目次
- 食品業界の就活には業界研究が不可欠
- 食品業界の仕組みを理解しよう
- 第一次産業
- 商社(食品卸)
- 食品メーカー
- 食品業界に含まれる職種と仕事内容
- マーケティング
- 商品開発
- 営業
- 広報
- 生産管理
- 食品業界に向いている学生の特徴
- 食に貢献したいという強い想いがある
- 好奇心とチャレンジ精神が旺盛
- 食の安全を守る責任感と真面目さがある
- 食品業界の3つの魅力
- なくなることはないため業界に安定性がある
- 食という人間に欠かせないものに携われる
- 常に新しいニーズに応える挑戦と創造の連続に隣り合わせている
- 押さえておきたい食品業界の最新動向
- 社会状況による需要の変化
- 「食の安全」への意識がさらに高まる
- 健康志向への対応
- 海外進出やEC市場の拡大
- 人気の食品メーカーの分類と主な企業は?
- 調味料
- 乳製品
- 酒類・飲料
- 菓子
- 即席麺
- 冷凍食品
- 食肉・水産加工食品
- 食品業界の志望動機で差をつける3つのコツ
- ①食へのこだわりを深掘りする
- ②その企業を選んだ理由を明確にする
- ③自分が企業にどう貢献できるかをアピールする
- 食品業界についての理解を深め魅力的にアピールしよう
食品業界の就活には業界研究が不可欠
こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。食品業界に興味を持つ学生から、
「食品業界にはどんな仕事があるのですか」
「どんな人が食品業界に向いていますか」
といった質問が多く寄せられています。一口に食品業界といっても多種多様な企業と職種が存在するため、まずは業界研究で食品業界について詳しく知る必要があります。どんな仕事があり、どんな人が向いているのか知ったうえで、食品業界の就活を進めていきましょう。
この記事では、食品業界の就活で押さえておくべき知識と、志望動機におけるアピールのコツをご紹介します。
食品業界の仕組みを理解しよう
食品業界では、食品の材料となる原料を調達してから加工し、消費者のもとに届けられるまでの過程に非常に多くの企業が携わっています。
第一次産業から商社が原料を買い付け、食品メーカーが製造・販売し、最終消費者へ、というのが食品業界の大まかな仕組みです。それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
第一次産業
第一次産業は農産物や水産物など、商品の材料となる原料を作る企業で構成されています。
たとえば農林業には、米や野菜といった農作物を栽培する農業、乳製品や食肉を生産する畜産業、植物やキノコを産出する林業があります。一方水産業では、魚介類を捕獲・養殖する漁業や、魚介類を缶詰や冷凍品などに加工する水産加工業が第一次産業の代表例です。
こうした第一次産業にかかわる企業は、「食」という人間に欠かせないものに携わる食品業界においても大きな役割を果たしています。
キャリアアドバイザー
商社(食品卸)
原料や加工品、サービスなどのさまざまな商品を取り扱い、売り手と買い手の取引の仲介をする企業が商社(食品卸)です。中でも、農産物や水産物などの食品分野に特化して、取引の仲介をする企業を食品商社と呼びます。
食品商社は生産者から消費者に高品質な食品を届けるため、加工から販売までの各段階で第一次産業にかかわる企業や食品メーカーをサポートします。
また、商社のビジネスフィールドは国内だけに留まりません。今後は国内市場の大きな成長が望みにくいことから、海外進出によって売上拡大を目指す企業が増えています。
- 三菱食品株式会社
- 加藤産業株式会社
- 伊藤忠食品株式会社
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食品メーカー
原料を利用しやすい形に加工し、小売店や飲食店を通じて消費者に届けるのが食品メーカーです。原料の仕入れや製造・加工、出荷など、食品業界の仕組みの中心的役割を担っています。
企業の規模としては大中小さまざまで、数多くの商品を大規模に製造する大企業から、単品製造をおこなっている小規模な企業まで存在します。調味料に強いメーカーや、酒類・飲料、冷凍食品に強いメーカーなど、メーカーそれぞれが持つ強みも異なります。
