に伝えるようにしましょう。
すでに、百貨店業界の職種には、販売、営業、販売企画、バイヤーがあると紹介しました。それらの仕事のうち、極めたいと思っているものについて述べるのも魅力的です。また、5年後、10年後などの単位でキャリアプランを考えるのも良いでしょう。
入社後のビジョンを具体的に持っていることを示すことができると、入社意欲の高さも伝わりますよ。
キャリアビジョンを考える際はこちらを参考にしてみてください。
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百貨店業界の志望動機例文
最後に、百貨店業界の志望動機の例文を見ていきましょう。
それぞれ、活かしたい強み、働きたい百貨店のタイプ、挑戦したい仕事を中心に述べる志望動機です。自分ならばどのように志望動機を作っていくか、何を伝えたいかを考えながら読んでみてください。
接客経験を活かして働きたい場合
まずは、接客経験を活かして働きたいと考えている場合の志望動機の例文です。
百貨店に限らず、小売業界や飲食業界などでのアルバイトの経験がある人は、そこで身につけた力を活かして仕事をすることができます。コミュニケーション能力や、顧客の気持ちに寄り添う協調性といった自分の強みを伝えてアピールしましょう。
実体験がもとになった志望動機には説得力があるので、高く評価してもらえるはずですよ。
回答例
私は、雑貨店でのアルバイト経験で培ったコミュニケーション能力を活かし、御社の販売職として働きたいと思っています。私は社交的な性格で、人とかかわることが好きです。雑貨店での接客では、顧客のニーズを知るために相手に寄り添った対応をすることを重視してきました。顧客からの感謝の言葉を聞くととてもうれしく、今後もおもてなしの心を大切にして働きたいという希望があります。ECサイトに力を入れる百貨店が増える中、御社では対面での販売を強化する戦略を取っていると知りました。「真心が伝わる百貨店」を理念とする御社で、顧客に対して誠実に向き合い、長く愛される百貨店経営に貢献していきたいです。
キャリア
アドバイザー
自分の経験、強みと企業選びの理由がうまく結びついた志望動機ですね。志望する職種との関連も明確で、わかりやすい内容となっています。
地域密着型の百貨店で働きたい場合
続いて、地域密着型の百貨店で働きたいと考えている場合の志望動機の例文を見てみましょう。
なぜその地域で働きたいのかという理由を述べたうえで、自分が貢献できることは何かについて明確にすると良いでしょう。また、地域の人たちにとって大切な存在であり続けるためには何が必要か、といった視点を持って考えることも大切です。
回答例
私は、大学で学んだマーケティングの知識を活かし、生まれ育ったこの町を支える〇〇百貨店を経営する御社にて仕事をしたいです。私は子どもの頃から〇〇百貨店のお世話になってきました。たくさんの玩具があり夢の国のように思っていた〇〇百貨店で働きたい、恩返しがしたいという思いがあります。高齢化が進むこの町では、百貨店に求められるものが変化してきていると思います。入社後は、地域の抱える課題やニーズを分析し、時代に即した商品展開やサービスを提案できるよう努力したいと思っています。
キャリア
アドバイザー
その百貨店への強い思いが伝わってきて、志望度の高さがうかがえます。自分がどのように貢献できるかについても、具体的に考えられていて良いでしょう。
店舗作りに携わりたい場合
3つ目として、店舗作りに携わりたい場合の志望動機の例文を紹介します。
たとえば新しい百貨店のオープンにかかわる仕事をする場合は、ターゲットはどのような顧客層にするか、どのフロアでどのような商品を売るかといったことを1から作り上げていくことになります。また、既存の百貨店でも、フロア内の配置換えやディスプレイの変更によって、より魅力的な店舗になるよう工夫を重ねるでしょう。
店舗作りでは、百貨店全体のことを考えてアイデアを出していける想像力をアピールできると良いですね。
回答例
私は、中高年以上の富裕層をターゲットとする百貨店が多い中、若い世代の顧客でも利用しやすい百貨店作りに注力されている御社を強く志望します。私は、人々の生活に彩りを与えるような仕事がしたいと思っています。そのため、厳選された商品、質の高いサービスによって人々に特別な体験を提供する百貨店で働きたいと考えました。御社では、大学院で行動心理学を学んだ経験を活かし、高級感を残しながらも気軽に入店しやすい雰囲気を作り出すアイデアを提案していきたいです。
キャリア
アドバイザー
企業で自分がやりたいことについて明確に述べられています。一方で、若い世代を集客しようとする企業の戦略に共感したのはなぜかが述べられておらず、企業選びの理由が曖昧になってしまっています。企業研究でわかったことについて、自分がどう考えたかを伝えると良いでしょう。
業界研究をしっかりとおこなってライバルに差をつけよう!
小売業界の中に位置づけられる百貨店業界について、抱える課題や将来性、職種や仕事内容などを具体的にお伝えしてきました。顧客の目線では見えてこなかったことにも、業界研究を深めると気づくことができます。
選考が始まるまでに、業界研究と企業研究をしっかりとおこなって対策をしていきましょう。百貨店業界で活かせる自分の強みを伸ばし、魅力的な志望動機を作ってライバルに差をつけてくださいね。
キャリアアドバイザーコメント吉田 実遊プロフィールをみる
百貨店業界のビジネスモデルは、他の業界と異なる点があります。百貨店とアパレルメーカーがうみだしたとされる「委託仕入れ」という商習慣があるからです。
委託仕入れとは前述したとおり、卸売業者から仕入れた商品が売れ残った場合に返品する仕入れ方法です。百貨店は在庫を抱えるリスクがないうえ、売れ残り商品を大幅値引きして安売りする必要もなくなります。
ただし商品仕入れの場合は、納品された商品の在庫が余っていても、自社で買い取った商品の販売より販売意欲が上がりにくいケースもあります。そのため、メーカーは自社製品の販売員を百貨店に派遣することもあるんですよ。
百貨店業界は独特なビジネスモデルが確立されているため、どんな立場の人が働いているかは調べてみないと分からないところがあります。ぜひ百貨店の業界研究をして、百貨店での仕事について知識を深めてくださいね。