各食品メーカーは原料を商社から仕入れて商品を製造・加工し、それらの商品を卸売や小売の流通を通じて消費者に届けることで収益を上げています。
- 味の素冷凍食品株式会社
- 森永乳業株式会社
- サントリーホールディングス株式会社
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キャリアアドバイザーコメント高橋 宙プロフィールをみる
食品業界を川にたとえると、川上は「第一次産業」「商社」で川中は「食品メーカー」、川下は「小売店」になります。目指すゴールは消費者という大海原です。消費者に、より安全でおいしい食べ物を届けられるようそれぞれの工程で価値をプラスしているため、このつながりをバリューチェーンとよびます。
このバリューチェーンの中で、それぞれの業種がどのような資質を持つ人に向いているのかを見てみましょう。「食品メーカー」は千三つの世界ともいわれ、ヒットする商品は1,000個のうち3つしかないという過酷な競争にさらされている世界です。探求心とへこたれない力を持っている方に向いていますよ。
「商社」は消費者のニーズを把握したうえで食品メーカーに商品を提案する必要があるため、市場調査力と提案力のある人材と相性が良いです。顧客とダイレクトに接する「小売店」は飲料から生鮮食品、加工食品など幅広い知識と興味がある方におすすめできますよ。食の基礎ともなる「第一次産業」は稼業を継ぐ前に勉強したい方にもぴったりです。農業学校出身者以外の新卒採用をおこなっている企業も多いですよ。
食品業界には幅広い分野の仕事があります。自分の興味と資質を把握して、力を発揮できる企業を選ぶようにしましょう。
食品業界に含まれる職種と仕事内容
食品業界には第一次産業から食品メーカーまでさまざまな企業がありますが、原料を加工して消費者のもとに届けるという流れは共通しているため、各社とも職種に大きな違いはありません。
食品業界に含まれる職種と仕事内容を確認しながら、どんなポジションが自分に向いているのかイメージしてみましょう。
キャリアアドバイザー
まずは「自分は文系だから商品開発には向いてなさそう」などと決めつけず、視野を広げて各職種の仕事内容について知ることが大切です。文系だからといって、技術系の仕事にかかわれないわけではありませんよ。
マーケティング
マーケティングは既存の市場の拡大や、新たな市場の開発に携わる職種です。消費者の好みの傾向やニーズを分析し、より魅力的な商品、より時代に合った商品を市場に投入していきます。
その業務は市場調査や商品企画、市場の開発、データの分析など、非常に広範囲に渡ります。いかに消費者の動向を正確に捉え、他社よりも早く商品を市場に投入できるかがポイントです。
- 客観的に物事を考えられる人
- 想像力が豊かな人
- 流行や新しいものに敏感な人
マーケティングは、常に消費者のことを考えて業務を進めていかなければなりません。そのため、どんな商品が求められているか、商品を手にした消費者がどう感じるかなど、相手の立場から物事を考える能力が不可欠です。
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商品開発
商品開発は新商品を作るための技術を開発したり、既存商品の味の改良をしたりする職種です。基礎研究と応用研究で得られた知識をもとに、これまでになかったような商品を実現していきます。
マーケティングや営業など、消費者への理解度が高い部門と連携して市場のニーズを捉え、ニーズを商品という形で満たしていくのがポイントです。
- 探究心が強い人
- 粘り強い人
- コツコツと物事に取り組める人
商品開発は時間も手間もかかる仕事であるうえ、時には思うような成果が得られずに終わる場合もあります。たとえ失敗続きでもへこたれず、前を向いて業務を続けられる人でなければ、商品開発を務めるのは難しいでしょう。
「探求心」の自己PR方法はこちらの記事で解説しています。
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営業
営業は自社の商品を顧客に提案し、購入・契約につなげる職種です。商社の顔として食品メーカーに営業をおこなう営業マンや、食品メーカーの顔として卸売店や小売店に営業をおこなう営業マンが存在します。
自社の商品を市場に浸透させる仕事であると同時に、消費者のニーズやトレンドなどの情報を、他の部門に共有する役割も担っている点が特徴です。
- 目に見える形で成果を得たい人
- 人と話すのが好きな人
- 積極的に行動できる人
さまざまな立場の人とかかわりを持つ営業には、相手の意図を正確に汲み取るコミュニケーション能力が不可欠です。相手の話をじっくりと聞き、適切な対応を取れるような人が食品業界の営業として活躍できます。
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広報
広報は情報発信を通じ、商品の販売を促進する職種です。ファミリー向けのレトルト食品ならテレビ、若者向けのスイーツなら購買層をターゲットとした雑誌など、各種メディアの活用や広報計画の立案、広告枠の買付・製作などを手がけます。
食に関心がある人なら、食のトレンドを知り、どうすれば商品のおいしさや魅力を伝えることができるのかを考える仕事はやりがいのあるものとなるでしょう。また、上場企業であれば株主や投資家に対しての情報開示、メディアから取材依頼を受けた場合の対応なども広報の重要な役割です。
- マルチタスクが得意な人
- 情報取集能力が備わっている人
- 臨機応変な対応をとれる人
広報の業務は広範囲に渡るため、同時に複数のタスクを抱えがちです。業務に優先順位をつけて効率的に進める能力や、想定外の出来事にも臨機応変な対応をとれる能力が必要となります。
「臨機応変に対応する力」をアピールする例文はこちらの記事で紹介しています。
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臨機応変に対応する力は自己PRに向いてる? こんにちは。キャリアアドバイザーの北原です。就活生から最近、こんな声を聞くことが多くあります。 「臨機応変なことって自己PRになりますか?」 「アピール内容を面接官に評価される […]
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生産管理
生産管理職は商品の生産スケジュールを立てたり、製造量を調整したりする職種です。製造工程に加えて商品の品質管理もおこなうため、生産プロセスにおける司令塔的な役割を果たしています。
品質管理の仕事は食品メーカーで特に重要性の高い職種でしたが、近年は食の安全への意識がより高まっていることもあって、商社においても品質管理に力を入れるケースが増えています。
- 一つひとつの業務を丁寧にこなす人
- 数字に強い人
- 常に冷静な判断を下せる人
生産管理は、一つのミスが全体に大きな影響を及ぼす非常に責任の重い職種です。決められたスケジュールどおりに業務を進めるため、トラブルが起きたときも慌てず冷静に対応しなければなりません。
食品業界に向いている学生の特徴
就活生
食品業界って良いな、と思うのですが、自分に向いているかどうかわかりません。
キャリアアドバイザー
それでは、まずどんな人が食品業界に向いているのかを知り、自分に当てはめてみましょう。
「食品業界に興味があるけど、自分が向いているのかわからない」と感じている人も多いのではないでしょうか。
自分に適した企業や職種を見つけるためには、まずは食品業界に向いている人の特徴を理解することが大切です。どんなタイプ・性格の人が向いているのかを知り、自分が活躍できるフィールドを探していきましょう。
食に貢献したいという強い想いがある
「食に貢献したい」という強い想いは、食品業界で活躍するための大切な要素の一つです。
「もっと多くの人に商品の魅力を知ってもらいたい」「食を通じて幸せを届けたい」といった想いを持っている人に食品業界は向いています。
たとえば営業として自社の商品を顧客に提案し、購入・契約につなげるには、商品に対する強い想いが欠かせません。商品について誰よりも深く理解し、その魅力を顧客に詳しく伝えられる人は食品業界で重宝されるでしょう。
そのほか、商品の販売を促進する広報の仕事や、より魅力的な商品を開発していく商品開発の仕事でも「食に貢献したい」という強い想いは大いに役立ちます。
キャリアアドバイザー
選考では、なぜ食に貢献したいのか、どんな形で貢献したいのかを伝えれば、食品業界で働きたいという熱意をアピールできるでしょう。
好奇心とチャレンジ精神が旺盛
目まぐるしく変化する市場ニーズに対応しなければならない食品業界では、新しいことに次々と挑戦していける人や、好奇心旺盛な人が好まれます。
「主力だった商品がある日突然売れなくなる」などというケースは、変化の多い食品業界ではそれほど珍しくありません。そんな中でもへこたれず、切り替えて次のことに挑戦していける人はどの職種でも活躍が期待できます。
また、国内市場の成長があまり望めない今、各企業は新たなジャンルに事業を拡大したり、海外市場にも積極的に参入したりしていかないと長期的な成長はできません。
そのような食品業界の現状もあって、これまで以上に好奇心旺盛な人材や、チャレンジ精神にあふれる人材が求められているのです。
好奇心旺盛であることの意味はこちらの記事で確認してください。
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食の安全を守る責任感と真面目さがある
食品業界は人の健康に影響を及ぼす仕事ですので、食の安全を守る責任感と真面目さが非常に重視されます。数ある業界の中でも、特に安全性に対するコンプライアンスが重視される業界です。
食品の場合、安全に関する不祥事を起こすと、マスコミで一斉に報道され悪評が世間に知れ渡ることとなります。
- 消費期限、賞味期限の偽装
- 異物混入
- 食中毒
不祥事の原因が作為的なものなのか、それとも単なる不注意によるものなのかにかかわらず、企業への印象が悪くなってしまうのは言うまでもありません。
だからこそ常に安心と安全を心がけ、食の安全を守る責任感と真面目さを持って仕事に向き合える人が食品業界に向いているのです。生産管理のような全体に大きな影響を及ぼす職種であれば、なおさら誠実さが求められます。
「真面目さ」をアピールする方法はこちらの記事で解説しています。
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キャリアアドバイザーコメント塩田 健斗プロフィールをみる
食品メーカーを目指す学生は「誠実で芯のある」タイプが多いですね。その中から大手食品メーカーに内定し活躍している人材は、「失敗してもあきらめない強さ」を持っている人が多い傾向にあります。
食品メーカーは生命にかかわる食に携わる仕事のため、志望する学生の性格は誠実で真面目な印象です。一見するとおとなしい雰囲気の学生も多いですが、ひとたび口を開けば、信念のようなものがあり、自分の軸をしっかり持っています。
失敗やトラブルがあってもあきらめない強さを持っている人は、入社後に活躍されていることが多いですね。食品メーカーの研究部門に配属されると、良い製品が完成するまではトライ&エラーの繰り返しになります。研究部門以外の仕事でも、あきらめない粘り強さは求められますよ。
食品業界の3つの魅力
食品業界の仕事や向いている人の特徴について理解を深めたところで、次は食品業界の魅力について見ていきましょう。
将来働く業界・企業を選ぶ際は、自分の適性を確かめるのはもちろん、仕事のやりがいや将来性を確認しておくのも大切です。以下にご紹介する3つの魅力をもとに、自分が食品業界で働く姿をイメージしてみてください。
なくなることはないため業界に安定性がある
就活生
以前、新型コロナウイルスによる飲食店への影響が話題になりましたね。
キャリアアドバイザー
そうですね。巣ごもり需要などによって売上が伸びた食品もありました。社会状況によって変動することもありますが、食品は日常生活に必要不可欠なため今後も業界がなくなることはないでしょう。
食という人の暮らしに欠かせない商品を取り扱う業界なので、今後もなくなることはまず考えられません。市場のトレンドによって売上の上下は当然ありますが、多少の変化では食品業界の企業の経営基盤は揺らがないでしょう。
以前も、新型コロナウイルスの影響で飲食店の需要が減少した一方で、巣ごもり需要により、食に手軽さをもとめる消費志向を満たす冷凍食品や酒類の需要は拡大しました。
このように社会情勢によって、売れる商品と売れない商品の移り変わりはあるものの、一部の商品が売れなくなったとしても他の商品で代替しやすいのが食品業界の特徴です。したがって食品業界は、他の業界と比べ安定性の高い業界といえます。
食という人間に欠かせないものに携われる
食は人間が生きていくうえで欠かせない要素の一つです。そのため食品業界は、各配属部門や各職種ならではのやりがいを実感しやすい環境にあります。
たとえば商品開発職であれば、自分が開発に携わった商品をスーパーやコンビニで見かける機会も多いでしょう。商品化に至るまでの苦労が多ければ多いほど、実際に商品が店に並べれれているのを見かけたときの喜びも大きいはずです。
人の暮らしに欠かせない食を通じて社会に貢献したり、人々を幸せにしたりできるのは、食品業界で働く人ならではのやりがいといえるでしょう。
キャリアアドバイザー
食品業界以外にも、ものづくりにかかわる企業はたくさんありますが、「食」ほど人々の生活に密着した商品は他にないといえるでしょう。
常に新しいニーズに応える挑戦と創造の連続に隣り合わせている
移り変わりの激しい食品業界では、常に新しいニーズに応えるために試行錯誤するのもやりがいの一つです。
挑戦と創造の連続が食品業界で働く大変さでもありますが、トレンドや消費者のニーズを捉えたうえで世の中にない商品を生み出し、注目商品や大ヒット商品につながればうれしいものです。
新しい商品を生み出すこと以外にも、売れ行きが伸び悩んでいる商品の改善や販売戦略の見直しをして、自分の努力が実を結べばやりがいが生まれます。
キャリアアドバイザー
もちろん時には失敗もあると思いますが、失敗から学べることはたくさんあります。失敗の原因を検証しながら試行錯誤していくことで、食に関する知識が蓄積され、自分の成長につながっていきます。
キャリアアドバイザーコメント津田 祥矢プロフィールをみる
衣食住は人が生きていくうえで欠かせない要素ですよね。とくに「食」は「衣」と「住」より人の心身の健康に直結しやすいことが魅力といえます。
「衣」は商品デザインの鮮度が落ちても身体を守る機能はなくなりません。「住」も家を建てたら30年は住み続けることができます。しかし「食」に関しては鮮度が健康に直結する業界で、常に人から求められます。
また、食べ物は人のメンタルに大きな影響を与えます。暖かい物を食べたら気持ちがほっと落ち着きますし、冷たい物でリフレッシュすることもできます。食品業界に身を置くことで、人々の健康を守り、疲れたときの癒しやリフレッシュを届けることができるようになります。
「衣」「住」よりも近い距離で人の健康や生命に直結し、なおかつメンタル面も支えることのできることが食品業界ならではの魅力といえるでしょう。
押さえておきたい食品業界の最新動向
就活生
歴史ある食品業界とは言え、やっぱり流行り廃りもあるんですよね。近年の動きとか懸念点はわからないや……。
キャリアアドバイザー
食は人の暮らしに欠かせないため不況に強い産業といわれていますが、確かに懸念事項もありますね。あらかじめ食品業界の動向をきちんと勉強しておけば心配ありませんよ!
食品業界の最新動向から業界の強みと弱みを知り、選考に役立てましょう。最新の動向を把握することは、食品業界でもとめられる人材や、各企業の将来性を見極めるうえでとても重要です。
社会状況による需要の変化
食品業界に影響を与えている社会動向の1つとして少子高齢化があります。少子高齢化により人口そのものが減っていますが、世帯数は増加傾向で、特に単身世帯の増加が目立ちます。
少子高齢化で若者よりも食が細くなりがちな高齢者の割合が高まれば、当然食品の需要は現在よりも低下するため、今後は食品業界にも多大な影響を及ぼしていきそうです。
また、新型コロナウイルス拡大による経済活動の自粛も、食品業界に大きな変化をもたらしました。
たとえば、これまでの食品業界では、節電・エコを意識した食品や高齢者向けの介護食などの分野の発展が期待されていました。一方で、ステイホーム期間には自宅で過ごす時間が増えたことで消費者の行動が大きく変化し、買い置きに便利な冷凍食品や即席麺、酒類などがよく売れました。
現在は食品の値上がりが相次いでおり、食品の種類によっては消費者の買い控えなども起こっています。
このように、社会状況によって需要は変わっていくので、食品業界を受けるときは社会の動向をよくチェックしておきましょう。
「食の安全」への意識がさらに高まる
近年、食品への異物混入や表示偽装などによる不祥事をニュースで目にする機会が増えました。このような状況を鑑み、食品業界の「食の安全」への意識はさらに高まっています。
食の安全については、法律に基づく行政上の指導・監督もなされていますが、より重要性が高まっているのが個々の企業における取り組みです。
具体的には、「フードセーフティ」や「フーディフェンス」が今まで以上に重視されています。
- 「フードセーフティ」・・・食品の安全に影響を与える事故が起こらないよう適切な衛生管理をおこなうこと
- 「フードディフェンス」・・・悪意を持った部外者による意図的な攻撃から食品を守る取り組み
各企業ともに独自の目標や方針、考え方などに基づき、こぞって食の安全を確保するための取り組みに力を入れています。
健康志向への対応
自宅で過ごす時間が長くなり運動不足に悩む人も増えた中で、食に対しての健康志向が一層高まっています。各食品メーカーはこうした消費者ニーズをつかんで、健康効果が期待できる商品を続々と開発中です。
たとえば「おなかの調子を整える」といった保健機能を表示した特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品はその代表例です。
- おなかの調子を整える食品(オリゴ糖やヨーグルトなど)
- コレステロールを低減する食品(油や豆乳飲料など)
- 血圧をコントロールしたい人のための食品(お茶など)
体調管理やダイエットへの効果が期待できる商品を開発し、健康に関心の高い消費者を取り込もうとアピールしています。
海外進出やEC市場の拡大
人口減少によって国内市場は縮小傾向にあるため、食品業界でもアジアをはじめとした海外に進出する動きが活発化しています。
特に新たな収入源として期待されているのが、経済成長が著しい東南アジア市場です。東南アジアは味の好みが日本人に近いため、食文化や味に対する嗜好の違いといった海外進出における課題をクリアしやすいとされています。
また、食品メーカーが従来のように卸売や小売を通さず、インターネット通販(Electronic Commerce)で直接消費者に販売する市場が拡大しています。
キャリアアドバイザー
国内のECはもちろん、国境を超えて取引する越境ECが盛んにおこなわれており、今後ますます食品業界におけるEC市場は拡大していきそうですよ。
- Amazonフレッシュ
- 楽天西友ネットスーパー
- オイシックス・ラ・大地
人気の食品メーカーの分類と主な企業は?
一口に食品メーカーと言っても、取り扱う商品は多岐にわたります。
豊富な種類の商品を取り扱っているメーカーもあれば、即席麺や調味料だけに特化しているメーカーなど、企業によってその特徴はさまざまです。
ここでは、代表的な食品メーカーの分類と主な企業を紹介します。普段自分がよく利用しているメーカーがどこに分類されるのか確認しながら、食品メーカーへの理解を深めましょう。
調味料
食品というと肉や野菜などの食材をイメージしがちですが、食材の味を調整する「調味料」も食に欠かせない要素の一つです。
- 醤油
- 味噌
- みりん
- だし類
- ソース類
- スパイス類
調味料系の食品メーカーの中でも、特に醤油メーカーの数が多く、日本には1000を超える企業が存在しています。5大醤油メーカーを中心に海外進出も積極的におこなわれており、今後は調味料分野のさらなる成長が期待できそうです。
- 味の素株式会社
- キッコーマン株式会社
- キユーピー株式会社
- カゴメ株式会社
- 日本食研株式会社
乳製品
乳製品にもさまざまな種類があります。生乳や牛乳を加工して色々な形に変えられた乳製品は、その形状によって大きく2つに分類されます。
- 液状の乳製品:乳酸菌飲料、クリーム、ヨーグルト、練乳
- 非液状の乳製品:バター、チーズ、アイスクリーム、粉乳
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、学校の休校や飲食店の休業が増えた結果、乳製品の消費が減っていた時期がありましたが、2021年に入ってからは再び需要は回復傾向です。
特に、健康を志向する消費者からヨーグルト・乳酸菌飲料などの乳製品が注目されています。
- 株式会社明治
- 森永乳業株式会社
- 株式会社ヤクルト本社
酒類・飲料
飲料業界は大きく清涼飲料と酒類に分けられます。清涼飲料とは、コーヒー飲料や炭酸飲料、ミネラルウォーターなどのこと。
酒類とはアルコール分1度以上の飲料のことで、醸造酒のビール、ワイン、蒸留酒の焼酎、混成酒のみりん、ベルモット・リキュールなどがあります。
- ビール
- ワイン
- お茶
- コーヒー飲料
- 炭酸飲料
飲み物は人の暮らしに欠かせないものですが、時代によって需要の高い飲み物の種類は変化し続けています。たとえば、近年は若者の酒離れが顕著になっており、酒類消費量の減少への対応が飲料メーカーの課題です。
- サントリーホールディングス株式会社
- キリンホールディングス株式会社
- アサヒグループホールディングス株式会社
- サッポロホールディングス株式会社
菓子
米や小麦を主材料とし、 砂糖、乳製品、鶏卵、油脂、香料などを加えて製造された食品全般を指します。
- せんべい
- スナック菓子
- ケーキ
- チョコレート
- ガム
近年の菓子業界は少子化の影響で頭打ち状態にありますが、2020年以降は巣ごもり需要の高まりをうけて、お菓子全般の需要も高まっています。特に、大袋タイプやロングセラー商品の人気が目立っています。
ただ、巣ごもり需要がいつまで続くかは不透明なため、大手メーカーを中心に海外市場に活路を見出そうとしている企業も少なくありません。
- 株式会社明治
- 江崎グリコ株式会社
- 株式会社ロッテ
- カルビー株式会社
- 森永製菓株式会社
即席麺
カップラーメンやカップ焼きそば、袋麺など、いわゆる「インスタント麺」全般を指します。日本の即席麺は海外でも広く消費されており、多種多様な分野の中でいち早く海外展開に成功した分野といえるでしょう。
即席麺はいつの時代も一定の需要があるのものの、近年は巣ごもり需要により、袋麺の需要が大きく拡大。自宅で調理できる時間が増えたため、カップ麺よりもコストパフォーマンスに優れた袋麺が好まれているようです。
- 日清食品株式会社
- エースコック株式会社
- 東洋水産株式会社
- ハウス食品株式会社
冷凍食品
食品の品質(風味や食感、衛生状態など)を、できるだけ長く良い状態に保つために作られているのが「冷凍食品」です。
日本冷凍食品協会によると、冷凍食品とは、通常「前処理している」「急速凍結している」「適切に包装している」「品温を-18℃以下で保管している」の4つの条件を満たすものであるとされています。
共働き世帯や単身世帯の増加に伴い、時短・簡便ニーズを満たす冷凍食品の需要も拡大傾向です。特に、皿に移さず袋のまま食べられる麺類や炒飯などの冷凍食品が注目されています。
- 株式会社ニチレイ
- 味の素冷凍食品株式会社
- 日本水産株式会社
- マルハニチロ株式会社
食肉・水産加工食品
肉や魚介類を原料として加工した食品全般を食肉・水産加工食品と呼びます。
- 食肉加工食品:ハム、ベーコン、ソーセージ
- 水産加工食品:魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ
食肉・水産加工食品業界は、外食需要の減少で業務用食品の需要に影響が出ていますが、家庭用食品の需要には伸びが見られます。
家庭用食品の中でも特に注目を浴びているのが「惣菜分野」です。共働き世帯や単身世帯の増加によって食の簡便化が急速に浸透しており、簡単に食べられる惣菜の需要が高まっています。
- 日本ハム株式会社
- 伊藤ハム株式会社
- マルハニチロ株式会社
- 日本水産株式会社
食品業界の志望動機で差をつける3つのコツ
他の学生と志望動機で差をつけるためには伝え方が肝心です。どんなに熱意がこもった志望動機でも、食品業界やその企業を選んだ理由が明確でなければ採用担当者に響きません。
「どうしても食品業界で働きたい」という意欲が伝わるよう、食へのこだわりをアピールできる回答に仕上げていきましょう。そこで重要となるのが、以下に紹介する3つのコツです。
①食へのこだわりを深掘りする
志望動機では食へのこだわりを伝えることが重要です。食品の中には似たような商品もありますが、企業ごとにその特徴は大きく異なります。
たとえば、同じビールであっても企業によって強みはまったく異なるため、志望企業のビールへのこだわりや愛着を深掘りして伝えるのが効果的です。どんなこだわりを持ち、どこに魅了されたのかをアピールできれば、その業界・企業で働きたい理由が明確な志望動機になります。
私の夢はビールを通じて人々を幸せにすることです。
私の父は大のビール好きで、晩酌をしながら毎日のように「これがあるからがんばれる」と言っています。子どもの頃は「たかがビールで大げさだな」と考えていたのですが、自分がお酒を飲める年齢になってからは、父の気持ちもわかるようになりました。
この経験から日々の生活に喜びを与えるビールに魅了され、ビールを世の中に広める仕事に興味を持つようになりました。おいしいビールがあれば「元気になれる」「力がわいてくる」ということは、本当にあると信じています。
「食べることが好き」だけではNG
食品業界で働きたい理由として、「食べることが好き」だけで終わるのはおすすめできません。
食品業界や食品メーカーにこだわる理由を聞かれて、「食べることが好きだから食にかかわる仕事をしたい」「〇〇の商品が好きだから」などと答える学生は少なくありません。
「好き」という気持ちは長く働くうえで大切な要素ではありますが、それだけだと企業はあなたを採用する価値を見出せません。
キャリアアドバイザー
ただ好きな気持ちを伝えるのではなく、「どうして好きなのか」「なぜ好きなことを仕事にしたいのか」といった理由を深掘りしてアピールしましょう。
②その企業を選んだ理由を明確にする
たとえ食品業界を志望した理由が明確であっても、企業の差別化ができていなければ魅力的な志望動機にはなりません。
根拠の薄い志望動機は「別にうちでなくでもいいのでは?」と採用担当者に疑問を持たれてしまうため、その企業を選んだ理由を明確にする必要があります。
たとえば、同じ食品メーカーでも企業によって強み・弱みはまったく異なります。「◯◯だからこの企業を選んだ」と自信を持って答えられるよう、入念な企業研究でそれぞれの企業の特徴を把握しましょう。
企業ごとの特徴を正確に捉えられれば、企業を選んだ理由を伝えるのも難しくはありません。
・業界でいち早く業務のAI化に取り組んできた御社であれば、大学の研究を通じて身につけたデータ収集スキルが活かせると思ったからです
・数あるメーカーの中でも特に食の安全への意識が高く、長期的な成長が期待できるからです
③自分が企業にどう貢献できるかをアピールする
志望動機の締めとして、入社後どんな仕事をしたいのか、自分がどのような形で企業に貢献できるをアピールしましょう。いくら食へのこだわりが強かったとしても、企業にとって有益な人材だと判断してもらえなければ採用には至りません。
そのため志望動機では、食へのこだわりや企業を選んだ理由に加え、将来的なビジョンも伝えましょう。具体的なビジョンを伝えれば、採用担当者はあなたがどんな活躍をしてくれそうなのかイメージしやすくなります。
将来的なビジョンを伝える方法としては、具体的な業務内容を例に挙げつつ、自分の持っている能力やスキルと関連させなら答えるのが効果的です。
商品開発として、大学の研究を通じて身につけたデータ収集スキルや分析スキルを役立てたいです
食品業界の志望動機の作り方はこちらの記事も参考にしてみましょう。
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食品業界についての理解を深め魅力的にアピールしよう
食に携わる企業は非常に豊富で、大まかに分けても第一次産業にかかわる仕事、商社、食品メーカといったようにさまざまな企業が存在します。
同じ食品業界でも企業によって強みにしている商品、ターゲットにしている層は異なるため、業界・企業研究を入念にしたうえで志望動機を作成しましょう。特に、食へのこだわりとその企業を選んだ理由を具体的に伝えることが大切ですよ。
私たちの暮らしに欠かせない食品の一つである「パン」を例に挙げると、小麦を栽培して収穫するのが第一次産業にかかわる企業の役割です。